JP5417981B2 - 塗料組成物及びこれを用いた被覆缶 - Google Patents

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Description

本発明は、エポキシ樹脂とレゾール型フェノール樹脂とを含有する塗料組成物、及びこれを用いた被覆缶に関する。
フェノール類とアルデヒド類とを反応して得られるフェノール樹脂としては、塩基性触媒を用いて得られる熱硬化性のレゾール型フェノール樹脂、及び酸性触媒を用いて得られる熱可塑性のノボラック型フェノール樹脂が知られる。特に、前者に関しては、塩基性触媒としてアルカリ金属やアルカリ土類金属の水酸化物を用いたものをアルカリレゾール型フェノール樹脂(以下、アルカリレゾールと略称)、アンモニアやアミン類を用いたものをアンモニアレゾール型フェノール樹脂(以下、アンモニアレゾールと略称)と一般に呼称する。
エポキシ樹脂系等の缶用塗料の硬化剤としては、フェノール樹脂やアミノ樹脂等がある。従来、フェノール樹脂としては、塗膜としての種々の特性のバランスに優れるレゾール型フェノール樹脂が主に使用されていた。
特許文献1には、特定のアルカリレゾールが、衛生性、フレーバー性に優れる旨が開示されている。しかし、かかるアルカリレゾールを用いた場合には、塗膜の加工性、可撓性、耐食性、密着性、耐硫化黒変性の点で満足できるものではなかった。
一方、アンモニアレゾールは一般にアルカリレゾールに比して塗膜の加工性、可撓性、耐食性、密着性、耐硫化黒変性に優れるので、古くから缶用塗料の硬化剤として好適に用いられてきた。アンモニアレゾールとアルカリレゾールとは、それぞれ塩基性触媒を用いたレゾール型フェノール樹脂という点で共通である。しかし、各樹脂構造に着目した場合には大きな差異が生じる。それは、アルカリレゾールがフェノール類とアルデヒド類との2成分を単量体として構成される樹脂構造であるのに対し、アンモニアレゾールはこれらに加え、触媒であるアンモニアないしアミン類を含めた3成分からなる樹脂構造を有する点である。詳しくは、アンモニアないしアミン類は反応触媒であると同時に、フェノール樹脂に対して付加反応も起こし、その樹脂構造中にアンモニアないしアミン類に由来する含窒素基を導入する。このアンモニアレゾール中の含窒素基が、前述の塗膜物性の発現に対して有効に作用していると考えられている。
しかしながら、アンモニアレゾールをはじめレゾール型フェノール樹脂は、未反応物やメチロール化単量体を多く含有している点に難があり、これらが原因とされるヒューム(塗料を熱硬化せしめる際に未反応物及びメチロール化単量体が塗料から揮発し、オーブン内に堆積する現象)の発生が問題となっている。そこで、特許文献2、特許文献3、及び特許文献4には、ヒュームの発生を防止すべく、フェノール類にアルデヒド類を反応せしめるにあたりアンモニア等の弱塩基と水酸化ナトリウム等の強塩基を順次用いるアンモニアレゾールの製造方法が提案されており、未反応のフェノール類を低減できる旨開示されている。
しかし、これらの方法では未反応物の低減は可能となるものの、アンモニアレゾール中に含有されるメチロール化単量体の量はむしろ増加する傾向にある。メチロール化単量体の増加は、前記のヒュームを多く発生させるだけでなく、塗膜の加工性、可撓性、耐食性、密着性を低下させる要因ともなる。これはメチロール化単量体が高い自己縮合性を持つためで、これを多く含有した樹脂はメチロール基濃度が高くなってしまい、得られる塗膜が非常に脆くなるからである。それゆえ、特許文献1〜3記載の方法ではアンモニアレゾールが本来有しているはずの優れた加工性、可撓性、耐食性、密着性が大きく損なわれることになる。
又、未反応物やメチロール化単量体を低減したフェノール樹脂を得る方法として、特許文献5や特許文献6のような方法が開示されている。即ち、特許文献5には、カルボン酸ないしナフテン酸の2価金属塩から選ばれた有機酸塩の1種ないし2種を用いてフェノール類にアルデヒド類を反応させた後、高温減圧下で縮合反応を行うことで、メチロール化単量体の含有率を2%以下としたフェノール樹脂の製造方法が記載されている。
特許文献6では、フェノール類とアルデヒド類とを酸性触媒の存在下で反応させてノボラック型フェノール樹脂を得、次いでアルカリ金属ないしアルカリ土類金属の水酸化物を用いてレゾール化反応を行うことで未反応物、及びメチロール化単量体を低減したアルカリレゾール化ノボラック型フェノール樹脂を製造する方法が示されている。
特許文献5、及び特許文献6記載のフェノール樹脂を塗料用の硬化剤として用いると、ヒュームや衛生性、フレーバー性は良好となる。しかしながら、かかる両フェノール樹脂は触媒としてアンモニアないしアミン類を使用していないため、その樹脂構造中に含窒素基を有しておらず、塗料用の硬化剤としてアンモニアレゾールを用いた時のような優れた加工性、可撓性、耐食性、密着性、耐硫化黒変性の発現には至っていなかった。
特開昭63−37113号公報 特開平4−185625号公報 特開2000−204132号公報 特開2002−105156号公報 特開2004−269730号公報 特開2005−162963号公報
本発明の課題は、ヒュームの発生を抑制し、アルカリレゾール型フェノール樹脂を使用した塗料組成物と同様に衛生性やフレーバー性に優れ、アンモニアレゾール型フェノール樹脂を使用した塗料組成物と同様に加工性、可撓性、耐食性、密着性、耐硫化黒変性に優れる塗膜を形成し得る、レゾール型フェノール樹脂とエポキシ樹脂とを含有する塗料組成物を提供することである。
本発明者は、かかる目的に対し鋭意検討した結果、フェノール類に対して特定量のアルデヒド類を反応せしめるに当たり、塩酸等の酸性触媒と、塩基性触媒とを順次使用し、特に、塩基性触媒として水酸化ナトリウム等の金属水酸化物とアンモニア等を併用する場合に限り、フェノール類の未反応物、及びメチロール化単量体を飛躍的に低減したレゾール型フェノール樹脂が得られ、該フェノール樹脂とエポキシ樹脂と含有した塗料組成物は、加工性、可撓性、耐食性、密着性、耐硫化黒変性に優れる塗膜を形成し得ることを見出し、本発明の完成に至った。
即ち、第1の発明は、エポキシ樹脂とレゾール型フェノール樹脂とを含有する塗料組成物であって、
該レゾール型フェノール樹脂が、フェノール類とアルデヒド類とを酸性雰囲気下、酸性触媒(A)を用いて反応させた後、更に、塩基性雰囲気下、アルカリ金属ないしアルカリ土類金属の水酸化物(B1)、及びアンモニアないしアミン類(B2)を用いて反応させて得られたものであり、且つ、
該フェノール類と該アルデヒド類との当量比が、フェノール類の理論官能性水素1当量に対して、アルデヒド類が0.75〜2.0当量である塗料組成物に関する。
又、第2の発明は、該アンモニアないしアミン類(B2)と該フェノール類との配合比が、フェノール類のフェノール性水酸基1モルに対して、アンモニアないしアミン類(B2)が0.005〜0.5モルである第1の発明の塗料組成物に関する。
又、第3の発明は、該レゾール型フェノール樹脂に含有されるメチロール化単量体が10%未満であり、且つ、該レゾール型フェノール樹脂の重量平均分子量が300〜1500である第1又は第2の発明の塗料組成物に関する。
又、第4の発明は、該エポキシ樹脂と該レゾール型フェノール樹脂との重量比が、エポキシ樹脂/レゾール型フェノール樹脂=50/50〜95/5である第1〜3いずれかの発明の塗料組成物に関する。
又、第5の発明は、金属板又はプラスチックフィルム被覆金属板を成形して得られた缶に、第1〜4いずれかの発明の塗料組成物を被覆した被覆缶に関する。
又、第6の発明は、第1〜4いずれかの発明の塗料組成物によって被覆された金属板又はプラスチックフィルム被覆金属板を、成形して得られた被覆缶に関する。
本発明により、ヒュームを低減し、アルカリレゾールを使用した塗料組成物の持つ衛生性、フレーバー性を維持したまま、アンモニアレゾールを使用した塗料組成物と同様に加工性、可撓性、耐食性、耐硫化黒変性に優れる塗膜を形成することができる、レゾール型フェノール樹脂とエポキシ樹脂とを含有する塗料組成物の提供が可能となった。
先ず、本発明の塗料組成物に用いるレゾール型フェノール樹脂について説明する。本発明のレゾール型フェノール樹脂は、第1の工程にて、フェノール類とアルデヒド類とを先ず酸性雰囲気下、酸性触媒(A)を用いて反応させ、第2の工程にて、塩基性雰囲気下でアルカリ金属ないしアルカリ土類金属の水酸化物(B1)、及びアンモニアないしアミン類(B2)を用いて反応させて得られる。即ち、本発明のレゾール型フェノール樹脂は、酸性触媒(A)を用いてノボラック型フェノール樹脂を作製した後、アルカリ金属ないしアルカリ土類金属の水酸化物(B1)、及びアンモニアないしアミン類(B2)を用いてレゾール化した樹脂である。
<フェノール類>
本発明に用いるフェノール類としては、例えば、オルトクレゾール、パラクレゾール、パラフェニルフェノール、パラノニルフェノール、2,3−キシレノール、2,5−キシレノール、フェノール、メタクレゾール、3,5−キシレノール、レゾルシノール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールB、ビスフェノールE、ビスフェノールH、ビスフェノールS、カテコール、ハイドロキノン等が挙げられる。
ここで、本発明のフェノール類における理論官能性水素とは、アルデヒド類が反応し得るフェノール類の反応部位の水素をいう。即ち、フェノール類は、フェノール性の水酸基に対して、オルト位とパラ位とが反応部位となる。従って、オルトクレゾール、パラクレゾール、パラフェニルフェノール、パラノニルフェノール、2,3−キシレノール、2,5−キシレノール等は、1分子中に反応部位が2箇所あるため、当量数が2のフェノール類である。又、フェノール、メタクレゾール、3,5−キシレノール、レゾルシノール等は1分子中に反応部位が3箇所あるため、当量数が3のフェノール類である。又、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールB、ビスフェノールE、ビスフェノールH、ビスフェノールS等のビスフェノール類や、カテコール、ハイドロキノン等は1分子中に反応部位が4箇所あるため、当量数が4のフェノール類である。
本発明では、これらフェノール類のうち、生産性、反応性を考慮すると、フェノール、オルトクレゾール、メタクレゾール、パラクレゾール等が好ましく、パラクレゾールがより好ましい。当量数が4以上のフェノール類を用いた場合、高分子量体が生成する可能性が大きく、そのフェノール樹脂を缶被覆用の塗料に用いた場合、塗料用の汎用的な溶剤に対する溶解性が悪くなり、塗料組成物として応用する際にフェノール樹脂が析出し易くなる。その結果、塗膜にブツを生じ易くなる。尚、本発明では、これらのフェノール類を単独で又は複数を混合して用いてフェノール樹脂を得ることができる。
<アルデヒド類>
本発明に用いるアルデヒド類としては、例えば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド等が使用可能である。ホルムアルデヒドの供給源としては、ホルマリン、ホルミットNB[ホルムアルデヒドのn−ブタノール溶液、広栄化学工業(株)製]、ホルミットIB[ホルムアルデヒドのiso−プロパノール溶液、広栄化学工業(株)製]、パラホルムアルデヒド、トリオキサンなどを使用することができる。中でも、生産性や汎用性を考慮すると、ホルムアルデヒド、ホルミットNB、ホルミットIBが好ましい。本発明において、フェノール類の理論官能性水素1当量に対して、0.75〜2.0当量のアルデヒド類を反応に供する。好ましくは、1.0〜1.5当量のアルデヒド類を反応に供する。フェノール類の理論官能性水素1当量に対してアルデヒド類が0.75未満だと、生成するフェノール樹脂の分子量が高くなり、これを用いた塗料を被覆缶に使用した場合、塗料用の汎用的な溶剤に対する溶解性が低くなり、フェノール樹脂が析出しやすくなる。その結果、塗膜にブツを生じやすくなる。一方、2.0当量を超えると反応し得ないアルデヒド類が多くなる。
<酸性触媒(A)>
本発明に用いる酸性触媒(A)としては、例えば、塩酸、硫酸、リン酸等の無機酸、あるいはギ酸、酢酸、シュウ酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、トルエンスルホン酸等の有機酸などが挙げられる。酸性触媒(A)は、使用するフェノール類のフェノール性水酸基1モルに対して0.005〜0.1モルであることが好ましく、0.01〜0.1モル用いることがより好ましい。使用量が0.005モル未満であると生成するノボラック型フェノール樹脂、そして、その後に生成されるレゾール型フェノール樹脂中の低分子量成分が多くなり、硬化塗膜の衛生性、フレーバー性の向上があまり期待できない場合がある。一方、使用量が0.1モルを超えると、急激な反応が起こり、制御が難しくなる場合がある。
<アルカリ金属ないしアルカリ土類金属の水酸化物(B1)>
本発明に用いるアルカリ金属ないしアルカリ土類金属の水酸化物(B1)としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウムなどが挙げられる。これらは2種類以上を併用することもできる。アルカリ金属ないしアルカリ土類金属の水酸化物(B1)は、第1の工程で使用した酸性触媒(A)を中和し、更にフェノール樹脂とアルデヒド類とを反応させるための反応触媒として使用する。従って、アルカリ金属ないしアルカリ土類金属の水酸化物(B1)は、酸性触媒を中和する量に加え、これとは別に反応触媒として、フェノール類のフェノール性水酸基1モルに対し、0.05〜0.5モル用いることが好ましい。0.05モル未満だと分子構造の架橋密度が高くなりづらく、硬化塗膜の耐食性、耐硫化黒変性が劣る傾向にある。0.5モルを超えると、得られるフェノール樹脂が塗料用の汎用的な溶剤に対する溶解性が悪くなる傾向があり、塗料組成物として応用する際にフェノール樹脂が析出し易くなる。更に中和のための酸の量も多く必要になり、又、中和反応により生成した塩を除去する手間も増大する。
<アンモニアないしアミン類(B2)>
本発明に用いるアンモニアないしアミン類(B2)としては、例えば、アンモニア、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノプロピルアミン、ジプロピルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N,N−ジメチル−エタノールアミン、N,N−ジエチル−エタノールアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ピリジン、モルホリン、ヘキサメチレンテトラミンなどがある。これらは2種類以上を併用することもできる。
本発明においては、アンモニアないしアミン類(B2)として、塗膜にした際の加工性、密着性、耐食性等の塗膜物性を考慮すると、アンモニアないしヘキサメチレンテトラミンのうちの少なくともいずれかを好ましく用いることができる。
アンモニアないしアミン類(B2)は、フェノール類のフェノール性水酸基1モルに対して0.005〜0.5モル用いることが好ましく、より好ましくは0.005〜0.2モルであり、更に好ましくは0.005〜0.1モルである。アンモニアないしアミン類(B2)の使用量が0.005モル未満だと塗膜の可撓性の向上があまり期待できない。一方、フェノール類のフェノール性水酸基1モルに対して0.5モルを超えると、得られるフェノール樹脂が塗料用の汎用的な溶剤に対する溶解性が悪くなる傾向にあり、塗料組成物として応用する際にフェノール樹脂が析出し易くなる。その結果、塗料組成物の経時安定性が悪くなったり、塗装性を損なったり、均一な塗膜を得難くなる。又、衛生性、フレーバー性、水着色性(塗膜を水に浸漬して加熱した際に、水が着色する現象)の観点からも、アンモニアないしアミン類(B2)の使用量が0.5モルを超えることは実用的ではない場合がある。
<レゾール型フェノール樹脂>
本発明のレゾール型フェノール樹脂において、メチロール化単量体の含有比は、ゲルパーミュエイションクロマトグラフィー(以下、GPC)により測定したピーク面積の合計に対する、メチロール化単量体に帰属されるピーク面積の比率を算出したものである。メチロール化単量体の含有比は、10%未満であることが好ましく、5%未満であることがより好ましい。含有されるメチロール化単量体が10%以上である場合、ヒュームが多量に発生するようになる。又、同時に、得られる硬化塗膜が脆くなる傾向にあるので、塗膜の加工性、可撓性、耐食性、密着性が劣ってしまう場合がある。尚、本発明でのメチロール化単量体とは、アルデヒド類の付加反応によりフェノール類の反応部位にメチロール基が1又は複数個生成し(メチロール化)、且つ、一切の縮合反応が進行していないものを指す。メチロール化単量体中に存在するメチロール基の最大数は、フェノール類の理論官能性水素の当量数と等しい。例えば、理論官能性水素が2当量であるパラクレゾールの場合、メチロール基の最大生成数は2であり、このメチロール化単量体とは、モノメチロール化パラクレゾールとジメチロール化パラクレゾールを示すものである。
又、本発明のレゾール型フェノール樹脂の重量平均分子量は、300〜1500であることが好ましく、500〜1200であることがより好ましい。重量平均分子量が300未満であると、得られる塗膜が脆くなる傾向にあり、加工性、密着性、耐食性が低下するという問題が起こる場合がある。一方、1500を超えると、フェノール樹脂が塗料用の汎用的な溶剤に対して溶解し難くなり、塗装性を損なう、均一な塗膜を得難くなるという問題が起こる場合がある。又、塗膜の耐硫化黒変性が低下する場合もある。尚、重量平均分子量はGPCにより測定した。
本発明におけるレゾール型フェノール樹脂は、フェノール類とアルデヒド類との反応触媒として、初期に酸性触媒(A)を使用し、後期にアルカリ金属ないしアルカリ土類金属の水酸化物(B1)、及びアンモニアないしアミン類(B2)を併用して得られる。第1の工程における触媒として酸性触媒(A)を用いることによって、フェノール環とフェノール環とがメチレン基、即ち、−CH2−を介して結合したノボラック型フェノール樹脂が生成する。かかる構造を有するフェノール樹脂は塗膜の加工性、可撓性向上に寄与することができるが、分子構造の架橋密度が低いため耐食性、耐硫化黒変性が劣る特徴を有する(硫化黒変性とは、魚肉等の蛋白質を多く含有する食材を内容物とする食缶の内面において、蛋白質の経時分解によって生じるH2Sが缶内面の塗膜の下地金属のSnと反応して黒色のSnSを形成し、その結果塗膜も黒く変色する現象をいう)。
第2の工程における触媒にアルカリ金属ないしアルカリ土類金属の水酸化物(B1)、及びアンモニアないしアミン類(B2)を使用することにより、第1の工程で生成したノボラック型フェノール樹脂をレゾール化し、その構造中に架橋性のメチロール基や含窒素基を導入することができる。
アルカリ金属ないしアルカリ土類金属の水酸化物(B1)は、その触媒作用により反応系内のpHを高く維持して(即ち、塩基性雰囲気下で)、フェノール類の求核能力を高め、アルデヒド類の付加によるメチロール基の生成(メチロール化)を促進させることができる。
一方、アンモニアないしアミン類(B2)は、上記同様にフェノール類の求核能力を高めるための触媒として機能するほか、フェノール類、アルデヒド類と共にフェノール樹脂を構成する第3成分としても供され、その樹脂構造中に含窒素基を導入すると共に樹脂を高分子量化する働きを持つ。ただし、求核能力を高める触媒効果は、アルカリ金属ないしアルカリ土類金属の水酸化物(B1)に比して小さい。従って、第2の工程における触媒としてアンモニアないしアミン類(B2)のみを用いた場合、含窒素基の導入と高分子量化は進行するものの、フェノール類の求核能力が乏しいためメチロール化反応が不十分となり、第1の工程により得られるノボラック型フェノール樹脂をレゾール化し難くなってしまう。
そこで、アルカリ金属ないしアルカリ土類金属の水酸化物(B1)とアンモニアないしアミン類(B2)を併用する。これにより、フェノール類には高い求核能力が付与され、メチロール基、及び含窒素基の導入という両反応を共に充足することが可能となるのである。
以上の第2の工程を経て、メチロール基や含窒素基が導入されたフェノール樹脂は、塗膜を形成した際に分子構造の架橋密度が上昇し、塗膜の耐硫化黒変性を向上させ、更には加工性、可撓性、耐食性をも向上させることができる。
尚、本発明における含窒素基とは、窒素原子を含有する基である。例えば、アンモニアないしアミン類(B2)として、アンモニアやヘキサメチレンテトラミンを用いた場合は、含窒素基は、ジメチレンアミン結合基、即ち、−CH2NHCH2−、トリメチレンアミン結合基、即ち、−CH2N(CH2−)CH2−である。その他、含窒素基として、ベンゾオキサジン環等が挙げられる。フェノール樹脂中のこれら含窒素基の数は、反応に用いるアンモニアないしアミン類(B2)の量に依り、これが多ければ含窒素基は増加するし、少なければ減少する。
第2の工程における、アルカリ金属ないしアルカリ土類金属の水酸化物(B1)、及びアンモニアないしアミン類(B2)の反応系への添加方法は、以下(ア)〜(ウ)のような3つの方法が挙げられる。
(ア)アルカリ金属ないしアルカリ土類金属の水酸化物(B1)とアンモニアないしアミン類(B2)とを同時に反応系へ添加して反応を進行させる。
(イ)まず、アルカリ金属ないしアルカリ土類金属の水酸化物(B1)を反応系に添加して反応を行い、しかる後、アンモニアないしアミン類(B2)を添加して更に反応を進行させる。
(ウ)まず、アンモニアないしアミン類(B2)を反応系に添加して反応を行い、しかる後、アルカリ金属ないしアルカリ土類金属の水酸化物(B1)を添加して更に反応を進行させる。
本発明においては、生産性や反応性を考慮すると、(ア)、(イ)の場合が特に好ましい。
本発明において使用するアルデヒド類の添加方法は、以下のいずれであってもよい。1つ目の方法として、第1の工程において、必要量のアルデヒド類の全部を反応系に添加する方法がある。2つ目の方法として、第1の工程において、アルデヒド類の必要量の一部とフェノール類とを用いて酸性触媒の存在下に両者を反応させ、しかる後、第2の工程において塩基性触媒を添加する際もしくは添加した後に残りのアルデヒド類を反応系に添加する方法がある。本発明では、生産時の作業性を考慮すると、前者の方(1つ目の方法)が好ましい。後者(2つ目の方法)の場合、第1の工程においてフェノール類の理論官能性水素1当量に対して0.5当量以上のアルデヒド類を反応に供することが好ましい。0.5当量未満であると、第1の工程でフェノール樹脂が高分子量化し、塗料用の汎用的な溶剤に対する溶解性が悪くなり、塗料組成物として応用する際にフェノール樹脂が析出し易くなる。その結果、塗膜にブツを生じ易くなる。
本発明に用いるレゾール型フェノール樹脂の製造方法は、フェノール類とアルデヒド類とを酸性雰囲気下、酸性触媒(A)を用いて反応させる第1の工程と、
次いで塩基性雰囲気下、アルカリ金属ないしアルカリ土類金属の水酸化物(B1)、及びアンモニアないしアミン類(B2)を用いて反応させる第2の工程と、を含む。本発明のフェノール樹脂の製造方法の具体例を以下に示す。
第1の工程の具体例<ノボラック型フェノール樹脂の製造>
フェノール類とアルデヒド類とを混合した混合液を準備する。ここで、アルデヒド類を第1の工程で全量添加する場合は、フェノール類の理論官能性水素1当量に対してアルデヒド類が0.75〜2.0当量となるように混合する。あるいは、アルデヒド類を第1及び第2の工程で分割して添加する場合は、第1の工程では、フェノール類の理論官能性水素1当量に対してアルデヒド類が0.5当量以上となるように混合する。この混合液に、酸性触媒(A)を添加し、70℃〜100℃で単量体縮合率が80%以上になるまで、好ましくは未反応のフェノール類がほとんどなくなるまで反応させ、重量平均分子量(Mw)が300〜600程度のノボラック型フェノール樹脂を得る。
第2の工程の具体例<レゾール型フェノール樹脂の製造(ノボラック型フェノール樹脂のレゾール化)>
第1の工程で得られたノボラック型フェノール樹脂に、触媒としてアルカリ金属ないしアルカリ土類金属の水酸化物(B1)とアンモニアないしアミン類(B2)とを同時ないし順次に加える。又、アルデヒド類を第1及び第2の工程で分割して添加する場合は、フェノール類の理論官能性水素1当量に対して、第1及び第2の工程でのアルデヒド類量の合計が0.75〜2.0当量になるように必要に応じて追加のアルデヒド類を加える。その後、重量平均分子量(Mw)が第1の工程終了時に比べ1.5〜2.0倍程度になるまで、塩基性雰囲気下30℃〜100℃で反応させる。次に、第2の工程で用いた反応触媒を酸で中和し、生成した塩を水洗・除去し、脱水し、濃縮し、本発明のレゾール型フェノール樹脂を得る。尚、第2の工程で用いた反応触媒を中和する際に用いる酸としては、塩酸、硫酸、リン酸、シュウ酸、酢酸、ギ酸、パラトルエンスルホン酸、安息香酸などが例示できる。
上記のような反応を経て得られる本発明のレゾール型フェノール樹脂は、フェノール類の反応部位、つまり理論官能性水素が官能基により置換されている。官能基としては、例えば、メチレン基、ジメチレンエーテル基、メチロール基、アルコキシメチル基、含窒素基等が挙げられる。前記の官能基のうち、特にメチレン基に関しては、フェノール樹脂中のフェノール環とのモル比にして、フェノール環/メチレン基=1/0.25〜1/0.7であることが好ましい。又、含窒素基に関して、これとフェノール樹脂中のフェノール環とのモル比は、フェノール環/含窒素基=1/0.005〜1/0.25であることが好ましい。
<エポキシ樹脂>
次に、本発明の塗料組成物に用いるエポキシ樹脂について説明する。本発明で使用するエポキシ樹脂としては、ビスフェノール型、ノボラック型、ナフタレン型、ビフェニル型等が挙げられ、塗膜にした際の加工性、密着性、耐食性等の塗膜物性を考慮すると、ビスフェノールA型エポキシ樹脂が好ましい。
一般にビスフェノールA型エポキシ樹脂の製造方法には、以下に示すように大きく2つ、所謂タフィー法と所謂アドバンス法とがある。
タフィー法:エピクロルヒドリンとビスフェノールAとを、必要に応じてアルカリ触媒の存在下に、所定の分子量になるまで縮合させる。
アドバンス法:ビスフェノールA型エポキシモノマーとビスフェノール類とを、必要に応じてアルカリ触媒の存在下に、所定の分子量になるまで縮合させる。
本発明において使用されるビスフェノールA型エポキシ樹脂は、上記の方法により製造された物だけでなく、ビスフェノールA型エポキシ樹脂の末端エポキシ基と、一分子中にフェノール性の水酸基を1個有する化合物とをエステル化反応させてエポキシ当量を高くしたものであってもよい。
上記の方法で用いられる1分子中にフェノール性の水酸基を1個有する化合物としては、フェノール、オルトクレゾール、パラクレゾール、パラターシャリブチルフェノール、パラノニルフェノール等が挙げられる。
本発明において用いられるエポキシ樹脂は、上記の他、どのような方法で得られたものでもかまわないが、重量平均分子量が2500〜70000であるものが好ましい。重量平均分子量が2500未満だとビスフェノールA抽出量が多くなり、加工性、耐食性が悪化する場合がある。一方、重量平均分子量が70000を越えると、密着性が悪化する場合がある。尚、重量平均分子量はGPCにより測定した。
又、本発明の塗料組成物に用いられるエポキシ樹脂の市販品としては、ジャパンエポキシレジン(株)製のエピコート1007、エピコート1009、エピコート1010等が挙げられる。
<塗料組成物>
本発明では、既述のレゾール型フェノール樹脂とエポキシ樹脂とを混合して熱硬化性の塗料組成物とする。混合比は、その重量比にして、エポキシ樹脂/レゾール型フェノール樹脂=50/50〜95/5で配合して、熱硬化性の塗料組成物とすることが好ましい。レゾール型フェノール樹脂の重量比が50よりも多いと、内容物の風味保存安定性が低下したり、加工性が低下したりする傾向が見られる。又、レゾール型フェノール樹脂の重量比が5未満であると硬化性が低下する傾向にあり、その結果、耐食性、耐硫化黒変性が低下する傾向にある。
本発明の塗料組成物には、硬化を促進させるために触媒を加えてもよい。触媒としては、パラトルエンスルホン酸及びそのアミン塩、ドデシルベンゼンスルホン酸及びそのアミン塩、リン酸などが挙げられる。又、用途に応じて染顔料を加えて着色塗料組成物とすることもできる。
本発明の塗料組成物には、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ビニル樹脂、ノボラック型樹脂等を加えてもよい。
上記アクリル樹脂は、エチレン性不飽和カルボン酸と、これと共重合可能な(メタ)アクリル酸アルキルエステルを含むビニル単量体との共重合物である。アクリル樹脂は、これら単量体を、有機溶剤中で、過酸化物やアゾビス化合物等の重合開始剤の存在下、90〜160℃の温度でラジカル重合して得られる。重量平均分子量として10000〜100000程度が好ましい。
上記ポリエステル樹脂は、常法に従い、多価アルコール成分と多塩基酸成分との脱水縮合反応により得られるものである。ポリエステル樹脂は、樹脂構造中にカルボキシル基及び/又は水酸基を含有するものである。重量平均分子量として1000〜50000程度が好ましい。又、それらの市販品としては、エボニック・デグサ(株)製のダイナポールL411、ダイナポールL952等が挙げられる。
上記ビニル樹脂としては、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合樹脂、及びこの共重合樹脂を加水分解して得られる変性塩化ビニル/酢酸ビニル共重合樹脂等が挙げられ、それらの市販品としては、ダウ・ケミカル日本(株)製のVYHH、VMCH、VAGH等がある。
上記ノボラック型樹脂としては、フェノールやパラフェニルフェノールを原料とするものが挙げられる。それらの市販品としては、昭和高分子(株)製のショウノールBKM−2620やショウノールCKM−5254等が挙げられる。
本発明の塗料組成物には必要に応じて、製缶工程における塗膜の傷付きを防止する目的で、ワックス等の滑剤を添加することもできる。ワックスとしては、カルナバワックス、ラノリンワックス、パーム油、キャンデリラワックス、ライスワックス等の動植物系ワックス、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラタム等の石油系ワックス、ポリオレフィンワックス、テフロン(登録商標)ワックス等の合成ワックス等が好適に用いられる。
本発明の塗料組成物は、缶の製造に用いる金属上又はプラスチックフィルム被覆金属上に塗布して、塗装板としてもよい。又、金属又はプラスチックフィルム被覆金属を用いて製造された缶に塗布して、被覆缶としてもよい。本発明で用いられる金属板としては、鋼板、アルミニウム板等が挙げられる。プラスチックフィルム被覆金属を構成するプラスチックフィルムとしては、ポリエステルフィルム、ポリオレフィンフィルム等が挙げられ、ポリエステルフィルムが好ましい。ポリエステルフィルムとしてはポリエチレンテレフタレートフィルム(以下、PETフィルムとも称す)が好ましい。
まず、塗布の前に、塗料組成物に塗料用の汎用溶剤を加えて、塗布に適した粘度に調整してもよい。
次に、本発明の塗料組成物を塗布する。塗布には、ドクターコーター、エアナイフコーター、リバースコーター等の各種コーターや、ローラやブラシを用いてもよいし、スプレー塗装、静電塗装等の方法を用いてもよい。塗布量は、用途によって適宜選定すれば良いが、通常、乾燥・硬化後において3〜12μm程度となるように塗布するのが好ましい。
次に、塗布した塗料組成物を、乾燥、加熱することによって、硬化させる。これにより、塗装板又は被覆缶が得られる。乾燥、加熱は、電熱オーブン、ガス燃焼オーブン、各種熱源から発生させた熱風オーブン等による雰囲気加熱方式などを採用することができ、150〜250℃で10秒〜10分程度加熱することが好ましい。
更に、塗装板の場合は、次に塗装板を成形して被覆缶を得ることができる。
以下に、実施例により、本発明を更に具体的に説明するが、以下の実施例は本発明の権利範囲を何ら制限するものではない。尚、特に断りのない限り、実施例における「部」は「重量部」を、「%」は「重量%」を表す。
実施例中の重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミュエイションクロマトグラフィー(以下、GPC)により測定したもので、分子量既知のスチレンポリマーの値を基準に求めたもので、ポリスチレン換算分子量を示すものである。又、フェノール樹脂中のメチロール化単量体及び残留単量体の量は、GPCのピーク面積比より算出した。
フェノール樹脂中のメチレン基、及び含窒素基のモル比とは、13C−NMR測定により定量したもので、フェノール環の単位モルあたりのモル比として算出した値を示す。
[合成例1]
フェノール樹脂(1)の合成
第1の工程として、撹拌機、コンデンサー、窒素ガス導入管、温度計を取りつけた反応容器に、パラクレゾール108部、37%ホルマリン243部を仕込み、撹拌しながら20%塩酸3.65部を添加して加温し、80℃で2時間反応した。この工程で得られたフェノール樹脂の重量平均分子量は460であった。
次いで、第2の工程として、25%水酸化ナトリウム水溶液3.2部を加えて一旦中和した後、25%水酸化ナトリウム水溶液32部、25%アンモニア水6.8部を添加して、80℃で1時間反応した。反応後に20%塩酸36.5部を加えて中和し、n−ブタノール135部、メチルイソブチルケトン135部を加えて水層を分離した。得られたフェノール樹脂溶液を水で2回洗浄した後、脱水、濃縮し、不揮発分35%の精製した樹脂溶液を得た。これをフェノール樹脂(1)溶液とする。
反応においてパラクレゾールの理論官能性水素1当量に対するホルムアルデヒドは1.5当量であった。GPCより、フェノール樹脂(1)の重量平均分子量は960、メチロール化単量体の量は3.2%、残存単量体の量は検出限界以下、つまり、0.1%以下であった。又、フェノール樹脂(1)中のフェノール環に対するメチレン基、含窒素基のモル比は、それぞれ0.44、0.06であった。
[合成例2]
フェノール樹脂(2)の合成
合成例1と同一条件にて第1の工程を行ったところ、得られたフェノール樹脂の重量平均分子量は440であった。
次いで、第2の工程として、25%水酸化ナトリウム水溶液35.2部を添加し、80℃で1時間反応した後、25%アンモニア水6.8部を加えて60℃で1時間反応した。反応後に20%塩酸36.5部を加えて中和し、n−ブタノール135部、メチルイソブチルケトン135部を加えて水層を分離した。得られたフェノール樹脂溶液を水で2回洗浄した後、脱水、濃縮し、不揮発分35%の精製した樹脂溶液を得た。これをフェノール樹脂(2)溶液とする。
反応においてパラクレゾールの理論官能性水素1当量に対するホルムアルデヒドは1.5当量であった。GPCより、フェノール樹脂(2)の重量平均分子量は945、メチロール化単量体は3.5%、残存単量体の量は検出限界以下であった。又、フェノール樹脂(2)中のメチレン基、含窒素基のモル比は、それぞれ0.40、0.06であった。
尚、上記の水酸化ナトリウム水溶液35.2部のうち、3.2部は第1の工程で加えた酸の中和に使用し、32部はフェノール樹脂との反応に使用された。
[合成例3]
フェノール樹脂(3)の合成
合成例1と同一条件にて第1の工程を行ったところ、得られたフェノール樹脂の重量平均分子量は450であった。
次いで、第2の工程として、25%水酸化ナトリウム水溶液3.2部を加えて一旦中和した後、25%アンモニア水6.8部を加えて80℃で1時間反応し、その後に25%水酸化ナトリウム溶液32部を加えて60℃で1時間反応した。反応後に20%塩酸36.5部を加えて中和し、n−ブタノール135部、メチルイソブチルケトン135部を加えて水層を分離した。得られたフェノール樹脂溶液を水で2回洗浄した後、脱水、濃縮し、不揮発分35%の精製した樹脂溶液を得た。これをフェノール樹脂(3)溶液とする。
反応においてパラクレゾールの理論官能性水素1当量に対するホルムアルデヒドは1.5当量であった。GPCより、フェノール樹脂(3)の重量平均分子量は1010、メチロール化単量体は3.9%、残存単量体の量は検出限界以下であった。又、フェノール樹脂(3)中のメチレン基、含窒素基のモル比は、それぞれ0.40、0.06であった。
[合成例4]
フェノール樹脂(4)の合成
合成例1と同一条件にて第1の工程を行ったところ、得られたフェノール樹脂の重量平均分子量は440であった。
次いで、アンモニア水6.8部を0.68部に変更した以外は合成例2と同一条件にて第2の工程を行ったところ、不揮発分35%の精製した樹脂溶液を得た。これをフェノール樹脂(4)溶液とする。
反応においてパラクレゾールの理論官能性水素1当量に対するホルムアルデヒドは1.5当量であった。GPCより、フェノール樹脂(4)の重量平均分子量は890、メチロール化単量体は3.8%、残存単量体の量は検出限界以下であった。又、フェノール樹脂(4)中のメチレン基、含窒素基のモル比は、それぞれ0.40、0.01であった。
[合成例5]
フェノール樹脂(5)の合成
合成例1と同一条件にて第1の工程を行ったところ、得られたフェノール樹脂の重量平均分子量は460であった。
次いで、アンモニア水6.8部を27.2部に変更した以外は合成例2と同一条件にて第2の工程を行ったところ、不揮発分35%の精製した樹脂溶液を得た。これをフェノール樹脂(5)溶液とする。
反応においてパラクレゾールの理論官能性水素1当量に対するホルムアルデヒドは1.5当量であった。GPCより、フェノール樹脂(5)の重量平均分子量は1280、メチロール化単量体は2.5%、残存単量体の量は検出限界以下であった。又、フェノール樹脂(5)中のメチレン基、含窒素基のモル比は、それぞれ0.43、0.26であった。
[合成例6]
フェノール樹脂(6)の合成
ホルマリンを243部から130部に変更した以外は、合成例1と同一条件にて第1の工程を行ったところ、得られたフェノール樹脂の重量平均分子量は530であった。
次いで、合成例2と同一条件にて第2の工程を行ったところ、不揮発分35%の精製した樹脂溶液を得た。これをフェノール樹脂(6)溶液とする。
反応においてパラクレゾールの理論官能性水素1当量に対するホルムアルデヒドは0.8当量であった。GPCより、フェノール樹脂(6)の重量平均分子量は1080、メチロール化単量体は4.0%、残存単量体の量は検出限界以下であった。又、フェノール樹脂(6)中のメチレン基、含窒素基のモル比は、それぞれ0.38、0.05であった。
[合成例7]
フェノール樹脂(7)の合成
ホルマリンを243部から162部に変更した以外は、合成例1と同一条件にて第1の工程を行ったところ、得られたフェノール樹脂の重量平均分子量は515であった。
次いで、合成例2と同一条件にて第2の工程を行ったところ、不揮発分35%の精製した樹脂溶液を得た。これをフェノール樹脂(7)溶液とする。
反応においてパラクレゾールの理論官能性水素1当量に対するホルムアルデヒドは1.0当量であった。GPCより、フェノール樹脂(7)の重量平均分子量は1010、メチロール化単量体は3.3%、残存単量体の量は検出限界以下であった。又、フェノール樹脂(7)中のメチレン基、含窒素基のモル比は、それぞれ0.42、0.06であった。
[合成例8]
フェノール樹脂(8)の合成
ホルマリンを243部から276部に変更した以外は、合成例1と同一条件にて第1の工程を行ったところ、得られたフェノール樹脂の重量平均分子量は430であった。
次いで、合成例2と同一条件にて第2の工程を行ったところ、不揮発分35%の精製した樹脂溶液を得た。これをフェノール樹脂(8)溶液とする。
反応においてパラクレゾールの理論官能性水素1当量に対するホルムアルデヒドは1.7当量であった。GPCより、フェノール樹脂(8)の重量平均分子量は930、メチロール化単量体は4.7%、残存単量体の量は検出限界以下であった。又、フェノール樹脂(8)中のメチレン基、含窒素基のモル比は、それぞれ0.43、0.06であった。
[合成例9]
フェノール樹脂(9)の合成
ホルマリンを243部から308部に変更した以外は、合成例1と同一条件にて第1の工程を行ったところ、得られたフェノール樹脂の重量平均分子量は445であった。
次いで、合成例2と同一条件にて第2の工程を行ったところ、不揮発分35%の精製した樹脂溶液を得た。これをフェノール樹脂(9)溶液とする。
反応においてパラクレゾールの理論官能性水素1当量に対するホルムアルデヒドは1.9当量であった。GPCより、フェノール樹脂(9)の重量平均分子量は920、メチロール化単量体は5.0%、残存単量体の量は検出限界以下であった。又、フェノール樹脂(9)中のメチレン基、含窒素基のモル比は、それぞれ0.41、0.06であった。
[合成例10]
フェノール樹脂(10)の合成
塩酸を3.65部から27.4部に変更した以外は、合成例1と同一条件にて第1の工程を行ったところ、得られたフェノール樹脂の重量平均分子量は550であった。
次いで、第2の工程として、25%水酸化ナトリウム水溶液56部を添加し、80℃で1時間反応した後、25%アンモニア水6.8部を加えて60℃で1時間反応した。反応後に20%塩酸36.5部を加えて中和し、n−ブタノール135部、メチルイソブチルケトン135部を加えて水層を分離した。得られたフェノール樹脂溶液を水で2回洗浄した後、脱水、濃縮し、不揮発分35%の精製した樹脂溶液を得た。これをフェノール樹脂(10)溶液とする。
この反応におけるパラクレゾールの理論官能性水素1当量に対するホルムアルデヒドは1.5当量であった。GPCより、フェノール樹脂(10)の重量平均分子量は1060、メチロール化単量体は1.8%、残存単量体の量は検出限界以下であった。又、フェノール樹脂(10)中のメチレン基、含窒素基のモル比は、それぞれ0.48、0.06であった。
尚、上記の水酸化ナトリウム水溶液56部のうち、24部は第1の工程で加えた酸の中和に使用し、32部はフェノール樹脂との反応に使用された。
[合成例11]
フェノール樹脂(11)の合成
合成例1と同一条件にて第1の工程を行ったところ、得られたフェノール樹脂の重量平均分子量は440であった。
次いで、25%水酸化ナトリウム水溶液を35.2部から67.2部に変更し、20%塩酸を36.5部から73部に変更した以外は、合成例2と同一条件にて第2の工程を行ったところ、不揮発分35%の精製した樹脂溶液を得た。これをフェノール樹脂(11)溶液とする。
この反応におけるパラクレゾールの理論官能性水素1当量に対するホルムアルデヒドは1.5当量であった。GPCより、フェノール樹脂(11)の重量平均分子量は1200、メチロール化単量体は1.5%、残存単量体の量は検出限界以下であった。又、フェノール樹脂(11)中のメチレン基、含窒素基のモル比は、それぞれ0.43、0.05であった。
尚、上記の水酸化ナトリウム水溶液67.2部のうち、3.2部は第1の工程で加えた酸の中和に使用し、64部はフェノール樹脂との反応に使用された。
[合成例12]
フェノール樹脂(12)の合成
上記同様の反応容器に、パラクレゾール108部、37%ホルマリン243部を仕込み、撹拌しながら25%水酸化ナトリウム水溶液32部を添加して加温し、80℃で3時間反応した。反応後に20%塩酸36.5部を加えて中和し、n−ブタノール135部、メチルイソブチルケトン135部を加えて水層を分離した。得られたフェノール樹脂溶液を水で2回洗浄した後、脱水、濃縮し、不揮発分35%の精製した樹脂溶液を得た。これをフェノール樹脂(12)溶液とする。
反応においてパラクレゾールの理論官能性水素1当量に対するホルムアルデヒドは1.5当量であった。GPCより、フェノール樹脂(12)の重量平均分子量は740、メチロール化単量体は12.5%、残存単量体の量は1.3%であった。又、フェノール樹脂(12)中のメチレン基のモル比は0.23で、含窒素基は検出されなかった。
[合成例13]
フェノール樹脂(13)の合成
上記同様の反応容器に、パラクレゾール108部、37%ホルマリン243部を仕込み、撹拌しながら25%アンモニア水13.6部を添加して加温し、100℃で3時間反応した。反応後にn−ブタノール135部、メチルイソブチルケトン135部を加えて脱水、濃縮し、不揮発分35%の精製した樹脂溶液を得た。これをフェノール樹脂(13)溶液とする。
反応においてパラクレゾールの理論官能性水素1当量に対するホルムアルデヒドは1.5当量であった。GPCより、フェノール樹脂(13)の重量平均分子量は820、メチロール化単量体は8.5%、残存単量体の量は4.5%であった。又、フェノール樹脂(13)中のメチレン基、含窒素基のモル比は、それぞれ0.24、0.18であった。
[合成例14]
フェノール樹脂(14)の合成
上記同様の反応容器に、パラクレゾール108部、37%ホルマリン243部を仕込み、撹拌しながら25%水酸化ナトリウム水溶液32部を添加して加温し、80℃で3時間反応した。次いで、25%アンモニア水6.8部を添加し、60℃で1時間反応した。反応後に20%塩酸36.5部を加えて中和し、n−ブタノール135部、メチルイソブチルケトン135部を加えて水層を分離した。得られたフェノール樹脂溶液を水で2回洗浄した後、脱水、濃縮し、不揮発分35%の精製した樹脂溶液を得た。これをフェノール樹脂(14)溶液とする。
反応においてパラクレゾールの理論官能性水素1当量に対するホルムアルデヒドは1.5当量であった。GPCより、フェノール樹脂(14)の重量平均分子量は800、メチロール化単量体は10.5%、残存単量体の量は検出限界以下であった。又、フェノール樹脂(14)中のメチレン基、含窒素基のモル比は、それぞれ0.24、0.06であった。
[合成例15]
フェノール樹脂(15)の合成
合成例1と同一条件にて第1の工程を行ったところ、得られたフェノール樹脂の重量平均分子量は450であった。
次いで、25%水酸化ナトリウム水溶液35.2部を添加して、80℃で1時間反応した。反応後に20%塩酸36.5部を加えて中和し、n−ブタノール135部、メチルイソブチルケトン135部を加えて水層を分離した。得られたフェノール樹脂溶液を水で2回洗浄した後、脱水、濃縮し、不揮発分35%の精製した樹脂溶液を得た。これをフェノール樹脂(15)溶液とする。
反応においてパラクレゾールの理論官能性水素1当量に対するホルムアルデヒドは1.5当量であった。GPCより、フェノール樹脂(15)の重量平均分子量は920、メチロール化単量体の量は3.6%、残存単量体の量は検出限界以下であった。又、フェノール樹脂(15)中のメチレン基のモル比は0.41で、含窒素基は検出されなかった。
尚、上記の水酸化ナトリウム水溶液35.2部のうち、3.2部は第1の工程で加えた酸の中和に使用し、32部はフェノール樹脂との反応に使用された。
[合成例16]
フェノール樹脂(16)の合成
合成例1と同一条件にて第1の工程を行ったところ、得られたフェノール樹脂の重量平均分子量は460であった。
次いで、25%アンモニア水6.8部を加えて80℃で1時間反応した。反応後にn−ブタノール135部、メチルイソブチルケトン135部を加えて水層を分離した。得られたフェノール樹脂溶液を水で2回洗浄した後、脱水、濃縮し、不揮発分35%の精製した樹脂溶液を得た。これをフェノール樹脂(16)溶液とする。
反応においてパラクレゾールの理論官能性水素1当量に対するホルムアルデヒドは1.5当量であった。GPCより、フェノール樹脂(16)の重量平均分子量は940、メチロール化単量体の量は3.2%、残存単量体の量は検出限界以下であった。又、フェノール樹脂(16)中のメチレン基、含窒素基のモル比は、それぞれ0.42、0.06であった。
[合成例17]
フェノール樹脂(17)の合成
ホルマリン243部を81部に変更した以外は、合成例1と同一条件にて第1の工程を行ったところ、得られたフェノール樹脂の重量平均分子量は620であった。
次いで、合成例2と同一条件にて第2の工程を行ったところ、不揮発分35%の精製した樹脂溶液を得た。これをフェノール樹脂(17)溶液とする。
反応においてパラクレゾールの理論官能性水素1当量に対するホルムアルデヒドは0.5当量であった。GPCより、フェノール樹脂(17)の重量平均分子量は1230、メチロール化単量体は4.2%、残存単量体の量は1.1%であった。又、フェノール樹脂(17)中のメチレン基、含窒素基のモル比は、それぞれ0.35、0.07であった。
[合成例18]
フェノール樹脂(18)の合成
ホルマリン243部を114部に変更した以外は、合成例1と同一条件にて第1の工程を行ったところ、得られたフェノール樹脂の重量平均分子量は600であった。
次いで、合成例2と同一条件にて第2の工程を行ったところ、不揮発分35%の精製した樹脂溶液を得た。これをフェノール樹脂(18)溶液とする。
反応においてパラクレゾールの理論官能性水素1当量に対するホルムアルデヒドは0.7当量であった。GPCより、フェノール樹脂(18)の重量平均分子量は1120、メチロール化単量体は3.7%、残存単量体の量は検出限界以下であった。又、フェノール樹脂(18)中のメチレン基、含窒素基のモル比は、それぞれ0.38、0.06であった。
[合成例19]
フェノール樹脂(19)の合成
ホルマリン243部を341部に変更した以外は、合成例1と同一条件にて第1の工程を行ったところ、得られたフェノール樹脂の重量平均分子量は440であった。
次いで、合成例2と同一条件にて第2の工程を行ったところ、不揮発分35%の精製した樹脂溶液を得た。これをフェノール樹脂(19)溶液とする。
反応においてパラクレゾールの理論官能性水素1当量に対するホルムアルデヒドは2.1当量であった。GPCより、フェノール樹脂(19)の重量平均分子量は905、メチロール化単量体は5.2%、残存単量体の量は検出限界以下であった。又、フェノール樹脂(19)中のメチレン基、含窒素基のモル比は、それぞれ0.35、0.06であった。
合成例1〜19で得られたフェノール樹脂の性状を表1に示す。尚、表1では各成分の使用量をモル比で表している。
Figure 0005417981
<塗料組成物の作製>
[実施例1]
撹拌機、コンデンサー、窒素ガス導入管、温度計を取りつけた反応容器中で、ブチルセロソルブ22部、ソルベッソ100(エクソン化学製)12部、n−ブタノール22部の混合溶剤にビスフェノールA型エポキシ樹脂であるエピコート1009を52部加え、100℃で溶解した。エポキシ樹脂が溶解したら、合成例1で得られたフェノール樹脂(1)溶液を99部添加し、1級リン酸0.4部を加え、100℃で3時間撹拌後、冷却して取り出し、不揮発分約37%の塗料組成物を得た。
[実施例2〜11]
合成例1のフェノール樹脂(1)溶液に代えて、合成例2〜11で得たフェノール樹脂(2)〜(11)溶液を用いた以外は、実施例1と同様にして塗料組成物を得た。なお本願明細書で実施例5は参考例である。
[実施例12]
上記同様の反応容器を用いて、ブチルセロソルブ22部、ソルベッソ100 12部、n−ブタノール22部の混合溶剤にビスフェノールA型エポキシ樹脂であるエピコート1009を69部加え、100℃で溶解した。エポキシ樹脂が溶解したら、合成例2で得られたフェノール樹脂(2)溶液を49部添加し、1級リン酸0.4部を加え、100℃で3時間撹拌後、冷却して取り出し、不揮発分約37%の塗料組成物を得た。
[実施例13]
上記同様の反応容器を用いて、ブチルセロソルブ22部、ソルベッソ100 12部、n−ブタノール22部の混合溶剤にビスフェノールA型エポキシ樹脂であるエピコート1009を43部加え、100℃で溶解した。エポキシ樹脂が溶解したら、合成例2で得られたフェノール樹脂(2)溶液を123部添加し、1級リン酸0.4部を加え、100℃で3時間撹拌後、冷却して取り出し、不揮発分約37%の塗料組成物を得た。
[比較例1〜8]
合成例1のフェノール樹脂(1)溶液に代えて、合成例12〜19で得たフェノール樹脂(12)〜(19)溶液をそれぞれ用いた以外は、実施例1と同様にして塗料組成物を得た。
[塗膜の評価]
実施例1〜13、及び比較例1〜8で得られた塗料組成物を、ブリキ板(0.23mm厚、#2.8/2.8)上に、乾燥塗膜量が50mg/100cm2となるように塗布した。この後、200℃で10分間焼き付け、評価用塗装板を作製した。以下のような方法で塗膜の性能を評価した。尚、ヒューム試験に関しては、塗料組成物を焼き付けて塗膜とする際に発生するヒューム量を捕集し評価した。
<折り曲げ加工性>
塗装板を大きさ30mm×50mm(縦×横)に切断した。次に、塗膜を外側にして、横50mmが20mmと30mmの幅になるように手で予め折り曲げ、この2つ折りにした試験片の間に厚さ0.23mmのブリキ板を2枚はさんだ。次に、1kgの荷重を高さ40cmから、折り曲げ部に落下させて完全に折り曲げた。次いで、試験片の折り曲げ先端部を濃度1%の食塩水中に浸漬させ、試験片の食塩水中に浸漬されていない金属部分と、食塩水との間を6.0V×6秒通電した時の電流値を測定した。塗膜の加工性(可撓性)が乏しい場合、折り曲げ加工部の塗膜がひび割れて、下地の金属板が露出して導電性が高まるため、高い電流値が得られる。評価基準を以下に示す。
◎:「30mA未満」
○:「30mA以上35mA未満」
△:「35mA以上40mA未満」
×:「40mA以上」
<密着性>
塗装板にデュポン衝撃(撃ち型直径1/2インチ、500gの重りを高さ30cmから撃ち型へ落下)を加えて、塗装板の塗膜側に凸部を形成した後、この加工部(凸部)をセロハンテープで引き剥がしたときの塗膜の剥離面積の割合(%=剥離面積/加工部面積×100)を目視で確認した。評価基準を以下に示す。
◎:「塗膜剥離がまったくない」
○:「塗膜剥離が認められ、10%未満」
△:「10%以上30%未満」
×:「30%以上」
<耐食性>
ブリキ板の両面を前記の塗装条件で塗装して、金属露出部が一切なくなった塗装板にデュポン衝撃(1/2インチ、300g、20cm)を加えて加工した。この後、1.5%食塩水中に浸漬して、120℃−90分レトルト処理をし、50℃で1ヵ月保存後の下地金属の腐食の程度を目視で確認した。評価基準を以下に示す。
◎:「腐食が認められない」
○:「加工部にわずかな腐食が認められる」
△:「加工部にはっきりした腐食が認められる」
×:「塗膜全面に腐食が認められる」
<耐硫化黒変性>
ブリキ板の両面を前記の塗装条件で塗装して、金属露出部が一切なくなった塗装板に、缶蓋の成形加工をした。この後、市販の鯖水煮を細かく粉砕した中に浸漬し、120℃−90分レトルト処理をし、50℃で1ヵ月保存後の下地金属の黒く変色する程度を目視で確認した。レトルト処理により塗膜に欠陥(例えば、微細なワレ、傷、部分剥離)が生じると、この部分からH2Sが下地金属へ到達して金属黒変し、やがて黒変が広がる。評価基準を以下に示す。
◎:「黒変が認められない」
○:「加工部にわずかな黒変が認められる」
△:「加工部にはっきりした黒変が認められる」
×:「塗膜全体に黒変が認められる」
<ヒューム試験>
10cm×10cmのブリキ板[I]上に、乾燥塗膜量が80mg/100cm2になるように塗料組成物を塗布した。次に、得られたブリキ板[I]を、220℃のホットプレート上に塗膜が上になるように乗せ、更にこの塗膜の上側に10cm×10cmのブリキ板[II]をブリキ板[I]との間隔が1cmとなるように対面させた。ブリキ板[I]上の塗膜の焼き付け時に、塗装板から発生するヒュームをブリキ板[II]に2分間付着させ、これを30枚繰り返した(ただし、塗膜面上に対面させているブリキ板[II]は交換しない)。その後、ヒュームを付着させたブリキ板[II]を120℃−10分間加熱乾燥し、付着物の重量をヒューム量として評価した。評価基準を以下に示す。
◎:「10mg未満」
○:「10mg以上15mg未満」
△:「15mg以上20mg未満」
×:「20mg以上」
<水抽出全有機体炭素量>
塗膜面積400cm2の塗装板を、抽出用の純水200mlに浸漬した後、125℃−30分レトルト処理を行い、抽出水に含有される全有機体炭素量(TOC)を全有機体炭素計[島津製作所(株)製「TOC−5000A」]を用いて測定した。
<水着色性>
塗膜面積200cm2の塗装板を、pH=6.86の緩衝液100ml中に浸漬した後、125℃−30分レトルト処理を行い、緩衝液の着色度合いを目視評価した。評価基準を以下に示す。
◎:「着色がない」
○:「わずかに着色している」
△:「着色している」
×:「著しく着色している」
実施例1〜13、及び比較例1〜8の塗料組成物から得られた塗膜の評価結果を表2に示す。
Figure 0005417981
表2に示すように、実施例1〜13の塗料組成物は、すべての塗膜物性が良好であったのに対し、比較例1〜8の塗料組成物では塗膜物性のいずれかが不良であり、全てが良好となるものは得られなかった。
<被覆缶の作製>
[実施例14]
実施例1で得られた塗料組成物を、350mLのアルミニウムDI缶(Drawing&Ironing法により製造されたアルミニウム缶)の内面に、乾燥塗膜量が50mg/100cm2となるようにスプレー塗装した。次いで、これを200℃で10分間焼き付け、実施例1で得られた塗料組成物で被覆した被覆缶(缶蓋を取り付ける前の状態)を得た。
[実施例15〜26]
実施例1の塗料組成物に代えて、実施例2〜13で得られた塗料組成物を用いた以外は、実施例14と同様にして被覆缶を得た。
[実施例27]
実施例1で得られた塗料組成物を、ブリキ板(0.23mm厚、#2.8/2.8)上にロールコーターにより乾燥塗膜量が50mg/100cm2となるように塗布し、これを200℃で10分間焼き付けて塗装金属板を得た。次いで、この塗装金属板を内径83mm、高さ45mmの3ピース缶(缶胴、缶蓋及び缶底の3部より構成される缶において、缶蓋を取り付ける前の状態)に製缶し、実施例1で得られた塗料組成物で被覆した被覆缶を得た。
[実施例28〜39]
実施例1の塗料組成物に代えて、実施例2〜13で得られた塗料組成物を用いた以外は、実施例27と同様にして被覆缶を得た。
[比較例9〜16]
実施例1の塗料組成物に代えて、比較例1〜8で得られた塗料組成物を用いた以外は、実施例14と同様にして被覆缶を得た。
[比較例17〜24]
実施例1の塗料組成物に代えて、比較例1〜8で得られた塗料組成物を用いた以外は、実施例27と同様にして被覆缶を得た。
[被覆缶の評価1]
実施例14〜26、及び比較例9〜16で得られた被覆缶を用いて、以下に示す方法により被覆缶の評価を実施した。
<耐食性>
被覆缶に1.5%食塩水を充填し、公知の塗料により被覆されたアルミニウム缶蓋を用いて缶を巻き締めた。この後、120℃−90分レトルト処理をし、50℃で1ヵ月保存後の下地金属の腐食の程度を目視で確認した。評価基準を以下に示す。
◎:「腐食が認められない」
○:「巻き締め部にわずかな腐食が認められる」
△:「巻き締め部にはっきりした腐食が認められる」
×:「全体に腐食が認められる」
<水抽出全有機炭素量>
被覆缶に純水を充填した後、公知の塗料により被覆されたアルミニウム缶蓋を用いて缶を巻き締めた。この後、これらを125℃−30分レトルト処理を行い、缶内の水に含有される全有機体炭素量(TOC)を、全有機体炭素計を用いて測定した。
<水着色性>
被覆缶にpH=6.86の緩衝液を充填した後、公知の塗料により被覆されたアルミニウム缶蓋を用いて缶を巻き締めた。この後、これらを125℃−30分レトルト処理を行い、緩衝液の着色度合いを目視評価した。評価基準を以下に示す。
◎:「着色がない」
○:「わずかに着色している」
△:「着色している」
×:「著しく着色している」
<水フレーバー性>
被覆缶に活性炭処理した水道水を充填した後、公知の塗料により被覆されたアルミニウム缶蓋を用いて缶を巻き締めた。この後、125℃−30分レトルト処理を行い、充填物の風味試験を実施した。尚、風味試験の比較対照として、耐熱瓶中でレトルト処理した水道水をブランクとして使用した。評価基準を以下に示す。
◎:「無味」
○:「僅かに味がする」
△:「味がする」
×:「かなり味がする」
実施例14〜26、及び比較例9〜16で得られた被覆缶の評価結果を表3に示す。
Figure 0005417981
[被覆缶の評価2]
実施例27〜39、及び比較例17〜24で得られた被覆缶を用いて、以下に示す方法により被覆缶の評価を実施した。
<耐食性>
被覆缶に1.5%食塩水を充填し、缶を巻き締めた。この後、120℃−90分レトルト処理をし、50℃で1ヵ月保存後の下地金属の腐食の程度を目視で確認した。評価基準を以下に示す。
◎:「腐食が認められない」
○:「巻き締め部にわずかな腐食が認められる」
△:「巻き締め部にはっきりした腐食が認められる」
×:「全体に腐食が認められる」
<耐硫化黒変性>
被覆缶に細かく粉砕した市販の鯖水煮を充填し、缶を巻き締めた。この後、120℃−90分レトルト処理をし、50℃で1ヵ月保存後の下地金属の黒く変色する程度を目視で確認した。評価基準を以下に示す。
◎:「黒変が認められない」
○:「巻き締め部にわずかな黒変が認められる」
△:「巻き締め部にはっきりした黒変が認められる」
×:「全体に黒変が認められる」
<水抽出全有機炭素量>
被覆缶に純水を充填し、缶を巻き締めた。この後、これらを125℃−30分レトルト処理を行い、缶内の水に含有される全有機体炭素量(TOC)を、全有機体炭素計を用いて測定した。
<水着色性>
被覆缶にpH=6.86の緩衝液を充填し、缶を巻き締めた。この後、これらを125℃−30分レトルト処理を行い、緩衝液の着色度合いを目視評価した。評価基準を以下に示す。
◎:「着色がない」
○:「わずかに着色している」
△:「着色している」
×:「著しく着色している」
<水フレーバー性>
被覆缶に活性炭処理した水道水を充填し、缶を巻き締めた。この後、125℃−30分レトルト処理を行い、充填物の風味試験を実施した。尚、風味試験の比較対照として、耐熱瓶中でレトルト処理した水道水をブランクとして使用した。評価基準を以下に示す。
◎:「無味」
○:「僅かに味がする」
△:「味がする」
×:「かなり味がする」
実施例27〜39、及び比較例17〜24で得られた被覆缶の評価結果を表4に示す。
Figure 0005417981

Claims (6)

  1. エポキシ樹脂とレゾール型フェノール樹脂とを含有する塗料組成物であって、
    該レゾール型フェノール樹脂が、フェノール類とアルデヒド類とを酸性雰囲気下、酸性触媒(A)を用いて反応させた後、更に、塩基性雰囲気下、アルカリ金属ないしアルカリ土類金属の水酸化物(B1)、及びアンモニアないしアミン類(B2)を用いて反応させて得られたものであり、且つ、
    該フェノール類と該アルデヒド類との当量比が、フェノール類の理論官能性水素1当量に対して、アルデヒド類が0.75〜2.0当量であり、
    前記レゾール型フェノール樹脂中のフェノール環とメチレン基とのモル比は、フェノール環/メチレン基=1/0.25〜1/0.7、同樹脂中のフェノール環と含窒素基とのモル比は、フェノール環/含窒素基=1/0.005〜1/0.25である塗料組成物。
  2. 該アンモニアないしアミン類(B2)と該フェノール類との配合比が、フェノール類のフェノール性水酸基1モルに対して、アンモニアないしアミン類(B2)が0.005〜0.5モルである請求項1記載の塗料組成物。
  3. 該レゾール型フェノール樹脂に含有されるメチロール化単量体が10%未満であり、且つ、該レゾール型フェノール樹脂の重量平均分子量が300〜1500である請求項1又は2記載の塗料組成物。
  4. 該エポキシ樹脂と該レゾール型フェノール樹脂との重量比が、エポキシ樹脂/レゾール型フェノール樹脂=50/50〜95/5である請求項1〜3いずれか記載の塗料組成物。
  5. 金属板又はプラスチックフィルム被覆金属板を成形して得られた缶に、請求項1〜4いずれか記載の塗料組成物を被覆した被覆缶。
  6. 請求項1〜4いずれか記載の塗料組成物によって被覆された金属板又はプラスチックフィルム被覆金属板を、成形して得られた被覆缶。
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