JP5418465B2 - 不定形耐火物の施工装置および施工方法 - Google Patents

不定形耐火物の施工装置および施工方法 Download PDF

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Description

本発明は、不定形耐火物の施工装置および施工方法に関し、特に、容器の内周面をライニングするための不定形耐火物の施工装置および施工方法に関する。
耐火物は、溶融金属をはじめとする高温物質の処理および保持には欠かせない部材である。例えば、溶銑や溶鋼の運搬や精錬に用いられる取鍋、鋼の連続鋳造工程で使用されるタンディッシュのような、溶融金属処理用の容器では、鉄皮の内面に耐火物がライニングされている。このような溶融金属処理用の容器のライニング用耐火物としては、れんがが用いられるか、または、キャスタブルおよびモルタルなどの粉体または練り土状の耐火物である不定形耐火物が用いられる。
ここで、溶融金属処理用の容器を、れんがによってライニングする場合、れんが同士の間に隙間が生じるため、この隙間をモルタルなどによって埋める。しかし、容器の内容物である高温の溶融金属の出入りによって加えられる熱衝撃のために、使用中にモルタルが劣化および欠損して、目地切れと呼ばれる現象が発生する。この目地切れは、溶融金属の漏出につながるおそれがある。また、れんがを用いたライニングの施工は、手作業であるため施工に時間がかかる。
一方、溶融金属処理用の容器を、不定形耐火物によってライニングする場合、れんがの場合のような目地切れの問題は発生しない。この場合、熱衝撃に対する耐久性および耐溶損性を得るために、吹き付けなどの他の施工方法よりも、流し込みによって施工することが望ましい。さらに、ライニングされた耐火物は、熱膨張による迫り出しや破壊を防ぐために、目地のない一体構造、または容器の内面に対して垂直な境界を有するブロックの組み合わせ構造とすることが望ましい。
このような条件を満たす不定形耐火物の施工方法が、種々提案されている。例えば、特許文献1には、容器の深さと略同一の高さを有する筒状の型枠(以下、「中子」ともいう。)を用いて、容器内面のライニングを一括して施工する技術が記載されている。また、特許文献2には、容器の深さよりも小さい高さを有する筒状の型枠を用いて、容器の内周面のライニングを容器の下部から上部に向かって段階的に行う技術が記載されている。また、特許文献3には、無端ベルトを用いた移動型枠装置によって、容器の内周面のライニングを周方向に分割して、分割された部分ごとに、容器の下部から上部に向かってライニングを行う技術が記載されている。
特開平8−159667号公報 特開2008−164255号公報 特開2005−308285号公報
ところが、不定形耐火物がライニングされる容器内面の設計上の形状と実際の形状との間には、ずれが生じている場合がある。例えば、設計上の横断面形状が円形である取鍋では、高温の溶銑や溶鋼の運搬や加工に使用される結果、実際の横断面形状が、変形して卵形になったり、部分的な凹みが見られる場合がある。特許文献1および2に記載の技術では、容器の内周面の全周にわたって固定された型枠が用いられるため、このような容器形状の歪みに対応することが難しく、容器の部分によってライニングの厚さにばらつきが生じる。特に、ライニングの設計上の厚さが薄い場合(100mm以下程度)には、上記の誤差によって容器の耐久性および耐溶損性に影響が出るおそれがある。そのため、薄いライニングには、上述の問題点に関わらず、れんがが用いられることも多かった。
一方、特許文献3に記載の技術では、容器の内周面を周方向に分割し、分割されたそれぞれの部分に対して上下方向に移動可能な移動型枠装置が用いられるため、容器の部分的な形状の変化にはある程度対応することが可能であると考えられる。しかし、この移動型枠装置は、容器の内周面の曲率に対応した形状のフレームを有する構造であるため、内周面の曲率が異なる別の容器をライニングする場合、フレームを含め多くの部材を交換する必要があり、対応が困難である。なお、特許文献1および2に記載の技術でも、内周面の曲率に対応した形状の型枠部材が多く用いられるため、同様に内周面の曲率の変更への対応は困難である。さらに、特許文献3に記載の技術において用いられる移動型枠装置では、容器の内周面に対向する正面側では円弧状に、その背面側では直線状にそれぞれ配置されたローラに、複数の無端ベルトが、互いの端部を重複させて張架される。このとき、正面側と背面側とで無端ベルト相互の重複幅が変化するため、無端ベルトが幅方向で相互に摺動し、ライニング材を噛み込んでしまうおそれがある。無端ベルト同士の間にライニング材が噛み込まれてしまうと、無端ベルトの動きを制御することが困難になる。
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、容器の内周面に所望の厚さのライニングを安定して施工し、内周面の曲率が異なる容器にも容易に対応することが可能な、新規かつ改良された不定形耐火物の施工装置および施工方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、容器の内周面を不定形耐火物でライニングする施工装置であって、回転軸に交換可能に装着される複数の回転体からなり、内周面の曲率に対応するエンタシス形状を有する複数のベルトローラと、複数のベルトローラに張架される無端ベルトと、内周面に対向して上下方向に配列されるように、複数のベルトローラを支持する支持手段と、支持手段を内周面に沿って少なくとも上下方向に移動させる移動手段と、複数のベルトローラのうちの少なくとも1つの回転軸を回転させるベルトローラ駆動手段とを備え、ベルトローラ駆動手段によって回転軸が回転されるベルトローラを構成する複数の回転体は、回転軸とともに回転する第1の回転体と、回転軸に対して回転自在に設けられる第2の回転体とを含むことを特徴とする施工装置が提供される。
複数の回転体のうち、軸方向端部側の回転体の幅は、軸方向中央部の回転体の幅よりも狭くてもよい。
施工装置は、内周面に施工されたライニングから無端ベルトが離れる位置で、無端ベルトに付着したライニング材を除去し、施工されたライニングに対向する面を有するスクレーパをさらに備えてもよい。
移動手段は、容器の底部に設けられた基台上に回転可能に立設される支柱と、支柱に対して昇降可能に設けられる昇降機構と、昇降機構と支持手段とを連結する昇降架台とを含み、支持手段は、複数のベルトローラを内周面に対して接近または離隔させる押付機構を含み、施工装置は、無端ベルトの側端部と内周面との間に配置される側型枠部材をさらに備えてもよい。
側型枠部材に材料付着防止装置が設けられてもよい。
材料付着防止装置が、スリットエア装置または振動装置のいずれかまたは両方であってもよい。
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、上記施工装置を用いた施工方法であって、(a)内周面の曲率に応じて選定された複数の回転体を用いて、複数のベルトローラを組み立てる工程と、(b)無端ベルトの上記容器の内周面に対向する面である型枠面が、容器の最下部において内周面に所定の間隔で対向するように、複数のベルトローラおよび無端ベルトを配置する工程と、(c)型枠面と内周面との隙間にライニング材を流し込む工程と、(d)(c)工程において流し込まれたライニング材の硬化後に、ベルトローラ駆動手段によって複数のベルトローラのうちの少なくとも1つの回転軸を回転させることで無端ベルトを周動させつつ、移動手段によって支持手段を内周面に沿って上昇させながら、型枠面と内周面との隙間にライニング材を流し込む工程とを含むことを特徴とする施工方法が提供される。
施工方法は、(e)(d)工程において流し込まれたライニング材の硬化後に、移動手段によって支持手段を内周面の周方向に移動させる工程をさらに含み、(b)工程、(c)工程、(d)工程および(e)工程を繰り返すことによって、内周面を全周にわたって不定形耐火物でライニングしてもよい。
(c)工程および(d)工程において、急結剤を混合しながらライニング材を流し込んでもよい。
上記構成によれば、無端ベルトによって形成される型枠が容器の内周面に沿って移動するため、容器の部分的な形状の変化に対応した位置に型枠を配置することができる。また、ベルトローラがエンタシス形状であるため、内周面に対向する正面側とその背面側とで対称の形状に無端ベルトが張架され、無端ベルトを安定して回転させることができる。さらに、ベルトローラを構成する回転体を交換することによって、ベルトローラの曲率を容易に変更することができ、任意の曲率の容器に柔軟に対応できる。従って、上記構成によれば、容器の内周面に所望の厚さのライニングを安定して施工し、内周面の曲率が異なる容器にも容易に対応することができる。
以上説明したように本発明によれば、容器の内周面に所望の厚さのライニングを安定して施工し、内周面の曲率が異なる容器にも容易に対応することができる。従って、容器のサイズ、およびライニングの厚さが様々である場合において、耐久性および耐溶損性に優れた不定形耐火物のライニングを容易に施工することができる。
本発明の第1の実施形態に係る施工装置を示す平面図である。 同実施形態に係る施工装置を示す側面図である。 同実施形態に係る施工装置が上昇した状態を示す側面図である。 同実施形態に係るベルトローラの例を示す平面図である。 図4に示すベルトローラのI−I線断面図である。 同実施形態に係るベルトローラの別の例を示す平面図である。 同実施形態に係る施工装置を用いた不定形耐火物の施工方法を示すフローチャートである。 本発明の第2の実施形態に係る施工装置を示す側面図である。 本発明の第3の実施形態に係る施工装置を示す側面図である。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
<1−1.施工装置の構成>
まず、図1〜図3を参照して、本発明の第1の実施形態に係る施工装置の構成について説明する。図1は、本実施形態に係る施工装置1aを示す平面図である。図2は、本実施形態に係る施工装置1aを示す側面図である。図3は、図2に示す施工装置1aが上昇した状態を示す側面図である。
施工装置1aは、溶鋼鍋2(容器)の内周面2sにライニング3を施工する。ライニング3を構成するライニング材は、ライニング材供給手段4によって供給される。施工装置1aは、ベルトローラ10、無端ベルト20、支持手段30、移動手段40a、回転モータ50(ベルトローラ駆動手段)、側型枠部材60、およびスクレーパ70を含む。以下に各部の構成について詳述する。なお、説明の便宜上、図2および図3の側面図においては、手前側にある側型枠部材60が省略されている。
溶鋼鍋2は、略円形の横断面形状を有し、上部に行くほど拡径する鉄皮構造を有する容器である。溶鋼鍋2には、1層または複数層のライニングが施工される。1層目のライニングの場合、溶鋼鍋2を構成する鉄皮の内側表面である内周面2sにライニング3が施工される。2層目以降のライニングの場合、既に施工されたライニングの表面にライニング3が施工される。
ライニング3は、耐火物原料(不定形耐火物)に、耐火物原料を硬化させるためのバインダー、分散剤、および急結剤または硬化遅延剤などの薬品を混合したライニング材によって構成される。ライニング材は、流動性を有する状態で、ライニング材供給手段4によって供給され、その後、時間の経過によって硬化する。耐火物原料としては、例えば、アルミナ質、シリカ質、アルミナ−シリカ質、アルミナ−スピネル質、アルミナ−マグネシア質、アルミナ−カーボン質、アルミナ−SiC質、アルミナ−SiC−カーボン質、マグネシア質、マグネシア−カーボン質、カーボン質、炭化ケイ素質、窒化ケイ素質、ジルコニア質、カルシア質、ドロマイト質、クロム、クロム−マグネシア質、マグネシア−ライム質、もしくはマグネシア−アルミナ質、またはこれらの組み合わせが用いられる。バインダーとしては、例えば、アルミナセメント、リン酸塩、ケイ酸ソーダ、粘土、樹脂、またはピッチが用いられる。分散剤は、ライニング材の水分を低減させる薬品であり、例えば、リン酸塩系(ピロリン酸ソーダ、トリポリリン酸ソーダ、ヘキサメタリン酸ソーダ、酸性ピロリン酸ソーダ、ウルトラポリリン酸ソーダ)、カルボン酸系(クエン酸ソーダ、グルコン酸ソーダ)、アクリル酸系(ポリアクリル酸ソーダ、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル)、もしくはその他(ポリアルコール系、リグニンスルホン酸系)またはこれらの組み合わせが用いられる。急結剤および硬化遅延剤は、ライニング材の硬化のタイミングを調整するための薬品であり、急結剤としては、例えば、Na、K、もしくはCaの水酸化物、NaもしくはKのケイ酸塩、希硫酸、0.5〜1.0質量%程度の硫酸塩、硝酸塩、Li塩、トリエタノールアミンなどの有機塩基、ポルトランドセメント、またはアルミナセメント水和物などが用いられる。硬化遅延剤としては、例えば、MgもしくはBaの水和物、Na、K、Ba、MgもしくはCaの塩化物、0.25質量%以下の硫酸塩、硝酸塩、クエン酸、酒石酸、グルコース酸の塩、ホウ砂、鉛の塩、リン酸塩、糖類、小麦粉、グリセリン、グルコース、またはセルロースなどが用いられる。これらの薬品は、事前にバインダー中または耐火物原料中に混合されてもよく、ライニング材の混練時に添加されてもよく、また混練されたライニング材に流し込み直前に添加されてもよい。
ベルトローラ10は、内周面2sの曲率に対応するエンタシス形状を有するローラである。ここで、エンタシス形状とは、軸方向中央部が端部側よりも膨らんだ柱形状である。このようなエンタシス形状を有するベルトローラ10の断面は、両端の直線に、外側に向かって膨らんだ2つの円弧を組み合わせたような形状である。この2つの円弧に共通する曲率を、エンタシス形状が有する曲率とする。この曲率は、施工装置1aによってライニングが施工される溶鋼鍋2の内周面2sの曲率に対応する曲率である。内周面2sの曲率に対応する曲率とは、内周面2sの曲率半径から施工厚みを引き算した曲率半径からなる曲率を指す。ベルトローラ10には、無端ベルト20が張架される。また、ベルトローラ10は、支持手段30によって支持される。また、ベルトローラ10は、少なくとも2つ、内周面2sに沿って上下方向に配列され、最も下に位置するベルトローラ10の回転軸には回転モータ50が接続される。なお、施工装置1aは、3つのベルトローラ10を備えるが、施工装置1には、2つ、または4つ以上のベルトローラが備えられてもよい。このベルトローラ10の詳細な構成については後述する。
無端ベルト20は、伸縮性を有するゴム素材からなる無端状のベルトである。無端ベルト20は、内周面2sに沿って上下方向に配列されたベルトローラ10に張架され、内周面2sから所定の寸法だけ離間した型枠面20sを形成する。この型枠面20sと、内周面2sとの間に、ライニング材供給手段4によってライニング材が流し込まれる。無端ベルト20は、単一であってもよいし、複数であってもよい。無端ベルト20が複数である場合、それぞれの無端ベルト20は、互いの端部を重複させてベルトローラ10に張架されるが、ベルトローラ10がエンタシス形状であるため、内周面2sに対向する正面側とその背面側とで無端ベルト20の重複幅は変化しない。従って、無端ベルト20が複数である場合にも、無端ベルト20が幅方向で相互に摺動し、ライニング材が噛み込まれるおそれは少ない。
支持手段30は、ベルトローラ10を含む部材を支持し、これらの部材を移動手段40aに連結する。支持手段30は、型枠支持部材31、押付機構32、および押付機構支持部材33を含む。型枠支持部材31は、押付機構32によって支持され、ベルトローラ10、回転モータ50、側型枠部材60、およびスクレーパ70を支持する。型枠支持部材31は、さらに、ライニング材供給手段4によって流し込まれたライニング材の飛沫が、押付機構32および移動手段40の方向に飛散するのを抑える。押付機構32は、押付機構支持部材33に、油圧シリンダなどを介して進退自在に設けられ、型枠支持部材31を支持する。この押付機構32によって、支持手段30、ベルトローラ10、無端ベルト20、回転モータ50、側型枠部材60、およびスクレーパ70(以下、「型枠体」と総称する場合がある。)は、内周面2sに対して接近または離隔される。押付機構32と型枠支持部材31との間は、球面座によって接続されるため、押付機構32と型枠支持部材31との角度が自由に可変される。かかる構造によって、型枠支持部材31の四隅にそれぞれ接続された4つの押付機構32のそれぞれによる押付量を調整し、型枠支持部材31が内周面2sに向かう角度を調整することが可能である。従って、図3に示されるように、型枠体が溶鋼鍋2の下部から上部へ上昇するときに、内周面2sのテーパーに対応して型枠面20sを配置し、型枠面20sと内周面2sとの間隔を維持することができる。また、溶鋼鍋2の形状に歪みが生じているような場合にも、歪みに対応して型枠面20sを内周面2sに接近または離隔させ、ライニングの厚さにおける誤差を小さくすることができる。押付機構支持部材33は、移動手段40aの昇降架台44aによって支持され、押付機構32を進退自在に支持する。
移動手段40aは、内周面2sに沿って、ライニング3の施工位置に型枠体を移動させる。この移動手段40aは、基台41a、支柱42a、昇降機構43a、および昇降架台44aを含む。基台41aは、溶鋼鍋2の底部に設置される円形板状体であり、施工装置1a全体の荷重を支持する。支柱42aは、基台41aの円形板状体の中心に回転可能に立設される柱状体であり、昇降機構43aを支持する。昇降機構43aは、支柱42aに対して昇降可能に設けられ、昇降架台44aを支持する筒状の機構である。昇降架台44aは、昇降機構43aと支持手段30とを連結する。かかる移動手段40aにおいては、昇降機構43aを支柱42aに対して昇降させることによって、昇降機構43aによって支持される昇降架台44aが昇降し、昇降架台44aに連結された支持手段30が内周面2sに沿って上下方向に移動する。また、支柱42aを基台41aに対して回転させることによって、支柱42aによって支持される昇降機構43a、昇降架台44aが回転し、昇降架台44aに連結された支持手段30が内周面2sに沿って周方向に移動する。
回転モータ50は、ベルトローラ10を回転させるための駆動手段である。この回転モータ50は、型枠支持部材31に設置され、内周面2sに沿って上下方向に配列されたベルトローラ10のうち、最も下に位置するベルトローラ10の回転軸に動力を伝え、該回転軸を回転させるように接続される。
側型枠部材60は、型枠支持部材31に着脱可能に設けられ、型枠面20sの側端において、無端ベルト20と内周面2sとに接する。側型枠部材60が無端ベルト20および内周面2sと接する部分は、それぞれ円筒状のゴムによってシールされている。また、側型枠部材60には、ライニング材の付着を防止する材料付着防止機構が設けられる。材料付着防止機構は、スリットエア装置または振動装置のいずれかまたは両方である。スリットエア装置は、側型枠部材60の内側の面に対して、上方からスリットエアを吹き付ける装置であり、振動装置は、側型枠部材60の内側に配置された振動板を振動させる装置である。
スクレーパ70は、型枠支持部材31に設置され、無端ベルト20の下端、すなわち、無端ベルト20が施工されたライニング3から離れる部分で、無端ベルト20に付着したライニング材を除去する。スクレーパ70の、施工されたライニング3に対向する面の角度は、自由に設定されうるが、特に、この面がライニング3に対して平行である場合には、無端ベルト20の形状によらず、ライニング3の下端においても高さ方向に直線壁を形成することが可能であり、ライニング3の厚み精度を向上できる。この場合、スクレーパ70が上昇中にライニング3と接触しないようにする目的から、スクレーパ70の面の位置は、無端ベルト20によって形成される型枠面の延長線の位置から2mm程度後退した位置とすることが好ましい。
<1−2.ベルトローラの構成>
次に、図4〜図6を参照して、本発明の第1の実施形態に係るベルトローラの構成について説明する。
図4は、本実施形態に係るベルトローラ10の例として、ベルトローラ10aを示す平面図である。図5は、ベルトローラ10aのI−I線断面図である。図4および図5に示すように、ベルトローラ10aは、回転軸11、駆動回転体12(第1の回転体)、自由回転体13(第2の回転体)、座金14、受け金物15、および固定金物16を含む。以下に各部の構成について詳述する。
ベルトローラ10を構成する駆動回転体12および自由回転体13(以下、「回転体」と総称する場合がある。)は、全体として図示されるようなエンタシス形状を有する。そのため、各回転体の間では径が異なり、軸方向端部側に配置される回転体ほど、軸方向中央部に位置される回転体よりも径が小さくなる。また、各回転体の中でも径が変化し、軸方向中央部から軸方向端部側に向かって径が小さくなる。各回転体がこのような形状を有することによって、連続的に径が変化するエンタシス形状のベルトローラ10が構成される。
回転軸11は、駆動回転体12、自由回転体13、座金14、受け金物15、および固定金物16を貫通する。回転軸11には、図示しないピン穴が設けられ、受け金物15および固定金物16は、このピン穴にピンを通すことによって回転軸11に固定される。
駆動回転体12は、固定金物16を介して回転軸11に固定される。駆動回転体12の側面には、固定金物16の形状に対応した形状の凹部が設けられ、固定金物16が、この凹部に嵌合される。かかる構造によって、駆動回転体12は、回転軸11とともに回転する。回転軸11から駆動回転体12に伝達された駆動力は、摩擦力によって、ベルトローラ10に張架される無端ベルト20に伝えられる。駆動回転体12の表面には、この駆動力の伝達を促進し、無端ベルト20の位置ずれを防ぐために、回転方向に凹状の溝が設けられる。
自由回転体13は、回転軸11に対して回転自在に設けられる。自由回転体13は、回転軸11とは独立して、ベルトローラ10に張架される無端ベルト20から伝えられる摩擦力によって回転する。ここで、駆動回転体12および自由回転体13のそれぞれの間には、回転軸11に対して回転自在な座金14が介される。この座金14によって回転の縁切りがされるため、自由回転体13は、隣接する駆動回転体12または他の自由回転体13の回転とも独立して回転する。従って、複数の自由回転体13は、互いに異なる回転速度で回転することが可能である。ベルトローラ10において、回転体の径は軸方向中央部と軸方向端部付近とで異なるため、各回転体の周長は互いに異なり、それゆえ各回転体の周速度も互いに異なる。そのため、上記のように自由回転体13が自由に回転する構造によって、異なる周速度の自由回転体13が互いに影響しあうことがなくなり、結果としてベルトローラ10に張架される無端ベルト20の周動が安定する。
ここで、ベルトローラ10aは、軸方向中央部に配置される駆動回転体12aと、駆動回転体12aの両側に対称的に配置される自由回転体13a〜13eとを有する。軸方向端部側では、軸方向中央部に比べて、軸方向長さあたりの回転体の径の変化が大きくなるため、駆動回転体12a、および自由回転体13a〜13eでは、軸方向端部側に配置される回転体ほど、軸方向中央部に配置される回転体よりも幅が狭くなっている。
図6は、本実施形態に係るベルトローラ10の別の例として、ベルトローラ10bを示す平面図である。ベルトローラ10bは、軸方向中央部と軸方向端部の間付近に対称的に配置される2つの駆動回転体12bと、駆動回転体12bの前後に対称的に配置される自由回転体13f,13gとを有する。駆動回転体12b、および自由回転体13f,13gは、互いに略同一の幅である。
以上で説明されたベルトローラ10の例のうち、例えば、無端ベルト20が1本である場合には、駆動回転体12が1つだけ配置されたベルトローラ10aを用いることが好ましい。また、無端ベルト20が2本である場合には、駆動回転体12が2つ配置されたベルトローラ10bを用いることが好ましい。しかし、この例に限られず、無端ベルト20が1本である場合にベルトローラ10bが用いられてもよいし、無端ベルト20が2本である場合にベルトローラ10aが用いられてもよい。駆動回転体12の数は、3つ以上であってもよい。また、各回転体の幅は、駆動回転体12の数には関係なく、自由に設定されてもよい。
施工装置1に複数設けられるベルトローラ10は、そのすべてが同じ構造を有していてもよいし、またそれぞれ異なる構造を有してもよい。例えば、施工装置1aに設けられる3つのベルトローラ10のうち、上下の2つがベルトローラ10aであり、中央の1本がベルトローラ10bであってもよい。また、回転モータ50によって回転軸11が回転されるベルトローラ10以外のベルトローラ10は、必ずしも駆動回転体12を含まなくてもよく、例えば自由回転体13だけで構成されていてもよい。
<1−3.不定形耐火物の施工方法>
次に、図7を参照して、本発明の第1の実施形態に係る施工装置1を用いた不定形耐火物の施工方法について説明する。図7は、本実施形態に係る施工装置1を用いた不定形耐火物の施工方法を示すフローチャートである。
まず、回転軸11に、駆動回転体12および自由回転体13を装着して、ベルトローラ10を組み立てる(ステップS101)。ここで用いられる回転体は、内周面2sの曲率に応じて選定されたものである。ここで選定される回転体を変更することによって、異なる曲率を有する内周面に対応するベルトローラ10を用意することが可能である。
次に、組み立てられた複数のベルトローラ10を含む施工装置1aが、溶鋼鍋2に設置される。このとき、支柱42aは、溶鋼鍋2の中心軸と重なるように設置され、押付機構32は、型枠体を内周面2sから離隔させている。さらに、必要であれば昇降機構43aを駆動して、型枠体を溶鋼鍋2の最下部に配置する(ステップS103)。
次に、無端ベルト20の型枠面20sが内周面2sに所定の間隔で対向するように、型枠体が内周面2sに接近する(ステップS105)。このとき、押付機構32は、側型枠部材60が内周面2sに接触する程度まで型枠体を内周面2sに接近させる。
次に、型枠面20sと、内周面2sとの隙間に、ライニング材供給手段4によってライニング材が流し込まれる(ステップS107)。このとき、型枠面20sおよび内周面2sを正面および背面、側型枠部材60を両側面、溶鋼鍋2の底部を底面として、ライニング材が流し込まれるライニング空間が形成されている。なお、本実施形態において流し込まれるライニング材の温度は、0℃〜50℃の範囲で施工が可能であり、好ましくは10℃〜30℃である。
続いて、ステップS107で流し込まれたライニング材の硬化後に、回転モータ50が起動し(ステップS109)、昇降機構43aによって、型枠体が内周面2sに沿って上昇する(ステップS111)。なお、ライニング材の硬化は、事前の試験によって計測された硬化時間によって判定される。このとき、押付機構32は、型枠支持部材31が内周面2sに向かう角度を調節し、無端ベルト20の面と内周面2sとの間隔を所定の間隔に保つ。
ここで、回転モータ50の回転は、ベルトローラ10の回転軸11および駆動回転体12を介して無端ベルト20に伝達され、無端ベルト20は、ベルトローラ10に張架された状態で周動する。回転モータ50の回転の向きは、型枠面20sで無端ベルト20が下向きに移動する向きである。回転モータ50の回転数は、型枠面20sの移動速度が型枠体の上昇速度と一致するか、またはこれよりもやや大きくなるように設定される。型枠面20sの移動速度が型枠体の上昇速度と一致する場合、型枠面20sとライニング3との間には摩擦が発生しないため、型枠体の上昇は、施工されたライニング3に影響しない。また、型枠面20sの移動速度が型枠体の上昇速度よりもやや大きい場合、型枠面20sとライニング3との間には摩擦が発生するものの、ライニング3に加わる摩擦力は、下向き、つまり既に施工されたライニング3が下方に押し付けられる向きであるため、ライニング3を剥離させるおそれは少ない。
上記のステップS109およびステップS111と並行して、またはこれらのステップと交互に、型枠体の上昇によって新たに生じる型枠面20sと内周面2sとの隙間に、ライニング材供給手段4によってライニング材が流し込まれる(ステップS113)。このとき、型枠面20sおよび内周面2sを正面および背面、側型枠部材60を両側面、既に施工されたライニング3を底面として、ライニング空間が形成されている。ここで、ライニング材の打設面の上昇速度は、型枠体の上昇速度と一致させる。ライニング材の打設面の上昇速度は、ライニング材の硬化時間およびライニング材の流し込み量に基づいて算出される。
上記のステップS113によって、溶鋼鍋2の上端までライニング3を施工する。ライニング3の施工が終了した後も、引き続き無端ベルト20を周動させながら型枠体を上昇させ、施工されたライニング3を型枠面20sから離脱させる(以下、「脱枠」ともいう)。脱枠後に、無端ベルト20の周動および型枠体の上昇が停止し、押付機構32が型枠体を内周面2sから離隔させる(ステップS115)。このように、型枠体を上昇させながら脱枠することによって、脱枠時にライニング3が型枠面20sに付着して剥離することを防ぎ、施工されたライニング3の形状がより安定する。しかし、脱枠の方法はこれには限られず、例えば、溶鋼鍋2の上端までライニング材が流し込まれた時点で無端ベルト20の周動および型枠体の上昇を停止し、ライニング材の硬化後に、押付機構32が型枠体を内周面2sから離隔されることによって脱枠が行われてもよい。
上記のステップS103〜ステップS115によるライニング3の施工を、内周面2sの全周にわたってライニング3が施工されるまで繰り返す(ステップS117)。内周面2sの全周にライニング3が施工済ではない場合、支柱42aが回転し、型枠体が内周面2sに沿って周方向に移動する(ステップS119)。続いて、ステップS103〜ステップS115が繰り返される。
ここで、ステップS119における移動の結果、型枠面20sは、既に施工されたライニング3にやや重複する位置に配置される。このとき、型枠面20sが既に施工されたライニング3に重複する側の側型枠部材60は取り外され、取り外された側型枠部材60に代わって、既に施工されたライニング3の側面が、ライニング材が流し込まれるライニング空間の側面になる。最後に残った部分にライニング3を施工する際には、両側の側型枠部材60が取り外され、既に施工されたライニング3の側面が、ライニング空間の両側面になる。
<2.第2の実施形態>
続いて、図8を参照して、本発明の第2の実施形態について説明する。なお、本発明の第2の実施形態は、移動手段40の構成が本発明の第1の実施形態と相違するが、その他の機能構成については、第1の実施形態と略同一であるため、詳細説明を省略する。
図8は、本発明の第2の実施形態に係る施工装置1bを示す側面図である。移動手段40bは、基台41b、パンタグラフ42b、および旋回テーブル43bを含む。以下で各部の構成について詳述する。
基台41bは、溶鋼鍋2の底部に設置される板状体であり、施工装置1b全体の荷重を支持する。パンタグラフ42bは、基台41bに上下方向に伸縮自在に設けられ、旋回テーブル43bを支持する機構である。旋回テーブル43bは、パンタグラフ42b上に旋回自在に設けられ、支持手段30に連結される。かかる移動手段40bにおいては、パンタグラフ42bが基台41b上で伸縮することによって、パンタグラフ42bによって支持される旋回テーブル43bが昇降し、旋回テーブル43bに連結された支持手段30が内周面2sに沿って上下方向に移動する。また、旋回テーブル43bをパンタグラフ42bに対して旋回させることによって、旋回テーブル43bに連結された支持手段30が内周面2sに沿って周方向に移動する。
施工装置1bを用いた不定形耐火物の施工方法では、第1の実施形態で図7を参照して説明された施工方法のステップS103にあたる工程として、旋回テーブル43bが溶鋼鍋2の中心部に設置され、型枠体を溶鋼鍋2の最下部に配置するためにパンタグラフ42bが収縮する。また、ステップS111にあたる工程として、型枠体を内周面2sに沿って上昇させるためにパンタグラフ42bが伸長する。さらに、ステップS119にあたる工程として、型枠体を内周面2sに沿って周方向に移動させるために旋回テーブル43bが旋回する。
<3.第3の実施形態>
続いて、図9を参照して、本発明の第3の実施形態について説明する。なお、本発明の第3の実施形態は、支持手段30および移動手段40の構成が本発明の第1の実施形態と相違するが、その他の機能構成については、第1の実施形態と略同一であるため、詳細説明を省略する。
図9は、本発明の第3の実施形態に係る施工装置1cを示す側面図である。移動手段40cは、接地レール41c、外周レール42c、昇降レール43c、および昇降部材44cを含む。支持手段30の押付機構32は、押付機構支持部材33に代えて、昇降部材44cによって直接支持される。以下で各部の構成について詳述する。
接地レール41cは、溶鋼鍋2の底部に設置される円形の部材であり、上方に向かって凹状の縦断面形状を有するレールが周設される。このレールの凹部には、昇降レール43cの下端部の車輪が配置される。外周レール42cは、溶鋼鍋2の上端部に周設される環状の部材であり、環状の中心に向かって凹状の縦断面形状を有するレールが設けられる。このレールの凹部には、昇降レール43cの上端部の車輪が配置される。昇降レール43cは、下端部および上端部の車輪を介して接地レール41cおよび外周レール42cによって支持され、昇降部材44cを支持する。かかる構造によって、昇降レール43cは、溶鋼鍋2の内周面2sに沿って移動可能である。さらに、昇降レール43cには、内周面2sの傾斜に対応した傾斜がつけられている。昇降部材44cは、昇降レール43cに対して昇降可能に設けられ、押付機構32を支持する部材である。かかる移動手段40cにおいては、昇降部材44cが昇降レール43cに沿って昇降することによって、昇降部材44cによって支持される支持手段30が内周面2sに沿って上下方向に移動する。また、昇降レール43cを、接地レール41cおよび外周レール42cに従って移動させることによって、昇降レール43cに設けられた昇降部材44cが移動し、昇降部材44cによって支持される支持手段30が内周面2sに沿って周方向に移動する。
施工装置1cを用いた不定形耐火物の施工方法では、第1の実施形態で図7を参照して説明された施工方法のステップS103にあたる工程として、接地レール41cが溶鋼鍋2の中心部に、外周レール42cが溶鋼鍋2の上端部にそれぞれ設置され、型枠体を溶鋼鍋2の最下部に配置するために、昇降レール43cに沿って昇降部材44cが下降する。また、ステップS111にあたる工程として、型枠体を内周面2sに沿って上昇させるために、昇降部材44cが昇降レール43cに沿って上昇する。さらに、ステップS119にあたる工程として、型枠体を内周面2sに沿って周方向に移動させるために、昇降レール43cの下端部および上端部の車輪が、それぞれ接地レール41cおよび昇降レール42cの凹部において転動する。
以上で説明された本発明の第1〜第3の実施形態は、溶鋼鍋2の形状などに応じて使い分けられてもよい。例えば、溶鋼鍋2の横断面形状が円形に近く、移動手段40の回転によって型枠体を内周面2sの全周にわたって移動させることが可能な場合には、支柱を用いた回転によって構造を単純化できる第1の実施形態の構成が選択されてもよい。また、溶鋼鍋2の横断面形状が円形からはずれており、移動手段40が回転によって型枠体を内周面2sの全周にわたって移動させることが難しい場合には、移動手段40そのものを移動させることが比較的容易な第2の実施形態、または内周面2sに沿ってレールを設けることが可能な第3の実施形態の構成が選択されてもよい。
次に、本発明の実施例について説明する。本実施例では、上記の図1〜図3に示された施工装置1aを使用し、溶鋼鍋2の内周面2sに厚さ60mmの不定形耐火物のライニングを施工した。内周面2sの周長は12.5m、高さは4mである。ライニング材は、次の表1に示すような、耐火物原料としてアルミナマグネシアを含む原料の混合により製造されるものである。
表1に示されるライニング材の原料のうち、耐火物原料は、バインダーとともに10質量%の水によって混練され、タップフロー値250mm程度の流動性を発現するものであった。耐火物原料、バインダー、および水の混練物に対して2.0質量%のケイ酸ナトリウムが、急結剤として、ライニング材供給手段4の吐き出し口の直前でエアによって混合される。
このように、ライニング材に急結剤を混合することによって、ライニング材の硬化に要する時間が数時間から数分に短縮される。それゆえ、ライニング材が流し込まれてから数分で型枠体の上昇を開始させ、ライニング3の施工位置を上方に移動させることが可能になる。また、従来技術である中子を用いた場合には、本実施例とは逆にライニング材の硬化に時間をかける必要があるため、ライニング材に急結剤を混合することは適切ではない。従って、ライニング材への急結剤の混合は、本実施例に適した手法であるといえる。
施工装置1aのベルトローラ10は、曲率半径1940mmとなる円弧を含む断面を有するエンタシス形状となるように、回転軸11に駆動回転体12および自由回転体13を装着して構成される。ベルトローラ10は、上下600mmにわたって3つ配列され、そこに幅800mmの単一の無端ベルト20が張架される。従って、型枠面20sは、高さ600mm、幅800mmのサイズになる。また、型枠面20sは、内周面2sから60mm離間するように配置される。
移動手段40aの昇降機構43aは、50cm/min以下の範囲で可変する速度で型枠体を昇降させる。また、側型枠部材60には、材料付着防止装置として、スリットエア装置および振動装置が設置される。スリットエア装置は、0.7MPa以下の範囲で可変するエア圧力でスリットエアを吹き付ける。振動装置は、エアバイブレータを用い、450Hz(遠心力0〜33kNで連動)以下の範囲で可変する振動数で振動板を振動させる。
まず、型枠体を溶鋼鍋2の最下部に配置して、型枠面20sと内周面2sとの間にライニング材の流し込みを開始した。ライニング材の流し込みは、1箇所のライニング材供給手段4から、吐出量60kg/minで行った。このとき、スリットエア装置のエア圧力は0.4MPaとし、振動装置の振動数は350Hzとした。
事前のサンプルテストによって計測されたライニング材の硬化開始時間は、80秒程度であった。そのため、ライニング材の流し込み開始から90秒間、型枠体を溶鋼鍋2の最下部に静止させた状態を保った。その後、回転モータ50を起動して無端ベルト20を周動させ、昇降機構43aを起動して型枠体の上昇を開始した。無端ベルト20の周動によって型枠面20sが下向きに移動する速度と、型枠体が上昇する速度とは、ともに44cm/minとした。
無端ベルト20の周動と型枠体の上昇とが開始された後も引き続きライニング材の流し込みを継続し、ライニング材の打設面が内周面2sの上端に達した時点で、ライニング材の流し込みを停止した。無端ベルト20の周動と型枠体の上昇は、ライニング材の流し込みの停止後も継続し、ライニング3が脱枠した後に停止した。型枠体を溶鋼鍋2の最下部に配置し、ライニング材の流し込みを開始してから、無端ベルト20の周動と型枠体の上昇を停止するまで(以下、「1列分の施工」ともいう)の所要時間は約12分であった。
この後、型枠体を内周面2sに沿って周方向に移動させ、既にライニング3を施工した部分に隣接する部分で、型枠体を溶鋼鍋2の最下部に配置した。この工程(以下、「施工位置の移動」ともいう)の所要時間は約10分であった。
周長が12.5mである内周面2sの全周にライニング3を施工するために、上記の工程と同様の工程を繰り返して、16列分の施工を行った。これによって得られた溶鋼鍋2の内周面2sのライニングは、設計上の厚さである60mmに対する誤差が±5mm程度という、精度の高い厚さを有するものであった。また、上記の16列分の施工に、施工位置の移動を合わせた施工の所要時間は、約6時間であった。
なお、溶鋼鍋2と同様の溶鋼鍋を、従来技術であるれんがによってライニングした場合、施工の所要時間は約12時間である。また、同様の溶鋼鍋を、従来技術である中子を用いてライニングした場合、脱枠までの所要時間は約10時間であるが、ライニングの厚さに、設計上の厚さに対して±30mmの誤差が生じうる。
以上より、本実施例では、れんがによる施工に比べると、施工の所要時間が大幅に短縮され、また、中子を用いた施工に比べると、ライニングの厚さの精度が大幅に向上することが実証されたといえる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
1 施工装置
2 溶鋼鍋
2s 内周面
3 ライニング
10 ベルトローラ
11 回転軸
12 駆動回転体
13 自由回転体
20 無端ベルト
20s 型枠面
30 支持手段
32 押付機構
40 移動手段
41a 基台
42a 支柱
43a 昇降機構
44a 昇降架台
50 回転モータ
60 側型枠部材
70 スクレーパ

Claims (9)

  1. 容器の内周面を不定形耐火物でライニングする施工装置であって、
    回転軸に交換可能に装着される複数の回転体からなり、前記内周面の曲率に対応するエンタシス形状を有する複数のベルトローラと、
    前記複数のベルトローラに張架される無端ベルトと、
    前記複数のベルトローラが前記内周面に対向して上下方向に配列されるように、前記複数のベルトローラを支持する支持手段と、
    前記支持手段を前記内周面に沿って少なくとも上下方向に移動させる移動手段と、
    前記複数のベルトローラのうちの少なくとも1つの前記回転軸を回転させるベルトローラ駆動手段と、
    を備え、
    前記ベルトローラ駆動手段によって前記回転軸が回転されるベルトローラを構成する前記複数の回転体は、前記回転軸とともに回転する第1の回転体と、前記回転軸に対して回転自在に設けられる第2の回転体とを含むことを特徴とする施工装置。
  2. 前記複数の回転体のうち、軸方向端部側の回転体の幅は、軸方向中央部の回転体の幅よりも狭いことを特徴とする、請求項1に記載の施工装置。
  3. 前記内周面に施工されたライニングから前記無端ベルトが離れる位置で、前記無端ベルトに付着したライニング材を除去し、前記施工されたライニングに対向する面を有するスクレーパをさらに備えることを特徴とする、請求項1または2に記載の施工装置。
  4. 前記移動手段は、
    前記容器の底部に設けられた基台上に回転可能に立設される支柱と、
    前記支柱に対して昇降可能に設けられる昇降機構と、
    前記昇降機構と前記支持手段とを連結する昇降架台と、
    を含み、
    前記支持手段は、前記複数のベルトローラを前記内周面に対して接近または離隔させる押付機構を含み、
    前記無端ベルトの側端部と前記内周面との間に配置される側型枠部材をさらに備えることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の施工装置。
  5. 前記側型枠部材に材料付着防止装置が設けられることを特徴とする、請求項4に記載の施工装置。
  6. 前記材料付着防止装置が、スリットエア装置または振動装置のいずれかまたは両方であることを特徴とする、請求項5に記載の施工装置。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の施工装置を用いた施工方法であって、
    (a)前記内周面の曲率に応じて選定された前記複数の回転体を用いて、前記複数のベルトローラを組み立てる工程と、
    (b)前記無端ベルトの前記内周面に対向する面である型枠面が、前記容器の最下部において前記内周面に所定の間隔で対向するように、前記複数のベルトローラおよび前記無端ベルトを配置する工程と、
    (c)前記型枠面と前記内周面との隙間にライニング材を流し込む工程と、
    (d)前記(c)工程において流し込まれたライニング材の硬化後に、前記ベルトローラ駆動手段によって前記複数のベルトローラのうちの少なくとも1つの前記回転軸を回転させることで前記無端ベルトを周動させつつ、前記移動手段によって前記支持手段を前記内周面に沿って上昇させながら、前記型枠面と前記内周面との隙間にライニング材を流し込む工程と、
    を含むことを特徴とする施工方法。
  8. (e)前記(d)工程において流し込まれたライニング材の硬化後に、前記移動手段によって前記支持手段を前記内周面の周方向に移動させる工程をさらに含み、
    前記(b)工程、前記(c)工程、前記(d)工程および前記(e)工程を繰り返すことによって、前記内周面を全周にわたって前記不定形耐火物でライニングすることを特徴とする、請求項7に記載の施工方法。
  9. 前記(c)工程および前記(d)工程において、急結剤を混合しながらライニング材を流し込むことを特徴とする、請求項7または8に記載の施工方法。
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