JP5347617B2 - 微細形状転写シートの製造方法及び製造装置 - Google Patents

微細形状転写シートの製造方法及び製造装置 Download PDF

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本発明は、微細形状が転写されて両面に該微細な立体形状を有するシートの製造方法、装置に関する。
樹脂シートなどの両面に微細な凹凸などの立体形状を成形する方法として、ジュール熱により2つの加熱板を加熱し、それぞれの加熱板と基材の間にそれぞれインプリントモールドを配設し、これらを一対の加圧板で押圧することにより、凹凸立体形状を該基材に転写させる方法が知られている(特許文献1)。しかし、この装置では、加熱板やインプリントモールド、基材を完全に均一な厚みで製作することは非常に困難であり、厚みムラが存在すると考えられ、これに起因する成型圧力ムラにより、均一な成型品を得られない問題があった。
この成形圧力ムラへの対策として、加熱板とインプリントモールド間に弾性体を設置し、厚みムラを吸収させる方法が知られている(特許文献2)。しかしこの方法では弾性体を介してインプリントモールドを加熱するため、加熱に時間を要し、生産性が悪化する問題があった。
また、特許文献1、特許文献2の双方において、エア噛み不良を防止するため、転写成形を減圧室とし、減圧したのち成形を開始する工夫がなされている。しかし、減圧工程に時間を要し、特に基材が大面積になると、減圧室容積も大きくなり、著しく生産性が悪化するという問題があった。
エア噛みを防止するその他の方法としては、加圧板の当接開始時に転写板を反発力の異なるバネを利用した保持部材により、樹脂板に対して突出するように屈曲させて当接することにより、転写面の中央近傍からエアを排除しつつ成形する方法が知られている(特許文献3)。
特開2004−074775号公報 特開2007−230241号公報 特開2006−035573号公報
しかしながら、特許文献3の技術では、プレス加圧力が最大となった時の転写面の圧力を均一にすることを目的に、保持部材が転写板の非転写部に設置されている。この構成では転写面が大面積になった時、保持部材の間隙が広くなるため、転写面にたるみが生じ、そのたるみ部に成型時、エア噛みを生じる問題がある。さらに、保持部材に弾性力差が設けられているため、転写面に圧力分布が存在し、保持部材間隙にて圧力の極小部が存在すると予測される。このため、たるみ部に噛み込んだエアの一部はこの圧力極小部に残留し、転写不良となる問題がある。噛み込んだエアのうち、成型時に排除されるものがあるとしても、積極的にエアを排除する圧力分布が賦形面に与えられていないため、エアの排除には長時間押圧する必要があり、サイクルタイムが長くなり、生産性を悪化させる問題がある。
本発明の目的は上述したような点に鑑み、基材シートの両面にインプリントモールドの微細凹凸形状を賦形する微細形状転写シートの製造方法及び装置において、大面積の基材シートの両面に賦形する場合においてもインプリントモールドと基材シートの間に噛み込んだエアを成形中に賦形面外に排除し、転写不良を生じることがなく、所望どおりの微細凹凸形状が表面に形成されたシートを高効率で製造する方法と製造装置を提供することである。
上述した目的を達成する本発明の微細形状転写シートの製造方法は以下の(1)の方法から成るものである。
(1) 微細凹凸形状からなる賦形面を有する第1のインプリントモールドと微細凹凸形状からなる賦形面を有する第2のインプリントモールドとを、それぞれの賦形面が向かい合うように並べ、該第1のインプリントモールドと該第2のインプリントモールドとの間に、熱可塑性樹脂からなる基材シートを設置し、一対の加圧板により該第1のインプリントモールドと該第2のインプリントモールドとを該基材シート方向に同時に加圧することにより、該基材シートの両面に微細凹凸形状を賦形する微細形状転写シートの製造方法であって、
前記第1のインプリントモールドがクッション性を有するものであり、
前記加圧板の加圧力が最大となった時、前記第1のインプリントモールドと前記第2のインプリントモールドのそれぞれの賦形面内において賦形圧力差を存在させ、該賦形面内に最大賦形圧力部を作り、賦形圧力が極小値を取る部位が該賦形面内に存在しないように賦形する微細形状転写シートの製造方法。
また、本発明の微細形状転写シートの製造方法は好ましくは以下の(2)〜(8)の方法からなるものである。
(2) 前記加圧板による加圧前に、前記第2のインプリントモールドのみをその内部より加熱する前記(1)の微細形状転写シートの製造方法。
(3) 前記第2のインプリントモールドの賦形面とは反対側の面に、少なくとも一方の面が凸形状に湾曲したプレートを設置し、該第2のインプリントモールドの賦形面を前記基材シートに向けて凸状に湾曲させて加圧し、前記第1のインプリントモールドを圧縮して前記賦形圧力差を作る前記(1)あるいは(2)の微細形状転写シートの製造方法。
(4) 前記第2のインプリントモールド自体の厚みを変化させることにより、該第2のインプリントモールドの賦形面を前記基材シートに向けて凸状に湾曲させて加圧し、前記第1のインプリントモールドを圧縮して前記賦形圧力差を作る前記(1)あるいは(2)の微細形状転写シートの製造方法。
(5) 前記第1のインプリントモールドが、クッション性を有する部材に微細凹凸形状を有する転写シートとが積層されたものである前記(1)〜(4)のいずれかの微細形状転写シートの製造方法。
(6) 前記転写シートが樹脂である前記(5)の微細形状転写シートの製造方法。
(7) 前記第1のインプリントモールドが、クッション性を有する部材の表面に微細凹凸形状が形成されたものである前記(1)〜(4)のいずれかに記載の微細形状転写シートの製造方法。
(8) 前記クッション性を有する部材が、(a)内部に気泡を有する高分子素材、(b)ゴム層と繊維層とを積層した複合材、及び(c)繊維層にゴムを含浸した複合材からなる群より選ばれる少なくとも1種からなる前記(5)〜(7)のいずれかの微細形状転写シートの製造方法。
上述した目的を達成する本発明の微細形状転写シートの製造装置は以下の(9)の構成から成るものである。
(9) 微細凹凸形状からなる賦形面を有し、それぞれの賦形面が向かい合うように並べられた第1のインプリントモールドと第2のインプリントモールドと、該第1のインプリントモールドと該第2のインプリントモールドとを両側から挟むように配置された一対の加圧板と、該第1のインプリントモールドと該第2のインプリントモールドと該一対の加圧板とを加圧する加圧手段とを少なくとも備え、該第1のインプリントモールドと該第2のインプリントモールドとの間に設置される熱可塑性樹脂からなる基材シートの両面に微細凹凸形状を賦形する微細形状転写装置であって、
前記第1のインプリントモールドがクッション性を有するものであり、
前記第2のインプリントモールドの賦形面を前記基材シートに向けて凸状に湾曲させる手段とを備えることにより、前記加圧板の加圧力が最大となった時、前記第1のインプリントモールドと前記第2のインプリントモールドのそれぞれの賦形面内において賦形圧力差を存在させ、該賦形面内に最大賦形圧力部を作り、賦形圧力が極小値を取る部位が該賦形面内に存在しないように賦形する微細形状転写シートの製造装置。
























また、本発明の微細形状転写シートの製造装置は好ましくは以下の(10)〜(16)の構成からなるものである。
(10) 前記第2のインプリントモールドが、その内部に加熱する手段を備えたものである前記(9)に記載の微細形状転写シートの製造装置。
(11) 前記第2のインプリントモールドの賦形面と反対側の面に、少なくとも一方の面が凸形状に湾曲したプレートを備え、該プレートが厚み分布を有し、プレートの面内に最大厚み部を有し、かつ面内に厚みの極小値を取る部位が存在しない前記(9)あるいは(10)の微細形状転写シートの製造装置。
(12) 前記第2のインプリントモールドが賦形面内で厚み分布を有し、該賦形面内に最大厚み部を有し、かつ該賦形面内に厚みの極小値を持たない前記(9)あるいは(10)の微細形状転写シートの製造装置。
(13) 前記第1のインプリントモールドが、クッション性を有する部材と微細凹凸形状を有する転写シートとが積層されたものである前記(9)〜(12)のいずれかの微細形状転写シートの製造装置。
(14) 前記転写シートが樹脂である前記(13)の微細形状転写シートの製造装置。
(15) 前記第1のインプリントモールドが、クッション性を有する部材の表面に微細凹凸形状がされたものである前記(9)〜(12)のいずれかの微細形状転写シートの製造装置。
(16) 前記クッション性を有する部材が、(a)内部に気泡を有する高分子素材、(b)ゴム層と繊維層とを積層した複合材、及び(c)繊維層にゴムを含浸した複合材からなる群より選ばれる少なくとも1種からなる前記(13)〜(15)のいずれかの微細形状転写シートの製造装置。
(i)前記(1),(9)に記載の本発明の微細凹凸形状転写シートの製造方法及び装置によれば、第1のインプリントモールドとしてクッション性を有するものを適用し、かつ少なくとも加圧板の加圧力が最大となった時に賦形面内において賦形圧力差を存在させ、該賦形面内に最大圧力部を作り、かつ、圧力が極小値を取る部位が該賦形面内に存在しないように加圧することで、この賦形面内の圧力差を利用して、賦形時に基材シートとインプリントモールドの間に噛み込んだ残留エアを賦形面外に排除することにより、エア噛み不良がなくなり、均一で高い精度の転写成形状態を得ることができるようになる。
(ii)特に、前記(2),(10)に記載の本発明の微細凹凸形状転写シートの製造方法及び装置によれば、第2のインプリントモールドのみを内部より直接加熱することにより、第1のインプリントモールドに対する特別な加熱手段が不要となり、設備投資の削減、使用エネルギー量の減少が可能となる。
(iii)前記(3),(4),(11),(12)に記載の本発明の微細凹凸形状転写シートの製造方法及び装置により、第2のインプリントモールドの賦形面を湾曲させ、その湾曲面にクッション性を持つ第1のインプリントモールドを基材シートを介して押圧することにより、第1のインプリントモールドが前記賦形面の湾曲に沿って加圧板の押圧力で圧縮させられ、その圧縮量に応じた圧力を賦形面に与えることで、所望の圧力分布を簡便に得ることができ、エア噛み不良がなくなり、かつ、生産性向上をはかることができる。
(iv)前記(5)(13)に記載の本発明の微細凹凸形状転写シートの製造方法及び装置によれば、第1のインプリントモールドをクッション性を有する部材と微細凹凸形状を有する転写シートとすることにより、クッション材と転写シートを別々に最適化することができるようになり、所望の圧力分布と所望の微細凹凸形状を簡便に得ることができる。
(v)特に、前記(6)(14)に記載の本発明の微細凹凸形状転写シートの製造方法及び装置によれば、樹脂の可撓性により、クッション性を有する部材のクッション特性を変化させることなく賦形することができるようになる。さらに転写シートの製造が容易になるため、第1のインプリントモールドを安価に製造することができる。
図1は、本発明にかかる微細形状転写インプリントモールドの一実施様態のうち、微細形状がストライプ状になったインプリントモールドをモデル的に説明する概略図である。 図2は、本発明にかかる微細形状転写インプリントモールドの一実施様態のうち、微細形状が2次元的に配置されたインプリントモールドをモデル的に説明する概略図である。 図3は、本発明にかかる微細形状転写シート方法の一実施様態のうち、賦形面のx軸中心線上に最大賦形圧力を持ち、賦形面内に賦形圧力の極小値を持たない賦形圧力分布をモデル的に示した概略図である。 図4は、本発明にかかる微細形状転写シート方法の一実施様態のうち、賦形面のx軸一端部線上に最大賦形圧力を持ち、賦形面内に賦形圧力の極小値を持たない賦形圧力分布をモデル的に示した概略図である。 図5は、図3の正面図を示した概略図である。 図6は、圧力変化量が賦形圧力勾配に従い単調増加しない一例をモデル的に示した概略図である。 図7は本発明にかかる微細形状転写方法の一実施態様のうち、第1のインプリントモールドが、第2のインプリントモールド賦形面の形状に沿って変形する様子の概要をモデル的に説明した正面図である。 図8は本発明にかかる第2のインプリントモールドをモデル的に説明する概略図である。 図9は本発明にかかる第2のインプリントモールドと加熱装置、冷却装置の接続をモデル的に説明した概略図である。 図10は本発明にかかる微細形状転写シート製造装置の一実施態様例をモデル的に示す概略正面図である。 図11は、本発明にかかる微細形状転写方法の一実施態様のうち、インプリントモールドの賦形面逆側に厚み分布を持った凸プレートを置いたものをモデル的に説明する概略図である。 図12は、本発明にかかる微細形状転写インプリントモールドの一実施態様のうち、インプリントモールドに厚み分布を持たしたものをモデル的に説明する概略図である。 図13は、図10において、賦形面における加圧力が最大となったときの状態をモデル的に示した正面概略図である。 図14は比較例1の賦形圧力分布をモデル的に示す概略図である。 図15は比較例2の賦形圧力分布をモデル的に示す概略図である。
以下、図面などを参照しながら、さらに詳しく本発明の微細形状転写シートの製造方法について説明する。
本発明の微細形状転写シートの製造方法は、微細凹凸形状からなる賦形面を有する第1のインプリントモールドと第2のインプリントモールドとを、それぞれの賦形面が向かい合うように並べ、該第1のインプリントモールドと該第2のインプリントモールドとの間に、熱可塑性樹脂からなる基材シートを設置し、一対の加圧板により該第1のインプリントモールドと該第2のインプリントモールドとを該基材シート方向に同時に加圧することにより、該基材シートの両面に微細凹凸形状を賦形する微細形状転写方法であって、
前記第1のインプリントモールドが構成体としてクッション性を有する部材を含み、
前記加圧板の加圧力が最大となった時、前記第1のインプリントモールドと前記第2のインプリントモールドのそれぞれの賦形面内において賦形圧力差を存在させ、該賦形面内に最大賦形圧力部を作り、賦形圧力が極小値を取る部位が該賦形面内に存在しないように賦形することを特徴とする方法である。
ここで「クッション性を有する」とは、加圧力が最大となった時、後述する第2のインプリントモールドの賦形面の湾曲形状に追従変形できる、かつ、第2のインプリントモールドや基材シート、第1のインプリントモールド自身の厚みムラを吸収できる、弾力性と可撓性を有し、その変形量に応じた反発力を発生できることをいう。この弾力性と可撓性により、第2のインプリントモールドと基材シートを隙間なく当接し、かつ、第1のインプリントモールドと基材シートも隙間なく当接することができる。さらに生産性の見地から、繰り返し使用しても反発特性に変化がないものが好ましい。
また、「加圧力が最大となった時」とは一対の加圧板によりインプリントモールドに基材シートを賦形するプレス機械のプレス力が最大になる時をいう。
また、「賦形面内の一部」とは、賦形面内の一点だけでなく、連続する線状であっても良い。
また、「微細凹凸形状」とは、高さ10nm〜1mmの凸形状がピッチ10nm〜1mm、より好ましくは高さ1μm〜100μmの凸形状がピッチ1μm〜100μmで周期的に繰り返された形状のことを示し、例えば、図1に示すような線状に伸びる三角形状の溝が複数個ストライプ状に並んでいるものである。図1には断面が三角形状の溝を示したが、三角形状に限らず、半円形状もしくは半楕円形状などでも本発明に用いることができる。さらには溝が直線である必要はなく、曲線のストライプパターンでも良い。「微細凹凸形状」は他にも図2に示すようなエンボス形状に代表される2次元的にパターンを持った形状も含まれる。図2には凸形状が半円形のエンボス形状を示したが円錐や直方体などのその他の凸形状も本発明に用いることができる。
また、「賦形圧力が極小値を取る」とは、1辺の長さ10mmで賦形面を格子状に区切ったとき、任意の格子内の平均圧力をP、この格子に接する8つの格子の平均圧力をそれぞれP〜P8としたとき、全てのxについてP≦Pが成立することをいう(ここでxは1〜8の自然数である。)。つまり、「賦形圧力が極小値を取る部位が賦形面内に存在しない」とは、全てのxについてP≦Pが成立するような格子が賦形面内に存在しないことである。言い換えると、賦形面内の全ての格子について、平均圧力P<Pを満たすような隣接する格子が少なくとも1つ存在することである。なお、10mm間隔で測定したときの賦形圧力分布が極小値を取らなければ、本発明の目的は十分達成できる。
特に微細凹凸形状の凹形状が図1に示すような直線もしくは曲線状に並列に延びた溝であり、複数の溝がストライプ状に並列配置されたインプリントモールドを用いるときは、賦形圧力が極小値を取る部位が賦形面内に存在しないことに加えて、溝の長手方向に沿って賦形圧力差が存在し、最大賦形圧力部が存在し、かつ、賦形圧力が極小値を持たないように加圧するのが好ましい。これは溝と基材シート内に閉じ込められたエアが微細凹凸形状の凸部を飛び越えて他の溝に移動しにくいため、溝に沿って賦形圧力分布を形成し、エアを排除することが効率的なためである。この場合の「溝の長手方向に沿って賦形圧力の極小値を持つ」とは、前記10mm角の格子を溝の長手方向に沿って並ぶように区切り、任意の格子の平均圧力をP、この格子と溝の長手方向に沿って隣り合う2つの格子の平均圧力をそれぞれP、P2としたとき、P≦PかつP≦P2が成立することをいう。つまり、「溝の長手方向に沿って賦形圧力の極小値を持たない」とは、P≦PかつP≦P2が成立するような格子が溝の長手方向に沿って存在しないことである。言い換えると、溝の長手方向に沿う全ての格子について、P<PまたはP<Pを満たすような隣接する格子が少なくとも1つ存在することである。
本発明の好適な賦形圧力分布の具体例を図3に示す。図中に示した破線aは賦形面内の線であり、この線上に最大賦形圧力部を有している。さらに、この最大賦形圧力部からx方向に沿って賦形圧力が極小値を取ることなく単調に減少している。また本発明に適する他の賦形圧力分布例を図4に示す。図4では、賦形面のx方向の一端bに沿って最大賦形圧力部が存在しており、この最大賦形圧力部からx方向に沿って、他端へ向け賦形圧力が極小値を取ることなく単調に減少している。このような賦形圧力勾配を付与することにより、賦形時にエア噛みが起きた場合でも、エア周囲の賦形圧力差により、賦形圧力の低い側にエアが移動する。すなわち、図3の場合は破線aからx軸方向に沿って、図4においては賦形面のx軸方向の一端から他端に向けそれぞれ賦形圧力勾配に沿って残存エアが排出される。また、この排出力はエア周囲の賦形圧力差に比例して大きくなる。もし、賦形面内に賦形圧力の極小値が存在すれば、この箇所がエア溜まりとなり、転写不良の原因となる。
さらに本発明の方法において好ましくは、加圧力が最大となった時、賦形圧力の変化量の絶対値を最大賦形圧力部から賦形圧力勾配に沿って単調に増加させるのが良い。言い換えると、横軸に最大賦形圧力部からの距離を、縦軸に賦形圧力値をとってグラフにしたとき、最大賦形圧力部からの距離が大きくなるにつれて、対応するグラフ上の点における接線の傾きの絶対値が大きくなる関係である。この関係を維持している限り、接線の傾きの絶対値が直線的に増加していても、変動しながら増加していてもよい。図5に図3の正面方向(y軸の負の方向)から賦形圧力分布を見た図を、図6には最大賦形圧力部から賦形圧力勾配に沿って圧力変化量の絶対値が単調に増加しない領域cを持つ賦形圧力分布の例を同方向から見た図を示す。図5は本発明におけるより好適な賦形圧力分布であり、具体的に、放物線や円弧、カテナリー曲線などを用いることができるが、これらに限らず、最大賦形圧力部から賦形圧力勾配に沿って圧力変化量の絶対値が単調に増加する形状を持っていれば良い。
図5では、賦形面の中心にある賦形圧力最大部から端部に向け、賦形圧力勾配が急になるため、エアが端部に移動するのに応じて排出力が増加する。これにより、賦形面端部ほど、エア排出速度が上昇し、短時間の加圧でも十分にエアを排除することができる。すなわち、成形サイクルを早くすることができ、生産性向上につながる。
図6の領域cのように賦形圧力勾配に沿った賦形圧力の変化量が単調減少していると、この領域では賦形圧力勾配が緩くなるため、噛み込んだエア周辺の賦形圧力差が小さくなり、排出力が低下する。この場合でもエアを排出することができるが、エア排出に時間がかかるため、生産性を考慮すると、図5に示す賦形圧力分布にすることが好ましい。
上述した本発明に好適な賦形圧力分布は、第2のインプリントモールドの賦形面側が凸となるような湾曲形状を第2のインプリントモールドの賦形面に与え、第1のインプリントモールドのクッション性を利用して基材シートを両インプリントモールド間で押圧することにより得ることができる。図7にその概念図を示す。
図7において、3は上部加圧板、8は下部加圧板、5は基材シート、4は第1のインプリントモールド、43は第1のインプリントモールド賦形面、6は第2のインプリントモールド、62は第2のインプリントモールド賦形面である。
図7のように第2のインプリントモールドの賦形面62を基材シート5に対し凸型に湾曲させるには、第2のインプリントモールドの反賦形面側に湾曲形状を有するプレートを設置しする方法や、第2のインプリントモールド内で該インプリントモールドの厚みを変化させる方法がある。
図7(a)は加圧前の状態、図7(b)は加圧中の状態を示す。また距離Hは下部加圧板8の上面より、第2のインプリントモールド賦形面62の距離である。
加圧前は平板状態である第1のインプリントモールド4が、そのクッション性により、加圧中は第2のインプリントモールド賦形面62の湾曲形状に応じて変形する。賦形圧力は第1のインプリントモールド4の変形量と圧縮弾性率の関係で決定し、変形量が大きい場所ほど、賦形圧が大きい。図7(b)に示す加圧中の状態では、第2のインプリントモールド賦形面62の中央部で第1のインプリントモールド4の変形量が最大になっており、端部に行くほど小さくなっている。これは、賦形面中央部で賦形圧力が最大になり、端部に向かって賦形圧力が単調に減少していることを表す。
また、第1のインプリントモールドの圧縮弾性率は0.1MPa〜200MPaが好ましく、より好ましくは0.1MPa〜50MPaである。圧縮弾性率が0.1MPaよりも低いと、賦形面内の賦形圧力差が小さくなり、エアを排除することができなくなることがある。また、排除に要する時間が長くなり、生産性が悪化する。圧縮弾性率が200MPaよりも大きいと、賦形面内の賦形圧力差が大きくなりすぎるため、賦形圧力の低い部分において、十分な賦形圧力が得られず転写不良となることがある。
また、第1のインプリントモールドの厚みは0.1mm〜50mmの範囲が好ましく、より好ましくは0.3mm〜30mmである。厚みが0.1mmよりも薄いと、前述したクッション性に乏しくなり、第2のインプリントモールドの湾曲形状に十分追従することができず、転写不良となることがある。また、厚みが50mmより厚いと、加圧時に第1のインプリントモールドの圧縮変形量が大きく、上部加圧板のストロークを長くする必要がある。これは設備費の増大や製造サイクルの低下を招き、非効率である。
また本発明においては、距離Hの絶対値の変化量をHの最大値を取る箇所から賦形圧力勾配に沿って単調に増加するように設定すると、賦形圧力の変化量の絶対値も最大賦形圧力部から賦形圧力勾配に沿って単調に減少し、前述した本発明に好適な賦形圧力分布を具現化することができる。
上述したように、基材シート両面に微細凹凸形状を賦形するとき、異なる構成を持った2つのインプリントモールドを組み合わせて、基材シートを加圧することにより、賦形面内に賦形圧力分布を作り、噛み込んだエアを積極的に排出することができる。従来技術のような単に同じ構成の2つのインプリントモールドを基材シートの両面に加圧するだけでは良好に転写できない。特に賦形面が大面積になると、従来の技術では、賦形時に噛み込んだエアの排出がより難しくなり、品質の悪化が顕著になる。
なお、上記構成により得られた賦形圧力分布を確かめるには感圧紙をプレスする方法や、賦形圧力に応じ塑性変形するシートをプレスし、プレス後の厚み変化量を測定する方法がある。
また本発明は加圧前に第2のインプリントモールドのみをその内部より加熱することが好ましい。第2のインプリントモールドのみをその内部より加熱することにより、加圧板にて2つのインプリンントモールドで基材シートを加圧する際、基材シートと直接接する第2のインプリントモールド内に熱源があるため、熱源と基材シート間の熱伝達抵抗が少なく、迅速に基材シートを所望の温度まで加熱することができる。そのため、第1のインプリントモールド用に加熱手段を特別に持たなくとも、基材シートの第1のインプリントモールド側の面を短時間で所望の温度まで昇温することができ、第1のインプリントモールドの微細凹凸形状も基材シートに転写することが可能となる。ここで「所望の温度」とは基材シートの(ガラス転移点温度+10℃)以上(ガラス転移点温度+50℃)以下である。(ガラス転移点温度+10℃)より低ければ、基材シートへの微細凹凸形状の転写性が悪化し、(ガラス転移点温度+50℃)より高ければ、基材シートが変質するおそれがある。
第2のインプリントモールド全体と基材シート全体の熱容量の比率は100:1以上、5000:1以下であることが望ましい。100:1未満では、第2のインプリントモールドから基材シートへ熱伝達する際、第2のインプリントモールドの温度低下が大きくなり、基材シートが十分に加熱されないことがある。また、5000:1より大きくすると、第2のインプリントモールドの加熱に時間を要し、効率的ではない。同じく5000:1より大きくするためには、熱容量確保のため、第2のインプリントモールドを大型にする必要があり、経済的ではなく、第2のインプリントモールドの取り回しがやりにくくなる。
加圧時の基材シートへの熱伝達率は第2のインプリントモールドに設けられた微細凹凸形状の種類や、第2のインプリントモールドと基材の表面性状、加圧力などに影響されるが、50W/m・K〜5000W/m・Kの範囲であることが好ましい。50W/m・K未満では、基材シートの加熱に時間がかかりすぎ、生産効率が悪化する可能性がある。また5000W/m・Kより大きくすることは現実的に困難である。
第2のインプリントモールドをその内部より加熱するには、インプリントモールド自体に電流を流し、ジュール熱により加熱する方法や、電気ヒーターを第2のインプリントモールド内に埋め込む方法を用いても良いが、本発明においてはインプリントモールド内に熱媒通路を設けてこれに熱媒を流し加熱する方法がより好ましい。
本発明に好適なインプリントモールド内に熱媒通路を設けた第2のインプリントモールドを図8を用いて具体的に説明する。図8(a)に平面図、図8(b)に側面図で示すように、第2のインプリントモールド6は賦形面62を有しており、内部に流路61が設けられている。63aは熱媒行きマニホールド、63bは熱媒戻りマニホールドであり、Pは流路61を設けている流路ピッチ、Tは第2のインプリントモールドの厚み、Sは流路と賦形面62までの距離(最短部)、Dは流路の径を示したものであり、加熱効果を確実に得て、本発明の効果をより効果的に得る上で、これら値には好適な範囲がある。本発明者らの各種知見によれば、P/Sの好適範囲は1〜4である。1未満では表面の加熱速度が遅くなる。また4よりも大きいときには第2のインプリントモールド表面での温度ムラが発生することがある。また、第2のインプリントモールドの厚みTは20mm〜50mmの範囲が好ましい。20mm未満では第2のインプリントモールドの平面度が悪くなる場合があり、基材シートの寸法等によっては好ましくない。また、同じく20mm未満では、第2のインプリントモールドの熱容量が小さくなり、基材シートを加熱する際、第2のインプリントモールドの温度低下が大きくなる。50mmよりも大きい場合には一般に加熱に時間がかかりすぎるようになる。流路の径Dは、4mm〜8mmの範囲が好ましい。4mm未満では流路の加工が難しくなることや圧損が大きくなる場合がある。8mmよりも大きくなると、熱媒〜流路壁面の境膜伝熱係数が低下し、それに対応して加熱に要する時間が長くなる。さらに、効率よく伝熱できるように、熱媒流路のレイノルズ数が1.0×10〜12×10であるのが好ましい。また、賦形面の温度分布の均一化を実現するために、端部に位置する流路よりも内側に賦形面62を設けることが好ましい。また、各流路における熱媒の流れ方向を、特に加熱中における温度ムラを小さくすることができることから、隣合う流路で熱媒を逆向きに流すことも好ましい。ここで、「隣り合う流路」とは、1本1本で隣り合うことの他、2本ずつで隣り合うなどの複数本での隣り合い状態のものも含むものである。
また、本発明においては、第2のインプリントモールド非加熱中でも熱媒は第2のインプリントモールド部以外で循環温調される構成が適用されるが、第2のインプリントモールド加熱中、非加熱中ともに熱媒が流れる流路(以下、熱媒循環共通流路)の内容積は第2のインプリントモールドの賦形面積に対して十分に確保することが好ましい。ここで、十分に確保するとは、1回の第2のインプリントモールド加熱過程で必要な熱媒体積以上の容積を確保することをいう。第2のインプリントモールド加熱過程で熱媒が第2のインプリントモールド内を通過後、十分に再加熱されずに第2のインプリントモールド内に再導入されると、熱媒の初期温度が低いために途中から加熱速度が鈍化し、加熱時間が長くなる。熱媒循環共通流路の内容積を十分に確保すれば、熱媒の初期温度の低下による加熱速度鈍化を防止できる。なお、市販の温調機はせいぜいヒータータンク容量が10L程度で、ヒーター容量が20kW程度であるので、1辺が300mm以上の大きい賦形面積を持つ場合には、別途ヒーターを内装したバッファタンクを熱媒循環共通流路の途中に設けることが好ましい。
また、第2のインプリントモールドの内部には、冷却手段が設けられていることが好ましい。ここで、冷却手段とは、例えば第2のインプリントモールド内に冷媒を流す流路を形成することで実現できる。ここで、冷媒流路は上述した熱媒流路と別に設けてもよいが、熱媒流路と共通化するのがより好ましい。熱媒流路と共通化する場合には、前記熱媒と前記冷媒を同じ流路に逐次切り替えて循環させる切り替え手段を有することが好ましい。例えば、図9に示すように、熱媒循環用の加熱装置10と冷媒循環用の冷却装置11とを切り替えバルブ9を介して第2のインプリントモールドに接続し、熱媒・冷媒を切り替えて第2のインプリントモールドに流すことができるようにすることが好ましい。なお、熱媒・冷媒とも同じ媒体が良く、高い熱伝達性能が得られる水が好ましい。また、熱媒と冷媒を切り替える際に第2のインプリントモールド内に残留している媒体を追い出す必要がないためサイクルの短縮化につながる。そのような構成にすると、第2のインプリントモールドの加熱・冷却をより早く正確に行うことができる。
なお、冷却においても、吸熱源が第2のインプリントモールド内部に存在し、基材シートを迅速に冷却することができるため、第1のインプリントモールドに対する特別な吸熱源は前述した第1のインプリントモールドに対する熱源が不要な理由と同理由により不要である。
さらに、第2のインプリントモールド冷却中、非冷却中ともに冷媒が流れる流路(以下、冷媒循環共通流路)の内部容積についても熱媒循環共通流路の内容積と同様のことがいえ、冷却速度鈍化の防止のために冷媒循環共通流路の途中でバッファタンク等の内容積増量手段を設けることが好ましい。
本発明の上述した具体的方法は以下に説明する本発明の微細形状転写シートの製造装置により、行うことができる。すなわち、少なくともクッション性を有する第1のインプリントモールドと、/第2のインプリントモールドの賦形面を基材シートに向けて凸状に湾曲させる手段とを少なくとも備えたことを特徴とする微細形状転写シートの製造装置である。
図10は本発明の微細形状転写シートの製造方法を実施するのに好適に用いられる本発明の微細形状転写シート製造装置の一実施態様例をモデル的に示した概略正面図であり、1は微細形状転写シート製造装置、2はプレス装置、3は上部加圧板、8は下部加圧板、5は基材シート、4は第1のインプリントモールド、41はクッション性を有する部材(以下、クッション材)、42は転写シート、6は第2のインプリントモールド、62は第2のインプリントモールド賦形面である。第1のインプリントモールド4はクッション材41と転写シート42からなり、第2のインプリントモールドの賦形面側62は基材シートに対して突出するように設置している。
プレスは、図示していない油圧ポンプとオイルタンクに接続されており、油圧ポンプにより上部加圧板3の昇降動作及び、加圧力の制御を行う。また、本実施形態では油圧方式のプレスシリンダーを適用しているが、加圧力を制御できる機構であれば、いかなるものでもよい。
プレス圧力範囲は0.1MPa〜20MPaの範囲で制御できることが好ましく、さらに好ましくは1MPaで〜10MPaの範囲で制御できることが望ましい。プレス圧力が0.1MPaより小さいと、微細凹凸形状を転写するのに十分な圧力が得られないことがある。プレス圧力が20MPaより大きいと、設備が過大になり、経済的でない。
本発明に用いられる第1のインプリントモールド4の材料は、基材シート5の(ガラス転移点+50℃)において十分な耐熱性を有するゴム素材がふさわしく、具体的にはシリコンゴムやフッ素ゴムなどを好適に用いることができる。ただし、応力を受け変形する際に体積変化を伴わない構成では前述したクッション性が乏しいため、好ましくは用いられない。これは賦形面が大面積になると、ゴム素材が第2のインプリントモールド6の湾曲形状に沿って圧縮変形する際に変形分の体積の行き場がなくなり、見かけの弾性率が非常に大きくなり、該湾曲形状に追従することができないからである。これを防ぐために、第1のインプリントモールド4には体積変化性が必要であり、これを実現するための方法としては(a)スポンジのような内部に気泡を有する高分子素材で、好ましくは該高分子が樹脂もしくはゴムからなるもの、(b)ゴムと体積変化層を積層した複合材、(c)体積変化層にゴムを含浸した複合材 などを好適に用いることができる。また上記(a)〜(c)の任意の組み合せ構成も本発明に好適に用いることができる。体積変化層には、繊維類を編んだものや織ったもの、さらには不織布など、さらにはこれらを積層したものを好適に用いることができる。これらの部材を適用することにより、好ましいクッション性を簡便に得ることができる。。
第1のインプリントモールド4に賦形したい微細凹凸形状を設けるには、クッション材41の表面をNC加工機等により直接加工する方法や、ランダムな凹凸パターンで良ければ、ショットブラストやエッチング、プラズマ処理やエキシマレーザーにより、表面に凹凸を付けることもできるが、転写シート42を積層してこの転写シート42を第1のインプリントモールド4の賦形面とする方法が本発明においては好適である。この転写シート42はクッション材41のクッション性を阻害してはならないため、可撓性を有する材料が好適である。さらにクッション材41と転写シート42を別体にすることにより、それぞれの最適化が容易になり、良好な転写性が得られる。
このような転写シート42としては、次に示す方法で製造した電鋳シートを用いることができる。すなわち、基材シートの第1のインプリントモールド側に転写したい微細凹凸形状をNC加工機等により加工したマスター型を用意し、このマスター型をメッキ槽の中に入れマスター型にメッキを施し、メッキ槽から取り出した後、メッキ部を剥がして転写シートとする方法である。メッキする金属としてはニッケルや、その合金を好ましく用いることができるが、その他の金属であってもよい。
本発明の転写シートにおいてさらに好ましくは、樹脂シートを用いるのが良い。フッ素系樹脂や、シリコン系樹脂などの耐熱性材料を用いるのであれば、NC加工機による機械加工で微細凹凸形状を表面に設け、転写シートを製作することができる。また、ポリジメチルシロキサンを材料として用いるなら、機械加工に加え、フォトリソグラフィー法により、微細凹凸形状を設けることもできる。
本発明の転写シートにおいてさらに好ましくは、転写シート42の材料としては熱可塑性を有するポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2、6−ナフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリブテン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂ポリエーテル系樹脂、ポリエステルアミド系樹脂、ポリエーテルエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、あるいはポリ塩化ビニル系樹脂などを用いる。このなかで共重合するモノマー種が多様であり、かつそのことによって材料物性の調整が容易であるなどの理由から特にポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、アクリル系樹脂またはこれらの混合物から選ばれる熱可塑性樹脂から主として形成されていることが好ましく、上述の熱可塑性樹脂が50重量%以上からなることがさらに好ましい。
これらの材料に微細凹凸形状を設けるには、基材シートの第1のインプリントモールド側に転写したい微細凹凸形状を有したマスター型を用意し、このマスター型を加熱した後、一対の加圧板を用いて金型と熱可塑性シートを押圧するれば良い。転写シートを得る装置は本発明の微細凹凸形状転写装置を用いることができ、第1のインプリントモールドとして、賦形面が平面のものを用い、第2のインプリントモールドとして、マスター型を用いればよい。このように、転写シートを樹脂シートにすることにより、電鋳シートと異なり、転写シート製作用の別の装置が不必要になり、マスター型をあらかじめ製作するだけで、安価に短時間で転写シートを得ることができる。
なお、基材シートの第1のインプリントモールド側の面に賦形したい形状がランダムな凹凸パターンで良ければ、樹脂シート表面にショットブラストやエッチング、プラズマ処理やエキシマレーザーにより、凹凸形状を設けても良い。
本発明に用いられる第2のインプリントモールド6には前述したように温調用の熱媒・冷媒回路が設けており、熱媒温調ポンプ10及び冷媒温調ポンプ11から熱媒がもしくは冷媒が切り替えバルブ9を介して供給され、第2のインプリントモールドの加熱及び冷却が可能となっている。
また、本発明においては、第2のインプリントモールドの賦形面を前述したように基材シートに対し、図示するように凸型に湾曲させることが好ましい。図11、図12を用いて第2のインプリントモールドの賦形面を湾曲させる方法について説明する。
図11は厚み分布を有するプレート7の上に第2のインプリントモールド6を置き、プレート7に第2のインプリントモールド6の賦形面逆面を密着するように設置した一例を示す図である。プレート7は、図11では片面のみ凸型に湾曲しているが、プレート全体が湾曲している形状でもよく、少なくとも第2のインプリントモールドと接する側の面が凸型に湾曲していればよい。このプレート7は面内の一部で厚みの最大値を取り、かつ、面内に厚みの極小値を持たないようになっている。より好ましくは、厚みの変化量の絶対値を最大厚み部から厚み勾配に沿って単調に増加させる。このプレート7に第2のインプリントモールド6の賦形面62とは逆側の面を密着して把持することにより、第2のインプリントモールド賦形面62に湾曲形状を持たせるのである。ここで、「面内に厚みの極小値を持つ」とは、1辺の長さ10mmでプレート7を格子状に区切ったとき、任意の格子内の平均厚みをT、この格子に接する8つの格子の平均厚みをそれぞれT〜T8としたとき、全てのxについてT≦Tが成立することをいう(ここでxは1〜8の自然数である。)。つまり、「面内に厚みの極小値を持たない」とは、全てのxについてT≦Tが成立するような格子が賦形面内に存在しないことである。言い換えると、面内の全ての格子について、平均厚みT<Tを満たすような隣接する格子が少なくとも1つ存在することである。プレート7の最大厚み部と最小厚み部の厚み差は1μm〜500μmの範囲にあることが好ましく、さらに好ましくは1μm〜200μmである。厚み差が1μmよりも小さいと、賦形時に十分な賦形勾配が得られず、エアを排出できないことがある。また、厚み差が500μmよりも大きいと、厚みが薄い箇所に十分な賦形圧力がかからないため、転写不良となることがある。
図12は厚み分布を持たせた第2のインプリントモールドの一例である。この第2のインプリントモールドの厚みを、賦形面内の一部で厚みの最大値を取り、かつ、賦形面内に厚みの極小値を持たないように設定する。より好ましくは、インプリントモールドの単位長さあたりの厚みの変化量の絶対値が最大厚み部から厚み勾配に沿って単調に増加するように設定する。言い換えると、横軸に最大厚み部からの距離を、縦軸に厚みの値をとってグラフにしたとき、最大厚み部からの距離が大きくなるにつれて、対応するグラフ上の点における接線の傾きの絶対値が大きくなる関係である。この関係を維持している限り、接線の傾きの絶対値が直線的に増加していても、変動しながら増加していてもよい。このような厚み分布を付与し賦形面に湾曲した形状を与えることにより、前述した本発明に好適な賦形圧力分布を賦形時に得ることができる。ここで、「賦形面内に厚みの極小値を持たない」とは、前述したプレート7において「面内に厚みの極小値を持たない」と同様の意味である。最大厚み部と最小厚み部の厚み差は1μm〜500μmの範囲にあることが好ましく、さらに好ましくは1μm〜200μmである。厚み差が1μmよりも小さいと、賦形時に十分な賦形圧力勾配が得られず、エアを排出できないことがある。また、厚み差が500μmよりも大きいと、厚みが薄い箇所に十分な賦形圧力がかからないため、転写不良となることがある。
本発明に好適な第2のインプリントモールドは、次の方法により作成することができる。まず、熱媒流路となる穴をドリル等を用いて後述する第2のインプリント材料内にあける。賦形面に微細凹凸形状を形成した後に熱媒通路をあけると、材料の残留応力開放や加工歪みにより賦形面の平面度が悪化することがあるので、賦形面形成前に熱媒通路をあけることが好ましい。次に賦形面へ微細凹凸形状を形成する方法について説明する。図11に示す方法で賦形面を基材シートに対して凸形状に湾曲させる場合は、第2のインプリントモールド賦形面をNC加工機により微細凹凸形状の断面と同じ形状を持つ加工バイトを用いて切削加工すれば良い。図12に示す厚み分布を持つ第2のインプリントモールドを製作するには、第2のインプリントモールド材料の賦形面側に所望の湾曲形状を与えるため、3次元加工が可能なNC加工機に曲面のデータを入力し加工する。次に微細凹凸形状の断面と同じ形状を持つ加工バイトを用いて、該形状に沿わせながら同NC加工機にて切削加工することにより微細凹凸形状を賦形面に付与する。
なお、本発明における第2のインプリントモールドの材料としては所望のプレス時の強度、パターン加工精度、シートの離型性が得られるものであればよく、例えばステンレス、ニッケル、銅等を含んだ金属材料、シリコーン、ガラス、セラミックス、樹脂、もしくはこれらの表面に離型性を向上させるための有機膜を被覆させたものが好ましく用いられる。該インプリントモールドの微細なパターンは、シート表面に付与したい微細な凹凸パターンに対応して形成されているものである。
本発明に適用される基材シートはガラス転移温度Tgが好ましくは40〜180℃のものであり、より好ましくは50℃〜160℃であり、最も好ましくは50℃〜120℃である熱可塑性樹脂を主たる成分とするシートである。ガラス転移温度Tgが40℃を下回ると成形品の耐熱性が低くなり、形状が経時変化するため好ましくない。またTgが180℃を上回ると成形温度を高くせざるを得ないものとなり、エネルギー的に非効率であり、また基材シートの加熱、冷却時の体積変動が大きくなり、基材シートがインプリントモールドに噛み込んで離型できなくなったり、また離型できたとしてもパターンの転写精度が低下したり、部分的にパターンが欠けて欠点となる場合がある等の理由により好ましくない。
本発明に適用される熱可塑性樹脂を主たる成分とした基材シートは、具体的に好ましくは、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2、6−ナフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリブテン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂ポリエーテル系樹脂、ポリエステルアミド系樹脂、ポリエーテルエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、あるいはポリ塩化ビニル系樹脂などからなるものである。このなかで共重合するモノマー種が多様であり、かつそのことによって材料物性の調整が容易であるなどの理由から特にポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、アクリル系樹脂またはこれらの混合物から選ばれる熱可塑性樹脂から主として形成されていることが好ましく、上述の熱可塑性樹脂が50重量%以上からなることがさらに好ましい。
本発明に適用する基材シートは上述の樹脂の単体からなるシートであっても構わないし、複数の樹脂層からなる積層体であってもよい。この場合、単体シートと比べて、易滑性や耐摩擦性などの表面特性や、機械的強度、耐熱性を付与することができる。このように複数の樹脂層からなる積層体とした場合はシート全体が前述の用件を満たすことが好ましいが、シート全体としては前記要件を満たしていなくても、少なくとも前述の要件を満たす層が表層に形成されていれば容易に表面を形成することができる。
また、本発明に適用する基材シートの好ましい厚さ(厚み、膜厚)としては、ロール状に巻かれたシートを間欠的に成形するのであれば、0.01〜1mmであることが好ましい。0.01mm未満であると、成形するのに十分な厚みがなく、1mm以上であると、基材シートの第2のインプリントモールド側の面から第1のインプリントモールド側の面への熱伝達効率が悪化し、第1のインプリントモールド側の面が賦形可能な温度に到達するまで時間がかかり、生産効率が悪化するおそれがある。また、1mm以上であると、搬送が一般に難しい。
図13は図10に示した本発明の微細形状転写シートの製造装置を用いて、賦形面における加圧力が最大となった時の状態をモデル的に示した正面概略図である。第2のインプリントモールド賦形面62の湾曲形状に従い、第1のインプリントモールド4が変形することにより、所望の賦形面圧力分布が得られるのは前述した通りである。
以下、実施例に基づいて本発明の方法、装置の具体的構成、効果について説明をする。以下の実施例では、それぞれにおいて(1)〜(12)に示した仕様のインプリントモールドやプレス装置、加工条件で微細形状の付与加工を行い、微細形状転写シートの製造を行ったものである。なお、以下の実施例は本発明の実施形態の一例であり、本発明はこれらに限るものではない。
〔実施例1〕
(1)第1のインプリントモールドサイズ:700mm(基材シート幅方向)×1000mm(基材シート走行方向)×5mm(厚み)
(2)第1のインプリントモールド材質:全体が耐熱性ナイロン織布にフッ素ゴムを含浸したクッション材。
(3)第1のインプリントモールド賦形面の微細形状:上記クッション材の基材シート側の面にショットブラスト処理を施し、ランダムな凹凸形状とした。凹凸形状の平均深さは約10μm、隣り合う凸と凸の間隔は平均約20μmとした。
(4)第2のインプリントモールドサイズ:500mm(基材シート幅方向)×800mm(基材シート走行方向)×30mm(厚み)
(5)第2のインプリントモールド材質:銅
(6)第2のインプリントモールド賦形面の微細形状:ピッチ10μm、凸部高さ5μmでシート走行方向から見たときの断面形状が直角二等辺三角形の溝で、該溝がストライプ状になっているもの。
(7)プレス装置:最大3000kNまで加圧できるもので、加圧は油圧ポンプによってなされる。
(8)温調:第2のインプリントモールドに温調用熱媒路が設けられており、140℃の水により加熱、60℃の水により冷却
(9)基材シート:ポリエチレンテレフタレートからなり、厚みが50μm幅は520mmである。
(10)第2のインプリントモールド設置方法:最大厚み部と最小厚み部の厚み差が70μmである凸形の放物面形状を持つプレートを設置し、その上に第2のインプリントモールドの賦形面と逆側の面を沿わせて設置。
(11)圧力に応じて塑性変形量が変わるフィルムをプレスし、プレス後のフィルムの厚みを10mm間隔で測定した。プレス時に第2のインプリントモールド賦形面の溝の長手方向となっていた方向(以下、溝の長手方向とする)に、1辺10mmの格子が並ぶように測定した。溝の長手方向の圧力分布を調査すると図3に示す圧力分布であった。すなわち、賦形面中心部に最大賦形圧力部を持ち、賦形面内には圧力極小部はなかった。
(12)上記の装置を用い以下のように成形を行った。あらかじめ、基材シートを第2のインプリントモールド上に置く。次に第2のインプリントモールドに温調水を通水し、第2のインプリントモールド温度が120℃になるまで加熱した後、第1のインプリントモールドを取り付けた上部加圧板を下降させて、基材シートのプレスを開始する。プレスは2250kNまで7秒で昇圧し、昇圧完了後3秒間圧力保持した。またプレス中は温調水の通水を停止している。その後、プレスを継続したまま冷却水を第2のインプリントモールドに流し、インプリントモールド温度が90℃になった時冷却を停止し、プレスを解放する。その後、シートを第2のインプリントモールドから離型する。
上記の動作を繰り返し、10枚の成形シートを作成した。成形面を目視で評価した結果、基材シートの両面でエア噛み込みや転写不良がなく、良好な転写を得ることができた。また、走査型電子顕微鏡を用いて成形された微細凹凸形状を観察すると第1のインプリントモールド側にはランダムな凹凸パターンが、第2のインプリントモールド側には直角二等辺三角形のストライプパターンが形成されていた。また、樹脂の充填率を賦形面内の10点において測定すると、平均98%であった。ここで「充填率」とは、金型の微細凹凸形状の凸形状の頂点から凹形状の底までの距離をA、基材シートに転写された微細凹凸形状の凸形状の頂点から凹形状の底までの距離をBとしたとき、B/Aを百分率で表わした値である。
〔実施例2〕
(1)第1のインプリントモールドサイズ:実施例1と同じ
(2)第1のインプリントモールド材質:耐熱性ナイロン織布にフッ素ゴムを含浸したクッション材と、厚さ0.2mmのポリエチレンテレフタレートからなる転写シートを積層した。
(3)第1のインプリントモールド賦形面の微細形状:ピッチ10μm、凸部高さ5μmでシート走行方向から見たときの断面形状が直角二等辺三角形の溝で、該溝がストライプ状になっているもの。あらかじめ、所望の賦形面形状を反転した形状を金型に形成し、この金型を熱した後、転写シートの材料であるポリエチレンテレフタレート樹脂を金型に押圧し、転写シートを得ている。
(4)第2のインプリントモールドサイズ:実施例1と同じ
(5)第2のインプリントモールド材質:実施例1と同じ
(6)第2のインプリントモールド賦形面の微細形状:実施例1と同じ
(7)プレス装置:実施例1と同じ
(8)温調:実施例1と同じ
(9)基材シート:実施例1と同じ
(10)第2のインプリントモールド設置方法:実施例1と同じ
(11)圧力に応じて塑性変形量が変わるフィルムをプレスし、プレス後のフィルムの厚みを10mm間隔で測定すると、図3に示す賦形圧力分布であることがわかった。すなわち、賦形面中心部に最大賦形圧力部を持ち、賦形面内には賦形圧力極小部はなかった。
(12)上記の装置を用い以下のように成形を行った。あらかじめ、基材シートを第2のインプリントモールド上に置く。次に第2のインプリントモールドに温調水を通水し、第2のインプリントモールド温度が120℃になるまで加熱した後、第1のインプリントモールドを取り付けた上部加圧板を下降させて、基材シートのプレスを開始する。プレスは2250kNまで7秒で昇圧し、昇圧完了後3秒間圧力保持した。またプレス中は温調水の通水を停止している。その後、プレスを継続したまま冷却水をインプリントモールドに流し、第2のインプリントモールド温度が90℃になった時冷却を停止し、プレスを解放する。その後、シートを第2のインプリントモールドから離型する。
上記の動作を繰り返し、10枚の成形シートを作成した。成形面を目視で評価した結果、基材シートの両面でエア噛み込みや転写不良がなく、良好な転写を得ることができた。また、走査式電子顕微鏡を用いて成形された微細形状を観察すると、第1のインプリントモールド側と第2のインプリントモールド側の両面に直角二等辺三角形のストライプパターンが形成されていた。また、樹脂の充填率を賦形面内の10点において測定すると、平均98%であった。ここでいう「充填率」とは実施例1のそれと同義である。
〔比較例1〕
実施例2の装置と同じ装置を用いて、ただし、第1のインプリントモールドは転写シートをクッション材を介さず上部加圧プレートに取付け、また第2のインプリントモールドはプレートを介さず、直接下部加圧プレートに取付け、実施例2と同一の条件で10枚の成形シートを作成したが、全てのシートにおいてエア噛みによる成形不良が発生した。また、走査式電子顕微鏡を用いて成形された微細形状を観察し、樹脂の充填率を賦形面内の10点において測定すると、平均82%であった。ここでいう「充填率」とは実施例1のそれと同義である。
圧力に応じて塑性変形量が変わるフィルムをプレスし、プレス後のフィルムの厚みを10mm間隔で測定し、圧力分布を調査すると図14に示す賦形圧力分布であり、成型時の賦形面に賦形圧力勾配が存在なかった。このため、噛み込んだエアが排除されなかったことが成形不良の原因である。
〔比較例2〕
実施例2の装置と同じ装置を用いて、ただし、第1のインプリントモールドは転写シートをクッション材を介さず上部加圧プレートに取付け、第2のインプリントモールドは、賦形面外の下側に高さの異なる円柱状のゴムを設置することにより、賦形面中央部を突出させ、プレス開始時に賦形面中央部から順次プレスされるように下加圧板に固定した。この装置で実施例2と同一の条件で10枚の成形シートを作成したが、全てのシートにおいてエア噛みによる成形不良が発生した。また、走査式電子顕微鏡を用いて成形された微細形状を観察し、樹脂の充填率を賦形面内の10点において測定すると、平均78%であった。ここでいう「充填率」とは実施例1のそれと同義である。
圧力に応じて塑性変形量が変わるフィルムをプレスし、プレス後のフィルムの厚みを10mm間隔で測定し、圧力分布を調査すると図15に示す賦形圧力分布であり、ゴムの間隙において賦形圧力が極小値を取っていた。賦形圧力極小部に、噛み込んだエアが留まったことが成形不良の原因である。
1:微細形状転写シート製造装置
2:プレス装置
3:上部加圧板
4:第1のインプリントモールド
41:クッション性を有する部材(クッション材)
42:転写シート
43:第1のインプリントモールド賦形面
5:基材シート
6:第2のインプリントモールド
61:熱媒通路
62:第2のインプリントモールド賦形面
63a:熱媒行きマニホールド
63b:熱媒戻りマニホールド
7:プレート
8:下部加圧板
9:切り替えバルブ
10:加熱装置
11:冷却装置

Claims (16)

  1. 微細凹凸形状からなる賦形面を有する第1のインプリントモールドと微細凹凸形状からなる賦形面を有する第2のインプリントモールドとを、それぞれの賦形面が向かい合うように並べ、該第1のインプリントモールドと該第2のインプリントモールドとの間に、熱可塑性樹脂からなる基材シートを設置し、一対の加圧板により該第1のインプリントモールドと該第2のインプリントモールドとを該基材シート方向に同時に加圧することにより、該基材シートの両面に微細凹凸形状を賦形する微細形状転写シートの製造方法であって、
    前記第1のインプリントモールドがクッション性を有するものであり、
    前記加圧板の加圧力が最大となった時、前記第1のインプリントモールドと前記第2のインプリントモールドのそれぞれの賦形面内において賦形圧力差を存在させ、該賦形面内に最大賦形圧力部を作り、賦形圧力が極小値を取る部位が該賦形面内に存在しないように賦形する微細形状転写シートの製造方法。
  2. 前記加圧板による加圧前に、前記第2のインプリントモールドのみをその内部より加熱する請求項1に記載の微細形状転写シートの製造方法。
  3. 前記第2のインプリントモールドの賦形面とは反対側の面に、少なくとも一方の面が凸形状に湾曲したプレートを設置し、該第2のインプリントモールドの賦形面を前記基材シートに向けて凸状に湾曲させて加圧し、前記第1のインプリントモールドを圧縮して前記賦形圧力差を作る請求項1あるいは2に記載の微細形状転写シートの製造方法。
  4. 前記第2のインプリントモールド自体の厚みを変化させることにより、該第2のインプリントモールドの賦形面を前記基材シートに向けて凸状に湾曲させて加圧し、前記第1のインプリントモールドを圧縮して前記賦形圧力差を作る請求項1あるいは2に記載の微細形状転写シートの製造方法。
  5. 前記第1のインプリントモールドが、クッション性を有する部材に微細凹凸形状を有する転写シートが積層されたものである請求項1〜4のいずれかに記載の微細形状転写シートの製造方法。
  6. 前記転写シートが樹脂である請求項5に記載の微細形状転写シートの製造方法。
  7. 前記第1のインプリントモールドが、クッション性を有する部材の表面に微細凹凸形状が形成されたものである請求項1〜4のいずれかに記載の微細形状転写シートの製造方法。
  8. 前記クッション性を有する部材が、(a)内部に気泡を有する高分子素材、(b)ゴム層と繊維層とを積層した複合材、及び(c)繊維層にゴムを含浸した複合材からなる群より選ばれる少なくとも1種からなる請求項5〜7のいずれかに記載の微細形状転写シートの製造方法。
  9. 微細凹凸形状からなる賦形面を有し、それぞれの賦形面が向かい合うように並べられた第1のインプリントモールドと第2のインプリントモールドと、
    該第1のインプリントモールドと該第2のインプリントモールドとを両側から挟むように配置された一対の加圧板と、
    該第1のインプリントモールドと該第2のインプリントモールドと該一対の加圧板とを加圧する加圧手段とを少なくとも備え、
    該第1のインプリントモールドと該第2のインプリントモールドとの間に設置される熱可塑性樹脂からなる基材シートの両面に微細凹凸形状を賦形する微細形状転写装置であって、
    前記第1のインプリントモールドがクッション性を有するものであり、
    前記第2のインプリントモールドの賦形面を前記基材シートに向けて凸状に湾曲させる手段とを備えることにより、前記加圧板の加圧力が最大となった時、前記第1のインプリントモールドと前記第2のインプリントモールドのそれぞれの賦形面内において賦形圧力差を存在させ、該賦形面内に最大賦形圧力部を作り、賦形圧力が極小値を取る部位が該賦形面内に存在しないように賦形する微細形状転写シートの製造装置。
  10. 前記第2のインプリントモールドが、その内部に加熱する手段を備えたものである請求項9に記載の微細形状転写シートの製造装置。
  11. 前記第2のインプリントモールドの賦形面とは反対側の面に、少なくとも一方の面が凸形状に湾曲したプレートを備え、該プレートが厚み分布を有し、プレートの面内に最大厚み部を有し、かつ面内に厚みの極小値を取る部位が存在しない請求項9あるいは10に記載の微細形状転写シートの製造装置。
  12. 前記第2のインプリントモールドが賦形面内で厚み分布を有し、該賦形面内に最大厚み部を有し、かつ該賦形面内に厚みの極小値を持たない請求項9あるいは10に記載の微細形状転写シートの製造装置。
  13. 前記第1のインプリントモールドが、クッション性を有する部材に微細凹凸形状を有する転写シートが積層されたものである請求項9〜12のいずれかに記載の微細形状転写シートの製造装置。
  14. 前記転写シートが樹脂である請求項13に記載の微細形状転写シートの製造装置。
  15. 前記第1のインプリントモールドが、クッション性を有する部材の表面に微細凹凸形状が形成されたものである請求項9〜12のいずれかに記載の微細形状転写シートの製造装置。
  16. 前記クッション性を有する部材が、(a)内部に気泡を有する高分子素材、(b)ゴム層と繊維層とを積層した複合材、及び(c)繊維層にゴムを含浸した複合材からなる群より選ばれる少なくとも1種からなる請求項13〜15のいずれかに記載の微細形状転写シートの製造装置。
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