JP5416431B2 - 電子ビーム描画装置、その電子ビーム描画装置の電子銃のカソード加熱用の電力制御装置及び電力制御方法 - Google Patents

電子ビーム描画装置、その電子ビーム描画装置の電子銃のカソード加熱用の電力制御装置及び電力制御方法 Download PDF

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本発明は、電子銃のカソード加熱用の電力を制御する電力制御装置を改良した電子ビーム描画装置、その描画装置の電子銃のカソード加熱用の電力を制御する電力制御装置及び電力制御方法に関する。
電子ビーム描画装置に用いられる電子銃として、熱電子放射型電子銃や、電界放射型電子銃(FEG)が知られている。
図9に示す一般的な熱電子放射型電子銃は、主として、カソード1であるエミッタ(「フィラメント」とも呼ばれる)と、負のバイアス電圧が印加されるウェネルト電極2と、接地されたアノード3とを備えている。
カソードたるエミッタ1は、加熱されると電子を放出するものであり、例えば、ホウ化ランタン(LaB)などからなる。電力制御回路4からカソード加熱用の電力を供給することで、カソード1が1800K程度の温度に加熱される。
カソード1から放出された電子は、ウェネルト電極2に印加されたバイアス電圧で作られた電界によってクロスオーバポイントCPで一旦収束し、加速電圧(例えば、−50kV)で作られた電界によってアノード3に向かって加速される。これにより、電子銃から電子ビームBが発せられる。
この種の熱電子放射型電子銃を適用した電子ビーム描画装置を用いて、LSIを製造するためのマスクにパターンを描画することが知られている。精度良く描画するためには、電子ビームの電流密度を一定に維持する必要がある。そのためには、カソード1の温度を一定に制御する必要がある。そこで、電力制御回路4からカソード1への供給電力が一定に制御される。
図10は、従来の電力制御装置40の構成を示す概略図である。カソード加熱用電源(以下「電源」という)41からの電力は絶縁トランス42の二次側(高電圧側)に伝送された後、整流器43を介してカソード1に供給される。そして、絶縁トランス42の一次側に設けられた電流計44及び電圧計45により電流値及び電圧値が測定される。測定された電流値及び電圧値が乗算器46により乗算されて電力値が求められ、求められた電力値と所定の電力設定値とに基づいて、電源41の電流値が変更される。これにより、カソード1への供給電力がフィードバック制御される。
然し、この電力制御装置40では、絶縁トランス42の二次側のカソード1に供給される電流値及び電圧値が測定されていないため、フィードバック制御の精度が低下する問題があった。
尚、絶縁トランスの一次側の電流値を測定し、測定した電流値から二次側の電流値を近似する電界放射型電子銃が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
ところで、経時変化により、カソードの抵抗値が大きく変動する(図4参照)。場合によっては、1%程度も抵抗値が変動することもある。このようにカソードの抵抗値が変動すると、図10に示す電力制御装置40による電力制御では、カソードへの供給電力が大きく変動する。その結果、カソードの温度変動を招き、電子ビームの電流密度が変動する。上述したように電流密度の変動は描画精度を低下させるため、カソードを交換しなければならない。カソードを交換する間は電子ビーム描画装置を使用することができないため、カソードの長寿命化が望まれている。
上述したように、カソードの長寿命化を図るためには、カソードの抵抗値が変動しても、カソードに供給される電力の変動を抑制する必要があるが、従来の電力制御装置ではカソードへの供給電力の変動を抑制することが困難であった。
特開平5−283031号公報
本発明の課題は、上記課題に鑑み、電子銃のカソードの抵抗値が変動しても、カソードに供給される電力の変動を抑制することが可能な電子ビーム描画装置、その電子ビーム描画装置の電子銃のカソード加熱用の電力制御装置及び電力制御方法を提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明の第1の態様は、電子銃のカソード加熱用の電力を制御する電力制御装置を備えた電子ビーム描画装置において、電力制御装置は、電源から出力された電力を二次側に伝送する絶縁トランスと、絶縁トランスの二次側に接続されたカソードに流れる電流値を計測する電流値計測部と、カソードに印加される電圧値を計測する電圧値計測部と、電流値及び電圧値をアナログデジタル変換するAD変換部と、AD変換部により変換された電流値及び電圧値に基づいて、カソードの抵抗値を算出する抵抗値算出部と、抵抗値算出部により算出された抵抗値に基づいて、電源の電流設定値を変更する制御部とを備えたことを特徴とする。
また、本発明の第2の態様は、電子銃のカソード加熱用の電力を制御する電力制御装置を備えた電子ビーム描画装置において、電力制御装置は、電源から出力された電力を二次側に伝送する絶縁トランスと、絶縁トランスの二次側に接続されたカソードに流れる電流値を計測する電流値計測部と、カソードに印加される電圧値を計測する電圧値計測部と、電流値及び電圧値をアナログデジタル変換するAD変換部と、AD変換部により変換された電流値及び電圧値に基づいて、カソードの抵抗値を算出する抵抗値算出部と、抵抗値算出部により算出された最新の抵抗値とそれよりも前に算出された少なくとも1以上の抵抗値に基づいて、次に算出される抵抗値を推定する抵抗値推定部と、抵抗値推定部により推定された抵抗値に基づいて、電源の電流設定値を変更する制御部とを備えたことを特徴とする。
この第2の態様において、抵抗値推定部は、逐次最小二乗アルゴリズムに従って抵抗値を推定する最小推定誤差フィルタにより構成することができる。
また、本発明の第3の態様は、電子ビーム描画装置の電子銃のカソード加熱用の電力を制御する電力制御装置において、電源から出力された電力を二次側に伝送する絶縁トランスと、絶縁トランスの二次側に接続されたカソードに流れる電流値を計測する電流値計測部と、カソードに印加される電圧値を計測する電圧値計測部と、電流値及び電圧値をアナログデジタル変換するAD変換部と、AD変換部により変換された電流値及び電圧値に基づいて、カソードの抵抗値を算出する抵抗値算出部と、抵抗値算出部により算出された抵抗値に基づいて、電源の電流設定値を変更する制御部とを備えたことを特徴とする。
また、本発明の第4の態様は、電子ビーム描画装置の電子銃のカソード加熱用の電力を制御する電力制御装置において、電源から出力された電力を二次側に伝送する絶縁トランスと、絶縁トランスの二次側に接続されたカソードに流れる電流値を計測する電流値計測部と、カソードに印加される電圧値を計測する電圧値計測部と、電流値及び電圧値をアナログデジタル変換するAD変換部と、AD変換部により変換された電流値及び電圧値に基づいて、カソードの抵抗値を算出する抵抗値算出部と、抵抗値算出部により算出された最新の抵抗値とそれよりも前に算出された少なくとも1以上の抵抗値に基づいて、次に算出される抵抗値を推定する抵抗値推定部と、抵抗値推定部により推定された抵抗値に基づいて、電源の電流設定値を変更する制御部とを備えたことを特徴とする。
この第4の態様において、抵抗値推定部は、逐次最小二乗アルゴリズムに従って抵抗値を推定する最小推定誤差フィルタにより構成することができる。
また、本発明の第5の態様は、電子ビーム描画装置の電子銃のカソード加熱用の電力を制御する電力制御方法において、絶縁トランスの二次側に接続されたカソードに供給される電流値及び電圧値を計測するステップと、電流値及び電圧値をアナログデジタル変換するステップと、アナログデジタル変換後の電流値及び電圧値に基づいて、カソードの抵抗値を算出するステップと、算出した抵抗値に基づいて、絶縁トランスの一次側に接続された電源の電流設定値を変更するステップとを含むことを特徴とする。
また、本発明の第6の態様は、電子ビーム描画装置の電子銃のカソード加熱用の電力を制御する電力制御方法において、絶縁トランスの二次側に接続されたカソードに供給される電流値及び電圧値を計測するステップと、電流値及び電圧値をアナログデジタル変換するステップと、アナログデジタル変換後の電流値及び電圧値に基づいて、カソードの抵抗値を算出するステップと、最新の抵抗値とそれより前に算出した少なくとも1以上の抵抗値とに基づいて、次に算出される抵抗値を推定するステップと、推定された抵抗値に基づいて、絶縁トランスの一次側に接続された電源の電流設定値を変更するステップとを含むことを特徴とする。
本発明の第1及び第3の態様によれば、カソードの電流値及び電圧値をAD変換部によりAD変換し、AD変換後の電流値及び電圧値に基づいて抵抗値算出部によりカソードの抵抗値を算出し、算出された抵抗値に基づいて、電源の電流設定値を制御部により変更するように構成したため、電子銃のカソードの抵抗値が変動しても、カソードに供給される電力の変動を抑制することができる。
本発明の第2及び第4の態様によれば、カソードの電流値及び電圧値をAD変換部によりAD変換し、AD変換後の電流値及び電圧値に基づいて抵抗値算出部によりカソードの抵抗値を算出し、最新の抵抗値とそれよりも前に算出された少なくとも1以上の抵抗値に基づいて、次に算出される抵抗値を抵抗値推定部により推定し、推定された抵抗値に基づいて、電源の電流設定値を制御部により変更するように構成したため、電子銃のカソードの抵抗値が変動しても、カソードに供給される電力の変動を上記第1及び第3の態様よりも更に抑制することができる。
本発明の第5の態様によれば、カソードの電流値及び電圧値をAD変換し、AD変換後の電流値及び電圧値に基づいてカソードの抵抗値を算出し、算出した抵抗値に基づいて電源の電流設定値を変更することで、電子銃のカソードの抵抗値が変動しても、カソードに供給される電力の変動を抑制することができる。
本発明の第6の態様によれば、カソードの電流値及び電圧値をAD変換し、AD変換後の電流値及び電圧値に基づいてカソードの抵抗値を算出し、最新の抵抗値とそれよりも前に算出された少なくとも1以上の抵抗値に基づいて次に算出される抵抗値を推定し、推定された抵抗値に基づいて、電源の電流設定値を変更することで、電子銃のカソードの抵抗値が変動しても、カソードに供給される電力の変動を上記第5の態様よりも更に抑制することができる。
本発明の実施形態1において、電子ビーム描画装置100の構成を示す概略図である。 本発明の実施形態1において、電子銃のカソード加熱用の電力制御装置10の構成を示す概略図である。 本発明の実施形態1において、カソード加熱用の電力制御方法について説明するフローチャートである。 カソードの抵抗値の変化を示す図である。 本発明の実施形態1において、(a)は電源の設定電流値の変化を示す図であり、(b)はカソードに供給される電力の変動を示す図である。 本発明の実施形態2において、電子銃のカソード加熱用の電力制御装置30の構成を示す概略図である。 本発明の実施形態2において、カソード加熱用の電力制御方法について説明するフローチャートである。 本発明の実施形態2において、(a)は電源の設定電流値の変化を示す図であり、(b)はカソードに供給される電力の変動を示す図である。 一般的な熱電子放射型電子銃の構成を示す概略図である。 従来のカソード加熱用の電力制御装置40の構成を示す概略図である。 電子銃のカソード加熱用の電力制御装置50の構成を示す概略図である。 (a)は電源の設定電流値の変化を示す図であり、(b)はカソードに供給される電力の変動を示す図である。
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
上述したように、絶縁トランスの一次側で測定した電流値及び電圧値から電力値を求め、求めた電力値と設定電力値とに基づいて電源の電流を変化させても、カソードへの供給電力の変動を抑制することが困難であった。
そこで、図11に示すように、カソード1に供給される電流値及び電圧値を絶縁トランス52の二次側で計測する電力制御装置50が考えられる。この電力制御装置50では、絶縁トランス52の二次側に設けられた電流計54及び電圧計55により電流値及び電圧値を測定し、測定した電流値及び電圧値を電圧/周波数(以下「V/F」という)変換部56A、56Bにより周波数信号に変換して、光ファイバケーブル等の伝送路を介して絶縁トランス52の一次側に伝送する。伝送された信号は、周波数/電圧(以下「F/V」という)変換部57A、57Bにより電圧信号に変換され、演算部58に入力される。演算部58は、電流値及び電圧値からカソード1の抵抗値を演算し、演算した抵抗値に基づいて、電源51の電流設定値を変更する。
図11に示す電力制御装置50によれば、通常、1sec〜10secの周期Bで、電源51の電流設定値の変更が行われる。つまり、図4において実線L1で示すようなカソードの抵抗値の変動があると、図12(a)に示すように電源51の電流設定値が周期Bで変更される。このように電源51の電流設定値を変更すると、カソード1に供給される電力は、図12(b)に示すように変化する。
図1は、本発明の実施形態1における電子ビーム描画装置の構成を示す概念図である。図1に示す電子ビーム描画装置100は、描画部150と制御部160を備えている。
描画部150は、電子鏡筒102、描画室103を有している。電子鏡筒102内には、電子銃201、照明レンズ202、ブランキング(BLK)偏向器218、ブランキング(BLK)アパーチャ219、第1の成形アパーチャ203、成形レンズ204、成形偏向器205、第2の成形アパーチャ206、縮小レンズ216、対物レンズ207、副偏向器212、及び主偏向器214が配置されている。また、描画室103内には、XY方向に移動可能に配置され、試料Mであるマスクブランクスが載置されるXYステージ105が配置されている。
電子銃201は、カソード1であるエミッタと、ウェネルト電極2と、アノード3とを有している。アノード3は、接地(地絡)されている。
制御部160は、電子銃電源230と、描画制御回路240とを有している。電子銃電源230内には、カソード加熱用電力制御装置(以下「電力制御装置」という)10と、加速電源232と、バイアス電源234とが設けられている。電力制御装置10は、カソード(エミッタ)1を例えば1800K程度に加熱するために、カソード1への供給電力を一定に制御する。加速電源232は、カソード1に所定の加速電圧(例えば、−50kV)を印加する。バイアス電源234は、図示省略する電流計で検出されたエミッション電流が目標値となるように、ウェネルト電極2にバイアス電圧(ウェネルト電圧)を印加する。
尚、図1では、本実施形態1を説明する上で必要な構成部分について記載している。電子ビーム描画装置100にとって、通常、必要なその他の構成が含まれることは言うまでもない。
電子銃201から出た電子ビーム200は、照明レンズ202により矩形例えば長方形の穴を持つ第1の成形アパーチャ203全体を照明する。ここで、電子ビーム200をまず矩形例えば長方形に成形する。そして、第1の成形アパーチャ203を通過した第1のアパーチャ像の電子ビーム200は、成形レンズ204により第2の成形アパーチャ206上に投影される。かかる第2の成形アパーチャ206上での第1のアパーチャ像の位置は、成形偏向器205によって偏向制御され、ビーム形状と寸法を変化させることができる。その結果、電子ビーム200は成形される。そして、第2の成形アパーチャ206を通過した第2のアパーチャ像の電子ビーム200は、縮小レンズ216で縮小され、対物レンズ207により焦点を合わせ、主偏向器214及び副偏向器212により偏向される。その結果、連続移動するXYステージ105上の試料M上の所望の位置に電子ビーム200が照射される。主偏向器214及び副偏向器212の偏向電圧は、描画制御部240によって制御される。
また、試料上の電子ビーム200が、所望する照射量を試料Mに入射させる照射時間に達すると、BLK偏向器218で電子ビーム200を偏向すると共にBLKアパーチャ219で電子ビーム200をカットする。BLK偏向器218の偏向電圧は、描画制御部240によって制御される。また、電子鏡筒102内および描画室103内は、図示していない真空ポンプにより真空引きされ、大気圧よりも低い圧力となる真空雰囲気となっている。
図2は、上記電子ビーム描画装置100における電力制御装置10の構成を示す概略図である。
電力制御装置10は、電源11からの電力を二次側(高電圧側)に伝送する絶縁トランス12を備えている。絶縁トランス12の二次側に伝送された電力は、整流器13により整流された後、カソード1に供給される。絶縁トランス12の二次側には、カソード1に供給される電流値及び電圧値を測定する電流計14及び電圧計15と、測定された電流値及び電圧値をアナログ/デジタル(以下「A/D」という)変換する20ビットのA/D変換部16と、A/D変換後のデジタル信号をパラレル/シリアル(以下「P/S」という)変換するP/S変換部17とが設けられている。このような構成によれば、カソード1に供給される電流値及び電圧値をμsecオーダでサンプリングすることができる。
絶縁トランス12の一次側(低電圧側)には、上記P/S変換部17と光ファイバケーブル等の伝送路を介して接続されたシリアル/パラレル(以下「S/P」という)変換するS/P変換部18と、S/P変換後の電流値及び電圧値から抵抗値を算出する抵抗値算出部19と、抵抗値算出部19により演算された抵抗値に基づいて、電源11の電流値を変更することで、カソード1に供給される電力が所定の電力設定値となるように制御する制御部21とを備えている。
次に、図3を参照して、カソード加熱用の電力制御方法について説明する。
図3に示すフローチャートによれば、先ず、制御部21に目標電力値を設定する(ステップS10)。この目標電力値は、カソード1を所望の温度(例えば、1800K)に制御するための値である。ステップS10で電力値が設定されると、電源11から電力が出力される。この電力は絶縁トランス12の二次側に伝送され、更に整流器13により整流された後、カソード1に供給される。
次いで、電流計14及び電圧計15によりカソード1に供給される電流値及び電圧値を計測する(ステップS11)。計測された電流値及び電圧値は、A/D変換部16によりA/D変換される(ステップS12)。A/D変換後の信号は、P/S変換部17によりP/S変換された後、伝送路を介してS/P変換部18に伝送される。そして、S/P変換部18によりS/P変換された電流値及び電圧値から、抵抗値算出部19によりカソード1の抵抗値が算出される(ステップS13)。
次いで、上記ステップS13で最新の抵抗値が算出されたタイミングが、所定のタイミングであるか否かが判別される(ステップS14)。このステップS14では、前回の電源11の電流設定値を変更したタイミングから所定時間Aだけ経過しているか否か、つまり、フィードバック制御を行うか否かが判別される。所定時間Aは、例えば、1msec〜10msecの範囲内で設定することができる。このステップS14で所定のタイミングであると判別された場合、上記ステップS13で算出された抵抗値に基づいて、電源11の電流設定値を変更する(ステップS15)。つまり、フィードバック制御が実行される。その後、本ルーチンを一旦終了する。
一方、上記ステップS14で所定のタイミングではないと判別された場合、電源11の電流設定値の変更を行うことなく、つまり、フィードバック制御を行うことなく、本ルーチンを一旦終了する。この場合、電流値及び電圧値のサンプリングと、抵抗値の算出とが行われる。従って、フィードバック周期Aよりもサンプリング周期は短い。
次回以降本ルーチンが再び起動されると、先ず、上記ステップS10で前回と同じ目標電力値が設定される。その後、上記ステップS11で電流値及び電圧値が計測され、更にステップS12以降の処理が行われる。
上記電力制御装置10によれば、通常、上記の周期Bよりも短い1msec〜10msecの周期Aで、電源11の電流設定値の変更が行われる。つまり、図4において実線L1で示すようなカソード1の抵抗値の変動があると、図5(a)に示すように電源11の電流設定値が周期Aで変更される。このように電源11の電流設定値を変更すると、カソード1に供給される電力は、図5(b)に変化する。尚、図4に示す時刻t0と、図5に示す時刻t0とは同一時刻である。
このように、本実施形態1では、絶縁トランス12の二次側で計測した電流値及び電圧値を20ビットのA/D変換部16によりA/D変換した後、一次側で抵抗値を算出し、この算出した抵抗値に基づいて、1msec〜10msecの周期Aで電源11の電流値を変更することで、上記電力制御装置50により制御される電力変動(図12(b)参照)に比べて、カソード1に供給される電力の変動を抑制することができる(図5(b)参照)。これにより、カソード1の温度変動を小さくすることができ、電子ビームの電流密度の変動を抑制することができるため、電子ビーム描画装置の描画精度を向上させることができる。また、電力変動が抑制されるため、供給電力の発振を防ぐことができる。
次に、図6を参照して、本発明の実施形態2における電子銃のカソード加熱用の電力制御装置30について説明する。この電力制御装置30は、図1に示した電力制御装置10に代えて、電子ビーム描画装置100に適用することができる。
本実施形態2の電力制御装置30は、抵抗値算出部19と制御部21との間に最小推定誤差フィルタ20を備える点において、上記実施形態1の電力制御装置10と相違する。
最小推定誤差フィルタ20は、抵抗値算出部19により最新の抵抗値を算出した時刻をtとすると、この時刻tにおいて算出された最新の抵抗値と、それ以前の時刻ti−1、ti−2、…に算出された少なくとも1以上の抵抗値とを用いて、逐次最小二乗(RLS:Recrusive Least Squares)アルゴリズムに従って、次の時刻ti+1に算出される抵抗値を推定するデジタルフィルタである。これら時刻ti−1、ti−2、…に算出された抵抗値は、図示省略する内部或いは外部のメモリに格納したものを読み出して用いればよい。読み出す抵抗値の数は、数百〜数千の範囲で設定することができる。この最小推定誤差フィルタ20によれば、図4において破線L2で示すように、カソード1の抵抗値の変化を推定することができる。制御部21は、この推定された抵抗値に基づいて、電源11の電流設定値を変更するものである。
次に、図7を参照して、上記電力制御装置30を用いたカソード加熱用の電力制御方法について説明する。図7に示すフローチャートは、ステップS16及びS17を有する点において、図3に示すフローチャートと相違する。
図7に示すフローチャートによれば、図3に示すフローチャートと同様に、制御部21に目標電力値が設定され(ステップS10)、電流値及び電圧値が計測され(ステップS11)、A/D変換され(ステップS12)、カソード1の抵抗値が算出される(ステップS13)。
そして、最小推定誤差フィルタ20により、最新の抵抗値が算出された時刻tにおける最新の抵抗値と、それ以前の時刻ti−1、ti−2、…に算出された抵抗値とを用いて、RLSアルゴリズムに従って、次の時刻ti+1に算出される抵抗値を推定する(ステップS16)。
次いで、図3に示すフローチャートと同様に、上記ステップS13で最新の抵抗値が算出されたタイミング(時刻t)が所定のタイミングであるか否かが判別される(ステップS14)。つまり、前回の電源11の電流設定値を変更したタイミングから所定時間Aだけ経過しているか否か、つまり、フィードバック制御を行うか否かが判別される。所定時間Aは、例えば、1msec〜10msecの範囲内で設定することができる。
上記ステップS14で所定のタイミングであると判別された場合、上記ステップS16で推定された抵抗値に基づいて、制御部21により電源11の電流設定値を変更する(ステップS17)。つまり、フィードバック制御が実行される。その後、本ルーチンを一旦終了する。
一方、上記ステップS14で所定のタイミングではないと判別された場合、電源11の電流設定値の変更を行うことなく、本ルーチンを一旦終了する。
上記電力制御装置30によれば、図4において実線L1で示すようなカソード1の抵抗値の変動がある場合、図4において破線L2で示すように抵抗値の変動を事前に推定することができる。そして、この推定された抵抗値に基づいて、図8(a)に示すように電源11の電流設定値が上記周期Aで変更される。このように推定抵抗値に基づいて電流設定値を変更することで、上記電力制御装置10により制御される電力変動(図5(b)参照)に比べて、カソード1に供給される電力の変動を更に抑制することができる(図8(b参照)。これにより、上記実施形態1に比べて、カソード1の温度変動を更に小さくすることができ、電子ビームの電流密度の変動を更に抑制することができるため、電子ビーム描画装置100の描画精度を更に向上させることができる。また、上記実施形態1と同様に、カソード1に供給される電力の変動が抑制されるため、供給電力の発振を防ぐことができる。
1 カソード
10、30 電力制御装置
11 電源
12 絶縁トランス
13 整流器
14 電流計(電流値計測部)
15 電圧計(電圧値計測部)
16 A/D変換部
19 抵抗値算出部
20 最小推定誤差フィルタ(抵抗値予測部)
21 制御部
100 電子ビーム描画装置



Claims (3)

  1. 電子銃のカソード加熱用の電力を制御する電力制御装置を備えた電子ビーム描画装置において、
    前記電力制御装置は、
    電源から出力された電力を二次側に伝送する絶縁トランスと、
    前記絶縁トランスの二次側に接続されたカソードに流れる電流値を計測する電流値計測部と、
    前記カソードに印加される電圧値を計測する電圧値計測部と、
    前記電流値及び電圧値をアナログデジタル変換するAD変換部と、
    前記AD変換部により変換された電流値及び電圧値に基づいて、前記カソードの抵抗値を算出する抵抗値算出部と、
    前記抵抗値算出部により算出された最新の抵抗値とそれよりも前に算出された少なくとも1以上の抵抗値に基づいて、次に算出される抵抗値を推定する抵抗値推定部と、
    前記抵抗値推定部により推定された抵抗値に基づいて、前記電源の電流設定値を変更する制御部とを備えたことを特徴とする電子ビーム描画装置。
  2. 電子ビーム描画装置の電子銃のカソード加熱用の電力を制御する電力制御装置において

    源から出力された電力を二次側に伝送する絶縁トランスと、
    前記絶縁トランスの二次側に接続されたカソードに流れる電流値を計測する電流値計測
    部と、
    前記カソードに印加される電圧値を計測する電圧値計測部と、
    前記電流値及び電圧値をアナログデジタル変換するAD変換部と、
    前記AD変換部により変換された電流値及び電圧値に基づいて、前記カソードの抵抗値
    を算出する抵抗値算出部と、
    前記抵抗値算出部により算出された最新の抵抗値とそれよりも前に算出された少なくと
    も1以上の抵抗値に基づいて、次に算出される抵抗値を推定する抵抗値推定部と、
    前記抵抗値推定部により推定された抵抗値に基づいて、前記電源の電流設定値を変更す
    る制御部とを備えたことを特徴とする電子ビーム描画装置の電子銃の電力を制御する電力
    制御装置
  3. 電子ビーム描画装置の電子銃のカソード加熱用の電力を制御する電力制御方法において

    絶縁トランスの二次側に接続されたカソードに供給される電流値及び電圧値を計測する
    ステップと、
    前記電流値及び電圧値をアナログデジタル変換するステップと、
    アナログデジタル変換後の電流値及び電圧値に基づいて、前記カソードの抵抗値を算出
    するステップと、
    最新の抵抗値とそれより前に算出した少なくとも1以上の抵抗値とに基づいて、次に算
    出される抵抗値を推定するステップと、
    推定された抵抗値に基づいて、絶縁トランスの一次側に接続された電源の電流設定値を
    変更するステップとを含むことを特徴とする電子ビーム描画装置の電子銃のカソード加熱
    用の電力制御方法
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