JP5411429B2 - 炭素材料の製造方法 - Google Patents

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Description

【技術分野】
【0001】
本発明は、電気二重層キャパシタの分極性活物質に用いられる炭素材料の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、内部抵抗を低減させ、容量を大きくした電気二重層キャパシタの開発が進められている。電気二重層キャパシタは、パワー用途への適用が期待されている。電気二重層キャパシタは、1対の分極性電極を電解質溶液中にセパレータを介して対向させて正極および負極を構成し、電極(分極性電極)と電解質溶液の界面に形成される電気二重層に電荷を蓄積することを原理とする。
【0003】
電気二重層キャパシタの静電容量は、分極性電極の面積にほぼ比例すると考えられている。このため、分極性電極の電極材料として、大きな比表面積をもつ活性炭が用いられている。
【0004】
活性炭は、活性化処理(賦活処理)によって製造され、その表面に多くの官能基が残存している。このような活性炭を電気二重層キャパシタの電極とし、有機溶媒系電解質溶液を用い、電圧を対向する電極間に与えると、炭素電極表面に残されている残存官能基、特に含ヘテロ元素官能基と電解質溶液とが反応し、CO,CO,HO等のガスが発生したり、あるいは非電気伝導性の皮膜が成形されるなどにより、内部抵抗が増大して機能不全が生じたり、あるいは寿命を縮めるなどの不都合が生じる。
【0005】
このような残存官能基を取り除く方法として、不活性ガス雰囲気下あるいは還元性ガス雰囲気下で加熱する方法があった。しかしながら、これらの方法では残存官能基に対する反応性が低く、残存官能基を十分に取り除くことができなかった。
【0006】
このような問題に対して、遷移金属またはその化合物とともに還元性雰囲気で加熱処理を施すことが特許文献1に開示されている。しかしながら、この遷移金属またはその化合物を用いる方法は、炭素材料と遷移金属またはその化合物との混合物から遷移金属またはその化合物を取り除くための処理に手間がかかり、工業化を阻害するという問題があった。具体的には、この公報には、Fe,Ni,Coなどの強磁性遷移金属を用いる場合は、微細な粒径の粉末として用い、加熱処理後の分離は磁力によって分離する。Cu等の強磁性でない遷移金属では、細かい網や綿状にして用い、上記遷移金属の化合物では溶媒に溶かし、炭素材料に浸潤させ、加熱処理後は酸、塩基を用いて溶かし出して、除去する方法が示されている。また、この公報に記載の方法で製造された炭素材料を用いたキャパシタは、充放電特性が十分でないという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献1】 特開2002−362912号公報
【発明の開示】
【0007】
本発明は上記実状に鑑みてなされたものであり、電気二重層キャパシタを構成したときにすぐれた充放電特性を発揮する電気二重層キャパシタ用炭素材料を提供することを課題とする。
【0008】
上記課題を解決するために本発明者らは炭素材料について検討を重ねた結果本発明をなすに至った。
【0015】
本発明の炭素材料の製造方法は、電気二重層キャパシタの分極性活物質であって、活性化処理した後に、還元性雰囲気で熱処理し残存官能基を除く処理を施す炭素材料の製造方法であって、残存官能基を除く処理は、還元性雰囲気が水素雰囲気であり、原子状活性水素を発生させる触媒として貴金属触媒を用いることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】 炭素材料のESRピーク幅とキャパシタの劣化率との関係を示した図である。
【図2】 炭素材料の重量減少率とキャパシタの劣化率との関係を示した図である。
【図3】 炭素材料のNMR比とキャパシタの劣化率との関係を示した図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下に、前記発明をさらに具体的にした発明やこれら発明の実施の形態について説明する。
【0018】
(発明の実施の形態)
(電気二重層キャパシタ用炭素材料)
本発明の炭素材料の製造方法で製造される炭素材料は、電気二重層キャパシタの分極性活物質として用いられる炭素材料である。以下、本発明の製造方法で製造される炭素材料を、本発明の炭素材料,本発明の電気二重層キャパシタ用炭素材料とも称する。
【0019】
そして、本発明の電気二重層キャパシタ用炭素材料の第一の態様は、何らの添加物を加えることなく電子スピン共鳴法(ESR)で計測したとき、得られるピークの線幅が2mT以下であり、活性化処理した後に、還元性雰囲気で熱処理し残存官能基を除く処理であって、残存官能基を除く処理が、還元性雰囲気が水素雰囲気であり、原子状活性水素を発生させる触媒として貴金属触媒を用いる処理を施してなる。
【0020】
ここで言う添加物とは、空気中の酸素や水蒸気、それに炭素材料を製造する場合にしばしば用いる導電補助剤についてであり、本発明はこれらを全く含まない状態でESRを観測することを意味している。即ち、空気中の酸素は炭素材料に吸着されやすく、それ自体、常磁性である酸素はESRの信号強度を大きくし、ピークの線幅を増大させる。また、導電補助剤として用いられるカーボンブラックは、一般に被検炭素材料よりESRの信号強度は大きく、ピークの線幅も狭い。このためこれらを含むと被検炭素材料自体の評価にならない。したがって、炭素材料は加熱真空乾燥後、アルゴンガス気流中でキャピラリ試料管に充填され、さらにESR観測用試料管に調製されESRにて測定する。
【0021】
本発明において問題にしている炭素材料は、多層グラフェン微結晶からできている。この多層グラフェン微結晶とは、グラファイト(黒鉛)に類似した微細な結晶で、層間距離は黒鉛よりは広がっている。よく知られているように、黒鉛の縮合六員環平面内は導電性が高く、六員環に垂直な方向は半導体である。残存官能基はグラフェン微結晶の末端に生じるから、その存在は微結晶同士の接合、電子伝導の妨害となる。
【0022】
黒鉛のESR信号の詳細な解析(JANICE BREEDON他”Carbon”Vol.20 No.5 pp. 379−385 1982)から、ESRの測定が、磁場の向きが結晶の方向と相関し、六員環に垂直方向から加えられるとπ電子の環状電流を誘導励起し加えた磁場を弱める誘導磁場が発生し、共鳴位置がシフトする。六員環に平行に磁場が加わる場合はシフトは起こらない。多結晶試料では、微結晶の向きはさまざまで、もし個々の電子スピンが孤立していれば、シフトの程度のさまざまな信号が混ざったブロードな信号として観測される。しかし、実際には、磁気共鳴した電子スピンは、その励起寿命中に微結晶間を飛び回り、交換相互作用で平均化し、一本のシャープな共鳴線として観測されることが多い。残存官能基の存在は、微結晶間のMortional Spin Exchange Narrowingの妨げとなる。残存官能基、特にヘテロ原子を含む活性酸化水素は、2.5V以上の極間電圧で用いると、電極反応を起こし、電解質や溶媒の分解あるいは縮合を起こし、ガスの発生や非導電性被膜を形成する。これら残存官能基のかわりに、水素原子で終端した芳香環に直接ついた水素はより高い耐電圧を示す。そして、本発明においては、ピークの線幅が2mT以下である。また、より好ましいピークの線幅は1.5mT以下、さらに好ましくは1.0mT以下である。
【0023】
また、ESRの信号強度は、炭素材料中の不対電子の量を示すが、導電性ポリマーの一つと考えられるこの炭素材量では、まだ厳密な意味では解明されていない。前述したように、導電補助剤のアセチレンブラックは、スピン濃度はさらに大きいし、ボロン変性アセチレンブラックではライン幅はさらに狭く、スピン濃度も高い。少なくとも、通常のFree Radicalと異なり、グラフェンの共役系で安定化された不対電子は導電性に寄与するものであり、炭素電極の静電容量の増大や内部抵抗の低減に利するものである。
【0024】
本発明の電気二重層キャパシタ用炭素材料の第二の態様は、重量減少法での重量減少率が2.0%以下であり、活性化処理した後に、還元性雰囲気で熱処理し残存官能基を除く処理であって、残存官能基を除く処理が、還元性雰囲気が水素雰囲気であり、原子状活性水素を発生させる触媒として貴金属触媒を用いる処理を施してなる。重量減少法は、炭素材料を加熱し、加熱により生じる重量の減少率を求める評価方法である。つまり、加熱により生じる重量変化は、炭素材料の表面の残存官能基が加熱時の雰囲気との間で反応を生じることにより発生する。このことからもわかるように、重量減少法において重量の減少率が小さいほど炭素材料の残存官能基が少なくかつ炭素材料の結晶性が高い。本発明においては、重量減少率が小さければ小さいほど好ましく、2.0%以下が好ましく、より好ましくは1.5%以下であり、さらに好ましくは1.0%以下である。
【0025】
重量減少法は、あらかじめ重量を測定した乾燥した炭素材料を850℃、窒素ガス雰囲気下で1時間加熱し、その後室温まで冷却した後に炭素材料の重量を測定し、加熱前後の炭素材料の重量から減少率を求める評価方法である。
【0026】
具体的には、まず、評価される炭素材料の乾燥重量(W1)を測定する。そして、炭素材料を所定の条件下で加熱する。この加熱処理により炭素材料の結晶性の低い部分が分解される。そして、冷却した後に炭素材料の重量(W2)を測定し、加熱処理の前後の重量から重量減少率を求める。重量減少率は、以下に示された式から求めることができる。つまり、重量減少法は炭素材料の結晶性や純度を評価する評価方法であり、たとえば、炭素材料が残存官能基をもっと、純度や結晶性が低下し重量減少率が増加する。重量減少率が小さいほど炭素材料の残存官能基量が少ないことを示す。
【0027】
【数1】
Figure 0005411429
【0028】
本発明の電気二重層キャパシタ用炭素材料の第三の態様は、パルスNMR法による1H共鳴で観測されるT=55〜400μsecの中緩和時間成分(m)とT=10〜50μsecの短緩和時間成分(s)の比(m/s)が0.15未満であり、活性化処理した後に、還元性雰囲気で熱処理し残存官能基を除く処理であって、残存官能基を除く処理が、還元性雰囲気が水素雰囲気であり、原子状活性水素を発生させる触媒として貴金属触媒を用いる処理を施してなる。なお、T=55〜400μsecの中緩和時間成分は残存官能基の水素に由来する成分であり、T=10〜50μsecの短緩和時間成分は芳香環に直結した水素に由来する成分である。
【0029】
パルスNMR法では、炭素材料に残存する水素(活性酸化水素)のピークが得られる。炭素材料中の活性酸化水素の量は、炭素組織内の残存水素の結合状態の相違を示す、パルスNMR法による1H共鳴で観測される横緩和時間T=10〜50μsec(Gauss型)の短緩和時間成分と、横緩和時間T=55〜400μsec(Lorentze型)の中緩和時間成分とを測定し、各成分の量比によって特定される。そして、本発明の炭素材料は上記のパルスNMR法によるH共鳴によりT=10〜50μsec(Gauss型)の短緩和時間成分と、T=55〜400μsec(Lorentze型)の中緩和時間成分とを求めたときの、短緩和時間成分に対する中緩和時間成分の比(すなわち、中緩和時間成分/短緩和時間成分)が0.15未満である。つまり、残存官能基に由来する水素が極めて少ないという特徴を有するものである。つまり、このような炭素材料は、残存官能基が極めて少ない炭素材料であり、電気二重層キャパシタの分極性電極に使用することができ、これらの炭素材料を用いて作製した電気二重層キャパシタは、充放電時のガスの発生や静電容量の減衰、内部抵抗の上昇がない優れたものになる。また、上記m/sの値は、パルスNMR法によって得られた測定結果を基にして、特許文献1に記載された算出方法によって求めることができる。その際、パルスNMRの測定条件については特に限定されず、当業者であれば容易に選択することができる。
本発明の電気二重層キャパシタ用炭素材料は、第一〜第三の態様のいずれにおいても、後述の炭素材料の製造方法で製造されてなる。
【0030】
本発明の電気二重層キャパシタ用炭素材料は、上記した特性を持つ炭素材料であれば、その形状については特に限定されるものではない。つまり、炭素材料が活性炭、多孔性炭のような細孔を有するもの、あるいは細孔をもたないような非多孔性炭であってもどちらでもよい。また、本発明の炭素材料は、加熱処理を施していない炭素材料や遷移金属を用いて加熱処理を施した炭素材料(例えば、特許文献1に記載された炭素材料)などの従来の炭素材料と比べ、ESRの信号強度が高いもの、具体的には5倍以上(さらには10倍以上)の高さを有するものが好ましい。
【0031】
炭素材料の製造方法や原料については、本発明の製造方法で製造されること以外は特に限定されるものではない。たとえば、木材やヤシ殻などの植物系の材料から製造された炭素材料であっても、石炭などの鉱物系の材料から製造された炭素材料であっても、フェノール樹脂などの樹脂系の材料から製造された炭素材料であっても、いずれであってもよい。
【0032】
本発明の炭素材料は、上記の第一〜第三の態様のいずれかに記載された炭素材料であるが、上記の第一〜第三の態様のうちの二つ以上の態様を組み合わせた構成としてもよい。
【0033】
(電気二重層キャパシタ)
【0034】
本発明による電気二重層キャパシタは、上記した電気二重層キャパシタ用炭素材料を電極材料として用いた電気二重層キャパシタである。すなわち、本発明による電気二重層キャパシタは、上記した残存官能基が取り除かれた炭素材料を電極材料として用いており、残存官能基による不具合の発生が抑えられた電気二重層キャパシタとなっている。以下、本発明による電気二重層キャパシタを、本発明の電気二重層キャパシタとも称する。
【0035】
本発明の電気二重層キャパシタは、電極材料以外の材料は従来公知の材料により形成することができる。例えば、シート状の電極板を製造し、セパレータを介した状態で電解液とともにケース内に収納することで製造することができる。
【0036】
例えば、シート状の電極を作製するには、より高い導電性を炭素材料に付与するための導電性補助剤として例えばカーボンブラックと、結着剤として例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)とを添加して混練りし、圧延伸によりシート状に成形することにより行う。導電性補助剤としては、カーボンブラック(例えば、アセチレンブラック)の他、粉末グラファイトなどを用いることができ、また、結着剤としては、PTFEの他、PVDF、PE、PPなどを使用することができる。この際、炭素材料と導電性補助剤(カーボンブラック)と結着剤(PTFE)との配合比は、一般に、10:0.5〜1.0:0.5〜0.25程度である。
【0037】
このようにして得られた電極に集電体を取り付け、セパレータを介して重ね合わせることにより正極と負極とを形成した後、電解質を含む有機溶媒を含浸させて電気二重層キャパシタに組み立てることができる。
【0038】
電気二重層キャパシタに使用する電解質の溶媒としては、例えば、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートなどのカーボネート類、アセトニトリル、プロピオニトリルなどのニトリル類、γ−ブチロラクトン、α−メチル−γ−ブチロラクトン、β−メチル−γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、3−メチル−γ−バレロラクトンなどのラクトン類、ジメチルスルフォキシド、ジエチルスルフォキシドなどのスルフォキシド類、ジメチルフォルムアミド、ジエチルフォルムアミドなどのアミド類、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタンなどのエーテル類、ジメチルスルホラン、スルホランなどを挙げることができる。これらの有機溶媒は、一種または二種以上の混合溶媒として用いることもできる。
【0039】
これらの有機溶媒に溶解させる電解質としては、テトラエチルアンモニウムテトラフロロボレート、テトラメチルアンモニウムテトラフロロボレート、テトラプロピルアンモニウムテトラフロロボレート、テトラブチルアンモニウムテトラフロロボレート、トリメチルエチルアンモニウムテトラフロロボレート、トリエチルメチルアンモニウムテトラフロロボレート、ジエチルジメチルアンモニウムテトラフロロボレート、N−エチル−N−メチルピロリジニウムテトラフロロボレート、N,N−テトラメチレンピロリジニウムテトラフロロボレート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフロロボレートのようなアンモニウムテトラフロロボレート類、テトラエチルアンモニウムパークロレート、テトラメチルアンモニウムパークロレート、テトラプロピルアンモニウムパークロレート、テトラブチルアンモニウムパークロレート、トリメチルエチルアンモニウムパークロレート、トリエチルメチルアンモニウムパークロレート、ジエチルジメチルアンモニウムパークロレート、N−エチル−N−メチルピロリジニウムパークロレート、N,N−テトラメチレンピロリジニウムパークロレート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムパークロレートのようなアンモニウム過塩素酸塩類、テトラエチルアンモニウムヘキサフロロホスフェート、テトラメチルアンモニウムヘキサフロロホスフェート、テトラプロピルアンモニウムヘキサフロロホスフェート、テトラブチルアンモニウムヘキサフロロホスフェート、トリメチルエチルアンモニウムヘキサフロロホスフェート、トリエチルメチルアンモニウムヘキサフロロホスフェート、ジエチルジメチルアンモニウムヘキサフロロホスフェートのようなアンモニウムヘキサフロロホスフェート類などが挙げられる。
【0040】
電解質の濃度は、0.5〜5mol/Lであることが好ましい。特に好ましくは1.0〜2.5mol/Lである。電解質濃度が0.5mol/Lより低い場合は、電解質が不足し、静電容量が低下する。
【0041】
(炭素材料の製造方法)
本発明の炭素材料の製造方法は、上記した炭素材料を製造することができる製造方法である。すなわち、本発明の炭素材料の製造方法は、電気二重層キャパシタの分極性活物質であって、活性化処理した後に、還元性雰囲気で熱処理し残存官能基を除く処理を施す炭素材料の製造方法であって、残存官能基を除く処理は、還元性雰囲気が水素雰囲気であり、原子状活性水素を発生させる触媒として貴金属触媒を用いることを特徴とする。
【0042】
本発明の炭素材料の製造方法は、電気二重層キャパシタの分極性活物質であって、活性化処理した後に、還元性雰囲気で熱処理し残存官能基を除く処理を施す炭素材料の製造方法である。つまり、本発明の炭素材料の製造方法は、活性化処理を施した後に残存官能基を除く処理を施している。これらの処理を施すことで、電気二重層キャパシタの分極性活物質として有用な炭素材料を製造することができる。
【0043】
活性化処理とは、加熱処理炭素原料の細孔や結晶径をコントロールする処理である。この処理を施すことで、製造される炭素材料を電気二重層キャパシタの分極性活物質として利用するために好適な細孔径をそなえた粒子状とすることができる。ここで、活性化処理とは、活性炭を製造するときに行われる賦活処理を示す。
【0044】
そして、本発明の炭素材料の製造方法は、活性化処理が施された後に、還元性雰囲気で熱処理することで残存官能基を除く。加熱処理炭素原料を還元性ガス雰囲気下で熱処理することで、官能基(たとえば、−COOH,−CHO,−OHなど)が還元される。この結果、本発明の製造方法により製造された炭素材料は、残存官能基が取り除かれた炭素材料となる。
【0045】
残存官能基を除く処理は、還元性雰囲気が水素雰囲気であり、原子状活性水素を発生させる触媒として貴金属触媒を用いる。つまり、残存官能基を除く処理は、還元性雰囲気に含まれる水素を貴金属触媒が活性化して原子状活性水素を発生し、この原子状活性水素が残存官能基を還元する処理である。貴金属触媒は、触媒活性を示す温度以上においてはすぐれた反応性を備えており、従来の遷移金属よりなる触媒では取り除くことができなかった残存官能基を取り除くことができる。貴金属触媒としては、Rh,Ru,Pt,Pdなどから選ばれる少なくとも一種をあげることができる。より好ましくは、Pt,Rhである。
【0046】
残存官能基を除く処理の還元性雰囲気の水素雰囲気とは、雰囲気が水素ガスのみからなるだけでなく水素ガスを不活性ガスで希釈した混合ガス雰囲気を含む。加熱処理時の還元性雰囲気は、加熱処理を行う炉内に導入されるガスと、炉内から排出されるガスとにより形成される。
【0047】
加熱温度が500〜900℃となることで、貴金属触媒が活性を示すようになる。加熱温度が500℃未満では貴金属触媒の効果が発揮されず、製造される炭素材料に官能基が残存するようになる。また、900℃を超えると、触媒貴金属の粒成長が生じ、貴金属触媒の効果が減少する。より好ましい加熱温度は、600〜800℃であり、さらに好ましくは700℃である。
【0048】
また、加熱時間が0.5〜10時間となることで炭素材料原料の残存官能基を取り除くことができる。加熱時間が0.5時間未満では加熱時間が短すぎて十分に残存官能基を取り除くことができない。10時間を超えると加熱時間が長くなりすぎてコストが増加する。より好ましい加熱時間は3〜5時間であり、さらに好ましくは4時間である。
【0049】
上記したように、貴金属触媒は加熱処理炭素原料の残存官能基を取り除く原子状活性水素を発生するために用いられるものであるが、貴金属触媒が加熱処理炭素原料表面の残存官能基を直接還元してもよい。つまり、貴金属触媒が加熱処理炭素原料に近接して(接触した状態で)配置されたことが好ましい。貴金属触媒を加熱処理炭素原料に近接して配置する方法は特に限定されるものではない。
【0050】
一般的に、貴金属触媒は、その表面が触媒作用を発揮する。つまり、貴金属触媒の表面積は広いほうがよい。また、貴金属触媒は、粒径が大きくなるほど表面を形成しない(触媒反応に寄与しない)貴金属量が増加し、ロスが大きくなる。そして、貴金属触媒を構成する貴金属は高価であることから、貴金属触媒の粒径が小さい方がよい。つまり、貴金属触媒は、耐熱性をもつ担体に担持されたことが好ましい。貴金属触媒を担体に担持した状態で配置することで、加熱処理後に炭素材料と貴金属触媒(を担持した担体)との分離が容易となる。貴金属触媒を担持する担体の材質については耐熱性をもつ材質であれば特に限定されるものではなく、たとえば、ステンレス鋼、アルミナなどからなるセラミックスをあげることができる。好ましくは、アルミナを主成分とするセラミックスである。
【0051】
また、この担体の形状は、特に限定されるものではない。つまり、貴金属触媒を担持した担体自身が加熱処理時に加熱処理炭素原料を保持する構造体を形成しても、加熱処理時に加熱処理炭素原料と混合して配置される粒子状を形成しても、いずれでもよい。担体が粒子状に形成されたとき、担体の粒子の粒径が加熱処理炭素原料の粒径と異なることが好ましい。担体と加熱処理炭素原料の粒径が異なることで、例えば篩別により担体と炭素材料を簡単に分離できる。担体自身が加熱処理時に加熱処理炭素原料を保持する構造体を形成したときに、貴金属触媒は、構造体の表面に担持されたことが好ましく、加熱処理炭素原料が直接接触する表面(例えば、箱状容器の内表面)に担持されたことが好ましい。担体自身が加熱処理時に加熱処理炭素原料を保持する構造体を形成すると、炭素材料を簡単に分別できる。
【0052】
さらに、担体に貴金属触媒を担持させる方法についても特に限定されるものではない。たとえば、あらかじめ所定の形状に形成された担体を貴金属触媒の溶液に浸漬し、乾燥、焼成することで担持させることができる。
【0053】
すなわち、本発明の製造方法は、貴金属触媒が耐熱性担体に担持され、耐熱性担体が、加熱処理炭素原料の粒子サイズより大きな形状であり、且つ、加熱処理炭素原料と近接して存在して熱処理された後、ふるいや流動分別法により分離が可能な形状、材料、機構で作られたことが好ましい。
【0054】
本発明の製造方法は、活性化処理と還元性雰囲気での熱処理とを施す製造方法であり、活性化処理のひとつである賦活処理が施されてなる活性炭のような多孔性炭素や非多孔性炭素に、還元性雰囲気での熱処理を施す製造方法としてもよい。このとき、多孔性炭素や非多孔性炭素の製造方法や原料についても特に限定されるものではない。木材やヤシ殻などの植物系の材料であっても、石炭、コークス類、不融化ピッチなどの鉱物系の材料であっても、フェノール樹脂などの樹脂系の材料であっても、特に限定されるものではない。
【0055】
本発明の製造方法により製造された炭素材料は、残存官能基が取り除かれている。つまり、本発明の製造方法は、上記した電気二重層キャパシタ用炭素材料を製造することができる。
【実施例】
【0056】
以下、実施例を用いて本発明を説明する。
本発明の実施例として以下に示した方法で電気二重層キャパシタ用炭素材料を製造した。
【0057】
(加熱処理炭素原料の製造方法)
まず、石炭系コークスの原材料を、600〜900℃(本実施例においては750℃)で0.5〜4時間(本実施例においては1時間)で焼成して炭化処理を施した。この炭化処理が施された炭材の焼成物のX線回折により求められる層間距離d002は0.34〜0.35nmとなった。
【0058】
そして、この炭材にアルカリ薬品(本実施例においてはKOH)で賦活を行った。賦活は、炭材に対して0.5〜5倍当量(本実施例においては2.1倍当量)のアルカリ薬品を加え、不活性ガス雰囲気下で700〜900℃(本実施例においては800℃)で1〜10時間(本実施例においては4時間)の条件で行われた。賦活後の炭材はBET比表面積が300m/gであり、d002は0.355〜0.400nmとなった。
【0059】
その後、賦活処理が施された炭材を、炭材中のアルカリ薬品が10000ppm以下となるまで水洗した。その後、粉砕や篩別により整粒し、平均粒径が2〜50μmの加熱処理炭素原料が製造された。
【0060】
(試料1)
まず、活性アルミナから1〜10mmの粒径の球状アルミナを形成する。そして、このアルミナ粒子をPtの水溶液に浸漬し、乾燥、焼成する。これにより、アルミナ粒子にPtが担持した。Ptは、アルミナ粒子の見かけの容積1Lあたり0.1〜5gで担持された。
【0061】
そして、このPtを担持したアルミナ粒子と加熱処理炭素原料とを混合し、炉内に投入して水素ガス雰囲気下で加熱処理を施した。アルミナ粒子と加熱処理炭素原料は、加熱処理炭素原料の重量とアルミナ粒子の重量の比が1:0.5〜5(本実施例においては1:1)となるように混合された。この加熱処理は、炉内に水素ガスを流し続けて炉内雰囲気を100%の水素ガス雰囲気とした状態で500〜900℃(本実施例においては700℃)で0.5〜10時間(本実施例においては4時間)で加熱処理を施した。
加熱処理後冷却し、アルミナ粒子を篩別して試料1の電気二重層キャパシタ用炭素材料が得られた。
【0062】
(試料2)
まず、活性アルミナから1〜10mmの粒径の球状アルミナを形成する。そして、このアルミナ粒子をRhの水溶液に浸漬し、乾燥、焼成する。これにより、アルミナ粒子にRhが担持した。Rhは、アルミナ粒子の見かけの容積1Lあたり0.1〜5gで担持された。
【0063】
その後、Rhが担持したアルミナ粒子を用いて試料1の時と同様にして加熱処理炭素原料に加熱処理を施した。そして、加熱処理後冷却、篩別して試料2の電気二重層キャパシタ用炭素材料が得られた。
【0064】
(試料3)
耐熱性をもつステンレスを成形して、ハニカム状のセルが区画され、かつ上部が開口し下部が底面となる略箱形状の容器を形成した。そして、セルの内表面にNiメッキを行い表面にNi被膜を形成した。
【0065】
その後、このセル内に加熱処理炭素原料を収容した。そして、試料1の時と同様にして加熱処理炭素原料に加熱処理を施した。そして、加熱処理後冷却し、容器からとりだして試料3の電気二重層キャパシタ用炭素材料が得られた。
【0066】
(試料4)
試料4は、加熱処理を行っていない加熱処理炭素原料である。
【0067】
(試料5)
加熱処理炭素原料を炉内に投入して水素ガス雰囲気下で加熱処理を施した。この加熱処理は、炉内に水素ガスを流し続けて炉内雰囲気を100%の水素ガス雰囲気とした状態で500〜900℃(本実施例においては700℃)で0.5〜10時間(本実施例においては8時間)で加熱処理を施した。
加熱処理後冷却し、試料5の電気二重層キャパシタ用炭素原料が得られた。
【0068】
なお、上記試料1〜2および5の炭素材料の製造において、加熱処理炭素原料を炉内に投入する方法は、Niメッキをもたない以外は試料3に用いられた容器と同様な容器を用いて炉内に配置する方法がとられた。
【0069】
(評価)
製造された試料1〜5の電気二重層キャパシタ用炭素材料のESR、パルスNMRおよび重量減少率を測定した。測定結果を表1に示した。
【0070】
ESRとパルスNMRの測定に用いられる試料は、同一工程にもとづいて行われた。具体的には、熱伝導性の高いアルミニウム製の肉厚の容器を複数用意し、これらの容器に被検炭素試料(試料1〜5の炭素材料)を2g(ESR用:0.5g、パルスNMR用:1.5g)を入れ、ガス突沸により炭素材料が容器外に掃き出されないようにガラス繊維または炭素繊維で蓋をし、グローブボックスに隣接する真空焼き出し炉で真空乾燥を実施した。220℃で処理し、真空度が10−5Pa台に達して(およそ16時間)から、アルゴンガス中で放置冷却し、アルゴンガス中水分含量が0.1ppm程度の雰囲気でESR用およびNMR用の試料調製を行った。
【0071】
(ESR用試料)
ESR用試料は、アルゴンガス雰囲気のグローブボックス内でサンプリングを行い、炭素試料の酸素ドーピングによるピークの線幅の広がりを避けるようにした。具体的には、内径0.7mm程度のガラス製のディスポーザルピペットの先端を溶封して用いた。管径の太い開放端から試料を挿入し、キャピラリー部分に振動ですき間なく詰め、管径1.57mm(1/16インチ)の液体クロマトグラフィ用の樹脂製のフェラルをテイパー面で動かなくなるまで挿入し、その先を切り落とした。これを石英ガラス部のX−Band用標準試料管にもう一つフェラルを挿入して空洞共振器の中心に位置するようにした。末端キャップしたESRの試料もまとめてアルミラミネート袋に入れてシールし、測定直前に開封するようにした。
【0072】
(ESRの測定)
ESRは、X−Band(9.5GHz)の研究用装置(日本電子製)を用いた。通常、外径5mmの標準石英試料管を用いる場合は、アランダムや酸化マグネシウムの粉末にて炭素粒子を孤立させマクロな導電性をなくす(Matrix Isolation)方法をとるのが普通である。しかし、ここでは炭素試料になにも加えない状態で測定を行うため、上述の方法を採用した。ここの炭素試料の導電性やディスポピペットの管径のバラツキによっては、空洞共振器のQの低下が若干認められたが、共振器への侵入長を加減することにより、測定することができた。
【0073】
100KHz磁場変調法で、共鳴吸収線の微分波形を観測した。原則として変調幅は0.04mTでFree Electron領域を、広域80mTならびに狭域20mTの二回に分け、磁場掃引で測定した。信号線のピークの線幅は元の一次微分曲線のpeak間幅(単位μT)で表し、信号強度はピークの線幅とpeak to peakの積で表し、必要に応じて、微分曲線の二回積分の値を、スピン濃度既知の標準試料で更正し、単位重量あたりのスピン濃度に換算した。
【0074】
(パルスNMR用試料)
被検炭素試料と一緒に加熱乾燥した10mmのガラスNMR試料管に試料を詰め、PTFE製の内栓をガラス繊維布を介して挿入し、専用キャップを施して、アルミラミネート袋に入れ、グローブボックス内でシールした。この状態で保存し、測定寸前で開封するようにして、極力外部からの水分の侵入を避けた。
【0075】
(パルスNMRの測定)
パルスNMRはパルスNMR専用機、U−25(日本電子データム製)を用いた。プロトン共鳴周波数は25MHzで、導電性の炭素でもここで用いた粒子径50μm程度以下では、検出器のQの低下は無視できるほどに小さく、試料はそのまま測定できた。
【0076】
パルスNMRの測定は、固体エコー方法で、パルス幅2μsec、繰り返しインターバル1秒、繰り返し積算回数512回で実施し、得られた減衰信号を、短時間緩和成分にガウス型曲線近似、中・長時間緩和成分にローレンス型曲線近似で2成分計として解析した。そして、パルスNMR法による1H共鳴で観測される横緩和時間T=10〜50μsec(Gauss型)の短緩和時間成分(s)と、横緩和時間T=55〜400μsec(Lorentze型)の中緩和時間成分(m)とを測定し、パルスNMR比(m/s)を求めた。
【0077】
(重量減少率)
まず、炭素材料を大気雰囲気下で200℃、1時間の加熱処理を施した。加熱後、乾燥雰囲気下で冷却し、るつぼに1g(W1)を秤量した。このるつぼを焼成用容器に収納した状態でマッフル炉内に配置し、加熱処理を施した。加熱処理は、マッフル炉内に5L/minの流量で窒素ガスを導入した状態で5℃/分の昇温速度で850℃まで昇温した。
【0078】
そして、窒素ガス雰囲気下で850℃で1時間保持した。保持後、窒素ガス雰囲気を保持した状態で室温まで冷却し、冷却後直ちに炭素材料の重量(W2)を測定した。加熱処理の前後の炭素材料の重量W1およびW2から、上記数1に示した式により得られる重量減少率を求めた。
【0079】
【表1】
Figure 0005411429
【0080】
また、試料1〜5の炭素材料を用いて電気二重層キャパシタを製造し、充放電特性を測定した。
【0081】
(電気二重層キャパシタ)
まず、活物質として、得られた試料1〜5を加熱真空乾燥(200℃、0.1Torr、2〜4時間)した炭素試料と、導電性補助剤としてカーボンブラック(電気化学工業社製、電化ブラック)と、PTFEバインダー(三井・デュポンフルオロケミカル社製、6J)とを重量比で10:0.5:0.25の割合で秤量採取し、乳鉢で丹念に混合、練り合わせ、ホットローラーで圧延し、厚さt=100μmのシートに仕上げ、20mmφの円盤状にパンチャーで成形した。
【0082】
この炭素電極を載せたアルミ皿をアルミバットに入れ、GA−100(アドバンテック東洋株式会社製ガラス繊維セパレータ、厚さ0.44mm)のセパレータとともに加熱真空炉で、250℃、5×10−5Torrで2〜4時間処理し、グローブボックス中にセットした、真空含浸槽に和紙セパレータを加えてマウントし、内部を真空にしたうえ、溶液取り込み口のコックを開いて、活性アルミナと共存させて十分乾燥した電解質溶液(濃度1.0モル/LのEtNBF(テトラエチルアンモニウムテトラフロロボレート)のPC(プロピレンカーボネート)溶液(三菱化学社製、ソルライト))を取り込ませた。覗き窓から電極の状態を観察し、電極、セパレータ中から泡が生じる間真空引きを続け、電解質溶液をよく含浸させた後、槽から取り出し、予め用意した、表面粗面化処理した、アルミ集電極箔にセパレータを介した電極をはさんで3電極セルを組み立て、治具で挟んでアルミラミネート袋に挿入し、真空パックして試料1〜5の炭素材料を用いた評価用キャパシタを作製した。
【0083】
なお、真空パックに用いるポリ袋は内部の状態が観察できるように透明のラミネートポリパックを用いたが、充・放電試験の性能、特に長期試験の結果については、真空パックに用いるパック材の種類にも影響を受けることがわかっており、このため、特に長期間の性能を評価するには、水分の透過がないアルミ箔内蔵のラミネートポリパックを使用することが好ましく、また、これにより長期寿命試験の性能は大幅に向上する。
【0084】
(充放電特性)
そして、評価用キャパシタの充放電特性は、一定電流で充電し、キャパシタに電荷が蓄積していくに従って電圧が上昇するのをモニターすることによって評価した。すなわち、一定電流10mA(もしくは5mA)で充電し、正・負両極間の電圧が設定した例えば3.75Vに達したら、その電圧を保持することで定電圧充電モードとなり電流は減衰し始める。予め設定した充電時間T(通常4500秒)が経過したとき、極性を切り替え、一定電流10mA(もしくは5mA)の定電流モードで放電させ、電圧が0Vになるまで継続する。この後、休止時間(通常180秒)を経て再び上記と同様にして一定電流の充放電を1〜3回繰り返し、その後、印加電圧を3.3Vに下げ、放電終止電圧を0.5Vにして同一電流でサイクル試験を実施した。測定は4チャンネル同時処理可能な専用充放電試験器(パワーシステム社製、CDT−5RZ−4)を用いて実施した。なお、劣化率は、サイクル試験の実施開始の初期静電容量を1000サイクル試験後の静電容量の比から求めた。得られた測定結果(静電容量、内部抵抗、劣化率)を表1にあわせて示した。また、ESRピークの線幅と劣化率との関係を図1に、重量減少率と劣化率との関係を図2に、NMR比と劣化率との関係を図3に示した。
【0085】
表1より、残存官能基が取り除かれた試料1〜3の炭素材料から製造されたキャパシタの充放電特性が向上していることがわかる。つまり、残存官能基が取り除かれた炭素材料をキャパシタの電極材料に用いることで、炭素材料の残存官能基が電解液と反応することが抑えられ、残存官能基が電解質溶液と反応したことにより生じていたガスの発生や内部抵抗の上昇が抑えられた。
【0086】
また、試料1および2の炭素材料は、より多くの残存官能基が取り除かれている。つまり、貴金属触媒とともに還元性雰囲気で熱処理することで、より多くの残存官能基を取り除くことができることが確認できた。
【0087】
さらに、試料1〜3の炭素材料は、触媒(Rh,Pt,Ni)が担体に担持された状態で熱処理を施して製造されている。担体と炭素材料とが容易に分別できた。つまり、炭素材料の製造時に触媒と炭素材料との分離に手間がかからなかった。

Claims (2)

  1. 電気二重層キャパシタの分極性活物質であって、活性化処理した後に、還元性雰囲気で熱処理し残存官能基を除く処理を施す炭素材料の製造方法であって、
    該残存官能基を除く処理は、該還元性雰囲気が水素雰囲気であり、原子状活性水素を発生させる触媒として貴金属触媒を用いることを特徴とする炭素材料の製造方法。
  2. 前記貴金属触媒は、耐熱性担体に担持され、
    該耐熱性担体が、前記炭素材料の粒子サイズより大きな形状であり、且つ、該炭素材料と近接して存在して熱処理された後、ふるいや流動分別法により分離が可能な形状、材料、機構で作られた請求項1に記載の炭素材料の製造方法。
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