JP5417981B2 - 塗料組成物及びこれを用いた被覆缶 - Google Patents
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Description
該レゾール型フェノール樹脂が、フェノール類とアルデヒド類とを酸性雰囲気下、酸性触媒(A)を用いて反応させた後、更に、塩基性雰囲気下、アルカリ金属ないしアルカリ土類金属の水酸化物(B1)、及びアンモニアないしアミン類(B2)を用いて反応させて得られたものであり、且つ、
該フェノール類と該アルデヒド類との当量比が、フェノール類の理論官能性水素1当量に対して、アルデヒド類が0.75〜2.0当量である塗料組成物に関する。
本発明に用いるフェノール類としては、例えば、オルトクレゾール、パラクレゾール、パラフェニルフェノール、パラノニルフェノール、2,3−キシレノール、2,5−キシレノール、フェノール、メタクレゾール、3,5−キシレノール、レゾルシノール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールB、ビスフェノールE、ビスフェノールH、ビスフェノールS、カテコール、ハイドロキノン等が挙げられる。
本発明に用いるアルデヒド類としては、例えば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド等が使用可能である。ホルムアルデヒドの供給源としては、ホルマリン、ホルミットNB[ホルムアルデヒドのn−ブタノール溶液、広栄化学工業(株)製]、ホルミットIB[ホルムアルデヒドのiso−プロパノール溶液、広栄化学工業(株)製]、パラホルムアルデヒド、トリオキサンなどを使用することができる。中でも、生産性や汎用性を考慮すると、ホルムアルデヒド、ホルミットNB、ホルミットIBが好ましい。本発明において、フェノール類の理論官能性水素1当量に対して、0.75〜2.0当量のアルデヒド類を反応に供する。好ましくは、1.0〜1.5当量のアルデヒド類を反応に供する。フェノール類の理論官能性水素1当量に対してアルデヒド類が0.75未満だと、生成するフェノール樹脂の分子量が高くなり、これを用いた塗料を被覆缶に使用した場合、塗料用の汎用的な溶剤に対する溶解性が低くなり、フェノール樹脂が析出しやすくなる。その結果、塗膜にブツを生じやすくなる。一方、2.0当量を超えると反応し得ないアルデヒド類が多くなる。
本発明に用いる酸性触媒(A)としては、例えば、塩酸、硫酸、リン酸等の無機酸、あるいはギ酸、酢酸、シュウ酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、トルエンスルホン酸等の有機酸などが挙げられる。酸性触媒(A)は、使用するフェノール類のフェノール性水酸基1モルに対して0.005〜0.1モルであることが好ましく、0.01〜0.1モル用いることがより好ましい。使用量が0.005モル未満であると生成するノボラック型フェノール樹脂、そして、その後に生成されるレゾール型フェノール樹脂中の低分子量成分が多くなり、硬化塗膜の衛生性、フレーバー性の向上があまり期待できない場合がある。一方、使用量が0.1モルを超えると、急激な反応が起こり、制御が難しくなる場合がある。
本発明に用いるアルカリ金属ないしアルカリ土類金属の水酸化物(B1)としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウムなどが挙げられる。これらは2種類以上を併用することもできる。アルカリ金属ないしアルカリ土類金属の水酸化物(B1)は、第1の工程で使用した酸性触媒(A)を中和し、更にフェノール樹脂とアルデヒド類とを反応させるための反応触媒として使用する。従って、アルカリ金属ないしアルカリ土類金属の水酸化物(B1)は、酸性触媒を中和する量に加え、これとは別に反応触媒として、フェノール類のフェノール性水酸基1モルに対し、0.05〜0.5モル用いることが好ましい。0.05モル未満だと分子構造の架橋密度が高くなりづらく、硬化塗膜の耐食性、耐硫化黒変性が劣る傾向にある。0.5モルを超えると、得られるフェノール樹脂が塗料用の汎用的な溶剤に対する溶解性が悪くなる傾向があり、塗料組成物として応用する際にフェノール樹脂が析出し易くなる。更に中和のための酸の量も多く必要になり、又、中和反応により生成した塩を除去する手間も増大する。
本発明に用いるアンモニアないしアミン類(B2)としては、例えば、アンモニア、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノプロピルアミン、ジプロピルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N,N−ジメチル−エタノールアミン、N,N−ジエチル−エタノールアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ピリジン、モルホリン、ヘキサメチレンテトラミンなどがある。これらは2種類以上を併用することもできる。
本発明のレゾール型フェノール樹脂において、メチロール化単量体の含有比は、ゲルパーミュエイションクロマトグラフィー(以下、GPC)により測定したピーク面積の合計に対する、メチロール化単量体に帰属されるピーク面積の比率を算出したものである。メチロール化単量体の含有比は、10%未満であることが好ましく、5%未満であることがより好ましい。含有されるメチロール化単量体が10%以上である場合、ヒュームが多量に発生するようになる。又、同時に、得られる硬化塗膜が脆くなる傾向にあるので、塗膜の加工性、可撓性、耐食性、密着性が劣ってしまう場合がある。尚、本発明でのメチロール化単量体とは、アルデヒド類の付加反応によりフェノール類の反応部位にメチロール基が1又は複数個生成し(メチロール化)、且つ、一切の縮合反応が進行していないものを指す。メチロール化単量体中に存在するメチロール基の最大数は、フェノール類の理論官能性水素の当量数と等しい。例えば、理論官能性水素が2当量であるパラクレゾールの場合、メチロール基の最大生成数は2であり、このメチロール化単量体とは、モノメチロール化パラクレゾールとジメチロール化パラクレゾールを示すものである。
(イ)まず、アルカリ金属ないしアルカリ土類金属の水酸化物(B1)を反応系に添加して反応を行い、しかる後、アンモニアないしアミン類(B2)を添加して更に反応を進行させる。
(ウ)まず、アンモニアないしアミン類(B2)を反応系に添加して反応を行い、しかる後、アルカリ金属ないしアルカリ土類金属の水酸化物(B1)を添加して更に反応を進行させる。
次いで塩基性雰囲気下、アルカリ金属ないしアルカリ土類金属の水酸化物(B1)、及びアンモニアないしアミン類(B2)を用いて反応させる第2の工程と、を含む。本発明のフェノール樹脂の製造方法の具体例を以下に示す。
フェノール類とアルデヒド類とを混合した混合液を準備する。ここで、アルデヒド類を第1の工程で全量添加する場合は、フェノール類の理論官能性水素1当量に対してアルデヒド類が0.75〜2.0当量となるように混合する。あるいは、アルデヒド類を第1及び第2の工程で分割して添加する場合は、第1の工程では、フェノール類の理論官能性水素1当量に対してアルデヒド類が0.5当量以上となるように混合する。この混合液に、酸性触媒(A)を添加し、70℃〜100℃で単量体縮合率が80%以上になるまで、好ましくは未反応のフェノール類がほとんどなくなるまで反応させ、重量平均分子量(Mw)が300〜600程度のノボラック型フェノール樹脂を得る。
第1の工程で得られたノボラック型フェノール樹脂に、触媒としてアルカリ金属ないしアルカリ土類金属の水酸化物(B1)とアンモニアないしアミン類(B2)とを同時ないし順次に加える。又、アルデヒド類を第1及び第2の工程で分割して添加する場合は、フェノール類の理論官能性水素1当量に対して、第1及び第2の工程でのアルデヒド類量の合計が0.75〜2.0当量になるように必要に応じて追加のアルデヒド類を加える。その後、重量平均分子量(Mw)が第1の工程終了時に比べ1.5〜2.0倍程度になるまで、塩基性雰囲気下30℃〜100℃で反応させる。次に、第2の工程で用いた反応触媒を酸で中和し、生成した塩を水洗・除去し、脱水し、濃縮し、本発明のレゾール型フェノール樹脂を得る。尚、第2の工程で用いた反応触媒を中和する際に用いる酸としては、塩酸、硫酸、リン酸、シュウ酸、酢酸、ギ酸、パラトルエンスルホン酸、安息香酸などが例示できる。
次に、本発明の塗料組成物に用いるエポキシ樹脂について説明する。本発明で使用するエポキシ樹脂としては、ビスフェノール型、ノボラック型、ナフタレン型、ビフェニル型等が挙げられ、塗膜にした際の加工性、密着性、耐食性等の塗膜物性を考慮すると、ビスフェノールA型エポキシ樹脂が好ましい。
タフィー法:エピクロルヒドリンとビスフェノールAとを、必要に応じてアルカリ触媒の存在下に、所定の分子量になるまで縮合させる。
アドバンス法:ビスフェノールA型エポキシモノマーとビスフェノール類とを、必要に応じてアルカリ触媒の存在下に、所定の分子量になるまで縮合させる。
本発明では、既述のレゾール型フェノール樹脂とエポキシ樹脂とを混合して熱硬化性の塗料組成物とする。混合比は、その重量比にして、エポキシ樹脂/レゾール型フェノール樹脂=50/50〜95/5で配合して、熱硬化性の塗料組成物とすることが好ましい。レゾール型フェノール樹脂の重量比が50よりも多いと、内容物の風味保存安定性が低下したり、加工性が低下したりする傾向が見られる。又、レゾール型フェノール樹脂の重量比が5未満であると硬化性が低下する傾向にあり、その結果、耐食性、耐硫化黒変性が低下する傾向にある。
フェノール樹脂(1)の合成
第1の工程として、撹拌機、コンデンサー、窒素ガス導入管、温度計を取りつけた反応容器に、パラクレゾール108部、37%ホルマリン243部を仕込み、撹拌しながら20%塩酸3.65部を添加して加温し、80℃で2時間反応した。この工程で得られたフェノール樹脂の重量平均分子量は460であった。
フェノール樹脂(2)の合成
合成例1と同一条件にて第1の工程を行ったところ、得られたフェノール樹脂の重量平均分子量は440であった。
フェノール樹脂(3)の合成
合成例1と同一条件にて第1の工程を行ったところ、得られたフェノール樹脂の重量平均分子量は450であった。
フェノール樹脂(4)の合成
合成例1と同一条件にて第1の工程を行ったところ、得られたフェノール樹脂の重量平均分子量は440であった。
フェノール樹脂(5)の合成
合成例1と同一条件にて第1の工程を行ったところ、得られたフェノール樹脂の重量平均分子量は460であった。
フェノール樹脂(6)の合成
ホルマリンを243部から130部に変更した以外は、合成例1と同一条件にて第1の工程を行ったところ、得られたフェノール樹脂の重量平均分子量は530であった。
フェノール樹脂(7)の合成
ホルマリンを243部から162部に変更した以外は、合成例1と同一条件にて第1の工程を行ったところ、得られたフェノール樹脂の重量平均分子量は515であった。
フェノール樹脂(8)の合成
ホルマリンを243部から276部に変更した以外は、合成例1と同一条件にて第1の工程を行ったところ、得られたフェノール樹脂の重量平均分子量は430であった。
フェノール樹脂(9)の合成
ホルマリンを243部から308部に変更した以外は、合成例1と同一条件にて第1の工程を行ったところ、得られたフェノール樹脂の重量平均分子量は445であった。
フェノール樹脂(10)の合成
塩酸を3.65部から27.4部に変更した以外は、合成例1と同一条件にて第1の工程を行ったところ、得られたフェノール樹脂の重量平均分子量は550であった。
フェノール樹脂(11)の合成
合成例1と同一条件にて第1の工程を行ったところ、得られたフェノール樹脂の重量平均分子量は440であった。
フェノール樹脂(12)の合成
上記同様の反応容器に、パラクレゾール108部、37%ホルマリン243部を仕込み、撹拌しながら25%水酸化ナトリウム水溶液32部を添加して加温し、80℃で3時間反応した。反応後に20%塩酸36.5部を加えて中和し、n−ブタノール135部、メチルイソブチルケトン135部を加えて水層を分離した。得られたフェノール樹脂溶液を水で2回洗浄した後、脱水、濃縮し、不揮発分35%の精製した樹脂溶液を得た。これをフェノール樹脂(12)溶液とする。
フェノール樹脂(13)の合成
上記同様の反応容器に、パラクレゾール108部、37%ホルマリン243部を仕込み、撹拌しながら25%アンモニア水13.6部を添加して加温し、100℃で3時間反応した。反応後にn−ブタノール135部、メチルイソブチルケトン135部を加えて脱水、濃縮し、不揮発分35%の精製した樹脂溶液を得た。これをフェノール樹脂(13)溶液とする。
フェノール樹脂(14)の合成
上記同様の反応容器に、パラクレゾール108部、37%ホルマリン243部を仕込み、撹拌しながら25%水酸化ナトリウム水溶液32部を添加して加温し、80℃で3時間反応した。次いで、25%アンモニア水6.8部を添加し、60℃で1時間反応した。反応後に20%塩酸36.5部を加えて中和し、n−ブタノール135部、メチルイソブチルケトン135部を加えて水層を分離した。得られたフェノール樹脂溶液を水で2回洗浄した後、脱水、濃縮し、不揮発分35%の精製した樹脂溶液を得た。これをフェノール樹脂(14)溶液とする。
フェノール樹脂(15)の合成
合成例1と同一条件にて第1の工程を行ったところ、得られたフェノール樹脂の重量平均分子量は450であった。
フェノール樹脂(16)の合成
合成例1と同一条件にて第1の工程を行ったところ、得られたフェノール樹脂の重量平均分子量は460であった。
フェノール樹脂(17)の合成
ホルマリン243部を81部に変更した以外は、合成例1と同一条件にて第1の工程を行ったところ、得られたフェノール樹脂の重量平均分子量は620であった。
フェノール樹脂(18)の合成
ホルマリン243部を114部に変更した以外は、合成例1と同一条件にて第1の工程を行ったところ、得られたフェノール樹脂の重量平均分子量は600であった。
フェノール樹脂(19)の合成
ホルマリン243部を341部に変更した以外は、合成例1と同一条件にて第1の工程を行ったところ、得られたフェノール樹脂の重量平均分子量は440であった。
[実施例1]
撹拌機、コンデンサー、窒素ガス導入管、温度計を取りつけた反応容器中で、ブチルセロソルブ22部、ソルベッソ100(エクソン化学製)12部、n−ブタノール22部の混合溶剤にビスフェノールA型エポキシ樹脂であるエピコート1009を52部加え、100℃で溶解した。エポキシ樹脂が溶解したら、合成例1で得られたフェノール樹脂(1)溶液を99部添加し、1級リン酸0.4部を加え、100℃で3時間撹拌後、冷却して取り出し、不揮発分約37%の塗料組成物を得た。
合成例1のフェノール樹脂(1)溶液に代えて、合成例2〜11で得たフェノール樹脂(2)〜(11)溶液を用いた以外は、実施例1と同様にして塗料組成物を得た。なお本願明細書で実施例5は参考例である。
上記同様の反応容器を用いて、ブチルセロソルブ22部、ソルベッソ100 12部、n−ブタノール22部の混合溶剤にビスフェノールA型エポキシ樹脂であるエピコート1009を69部加え、100℃で溶解した。エポキシ樹脂が溶解したら、合成例2で得られたフェノール樹脂(2)溶液を49部添加し、1級リン酸0.4部を加え、100℃で3時間撹拌後、冷却して取り出し、不揮発分約37%の塗料組成物を得た。
上記同様の反応容器を用いて、ブチルセロソルブ22部、ソルベッソ100 12部、n−ブタノール22部の混合溶剤にビスフェノールA型エポキシ樹脂であるエピコート1009を43部加え、100℃で溶解した。エポキシ樹脂が溶解したら、合成例2で得られたフェノール樹脂(2)溶液を123部添加し、1級リン酸0.4部を加え、100℃で3時間撹拌後、冷却して取り出し、不揮発分約37%の塗料組成物を得た。
合成例1のフェノール樹脂(1)溶液に代えて、合成例12〜19で得たフェノール樹脂(12)〜(19)溶液をそれぞれ用いた以外は、実施例1と同様にして塗料組成物を得た。
実施例1〜13、及び比較例1〜8で得られた塗料組成物を、ブリキ板(0.23mm厚、#2.8/2.8)上に、乾燥塗膜量が50mg/100cm2となるように塗布した。この後、200℃で10分間焼き付け、評価用塗装板を作製した。以下のような方法で塗膜の性能を評価した。尚、ヒューム試験に関しては、塗料組成物を焼き付けて塗膜とする際に発生するヒューム量を捕集し評価した。
塗装板を大きさ30mm×50mm(縦×横)に切断した。次に、塗膜を外側にして、横50mmが20mmと30mmの幅になるように手で予め折り曲げ、この2つ折りにした試験片の間に厚さ0.23mmのブリキ板を2枚はさんだ。次に、1kgの荷重を高さ40cmから、折り曲げ部に落下させて完全に折り曲げた。次いで、試験片の折り曲げ先端部を濃度1%の食塩水中に浸漬させ、試験片の食塩水中に浸漬されていない金属部分と、食塩水との間を6.0V×6秒通電した時の電流値を測定した。塗膜の加工性(可撓性)が乏しい場合、折り曲げ加工部の塗膜がひび割れて、下地の金属板が露出して導電性が高まるため、高い電流値が得られる。評価基準を以下に示す。
◎:「30mA未満」
○:「30mA以上35mA未満」
△:「35mA以上40mA未満」
×:「40mA以上」
塗装板にデュポン衝撃(撃ち型直径1/2インチ、500gの重りを高さ30cmから撃ち型へ落下)を加えて、塗装板の塗膜側に凸部を形成した後、この加工部(凸部)をセロハンテープで引き剥がしたときの塗膜の剥離面積の割合(%=剥離面積/加工部面積×100)を目視で確認した。評価基準を以下に示す。
◎:「塗膜剥離がまったくない」
○:「塗膜剥離が認められ、10%未満」
△:「10%以上30%未満」
×:「30%以上」
ブリキ板の両面を前記の塗装条件で塗装して、金属露出部が一切なくなった塗装板にデュポン衝撃(1/2インチ、300g、20cm)を加えて加工した。この後、1.5%食塩水中に浸漬して、120℃−90分レトルト処理をし、50℃で1ヵ月保存後の下地金属の腐食の程度を目視で確認した。評価基準を以下に示す。
◎:「腐食が認められない」
○:「加工部にわずかな腐食が認められる」
△:「加工部にはっきりした腐食が認められる」
×:「塗膜全面に腐食が認められる」
ブリキ板の両面を前記の塗装条件で塗装して、金属露出部が一切なくなった塗装板に、缶蓋の成形加工をした。この後、市販の鯖水煮を細かく粉砕した中に浸漬し、120℃−90分レトルト処理をし、50℃で1ヵ月保存後の下地金属の黒く変色する程度を目視で確認した。レトルト処理により塗膜に欠陥(例えば、微細なワレ、傷、部分剥離)が生じると、この部分からH2Sが下地金属へ到達して金属黒変し、やがて黒変が広がる。評価基準を以下に示す。
◎:「黒変が認められない」
○:「加工部にわずかな黒変が認められる」
△:「加工部にはっきりした黒変が認められる」
×:「塗膜全体に黒変が認められる」
10cm×10cmのブリキ板[I]上に、乾燥塗膜量が80mg/100cm2になるように塗料組成物を塗布した。次に、得られたブリキ板[I]を、220℃のホットプレート上に塗膜が上になるように乗せ、更にこの塗膜の上側に10cm×10cmのブリキ板[II]をブリキ板[I]との間隔が1cmとなるように対面させた。ブリキ板[I]上の塗膜の焼き付け時に、塗装板から発生するヒュームをブリキ板[II]に2分間付着させ、これを30枚繰り返した(ただし、塗膜面上に対面させているブリキ板[II]は交換しない)。その後、ヒュームを付着させたブリキ板[II]を120℃−10分間加熱乾燥し、付着物の重量をヒューム量として評価した。評価基準を以下に示す。
◎:「10mg未満」
○:「10mg以上15mg未満」
△:「15mg以上20mg未満」
×:「20mg以上」
塗膜面積400cm2の塗装板を、抽出用の純水200mlに浸漬した後、125℃−30分レトルト処理を行い、抽出水に含有される全有機体炭素量(TOC)を全有機体炭素計[島津製作所(株)製「TOC−5000A」]を用いて測定した。
塗膜面積200cm2の塗装板を、pH=6.86の緩衝液100ml中に浸漬した後、125℃−30分レトルト処理を行い、緩衝液の着色度合いを目視評価した。評価基準を以下に示す。
◎:「着色がない」
○:「わずかに着色している」
△:「着色している」
×:「著しく着色している」
[実施例14]
実施例1で得られた塗料組成物を、350mLのアルミニウムDI缶(Drawing&Ironing法により製造されたアルミニウム缶)の内面に、乾燥塗膜量が50mg/100cm2となるようにスプレー塗装した。次いで、これを200℃で10分間焼き付け、実施例1で得られた塗料組成物で被覆した被覆缶(缶蓋を取り付ける前の状態)を得た。
実施例1の塗料組成物に代えて、実施例2〜13で得られた塗料組成物を用いた以外は、実施例14と同様にして被覆缶を得た。
実施例1で得られた塗料組成物を、ブリキ板(0.23mm厚、#2.8/2.8)上にロールコーターにより乾燥塗膜量が50mg/100cm2となるように塗布し、これを200℃で10分間焼き付けて塗装金属板を得た。次いで、この塗装金属板を内径83mm、高さ45mmの3ピース缶(缶胴、缶蓋及び缶底の3部より構成される缶において、缶蓋を取り付ける前の状態)に製缶し、実施例1で得られた塗料組成物で被覆した被覆缶を得た。
実施例1の塗料組成物に代えて、実施例2〜13で得られた塗料組成物を用いた以外は、実施例27と同様にして被覆缶を得た。
実施例1の塗料組成物に代えて、比較例1〜8で得られた塗料組成物を用いた以外は、実施例14と同様にして被覆缶を得た。
実施例1の塗料組成物に代えて、比較例1〜8で得られた塗料組成物を用いた以外は、実施例27と同様にして被覆缶を得た。
実施例14〜26、及び比較例9〜16で得られた被覆缶を用いて、以下に示す方法により被覆缶の評価を実施した。
被覆缶に1.5%食塩水を充填し、公知の塗料により被覆されたアルミニウム缶蓋を用いて缶を巻き締めた。この後、120℃−90分レトルト処理をし、50℃で1ヵ月保存後の下地金属の腐食の程度を目視で確認した。評価基準を以下に示す。
◎:「腐食が認められない」
○:「巻き締め部にわずかな腐食が認められる」
△:「巻き締め部にはっきりした腐食が認められる」
×:「全体に腐食が認められる」
被覆缶に純水を充填した後、公知の塗料により被覆されたアルミニウム缶蓋を用いて缶を巻き締めた。この後、これらを125℃−30分レトルト処理を行い、缶内の水に含有される全有機体炭素量(TOC)を、全有機体炭素計を用いて測定した。
被覆缶にpH=6.86の緩衝液を充填した後、公知の塗料により被覆されたアルミニウム缶蓋を用いて缶を巻き締めた。この後、これらを125℃−30分レトルト処理を行い、緩衝液の着色度合いを目視評価した。評価基準を以下に示す。
◎:「着色がない」
○:「わずかに着色している」
△:「着色している」
×:「著しく着色している」
被覆缶に活性炭処理した水道水を充填した後、公知の塗料により被覆されたアルミニウム缶蓋を用いて缶を巻き締めた。この後、125℃−30分レトルト処理を行い、充填物の風味試験を実施した。尚、風味試験の比較対照として、耐熱瓶中でレトルト処理した水道水をブランクとして使用した。評価基準を以下に示す。
◎:「無味」
○:「僅かに味がする」
△:「味がする」
×:「かなり味がする」
実施例27〜39、及び比較例17〜24で得られた被覆缶を用いて、以下に示す方法により被覆缶の評価を実施した。
被覆缶に1.5%食塩水を充填し、缶を巻き締めた。この後、120℃−90分レトルト処理をし、50℃で1ヵ月保存後の下地金属の腐食の程度を目視で確認した。評価基準を以下に示す。
◎:「腐食が認められない」
○:「巻き締め部にわずかな腐食が認められる」
△:「巻き締め部にはっきりした腐食が認められる」
×:「全体に腐食が認められる」
被覆缶に細かく粉砕した市販の鯖水煮を充填し、缶を巻き締めた。この後、120℃−90分レトルト処理をし、50℃で1ヵ月保存後の下地金属の黒く変色する程度を目視で確認した。評価基準を以下に示す。
◎:「黒変が認められない」
○:「巻き締め部にわずかな黒変が認められる」
△:「巻き締め部にはっきりした黒変が認められる」
×:「全体に黒変が認められる」
被覆缶に純水を充填し、缶を巻き締めた。この後、これらを125℃−30分レトルト処理を行い、缶内の水に含有される全有機体炭素量(TOC)を、全有機体炭素計を用いて測定した。
被覆缶にpH=6.86の緩衝液を充填し、缶を巻き締めた。この後、これらを125℃−30分レトルト処理を行い、緩衝液の着色度合いを目視評価した。評価基準を以下に示す。
◎:「着色がない」
○:「わずかに着色している」
△:「着色している」
×:「著しく着色している」
被覆缶に活性炭処理した水道水を充填し、缶を巻き締めた。この後、125℃−30分レトルト処理を行い、充填物の風味試験を実施した。尚、風味試験の比較対照として、耐熱瓶中でレトルト処理した水道水をブランクとして使用した。評価基準を以下に示す。
◎:「無味」
○:「僅かに味がする」
△:「味がする」
×:「かなり味がする」
Claims (6)
- エポキシ樹脂とレゾール型フェノール樹脂とを含有する塗料組成物であって、
該レゾール型フェノール樹脂が、フェノール類とアルデヒド類とを酸性雰囲気下、酸性触媒(A)を用いて反応させた後、更に、塩基性雰囲気下、アルカリ金属ないしアルカリ土類金属の水酸化物(B1)、及びアンモニアないしアミン類(B2)を用いて反応させて得られたものであり、且つ、
該フェノール類と該アルデヒド類との当量比が、フェノール類の理論官能性水素1当量に対して、アルデヒド類が0.75〜2.0当量であり、
前記レゾール型フェノール樹脂中のフェノール環とメチレン基とのモル比は、フェノール環/メチレン基=1/0.25〜1/0.7、同樹脂中のフェノール環と含窒素基とのモル比は、フェノール環/含窒素基=1/0.005〜1/0.25である塗料組成物。 - 該アンモニアないしアミン類(B2)と該フェノール類との配合比が、フェノール類のフェノール性水酸基1モルに対して、アンモニアないしアミン類(B2)が0.005〜0.5モルである請求項1記載の塗料組成物。
- 該レゾール型フェノール樹脂に含有されるメチロール化単量体が10%未満であり、且つ、該レゾール型フェノール樹脂の重量平均分子量が300〜1500である請求項1又は2記載の塗料組成物。
- 該エポキシ樹脂と該レゾール型フェノール樹脂との重量比が、エポキシ樹脂/レゾール型フェノール樹脂=50/50〜95/5である請求項1〜3いずれか記載の塗料組成物。
- 金属板又はプラスチックフィルム被覆金属板を成形して得られた缶に、請求項1〜4いずれか記載の塗料組成物を被覆した被覆缶。
- 請求項1〜4いずれか記載の塗料組成物によって被覆された金属板又はプラスチックフィルム被覆金属板を、成形して得られた被覆缶。
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