JP3774557B2 - 溶融金属への不活性ガス吹込み用耐火物及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は金属溶湯中に窒素ガス、アルゴンガス等の不活性ガスを吹き込んで、金属溶湯を攪拌させるために用いられるポーラスプラグ等の溶融金属への不活性ガス吹込み用耐火物及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、溶鋼の精錬工程において、溶鋼鍋、タンディッシュの壁面又は底面に通気性のある不活性ガス吹込み用耐火物を配置して、該耐火物を介して溶鋼中に不活性ガスを吹き込むことにより溶鋼の攪拌を行って、溶鋼の温度を調整したり、溶鋼成分の均一化を図る方法が採用されている。
しかし、これらの通気性のある耐火物は、不活性ガスを通気させていない状態ではその通気性組織の気孔中にメタルやスラグが浸潤する。
このため、不活性ガスの通気必要時に耐火物に高圧の背圧をかけても不活性ガスの通気不良や不活性ガスの不発を生じる。
そして、このような通気不良や不発を防止するために、耐火物の使用後に、メタルあるいはスラグの浸透する浸潤層に酸素ガスを吹き付けてメタルあるいはスラグを溶解させて除去するための酸素洗浄を行うことが必要になる。
この酸素洗浄の際には、高熱が発生するために耐火物自体が溶損あるいは損傷して、その耐用回数が少なくなり、耐火物コストが高騰する要因となる。
また、耐火物の交換作業が繁雑に発生するために、多くの高熱重筋作業を強いられていた。
【0003】
そして、前記メタル及びスラグの浸潤、熱衝撃によるスポーリングに伴う剥離損傷の抑制を図るための方法として、例えば特公平7−74091号公報には、ジルコニア・ムライトよりなる原料を3〜96重量%とアルミナ−シリカ系原料が97〜4重量%の配合物からなるガス吹込み用耐火物を用いる方法が提案されている。
また、ポーラスプラグ等の不活性ガス吹込み用耐火物に適用される通気性のあるポーラスれんが(多孔質れんが)の製造に際しては、アルミナ質等の骨材が主として使用され、これに成形性を付与するための粘土、及び耐食性を向上させるためのクロミア(Cr2 O3 )等が添加され、さらに、耐浸潤性及び耐スポール性を付与するためにムライト(3Al2 O3 ・2SiO2 )や、シリカ(SiO2 )等を添加したものが原料として使用されてきた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記特公平7−74091号公報に示されるガス吹込み用耐火物では以下の(1)〜(4)に示すような問題点があった。
(1)通気性組織における気孔径分布(細孔径分布)の範囲が広く且つ平均気孔径が大きいために、特に長時間にわたる鋳造時にはスラグ、メタル等の浸潤量が多くなる。このため、浸潤層の酸素洗浄の際の浸潤層の剥離等の要因により耐用性が低下する。
(2)ジルコニア・ムライト等からなる骨材結合部分の耐火度が低いために、不活性ガスの吹込み時あるいは酸素洗浄時にこの部分が損耗し易くなる。
(3)通気性組織の気孔径分布が厳密に制御されていないので、特に75μm以下の細孔(気孔)の比率のばらつきが大きくなって、不活性ガス吹込み時及び酸素洗浄時における熱衝撃の影響を受けて亀裂等の損傷を生じ易い。
(4)供給される不活性ガスの通気流路が一様に形成されていないために、通気性が不安定となりガス吹き不良などのトラブルを生じ易い欠点があった。
【0005】
また、前記したような従来の不活性ガス吹込み用耐火物の製造方法においては、1600〜1750℃の範囲の比較的低い焼成温度で焼成するために、骨材と骨材間を結合する結合組織の融点を低くして原料を混練、成形して得られる素地の焼結性を高める必要がある。
このために、焼成して得られる結合組織の機械的強度及び耐食性が低くなって、不活性ガス吹込み用耐火物の溶鋼及びスラグに対する損耗量が増加するという問題があった。
また、低融点となる結合組織で形成される不活性ガス吹込み用耐火物は一般に過焼結し易く、また孤立した気孔を形成し易いために、気孔率の割に通気性に寄与する連通気孔の部分が少なく、かつ気孔径分布のばらつきが大きくなるために、通気不良を招きやすいという欠点があった。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、通気安定性に優れ、かつ高耐用性の溶融金属への不活性ガス吹込み用耐火物及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記目的に沿う請求項1記載の溶融金属への不活性ガス吹込み用耐火物は、シリカ及びクロミアをそれぞれ1〜5wt%、1〜5wt%含有し、アルミナ含有量が90〜98wt%である通気性組織を有する不活性ガス吹込み用耐火物であって、前記通気性組織の骨材となる部分が1800℃以上の高融点成分により結合され、しかも75μm以下の気孔の比率が25〜50%である。
アルミナ含有量が90wt%より少ないと、耐食性の大幅な低下を招くと共に、融点が低下して、充分な通気性を有する通気性組織とすることができない。
一方、アルミナ含有量が98wt%を超えると耐スポーリング性が著しく低下して、酸素洗浄時等の熱衝撃による亀裂発生により耐用性を悪化させるので好ましくない。
シリカ及びクロミアの含有量がそれぞれ1wt%より少なくなると、焼成の際に必要な融液の量が不足し、焼成して得られる不活性ガス吹込み用耐火物の機械的強度、及び耐スポーリング性等を低下させると共に、クロミア含有量の不足により充分な耐食性を維持できなくなる。
また、シリカ及びクロミアの含有量が5wt%を超えると、通気性組織における結合組織の融点を低下させる要因となり、通気性にばらつきを生じる等の弊害を生じるので好ましくない。
【0007】
請求項1記載の溶融金属への不活性ガス吹込み用耐火物は、シリカ及びクロミアをそれぞれ1〜5wt%、1〜5wt%含有してなるアルミナを主成分とする通気性組織を有すると共に、該通気性組織の骨材となる部分が1800℃以上の高融点成分により結合されている。
不活性ガス吹込み用耐火物の骨材を結合する高融点成分の融点が1800℃より低いと、結合部分の耐熱性、及び機械的強度が低下するので好ましくない。
ここで、高融点成分の融点の上限値を特に規定していないが、アルミナ−シリカ−クロミア系における最高溶融温度が上限となるのは明らかである。
【0008】
請求項1記載の溶融金属への不活性ガス吹込み用耐火物は、前記不活性ガス吹込み用耐火物の気孔径分布において、75μm以下の気孔の比率が25〜50%である。
75μm以下である気孔の比率が25%(容量パーセント)より低くなると、熱応力による歪みを緩和する能力が低下し、不活性ガス吹込み用耐火物の通気性組織にスポーリングを生じて、損傷し易くなるので好ましくない。
逆に、前記気孔の比率が50%を超えると、機械的強度の急激な低下をきたすと共に、メタルあるいはスラグの浸潤量が大きくなる。
【0009】
請求項2記載の溶融金属への不活性ガス吹込み用耐火物の製造方法は、アルミナ、シリカ及びクロミアを含み、前記シリカ及び前記クロミアの含有量がそれぞれ1〜5wt%、1〜5wt%である耐火材料であって、該耐火材料の原料の一部としてコランダム及びシリカを用いたものを成形加工後、1800〜1860℃の温度で焼成する。
1800℃より低い温度で焼成した場合には、充分な機械的強度、及び適正な気孔径分布を有する通気性組織を形成する不活性ガス吹込み用耐火物の通気性組織を製造することが困難になる。
逆に1860℃を超える温度で焼成すると、全体組織の緻密化が進行するために、所定量の通気率を維持することができず、また、耐スポール性も低下させる要因になる。
【0010】
また、耐火材料中のシリカ及びクロミアの含有量がそれぞれ1wt%より少なくなると、焼成の際に必要な融液の量が不足し、焼成して得られる不活性ガス吹込み用耐火物の通気性組織の機械的強度、及び耐スポーリング性等を低下させ、またクロミア含有量の不足により充分な耐食性を維持できなくなる。
また、前記シリカ及びクロミアの含有量が5wt%を超えると、通気性組織における結合組織の融点を低下させる要因となり、通気性にばらつきを生じる。
【0011】
請求項3記載の溶融金属への不活性ガス吹込み用耐火物の製造方法は、請求項2記載の溶融金属への不活性ガス吹込み用耐火物の製造方法において、前記コランダムの形状は球状である。
耐火材料中のコランダムの形状を球状とすることにより、気孔径分布におけるばらつきを抑制することができると共に、所定の通気量を維持させることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
ここに図1は本発明の一実施の形態に係る溶融金属への不活性ガス吹込み用耐火物を適用する連続鋳造設備の説明図、図2(a)、(b)はそれぞれ溶鋼鍋用ポーラスプラグ、タンディッシュ用ポーラスプラグの側断面図、図3は通気組織の概念説明図である。
【0013】
まず、本発明の一実施の形態に係る溶融金属への不活性ガス吹込み用耐火物を適用する連続鋳造設備10について説明する。
図1に示すように、連続鋳造設備10は溶融金属の一例である溶鋼11を保持する溶鋼鍋12と、溶鋼鍋12の底部に配置される不活性ガス吹込み用耐火物の一例である溶鋼鍋用ポーラスプラグ16と、ロングノズル19と、溶鋼鍋12の下方に配置されるタンディッシュ13と、タンディッシュ13の底部に配置される不活性ガス吹込み用耐火物の一例であるタンディッシュ用ポーラスプラグ17と、タンディッシュ13の底部に取付けられる浸漬ノズル14と、浸漬ノズル14より吐出する溶鋼11が注入される連続鋳造鋳型15とを有している。
溶鋼鍋12の底部にはアルミナカーボン質等からなる筒状のロングノズル19が配置されており、ロングノズル19を介して溶鋼11がタンディッシュ13に供給される。
また、連続鋳造時等の必要な時期にアルゴンガス、窒素ガス等の不活性ガスを溶鋼鍋用ポーラスプラグ16から溶鋼11中に供給して、溶鋼鍋12に保持する溶鋼11の成分及び温度を均一化させることができる。
タンディッシュ13は、アルミナシリカ質等の耐火物によって内張りされ、その表面をマグネシアコーティング材によって被覆された容器であり、タンディッシュ用ポーラスプラグ17からアルゴン等の不活性ガスを溶鋼11中に吹き込んで、その保持する溶鋼11の成分、温度を均一化させる。
浸漬ノズル14は、アルミナカーボン質等を主体とする略管状の耐火物であり、下部に設けられた吐出孔20から溶鋼11を連続鋳造鋳型15に注入するようになっている。そして、図示しない上ノズル、スライディングノズル、下ノズル、及び浸漬ノズル14の各流出孔によって構成される管状の内壁面のいずれかに、不活性ガス吹込み用耐火物の一例であるポーラスれんが18を必要に応じて配置して、ここから不活性ガスを吹き込むことができるようになっている。
【0014】
ここで、図2(a)(b)はそれぞれ、溶鋼鍋12及びタンディッシュ13に配置される溶鋼鍋用ポーラスプラグ16、タンディッシュ用ポーラスプラグ17の側断面図である。なお、図2(a)、(b)に示す2種類のポーラスプラグの形式は溶鋼鍋用とタンディッシュ用とでそれぞれ交換可能であり、また何れか一方のみの形式のポーラスプラグを採用することもできる。さらに、溶鋼鍋用及びタンディッシュ用となる何れか一方のポーラスプラグを設けないで連続鋳造を行うこともできる。
略円錐台の形状となる溶鋼鍋用ポーラスプラグ16は図2(a)に示すように、耐火物部分からなるノズル本体を保持して、不活性ガスを封止するためのメタルケース26と、該メタルケース26の内面側に配置されキャスタブルを鋳込み成形してなる耐火物であるプレキャストスリーブ27と、底部にガスプール25の設けられた不活性ガス吹込み用耐火物の通気性組織21と、メタルケース26の底部に取付けられる不活性ガスの導入管28とを有する。
一方、タンディッシュ用ポーラスプラグ17は図2(b)に示すように通気性組織22の部分がそれぞれ円錐台形状となる上部通気性組織23と下部通気性組織24との2段に分割配置され、その他の構成は前記溶鋼鍋用ポーラスプラグ16と同様の構成の不活性ガス吹込み用耐火物である。
このようにタンディッシュ用ポーラスプラグ17においては、通気性組織22が2段に分割されているために、タンディッシュ用ポーラスプラグ17の上部通気性組織23が損耗して下部通気性組織24から離脱したときには、ガス吐出面の面積及び形状等が飛躍的に変化する。
ガス吐出面の状態は、タンディッシュ13中の溶鋼11等を排出した後、導入管28からガスを吐出することにより、吐出面が周囲のプレキャストスリーブ27aよりも冷却されるために、その輝度が周囲よりも小さくなることで識別できる。
そして、その時点でのタンディッシュ用ポーラスプラグ17の残存厚みの状態を視察により容易に把握することができるようになっている。
なお、上部通気性組織23と下部通気性組織24は、同一の組成のものとする必要はなく、耐浸潤性等が特に問題となる上部通気性組織23だけに本発明の通気性組織を適用してもよい。
【0015】
プレキャストスリーブ27、27aは、アルミナセメント等の水硬性成分を含有しアルミナシリカ質等を主成分とする耐火キャスタブルを水と共に混練して、これらを型枠に流し込んで硬化させることにより成形する。
別法としては、予め成形し加工した通気性組織21、22をメタルケース26内に配置して通気性組織21、22とメタルケース26との間に前記混練物を流し込んで硬化させ、型枠を用いることなくプレキャストスリーブ27、27aを形成させることもできる。
そして、必要によりモルタル等を介して、メタルケース26とプレキャストスリーブ27、27a及び通気性組織21、22とを結合した後、前記メタルケース26の底部を導入管28と溶接して、メタルケース26、プレキャストスリーブ27、27a、通気性組織21、22のそれぞれを一体化させてなる溶鋼鍋用ポーラスプラグ16及びタンディッシュ用ポーラスプラグ17を構成することができる。
【0016】
以下、通気性組織21、22の製造方法について説明する。
まず、所定粒度及び配合割合となるコランダム、酸化クロム、シリカ、ムライト等の主原料を含む混合物に、りん酸化合物、フェノール樹脂等の無機質又は有機質の結合材を添加して、これらの混合物を水と共に混練する。
なお、ここで使用するコランダムの形状は、例えば、直径が1.0〜1.5mmの球形の形状とすることにより、各球状粒子間に形成される通気性の気孔(空隙)の大きさ、気孔の分布状態を適正範囲に維持して、浸潤層の少なく、かつ通気性のばらつきの少ない通気性組織21、22とすることができる。
図3はこのような通気性組織21、22の概念図であり、骨材29間が1800℃以上の融点を有する高融点成分30により結合して、骨材29間の空隙31により通気性の気孔を形成させている。
ここで、前記各主原料の粒度及びそれらの配合割合は、1800〜1860℃の高温焼成処理後における通気性組織21、22において、1.0〜1.5mmの粒径となる骨材29と骨材29との間を繋ぐ結合部分の融点が1800℃以上となるように構成する。
具体的には、各種の配合割合、及び粒度の組み合わせとなる多数の試験成形体を作成して、該試験成形体を1800〜1860℃の焼成温度で焼成して、その組織を光学顕微鏡、又は電子線マイクロアナライザー(EPMA)等の手段を用いて解析することにより、結合部分の化学組成を決定して、その化学組成に対応する融点を平衡状態図等を用いて推定することができる。
【0017】
次に、前記得られた混練物をプレス成形機の型枠内に供給して、これを加圧成形することにより通気性組織21、22用の素地とすることができる。
そして、この素地を酸化又は還元雰囲気中で1800〜1890℃範囲の温度で所定時間、例えば1〜10時間保持して焼結させ、通気性組織21、22の焼成体が得られる。
このような焼成体に、切断又は研削等の加工を必要に応じて施して、円錐台、四角錐台、あるいは四角柱等の所定の形状に仕上げて、最終的に所望の通気特性及び結合状態を有する通気性組織21、22を得ることができる。
【0018】
続いて、本発明の実施の形態に係る溶融金属への不活性ガス吹込み用耐火物を前記連続鋳造設備10に適用する鋳造方法について説明する。
まず、溶鋼容量350トンの図示しない転炉から溶鋼鍋12に1630〜1660℃の溶鋼11を注入する。
このとき、溶鋼鍋12に設けられた図示しないスライディングノズルの溶鋼流出孔を閉止状態に維持すると共に、溶鋼鍋12の底部に設けた溶鋼鍋用ポーラスプラグ16からアルゴンガスを吹き込んで溶鋼11を撹拌する。
このとき、導入管28から供給されるアルゴンガスの背圧(圧力)は4.0kgf/cm2 であり、アルゴンガスの供給速度は400〜1200NL/分、アルゴンガスの吹込み時間は1ヒート当たり15〜20分である。
そして、溶鋼11を溶鋼鍋12に満たした後、図示しない搬送装置を用いて溶鋼鍋12を図1に示すように、タンディッシュ13の上方位置に搬送して、ロングノズル19を溶鋼鍋12のスライディングノズルに続く底部に取付ける。
次に、スライディングノズルの溶鋼流出孔を開孔して、タンディッシュ13へ溶鋼11を注入する。そして、タンディッシュ13内の溶鋼11が所定レベルに到達した時に、浸漬ノズル14を介して溶鋼11を連続鋳造鋳型15に供給して連続鋳造を開始する。
この間、必要に応じてタンディッシュ用ポーラスプラグ17及び/又はポーラスれんが18を介して、アルゴンガスをタンディッシュ13あるいは浸漬ノズル14等を通過する溶鋼11中に吹き込むこともできる。
こうして、溶鋼鍋12中に保持する溶鋼11が無くなったときに、該溶鋼鍋12を待機中の別の溶鋼鍋12と入れ替えることにより、継続した鋳造、即ち連続鋳造が行われる。
【0019】
なお、溶鋼鍋12の受鋼から次の受鋼までの操作を1ヒートと称する。
受鋼前に溶鋼鍋用ポーラスプラグ16の通気性及び残存厚みの状態を確認しながら、次の受鋼作業が行われる。
そして、この通気性及び残存厚みの確認の際には必要に応じて、溶鋼鍋12の内面側から溶鋼鍋用ポーラスプラグ16のガス吐出面に酸素ガスを吹き付けて、付着する地金、あるいはスラグ等を溶解して取り除き、安全性等のチェックを行って残存厚みが少ない場合にこれを廃棄して、新しい溶鋼鍋用ポーラスプラグ16と交換する作業が行われる。
このように溶鋼鍋用ポーラスプラグの再使用回数が耐用性の尺度となる。
また、前記浸潤層の厚み等が少なくて酸素洗浄時間が短いほど、溶鋼鍋用ポーラスプラグに与える損傷の程度を少なくでき、結果的に耐用性を向上させることができる。
【0020】
ここで、表1に示す実施例は、通気性組織21を有した不活性ガス吹込み用耐火物の諸元と、その連続鋳造の使用結果とを示している。
実施例は、コランダム、シリカ、ムライト、及び酸化クロム等を含む耐火原料の割合と粒度とを調整して、全体の化学組成におけるアルミナ(Al2 O3 )、シリカ(SiO2 )、クロミア(Cr2 O3 )の含有率をそれぞれ、93.0wt%、4.0wt%、3.0wt%にしたものである。
このように、シリカ及びクロミアの含有量をそれぞれ1〜5wt%、1〜5wt%の範囲として、かつ、アルミナ含有量を90〜98wt%の範囲とする組成物を混練成形して、これを焼成した場合には、使用中におけるメタル及びスラグの浸潤に対する抵抗性の高い耐火物組織が得られ、しかも、高融点であるので通気性の気孔が確保される。
そして、本実施例においてはこのような耐火材料を含む成形体を通常の焼成温度の範囲(1600〜1750℃)よりも高い焼成温度1840℃で焼成して通気性組織21を得る。
この得られる通気性組織21における骨材結合部の融点は1820℃であり、気孔径分布における75μm以下の気孔の比率は30%、通気性組織21の通気率は1.8cm3 /cmH2O ・cm2 ・secである。
【0021】
【表1】
【0022】
なお、表1の使用結果は、同一性状の通気性組織21を有する溶鋼鍋用ポーラスプラグ16を多数適用して各データを求め、その平均値を表示したものである。
この間のガス吹き不発トラブルの頻度は0%、再使用回数は5回、1回当たりの酸素洗浄時間は3分、使用後のスラグ浸潤層の厚みは2.0mmであった。
これは、使用原料中に低融点となる成分が少なく、しかも製造時の焼成温度を特定の高温域に設定しているので、骨材間の結合組織の耐熱性が高められると共に、気孔径分布が適正範囲に制御されて、通気安定性、耐スラグ浸潤性及び耐メタル浸潤性が向上するためである。
因みに表1の従来例に示す不活性ガス吹込み用耐火物を同一の条件下で使用した場合における、ガス吹き不発トラブルの頻度は1%、再使用回数は3.5回、1回当たりの酸素洗浄時間は5分、使用後のスラグ浸潤層の厚みは5.0mmであり、前記実施例に較べて格段に劣る結果であることが分かる。
【0023】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明はこのような実施の形態に限定されるものではなく、要旨を逸脱しない条件の変更等は全て本発明の適用範囲である。
例えば、本実施の形態においては、連続鋳造に使用する溶鋼鍋の溶鋼鍋用ポーラスプラグに不活性ガス吹込み用耐火物を適用する例を中心に説明したが、溶鋼鍋あるいは連続鋳造の場合に限らず、本発明の不活性ガス吹込み用耐火物は溶鋼中に不活性ガスを吹き込んで脱炭処理等を行う際にも適用することが可能である。
【0024】
【発明の効果】
請求項1記載の溶融金属への不活性ガス吹込み用耐火物においては、シリカ、クロミア及びアルミナの含有量をそれぞれ特定比率にしているので、使用中におけるメタル及びスラグ等の浸潤に対する抵抗性を維持すると共に、通気安定性に優れた不活性ガス吹込み用耐火物を提供することができる。
請求項1記載の溶融金属への不活性ガス吹込み用耐火物においては、シリカ及びクロミアをそれぞれ特定量含有してなるアルミナを主成分とする通気性組織を有するので、使用中におけるメタル及びスラグ等の浸潤に対する抵抗性を維持することができる。
さらに、耐火物の骨材となる部分が1800℃以上の高融点成分により結合されているので、通気性を所定のレベルに安定して維持することができると共に、耐用性を向上できる。
請求項1記載の溶融金属への不活性ガス吹込み用耐火物においては、不活性ガス吹込み用耐火物の気孔径分布を特定範囲にしているので、不活性ガス吹込み用耐火物に吹き込まれる不活性ガスの通気特性にばらつきがなく、安定的に操業を行うことができる。
【0025】
請求項2及び3記載の溶融金属への不活性ガス吹込み用耐火物の製造方法においては、アルミナ、シリカ及びクロミアを含む耐火材料を成形加工後、1800〜1860℃の温度で焼成するので、高融点成分で骨材間が結合された通気性組織を得ることができ、高耐用性の不活性ガス吹込み用耐火物の通気性組織を製造できる。
そして、耐火材料中におけるシリカ及びクロミアの含有量をそれぞれ特定範囲にしているので、適正な通気量を保持した通気性組織が得られると共に、メタルあるいはスラグ等の組織中への耐浸潤性に優れた不活性ガス吹込み用耐火物の通気性組織の製造が可能である。
また、耐火材料の原料の一部として、コランダム及びシリカを用いるので、耐食性に優れたコランダムを骨材とする通気性組織を形成でき、さらに耐用性の高い不活性ガス吹込み用耐火物の通気性組織を製造できる。
特に、請求項3記載の溶融金属への不活性ガス吹込み用耐火物の製造方法においては、コランダムの形状は球状であるので、通気性のばらつきの少ない不活性ガス吹込み用耐火物の通気性組織の製造が容易にできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係る溶融金属への不活性ガス吹込み用耐火物を適用する連続鋳造設備の説明図である。
【図2】(a)、(b)はそれぞれ溶鋼鍋用ポーラスプラグ、タンディッシュ用ポーラスプラグの側断面図である。
【図3】通気性組織の概念説明図である。
【符号の説明】
10 連続鋳造設備 11 溶鋼(溶融金属)
12 溶鋼鍋 13 タンディッシュ
14 浸漬ノズル 15 連続鋳造鋳型
16 溶鋼鍋用ポーラスプラグ(不活性ガス吹込み用耐火物)
17 タンディッシュ用ポーラスプラグ(不活性ガス吹込み用耐火物)
18 ポーラスれんが(不活性ガス吹込み用耐火物)
19 ロングノズル 20 吐出孔
21 通気性組織 22 通気性組織
23 上部通気性組織 24 下部通気性組織
25 ガスプール 26 メタルケース
27 プレキャストスリーブ 27a プレキャストスリーブ
28 導入管 29 骨材
30 高融点成分 31 空隙
Claims (3)
- シリカ及びクロミアをそれぞれ1〜5wt%、1〜5wt%含有し、アルミナ含有量が90〜98wt%である通気性組織を有する不活性ガス吹込み用耐火物であって、
前記通気性組織の骨材となる部分が1800℃以上の高融点成分により結合され、しかも75μm以下の気孔の比率が25〜50%であることを特徴とする溶融金属への不活性ガス吹込み用耐火物。 - アルミナ、シリカ及びクロミアを含み、前記シリカ及び前記クロミアの含有量がそれぞれ1〜5wt%、1〜5wt%である耐火材料であって、該耐火材料の原料の一部としてコランダム及びシリカを用いたものを成形加工後、1800〜1860℃の温度で焼成したことを特徴とする溶融金属への不活性ガス吹込み用耐火物の製造方法。
- 前記コランダムの形状は球状であることを特徴とする請求項2記載の溶融金属への不活性ガス吹込み用耐火物の製造方法。
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