JP3886447B2 - 二層式ポーラスマスれんが - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、取鍋などの溶融金属容器に装着するポーラスプラグと一体的に形成する羽口れんがを上下二層とした二層式ポーラスマスれんがの改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、ポーラスマスれんがとしては実開平5−54532号がある。即ち、図1に示すように、ポーラスプラグ1を羽口れんが2に一体的に装着した溶融金属用のガス吹込み攪拌装置3において、羽口れんが2の稼動面側から全長の1/3ないし1/2の範囲を溶損しやすい低耐食性材質とするとともに、その非稼動面側を溶損しにくい高耐食性材質で形成して成るポーラスマスれんがである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、この従来の考案は、羽口れんが2の上側部12の稼動面側から全長に対して1/3ないし1/2の範囲は、ポーラスプラグ1と同一の速度で溶損するアルミナ質やムライト質の溶損しやすい低耐食性材質として、内側のポーラスプラグ1の溶損と均一状となるようにしている。そして、その下側部13の非稼動面側は、高耐食性、耐スポーリング性のジルコン質やハイアルミナ質の高耐食性材質を使用して形成されている。したがって、前述のように上側部が低耐食性材質によるため、羽口れんがが図2のように溶損が速まり、長期間に亘り使用することは到底望め得ないところであった。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その要旨とするところは、取鍋などの溶融金属容器に装着する中央部をガスが通過可能な高耐食性の多孔質の通気性耐火物で形成したポーラスプラグの外側にガスを通過させないハイアルミナ質の高耐食性の緻密質耐火物を充填したポーラスプラグと一体的に形成する羽口れんがの上側部の稼動面側から全長に対して1/3ないし1/2の範囲の上部には耐久性を向上させるためにMgO−C材質を使用し、その非稼動面側の下側部には耐スポーリング性、耐酸化性を向上させるためにAl2O3−MgO−C材質を使用し、さらに上記羽口れんがの上・下側部を静水圧プレスにて成形して、該羽口れんがの上側部と下側部との継ぎ目がなくなるようにして高い強度と、寿命の長い羽口れんがとすることを特徴とする二層式ポーラスマスれんがである。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明の二層式ポーラスマスれんがの一実施例を以下別紙図面を参照しながら詳細に説明する。
【0006】
図3に示すように、下部から先端部に行くに従って細く形成された円錐形状のガス吹込みのポーラスプラグ1は、羽口れんが2aに一体的に装着されている。
【0007】
ポーラスプラグ1は、図3のように中央部をガスが通過可能な高耐食性の多孔質の通気性耐火物4で形成し、その下部にガス溜まり部6を設けるとともに、放射状に配設した1〜5mmの細径で40〜200mm長さのステンレス管のガス供給を兼ねた漏鋼凝固部7を接続している。そして、これらの外側にガスを通過させないハイアルミナ質の高耐食性の緻密質耐火物8を充填している。9は、ポーラスプラグ1にアルゴン、窒素等の不活性ガスを供給するためのガス供給用接続管である。
【0008】
一方、羽口れんが2aは、図3のように上下別の材質でポーラスプラグ1を囲んでおり、その下方部に段部10を設け、上方部の周辺を斜め状の尖端部11とした四角柱状や円柱状の筒状としている。
【0009】
本発明にあっては、中央部をガスが通過可能な高耐食性の多孔質の通気性耐火物で形成してなるポーラスプラグと一体の上記羽口れんが2aの上側部12aの稼動面側から全長に対して1/3ないし1/2の範囲の上部には耐食性を向上させるためにMgO−C材質を使用し、その非稼動面側の下部側13aには耐スポーリング性、耐酸化性を向上させるためにAl2O3−MgO−C材質を使用して成るものである。
【0010】
そして、さらに上記羽口れんが2aの上側部12aおよび下側部13aを静水圧プレス(CIP)を用いて成形されることにより、羽口れんが2aの上側部12aと下側部13aとの継ぎ目が全くなくなった接合部5となり、高い強度を有し、寿命の長い羽口れんがを提供できるよう創意工夫が施してある。
【0011】
通常ポーラスれんがは、プレキャストブロックが一般的に使用されている。したがって、使用回数は各事業所により差異はあるものの、取鍋中修時に交換という形で25〜40回位の使用が普通である。
しかるに、本発明の羽口れんがによれば50回から90回位まで使用できる。つまり、本発明は取鍋などの溶融金属容器に装着する中央部をガスが通過可能な高耐食性の多孔質の通気性耐火物で形成したポーラスプラグの外側にガスを通過させないハイアルミナ質の高耐食性の緻密質耐火物を充填したポーラスプラグと一体的に形成する羽口れんがの上側部の稼動面側から全長に対して1/3ないし1/2の範囲の上部には耐久性を向上させるためにMgO−C材質を使用し、その非稼動面側の下側部には耐スポーリング性、耐酸化性を向上させるためにAl2O3−MgO−C材質を使用し、さらに上記羽口れんがの上・下側部を静水圧プレスにて成形して、該羽口れんがの上側部と下側部との継ぎ目がなくなるようにして高い強度と、寿命の長い羽口れんがとすることを特徴とする二層式ポーラスマスれんがゆえ、従来品に比較して本発明の羽口れんがは約2倍以上に使用耐久性が増大した。要するに、上記のように本発明は構成して成るゆえ、図4に示すように羽口れんが2aの上側部12aの溶損が図2の従来の溶損に比較して頗る遅くなった。
【0012】
【発明の効果】
本発明は高耐食性の多孔質の通気性耐火物で形成したポーラスプラグと一体的に形成する羽口れんがの上側部の稼動面側からブロックの全長に対して1/3ないし1/2の範囲の上部をMgO−C材質を使用したから、該羽口れんがの上側部は極めて耐久性に富み長持ちするようになった。
【0013】
また、本発明の高耐食性の多孔質の通気性耐火物で形成したポーラスプラグと一体的に形成する羽口れんがの非稼動面側の下側部にはAl2O3−MgO−C材質を使用したから、之又耐スポーリング性、耐酸化性が向上した。
【0014】
さらに、本発明は高耐食性の多孔質の通気性耐火物で形成したポーラスプラグと一体的に形成する上記羽口れんがの上側部と下側部を静水圧プレス成形したから、羽口れんがの上側部と下側部との継ぎ目が全然なくなり高い強度を有し、羽口れんがの寿命も従来の羽口れんがより2倍以上も長くなり、そのため各種取鍋の寿命を大きく延長することができた。
【0015】
上記の様に本発明は、高耐食性の多孔質の通気性耐火物で形成したポーラスプラグと一体的に形成する羽口れんがの上側部と下側部とを別異の材質を使用し、さらに羽口れんがの上側部と下側部とを静水圧プレスにて成形して上側部羽口れんがと下側部羽口れんがとを分割することなく二層式構造としたので、その使用時における熱応力を分散し亀裂発生の防止に寄与するところ洵に大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の取鍋等の溶融金属容器に装着するポーラスプラグと羽口れんがとを一体化した二層式ポーラスマスれんがの縦断面図である。
【図2】同上溶損状態を示す説明用縦断面図である。
【図3】本発明の取鍋等の溶融金属容器に装着するポーラスプラグと羽口れんがとを一体化した二層式ポーラスマスれんがの縦断面図である。
【図4】同上溶損状態を示す説明用縦断面図である。
【符号の説明】
1 ポーラスプラグ
2 羽口れんが
2a羽口れんが
3 ガス吹込み攪拌装置
3aガス吹込み攪拌装置
4 通気性耐火物
5 接合部
6 ガス溜まり部
7 漏鋼凝固部
8 緻密質耐火物
9 ガス供給用接続管
10 段部
11 尖端部
12 上側部
12a上側部
13 下側部
13a下側部
Claims (1)
- 取鍋などの溶融金属容器に装着する中央部をガスが通過可能な高耐食性の多孔質の通気性耐火物で形成したポーラスプラグの外側にガスを通過させないハイアルミナ質の高耐食性の緻密質耐火物を充填したポーラスプラグと一体的に形成する羽口れんがの上側部の稼動面側から全長に対して1/3ないし1/2の範囲の上部には耐久性を向上させるためにMgO−C材質を使用し、その非稼動面側の下側部には耐スポーリング性、耐酸化性を向上させるためにAl2O3−MgO−C材質を使用し、さらに上記羽口れんがの上・下側部を静水圧プレスにて成形して、該羽口れんがの上側部と下側部との継ぎ目がなくなるようにして高い強度と、寿命の長い羽口れんがとすることを特徴とする二層式ポーラスマスれんが。
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