JP5411554B2 - 貨物列車 - Google Patents
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Description
しかしながら、レールに沿って移動を行う構造とした場合、積載時にもレールに沿った挙動が生じやすく、貨物列車の走行中における非常ブレーキや加減速による速度変化により積載された鉄道列車が不安定となるという問題があった。
前記車輪保持機構は、前記鉄道車両の車輪に渦電流を発生させて制動力を得る渦電流ブレーキであることを特徴とする。
また、鉄道車両側の鉄道車両用の連結器に連結可能な連結器にて鉄道車両の固定を行うので、鉄道車両の既存の連結器をそのまま利用することができ、搭載のための改造等の手間や費用を低減することが可能となる。
また、鉄道車両の既存のエアーホースに接続するので、搭載される鉄道車両の改造を不要とし、実施の手間やコストの低減を図ることが可能となる。
本実施形態は、狭軌(軌間寸法1067mmの軌道)と標準軌(軌間寸法1435mmの軌道)とから構成される線路区間(異軌間軌道)で列車を連続的に移動させる異軌間軌道列車移動システム1000に用いられる鉄道システム500について説明することとする。鉄道システム500は、狭軌を走行する鉄道列車200と、当該鉄道列車200を積載して標準軌を走行する貨物列車100(例えば、新幹線貨物列車)とから構成されている。
以下、本発明の実施の形態を、図を用いて詳細に説明する。図1は発明の実施形態である貨物車両110を備える貨物列車100を示す側面図、図2は一部を切り欠いた正面図である。
鉄道列車200は、複数の連結された鉄道車両210と機関車201(図7参照)とから構成されている。なお、鉄道列車200の機関車201は、貨物列車100への乗り入れ作業時に連結が切り離され、貨物列車100の走行時には搭載されない。
各鉄道車両210は、ここでは一例として貨物211を積載する車両を例示している。かかる鉄道車両210は、図1及び図2に示すように、主として、貨物211が載置される車体220と、車体220の下側前端部近傍及び下側後端部近傍に設けられた台車230と、車体220の前端部と後端部のそれぞれに設けられた連結器240とから構成されている。
台車230は、左右の車輪231,231を支持する車軸232と、前後でそれぞれ車軸232を回転可能に支持する図示しない台車枠と、台車枠と車体220との間に設けられた図示しない緩衝装置(例えば空気バネ)と、図示しないブレーキ装置とを備えている。
連結器240は、車体220の前端部及び後端部から前方又は後方に延出装備されており、その基端部はゴム緩衝器などの緩衝器を介して車体220に支持されている。また、鉄道車両210には、並型自動連結器が装備されている。また、この連結器240には、図示しない電気ジャンパ連結器と各鉄道車両210が備える空気ブレーキの空気圧を供給するためのエアーホース241(図8及び9参照)が併設されており、機関車201から各鉄道車両210までの間でのブレーキ圧の供給が可能となっている。
貨物列車100は、複数の連結された貨物車両110と連結された複数の貨物車両110の前端と後端とにそれぞれ接続される機関車101とから構成されている。
かかる貨物車両110は、図1及び図2に示すように、鉄道車両210が載置される列車搭載部としての車体120と、車体120の下側前端部近傍、下側後端部近傍及び下側中間位置に設けられた三つの台車130と、車体120の前端部と後端部のそれぞれに設けられた連結器140と、各貨物車両110の間の鉄道列車200の移動を可能とする図示しない渡りレール装置と、搭載された鉄道車両210の車輪を固定する車輪保持機構150とを備えている。
台枠121は、その上面が平坦であり、その中央部に車体全長に渡って狭軌の幅に合わせて二本のレールとしての凹状レール構造123が形成されている。
この凹状レール構造123は、台枠121の上面に対して車両進行方向の全長に渡って形成された断面矩形状の凹状部124と、平坦に形成された凹状部124の底面に固定装備されたレール体125とから構成されている。レール体125は、車体の全長に渡って形成され、その上面が鉄道車両210の車輪231の踏面に接触し、車輪231のフランジ部の外周を直接凹状部124の底面に接触させないようになっている。かかる凹状レール構造123により、車両搭載時における鉄道列車200の走行の際に、各車輪231が凹状部124の左右の内部側面により脱輪などを生じないようにガイドされ、連結された貨物車両110の車体120上を円滑に移動することを可能としている。また、台枠121の上面に対して凹状に形成されているため、台枠121の上面にレールを設ける場合に比べて搭載時の鉄道車両210の高さを台枠121に対して低く抑えることができ、車体120の全高を低くすることを可能とし、容易に車両限界の範囲内に納めることを可能としている。
なお、台枠121の枕梁部分については、凹状レール構造123の凹状部124を形成する部材の高さを、搭載される鉄道車両210との干渉を生じない範囲でより高く形成しており、これにより強度の向上を図っている。
貨物車両110の前端の連結器140から後端の連結器140までの全長と鉄道車両210の前端の連結器240から後端の連結器240までの全長とは、等しくなるように設計されており、車両の長手方向について、貨物車両110の前側と後側のそれぞれの台車130の位置と鉄道車両210の前側と後側のそれぞれの台車230の位置とが等しくなるように位置設定が行われている。従って、互いの前後の端部位置が丁度一致するように鉄道車両210を貨物車両110に積載することにより、前後方向について、互いの前側の台車130,230の中心位置と後側の台車130,230の中心位置とを一致させることが可能となっている。
図3に示すように、車体120の凹状部124において鉄道車両210の各車輪231の対応する位置において、車輪保持機構150が設けられている。この車輪保持機構150は、各車輪231に車輪の前後位置に設けられている。
各車輪保持機構150は、レール体125に対する車輪231の接地点Sの前側又は後側に介挿されて車輪231の転動を阻止するストッパとしての固定ブロック151と、固定ブロック151を車輪固定位置と退避位置とに切り替えるアクチュエータ152と、固定ブロック151の固定位置への移動時に車輪固定位置で制止させる規制レール153とを備えている。
図6は固定ブロック151の斜視図である。かかる固定ブロック151は、側面視断面形状が略くさび状であり、その上面が傾斜面151aとなっている。車輪固定時には、その傾斜面151aが車輪231の踏面に接触又は近接するように車輪231の下側に介挿される。これにより、車輪231が転動するためには固定ブロック151の傾斜面151aを乗り越えなければならなくなり、結果として車輪231の転動が制止されるようになっている。
なお、車輪保持機構150は、前後一組として各車輪231ごとに一組の割合で設けられているが、より少ない組数、例えば、台車230ごとに一組、或いは鉄道車両210ごとに一組、さらには、所定数の鉄道車両210ごとに一組の割合で設けても良い。但し、個体数は多い方が鉄道車両210をより安定的に固定することができる。
貨物列車100の前後の各機関車101は、牽引車両接続側の端部(貨物車両110と連結される端部)に、貨物車両110の連結器140と連結するための第一の連結器102と鉄道車両210の連結器240と連結するための第二の連結器103とを備えている。
貨物車両110と鉄道車両210はその全長が等しく、貨物車両110と同じ台数の鉄道車両210が搭載される。これにより、連結された貨物車両110と連結された鉄道車両210とはその全長が等しくなる。
このため、前側と後側の各機関車101の牽引車両接続側端部に、搭載される鉄道車両210の高さに対応するように第二の連結器103を設けることにより、フリーとなっている連結鉄道車両210の前端部と後端部のそれぞれの連結器240と連結することが可能である。なお、第二の連結器103は、鉄道車両210の連結器240と同じ形式の並型自動連結器が使用される。また、第一及び第二の連結器102,103はいずれも緩衝器を介して車体に支持されている。
異軌間軌道列車移動システム1000は、図7に示すように、標準軌の線路区間Wと狭軌の線路区間Nとの境界に、連結された貨物車両110に鉄道列車200の乗り入れを行うためのトラバーサ1100を配備している。
鉄道列車200の乗り入れのために、狭軌の線路区間Nの線路は、標準軌の線路区間Wの線路に対して、貨物車両110が鉄道車両210を搭載する場合の高さと同じ分だけ高くなるように高低差が設けられている。そして、トラバーサ1100は、前記高低差と等しい高低差を設けた第一と第二の搭載面1102,1103を有する可動ステージ1101を備えており、低い方の第一の搭載面1102には標準軌のレール1104が設けられ、高い方の第二の搭載面1103には狭軌のレール1105が設けられている。また、可動ステージ1101は、各レール1104,1105に直交する方向にスライド移動可能に設置され、当該スライド移動を行うための図示しない駆動源を備えている。これにより、各線路区間W、Nの線路と同一線上に、可動ステージ1101上の標準軌のレール1104と狭軌のレール1105のいずれかを選択的に配置することが可能となっている。
図7〜図9により鉄道車両210の搭載動作を説明する。
まず、連結された貨物車両110に鉄道列車200の乗り入れを行う際には、トラバーサ1100の第一の搭載面1102の標準軌のレール1104が標準軌の線路区間Wの線路wと連結されるように可動ステージ1101の位置切り換え動作を行い(図7の可動ステージ1101を図示の状態から上方に移動させた状態)、標準軌の線路区間W側から貨物列車100の機関車101が第一の搭載面1102上に進入する。なお、このとき進入する機関車101は貨物列車100における後側の機関車101である。そして、最も機関車101側の貨物車両110をトラバーサ1100に対してぎりぎりまで近接させる。
その後、機関車101と貨物車両110の相互の連結器を分離させて、トラバーサ1100の第二の搭載面1103の狭軌のレール1105が各線路区間W、Nの線路と同一線上に配置されるように位置切り換えを行う(図7の状態)。
かかる状態で、機関車201が最後部に接続された状態で鉄道列車200が線路区間Nからトラバーサ1100を介して貨物列車110の上面の凹状レール構造123内に進入する。最後尾の機関車201は、全ての鉄道車両210が貨物車両110に搭載されるまで走行を継続し、トラバーサ1100の第二の搭載面1103上で走行を停止する。
そして、鉄道車両210から機関車201が切り離され、トラバーサ1100の第一の搭載面1102が各線路区間W、Nの線路と同一線上に配置されるように位置切り換えを行う。さらに、第一の搭載面1102上に待機していた機関車101が貨物車両110に向かって移動を行い(図9(A))、これにより、後側の機関車101の第一の連結器102が貨物車両110の連結器140に連結され、同時に、第二の連結器103が鉄道車両210の連結器240に連結される(図9(B))。
上記貨物列車100は、搭載された連結状態の鉄道車両210の前端部及び後端部の連結器240を利用して貨物列車100の機関車101に設けられた第二の連結器103と連結することにより複数の鉄道車両210の移動を制止し、貨物列車100が走行中でも効果的に鉄道車両210を保持することが可能となる。
また、機関車101が鉄道車両210の連結器240と同型式の鉄道車両用の連結器である並型自動連結器を第二の連結器103としているので、鉄道車両210の既存の連結器240をそのまま鉄道車両210の固定に利用することができ、搭載のための改造等の手間や費用を低減することが可能となる。
また、鉄道車両210の既存のエアーホース241に接続するので、搭載される鉄道車両210の改造を不要とし、実施の手間やコストの低減を図ることが可能となる。
車輪保持機構は、前述の例に限るものではない。例えば、渦電流ブレーキの原理を用いた車輪保持機構150Aでも良い。図10は車輪保持機構150Aの平面図、図11は正面図、図12は側面図である。
図10に示すように、台枠121の凹状部124の鉄道車両210の各車輪231に対応する位置には車輪保持機構150Aが設けられている。この車輪保持機構150Aは、各車輪231ごとに設けられている。
各車輪保持機構150Aは、同一形状の二枚の鉄板151A,151Aと、これらの鉄板151A,151Aを対向させた状態で一体的に連結する鉄心152Aと、鉄心に巻回されたコイル153Aとを備えている。
各鉄板151A,151Aの互いの一端部は、車輪231のレール154に対する接地点付近の部分を車軸232方向から挟むように配置され、他端部は鉄心152Aにより一体的に連結されている。そして、鉄心152Aに設けられたコイル153Aに通電が行われることにより、各鉄板151A,151Aの車輪231の下部を挟んで対向する部位に磁界を発生させることが可能となっている。鉄道車両210の車輪231は、各鉄板151A,151Aによる磁界を横切るように回転を行うと、車輪231に渦電流が発生し、結果として車輪231にブレーキ力が作用するしくみになっている。
この車輪保持機構150Aも、コイル153Aの通電の制御は、電気ジャンパ連結器を介して機関車101側から制御されるようになっている。
車輪保持機構150Aは、車輪231を固定する際に動作を生じる部材を有していないので、当該車輪保持機構150Aの設置スペースを台枠121に確保することが容易であり、生産性の向上を図ることが可能である。また、非接触式のブレーキなので車輪231等に摩耗を発生させず、車輪231及び機構自体の耐久性の向上を図ることが可能である。
また、車輪保持機構は、挟持摩擦力を利用した車輪保持機構150Bでも良い。図13は車輪保持機構150Bの平面図、図14は正面図、図15は側面図である。
図13に示すように、台枠121の凹状部124の鉄道車両210の各車輪231に対応する位置には車輪保持機構150Bが設けられている。この車輪保持機構150Bは、各車輪231ごとに設けられている。
各車輪保持機構150Bは、車輪231を挟んで対向配置された摩擦係数の大きい素材からなる一対のストッパとしてのブレーキパッド151B,151Bと、これらのブレーキパッド151B,151Bを個別に保持し、車輪231から離れた退避位置から車輪231側に押圧するアクチュエータ152B、152Bとを備えている。
ブレーキパッド151Bは、矩形状のブロックであり、車体前後方向に沿うように配置され、通常はアクチュエータ152Bにより車輪231から離れて保持され(図13(A),図14(A))、車輪保持時には、車軸232の方向に沿って車輪231に向かって前進移動が付与される(図13(B),図14(B))。これにより、車輪231の下部を二つのブレーキパッド151B,151Bで挟持すると共に挟持圧に基づく摩擦力により車輪231の回転が阻止される。
アクチュエータ152Bは、ブレーキパッド151Bに対して進退移動を付与することが可能な如何なるアクチュエータを用いても良い。例えば、ソレノイド、エアシリンダ、油圧シリンダなどが使用される。そして、全てのアクチュエータ152Bは、前述した電気ジャンパ連結器を通じて機関車101の操縦席からその作動が制御される。
車輪保持機構150Bは、ブレーキパッド151Bには車輪231からの押圧荷重などが付加されない構造なので、車輪231を効果的に保持すると共に車輪保持機構の耐久性の向上を図ることが可能である。
101 機関車
102 第一の連結器
103 第二の連結器
110 貨物車両
120 車体(列車搭載部)
121 台枠
123 凹状レール構造(レール)
140 連結器
150,150A,150B 車輪保持機構
151 固定ブロック(ストッパ)
151B ブレーキパッド(ストッパ)
152,152B アクチュエータ
200 鉄道列車
201 機関車
210 鉄道車両
231 車輪
240 連結器
Claims (6)
- 所定軌道を走行する複数の鉄道車両を連結した状態のまま搭載する列車搭載部を備え、前記所定軌道より幅の広い軌間の特定軌道を走行する貨物列車において、
前記列車搭載部に前記鉄道車両の車輪をガイドするレールを有し、
前記貨物列車は、前記各鉄道車両を搭載する複数の貨物車両と、連結された前記各貨物車両の端部に連結されて移動力を付与する機関車とから構成され、
前記機関車の車両接続側の端部に、前記貨物車両と連結される第一の連結器と、前記搭載された鉄道車両の端部の鉄道車両用の連結器と連結可能な連結器としての第二の連結器とを備えることを特徴とする貨物列車。 - 前記機関車の車両接続側の端部に、前記搭載された鉄道車両の端部に設けられた、鉄道車両の空気ブレーキの空気圧を供給するためのエアーホースに接続するための供給用エアーホースを備えることを特徴とする請求項1記載の貨物列車。
- 前記列車搭載部に前記鉄道列車の車輪を固定する一又は複数の車輪保持機構を備えることを特徴とする請求項1又は2記載の貨物列車。
- 前記車輪保持機構は、前記鉄道車両の車輪の下部に嵌合するストッパと、当該ストッパを退避位置から嵌合位置に切り換えるアクチュエータとを備えることを特徴とする請求項3記載の貨物列車。
- 前記車輪保持機構は、前記鉄道車両の車輪に渦電流を発生させて制動力を得る渦電流ブレーキであることを特徴とする請求項3記載の貨物列車。
- 前記車輪保持機構は、前記鉄道車両の車輪を挟持する一対のストッパと、当該ストッパを退避位置から挟持位置に切り換えるアクチュエータとを備えることを特徴とする請求項3記載の貨物列車。
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