JP5412210B2 - 情報隠蔽紙材 - Google Patents
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Description
特許文献2に開示されている紙は、光性に優れた黒色の着色層や黒色の可とう性のプラスチック、塗料等の薄い膜、或は不透明性の強い物質の薄い膜、例えばアルミ箔、不透明性の強い顔料微粒子や遮蔽用微粒子を特に多量に含む着色層や膜を使用して3層構成により見えない紙を作製するため、やはり工程が増え、コスト面でデメリットが生じる。
特許文献4に開示されている紙は、インク等を塗って表面を調色した紙についても工程が増えコスト面でデメリットが生じる。
また、これら特許文献3、特許文献4は、遮蔽層や遮光層に関する記述があるものの、それら遮蔽・遮光処理は、中層に黒色の着色を施すなど遮蔽・遮光層1層にて封筒や葉書シートを作製すると文字が記載できず、封筒や葉書の機能を失う可能性があった。
式(1)・・0.058X2−4.02X+119.1≦Y≦100(但し、10≦X≦35)
式(2)・・0.068X2−4.56X+114.8≦Y≦100(但し、5≦X≦35)
本情報隠蔽紙材に用いる紙パルプとしては、特に限定するものではなく、例えば針葉樹や広葉樹の木チップ、古紙から得られる化学パルプ、再生パルプ、機械パルプなどを好ましく用いることができる。
例えば木チップを原料とする場合は、木チップを蒸解し、脱リグニン工程を経て、洗浄と脱水を繰り返し行うことにより得られる無漂白パルプや、その無漂白パルプを漂白及び洗浄して得られる漂白パルプを好ましく用いることができる。また、木チップをリファイナーにより磨り潰し、洗浄と脱水を繰り返し行うことにより得られる無漂白パルプや、その無漂白パルプを漂白及び洗浄した漂白パルプなども好ましく用いることができる。
他方、古紙を原料とする場合は、古紙をパルパーにて解繊後、洗浄して得られる無漂白パルプや、その無漂白パルプを漂白、洗浄した漂白パルプなどを好ましく用いることができる。
これら化学パルプ、再生パルプ、機械パルプはそれぞれ単独にて使用しても構わないが、それらを適宜混合して抄紙してもよい。
また、上記のうちの2種類以上の紙パルプを混合して使用してもよいし、積層構成としてもよい。
本情報隠蔽紙材に用いる有色有機物は、無漂白有機物であり、隠蔽性の観点から、乾燥時のL値が55以下であるのが好ましく、特に35以下、中でも特に31以下であるのが好ましい。
有色有機物のL値が55以下であれば、有色有機物の配合量を調整することで、封筒内の紙材に記載された機密情報や個人情報などの情報を視認できなくすることができる。また、葉書に貼付することで、葉書に記載された機密情報や個人情報などの情報を視認できなくすることができる。
なお、有色有機物のL値の下限は特に限定するものではないが、現実的には、炭(有色有機物の炭化物)のL値≒0が下限値となるものと考えられる。
特にL値が低い有色有機物に関しては、有色有機物配合紙材が低坪量でも個人情報保護効果があることから、コーヒー豆粉末、緑茶、シルバースキン(コーヒー豆の豆皮)が好ましい。
乾燥時のL値が31以下の有色有機物の具体的な例としては、例えば、緑茶、コーヒー豆粉末、その抽出残渣などを挙げることができる。
より具体的に言えば、例えば緑茶であれば、熱を与えることにより、L値を低下させることができるから、ほうじ茶などはL値が低くてより好ましい。
緑茶殻であれば、乾燥温度を高く、乾燥時間を長くすることによって、L値を低下させることができる。
コーヒー豆粉末であれば、熱を与えることにより、L値を低下させることができる。
また、コーヒー残渣であれば、乾燥温度を高く、乾燥時間を長くすることによって、L値を低下させることができる。
有色有機物の粒径が1mm以上であると、紙表面に凹凸ができ、紙表面の有色有機物が剥離し易くなる。よって、例えば本情報隠蔽紙材を利用して封筒を作製した場合、封筒内部の有色有機物が剥離し、封筒内に封入されている紙などの記録媒体を汚す可能性がある。また、本情報隠蔽紙材を葉書等に貼付するための保護シートとして利用した場合には、有色有機物の脱離の影響で葉書に記載された機密情報や個人情報などを汚す可能性がある。
他方、有色有機物の粒径が100μm未満であると、抄紙工程で有色有機物が網より流亡し、歩留りが悪化するだけでなく、所定の配合量を紙に滞留させることができなくなる可能性があるほか、網の目に有色有機物が詰まって脱水効率が低下する可能性がある。
以上の観点から、有色有機物の粒度は、100μm以上であるのが好ましく、特に110μm以上(抄造工程の網よりひと回り大きい粒度)であるのがさらに好ましい。
有色有機物の配合量が35重量%以下であれば、抄紙時に紙繊維(長繊維)と有色有機物繊維(短繊維)が絡み合わずに抄造不良を起こすことを抑制することができる。また、抄造した際に封筒内部の有色有機物が剥離するのを抑制することができるから、封筒内に封入されている紙などの記録媒体を汚すのを防ぐこともできる。また、葉書に記載された機密情報や個人情報などの情報なども同様に有色有機物と繊維状紙パルプとを絡み合わせて抄紙した有色有機物配合紙にて貼付シートを作製すると、茶殻の脱離の影響で葉書に記載された機密情報や個人情報などを汚すのを抑えることもできる。他方、有色有機物の配合量が5重量%以上であれば、封筒内部、葉書の機密情報や個人情報などの情報を視認できなくすることができる。
かかる観点から、有色有機物の配合量は、5重量%以上であるのがさらに好ましく、中でも10重量%以上であるのがより一層好ましい。
本情報隠蔽紙材の坪量は、100g/m2以下であるのが好ましく、中でも36g/m2〜98g/m2、その中でも50g/m2〜86.3g/m2であるのがさらに好ましい。
本情報隠蔽紙材の坪量が100g/m2以下であれば、例えば本情報隠蔽紙材に示された文字の文字視認性を良好に維持することができる。
本情報隠蔽紙材においては、有色有機物の配合量X(重量%)と坪量Y(g/m2)との関係が、次の式(1)、好ましくは次の式(2)を満足するように、作り込むことが重要である。
式(1)・・0.058X2−4.02X+119.1≦Y≦100(但し、10≦X≦35)
0.058X2−4.02X+119.1≦Y
の関係を満足すれば、例えば封筒表面や葉書面(貼付しない箇所)に表示された文字の視認性を顕著に低下させることなく、封筒内に封入された紙材面或いは貼付する葉書面に表示された文字を隠蔽することができる。
式(2)・・0.068X2−4.56X+114.8≦Y≦100(但し、5≦X≦35)
の関係を満足すれば、例えば封筒内に封入された紙材面或いは貼付する葉書面に表示された72pt未満の文字を隠蔽することができる。
本情報隠蔽紙材は、単独で用いて単層シートとして利用することもできるが、2枚以上を積層して複層シートとして利用することもできる。その他、普通紙など他の紙材やプラスチックシートなどと積層して複合シートとして利用することもできる。
本情報隠蔽紙材は、例えば、通常の紙材同様、脱リグニン工程、蒸解工程及び洗浄・漂白工程を経て紙パルプを調製し、得られた無漂白又は漂白紙パルプに水、その他の必要な添加剤を加えてスラリー化した後、得られた紙スラリーに対して有色有機物を添加して有色有機物入り紙スラリーを得る。そして、このようにして得られた有色有機物入り紙スラリーを、上記のように有色有機物の配合量と坪量とが所定の関係になるように、抄紙(濾過・圧搾・乾燥)して本情報隠蔽紙材を作製することができる。但し、このような製造方法に限定するものではない。
漂白工程では、塩素(二酸化塩素など)或いは、酸素やオゾン、過酸化水素などによって漂白すればよい。
なお、表裏面層は鉱物性顔料ならびに接着剤を塗工した塗工紙でもかまわない。
本発明において、「X〜Y」(X,Yは任意の数字)と表現した場合、特にことわらない限り「X以上Y以下」の意と共に、「好ましくはXより大きい」及び「好ましくはYより小さい」の意を包含するものとする。
また、本発明において、「X以上」(Xは任意の数字)と表現した場合、特にことわらない限り、「好ましくはXより大きい」の意を包含し、「Y以下」(Yは任意の数字)と表現した場合、特にことわらない限り、「好ましくはYより小さい」の意を包含するものとする。
緑茶葉(仕上茶、品種:やぶきた、1番茶)と、この緑茶葉を90℃の熱湯で3分間抽出して得られる抽出残渣としての茶殻を105℃にて6時間熱風乾燥させて得られた乾燥茶殻と、を準備した。
白色度70%の古紙30gに対して水1000Lを配合し、解繊して得られた紙スラリーに対して、乾物重量比で10、20、30、35重量%の各サンプルを添加して有色有機物入り紙スラリーを得た。
得られた有色有機物入り紙スラリーを、それぞれ網(網の目開き80メッシュ)に流し込み、105℃で乾燥後、坪量24g/m2、48g/m2、72g/m2の有色有機物入り紙を得た。
○ :有色有機物の脱離がない。
× :有色有機物の脱離がある。
― :抄造不良
他方、有色有機物の粒径が100μm未満であると、抄紙工程で有色有機物が網より流亡し、歩留りが悪化するだけでなく、所定の配合量を紙に滞留させることができない可能性があること、また、網の目に有色有機物が詰まり脱水効率が低下する可能性があることが分かった。
白色度70%の紙30gに対して水1000Lを配合し、解繊して漂白紙スラリーを準備した。
粒径100μm以上1mm未満の有色有機物サンプル(緑茶粉砕物A、茶殻粉砕物C、コーヒー粉砕物B、コーヒー粕粉砕物D、シルバースキン粉砕物E、ヒノキ木粉F、杉木粉G)を、前記漂白紙スラリーに対して、表3−表9記載の配合量にて添加し、撹拌棒で撹拌して有色有機物入り紙スラリー(濃度3重量%)を得た。
各有色有機物入り紙の文字視認性テストを下記試験方法にて行った。
なお、「○」「△」が合格判定、それ以外は不合格判定とした
○:各フォント、すべてサイズの文字を視認することができない。
△:文字サイズによっては視認することができない。
×:文字の視認性が良い。
−:抄造不可能。
杉粉砕物の100μm以上1mm未満を基準として判断すると、L値が50以下の緑茶、茶殻、コーヒー、コーヒー粕、シルバースキン、杉木粉(L値50.1)に関して文字視認性テストの結果から、Y座標を坪量、X座標を有色有機物の配合率としてなる座標中に上記試験結果をプロットし、各有色有機物において○(各フォント、すべてサイズの文字を視認することができない)部分と、△(文字サイズによっては視認することができない)部分との境界部分(X,Y)をそれぞれ求めた(表10)。
緑茶、茶殻、コーヒー、コーヒー粕、シルバースキン及び杉木粉(L値50.1)の(X,Y)の平均を求め、境界部分を多項式近似(2次)にて近似曲線を求めたところ、次の(式1)を得ることができた。
0.058X2−4.02X+119.1≦Y≦100(式(1))
そして、緑茶、茶殻、コーヒー、コーヒー粕、シルバースキン及び杉木粉(L値50.1)の(X,Y)の平均を求め、境界部分を多項式近似(2次)にて次の近似曲線(式2)を求めた。
Y=0.068X2 −4.56X+114.8(式2)
Claims (5)
- 粒径100μm以上1mm未満で、且つ、乾燥時L値が55以下である有色有機物と、紙パルプと、を含有してなる情報隠蔽紙材であって、当該有色有機物の配合率X重量%とその坪量Yg/m2とが次の式(1)に示される関係であることを特徴とする情報隠蔽紙材。
式(1)・・0.058X2−4.02X+119.1≦Y≦100(但し、10≦X≦35) - 粒径100μm以上1mm未満で且つ乾燥時L値が55以下である有色有機物と、紙パルプとを含有してなる情報隠蔽紙材であって、当該有色有機物の配合率X重量%とその坪量Yg/m2とが次の式(2)に示される関係であることを特徴とする情報隠蔽紙材。
式(2)・・0.068X2−4.56X+114.8≦Y≦100(但し、5≦X≦35) - 隠蔽する情報が、文字、数字、図柄、マークまたは模様のうちのいずれか、或いはこれらの組み合わせによって表現された情報であることを特徴とする請求項1又は2に記載の情報隠蔽紙材。
- 請求項1〜3の何れかに記載された情報隠蔽紙材を用いてなる情報隠蔽封筒。
- 請求項1〜3の何れかに記載された情報隠蔽紙材を用いてなる葉書貼付用情報隠蔽紙材シート。
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