JP5421024B2 - インナーライナー用ゴム組成物及び空気入りタイヤ - Google Patents

インナーライナー用ゴム組成物及び空気入りタイヤ Download PDF

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Description

本発明は、インナーライナー用ゴム組成物と、これを用いて作製したインナーライナーを有する空気入りタイヤとに関する。
空気入りタイヤ、特にチューブレスタイヤにおいては、タイヤ内圧を保持する目的で、空気透過性の小さいゴムからなるインナーライナーがタイヤ内腔面に形成されている。近年、環境問題、経済性の観点から、タイヤの転がり抵抗の低減と、長期の走行時における耐久性の向上とが要求されており、インナーライナーにおいても、転がり抵抗の低減、耐久性の向上が求められている。
しかしながら、転がり抵抗の低減と、耐久性の向上とを同時に実現することは困難であった。例えば、カーボンブラック、シリカなどの充填剤や、フェノール系樹脂などの熱硬化性樹脂の配合量を多くしたり、充填剤を微細化することにより、硬度を高めることができるが、この場合、tanδが大きくなり、転がり抵抗が上昇する傾向があった。また、破断時伸びが低下して、ゴム強度(耐久性)が低下するという傾向もあった。
特許文献1には、脱蛋白天然ゴムを含有するインナーライナー用ゴム組成物が開示されているが、炭素繊維については詳細に検討されていない。また、前記の性能についても改善の余地がある。
特開2009−13197号公報
本発明は、前記課題を解決し、転がり抵抗特性及び耐久性をバランス良く向上できるインナーライナー用ゴム組成物と、それを用いて作製したインナーライナーを有する空気入りタイヤとを提供することを目的とする。
本発明は、ゴム成分100質量部に対して、石炭ピッチ系炭素繊維を5〜45質量部含有するインナーライナー用ゴム組成物に関する。
上記ゴム組成物は、上記ゴム成分100質量%中、ブチル系ゴムの含有量が30〜80質量%であり、天然ゴム、イソプレンゴム及びブタジエンゴムからなる群より選択される少なくとも1種の合計含有量が20〜70質量%であることが好ましい。
上記石炭ピッチ系炭素繊維は、平均繊維径が1〜80μm、平均繊維長が0.1〜30mmであることが好ましい。
本発明はまた、上記ゴム組成物を用いて作製したインナーライナーを有する空気入りタイヤに関する。
本発明によれば、ゴム成分に石炭ピッチ系炭素繊維を配合したゴム組成物であるので、該ゴム組成物をインナーライナーに適用することにより、転がり抵抗特性及び耐久性に優れた空気入りタイヤを提供できる。
本発明のインナーライナー用ゴム組成物は、ゴム成分と、石炭ピッチ系炭素繊維とを含有するため、低いtanδ及び高い破断伸びを維持しつつ、高い硬度やゴム強度を得ることができる。従って、該ゴム組成物をインナーライナーに使用することにより、転がり抵抗特性及び耐久性に優れた空気入りタイヤを製造できる。
ゴム成分としては、耐空気透過性の点から、ブチル系ゴムを使用することが好ましい。ブチル系ゴムとしては、例えば、臭素化ブチルゴム(Br−IIR)、塩素化ブチルゴム(Cl−IIR)などのハロゲン化ブチルゴム(X−IIR)、ブチルゴム(IIR)などが挙げられる。これらブチル系ゴムは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なかでも、高い耐熱性を有しているという点から、IIRを用いることが好ましい。
ゴム成分としてブチル系ゴムを配合する場合、ゴム成分100質量%中のブチル系ゴムの含有量は、好ましくは30質量%以上、より好ましくは40質量%以上、より好ましくは50質量%以上である。ブチル系ゴムの含有量が30質量%未満では、耐空気透過性が低くなる傾向がある。また、ブチル系ゴムの含有量は、好ましくは80質量%以下、より好ましくは70質量%以下、更に好ましくは60質量%以下である。ブチル系ゴムの含有量が80質量%をこえると、転がり抵抗が増加したり、ゴムの破断強度が著しく低下する傾向がある。
ブチル系ゴム以外に使用できるゴム成分としては、例えば、天然ゴム(NR)、エポキシ化天然ゴム(ENR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、スチレンイソプレンブタジエンゴム(SIBR)、スチレンイソプレンゴム、イソプレンブタジエンゴム等のジエン系ゴムが挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。耐空気透過性及び転がり抵抗特性をバランス良く改善できる点、加工性と転がり抵抗特性とをバランスよく向上できる点から、NR、IR又はBRを、ブチル系ゴムとともに併用することが好ましく、NR及び/又はIRとBRとブチル系ゴムとを使用することがより好ましい。
NR、IR及びBRとしては特に限定されず、タイヤ工業において一般的なものを使用できる。例えば、NRとしては、SIR20、RSS♯3、TSR20等を使用できる。また、IRとしては、JSR(株)製のJSR IR2200、日本ゼオン(株)製のNIPOL IR2200等を使用できる。また、BRとしては、日本ゼオン(株)製のBR1220、宇部興産(株)製のBR130B、BR150B等の高シス含有量のBRや、宇部興産(株)製のVCR412、VCR617等のシンジオタクチックポリブタジエン(SPB)結晶を含有するBR等を使用でき、なかでも、SPB結晶を含有するBRが好ましく、SPB結晶量が高いVCR617がより好ましい。
NR及びIRの合計含有量は、ゴム成分100質量%中、好ましくは20質量%以上、より好ましくは30質量%以上である。20質量%未満であると、ゴムの引張強度が低下する傾向がある。該NR及びIRの合計含有量は、好ましくは60質量%以下、より好ましくは50質量%以下、更に好ましくは40質量%以下である。60質量%を超えると、耐空気透過性が低くなる傾向がある。
BRの含有量は、ゴム成分100質量%中、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上である。5質量%未満であると、十分にゴムの補強に寄与しない傾向がある。該BRの含有量は、好ましくは40質量%以下、より好ましくは35質量%以下である。40質量%を超えると、ゴムの硬度が高くなりすぎる傾向がある。
NR、IR及びBRの合計含有量は、ゴム成分100質量%中、好ましくは20質量%以上、より好ましくは30質量%以上、更に好ましくは40質量%以上である。合計含有量が20質量%未満では、転がり抵抗が増加する傾向がある。また、該合計含有量は、好ましくは70質量%以下、より好ましくは60質量%以下、更に好ましくは50質量%以下である。合計含有量が70質量%をこえると、耐空気透過性が低くなる傾向がある。
本発明では、石炭ピッチ系炭素繊維が使用される。石炭ピッチ系炭素繊維の配合により、破断時伸びが低下することなく、剛性を高め、低発熱性を向上することができる。このため、低いtanδ及び高い破断時伸びを維持しつつ、高い硬度やゴム強度を得ることができる。従って、該ゴム組成物をインナーライナーに使用することにより、低い転がり抵抗と高い耐久性とを両立でき、両性能のバランスに優れた空気入りタイヤを製造できる。
石炭ピッチ系炭素繊維は、ゴム中への分散、低発熱性向上の観点から、平均繊維径が1〜80μmであることが好ましい。平均繊維径の下限は、より好ましくは3μm以上、更に好ましくは5μm以上である。また、平均繊維径の上限は、より好ましくは30μm以下、更に好ましくは20μm以下である。
また、石炭ピッチ系炭素繊維は、ゴム中への分散、低発熱性向上の観点から、平均繊維長が0.1〜30mmであることが好ましい。平均繊維長の下限は、より好ましくは1mm以上、更に好ましくは4mm以上である。また、平均繊維長の上限は、より好ましくは15mm以下、更に好ましくは10mm以下である。
なお、上記平均繊維径、平均繊維長は、例えば、電子顕微鏡で観察することにより測定することができる。
本発明における石炭ピッチ系炭素繊維としては特に限定されないが、例えば、特開平7−331536号公報に記載の製法により得られるものが好適に用いられる。具体的には、ピッチ繊維を常法にしたがって不融化し、所望の温度で炭化及び/又は黒鉛化を行うことにより「原料となる炭素繊維」を得、次にその原料となる炭素繊維を予め黒鉛化処理されたパッキングコークスとともに黒鉛製のルツボの中に入れ黒鉛化処理することにより、石炭ピッチ系炭素繊維を製造できる。
なお、前記製法で使用されるピッチ繊維(紡糸ピッチ)としては、石炭系のコールタール、コールタールピッチ、石炭液化物等の炭素質原料(40%以上、好ましくは70%以上、更に好ましくは90%以上の光学的異方性組織を含むものが好適である)を用いて紡糸して得られるものが挙げられる。また、「原料となる炭素繊維」には、サイジング剤(エポキシ化合物、水溶性ポリアミド化合物等)を添着してもよい。
前記製法により、繊維軸方向の熱伝導率が500〜1500W/m・K、引張弾性率85ton/mm以上、圧縮強度35kg/mm以上であり、黒鉛結晶の積層厚みLcが30〜50nm、黒鉛結晶の層面方向の広がりLaとの比(La/Lc)が1.5倍以上であり、かつ繊維軸方向の断面のドメインサイズが500nm以下である石炭ピッチ系炭素繊維を製造でき、本発明で好適に使用できる。なお、熱伝導率、引張弾性率、圧縮強度、Lc、La、ドメインサイズ、光学的異方性組織割合は、前記公報に記載の方法により測定できる。
前記製法による石炭ピッチ系炭素繊維は、分子の配向が一方向に規制された液晶(メソフェーズ)などを原料としているため、結晶化度が極めて高く、弾性率、熱伝導度が高い。
本発明における石炭ピッチ系炭素繊維は、多環芳香族分子骨格が層状に積み重なった構造を有するものが好ましい。石炭ピッチ系炭素繊維の市販品としては、三菱樹脂(株)製の「K6371T」等が挙げられる。
上記石炭ピッチ系炭素繊維の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、5質量部以上、好ましくは10質量部以上である。また、該含有量は、45質量部以下、好ましくは40質量部以下である。5質量部未満であると、転がり抵抗の低減と耐久性の向上とが期待できず、45質量部を超えると、ゴムの強度が低下してしまい、またコストも上昇し、好ましくない。
本発明のゴム組成物は、補強充填剤を含有することが好ましい。これにより、補強効果が得られ、剛性を向上できる。補強充填剤としては、タイヤ工業で一般的に用いられているものを特に制限なく使用でき、例えば、カーボンブラック、シリカ、クレー、タルク、炭酸マグネシウム等が挙げられる。なかでも、カーボンブラックを用いることが好ましい。
カーボンブラックとしては特に限定されず、例えば、FEF、GPF、SRF、HAF、ISAF、SAFなどを用いることができる。カーボンブラックの使用により、ゴムの強度を向上させることができる。また、石炭ピッチ系炭素繊維と併用することで、ゴムの強度と転がり抵抗のバランスを向上できるため、優れた耐久性及び転がり抵抗特性をバランス良く得られる。
カーボンブラックの窒素吸着比表面積(NSA)は、20m/g以上が好ましく、25m/g以上がより好ましい。20m/g未満であると、ゴムの補強性が悪化する傾向がある。また、カーボンブラックのNSAは、100m/g以下が好ましく、80m/g以下がより好ましい。100m/gを超えると、転がり抵抗が不利になる傾向がある。
なお、カーボンブラックのNSAは、JIS K6217のA法によって求められる。
カーボンブラックの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、8質量部以上が好ましく、13質量部以上がより好ましい。8質量部未満であると、ゴムの補強性が悪化する傾向がある。また、該含有量は、70質量部以下が好ましく、60質量部以下がより好ましく、50質量部以下が更に好ましい。70質量部を超えると、転がり抵抗が悪化する傾向がある。
本発明のゴム組成物は、マイカ(雲母)を含有することが好ましい。これにより、耐空気透過性を向上することができる。マイカとしては、タイヤ工業で一般的に用いられているものを特に制限なく使用でき、例えば、マスコバイト(白雲母)、フロゴバイト(金雲母)、バイオタイト(黒雲母)等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なかでも、他のマイカと比較して耐空気透過性の向上効果が高いという点から、フロゴバイトを用いることが好ましい。
マイカの平均粒子径は40μm以上、好ましくは45μm以上である。平均粒子径が40μm未満では、耐空気透過性の向上効果が充分ではない傾向がある。また、マイカの平均粒子径は100μm以下、好ましくは70μm以下である。平均粒子径が100μmをこえると、マイカが亀裂の起点となり、インナーライナーが屈曲疲労により割れやすくなる傾向がある。
マイカのアスペクト比(扁平率)は50以上、好ましくは55以上である。アスペクト比が50未満では、耐空気透過性の向上効果が充分ではない傾向がある。また、マイカのアスペクト比は100以下が好ましく、70以下がより好ましい。アスペクト比が100をこえると、マイカの強度が低下することで、マイカに割れが生じる傾向がある。
ここで、アスペクト比とは、マイカにおける厚さに対する長径の比をいう。
本発明において、マイカの平均粒子径、厚みは、電子顕微鏡を用いて測定した。なお、平均粒子径は長径を意味し、該長径とは、投影面に対するマイカの方向を種々変化させながらマイカを投影面に投影したときの最長の長さであり、例えば、長角形状なら最長の辺の長さ、円盤状であれば直径となる。
本発明で使用するマイカは、湿式粉砕、乾式粉砕などの粉砕方法によって得ることができる。湿式粉砕はきれいな表面ができ、耐空気透過性の改善効果がやや高く、また、乾式粉砕は製造工程が簡単でコストが安いという特徴があり、それぞれのケースにより使い分けることが好ましい。
マイカの含有量は、ゴム成分100質量部に対して20質量部以上、好ましくは30質量部以上である。マイカの含有量が20質量部未満では、耐空気透過性の向上効果が充分ではない傾向がある。また、マイカの含有量は、ゴム成分100質量部に対して50質量部以下、好ましくは45質量部以下、より好ましくは40質量部以下である。マイカの含有量が50質量部をこえると、ゴム組成物の引き裂き強度が落ちるなどして、クラックが発生しやすくなる傾向がある。
本発明のゴム組成物には、熱硬化性樹脂を配合してもよい。熱硬化性樹脂としては、例えば、フェノール系樹脂、クレゾール系樹脂などが挙げられる。なかでも、高硬度が得られる点から、フェノール系樹脂が好ましい。
フェノール系樹脂としては、例えば、フェノール類と、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、フルフラール等のアルデヒド類とを酸又はアルカリ触媒で反応させることにより得られるフェノール樹脂;カシューオイル、トールオイル、アマニ油、各種動植物油、不飽和脂肪酸、ロジン、アルキルベンゼン樹脂、アニリン、メラミンなどを用いて変性した変性フェノール樹脂等が挙げられる。フェノール系樹脂のなかでも、硬度(Hs)の向上が可能であるという理由から、変性フェノール樹脂が好ましく、カシューオイル変性フェノール樹脂又はロジン変性フェノール樹脂が好ましい。
本発明のゴム組成物には、アルキルフェノール・塩化硫黄縮合物を配合してもよい。これにより、高硬度のゴム組成物を得ることができる。アルキルフェノール・塩化硫黄縮合物としては、下記式で表されるものが挙げられる。
Figure 0005421024
(式中、nは0又は1〜10の整数であり、xは2〜4の整数であり、Rは炭素数5〜12のアルキル基である。)
アルキルフェノール・塩化硫黄縮合物のゴム中への分散性が良い点から、nは1〜9の整数が好ましい。また、高硬度が効率よく得られる点から、xは2〜4の整数が好ましく、2がより好ましい。xが4を超えると、熱的に不安定となる傾向があり、xが1であるとアルキルフェノール・塩化硫黄縮合物中の硫黄含有率(硫黄の質量)が少なくなる。ゴム中への分散性が良い点から、Rは、好ましくは炭素数5〜12のアルキル基、より好ましくは炭素数6〜9のアルキル基である。アルキルフェノール・塩化硫黄縮合物の具体例としては、nが0〜10、xが2、RがC17のアルキル基で、硫黄含有率が24質量%のタッキロールV200(田岡化学工業(株)製)が挙げられる。
本発明のゴム組成物には、前記成分以外にも、従来ゴム工業で使用される配合剤、軟化剤(パラフィン系、アロマ系、ナフテン系のプロセスオイル等のオイル、可塑剤等)、ステアリン酸、酸化亜鉛、各種老化防止剤、ワックス、硫黄又は硫黄化合物等の加硫剤、加硫促進剤、加硫促進補助剤などを必要に応じて適宜配合することができる。
加硫剤として硫黄を用いる場合、硫黄の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.3質量部以上、より好ましくは0.5質量部以上である。また、該含有量は、好ましくは3.0質量部以下、より好ましくは2.7質量部以下である。0.3質量部未満では、加硫速度が遅く、加硫不足になる傾向があり、3.0質量部を超えると、加硫速度が速くなり、スコーチングする傾向がある。
加硫促進剤としては、N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(TBBS)、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(CBS)、N,N’−ジシクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(DZ)、メルカプトベンゾチアゾール(MBT)、ジベンゾチアゾリルジスルフィド(MBTS)、ジフェニルグアニジン(DPG)などが挙げられる。なかでも、適切な加硫速度が得られるという理由から、TBBS、CBSなどのスルフェンアミド系の加硫促進剤が好ましい。
加硫促進剤の配合量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1.0質量部以上である。また、該配合量は、好ましくは3.0質量部以下、より好ましくは2.0質量部以下である。0.5質量部未満では、加硫速度が遅く、加硫不足になる傾向があり、3.0質量部を超えると、加硫速度が速くなり、スコーチングする傾向がある。
本発明のゴム組成物は、一般的な方法で製造される。すなわち、バンバリーミキサーやニーダー、オープンロールなどで前記各成分を混練りし、その後加硫する方法等により製造できる。
本発明のゴム組成物は、タイヤ内腔面をなすように形成されるインナーライナーに使用されるもので、この部材により、空気透過量を低減して、タイヤ内圧を保持することができる。具体的には、特開2008−291091号公報の図1、特開2007−160980号公報の図1〜2などに示される部材に使用される。
本発明の空気入りタイヤは、上記ゴム組成物を用いて通常の方法によって製造される。すなわち、必要に応じて各種添加剤を配合したゴム組成物を、未加硫の段階でタイヤのインナーライナーの形状に合わせて押し出し加工し、タイヤ成型機上にて通常の方法にて成形し、他のタイヤ部材とともに貼り合わせ、未加硫タイヤを形成する。この未加硫タイヤを加硫機中で加熱加圧してタイヤを製造できる。
本発明のインナーライナー用ゴム組成物を用いて作製したインナーライナー用ゴム組成物を有するタイヤは、乗用車用タイヤ、トラック・バス用タイヤに特に好適に使用できる。
実施例に基づいて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
以下、実施例及び比較例で使用した各種薬品について、まとめて説明する。
ブチル系ゴム:日本ブチル(株)製のButyl 268
天然ゴム(NR):RSS#3
1,2−シンジオタクチックポリブタジエン結晶を含むブタジエンゴム(SPB含有BR):宇部興産(株)製のVCR412(1,2−シンジオタタチックポリブタジエン結晶含有率:12質量%)
イソプレンゴム(IR):日本ゼオン(株)製のNIPOL IR2200
マイカ:(株)レプコ製のマイカ(雲母)S−200HG(フロゴバイト、平均粒子径:50μm、アスペクト比:55)
石炭ピッチ系炭素繊維(1):三菱化学(株)製のK6371T(チョップドファイバー、平均繊維径:11μm、平均繊維長:6.3mm)
石炭ピッチ系炭素繊維(2):日本グラファイトファイバー(株)製のGRANOC XN−80(チョップドファイバー、平均繊維径:10μm、平均繊維長:3.6mm)
石油ピッチ系炭素繊維:(株)クレハ製のクレカミルドM101T(平均繊維径18μm、平均繊維長100μm)
カーボンブラック:東海カーボン(株)製のシーストV(N660、NSA:27m/g)
ミネラルオイル:出光興産(株)製のダイアナプロセスPA32
ステアリン酸:日油(株)製の椿
酸化亜鉛:東邦亜鉛(株)製の銀嶺R
硫黄:鶴見化学工業(株)製の5%オイル処理粉末硫黄
加硫促進剤:大内新興化学工業(株)製のノクセラーDM(ジ−2−ベンゾチアゾリルジスルフィド)
V200:田岡化学工業(株)製のタッキロールV200
実施例1〜6及び比較例1〜4
表1に示す配合処方にしたがい、バンバリーミキサーを用いて、硫黄、加硫促進剤及びV200以外の材料を混練りし、混練り物を得た。次に、オープンロールを用いて、得られた混練り物に硫黄、加硫促進剤及びV200を添加して混練りし、未加硫ゴム組成物を得た。得られた未加硫ゴム組成物を170℃で12分間プレス加硫することにより、各加硫ゴム組成物を作製した。
また、得られた未加硫ゴム組成物をタイヤ成型機上にてインナーライナー形状に成形し、他のタイヤ部材と貼り合わせて得られた未加硫タイヤを、170℃及び25kgf/cmの条件で12分間プレス加硫することにより、実施例1〜6及び比較例1〜4の試験用タイヤを作製した(タイヤサイズ:195/65R15)。
上記の条件で作製した加硫ゴム組成物及び試験用タイヤを用いて、以下の試験を行った。
(耐空気透過性)
ASTM D−1434−75M法にしたがい、加硫ゴム組成物(加硫ゴムシート)の空気透過量を測定した。比較例1の耐空気透過性指数を100とし、下記計算式により、各配合の空気透過量を指数表示した。なお、耐空気透過性指数が大きいほど、加硫ゴムシートの空気透過量が小さく、耐空気透過性が向上し、好ましいことを示す。
(耐空気透過性指数)=(比較例1の空気透過量)/(各配合の空気透過量)×100
(粘弾性試験)
(株)岩本製作所製の粘弾性スペクトロメーターVESを用いて、測定温度80℃、初期歪み10%、動歪み±2%、周波数10Hzの条件で、加硫ゴム組成物の損失正接(tanδ)を測定した。tanδが小さいほど転がり抵抗が小さく、低発熱性に優れることを示す。
(引張試験)
JIS K 6251「加硫ゴム及び熱可塑性ゴム−引張特性の求め方」に準じて、前記加硫ゴム組成物からなる3号ダンベル型試験片を用いて引張試験を実施し、破断時伸び(EB)及び破断強度(TB)を測定した。各単位は、EB(%)、TB(MPa)である。EB、TBが大きいほど、ゴム強度が高く、耐久性に優れることを示す。
(マシン耐久性指数)
温度80℃のオーブン内に1週間入れた試験用タイヤを、内圧200kPa、荷重340kgf(3334.261N)及び速度80km/hの条件で、走行中に空気圧を補填せずに走行させ、亀裂が発生してタイヤから空気が漏れはじめるまでの走行距離を求めた。検出精度5kPa以下で測定し、タイヤの内圧が初期状態の95%(190kPa)となったときを空気漏れの発生とした。タイヤの内圧が低下すると、タイヤの耐久性も低下する。比較例1において空気漏れが発生するまでの走行距離を100とし、下記計算式により、各配合のマシン耐久性を指数表示した。なお、マシン耐久性指数が大きいほど、インナーライナーの耐久性が優れていることを示す。
(マシン耐久性指数)
=(各配合における空気漏れが発生するまでの走行距離)/(比較例1における空気漏れが発生するまでの走行距離)×100
Figure 0005421024
表1から、平均繊維径及び平均繊維長を有する石炭ピッチ系炭素繊維を用いた実施例1〜6では、比較例1(石炭ピッチ系及び石油ピッチ系炭素繊維を添加せず)と比較して、破断時伸び、破断強度を維持しつつ、耐空気透過性、低発熱性、マシン耐久性が向上していた。また、石油ピッチ系炭素繊維を使用した比較例2〜4では、実施例1〜6のような性能の向上は見られず、また、石油ピッチ系炭素繊維の含有量が増えるにつれて、特性が悪化する傾向があった。

Claims (7)

  1. ブチル系ゴムと、天然ゴム、イソプレンゴム及びブタジエンゴムからなる群より選択される少なくとも1種とを含むゴム成分100質量部に対して、石炭ピッチ系炭素繊維を5〜45質量部含有するインナーライナー用ゴム組成物。
  2. 前記ゴム成分100質量%中、前記ブチル系ゴムの含有量が30〜80質量%であり、前記天然ゴム、前記イソプレンゴム及び前記ブタジエンゴムからなる群より選択される少なくとも1種の合計含有量が20〜70質量%である請求項1記載のインナーライナー用ゴム組成物。
  3. 前記石炭ピッチ系炭素繊維は、平均繊維径が1〜80μm、平均繊維長が0.1〜30mmである請求項1又は2記載のインナーライナー用ゴム組成物。
  4. カーボンブラック及び/又はマイカを含有する請求項1〜3のいずれかに記載のインナーライナー用ゴム組成物。
  5. フェノール系樹脂及び/又はクレゾール系樹脂を含有する請求項1〜4のいずれかに記載のインナーライナー用ゴム組成物。
  6. 硫黄及び加硫促進剤を含有する請求項1〜5のいずれかに記載のインナーライナー用ゴム組成物。
  7. 請求項1〜のいずれかに記載のゴム組成物を用いて作製したインナーライナーを有する空気入りタイヤ。
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