JP5427048B2 - プロジェクタ装置及びプロジェクタ装置の投射ミラー開閉制御方法 - Google Patents

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Description

本発明は、映像表示素子に形成された映像を投射ミラーによって反射させ投射面に投射するプロジェクタ装置に係り、特にプロジェクタ装置に用いる投射ミラーの開閉制御技術に関する。
液晶パネル等の映像表示素子に形成された映像を投射面であるスクリーンやボード等に拡大表示するプロジェクタ装置においては、投射面で十分な大きさの拡大像が得られるようにすることは勿論であるが、プレゼンターの影が投射面に映らないことやプレゼンターの目に直接拡大映像光が入らないことが要求される。そのため、プロジェクタ装置と投射面との距離を短縮した短投射型プロジェクタ装置が製品化されている。この投射光学系では、投射面に対して斜め方向から拡大映像光を入射させるとともに、光路折り返し用の反射ミラー(投射ミラー)をプロジェクタ装置と投射面の間に設け、背面投射型とすることで見かけ上の投射距離を短縮している。例えば特許文献1には、開閉可能な投射ミラーを備えたプロジェクタ装置が開示される。
図9は、開閉可能な投射ミラーを有する従来のプロジェクタ装置の一例を示す模式的側面図であり、(a)は投射ミラーを開いた状態、(b)は投射ミラーを閉じた状態を示す図である。(a)において、プロジェクタ装置91の筐体92には筐体開口部93が設けられており、この筐体開口部93には映像光を出射する出射開口部94があり、出射開口部94に対向して投射ミラー95が設けられている。使用時には、筐体92内部の不図示の映像表示素子で生成された画像からの映像表示光96が出射開口部94を通して出射され、投射ミラー95の反射面98で反射されて外部に設けられている不図示のスクリーン上に拡大投射される。(b)は、投射ミラー95及び投射ミラーカバー97を開口部93の蓋との兼用にして、プロジェクタ装置91を使用しないときには蓋を閉じるようにしている。本明細書では、反射面98を備え投射ミラー95と投射ミラーカバー97とを一体化した構成を投射ミラーと呼ぶことにする。
特開2005−141065号公報
投射ミラーの開閉機構は、ユーザが手動で開閉する手動方式だけでなく、ミラー回転モータと伝達機構とで開閉する電動ミラー方式が採用されている。また、プロジェクタ装置の設置形態は、据置き設置だけでなく、天吊り設置、天井等に向けて投射する上投射設置、机上等に向けて投射する下投射設置など、用途に合わせて多様の設置形態が可能となっている。
電動式のミラー開閉機構では、ミラー回転用モータのトルクを減速ギアとクラッチ機構を経由して投射ミラーの回転軸を駆動する。そして、投射ミラーが開いた状態や閉じた状態では、投射ミラーの開閉後の位置(姿勢)を保持させるため、ミラー回転軸に所定のトルクを印加して締め込んでいる。すなわち、装置動作時だけでなく非動作時にも、投射ミラーの開閉機構には常にトルクがかかった状態となっている。その結果、投射ミラーのカバー部や開閉機構部には長時間応力がかかり、経年変化により寸法が変化したり使用寿命を短縮させる恐れがあった。機構部の寸法が変化すると投射ミラーの位置(姿勢)がずれ、その結果スクリーン上の映像の表示位置がずれることになって、再度投射位置調整のための作業が必要となる。特にプロジェクタ装置の設置形態が天吊り設置の場合には、調整作業は煩わしいものとなる。
本発明はかかる課題を鑑みてなされたものであって、その目的は、投射ミラーの開閉機構部にかかる応力を低減して、経年変化による開閉機構部の寸法変化を抑えることである。
本発明によるプロジェクタ装置は、モータの駆動力により投射ミラーを開閉する開閉機構部と、開閉機構部の動作を制御する開閉制御部とを備える。開閉制御部は投射ミラーを開動作させるとき、投射ミラーを開端停止位置まで開く第1の開動作と、投射ミラーが停止後、第1の開動作とは逆方向の駆動力を与える戻し動作と、さらに投射ミラーを開端停止位置まで開く第2の開動作を行なわせ、第2の開動作における開端停止位置での駆動力を第1の開動作における開端停止位置での駆動力よりも小さくなるように制御する。
また前記開閉制御部は投射ミラーを閉動作させるとき、投射ミラーを閉端停止位置まで閉じる閉動作と、投射ミラーが停止後、閉動作とは逆方向の駆動力を与える戻し動作を行なわせ、戻し動作を、投射ミラーが閉端停止位置に停止している期間内に行なわせる。
前記開閉制御部は、モータへの駆動電流が閾値を超えたことを検出する過電流検出部を有し、投射ミラーを開閉するとき、過電流検出部の検出結果により投射ミラーが開端停止位置または閉端停止位置に達したと判定するとともに、停止位置での駆動力を駆動電流の閾値で設定する。
本発明によるプロジェクタ装置の投射ミラー開閉制御方法は、モータの駆動力により投射ミラーを開動作させるとき、投射ミラーを開端停止位置まで開く第1の開動作を行い、投射ミラーが停止後、第1の開動作とは逆方向の駆動力を与える戻し動作を行い、さらに投射ミラーを開端停止位置まで開く第2の開動作を行うものであって、第2の開動作における開端停止位置での駆動力を第1の開動作における開端停止位置での駆動力よりも小さくする。
本発明によれば、経年変化による投射ミラーの開閉機構部の寸法変化が少ないので、投射位置調整のための作業が軽減する。また開閉機構部の寿命が改善し、プロジェクタ装置の信頼性が向上する。
本発明によるプロジェクタ装置の一実施例を示す外観斜視図で、投射ミラーを開いた状態を示す図。 本発明によるプロジェクタ装置の一実施例を示す外観斜視図で、投射ミラーを閉じた状態を示す図。 プロジェクタ装置の各種の設置形態を示す図。 プロジェクタ装置の内部構成を示す要部断面図で、投射ミラーを開いた状態を示す図。 プロジェクタ装置の内部構成を示す要部断面図で、投射ミラーを閉じた状態を示す図。 回転伝達機構の構造を示す斜視図。 ミラー開動作におけるクラッチ噛み合い状態を示す模式図。 ミラー閉動作におけるクラッチ噛み合い状態を示す模式図。 多段停止モードにおけるモータ電流の一例を示す図。 プロジェクタ装置の制御回路の構成を示す図。 ミラー開動作の手順を示すフローチャート。 ミラー閉動作の手順を示すフローチャート。 従来のプロジェクタ装置の一例を示す模式的側面図。
図1Aと図1Bは、本発明によるプロジェクタ装置の一実施例を示す外観斜視図であり、図1Aは投射ミラーを開いた状態を、図1Bは投射ミラーを閉じた状態を示す。
プロジェクタ装置1は、反射型あるいは透過型の液晶パネル等の映像表示素子に形成された映像を光路折り返し用の反射ミラーにて反射させ、投射面であるスクリーンやボードに斜め方向から拡大投射する装置である。筐体2には、投射光学系、照明光学系、回路部品等の主要部品を収納している。筐体2の上側には、光路折り返し用の投射ミラー3(反射面とミラーカバーを含む)を備えている。投射ミラー3はアーム4にて筐体2に取り付けられ、開閉機構部5により筐体2の上面の開口部にて開閉可能とされている。開閉機構部5には、後述するミラー回転モータと回転伝達機構が含まれる。ミラー回転モータは、後述する開閉制御部の制御に応じて回転し、回転伝達機構を介してアーム4(投射ミラー3)を回転させる構成となっている。
ユーザの操作によりプロジェクタ装置1を停止状態から稼動(運転)状態に移行する場合には、光源部のランプの点灯を行うと共に開閉機構部5を開動作させることで、図1Aのように投射ミラー3を引起して投射可能な状態(開状態)に移行させる。一方、ユーザの操作によりプロジェクタ装置1を稼動状態から停止状態に移行する場合には、光源部のランプの消灯を行うと共に開閉機構部5を閉動作させることで、図1Bのように投射ミラー3を筐体2の上面に倒した状態(閉状態)に移行させる。このように投射ミラー3を閉状態にすることで、その反射面に塵埃等が付着したり、外部からの物体の衝突等によって反射面に傷がつくことを防止することができる。
図2は、プロジェクタ装置の各種の設置形態を示す図である。本実施例の装置は4通りの設置形態が可能であり、各設置形態において、21はプロジェクタ装置、22は投射ミラー、23は投射面である。
据置き設置方式Aでは、プロジェクタ装置21をテーブル24上に水平に設置し、投射ミラー22から垂直の投射面23に向けて映像を投射する。天吊り設置方式Bでは、プロジェクタ装置21を天井から支柱25によって吊り下げ、投射ミラー22から垂直の投射面23に向けて映像を投射する。
さらに下投射設置方式Cでは、プロジェクタ装置21を投射面23を兼ねたテーブル26上に縦置きに載置し、投射ミラー22から水平の投射面23に映像を投射する。上投射設置方式Dでは、プロジェクタ装置21を天井から支柱27によって吊り下げ、投射ミラー22から天井の投射面23に映像を投射する。
プロジェクタ装置21の設置形態が変わると、投射ミラー22を開閉するときに受ける重量の方向が変化する。よって、投射ミラーの開閉機構部は、設置形態に応じて最適な駆動力で開閉動作を行うように制御する。
図3Aと図3Bは、プロジェクタ装置の内部構成を示す要部断面図であり、図3Aは投射ミラー3を開いた状態、図3Bは投射ミラー3を閉じた状態を示す。筐体2には、投射光学系と投射ミラーの開閉機構を収納している。
投射光学系は、光源11、映像表示素子である液晶パネル12、複数個のレンズ群からなる投射レンズ13で構成される。投射レンズ13の最終段の出射レンズ14から出射された映像光束15a〜15bは、投射ミラー3にて反射されて、映像光束16a〜16bとなって投射される。
開閉機構部5はミラー回転モータと伝達機構(減速ギア列とクラッチ機構)で構成され、回転軸6を中心にアーム4を回転駆動することで投射ミラー3の開閉を行う。開閉動作の停止位置は、開閉機構部5に設けたストッパ7a(開端)および筐体に設けたストッパ7b(閉端)でアーム4の動きを制止させることで機械的に規制する。また、伝達機構の作用で、モータ電流をOFFにしても、停止後のアーム4にはモータが停止する直前に印加したトルクがそのまま継続して印加され(締め込みトルク)、投射ミラー3の姿勢を保持することができる。
なお、開閉動作の停止状態の判定は、後述するようにモータ電流が過電流となることを検出することで行う。すなわち、アーム4がストッパ7にて制止されるとモータの負荷が増大することから、モータ電流が予め定めた値(閾値)を超えたところで回転駆動を終了させる(過電流停止方式)。そして、モータ電流をOFFにすると、アーム4には上記モータ電流の閾値に相当するトルクがそのまま継続して印加される。
ここで、投射ミラーを開閉するための一連の動作において、モータに必要な駆動トルクはミラーの回転位置により変化する。動作途中の平均的に必要なトルク(定常トルク)に対し、起動時には一時的に大きなトルク(起動トルク)を必要とする。また、動作終了時にはミラー位置を保持させるため締め込みトルクを最後にかけるものであるが、締め込みトルクは動作中の定常トルクをそのまま印加する必要はない。むしろ、最後の締め込みトルクが大き過ぎることにより、機構部に応力が残留し、経年変化により寸法が変化したり使用寿命を短縮させる要因となっている。
そこで、本実施例ではこの締め込みトルクを必要最小限に低減するため、開閉動作の終了時に、「多段停止モード」なる制御を導入し、ミラー保持状態における機構部にかかる応力を減少させるようにした。以下、多段停止モードについて説明する。
図4A、図4B、図4Cは、回転伝達機構の動作原理を説明する図である。
図4Aは、回転伝達機構の構造を示す斜視図である。回転軸6はアーム4を介して投射ミラー3に接続されている。図示しないモータからの動力は、図示しないウォームギアとギア列8a,8b,8cを経由して所定の回転力に変換される。最終ギア8cの回転力は、クラッチ半体9a,9bを経由して回転軸6に伝達される。ここにクラッチ半体9a(雄)はギア8cに固定されてギア8cと一体で回転する。クラッチ半体9a(雄)は回転軸6に固定されていないが、クラッチ半体9b(雌)は、回転軸6に形成した嵌合部6aにより回転軸6に固定され、回転力を回転軸6に伝達する。クラッチ付勢バネ10は、クラッチ半体9bをクラッチ半体9aに押し付けて両者を噛み合わせることで、クラッチ半体9aからクラッチ半体9bへ回転力を伝達させる。クラッチの噛み合い量は回転軸6の負荷トルクに依存し、負荷トルクが大きくなるほど噛み合い量は浅くなり、その分、クラッチ付勢バネ10からの押し付け力が大きくなる。モータ回転を停止し、駆動電流をゼロにしても、ウォームギアの作用で各ギア8a,8b,8cはその位置で停止し回転することはない。そして回転軸6には、クラッチ付勢バネ10からの押し付け力により発生する駆動トルクが印加され続ける。
図4Bと図4Cは、ミラー開動作及びミラー閉動作におけるクラッチ噛み合い状態を示す模式図である。
図4Bは、ミラー開動作の場合である。(1)開動作の開始によりギア8cは開方向(図面左方向)に回転し、回転軸6も同方向に回転駆動される。(2)ストッパにより回転軸6の回転は停止する。一方モータは所定電流値になるまで回転続けるので、クラッチ9a,9bの噛み合いは浅くなり、回転軸6にはクラッチ付勢バネ10による大きなトルクが印加された状態となる。(3)その後本実施例では、回転軸6の回転を停止させた状態で、モータに戻し回転(閉方向)とわずかな開方向の回転を与えて停止する。この状態では、クラッチ9a,9bの噛み合いは(2)の状態よりも深くなり、クラッチ付勢バネ10により回転軸6に印加されるトルクは小さくなる。
図4Cは、ミラー閉動作の場合である。(1)閉動作の開始によりギア8cは閉方向(図面右方向)に回転し、回転軸6も同方向に回転駆動される。(2)ストッパにより回転軸6の回転は停止する。一方モータは所定電流値になるまで回転続けるので、クラッチ9a,9bの噛み合いは浅くなり、回転軸6にはクラッチ付勢バネ10による大きなトルクが印加された状態となる。(3)その後本実施例では、回転軸6の回転を停止させた状態で、モータに戻し回転(開方向)を与えて停止する。この状態では、クラッチ9a,9bの噛み合いは(2)の状態よりも深くなり、クラッチ付勢バネ10により回転軸6に印加されるトルクは小さくなる。
以上のように、図4Bと図4Cのミラー開閉動作において、いずれも(3)の戻し動作(多段停止動作)を設けることで、ミラー保持状態の締め込みトルクを必要最小限に低減させるようにした。
図5は、多段停止モードにおけるモータ電流の一例を示す図である。ここでは、プロジェクタ装置を据え置き設置した場合(図2の形態A)について示す。
(A1)据え置き設置:閉状態→開状態への動作
[モーション1]所定のモータ電流値(例えば閾値Ia=180mAで電流制限)でミラー(アーム)を一旦開端(ストッパ位置)まで回転させる(第1の開動作)。
[モーション2]モータを所定時間(例えばTr=500msec)だけ、ミラー閉め側に逆転させる(戻し動作)。これは、モータを逆転させることで、モーション1にてモータからミラーに印加されているトルクを解除させるためである。この逆転時間Trは印加トルクが最小になるまでの短時間とすれば、ミラーの位置は移動せず開端位置に停止したままとなる。そのための逆転時間Trは、ミラーを開端から閉端に移動させるのに要する時間の1/10程度である。
[モーション3]モーション1のときの閾値Iaよりも少ないモータ電流値(例えば閾値Ib=90mAで電流制限)で再び開端まで回転させる(第2の開動作)。このときの閾値Ibは、据え置き設置においてほぼ直立する投射ミラーの姿勢を保持するために必要な値である。
このように、3段階の動作を組み合わせてモータを停止させる。その結果、機構部に与える締め込みトルクは、モータ電流値Ia=180mAからIb=90mAに相当する量に低減させることができる。
(A2)据え置き設置:開状態→閉状態への動作
[モーション1]所定のモータ電流値(例えば閾値Ic=145mAで電流制限)でミラーを一旦閉端(ストッパ位置)まで回転させる(閉動作)。
[モーション2]モータを所定時間(例えばTf=200msec)だけ、ミラー開け側に逆転させる(戻し動作)。これは、モータを逆転させることで、モーション1にてモータからミラーに印加されているトルクを低減させるためである。この逆転時間Tfは、ミラーの位置が移動せず閉端位置に停止したままとなるよう、短時間に設定する。そのための逆転時間Trは、ミラーを閉端から開端に移動させるのに要する時間の1/10程度である。
なお、戻し動作は投射ミラーが閉端位置に停止した状態で行うものとしたが、ミラーを厳密に閉端位置に停止させる必要はない。なぜならミラーの閉動作は、反射面に塵埃等が付着したり反射面に傷がつくことを防止するためであるから、逆転時間Tfが少し大きく設定された結果、ミラー位置が閉端位置からわずか開側にずれたとしても、実用上支障はないからである。よって、ここでいう「閉端位置に停止した状態(期間)」とは、実用上支障のない位置的・時間的誤差を含む範囲と解すべきである。またこの戻し動作は、投射ミラーが閉端位置に到達した後これに連動して直ちに実行せず、しばらく時間が経過した後に実行しても良い。
また、この逆転時間Tfについて、必ずしもミラーの位置が移動せず閉端位置に停止したままとなるように設定されなくとも良い。別の言い方をすると、投射ミラーが閉端位置で停止状態でなくても、戻し動作を行うものであれば良い。
この場合は、2段階の動作で終了し、(A1)におけるモーション3の動作を省略している。これは、据え置き設置においてほぼ水平に閉じている投射ミラーの姿勢の精度はさほど要求されないことと、重力の作用によりミラーを保持できるため、新たに締め込みトルクを印加する必要がないからである。
さらに上記(A1)の動作は、据え置き設置でミラーを一旦開状態とされている場合に、その締め込みトルクを再調整する場合にも適用できる。その場合には、[モーション2]から始めてモータを所定時間Tr逆転し、[モーション3]で少ない電流値Ibで開動作を行う。これにより、何らかの原因で締め込みトルクが変化したとしても、これを最適状態に調整することができる。
設置形態が据え置き設置以外の場合についても、上記した多段停止モードを適用することができる。ただし、設置形態が異なると重力の影響で投射ミラーの開状態及び閉状態において受ける力と方向が異なるため、締め込みトルクもこれに合わせて最適値に設定する。また、いずれの設置形態でもミラーが閉状態ではその姿勢精度はさほど要求されないので、上記の[モーション3]の動作を省略することができる。
図6は、プロジェクタ装置の制御回路の構成を示す図である。ここには、投射ミラーの開閉制御とオートフォーカス制御の部分を示している。ミラー回転モータ35は伝達機構を介して投射ミラー3を回転させ、フォーカスモータ37は伝達機構を介してフォーカス機構を回転する。30は制御部、31は姿勢センサ、32はミラー状態検出部、33は過電流検出部、34はモータ停止ラッチ部、36はミラーモータドライバ、38はフォーカスモータドライバ、39はモータ電源部である。
制御部30は例えばマイクロコンピュータ(マイコン)であり、装置内の構成要素とデータバスを介して相互にアクセスしている。制御機能として、姿勢モード検出部301,302、ミラー状態制御部303、ミラー反転制御指示部304、ミラー正転制御指示部305、モータ状態検出部306、過電流閾値設定部307、フォーカス制御指示部308,309、フォーカス状態検出部310を含む。
姿勢センサ31は例えば光学式検出センサで、上、下、左、右の4方向を検出し、2つの検出信号を姿勢モード検出部301,302へ送る。姿勢モード検出部301,302はこの検出信号から装置の設置形態(図2の形態A〜D)を判定する。ミラー状態検出部32は、リミッタスイッチ321及び322により投射ミラー3が閉じた状態及び開いた状態を検出し、検出時にはON信号を出力する。
ミラー回転モータ35の回転動作は、制御部30のミラー反転制御指示部304とミラー正転制御指示部305からミラーモータドライバ36に制御信号を送ることで制御する。具体的には、モータの正転、反転、停止の動作は、ミラー反転制御指示部304及びミラー正転制御指示部305から送る制御信号の極性(LOWまたはHIGH)の組合せで切替える。
ミラーモータドライバ36は、モータ電源部39からミラー回転モータ35に電流を供給しモータを回転させる。その際過電流検出回路33は、ミラー回転モータ35に供給される電流(モータ電流)を監視し、過電流であるか否かを検出する。過電流検出のための閾値は、制御部30の過電流閾値設定部307により設定する。モータ電流が閾値を超えた場合、過電流検出回路33はモータ停止ラッチ部34に過電流の検出信号を送る。
モータ停止ラッチ部34は過電流の検出信号を受けると、ミラーモータドライバ36に制御信号を送りミラー回転モータ35の回転を停止させる。またモータ停止ラッチ部34は制御部30のモータ状態検出部306に、ミラー回転モータ35の回転が停止したことを伝える。モータ状態検出部306は、例えばプロジェクタ装置の表示部に、ミラー回転モータ35が停止している旨を表示させる。
なお、ミラー回転モータ35が回転を開始してから所定時間(例えば、500msec)の間は、閾値を超える大きな電流(ラッシュ電流)が流れるため、制御部30は、この期間に過電流検出部33から入力される過電流の検出結果を無視するようにしている(過電流ホールド期間)。過電流ホールド期間以降は、過電流検出部33から出力される過電流の検出結果を使って、ミラー回転モータ35の回転を制御する。
このように、ミラー回転モータ35の回転停止は、モータ電流が閾値を超えた時点で停止させるように制御するものであるが、本実施例では前述したように多段停止モードを実行する。そのため制御部30は、姿勢センサ31の検出信号をもとに装置の設置形態を判定する。そして、設置形態に応じた多段停止動作を実行させるため、ミラー反転制御指示部304とミラー正転制御指示部305から正転、反転、停止の各動作を組み合わせた制御信号をミラーモータドライバ36に送るとともに、過電流閾値設定部307から各動作におけるモータ電流の閾値を切替えて設定する。
以下、本実施例のプロジェクタ装置におけるミラー開閉制御の手順を説明する。
図7は、本実施例のプロジェクタ装置(据え置き設置)におけるミラー開動作の手順を示すフローチャートである。
S701では、ユーザ操作により、投射ミラー3の開動作の指示を受ける。
S702では、過電流検出回路33に対しモータ電流の過電流の閾値をIaに設定し、ミラーモータドライバ36はミラーモータ35をミラー開方向に駆動開始する(第1の開動作)。ここで過電流の閾値Iaは、据え置き設置形態に対し予め定めた値(例えば180mA)とする。
S703では、駆動開始後の所定期間(例えば、500msec)は、モータ起動のため閾値Iaを超える大電流(ラッシュ電流)が流れることがある。よってこの期間は、過電流検出回路33は過電流の検出を行わない。あるいは閾値Iaを超えてもこれを無視する。このホールド期間を経過後、過電流を検出する過電流監視モードに切替える。
S704では、過電流検出回路33は過電流(閾値Ia)を検出すると、モータ停止ラッチ部34からモータ停止信号を発生し、モータを停止させる。もし、所定時間経過してもモータが停止しないときは、S712へ進みエラーリトライ処理(再度開動作)を行う。
S705では、ミラー状態検出部32のリミッタスイッチ322により、投射ミラーの位置がストッパ(開端)に到達しているか(ON信号)を判定する。もし開端に到達していない場合は、S712へ進みエラーリトライ処理を行う。
S706では、モータを所定時間Trだけミラー閉方向に逆転させる(戻し動作)。この逆転時間Trは短時間(例えば500msec)とすることで、モータは逆転するものの、投射ミラーは開端位置に停止したままとする。
S707では、モータ電流の過電流の閾値をIbに設定し、モータをミラー開方向に駆動開始する(第2の開動作)。ここで過電流の閾値Ibは、S702(第1の開動作)における閾値Iaよりも少ない例えば90mAとする。
S708では、S703と同様に駆動開始後の所定期間は過電流の検出を行わない。このホールド期間を経過後、過電流を検出する過電流監視モードに切替える。
S709では、過電流検出回路33は過電流(閾値Ib)を検出すると、モータ停止ラッチ部34からモータ停止信号を発生し、モータを停止させる。もし、所定時間経過してもモータが停止しないときは、S713へ進みエラーリトライ処理(再度開動作)を行う。
S710では、ミラー状態検出部32のリミッタスイッチ322により、投射ミラーの位置が開端に到達しているか(ON信号)を判定する。これは、S706の戻し動作における戻し量が大きすぎて、ミラーが開端から離れて停止することを防止するためである。もし開端に到達していない場合は、S713へ進みエラーリトライ処理を行う。
S711では、投射ミラーの開動作を終了する。この状態では、投射ミラーの機構部にはモータ電流値Ibに相当する締め込みトルクが印加されている。
図8は、本実施例のプロジェクタ装置(据え置き設置)におけるミラー閉動作の手順を示すフローチャートである。
S801では、ユーザ操作により、投射ミラー3の閉動作の指示を受ける。
S802では、過電流検出回路33に対しモータ電流の過電流の閾値をIcに設定し、ミラーモータドライバ36はミラーモータ35をミラー閉方向に駆動開始する(閉動作)。ここで過電流の閾値Icは、据え置き設置形態に対し予め定めた値(例えば145mA)とする。
S803では、駆動開始後の所定期間(例えば、500msec)は、モータ起動のため閾値Icを超える大電流(ラッシュ電流)が流れることがある。よってこの期間は、過電流検出回路33は過電流の検出を行わない。あるいは閾値Icを超えてもこれを無視する。このホールド期間を経過後、過電流を検出する過電流監視モードに切替える。
S804では、過電流検出回路33は過電流(閾値Ic)を検出すると、モータ停止ラッチ部34からモータ停止信号を発生し、モータを停止させる。もし、所定時間経過してもモータが停止しないときは、S808へ進みエラーリトライ処理(再度閉動作)を行う。
S805では、ミラー状態検出部32のリミッタスイッチ321により、投射ミラーの位置がストッパ(閉端)に到達しているか(ON信号)を判定する。もし閉端に到達していない場合は、S808へ進みエラーリトライ処理を行う。
S806では、モータを所定時間Tfだけミラー開方向に逆転させる(戻し動作)。この逆転時間Tfは短時間(例えば200msec)とすることで、モータは逆転するものの、投射ミラーは閉端位置に停止したままとする。但し、この戻し動作は、投射ミラーが閉端位置に位置した(到達した)後に行われるようにすれば良い。このため、投射ミラーの移動状態とは、必ずしも連動して戻し動作を行う必要はない。従って、投射ミラーが閉端位置で停止状態でなくても、戻し動作を行うものであれば良い。
S807では、ミラーの閉動作を終了する。この状態では、投射ミラーの機構部にはモータ電流値Icよりも十分小さな電流値に相当する締め込みトルクが印加されている。
以上のように本実施例では、投射ミラー開閉動作の終了時に戻し動作を含む多段停止モードを実行することで、ミラー機構部への締めこみトルクを低減し、ミラー保持状態において機構部が受ける応力を減少させた。これより、経年変化によるミラー機構部の寸法変化が少なくなり、投射位置調整のための作業が軽減する。また開閉機構部の寿命が改善し、プロジェクタ装置の信頼性が向上する。
1…プロジェクタ装置、
2…筐体、
3…投射ミラー、
4…アーム、
5…開閉機構部、
6…回転軸、
7a,7b…ストッパ、
8a,8b,8c…ギア、
9a,9b…クラッチ、
10…クラッチ付勢バネ、
11…光源、
12…液晶パネル、
13…投射レンズ、
14…出射レンズ、
30…制御部、
31…姿勢センサ、
32…ミラー状態検出部、
33…過電流検出部、
34…モータ停止ラッチ部、
35…ミラー回転モータ、
36…ミラーモータドライバ、
39…モータ電源部
307…過電流閾値設定部。

Claims (4)

  1. 映像表示素子に形成された映像を投射ミラーによって反射させ投射面に投射するプロジェクタ装置において、
    モータの駆動力により上記投射ミラーを開閉する開閉機構部と、
    該開閉機構部の動作を制御する開閉制御部とを備え、
    該開閉制御部は上記投射ミラーを開動作させるとき、
    上記投射ミラーを開端停止位置まで開く第1の開動作と、上記投射ミラーが停止後、上記第1の開動作とは逆方向の駆動力を与える戻し動作と、さらに上記投射ミラーを上記開端停止位置まで開く第2の開動作を行なわせ、
    上記第2の開動作における上記開端停止位置での駆動力を上記第1の開動作における上記開端停止位置での駆動力よりも小さくなるように制御することを特徴とするプロジェクタ装置。
  2. 請求項1に記載のプロジェクタ装置において、
    前記開閉制御部は、前記モータへの駆動電流が閾値を超えたことを検出する過電流検出部を有し、
    前記開閉制御部は前記投射ミラーを開閉するとき、上記過電流検出部の検出結果により前記投射ミラーが前記開端停止位置に達したと判定するとともに、停止位置での駆動力を上記駆動電流の閾値で設定することを特徴とするプロジェクタ装置。
  3. 映像表示素子に形成された映像を投射ミラーによって反射させ投射面に投射するプロジェクタ装置の投射ミラー開閉制御方法において、
    モータの駆動力により上記投射ミラーを開動作させるとき、
    上記投射ミラーを開端停止位置まで開く第1の開動作を行い、
    上記投射ミラーが停止後、上記第1の開動作とは逆方向の駆動力を与える戻し動作を行い、
    さらに上記投射ミラーを上記開端停止位置まで開く第2の開動作を行うものであって、
    上記第2の開動作における上記開端停止位置での駆動力を上記第1の開動作における上記開端停止位置での駆動力よりも小さくすることを特徴とするプロジェクタ装置の投射ミラー開閉制御方法。
  4. 請求項3に記載のプロジェクタ装置の投射ミラー開閉制御方法において、
    前記投射ミラーを開閉するとき、該投射ミラーが前記開端停止位置に達したことを前記モータへの駆動電流が閾値を超えたことで検出するとともに、停止位置での駆動力を該駆動電流の閾値で設定することを特徴とするプロジェクタ装置の投射ミラー開閉制御方法。
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