JP5412239B2 - ターボ分子ポンプおよびターボ分子ポンプ用パーティクルトラップ - Google Patents

ターボ分子ポンプおよびターボ分子ポンプ用パーティクルトラップ Download PDF

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Description

本発明は、ターボ分子ポンプおよびターボ分子ポンプ用パーティクルトラップに関する。
ターボ分子ポンプは、半導体生産などのエッチングプロセスやCVDプロセスで使用されている。それらのプロセスが行われる真空室からターボ分子ポンプ内に反応生成物などのパーティクルが流入すると、パーティクルは高速回転するロータにより跳ね飛ばされ、その反跳パーティクルが真空室まで達することがある。その結果、反跳パーティクルがウェハ上に付着して、半導体の生産歩留まりを悪化させるという問題がある。
このような反跳パーティクルの真空室への逆流を低減する構成として、特許文献1〜3に記載のような構成が提案されている。特許文献1においては、ポンプケーシング内周面にパーティクルを捕捉する小室を設け、回転翼によってその小室方向へパーティクルを跳ね飛ばすようにしている。特許文献2においては、ポンプケーシング内にゴム材、スポンジ材、コットン材等から成る捕捉部材や、反撥係数の小さな緩衝部材を設けるようにしている。また、特許文献3においては、ステンレスフェルトやフッ素樹脂のフェルトからなる綿状体をパーティクル捕捉機構として備えるようにしている。
特開2006−307823号公報 特開2007−211696号公報 特開2007−180467号公報
しかしながら、小室や、ゴム材、スポンジ材、コットン材、フェルト等の捕捉部材では、パーティクルの捕捉を十分に行うことができないという問題がある。さらに、特許文献3に記載の構成では、吸気口近傍に円盤状の捕捉部材を設けているため、捕捉部材を設けたことによる排気速度低下が大きいという欠点がある。
本発明は、排気速度の低下を抑えつつ、反跳パーティクルの逆流を防止するターボ分子ポンプを提供する。
請求項1の発明に係るターボ分子ポンプは、多段の回転翼が形成され、高速回転するロータと、回転翼に対してポンプ軸方向に交互に配置された複数の固定翼と、回転翼および固定翼を収容し、吸気口が形成されたポンプハウジングと、ロータの吸気口側に近接して設けられ、ロータの回転翼根元よりも内径側の面に対向するように配置される円盤と、吸気口とロータとの間に配置され、細線を編み上げて形成された円筒状の網目構造体とを備え、ロータにより跳ね飛ばされたパーティクルを、網目構造体の内部に捕捉することを特徴とする。
請求項2の発明は、請求項1に記載のターボ分子ポンプにおいて、ポンプ吸気口に対して垂直な板状の網目構造体を、円筒状の網目構造体に対して放射状に複数配置したものである。
請求項3の発明に係るターボ分子ポンプは、多段の回転翼が形成され、高速回転するロータと、回転翼に対してポンプ軸方向に交互に配置された複数の固定翼と、回転翼および固定翼を収容し、吸気口が形成されたポンプハウジングと、ロータの吸気口側に近接して設けられ、ロータの回転翼根元よりも内径側の面に対向するように配置される円盤と、ポンプハウジングの内壁に沿って設けられ、細線を編み上げて形成された網目構造体とを備えたことを特徴とする。
請求項4の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載のターボ分子ポンプにおいて、円盤と、該円盤を囲むように設けられた複数の開口から成り、吸気口を介したポンプハウジング内への異物の侵入を防止するネット領域と、を有する保護ネットを備えたことを特徴とする。
請求項5の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載のターボ分子ポンプにおいて、網目構造体は、細線を編み上げて形成された布状のネットを層状に配置したものである。
請求項6の発明は、請求項1〜5のいずれか一項に記載のターボ分子ポンプにおいて、細線をステンレス細線で構成したものである。
請求項7の発明は、請求項1〜5のいずれか一項に記載のターボ分子ポンプにおいて、細線を、シリカの比率が6〜10%のアルミナシリカ繊維で構成したものである。
請求項8の発明に係るターボ分子ポンプ用パーティクルトラップは、ターボ分子ポンプの吸気口フランジに接続される第1のフランジ、および真空装置側の排気口フランジに接続される第2のフランジを備えるケーシングと、ケーシング内に配置され、ターボ分子ポンプのロータにより跳ね飛ばされたパーティクルを内部に捕捉するように細線を編み上げて形成された円筒状の網目構造体とを備えたことを特徴とする。
請求項9の発明は、請求項8に記載のターボ分子ポンプ用パーティクルトラップにおいて、ターボ分子ポンプのロータ上面に対向するように配置され、直径寸法がターボ分子ポンプのロータの回転翼根元の直径以下である円盤を備えることを特徴とする。
請求項10の発明は、請求項8に記載のターボ分子ポンプ用パーティクルトラップにおいて、直径寸法がターボ分子ポンプのロータの回転翼根元の直径以下である円形領域と、該円形領域の周囲を囲むように設けられた複数の開口から成り、吸気口フランジを介したターボ分子ポンプ内への異物の侵入を防止するネット領域とを有する保護ネットを備えたことを特徴とする。
請求項11の発明は、請求項8〜10のいずれか一項に記載のターボ分子ポンプ用パーティクルトラップにおいて、第1および第2のフランジの軸方向に沿った板状の網目構造体を、円筒状の網目構造体に対して放射状に複数配置したものである。
なお、網目構造体の細線は、ステンレス細線で構成しても良いし、シリカの比率が6〜10%のアルミナシリカ繊維で構成しても良い。
本発明によれば、排気速度の低下を抑えつつ、反跳パーティクルを確実に捕捉することができる。
本発明によるターボ分子ポンプの概略構成を示す断面図である。 ターボ分子ポンプ10が搭載されたCVD成膜装置の概略構成を示す図である。 ターボ分子ポンプのバッフル15が設けられている部分の拡大図である。 バッフル15の斜視図である。 吸気口側から見たバッフル15を示す図である。 (a)は、積層構造の網目構造体153を示す図であり、(b)はネット155を示す図である。 本実施の形態の変形例を示す図であり、(a)は第1の変形例を示し、(b)は第2の変形例を示す。 ポンプケーシング34が円筒状の場合の網目構造体153を示す図であり、(a)は網目構造体153をバッフルに設けた場合を示し、(b)は網目構造体153をポンプケーシング34の内周面に設けた場合を示す。 第2の実施の形態を示す図である。 保護ネット101の平面図である。 保護ネット101をケーシング102のターボ分子ポンプ側に設けた場合の、パーティクルトラップユニット100の構成を示す図である。 パーティクルトラップユニット100の変形例を示す図である。 枠152および網目構造体153の変形例を示す図である。
以下、図を参照して本発明の実施の形態を説明する。
−第1の実施の形態−
図1は本発明によるターボ分子ポンプの概略構成を示す断面図である。ポンプケーシング34内にはロータ30が回転自在に設けられている。図1に示したターボ分子ポンプ10は磁気軸受式のポンプであり、ロータ30は、5軸磁気軸受を構成する電磁石37,38によって非接触支持される。磁気軸受によって磁気浮上されたロータ30は、モータ36により高速回転駆動される。
ロータ30には、複数段の回転翼32と円筒状のネジロータ31とが形成されている。一方、固定側には、軸方向に対して回転翼32と交互に配置された複数段の固定翼33と、ネジロータ31の外周側に設けられたネジステータ39が設けられている。各固定翼33は、スペーサリング35を介してベース40上に載置される。吸気口フランジ21が形成されたポンプケーシング34をベース40に固定すると、積層されたスペーサリング35がベース40とポンプケーシング34との間に挟持され、固定翼33が位置決めされる。
ベース40には排気ポート41が設けられ、この排気ポート41にバックポンプが接続される。ロータ30を磁気浮上させつつモータ36により高速回転駆動することにより、吸気口21a側の気体分子は排気ポート41側へと排気される。
図2は、ターボ分子ポンプ10が搭載される半導体製造装置1の一例を示す図であり、CVD成膜装置の概略構成を示したものである。プロセス室2の下部に設けられた排気ポート4には、ゲートバルブ5を介してターボ分子ポンプ10が装着されている。プロセス室2にはガス供給部6によりプロセスガスが供給される。
このような成膜装置では、成膜プロセスの化学反応や機械部品の摺動などによって、サブミクロンオーダーのパーティクルが発生することが多い。これらのパーティクルが吸気口21aを介してターボ分子ポンプ10内に流入すると、高速回転するロータによって跳ね飛ばされることになる。上述したように、これらの反跳パーティクルがプロセス室まで達すると、パーティクルがウェハ上に付着して、半導体の生産歩留まりの悪化の原因となる。
このような反跳パーティクルの半導体生産への悪影響を低減するために、本実施の形態のターボ分子ポンプ10では、吸気口21aから流入したパーティクルをロータ30に入射する前に捕捉する機構と、ロータ30で跳ね飛ばされた反跳パーティクルを捕捉する機構とを備えたバッフル15を、ポンプケーシング34内に設けた。
図3および図4は、バッフル15を説明する図である。図3は、図1のバッフル15が設けられている部分の拡大図である。図4は、バッフル15の斜視図である。バッフル15は、ポンプケーシング34のフランジ21に取り付けられている。図4に示すように、バッフル15は、円盤150、支柱151,枠152、網目構造体153を備えている。枠152はリブ構造を有しており、内側リング152aと、外側リング152bと、リング152aおよび152bを接続する放射状リブ152cとを備えている。
複数の支柱151は内側リング152aの内周面に等間隔で固定されており、各支柱151の下端には円盤150が固定されている。支柱151の長さは、図3に示すように、円盤150がロータ30の上面の近傍に配置されるように設定される。ロータ30は磁気浮上されて高速で回転するが、ガス負荷に応じて軸方向に僅かに上下する。そのため、円盤150は、ロータ30が上下に移動してもロータ30と接触しない程度の位置に配置される。また、円盤150が回転翼32の上方を塞がないように、円盤150の外径寸法は、回転翼32の付け根部分の直径寸法以下に設定される。
板状の網目構造体153は、符号153a〜153cで示すように、内側リング152aの外周面、外側リング152bの内周面、および放射状リブ152cの一方の面を覆うように設けられている。なお、図4に示す網目構造体153cの配置は、ロータ30が、吸気口側から見て時計回りに回転する構成の場合に適用される。ロータ30が反時計回りに回転する構成の場合には、網目構造体153cを、放射状リブ152cの反対側の面が覆われるように取り付けるのが好ましい。
図5は、吸気口側から見たバッフル15を示す。破線は、ロータ30の一段目の回転翼32を示す。吸気口21aからポンプ内に落下し、バッフル15を通過したパーティクルは、中央部分の円盤150の上に落下するか、または、円盤150よりも外周側の回転翼32の上に落下する。円盤150上に落下したパーティクルは円盤上に留まるので、装置側に戻ることはない。
一方、回転翼32上に落下したパーティクルは、高速回転する回転翼32により跳ね飛ばされる。図5では、回転翼32は矢印Rのように時計回りに回転している。回転翼32に落下したパーティクルは、接線方向に力を受けるので、接線方向に跳ね飛ばされる傾向が大きい。図5では、パーティクルが単純に接線方向に跳ね飛ばされた場合の軌跡Pをいくつか示した。このように接線方向に跳ね飛ばされることから、反跳パーティクルは、外周側の網目構造体153により多く入射すると考えられる。
網目構造体153は、後述するように金属ワイヤ等の細線を編み上げたものからなり、網目の大きさはパーティクルの大きさよりも大きい。そのため、網目構造体153に入射した反跳パーティクルは、一部は表面部分のワイヤに跳ね返されるが、大部分は構造体内部に侵入し、内部でワイヤとの衝突を繰り返すことになる。衝突を繰り返すことで反跳パーティクルの運動エネルギーは小さくなり、最終的には網目構造体153の内部に捕捉されることになる。
図6(a)は、網目構造体153の一例を示したものである。網目構造体153には、例えば、特開2006−132741号公報に記載のメッシュバネを構成している布状のネット155が用いられる。ネット155は、図6(b)に示すように、ステンレスワイヤ等の金属細線を、編機によりメリヤス編みしたものである。なお、メリヤス編みしたネットを型付けローラで挟んで、波付けしたものをネット155として用いても良い。金属細線のネットに代えて、アルミナとシリカとから成るアルミナシリカ繊維を編み上げて布状としたものを用いても良い。その場合、適度の柔軟性を得るために、シリカの比率を6〜10%とすることが好ましい。さらに、金属細線の編み方はメリヤス編みに限るものではなく平織り等でも良い。
本実施の形態の網目構造体153は、金属ワイヤ等を編み上げたネット155で構成されているため、金属繊維をフェルト状とした従来の捕捉部材に比べて隙間が大きい。そのため、反跳パーティクルは網目構造体153の内部まで侵入しやすく、確実に補足されることになる。
一方、フェルト状の捕捉部材の場合には、短い繊維を圧縮してフェルト状としているため、ネット155に比べて緻密な構造となり、反跳パーティクルは捕捉部材の内部にまで入り込み難くなる。そのため、高速な反跳パーティクルが運動エネルギーを失うのに十分な衝突回数を行うことが難しくなり、捕捉率が網目構造体153に比べて劣ることになる。その結果、捕捉されなかったパーティクルは再びロータ30により跳ね飛ばされることになり、そのような反跳を繰り返す内に、吸気口21aからプロセス室側に逆流することになる。すなわち、捕捉率に劣る従来の構成では、反跳パーティクルがプロセス室に逆流する確率が高くなる。
なお、本実施の形態では、目の粗いネット155を積層した構造とすることで、反跳パーティクルが網目構造体153のより内部まで入り込み易くしている。その場合、同一網目のものを積層しても良いし、表面に近いものは網目を粗くするとともに、パーティクルが捕捉される内部の層の網目についてやや細かくするように、網目の粗さを層に応じて変えても良い。また、金属メッシュ等の比較的平らなネットを積層する場合には、金属メッシュを波折りしてから積層することにより嵩を大きくし、反跳パーティクルを内部にまで入り易くするのが好ましい。
また、円盤150は、ロータ30の上面(非回転翼部分)でパーティクルが跳ね飛ばされるのを防止するために設けられたものである。本実施の形態では、円盤150をロータ30の上面近傍に配置しているので、円盤150の有無によるコンダクタンスの違いはほとんど無く、円盤150を設けたことによる排気速度の低下を防止できる。また、板状の網目構造体153は面が真横を向くように垂直に設けられているので、吸気口21aから見たときの開口率を極力大きくすることができ、排気速度低下を抑えることができる。すなわち、本実施の形態におけるバッフル15は、排気速度の低下を極力抑えつつ、反跳パーティクルを確実に捕捉することができる。
図7は、本実施の形態の変形例を示す図である。図7(a)に示す第1の変形例では、バッフル15によるコンダクタンス低下をより小さくして、排気速度をより重視する構成としたものでる。そのため、図4に示した内側リング152aおよび放射状リブ152cと、それらに設けられた網目構造体153a,153cを省略した。外側リング152bからは放射状に複数の支持梁152dが設けられ、支柱151はこれらの支持梁152dに固定されている。
図5に示したように、ロータ30により跳ね飛ばされた反跳パーティクルは外周方向に進行するので、反跳パーティクルが装置側に直接侵入する確率は非常に小さい。すなわち、何回かポンプ内で反射されたものが装置側に逆流すると考えられる。そのため、内側リング152aや放射状リブ152cに設けられる網目構造体153a,153cを省略しても、パーティクル捕捉率の低下は小さいと考えて良い。
図7(b)に示す第2の変形例では、図7(a)に示す外側リング152bおよび網目構造体153bに代えて、網目構造体153dをポンプケーシング34の内周面に直接設けた。この場合も、排気速度の低下を極力抑えることができる。
上述した実施の形態では、ポンプケーシング34がフランジ近傍でくびれるように径が小さくなっていたが、図8に示す変形例では、ポンプケーシング34が円筒状のポンプに適用した場合を示す。図8(a)は図4に対応し、図8(b)は図7(b)に対応する。図8(b)の構造の場合、円盤150とポンプケーシング内周面に配された網目構造体153eとが設けられているが、図7(a)のように外側リング152bおよび網目構造体153bを設ける場合と、殆ど同じ構造となる。
なお、上述した実施の形態では、バッフル15の枠152をリブ構造としたが、リブ構造でなくても構わない。また、円盤150の表面の熱放射率を小さくして、プロセス室とロータ30との間の熱輻射の影響を低減するようにしても良い。
−第2の実施の形態−
図9は、本発明の第2の実施の形態を示す図である。上述した第1の実施の形態では、パーティクル補足用のバッフル15をターボ分子ポンプのポンプケーシング24内に設けた。一方、以下に説明する第2の実施の形態では、バッフル15を備えていないターボ分子ポンプに対して後から付加的に装着できるパーティクルトラップユニットについて説明する。
図9は、ターボ分子ポンプに装着されたパーティクルトラップユニット100を示したものである。パーティクルトラップユニット100は、枠152、網目構造体153、ケーシング102および保護ネット101を備えている。枠152および網目構造体153は、図4に示したバッフル15の枠152および網目構造体153と同様のものである。すなわち、パーティクルトラップユニット100は、ロータ30により跳ね飛ばされた反跳パーティクルを捕捉し、反跳パーティクルがターボ分子ポンプ側から装置側に逆流するのを防止している。
枠152は、ビス105で固定部152bをケーシング102に締結することにより、ケーシング102に固定されている。網目構造体153は、枠152に取り付けられている。ケーシング102は、ターボ分子ポンプ10のフランジ21に固定されるフランジ102aと、装置側に固定されるフランジ102bを備えている。例えば、図2に示すようにゲートバルブ5を介してプロセス室2にターボ分子ポンプ10を接続する場合には、装置側のフランジ102bはゲートバルブ5に接続される。ターボ分子ポンプ10を直接プロセス室2に接続する場合には、フランジ102bはプロセス室2に接続される。すなわち、パーティクルトラップユニット100は、ターボ分子ポンプ10と装置側との間に介在するように設けられる。
フランジ102bにはシール材(Oリング)106が装着され、ボルト104によりフランジ102bをゲートバルブ5に締結すると、シール材106によってゲートバルブ5とフランジ102bとの隙間がシールされる。一方、フランジ102a側においては、シール材(Oリング)21bはターボ分子ポンプ10のフランジ21に装着されている。フランジ102aとフランジ21とをボルト103により締結すると、フランジ102a,21間の隙間が、シール材21bによってシールされる。
図10は、保護ネット101の平面図である。保護ネット101は、ステンレス材などの薄板で形成されている。保護ネット101は、符号Aで示す円形領域101aと、符号Bで示す円環状のネット領域101bとを有している。ネット領域101bには、複数の開口101dがエッチングにより形成されている。図10に示す例では、正六角形の開口101dが蜂の巣状に形成されている。円形領域101aは、エッチングの際に円形のマスキングを行うことにより形成される。保護ネット101の周辺部分には、ビス用孔101cが形成されている。
図9に示す構成の場合には、保護ネット101は、ビス107によってターボ分子ポンプ10のフランジ21に固定されているが、図11に示すように、ケーシング102のターボ分子ポンプ側のフランジ102aにビス固定するようにしても良い。
円形領域101aの直径は、ロータ30の回転翼32の付け根部分の直径寸法以下に設定されており、回転翼32にはネット領域101bが対向している。ターボ分子ポンプ10はネット領域101bを通過した気体を排気する。ネット領域101bはターボ分子ポンプ内に異物(ウェハの破片や、装置側部品の一部など)が落下して回転翼32や固定翼33が損傷するのを防止するために設けられている。また、保護ネット101の円形領域101aは、上述した円盤150と同様の機能をするものであり、装置側からのパーティクルがロータ30の上面に落下するのを防止している。
なお、上述した保護ネット101では、薄板材をエッチング加工する際に円形のマスキングを施すことで円形領域101aを形成したが、全体をネット状にエッチング加工した後に、円盤を中央部分に付設するようにしても良い。また、金属ワイヤを編み込んだネットを保護ネットとして使用する場合にも、中央部分に円盤を付設することで、保護ネットが形成される。
図12は、パーティクルトラップユニット100の変形例を示す図である。図12に示すパーティクルトラップユニット100では、図9の保護ネット101に代えて、図4に示した円盤150を設けた。円盤150は支柱151によって内側リング152aに固定されている。円盤150の軸方向位置は、実線で示すようにケーシング102内であっても良いし、二点差線で示すように支柱151をポンプ側に延長して、円盤150がロータ30の上方近傍に配置されるようにしても良い。
図13は、ケーシング102内に配置される枠152および網目構造体153の、変形例を示したものである。枠152は、内側リング152aの内側にも放射状リブ152eが設けられている。そして、内側リング152aの内周面側および放射状リブ152eに網目構造体153f,153gを取り付けた。このように、ロータ30の上面と対向する位置に網目構造体153f,153gを設けることにより、円盤150や円形領域101aを省略しても、ロータ上面で跳ね飛ばされたパーティクルを網目構造体153f,153gで捕捉し、装置側への逆流を防止することができる。図10において円形領域101aを省略した場合には、符号Aで示す領域にも開口101dが形成される。また、図13に示すような構造を採用することで、内側リング152aの内側に入射する気体分子に対する排気効率を向上させることができ、排気速度の低下を抑えることができる。
第2の実施の形態に示すようなパーティクルトラップユニット100を設けることにより、反跳パーティクル対策が施されていないターボ分子ポンプであっても、ポンプを交換することなく反跳パーティクルに対する対策を施すことができる。また、異物混入防止用の保護ネットにロータ上面へのパーティクル落下を防止する円盤を一体で形成することにより、部品点数の増加を抑えて、コスト上昇の抑制を図ることができる。なお、第1の実施の形態においても、円盤150の代わりに図10に示す保護ネット101を用いることができる。
上記では、種々の実施の形態および変形例を説明したが、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の態様も本発明の範囲内に含まれる。
10:ターボ分子ポンプ、15:バッフル、21,102a,102b:フランジ、21a:吸気口、30:ロータ、32:回転翼、33:固定翼、34:ポンプケーシング、100:パーティクルトラップユニット、101:保護ネット、101a:円形領域、101b:ネット領域、102:ケーシング、150:円盤、151:支柱、152:枠、153、153a〜153g:網目構造体

Claims (13)

  1. 多段の回転翼が形成され、高速回転するロータと、
    前記回転翼に対してポンプ軸方向に交互に配置された複数の固定翼と、
    前記回転翼および固定翼を収容し、吸気口が形成されたポンプハウジングと、
    前記ロータの吸気口側に近接して設けられ、前記ロータの回転翼根元よりも内径側の面に対向するように配置される円盤と、
    前記吸気口と前記ロータとの間に配置され、細線を編み上げて形成された円筒状の網目構造体とを備え、
    前記ロータにより跳ね飛ばされたパーティクルを、前記網目構造体の内部に捕捉することを特徴とするターボ分子ポンプ。
  2. 請求項1に記載のターボ分子ポンプにおいて、
    ポンプ吸気口に対して垂直な板状の網目構造体を、前記円筒状の網目構造体に対して放射状に複数配置したことを特徴とするターボ分子ポンプ。
  3. 多段の回転翼が形成され、高速回転するロータと、
    前記回転翼に対してポンプ軸方向に交互に配置された複数の固定翼と、
    前記回転翼および固定翼を収容し、吸気口が形成されたポンプハウジングと、
    前記ロータの吸気口側に近接して設けられ、前記ロータの回転翼根元よりも内径側の面に対向するように配置される円盤と、
    前記ポンプハウジングの内壁に沿って設けられ、細線を編み上げて形成された網目構造体とを備えたことを特徴とするターボ分子ポンプ。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載のターボ分子ポンプにおいて、
    前記円盤と、該円盤を囲むように設けられた複数の開口から成り、前記吸気口を介した前記ポンプハウジング内への異物の侵入を防止するネット領域と、を有する保護ネットを備えたことを特徴とするターボ分子ポンプ。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載のターボ分子ポンプにおいて、
    前記網目構造体は、細線を編み上げて形成された布状のネットを層状に配置したことを特徴とするターボ分子ポンプ。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載のターボ分子ポンプにおいて、
    前記細線をステンレス細線で構成したことを特徴とするターボ分子ポンプ。
  7. 請求項1〜5のいずれか一項に記載のターボ分子ポンプにおいて、
    前記細線を、シリカの比率が6〜10%のアルミナシリカ繊維で構成したことを特徴とするターボ分子ポンプ。
  8. ターボ分子ポンプの吸気口フランジに接続される第1のフランジ、および真空装置側の排気口フランジに接続される第2のフランジを備えるケーシングと、
    前記ケーシング内に配置され、前記ターボ分子ポンプのロータにより跳ね飛ばされたパーティクルを内部に捕捉するように細線を編み上げて形成された円筒状の網目構造体とを備えたことを特徴とするターボ分子ポンプ用パーティクルトラップ。
  9. 請求項8に記載のターボ分子ポンプ用パーティクルトラップにおいて、
    前記ターボ分子ポンプのロータ上面に対向するように配置され、直径寸法が前記ターボ分子ポンプのロータの回転翼根元の直径以下である円盤を備えることを特徴とするターボ分子ポンプ用パーティクルトラップ。
  10. 請求項8に記載のターボ分子ポンプ用パーティクルトラップにおいて、
    直径寸法が前記ターボ分子ポンプのロータの回転翼根元の直径以下である円形領域と、該円形領域の周囲を囲むように設けられた複数の開口から成り、前記吸気口フランジを介したターボ分子ポンプ内への異物の侵入を防止するネット領域と、を有する保護ネットを備えたことを特徴とするターボ分子ポンプ用パーティクルトラップ。
  11. 請求項8〜10のいずれか一項に記載のターボ分子ポンプ用パーティクルトラップにおいて、
    前記第1および第2のフランジの軸方向に沿った板状の網目構造体を、前記円筒状の網目構造体に対して放射状に複数配置したことを特徴とするターボ分子ポンプ用パーティクルトラップ。
  12. 請求項8〜11のいずれか一項に記載のターボ分子ポンプ用パーティクルトラップにおいて、
    前記細線をステンレス細線で構成したことを特徴とするターボ分子ポンプ用パーティクルトラップ。
  13. 請求項8〜12のいずれか一項に記載のターボ分子ポンプ用パーティクルトラップにおいて、
    前記細線を、シリカの比率が6〜10%のアルミナシリカ繊維で構成したことを特徴とするターボ分子ポンプ用パーティクルトラップ。
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