JP5412666B2 - マグネシウム合金及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明はマグネシウム合金及びその製造方法に関する。詳しくは、機械的な強度の高いマグネシウム合金及びその製造方法に係るものである。
一般に、マグネシウム合金は、実用化されている合金の中で最も密度が低く軽量で強度も高いため、電気製品の筺体や、自動車のホイール、足回り部品、エンジン回り部品等への適用が進められている。
特に、自動車に関連する用途の部品においては、高い機械的性質が要求されるため、GdやZn等の元素を添加したマグネシウム合金として、片ロール法、急速凝固法により特定の形態の材料を製造することが行なわれている(例えば、特許文献1、特許文献2、非特許文献1参照。)。
しかし、上記したマグネシウム合金は、特定の製造方法においては高い機械的性質が得られるものの、特定の製造方法を実現するためには特殊な設備が必要であり、しかも、生産性が低いといった問題があり、更には、適用できる部材も限られるといった問題がある。
そこで、従来、マグネシウム合金を製造する場合、上記した特許文献の様な特殊な設備あるいはプロセスを用いずに、生産性の高い通常の溶解鋳造から塑性加工(押出)を実施しても実用上有用な機械的性質が得られる技術が提案されている(例えば、特許文献3、特許文献4参照)。なお、特許文献3や特許文献4に開示されているマグネシウム合金は、高い機械的性質が得られることが知られている。
特開平6−41701号公報 特開2002−256370号公報 国際公開第2005/52203号パンフレット 国際公開第2005/52204号パンフレット 軽金属学会第108回大会講演概要(2005)p42−45
しかしながら、従来のマグネシウム合金は、軽量化の目的で自動車用への応用を進めるためには強度を更に向上させることが要求されていた。
本発明は、上記の点に鑑みて創案されたものであって、特殊な製造設備及びプロセスを使用することなく、機械的性質に優れたマグネシウム合金及びその製造方法を提供することを目的とするものである。
上記の目的を達成するために、本発明のマグネシウム合金では、必須成分としてZn、及び、希土類元素(RE)としてGd、Tb、Tmのうち少なくとも1つ以上を含有し、残部がMgと不可避的不純物からなるMg−Zn−RE系合金から構成されるマグネシウム合金であって、Mg−Zn−RE系合金の合金組織中に、β'相若しくはその一部がβ1相に変化したもの若しくはGP帯と、キンク変形した長周期積層構造とを有している。
ここで、Mg−Zn−RE系合金の合金組織中に、β'相若しくはその一部がβ1相に変化したもの若しくはGP帯と、キンク変形した長周期積層構造(以下、「LPSO:Long Period Stacking Order」と称する。)とを有することによって、マグネシウム合金の機械的特性が全体的に向上することとなる。具体的には、β'相若しくはその一部がβ1相に変化したもの若しくはGP帯(以下、「β'相群」と称する。)と、キンク変形したLPSOとが共存して素材を析出強化させることによって、β'相群のみ、あるいは、LPSOのみを有するものに比較して、引張強さ、0.2%耐力、伸び(伸び率)等の機械的特性が全体的に向上することとなる。
なお、Mg−Zn−RE系合金の合金組織中でβ相とLPSOが共存したとしても機械的特性の向上が期待できない。これは、β相がβ'相群と比較して粗大だからである。従って、Mg−Zn−RE系合金の合金組織中にβ相を極力出現させることなく、β'相群を出現させることで、β'相群とLPSOの共存が実現し、マグネシウム合金の機械的特性が全体的に向上することとなるのである。
また、β'相群は、針状析出物または板状析出物であり、例えば、REとしてGdを含有する場合には、この針状析出物または板状析出物は、MgGd若しくはMgGdの少なくとも一方である。更に、マグネシウム合金が、REとしてGd、Tb、Tmのうち1つ以上を含有することにより、例えば、MgGd(MgZnTbあるいはMg24Tm)の晶出物を形成し、β'相群である針状析出物または板状析出物と併せて、引張強さ、0.2%耐力、伸び等の機械的特性を全体的に向上させることとなる。また、β'相群である針状析出物または板状析出物は、7μm以下であることが好ましい。
また、マグネシウム合金において、Znは成分範囲が0.05〜3原子%であり、希土類元素は成分範囲が1〜5原子%であることが好ましい。この様な成分範囲とすることによって、強度向上に寄与するβ'相群とLPSOとが析出し易くなるからである。
また、上記の目的を達成するために、本発明のマグネシウム合金の製造方法では、必須成分としてZn、及び、希土類元素(RE)としてGd、Tb、Tmのうち少なくとも1つ以上を含有し、残部がMgと不可避的不純物からなるMg−Zn−RE系合金を鋳造して鋳造材を形成する鋳造工程と、前記鋳造材を溶体化する溶体化工程と、前記溶体化した鋳造材に350℃以上520℃未満の温度範囲で熱処理を行なう第1の熱処理工程と、該第1の熱処理工程により熱処理を施した鋳造材に塑性加工を行なう塑性加工工程と、該塑性加工工程により塑性加工を施した鋳造材に150℃以上300℃未満の温度範囲で熱処理を行なう第2の熱処理工程とを備えるマグネシウム合金の製造方法であって、熱処理温度(℃)をyとし、熱処理時間(h)をxとしたとき、前記第1の熱処理工程は、−12[ln(x)]+375<y<527で、かつ、0.5<x≦300に示す範囲の条件で行ない、前記第2の熱処理工程は、−18[ln(x)]+240<y<−12[ln(x)]+375で、かつ、2<x<300に示す範囲の条件で行なう。
ここで、溶体化した鋳造材に350℃以上520℃未満の温度範囲で熱処理を行なう第1の熱処理工程を、熱処理温度(℃)をyとし、熱処理時間(h)をxとしたとき、−12[ln(x)]+375<y<527で、かつ、0.5<x≦300に示す範囲の条件で行なうことによって、マグネシウム合金にβ'相、β1相及びβ相を出現させることなく、LPSOを形成することができる。
なお、第1の熱処理工程において、β'相やβ1相が出現した場合には、その後の塑性加工工程において、β'相やβ1相がβ相に替わってしまい、最終的に得られるマグネシウム合金にβ相のみが出現するという結果を招いてしまう。従って、最終的に得られるマグネシウム合金にβ相が極力出現しない様に、本発明のマグネシウム合金の製造方法では、第1の熱処理工程において、β相は勿論のこと、β'相及びβ1相も出現することの無い様な条件下でLPSOを形成している。
また、第1の熱処理工程により熱処理を施した鋳造材に塑性加工(例えば、押出加工、鍛造加工、圧延加工、引抜加工)を行なう塑性加工工程によって、α−Mg(母相)の微細化及びLPSOにキンク変形を導入することができる。なお、キンク変形(キンキング)とは、強加工されたLPSOが特に方位を持たずに、相内で折れ曲がり(bent)を生じることを意味しており、キンク変形が導入されることによって、機械的特性の向上が実現することとなる。
また、塑性加工工程により塑性加工を施した鋳造材に150℃以上300℃未満の温度範囲で熱処理を行なう第2の熱処理工程を、熱処理温度(℃)をyとし、熱処理時間(h)をxとしたとき、−18[ln(x)]+240<y<−12[ln(x)]+375で、かつ、2<x<300に示す範囲の条件で行なうことによって、α−Mg(母相)中にβ'相やβ1相若しくはGP帯を出現させることができる。
ところで、本発明のマグネシウム合金の製造方法では、第2の熱処理工程に先立って塑性加工工程を行なっているために、塑性加工工程によってβ'相やβ1相がβ相に替わってしまうことを回避することができる。
即ち、第2の熱処理工程後に塑性加工工程を行なった場合には、第2の熱処理工程によってβ'相やβ1相が出現したとしても、その後の塑性加工工程によってβ相へと替わってしまうこととなる。従って、塑性加工工程の後に、β'相やβ1相を出現させる第2の熱処理工程を行ない、β'相やβ1相が出現した後には塑性加工を行なわないことによって、最終的に得られるマグネシウム合金にβ相のみが出現してしまうことを回避することができるのである。
本発明を適用したマグネシウム合金は、β'相若しくはGP帯とLPSOとを有しているため、引張強さ、伸び、0.2%耐力等の機械的特性に優れている。
また、本発明を適用したマグネシウム合金の製造方法では、β'相群とLPSOとを有したマグネシウム合金を一般的な製造設備あるいはプロセスにより、効率よく製造することができる。即ち、引張強さ、伸び、0.2%耐力等の機械的特性に優れたマグネシウム合金を効率よく製造することができる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明し、本発明の理解に供する。
図1はPタイプの押出材に時効処理を施すことでマグネシウム合金の金属組織中にβ'相とLPSOが出現している状態(473Kで60時間の時効処理を施したもの)を示すTEM写真、図2はSHタイプの押出材に時効処理を施すことでマグネシウム合金の金属組織中にβ'相とLPSOが出現している状態(473Kで40時間の時効処理を施したもの)を示すTEM写真、図3はSHタイプの押出材に時効処理を施すことでマグネシウム合金の金属組織中にβ'相とLPSOが出現している状態(473Kで60時間の時効処理を施したもの)を示すTEM写真である。
ここで、本発明のマグネシウム合金は、必須成分としてZn、及び、希土類元素(RE)として、Gd、Tb、Tmのうち少なくとも1つ以上を含有し、残部がMgと不可避的不純物からなるMg−Zn−RE系合金であるが、以下では、その一例として、Gdを含有する場合を例に挙げて説明を行なう。なお、図1〜図3に示す様に、マグネシウム合金1は、合金組織中に、針状析出物または板状析出物(MgGd若しくはMgGdの少なくとも一方)であるβ'相群(β'相とその一部がβ1相に変化したもの)(以下、適宜、便宜上、長尺析出物2と称する。)と、LPSO3とを有している。
[β'相、β1相について]
先ず、本発明のマグネシウム合金は、β'相とその一部がβ1相に変化したもの(β'相)を有している。
ここで、マグネシウム合金においてβ'相群とは、針状析出物または板状析出物(長尺状析出物)のことであり、所定の温度条件下で析出する析出物である。そして、このβ'相群の出現により機械的特性(引張強さ、伸び、0.2%耐力)が向上することとなる。また、β'相群(長尺析出物)は、細長い微細な針状または板状の析出物であり、小さ過ぎると機械的特性の向上に寄与せず、大き過ぎると析出物が破壊の起点となって伸びの低下につながってしまう。そのため、長尺析出物は、その大きさ(長さ)が0.01〜20μmの範囲であることが好ましく、また、0.1〜10μmの範囲であることがより好ましく、そして、0.3〜7μmの範囲であることが更に好ましい。なお、長尺析出物は、縦横比が2対1より細長い状態となっている。
また、長尺析出物は、温度条件及び温度時間により出現する相の状態がβ'相からβ1相に、更に、β1相からβ相に替わることが分かっている。そして、β相は粗大であるために、β相の出現により機械的特性(引張強度、0.2%耐力、伸び)の向上が期待できなくなってしまう。従って、本発明のマグネシウム合金では、長尺析出物をβ'相若しくはβ1相の状態で存在させ、換言すると、長尺析出物がβ相の状態でのみ存在することを回避することによって、機械的特性の向上を実現している。
なお、β1相とβ相とは、その構造が異なるために区別されている。
[LPSOについて]
また、本発明のマグネシウム合金は、LPSOを有している。
ここで、LPSOとは、マグネシウム合金の粒内及び粒界に析出する析出物であって、HCP構造における底面原子層の並びが底面法線方向に長周期規則をもって繰り返される構造、即ち、長周期積層構造をいう。このLPSOの析出によって、マグネシウム合金の機械的特性(引張強さ並びに0.2%耐力)が向上することとなる。
[合金組成について]
Zn:0.05〜3原子(at)%
Znは、0.05at%未満であると、LPSOを得ることができずに強度が低下してしまう。一方、3.0at%を越えると添加量に見合った強度向上が得られずに伸びが低下してしまう(脆化してしまう)。従って、Znは、0.05〜3.0at%の範囲であることが好ましい。
RE:1〜5原子(at)%
Gd、Tb、Tmは、鋳造のみでは、長尺状析出物またはLPSOを出現させることはないが、鋳造後に所定の条件で固溶体化及び熱処理を行なうことで長尺状析出物及びLPSOを析出することとなる。マグネシウム合金では、熱処理の条件でLPSOが析出して強度の向上を図ることができるが、より高い強度を得るためには、MgGd(MgZnTbあるいはMg24Tm)のα相への固溶体化及び熱処理により、長尺状析出物を析出させ、または、MgGd(MgZnTbあるいはMg24Tm)の固溶体化及び熱処理により、長尺状析出物を析出させると共に、晶出するMgGd(MgZnTbあるいはMg24Tm)を混在させることが重要となる。
そのために、マグネシウム合金においてGd、Tb、Tmの少なくとも1種からなるREは、所定量を必要とする。ここで、マグネシウム合金においてGd、Tb、Tmの少なくとも1種は、総量で1at%未満であると、LPSOを析出することができない。一方、総量で5at%を越えると添加量に見合った強度向上が得られず伸びが低下してしまう(脆化してしまう。)。従って、マグネシウム合金においてGd、Tb、Tmの少なくとも1種からなるREは、総量で1〜5at%の範囲であることが好ましい。
従って、マグネシウム合金は、合金組成において、原子%による組成は、0.05≦a≦3、1≦b≦5とすると、組成式Mg(100−a−b)ZnREで示される範囲であることが望ましい。なお、本発明において、上記した成分以外にも、本発明のマグネシウム合金の効果に影響を与えない範囲において他の成分を不可避的不純物の範囲で添加することができ、例えば、微細化に寄与するZrを0.05〜0.5at%程度含んでいても構わない。
以下、本発明のマグネシウム合金の製造方法について説明する。
図4はマグネシウム合金の製造方法を説明するためのフローチャートであり、図5はマグネシウム合金の熱処理及び押出加工の温度を模式的に示すグラフである。
図4で示す様に、マグネシウム合金1は、先ず、鋳造工程S1により鋳造される。ここで、マグネシウム合金として、組成式Mg(100−a−b)ZnREで示され、REがGdであるものを用いている。そして、鋳造された鋳造材は、溶体化工程S2において溶体化処理(REが固溶体化)される。このときの溶体化処理温度は、一例として520℃(783K)で2時間行なったものとする(図5参照。)。鋳造材は、溶体化処理により鋳造で生じたMgとGd(Tb、Tm)の化合物がマトリックス中に溶け込み固溶体化する。なお、溶体化処理は、500℃以上で2時間以上保持することが好ましい。
次に、溶体化処理をした鋳造材を350℃以上520℃未満の温度範囲で熱処理を行なう第1の熱処理工程S3を行なう。この第1の熱処理工程S3を行なうことで、LPSOが析出することとなる。なお、LPSOと共に、晶出物のMgGd(MgZnTbあるいはMg24Tm)、MgZnGdが混在する場合がある。
ここで、第1の熱処理工程S3は、熱処理温度(℃)をyとし、熱処理時間(h)をxとしたとき、−12[ln(x)]+375<y<527で、かつ、0.5<x≦300に示す範囲の条件(第1の熱処理条件)で行なうものとする。この様な条件下で第1の熱処理工程S3を行うことで、β'相、β1相及びβ相が析出することなく、LPSOが析出することとなる。以下、この点について説明する。
即ち、図6は、熱処理温度と熱処理時間における金属組織に析出する析出物の区域を示すグラフであるが、図6で示す様に、LPSOが析出する範囲は、高温条件である上記した第1の熱処理条件の範囲である。従って、第1の熱処理工程S3を第1の熱処理条件で行なうことによって、β'相、β1相及びβ相が析出することなく、LPSOが析出することとなる。
なお、図6中実線で囲まれた範囲は、第1の熱処理条件のおよその範囲を示したものにすぎず、種々の析出物の析出する区域を示す曲線もおよその区域を示したものである。即ち、種々の析出物の析出する範囲(区域)は、温度条件によって厳密に規定されるわけではないため、ここでは、便宜上、およその範囲としてこれらの範囲を図示している。
次に、第1の熱処理工程S3を終えた鋳造物に、塑性加工工程S4を行なう。この塑性加工工程S4の塑性加工は、例えば、押出加工あるいは鍛造加工等であり、塑性加工された塑性加工物は、引張強さ、伸び、0.2%耐力が著しく向上することとなる。
続いて、塑性加工された塑性加工物を150℃以上300℃未満の温度範囲で熱処理を行なう第2の熱処理工程S5を行なう。この第2の熱処理工程S5を行なうことで、β'相群が析出することとなる。
第2の熱処理工程S5は、熱処理温度(℃)をyとし、熱処理時間(h)をxとしたとき、−18[ln(x)]+240<y<−12[ln(x)]+375で、かつ、2<x<300に示す範囲の条件(第2の熱処理条件)で行なうものとする。この様な条件下で第2の熱処理工程S5を行うことで、β'相群が析出することとなる。以下、この点について説明する。
即ち、図6で示す様に、β'相群が析出する範囲は、低温条件である上記した第2の熱処理条件の範囲である。従って、第2の熱処理工程S5を第2の熱処理条件で行なうことによって、β'相群が析出することとなる。
なお、図6中実線で囲まれた範囲は、第2の熱処理条件のおよその範囲を示したものにすぎず、種々の析出物の析出する区域を示す曲線もおよその区域を示したものである。即ち、種々の析出物の析出する範囲(区域)は、温度条件によって厳密に規定されるわけではないため、ここでは、便宜上、およその範囲としてこれらを図示している。
以下、本発明の実施例について説明する。なお、ここで示す実施例は一例であり本発明を限定するものではない。
先ず、本発明の実施例のマグネシウム合金として、Znを1at%、Gdを2at%とし、残部をMgと不可避的不純物のMg−Zn−Gd合金を溶解炉に投入し、フラックス精錬により溶解を行なった。次に、加熱溶解した材料を、図7(a)で示す様に、金型で鋳造し(S1)、φ29mm×L60mmのインゴット(鋳造材)を作成し、更に、鋳造したインゴットを520℃で2時間おいて溶体化処理を行った(S2)。また、350℃以上520℃未満の温度範囲、かつ、第1の熱処理条件で第1の熱処理(S3)を行ない、続いて、押出温度350℃において押出比10として塑性加工(押出加工)(S4)を行ない、その後、150℃以上300℃未満の温度範囲、かつ、第2の熱処理条件で第2の熱処理(S5)を行なったものを製造した。
また、比較データとして、Znを1at%、Gdを2at%とし、残部をMgと不可避的不純物のMg−Zn−Gd合金を溶解炉に投入し、フラックス精錬により溶解を行なった。次に、加熱溶解した材料を、図7(b)で示す様に、金型で鋳造し(S1)、φ29mm×L60mmのインゴット(鋳造材)を作成し、更に、鋳造したインゴットを520℃で2時間おいて溶体化処理を行った(S2)。また、350℃以上520℃未満の温度範囲、かつ、第1の熱処理条件で第1の熱処理(S3)を行ない、続いて、押出温度350℃において押出比10として塑性加工(押出加工)(S4)を行なったものを製造した。
上記の様にして得られたそれぞれのマグネシウム合金を室温にて引張試験を行なった結果を表1に示す。なお、表1中"実施例1"及び"比較例1"は押出加工前の組織分類がBタイプに属するものであり、表1中"実施例2"及び"比較例2"は押出加工前の組織分類がPタイプに属するものであり、表1中"実施例3"及び"比較例3"は押出加工前の組織分類がSHタイプに属するものを示している(図6参照。)。また、引張試験におけるひずみ速度は、ε=5.0×10−4mm/sである。
Figure 0005412666
表1から明らかな様に、押出加工前の組織分類が、Bタイプ、Pタイプ、SHタイプのいずれの場合であっても、実施例は比較例と比較して、0.2%耐力、引張強さ、伸び等の機械的特性が全体的に向上していることが分かる。
また、図8に実施例1〜実施例3のマグネシウム合金の1000時間熱処理後の降伏強度と延性との関係のグラフを示しているが、図8から明らかな様に、実施例1〜実施例3のいずれのマグネシウム合金も、200℃(473K)程度までであれば、1000時間の熱処理後であっても、極めて高い引張強さと伸びを示すことが分かる。
Pタイプの押出材に時効処理を施すことでマグネシウム合金の金属組織中にβ'相とLPSOが出現している状態(473Kで60時間の時効処理を施したもの)を示すTEM写真である。 SHタイプの押出材に時効処理を施すことでマグネシウム合金の金属組織中にβ'相とLPSOが出現している状態(473Kで40時間の時効処理を施したもの)を示すTEM写真である。 SHタイプの押出材に時効処理を施すことでマグネシウム合金の金属組織中にβ'相とLPSOが出現している状態(473Kで60時間の時効処理を施したもの)を示すTEM写真である。 マグネシウム合金の製造方法を説明するためのフローチャートである。 マグネシウム合金の熱処理及び押出加工の温度を模式的に示すグラフである。 熱処理温度と熱処理時間における金属組織に析出する析出物の区域を示すグラフである。 本発明の実施例及び比較例に対しての機械的特性の評価を行なうための各工程を説明するためのブロック図である。 実施例1〜実施例3のマグネシウム合金の1000時間熱処理後の降伏強度と延性との関係のグラフである。
符号の説明
1 マグネシウム合金
2 長尺状析出物(β'相群=β'相若しくはその一部がβ1相に変化したもの若しくはGP帯)
3 長周期積層構造(LPSO)

Claims (3)

  1. 必須成分としてZnを0.05〜3原子%、及び、希土類元素(RE)としてGdを1〜5原子%含有し、残部がMgと不可避的不純物からなるMg−Zn−RE系合金から構成されるマグネシウム合金であって、
    必須成分としてZnを0.05〜3原子%、及び、希土類元素(RE)としてGdを1〜5原子%含有し、残部がMgと不可避的不純物からなるMg−Zn−RE系合金を鋳造して鋳造材を形成する鋳造工程と、
    前記鋳造材を溶体化する溶体化工程と、
    前記溶体化した鋳造材に350℃以上520℃未満の温度範囲で熱処理を行なう第1の熱処理工程と、
    該第1の熱処理工程により熱処理を施した鋳造材に塑性加工を行なう塑性加工工程と、
    該塑性加工工程により塑性加工を施した鋳造材に150℃以上300℃未満の温度範囲で熱処理を行なう第2の熱処理工程とを備える製造方法であり、
    熱処理温度(℃)をyとし、熱処理時間(h)をxとしたとき、
    前記第1の熱処理工程は、
    −12[ln(x)]+375<y<527で、かつ、0.5<x≦300
    に示す範囲の条件で行ない、
    前記第2の熱処理工程は、
    −18[ln(x)]+240<y<−12[ln(x)]+375で、かつ、2<x<300
    に示す範囲の条件で行なうことで製造され、
    Mg−Zn−RE系合金の合金組織中に、β'相若しくはその一部がβ1相に変化したものと、キンク変形した長周期積層構造とを有する
    マグネシウム合金。
  2. 必須成分としてZnを0.05〜3原子%、及び、希土類元素(RE)としてGdを1〜5原子%含有し、残部がMgと不可避的不純物からなるMg−Zn−RE系合金を鋳造して鋳造材を形成する鋳造工程と、
    前記鋳造材を溶体化する溶体化工程と、
    前記溶体化した鋳造材に350℃以上520℃未満の温度範囲で熱処理を行なう第1の熱処理工程と、
    該第1の熱処理工程により熱処理を施した鋳造材に塑性加工を行なう塑性加工工程と、
    該塑性加工工程により塑性加工を施した鋳造材に150℃以上300℃未満の温度範囲で熱処理を行なう第2の熱処理工程とを備えるマグネシウム合金の製造方法であって、
    熱処理温度(℃)をyとし、熱処理時間(h)をxとしたとき、
    前記第1の熱処理工程は、
    −12[ln(x)]+375<y<527で、かつ、0.5<x≦300
    に示す範囲の条件で行ない、
    前記第2の熱処理工程は、
    −18[ln(x)]+240<y<−12[ln(x)]+375で、かつ、2<x<300
    に示す範囲の条件で行なう
    マグネシウム合金の製造方法。
  3. 前記塑性加工工程における塑性加工は、押出加工若しくは鍛造加工若しくは圧延加工若しくは引抜加工である
    請求項に記載のマグネシウム合金の製造方法
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