JP5423555B2 - 洗浄乾燥方法および洗浄乾燥装置 - Google Patents
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Description
従来例を、概略図として図1に示す。図1において、治具付きのコンベア2に被洗浄部品1の単体を搭載して連続的に搬送する例を説明する。油脂類が付着した被洗浄部品1は、搬送コンベア2で、洗浄乾燥ゾーンAの位置へ順次送られる。洗浄装置には、洗浄溶剤を貯液する貯液槽3が備えられている。貯液槽3には、大気圧時と加圧時とで顕著に沸点が変化する溶剤で、なおかつ分子構造上、塩素原子を含まず油脂類に対し疎油性を示す不活性溶剤、たとえば、ハイドロフルオロカーボン(HFC)やハイドロフルオロエーテル(HFE)などのフッ素系化合物で、大気圧の沸点(飽和温度)が40℃以上の洗浄溶剤を貯液する。
本発明の一実施の形態を、概略図として図2に示す。図2において、被洗浄部品11は、洗浄カゴに多数個入れてもよいが、治具付きのコンベアに被洗浄部品11の単体を搭載して連続的に搬送する例で解説する。油脂類が付着した被洗浄部品11は、搬送コンベア12,12’で、洗浄乾燥室18である洗浄乾燥ゾーンBの位置へ送られる。洗浄装置には、洗浄溶剤を貯液する貯液槽13が備えられている。貯液槽13には、大気圧時と加圧時とで顕著に沸点が変化する液体で、油脂類に対し疎油性を示す液体、たとえば、水や含水アルコールあるいはハイドロフルオロカーボン(HFC)やハイドロフルオロエーテル(HFE)などのフッ素系化合物で、大気圧の沸点(飽和温度)が40℃以上の液体を貯液する。
円筒状の洗浄乾燥室18に、円柱状の被洗浄部品11(直径6mm、長さ8mm)を空隙容積が2cm3となるように配置し、円筒状洗浄乾燥室18の下流の円端部は開放とした。被洗浄部品11には、あらかじめユシロ化学工業社の不水溶性油ユシロンカットアーバスKZ216を約100mg/dm2で塗布し、洗浄溶剤として、大気圧沸点が55℃で加圧(0.312MPa)時の沸点が90℃のフッ素化合物HFC‐43‐10mee(C5H2F10)を、約90℃の加圧過熱液体の状態として、洗浄乾燥室18へ5秒間噴射した。その結果、洗浄後の被洗浄部品11の付着油分量は10mg/dm2以下まで除去することができた。この場合、洗浄溶剤の噴射量は、5秒間でおよそ1.5cm3であり、大気圧下の洗浄乾燥室18に噴射した洗浄溶剤蒸気の体積は、およそ280cm3と計算され、即ち、洗浄乾燥室18内に噴射された洗浄溶剤から発生する洗浄溶剤の蒸気の大気圧での体積が、被洗浄部品11を洗浄乾燥室18に搬入した際の洗浄乾燥室18内における空隙容積の140倍であった。噴射洗浄直後、被洗浄部品11の外表面には洗浄溶剤の凝縮など認められず、短時間で被洗浄部品11全体を洗浄乾燥できることを確認した。
円筒状の洗浄乾燥室18に、円柱状の被洗浄部品11(直径6mm、長さ8mm)を空隙容積が2cm3となるように配置し、円筒状洗浄乾燥室18の下流の円端部は開放とした。被洗浄部品11には、あらかじめユシロ化学工業社の不水溶性油ユシロンカットアーバスKZ216を約100mg/dm2で塗布し、水を約130℃の加圧過熱液体の状態として、洗浄乾燥室18へ5秒間噴射した。その結果、洗浄後の被洗浄部品11の付着油分量は10mg/dm2以下まで除去することができた。この場合、水の噴射量は、5秒間でおよそ1.5cm3であり、大気圧下の洗浄乾燥室18に噴射した水蒸気の体積は、およそ2700cm3と計算され、即ち、洗浄乾燥室18内に噴射された水から発生する水蒸気の大気圧での体積が、被洗浄部品11を洗浄乾燥室18に搬入した際の洗浄乾燥室18内における空隙容積の1350倍であった。
本出願では、以下の態様が提供される。
1. 洗浄除去すべき物質を含む被処理物(11)の洗浄乾燥方法であって、該被処理物(11)を大気圧下の洗浄乾燥室(18)に搬入する工程、加圧過熱液体または加圧過熱蒸気の状態にある洗浄溶剤を該洗浄乾燥室(18)内に噴射する工程、および洗浄乾燥された該被処理物(11)を該洗浄乾燥室(18)から搬出する工程を含み、該洗浄乾燥室(18)内に噴射された該洗浄溶剤から発生する該洗浄溶剤の蒸気の大気圧での体積が、該被処理物(11)を該洗浄乾燥室(18)に搬入した際の該洗浄乾燥室(18)内における空隙容積の100倍以上であることを特徴とする、洗浄乾燥方法。
2. 前記洗浄除去すべき物質が油脂類であり、前記洗浄溶剤が、該油脂類に対する疎油性を有し、且つ大気圧で40℃以上の沸点を有するものであることを特徴とする、態様1に記載の洗浄乾燥方法。
3. 前記噴射工程において噴射された前記洗浄溶剤の少なくとも一部を回収する工程、回収された前記洗浄溶剤に混入される、前記洗浄により前記被処理物(11)から除去された前記洗浄除去物質を分離する工程、前記洗浄除去物質を分離された後の前記洗浄溶剤を再加圧過熱する工程、並びに再加圧過熱されて、加圧過熱液体または加圧過熱蒸気の状態にある前記洗浄溶剤を前記洗浄乾燥室(18)内に再噴射する工程を含む、前記洗浄溶剤のリサイクル工程を更に含むことを特徴とする、態様1または2に記載の洗浄乾燥方法。
4. 前記被処理物(11)の搬入工程および搬出工程において、前記被処理物(11)が連続的または間欠的に搬送されることを特徴とする、態様1〜3のいずれか一項に記載の洗浄乾燥方法。
5. 洗浄除去すべき物質を含む被処理物(11)の洗浄乾燥装置であって、加圧過熱液体または加圧過熱蒸気の状態にある洗浄溶剤の供給手段(19)、該被処理物(11)の搬入口および搬出口を備えて大気圧下にある洗浄乾燥室(18)、該搬入口から該被処理物(11)を該洗浄乾燥室(18)に搬入する手段(12)、該供給手段(19)からの加圧過熱液体または加圧過熱蒸気の状態にある該洗浄溶剤を該洗浄乾燥室(18)内に噴射する手段(16)、および洗浄乾燥された該被処理物(11)を該洗浄乾燥室(18)の該搬出口から搬出する手段(12’)を含み、該洗浄乾燥室(18)内に噴射された該洗浄溶剤から発生する該洗浄溶剤の蒸気の大気圧での体積が、該被処理物(11)を該洗浄乾燥室(18)に搬入した際の該洗浄乾燥室(18)内における空隙容積の100倍以上であることを特徴とする、洗浄乾燥装置。
6. 噴射された前記洗浄溶剤の少なくとも一部を回収する手段(17)、回収された前記洗浄溶剤に混入される、前記洗浄により前記被処理物(11)から除去された前記洗浄除去物質を分離する手段(13)、前記洗浄除去物質を分離された後の前記洗浄溶剤を再加圧過熱する手段(15)、並びに再加圧過熱されて、加圧過熱液体または加圧過熱蒸気の状態にある前記洗浄溶剤を供給手段(19)に供給する手段を含む、前記洗浄溶剤のリサイクル手段を更に含むことを特徴とする、態様5に記載の洗浄乾燥装置。
7. 前記被処理物(11)を搬入する手段(12)および搬出する手段(12’)が、それぞれ連続的または間欠的に前記被処理物(11)を搬送する手段(12)および搬出する手段(12’)であることを特徴とする、態様5または6に記載の洗浄乾燥装置。
1 被処理部品
2 部品搬送コンベア
3 貯液槽(油分離槽)
4 循環ポンプ(加圧手段)
5 熱交換器(加熱手段)
6 ノズル(噴射手段)
7 冷却管(回収手段)
8 水分分離器
9 配管(洗浄溶剤供給手段)
10 ドレン(汚れ排出手段)
B 洗浄乾燥ゾーン
11 被処理部品
12 部品搬送コンベア
13 貯液槽(油分離槽)
14 循環ポンプ(加圧手段)
15 熱交換器(加熱手段)
16 ノズル(噴射手段)
17 蒸気回収口(回収手段)
18 洗浄乾燥室
19 配管(洗浄溶剤供給手段)
20 ドレン(汚れ排出手段)
Claims (7)
- 洗浄除去すべき物質を含む被処理物(11)の洗浄乾燥方法であって、該被処理物(11)を大気圧下の洗浄乾燥室(18)に搬入する工程、加圧過熱液体または加圧過熱蒸気の状態にある洗浄溶剤を該洗浄乾燥室(18)内に噴射する工程、および洗浄乾燥された該被処理物(11)を該洗浄乾燥室(18)から搬出する工程を含み、該洗浄乾燥室(18)内に噴射された該洗浄溶剤から発生する該洗浄溶剤の蒸気の大気圧での体積が、該被処理物(11)を該洗浄乾燥室(18)に搬入した際の該洗浄乾燥室(18)内における空隙容積の100倍以上であり、且つ該被処理物(11)を該洗浄乾燥室(18)に搬入した際の該洗浄乾燥室(18)内における空隙容積が該被処理物(11)の見かけの体積の10倍以下の範囲内であることを特徴とする、洗浄乾燥方法。
- 前記洗浄除去すべき物質が油脂類であり、前記洗浄溶剤が、該油脂類に対する疎油性を有し、且つ大気圧で40℃以上の沸点を有するフッ素系化合物であることを特徴とする、請求項1に記載の洗浄乾燥方法。
- 前記噴射工程において噴射された前記洗浄溶剤の少なくとも一部を液化して回収する工程、回収された前記洗浄溶剤に混入される、前記洗浄により前記被処理物(11)から除去された前記洗浄除去物質を分離する工程、前記洗浄除去物質を分離された後の前記洗浄溶剤を再加圧過熱する工程、並びに再加圧過熱されて、加圧過熱液体または加圧過熱蒸気の状態にある前記洗浄溶剤を前記洗浄乾燥室(18)内に再噴射する工程を含む、前記洗浄溶剤のリサイクル工程を更に含むことを特徴とする、請求項1または2に記載の洗浄乾燥方法。
- 前記被処理物(11)の搬入工程および搬出工程において、前記被処理物(11)が連続的または間欠的に搬送されることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の洗浄乾燥方法。
- 洗浄除去すべき物質を含む被処理物(11)の洗浄乾燥装置であって、加圧過熱液体または加圧過熱蒸気の状態にある洗浄溶剤の供給手段(19)、該被処理物(11)の搬入口および搬出口を備えて大気圧下にある洗浄乾燥室(18)、該搬入口から該被処理物(11)を該洗浄乾燥室(18)に搬入する手段(12)、該供給手段(19)からの加圧過熱液体または加圧過熱蒸気の状態にある該洗浄溶剤を該洗浄乾燥室(18)内に噴射する手段(16)、および洗浄乾燥された該被処理物(11)を該洗浄乾燥室(18)の該搬出口から搬出する手段(12’)を含み、該洗浄乾燥室(18)内に噴射された該洗浄溶剤から発生する該洗浄溶剤の蒸気の大気圧での体積が、該被処理物(11)を該洗浄乾燥室(18)に搬入した際の該洗浄乾燥室(18)内における空隙容積の100倍以上であり、且つ該被処理物(11)を該洗浄乾燥室(18)に搬入した際の該洗浄乾燥室(18)内における空隙容積が該被処理物(11)の見かけの体積の10倍以下の範囲内であることを特徴とする、洗浄乾燥装置。
- 噴射された前記洗浄溶剤の少なくとも一部を冷却手段で液化して回収する手段(17)、回収された前記洗浄溶剤に混入される、前記洗浄により前記被処理物(11)から除去された前記洗浄除去物質を分離する手段(13)、前記洗浄除去物質を分離された後の前記洗浄溶剤を再加圧過熱する手段(15)、並びに再加圧過熱されて、加圧過熱液体または加圧過熱蒸気の状態にある前記洗浄溶剤を供給手段(19)に供給する手段を含む、前記洗浄溶剤のリサイクル手段を更に含むことを特徴とする、請求項5に記載の洗浄乾燥装置。
- 前記被処理物(11)を搬入する手段(12)および搬出する手段(12’)が、それぞれ連続的または間欠的に前記被処理物(11)を搬送する手段(12)および搬出する手段(12’)であることを特徴とする、請求項5または6に記載の洗浄乾燥装置。
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