JP5422954B2 - 微細形状転写シートの製造方法及び製造装置 - Google Patents

微細形状転写シートの製造方法及び製造装置 Download PDF

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本発明は、微細形状が転写されて表面に該微細な立体形状を有するシートの製造方法、装置に関する。
樹脂シートなどの表面に微細な凹凸などの立体形状を成形する方法として、樹脂シート及び微細な凹凸形状を有するインプリントモールドを加熱し、両者を押圧することにより、該凹凸立体形状を該樹脂シートに転写させる方法が知られている。(特許文献1)しかし、この方法では、該樹脂シートと該インプリントモールド間でエアの噛み込みが起こり、微細な立体形状が完全に転写されず、転写不良を起こすという問題があった。
これを防止するための手段として、賦形面をチャンバー内に入れ、賦形面の真空引きを行い、賦形する方法が知られている。(特許文献2)しかし前記特許文献2ではロール状の連続樹脂シートを巻出し装置から賦形装置内に送り賦形するといった製造方法への適用が難しく、賦形面が大面積になると真空引きに時間を要し、サイクルタイムが長くなり、生産性を悪化させる問題があった。
エア噛みを防止するその他の方法としては、前記特許文献2以外に加圧板の当接開始時に転写板を反発力の異なるバネを利用した保持部材により、樹脂板に対して突出するように屈曲させて当接することにより、転写面の中央近傍からエアを排除しつつ成形する方法が知られている(特許文献3)。しかし、特許文献3では、プレス加圧力が最大となった時の転写面の圧力を均一にすることを目的に、保持部材が転写板の非転写部に設置されている。この構成では転写面が大面積になった時、保持部材の間隙が広くなるため、転写面にたるみが生じ、そのたるみ部に成型時エア噛みを生じる問題があった。さらに、保持部材に弾性力差が設けられているため、転写面に圧力分布が存在し、保持部材間隙にて圧力の極小部が存在すると予測される。このため、たるみ部に噛み込んだエアの一部はこの圧力極小部に残留し、転写不良となる問題があった。噛み込んだエアのうち、成型時に排除されるものがあるとしても、積極的にエアを排除する圧力分布が賦形面に与えられていないため、エアの排除には長時間押圧する必要があり、サイクルタイムが長くなり、生産性を悪化させる問題があった。
特開2005−199455号公報 特開平5−060920号公報 特開2006−035573号公報
本発明の目的は上述したような点に鑑み、シート状基材表面にインプリントモールドの微細凹凸形状を賦形する微細形状転写シートの製造方法において、大面積のシート状基材に賦形する場合においてもインプリントモールドとシート状基材の間に噛み込んだエアを成形中に賦形面外に排除し、転写不良を生じることがなく、所望どおりの微細凹凸形状が表面に形成されたシートを高効率で製造する方法と製造装置を提供することである。
(1)上述した目的を達成する本発明の微細形状転写シートの製造方法は以下の方法から成るものである。
・ 微細凹凸形状からなる賦形面を有するインプリントモールドと中間基材との間にシート状基材を設置し、一対の加圧板により該インプリントモールドと該中間基材とを該シート状基材方向に加圧することにより、該シート状基材表面に微細凹凸形状を賦形する微細形状転写シートの製造方法であって、
該中間基材が繊維層にゴムを含浸した複合材からなるクッション性を有する中間基材であり、
該インプリントモールドの微細凹凸形状の凹形状が並列に並んだ複数の溝であり、さらに、該加圧板の加圧力が最大となった時、該賦形面内において該溝の長手方向に沿って賦形圧力差が存在し、かつ、該賦形面内に最大賦形圧力部が存在し、かつ、賦形圧力が極小値を取る部位が該賦形面内に存在しないように加圧する微細形状転写シートの製造方法。
また、本発明の微細形状転写シートの製造方法は好ましくは以下の方法も行う。
前記最大賦形圧力部から賦形圧力が減少する方向に沿って、賦形圧力勾配の絶対値が単調増加するように加圧すること、
形前に前記シート状基材及び前記インプリントモールドを加熱すること、である。
(2)上述した目的を達成する第1のインプリントモールドは以下の構成からなる。
・ シート状基材に微細凹凸形状を転写する板状のインプリントモールドであって、微細凹凸形状の賦形面を有し、該賦形面内に厚み変化を有し、該賦形面内に最大厚み部を有し、かつ該賦形面内に厚みの極小値を持たないインプリントモールド。
また、第1のインプリントモールドは好ましくは以下の構成も具備する
・ 前記微細凹凸形状の凹形状が並列に並んだ複数の溝であり、かつ、前記厚み変化が該溝の長手方向に沿っていること、
・ 前記インプリントモールドの単位長さあたりの厚み変化量の絶対値が、前記最大厚み部から厚み勾配に沿って単調に増加していること、である。
(3)上述した目的を達成する第2のインプリントモールドは以下の構成からなる。
・ シート状基材に微細凹凸形状を転写する板状のインプリントモールドであって、微細凹凸形状の賦形面を有し、インプリントモールド全体が湾曲しており、該湾曲の曲率中心が該賦形面の逆側に存在するインプリントモールド。
(4)上述した目的を達成する第1の微細形状転写シートの製造装置は、以下の構成からなる。
・ 本発明のインプリントモールドと、
中間基材と、
該インプリントモールドと該中間基材とをさらに両側から挟むように配置された一対の加圧板と、
該インプリントモールド、該中間基材及び該一対の加圧板を加圧する加圧手段とを少なくとも備えた微細形状転写シートの製造装置。
(5)上述した目的を達成する第2の微細形状転写シートの製造装置は以下の構成からなる。
・ 微細凹凸形状からなる賦形面を有するインプリントモールドと、
中間基材と、
該インプリントモールドと該中間基材とをさらに両側から挟むように配置された一対の加圧板と、
該インプリントモールド、該中間基材及び該一対の加圧板を加圧する加圧手段と、
該一対の加圧板の少なくとも一方の加圧板の加圧方向側の面に設置された凸形状のプレートとを少なくとも備え、
該プレートが厚み分布を有し、プレートの面内に最大厚み部を有し、かつ面内に厚みの極小値を取る部位が存在しない微細形状転写シートの製造装置。
また、第2の微細形状転写シートの製造装置は好ましくは以下の構成も具備する。
・ 前記インプリントモールドの微細凹凸形状の凹形状が並列に並んだ複数の溝であり、前記プレートの厚み変化が該溝の長手方向に沿うように該プレートが設置されていること。
・ 前記プレートの単位長さあたりの厚み変化量の絶対値が、前記最大厚み部から厚み勾配に沿って単調に増加していること、
・ 前記インプリントモールドが前記プレートに密着した状態で把持され、該インプリントモールドの賦形面が該プレートと同じ湾曲プロファイルになっていること、である。
また、第1及び第2の微細形状転写シートの製造装置は好ましくは以下の構成も具備する。
・ 前記中間基材がクッション性を有すること、
・ 前記クッション性を有する中間基材が、(a)内部に気泡を有する高分子素材、(b)ゴム層と繊維層とを積層した複合材、及び(c)繊維層にゴムを含浸した複合材 からなる群より選ばれる少なくとも1種からなること、
・ 前記中間基材が、前記賦形面の加圧力が最大となった時、圧縮弾性率が賦形面全域に渡り0.1MPa〜200MPaとなるものであること、
・ 前記シート状基材及び前記インプリントモールドを加熱する手段を備えたこと、である。
本発明の微細凹凸形状転写シートの製造方法及び製造装置によれば、賦形面内の賦形圧力差を利用して、賦形時にシート状基材とインプリントモールドの間に噛み込んだ残留エアを賦形面外に排除することにより、エア噛み不良がなくなり、均一で高い精度の転写成形状態を得ることができるようになる。
本発明のインプリントモールドにより、インプリントモールドの賦形面を湾曲させることで、所望の圧力分布を簡便に得ることができ、エア噛み不良がなくなり、かつ、生産性向上をはかることができる。
以下、図面などを参照しながら、さらに詳しく本発明の微細形状転写シートの製造方法、製造装置について説明する。
本発明の微細形状転写シートの製造方法は、微細凹凸形状からなる賦形面を有するインプリントモールドと中間基材との間にシート状基材を設置し、一対の加圧板により該インプリントモールドと該中間基材とを該シート状基材方向に加圧させることにより、該シート状基材表面に該微細凹凸形状を賦形する微細形状転写シートの製造方法であって、該中間基材が繊維層にゴムを含浸した複合材からなるクッション性を有する中間基材であり、該インプリントモールドの微細凹凸形状の凹形状が並列に並んだ複数の溝であり、さらに、賦形面全体の加圧力が最大となった時、該賦形面内において該溝の長手方向に沿って賦形圧力差が存在し、かつ該賦形面内の一部で最大賦形圧力部が存在し、かつ、賦形圧力が極小値を取る部位が該賦形面内に存在しないように加圧することを特徴とする製造方法である。
ここで「加圧力が最大となった時」とは一対の加圧板によりインプリントモールドにシート状基材を賦形するプレス機械のプレス力が最大になる時をいう。
また、「賦形面内の一部」とは、賦形面内の一点だけでなく、連続する線状であっても良い。
また、「微細凹凸形状」とは、高さ10nm〜1mmの凸形状がピッチ10n〜1mm、より好ましくは高さ1μm〜100μmの凸形状がピッチ1μm〜100μmで周期的に繰り返された形状のことを示し、例えば、図1に示すような線状に伸びる三角形状の溝が複数個ストライプ状に並んでいるものである。図1には断面が三角形状の溝を示したが、三角形状に限らず、半円形状もしくは半楕円形状などでも本発明に用いることができる。さらには溝が直線である必要はなく、曲線のストライプパターンでも良い。「微細凹凸形状」は他にも図2に示すようなエンボス形状に代表される2次元的にパターンを持った形状も含まれる。図2には凸形状が半円形のエンボス形状を示したが、円錐や直方体などのその他の凸形状も本発明に用いることができる。
また、「賦形圧力が極小値を取る」とは、1辺の長さ10mmで賦形面を格子状に区切ったとき、任意の格子内の平均賦形圧力をP、この格子に接する8つの格子の平均賦形圧力をそれぞれP〜P8としたとき、全てのxについてP≦Pが成立することをいう(ここでxは1〜8の自然数である。)。つまり、「賦形圧力が極小値を取る部位が賦形面内に存在しない」とは、全てのxについてP≦Pが成立するような格子が賦形面内に存在しないことである。言い換えると、賦形面内の全ての格子について、平均賦形圧力P<Pを満たすような隣接する格子が少なくとも1つ存在することである。なお、10mm間隔で測定したときの賦形圧力分布が極小値を取らなければ、本発明の目的は十分達成できる。
次に、本発明の好適な賦形圧力分布の例を図3に示す。図中に示した破線aは賦形面内の線であり、この線上に最大賦形圧力部を有している。さらに、この最大賦形圧力部からx方向に沿って賦形圧力が極小値を取ることなく単調に減少している。また本発明に適する他の賦形圧力分布例を図4に示す。図4では、賦形面のx方向の一端bに沿って最大圧力部が存在しており、この最大賦形圧力部からx方向に沿って、他端へ向け賦形圧力が極小値を取ることなく単調に減少している。このような賦形圧力勾配を付与することにより、賦形時にエア噛みが起きた場合でも、エア周囲の賦形圧力差により、賦形圧力の低い側にエアが移動する。すなわち、図1の場合は破線aからx軸方向に沿って、図2においては賦形面のx軸方向の一端から他端に向けそれぞれ賦形圧力勾配に沿って残存エアが排出される。また、この排出力はエア周囲の賦形圧力差に比例して大きくなる。もし、賦形面内に圧力の極小値が存在すれば、この箇所がエア溜まりとなり、転写不良の原因となる。
特に微細凹凸形状の凹形状が図1に示すように、直線もしくは曲線状に並列に延びた溝であり、複数の溝がストライプ状に並列配置されたインプリントモールドを用いるときは、賦形圧力が極小値を取る部位が賦形面内に存在しないことに加えて、溝の長手方向に沿って賦形圧力差が存在し、最大賦形圧力部が存在し、かつ、賦形圧力が極小値を持たないように加圧するのが好ましい。これは溝とシート状基材内に閉じ込められたエアが微細凹凸形状の凸部を飛び越えて他の溝に移動しにくいため、溝に沿って賦形圧力分布を形成し、エアを排除することが効率的なためである。この場合の「溝の長手方向に沿って賦形圧力の極小値を持つ」とは、前記10mm角の格子を溝の長手方向に沿って並ぶように区切り、任意の格子の平均賦形圧力をP、この格子と溝の長手方向に沿って隣り合う2つの格子の平均圧力をそれぞれP、P2としたとき、P≦PかつP≦P2が成立することをいう。つまり、「溝の長手方向に沿って賦形圧力の極小値を持たない」とは、P≦PかつP≦P2が成立するような格子が溝の長手方向に沿って存在しないことである。言い換えると、溝の長手方向に沿う全ての格子について、P<PまたはP<Pを満たすような隣接する格子が少なくとも1つ存在することである。
さらに、本発明の方法において好ましくは、加圧板の加圧力が最大となった時、賦形圧力の変化量の絶対値を最大賦形圧力部から賦形圧力勾配に沿って単調に増加させるのが良い。図5に図3の正面方向(y軸の負の方向)から賦形面圧力分布を見た図を、図6には最大賦形圧力部から賦形圧力勾配に沿って賦形圧力変化量の絶対値が単調に増加しない領域cを持つ圧力分布の例を同方向から見た図を示す。図5は本発明におけるより好適な賦形圧力分布であり、具体的に、放物線や円弧、カテナリー曲線などを用いることができるが、これらに限らず、最大賦形圧力部から賦形圧力勾配に沿って賦形圧力変化量の絶対値が単調に増加するプロファイルを持っていれば良い。
図5では、賦形面の中心にある賦形圧力最大部から端部に向け、賦形圧力勾配が急になるため、エアが端部に移動するのに応じて排出力が増加する。これにより、賦形面端部ほど、エア排出速度が上昇し、短時間の加圧でも十分にエアを排除することができる。すなわち、成形サイクルを早くすることができ、生産性向上につながる。
図6の領域cのように賦形圧力勾配に沿った賦形圧力の変化量が単調減少していると、この領域では賦形圧力勾配が緩くなるため、噛み込んだエア周辺の賦形圧力差が小さくなり、排出力が低下する。この場合でもエアを排出することができるが、エア排出に時間がかかるため、生産性を考慮すると、図5に示す賦形圧力分布にすることが好ましい。
上記の本発明に好適な賦形圧力分布は、インプリントモールドの賦形面側が凸となるような湾曲プロファイルを賦形面に与え、加圧板により中間基材を介してシート状基材とインプリントモールドを押圧することにより得ることができる。まず、賦形面に湾曲プロファイルを与える具体的方法を図7〜図9に示す。
図7は厚み分布を持たせたインプリントモールドの一例を示す。このインプリントモールドの厚みを、賦形面内の一部で厚みの最大値を取り、かつ、賦形面内に厚みの極小値を持たないように設定する。より好ましくは、インプリントモールドの単位長さあたりの厚みの変化量の絶対値が最大厚み部から厚み勾配に沿って単調に増加するように設定する。このような厚み分布を付与し、賦形面に湾曲したプロファイルを与えることにより、前述した本発明に好適な圧力分布を賦形時に得ることができる。ここで、「厚みの極小値を持つ」とは、1辺の長さ10mmで賦形面を格子状に区切ったとき、任意の格子内の平均厚みをT、この格子に接する8つの格子の平均厚みをそれぞれT〜T8としたとき、全てのxについてT≦Tが成立することをいう(ここでxは1〜8の自然数である。)。つまり、「賦形面内に厚みの極小値を持たない」とは、全てのxについてT≦Tが成立するような格子が賦形面内に存在しないことである。言い換えると、賦形面内の全ての格子について、平均厚みT<Tを満たすような隣接する格子が少なくとも1つ存在することである。最大厚み部と最小厚み部の厚み差は1μm〜500μmの範囲にあることが好ましく、さらに好ましくは1μm〜200μmである。厚み差が1μmよりも小さいと、賦形時に十分な賦形圧力勾配が得られず、エアを排出できないことがある。また、厚み差が500μmよりも大きいと、厚みが薄い箇所に十分な成形圧力がかからないため、転写不良となることがある。
図7に示したインプリントモールドの製作方法を説明する。まず、後述するモールド材料の賦形面側に所望の湾曲プロファイルを与えるため、3次元加工が可能なNC加工機に曲面のデータを入力し加工する。次に微細凹凸形状の断面と同じ形状を持つ加工バイトを用いて、該プロファイルに沿わせながら同NC加工機にて切削加工することにより微細凹凸形状を賦形面に付与する。
図7では賦形面のみに湾曲プロファイルを与えたが、賦形面の逆面、もしくはその両方に湾曲プロファイルを与えても良い。この場合は前述したNC加工機で賦形面逆面のプロファイルをまず加工し、次に賦形面を加工できるようにNC加工機のステージ上に治具を介してモールド素材をセットし、前述した方法により賦形面をNC加工機にて、湾曲形状、及び微細凹凸形状に加工すれば良い。治具は既に加工を施した賦形面逆面が曲面のため、その面を加工基準としてNC加工機のステージ上に直接設置できないので使用する。
図8は厚み一定のインプリントモールドを、賦形面と反対側に曲率中心が存在するように湾曲させ、賦形面に湾曲プロファイルを持たせたインプリントモールドの一例を示したものである。このインプリントモールドを使用してシート状基材に微細凹凸形状を賦形する際、加圧力がかかった時に湾曲したインプリントモールドが平板状になり、元の湾曲形状に戻ろうとする反発力が発生し、この反発力により、所望の圧力分布が得られる。湾曲曲率半径は120m〜60000mが好ましく、より好ましくは300m〜60000mである。曲率半径が120mよりも小さいと、成形に必要な賦形圧力が賦形面全体で得られず、転写不良となることがある。また曲率半径が60000mよりも大きいと、エアを排出するのに十分な賦形圧力勾配が得られないことがある。
図8に示したインプリントモールドは図7に示した厚み分布を持つインプリントモールドと同様、NC加工機と微細凹凸形状の断面と同じ形状を持つ加工バイトにて製作することができる。
図9は厚み分布を有するプレート7の上にインプリントモールドを置き、プレート7にインプリントモールドの賦形面逆面を密着するように設置した一例を示す図である。このプレートは面内の一部で厚みの最大値を取り、かつ、面内に厚みの極小値を持たないようになっている。より好ましくは、厚みの変化量の絶対値を最大厚み部から厚み勾配に沿って単調に増加させる。このプレートにインプリントモールドの賦形面とは逆側の面を密着して把持することにより、インプリントモールド賦形面に湾曲プロファイルを持たせるのである。ここで、「面内に厚みの極小値を持たない」とは、前述したインプリントモールドにおいて「賦形面内に厚みの極小値を持たない」と同様の意味である。プレートの最大厚み部と最小厚み部の厚み差は1μm〜500μmの範囲にあることが好ましく、さらに好ましくは1μm〜200μmである。厚み差が1μmよりも小さいと、十分な賦形圧力勾配が得られず、エアを排出できないことがある。また厚み差が500μmよりも大きいと、厚みが薄い箇所に十分な賦形圧力がかからないため、転写不良となることがある。また該プレートは必ずしもインプリントモールドの賦形面とは逆側の面に設置する必要はなく、インプリントモールドを設置した加圧板とは反対側の加圧板のシート状基材側など、賦形面に所望の賦形圧力分布を与えることができれば、どこに設置しても良い。
前述したインプリントモールドの材料としては所望のプレス時の強度、パターン加工精度、シートの離型性が得られるものであればよく、例えばステンレス、ニッケル、銅等を含んだ金属材料、シリコーン、ガラス、セラミックス、樹脂、もしくはこれらの表面に離型性を向上させるための有機膜を被覆させたものが好ましく用いられる。該インプリントモールドの微細なパターンは、シート表面に付与したい微細な凹凸パターンに対応して形成されているものである。
また、本発明の微細形状転写シートの製造方法は、賦形面に湾曲プロファイルを形成し、一対の加圧板を用いて、インプリントモールドとシート状基材を押圧し、賦形する際、中間基材を介することが不可欠である。中間基材なしでは、湾曲の頂点にのみ賦形圧力がかかるため、所望の賦形圧力分布を得られないばかりか、転写不良が発生する。これを防ぐため、中間基材を設置し、押圧時に中間基材を変形させることにより、押圧力を賦形面全体に分散させ、前述した本発明に好適な賦形圧力分布を得るのである。
また、中間基材がクッション性を有することがより好ましい。ここで「クッション性を有する」とは、加圧力が最大となった時、インプリントモールドの賦形面の湾曲形状に追従変形でき、かつ、インプリントモールドやシート状基材、中間基材自身の厚みムラを吸収できる、弾力性と可撓性を有し、その変形量に応じた反発力を発生できることをいう。この弾力性と可撓性により、インプリントモールドとシート状基材を隙間なく当接し、かつ、中間基材とシート状基材も隙間なく当接することができる。さらに生産性の見地から、繰り返し使用しても反発特性に変化がないものが好ましい。
図10は本発明に好適な中間基材の使用例を示したものである。図10において、3は上部加圧板、4は下部加圧板、5はシート状基材、6は中間基材、8はインプリントモールド、8aはインプリントモールド賦形面を示し、図10(a)は賦形前の状態、図10(b)は賦形中の状態を示す。加圧前は平板状態である中間基材6が、加圧中はインプリントモールド賦形面8aの湾曲プロファイルに応じて変形する。特に、中間基材がクッション性を有するとインプリントモールドの賦形面の湾曲形状に追従変形し易くなる。賦形圧力は中間基材6の変形量と圧縮弾性率の関係で決定し、変形量が大きい場所ほど、賦形圧力が大きい。図10(b)に示す賦形中の状態では、インプリントモールド賦形面8aの中央部で中間基材6の変形量が最大になっており、端部に行くほど小さくなっている。これは、賦形面中央部で賦形圧力が最大になり、端部に向かって賦形圧力が単調に減少していることを示す。
さらには、インプリントモールド賦形面8aの賦形面の厚み変化量の絶対値を最大厚み部から賦形勾配に沿って単調に増加するように設定しているため、賦形圧力の変化量の絶対値も最大賦形圧力部から賦形圧力勾配に沿って単調に減少しており、前述した本発明に好適な賦形圧力分布が具現化されているのである。
中間基材の圧縮弾性率は0.1MPa〜200MPaが好ましく、より好ましくは0.1MPa〜50MPaである。圧縮弾性率が0.1MPaよりも低いと、賦形面内の賦形圧力差が小さくなり、エアを排除することができなくなることがある。また、排除に要する時間が長くなり、生産性が悪化する。また、圧縮弾性率が200MPaよりも大きいと、賦形面内の賦形圧力差が大きくなりすぎるため、賦形圧力の低い部分において、十分な賦形圧力が得られず転写不良となることがある。
また、中間基材の厚みは0.1mm〜50mmの範囲が好ましく、より好ましくは0.3mm〜30mmである。厚みが0.1mmよりも薄いと、中間基材の変形量が小さくなったり、クッション性に乏しくなり、インプリントモールドの湾曲プロファイルに十分追従することができず、転写不良となることがある。また、厚みが50mmより厚いと、加圧時に中間基材の圧縮変形量が大きく、プレスのストローク距離を延長する必要があり、これは設備費の増大や製造サイクルの低下を招き非効率である。
このような特性を持つ中間基材は具体的には、天然ゴム、イソプレンゴム、スチレンゴム、ブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、クロロプレンゴム、シリコ−ンゴム、フッ素ゴム、エチレンプロピレンゴム、ウレタンゴム、ニトリルゴム、ブチルゴムなどのゴム類が好ましい。さらに、シート状基材の(ガラス転移点+50℃)において十分な耐熱性を有する高分子素材が好ましい。具体的にはシリコーンゴムやフッ素ゴムがより好ましい。
さらに中間基材は、前述したクッション性を有するため、応力を受けて変形する際に体積変化を伴うものが好ましい。これは賦形面が大面積になると、中間基材がインプリントモールドの湾曲形状に沿って中間基材が圧縮変形する際に、変形分の体積の行き場がなくなり、その結果、見かけの弾性率が非常に大きくなり、該湾曲形状に追従することが困難となるからである。このため、中間基材には体積変化性があることが好ましい。中間基材に体積変化性を付与する方法としては(a)スポンジのような内部に気泡を有する高分子素材で、好ましくは該高分子が樹脂もしくはゴムからなるもの、(b)ゴムと体積変化層を積層した複合材、(c)体積変化層にゴムを含浸した複合材 などを好適に用いることができる。また上記(a)〜(c)の任意の組み合せ構成も本発明に好適に用いることができる。また、体積変化層には、繊維類を編んだものや織ったもの、さらには不織布など、さらにはこれらを積層したものを好適に用いることができる。中間基材がこれらの部材で構成されていると、好ましいクッション性を簡便に得ることができる。
しかし、これらのゴム素材及び、ゴム複合材を直接中間基材として用いると、シート状基材との摩擦係数が大きく、滑り性が悪化することがある。この状態では、成形前のシート状基材や中間基材に弛みが生じていると、たとえ成形圧を加えても中間基材とシート状基材の摩擦のため、この弛みが解消されず、転写ムラの原因となる。これを防止するため、中間基材にエンボス加工を施し、シート状基材との接触面積を下げ、摩擦係数を下げることや、フッ素樹脂やポリエステル樹脂などシート状基材との滑り性が良いシートを上記中間基材のシート状基材と対向する面に設置することが好ましい。さらに、中間基材は1種類である必要はなく、上記ゴム類、フッ素樹脂、ポリエステル樹脂などを自由に組み合わせて用いることができる。
上記構成により得られた賦形圧力分布を確かめるには感圧紙をプレスする方法や、圧力に応じ塑性変形するシートをプレスし、プレス後の厚み変化量を測定する方法がある。
本発明の上述した具体的方法は以下に説明する本発明の微細形状転写シートの製造装置により、行うことができる。すなわち、本発明のインプリントモールドと、/中間基材と、/該インプリントモールドと該中間基材とをさらに両側から挟むように配置された一対の加圧板と、/該インプリントモールド、該中間基材及び該一対の加圧板を加圧する加圧手段とを少なくとも備えた微細形状転写シートの製造装置である。
また、本発明の上述した別の具体的方法は以下に説明する本発明の微細形状転写シートの製造装置により、行うことができる。すなわち、微細凹凸形状の賦形面を有するインプリントモールドと、/中間基材と、/該インプリントモールドと該中間基材とをさらに両側から挟むように配置された加圧板と、/該インプリントモールド、該中間基材及び該一対の加圧板を加圧する加圧手段と、/該一対の加圧板の少なくとも一方の加圧板の加圧方向側の面に設置された凸形状のプレートとを少なくとも備え、該プレートが厚み分布を有し、プレートの面内に最大厚み部を有し、かつ面内に厚みの極小値を取る部位が存在しない微細形状転写シートの製造装置である。
図11は本発明の微細形状転写シートの製造方法を実施するのに好適に用いられる本発明の微細形状転写シート製造装置の一実施態様例をモデル的に示した概略正面図である。
図11(a)はインプリントモールドに厚み分布を与えて賦形面に湾曲形状を付与した微細形状転写シートの製造装置、図11(b)は厚み分布を与えたプレートを加圧板に設置することにより、インプリントモールドの賦形面に湾曲形状を付与した微細形状転写シートの製造装置である。図11において、1は微細形状転写シート製造装置、2はプレス装置、3は上部加圧板、4は下部加圧板、5はシート状基材、6は中間基材、7はプレート、8はインプリントモールド賦形面、8aはインプリントモールド賦形面である。
図11(b)においては、厚み分布を与えたプレートをインプリントモールドと下部加圧板の間に設置したが、賦形面に前述した所望の賦形圧力分布を付与することができれば、上部加圧板と中間基材の間などに設置しても構わない。
プレスは、図示していない油圧ポンプとオイルタンクに接続されており、油圧ポンプにより上部加圧板3の昇降動作及び、加圧力の制御を行う。また、本実施形態では油圧方式のプレスシリンダーを適用しているが、加圧力を制御できる機構であれば、いかなるものでもよい。
プレス圧力範囲は0.1MPa〜20MPaの範囲で制御できることが好ましく、さらに好ましくは1MPaで〜10MPaの範囲で制御できることが望ましい。プレス圧力が0.1MPaより小さいと、微細凹凸形状を転写するのに十分な圧力が得られないことがある。プレス圧力が20MPaより大きいと、設備が過大になり、生産性が悪化する。
また、本発明に用いられるインプリントモールドには温調用の熱媒回路が設けており、図面には記載されていない熱媒温調ポンプから熱媒もしくは冷媒が供給され、該インプリントモールドの加熱及び冷却が可能となっている。熱媒は100℃以上に加熱された水を循環させ、効率よく伝熱できるように、管内のレイノルズ数が1.0×10〜12×10であるのが好ましい。
本発明の方法、装置に適用されるシート状基材はガラス転移温度Tgが好ましくは40〜180℃のものであり、より好ましくは50℃〜160℃であり、最も好ましくは50℃〜120℃である熱可塑性樹脂を主たる成分とするシートである。ガラス転移温度Tgが40℃を下回ると成形品の耐熱性が低くなり、形状が経時変化するため好ましくない。またTgが180℃を上回ると成形温度を高くせざるを得ないものとなり、エネルギー的に非効率であり、またシートの加熱、冷却時の体積変動が大きくなり、シートがインプリントモールドに噛み込んで離型できなくなったり、また離型できたとしてもパターンの転写精度が低下したり、部分的にパターンが欠けて欠点となる場合がある等の理由により好ましくない。
本発明に適用される熱可塑性樹脂を主たる成分としたシート状基材は、具体的に好ましくは、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2、6−ナフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリブテン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂ポリエーテル系樹脂、ポリエステルアミド系樹脂、ポリエーテルエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、あるいはポリ塩化ビニル系樹脂などからなるものである。このなかで共重合するモノマー種が多様であり、かつ、そのことによって材料物性の調整が容易であるなどの理由から特にポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、アクリル系樹脂またはこれらの混合物から選ばれる熱可塑性樹脂から主として形成されていることが好ましく、上述の熱可塑性樹脂が50重量%以上からなることがさらに好ましい。
本発明に適用するシート状基材は上述の樹脂の単体からなるシートであっても構わないし、複数の樹脂層からなる積層体であってもよい。この場合、単体シートと比べて、易滑性や耐摩擦性などの表面特性や、機械的強度、耐熱性を付与することができる。このように複数の樹脂層からなる積層体とした場合はシート全体が前述の用件を満たすことが好ましいが、シート全体としては前記要件を満たしていなくても、少なくとも前述の要件を満たす層が表層に形成されていれば容易に表面を形成することができる。
また、本発明に適用するシート状基材の好ましい厚さ(厚み、膜厚)としては、ロール状に巻かれたシートを間欠的に成形するのであれば、0.01〜1mmの範囲であることが好ましい。0.01mm未満では成形するのに十分な厚みがなく、また1mmを越えるとシートの剛性により搬送が一般に難しい。また、枚葉状のシートを間欠的に成形するのであれば、搬送中のたわみを抑制するため、0.3mm以上、より好ましくは1mm以上である。
図12は図11に示した本発明の微細形状転写シートの製造装置を用いて、加圧板の加圧力が最大となった時の状態をモデル的に示した正面概略図である。インプリントモールド賦形面の湾曲プロファイルに従い、賦形時に中間基材が変形することにより、所望の賦形圧力分布が得られるのは前述した通りである。
以上では熱可塑性樹脂をシート状基材とし、インプリントモールド及びシート状基材を熱することにより成形する方法、装置について述べたが、本発明は光硬化性樹脂シート状基材とした公知の微細形状転写シートの製造方法及び製造装置にも適用することができる。
以下、実施例、参考例に基づいて本発明の方法、装置の具体的構成、効果について説明をする。
以下の実施例、参考例では、それぞれにおいて(1)〜(10)に示した仕様のインプリントモールドやプレス装置、加工条件で微細形状の付与加工を行い、微細形状転写シートの製造を行ったものである。
参考例1〕
(1)インプリントモールドサイズ:500mm(シート幅方向)×800mm(シート走行方向)×30mm(厚み)
(2)インプリントモールド材質:銅
(3)インプリントモールド賦形面の微細形状:ピッチ50μm、凸幅25μm、凸部高さ50μmでシート走行方向から見たときの断面形状が半楕円の溝で、該溝がストライプ状になっているものを用いた。
(4)プレス装置:最大3000kNまで加圧できるもので、加圧は油圧ポンプによってなされる。
(5)温調:インプリントモールドに温調用熱媒路が設けられており、125℃の水により加熱、50℃の水により冷却
(6)シート状基材:ポリエチレンテレフタレートからなり、厚みが120μm幅は520mmである。
(7)中間基材:厚さ300μmのシリコンゴムと200μmのポリエステル系の樹脂でできた平滑フィルムを重ね合わせ、上部加圧板に貼り付けた。このとき、平滑フィルムがシート状基材と接する側となる順序で重ね合わせた。
(8)インプリントモールド設置方法:インプリントモールド下に図13(a)に示す凸プレートを設置し、該プレートにインプリントモールドの賦形面の逆側面を密着させて固定した。
(9)圧力に応じて塑性変形量が変わるフィルムをプレスし、プレス後のフィルムの厚みを10mm間隔で測定した。プレス時にインプリントモールド賦形面の溝の長手方向となっていた方向(以下、溝の長手方向とする)に、1辺10mmの格子が並ぶように測定した。溝の長手方向の圧力分布を調査すると図13(b)に示す圧力分布であった。すなわち、賦形面中心部に最大圧力部を持ち、賦形面内には圧力極小部はなかったが、圧力勾配に沿った圧力の減少量は単調増加していなかった。
(10)上記の装置を用い以下のように成形を行った。あらかじめ、樹脂シートをインプリントモールド上に置く。次にインプリントモールドに温調水を通水し、インプリントモールド温度が105℃になるまで加熱した後、中間基材を取り付けた上部加圧板を下降させて、シートのプレスを開始する。プレスは1700kNで3秒実施した。またプレス中は温調水の通水を停止している。その後、プレスを継続したまま冷却水をインプリントモールドに流し、インプリントモールド温度が70℃になった時冷却を停止し、プレスを解放する。その後、シートをインプリントモールドから離型する。
上記の動作を繰返し、10枚の成形シートを作成した。成形面を目視で評価した結果、成形面の95%の領域で良好な転写が得られたが、5%の領域では若干のエア噛み込みや転写不良が発生していた。
参考例2〕
加圧板でプレスする時間を15秒間とする以外は参考例1と同様にして10枚の成形シートを作成した。成形面を目視で評価した結果、エア噛み込みや転写不良がなく、全面均一に転写された成形シートを得た。
参考例3〕
(1)インプリントモールドサイズ: 参考例1と同じ。
(2)インプリントモールド材質:参考例1と同じ。
(3)微細形状:参考例1と同じ。
(4)プレス装置:参考例1と同じ。
(5)温調:参考例1と同じ。
(6)シート状基材:参考例1と同じ。
(7)中間基材:参考例1と同じ。
(8)インプリントモールド設置方法:インプリントモールド下に放物面を持った凸プレートを設置し、該プレートにインプリントモールド非賦形面を密着させて固定した。
(9)圧力に応じて塑性変形量が変わるフィルムをプレスし、プレス後のフィルムの厚みを10mm間隔で測定した。プレス時にインプリントモールド賦形面の溝の長手方向となっていた方向(以下、溝の長手方向とする)に、1辺10mmの格子が並ぶように測定した。溝の長手方向の圧力分布を調査すると図5に示す圧力分布であった。すなわち、賦形面中心部に最大圧力部を持ち、賦形面内には圧力極小部が存在せず、圧力勾配に沿った圧力の減少量が単調増加していた。
(10)上記の装置を用い、参考例1と同じ加工条件で成形を行った。
上記の動作を繰返し、10枚の成形シートを作成した。成形面を目視で評価した結果、エア噛み込みや転写不良がなく、全面均一に転写された成形シートを得た。
参考例4〕
(1)インプリントモールドサイズ: 参考例1と同じ。
(2)インプリントモールド材質:参考例1と同じ。
(3)微細形状:ピッチ25μm、凸部高さ12.5μm、シート走行方向から見たときの断面形状が直角二等辺三角形の溝で、該溝がストライプ状になっているものを用いた。
(4)プレス装置: 参考例1と同じ。
(5)温調: 参考例1と同じ。
(6)シート状基材:ポリエチレンテレフタレートからなり、厚みが100μm幅は520mmである。
(7)中間基材:厚さ5mmのエチレンプロピレンゴムに厚さ200μmのフッ素樹脂(FEP)を張り合わせたものを上部加圧板に貼り付けた。このとき、フッ素樹脂がシート状基材と接する側となる順序で重ね合わせた。
(8)インプリントモールド設置方法:インプリントモールド下に放物面を持った凸プレートを設置し、該プレートにインプリントモールド非賦形面を密着させて固定した。
(9)圧力に応じて塑性変形量が変わるフィルムをプレスし、プレス後のフィルムの厚みを10mm間隔で測定した。プレス時にインプリントモールド賦形面の溝の長手方向となっていた方向(以下、溝の長手方向とする)に、1辺10mmの格子が並ぶように測定した。溝の長手方向の圧力分布を調査すると図5に示す圧力分布であった。すなわち、賦形面中心部に最大圧力部を持ち、賦形面内には圧力極小部が存在せず、圧力勾配に沿った圧力の減少量が単調増加していた。
(10)上記の装置を用い、参考例1と同じ加工条件で成形を行った。
上記の動作を繰返し、10枚の成形シートを作成した。成形面を目視で評価した結果、エア噛み込みや転写不良がなく、全面均一に転写された成形シートを得た。
〔実施例5〕
(1)インプリントモールドサイズ: 参考例1と同じ。
(2)インプリントモールド材質:参考例1と同じ。
(3)微細形状:参考例4と同じ
(4)プレス装置: 参考例1と同じ。
(5)温調: 参考例1と同じ。
(6)シート状基材:参考例4と同じ
(7)中間基材:全体が耐熱性ナイロン織布にフッ素ゴムを含浸した厚さ2mmのクッション材にフッ素樹脂を積層した。このとき、フッ素樹脂がシート状基材と接する側となる順序で重ね合わせた。
(8)インプリントモールド設置方法:インプリントモールド下に放物面を持った凸プレートを設置し、該プレートにインプリントモールド非賦形面を密着させて固定した。
(9)圧力に応じて塑性変形量が変わるフィルムをプレスし、プレス後のフィルムの厚みを10mm間隔で測定した。プレス時にインプリントモールド賦形面の溝の長手方向となっていた方向(以下、溝の長手方向とする)に、1辺10mmの格子が並ぶように測定した。溝の長手方向の圧力分布を調査すると図5に示す圧力分布であった。すなわち、賦形面中心部に最大圧力部を持ち、賦形面内には圧力極小部が存在せず、圧力勾配に沿った圧力の減少量が単調増加していた。
(10)上記の装置を用い、参考例1と同じ加工条件で成形を行った。
上記の動作を繰返し、10枚の成形シートを作成した。成形面を目視で評価した結果、エア噛み込みや転写不良がなく、全面均一に転写された成形シートを得た。
参考例1〜4、実施例5の結果を表1に示す。参考例1および2の圧力分布では3秒のプレス時間では十分エアを排出することができなかったが、参考例2でプレス時間を15秒に延長すれば、完全にエアが排出され、均一成形が可能になった。これは、圧力の変化量が減少している部分でエアの排出速度が低下するため、完全なエアの排出には時間を要する為である。参考例3〜4、実施例5の圧力分布では、圧力勾配に沿った圧力の変化量が単調増加しているため、エア排出速度が速くなり、3秒のプレス時間で噛み込んだエアを完全に排出することができた。
〔比較例1〕
参考例3の装置と同じ装置を用いて、ただし、インプリントモールドはプレートを介さずに、直接下加圧板に設置し、参考例3と同一の条件で10枚の成形シートを作成したが、全てのシートにおいてエア噛みによる成形不良が発生した。圧力に応じて塑性変形量が変わるフィルムをプレスした。プレス時にインプリントモールド賦形面の溝の長手方向となっていた方向(以下、溝の長手方向とする)に、1辺10mmの格子が並ぶように測定した。溝の長手方向のプレス後のフィルムの厚みを10mm間隔で測定し、圧力分布を調査すると図14に示す圧力分布であり、成型時の賦形面に圧力勾配が存在なかった。このため、噛み込んだエアが排除されなかったことが成形不良の原因である。
〔比較例2〕
参考例3の装置と同じ装置を用いて、ただし、インプリントモールドは、賦形面外の下側に高さの異なる円柱状のゴムを設置することにより、賦形面中央部を突出させ、プレス開始時に賦形面中央部から順次プレスされるように下加圧板に固定した。この装置で参考例3と同一の条件で10枚の成形シートを作成したが、全てのシートにおいてエア噛みによる成形不良が発生した。圧力に応じて塑性変形量が変わるフィルムをプレスし、プレス後のフィルムの厚みを10mm間隔で測定した。プレス時にインプリントモールド賦形面の溝の長手方向となっていた方向(以下、溝の長手方向とする)に、1辺10mmの格子が並ぶように測定した。溝の長手方向の圧力分布を調査すると図15に示す圧力分布であり、ゴムの間隙において圧力が極小値を取っていた。圧力極小部に、噛み込んだエアが留まったことが成形不良の原因である。
Figure 0005422954
図1は、本発明にかかる微細形状転写インプリントモールドの一実施様態のうち、微細形状がストライプ状になったインプリントモールドをモデル的に説明する概略図である。 図2は、本発明にかかる微細形状転写インプリントモールドの一実施様態のうち、微細形状が2次元的に配置されたインプリントモールドをモデル的に説明する概略図である。 図3は、本発明にかかる微細形状転写シート方法の一実施様態のうち、賦形面のx軸中心線上に最大圧力を持ち、賦形面内に圧力の極小値を持たない圧力分布をモデル的に示した概略図である。 図4は、本発明にかかる微細形状転写シート方法の一実施様態のうち、賦形面のx軸一端部線上に最大圧力を持ち、賦形面内に圧力の極小値を持たない圧力分布をモデル的に示した概略図である。 図5は、図3の正面図を示した概略図である。 図6は、圧力変化量が圧力勾配に従い単調増加しない一例をモデル的に示した概略図である。 図7は、本発明にかかる微細形状転写インプリントモールドの一実施態様のうち、インプリントモールドに厚み分布を持たしたものをモデル的に説明する概略図である。 図8は、本発明にかかる微細形状転写インプリントモールドの一実施態様のうち、インプリントモールドを湾曲させたものをモデル的に説明する概略図である 図9は、本発明にかかる微細形状転写方法の一実施態様のうち、インプリントモールドの賦形面逆側に厚み分布を持った凸プレートを置いたものをモデル的に説明する概略図である。 図10は本発明にかかる微細形状転写方法の一実施態様のうち、中間基材の変形の概要をモデル的に説明した正面図である。 図11は本発明にかかる微細形状転写シート製造装置の一実施態様例をモデル的に示す概略正面図である。 図12は、図11において、賦形面における加圧力が最大となったときの状態をモデル的に示した正面概略図である。 図13は参考例1及び2で使用した金型設置状態をモデル的に示す概略正面図である。 図14は比較例1の圧力分布をモデル的に示す概略図である。 図15は比較例2の圧力分布をモデル的に示す概略図である。
符号の説明
1:微細形状転写シート製造装置
2:プレス装置
3:上部加圧板
4:下部加圧板
5:シート状基材
6:中間基材
7:プレート
8:インプリントモールド
8a:インプリントモールド賦形面

Claims (3)

  1. 微細凹凸形状からなる賦形面を有するインプリントモールドと中間基材との間にシート状基材を設置し、一対の加圧板により該インプリントモールドと該中間基材とを該シート状基材方向に加圧することにより、該シート状基材表面に微細凹凸形状を賦形する微細形状転写シートの製造方法であって、
    該中間基材が繊維層にゴムを含浸した複合材からなるクッション性を有する中間基材であり、
    該インプリントモールドの微細凹凸形状の凹形状が並列に並んだ複数の溝であり、さらに、該加圧板の加圧力が最大となった時、該賦形面内において該溝の長手方向に沿って賦形圧力差が存在し、かつ、該賦形面内に最大賦形圧力部が存在し、かつ、賦形圧力が極小値を取る部位が該賦形面内に存在しないように加圧する微細形状転写シートの製造方法。
  2. 前記最大賦形圧力部から賦形圧力が減少する方向に沿って、賦形圧力勾配の絶対値が単調増加するように加圧する請求項に記載の微細形状転写シートの製造方法。
  3. 賦形前に前記シート状基材及び前記インプリントモールドを加熱する請求項1または2のいずれかに記載の微細形状転写シートの製造方法。
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