JPWO2019208594A1 - 炭素触媒、及び水溶性糖類の製造方法 - Google Patents
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Abstract
バイオマス材料に含まれる多糖類を加水分解するための炭素触媒であって、CuKα線を用いたエックス線回折において、炭素002面に由来する主ピークの半値幅が1°以上である、炭素触媒である。
Description
本発明の一実施形態は、炭素触媒、及び水溶性糖類の製造方法に関する。
セルロースから糖を生産するプロセスは、再生可能なバイオマスのエネルギー転換や化学品合成を包括するバイオリファイナリ体系の中で、非可食性バイオマスプロセスとして、持続可能な社会を実現する上で重要な役割を担う。化学産業において重要な化合物である5−ヒドロキシメチルフルフラール、レブリン酸、2,5−ジメチルフラン等は、グルコースから作製することが可能である。そのため、セルロースを加水分解してグルコースを作製する触媒の開発は、工業上、非常に重要である。
バイオマスの糖化プロセスに酵素触媒を使う酵素糖化法は、古くから行われている方法であり、反応条件がマイルドで反応を制御しやすい。しかし、酵素の値段が高く、プロセスの経済性が損なわれるデメリットがある。一方で、酸(主に硫酸)によるバイオマス分解もよく行われている方法であり、硫酸は安価であり反応速度は速いが、使用済み硫酸の処理など環境負荷が大きいという問題点がある。また、生成した糖類との分離が困難で繰返し利用ができないため、環境負荷が大きな問題となっている。廃硫酸は、石膏に固定化して廃棄されている。
これらに対し、固体酸によるバイオマスの糖化は、環境負荷を低減できるとともに繰り返し利用が可能で、酵素触媒よりも低コストが期待されている。固体酸が硫酸並みの活性を持ち、長寿命(高繰り返し耐性)ならば、次世代のバイオマス糖化法として大いに期待が持てる。
セルロースを加水分解してグルコースを生成するための触媒として、炭素系固体触媒が盛んに研究されている。炭素系固体触媒として、比表面積が大きく、官能基密度の高い、酸化グラフェンが有力な候補の一つであるが、酸化グラフェンは、その径が数十nmから数百nmと非常に小さいため、触媒反応後の溶液からの分離が困難である。非特許文献1には、酸化グラフェンに酸化鉄を結合させ、触媒反応後に磁力で分離する方法が記載されている。しかし、酸化グラフェンはそれ自体の製造に非常にコストがかかるため、量産レベルには適していない。
特許文献1には、有機物を炭化処理したカーボンをスルホン化処理したスルホン化カーボンを固体酸触媒として用いて、セルロースをイオン液体中で分解する方法が提案されている。
特許文献2には、水蒸気や薬剤で賦活した活性炭と植物性バイオマスとを予め混合粉砕し、そのあと加水分解して、グルコースの重合度3〜6のオリゴ糖を製造する方法が提案されている。
特許文献3には、バイオマスを炭化処理した炭化物と、バイオマス由来の多糖を予め混合粉砕した後に加水分解して、糖液を製造する方法が提案されている。
特許文献2には、水蒸気や薬剤で賦活した活性炭と植物性バイオマスとを予め混合粉砕し、そのあと加水分解して、グルコースの重合度3〜6のオリゴ糖を製造する方法が提案されている。
特許文献3には、バイオマスを炭化処理した炭化物と、バイオマス由来の多糖を予め混合粉砕した後に加水分解して、糖液を製造する方法が提案されている。
Chemical Engineering Journal, vol. 280, pp. 90-98 (2015)
しかし、スルホン化カーボンを作製するためには、そのプロセスの中で濃硫酸、発煙硫酸、またはスルフォニル酸等による酸化工程が必要であり、触媒製造工程で使用した硫酸等の廃棄処理に、大きな環境負荷が掛かることが懸念される。
賦活活性炭は、一度作製した活性炭に、更にアルカリや水蒸気での賦活処理が必要になり製造コストが嵩むとともに、高温での賦活処理時の燃焼による収率低減も懸念される。
バイオマスの炭化処理には、炭化するための高温炭化炉が必要となり、製造時のランニングコストが高くなるという懸念がある。
本発明の一目的としては、バイオマス材料に含まれる多糖類の加水分解反応を促進させる炭素触媒を提供することである。
賦活活性炭は、一度作製した活性炭に、更にアルカリや水蒸気での賦活処理が必要になり製造コストが嵩むとともに、高温での賦活処理時の燃焼による収率低減も懸念される。
バイオマスの炭化処理には、炭化するための高温炭化炉が必要となり、製造時のランニングコストが高くなるという懸念がある。
本発明の一目的としては、バイオマス材料に含まれる多糖類の加水分解反応を促進させる炭素触媒を提供することである。
上記課題を達成するための具体的手段は以下の通りである。
[1]バイオマス材料に含まれる多糖類を加水分解するための炭素触媒であって、CuKα線を用いたエックス線回折において、炭素002面に由来する主ピークの半値幅が1°以上である、炭素触媒。
[2]CuKα線を用いたエックス線回折において、炭素002面の面間隔d002が3.380Å以上である、[1]に記載の炭素触媒。
[3]易黒鉛化性炭素であり、レーザーラマン分光測定によって求めたR値が0.5以上、1.5以下である、[1]又は[2]に記載の炭素触媒。
[4][1]から[3]のいずれかに記載の炭素触媒を用いて、バイオマス材料に含まれる多糖類から水溶性糖類を製造する、水溶性糖類の製造方法。
[1]バイオマス材料に含まれる多糖類を加水分解するための炭素触媒であって、CuKα線を用いたエックス線回折において、炭素002面に由来する主ピークの半値幅が1°以上である、炭素触媒。
[2]CuKα線を用いたエックス線回折において、炭素002面の面間隔d002が3.380Å以上である、[1]に記載の炭素触媒。
[3]易黒鉛化性炭素であり、レーザーラマン分光測定によって求めたR値が0.5以上、1.5以下である、[1]又は[2]に記載の炭素触媒。
[4][1]から[3]のいずれかに記載の炭素触媒を用いて、バイオマス材料に含まれる多糖類から水溶性糖類を製造する、水溶性糖類の製造方法。
本発明の一実施形態によれば、バイオマス材料に含まれる多糖類の加水分解反応を促進させる炭素触媒を提供することができる。
以下、本発明の一実施形態について説明するが、以下の例示によって本発明は限定されない。
一実施形態による炭素触媒は、バイオマス材料に含まれる多糖類を加水分解するための炭素触媒であって、CuKα線を用いたエックス線回折において、炭素002面に由来する主ピークの半値幅が1°以上であることを特徴とする。
この炭素触媒は、バイオマス材料に含まれる多糖類の加水分解反応を促進させることができる。この炭素触媒を用いることで、酸触媒又は酵素触媒を用いることなく、加水分解反応を促進することができる。
この炭素触媒は、バイオマス材料に含まれる多糖類の加水分解反応を促進させることができる。この炭素触媒を用いることで、酸触媒又は酵素触媒を用いることなく、加水分解反応を促進することができる。
バイオマス材料は、植物性バイオマス材料を好ましく用いることができる。植物性バイオマス材料は、パルプとリグニンに大きく分類され、パルプがさらにセルロースとヘミセルロースに大きく分類される。バイオマス材料に含まれる多糖類は、主にセルロース、ヘミセルロース、でんぷん、ペクチン等である。この炭素触媒は、これらの多糖類の加水分解反応に用いることができ、特に、セルロースの加水分解反応に適する。
バイオマス材料に含まれるセルロースは、水不溶性の結晶性セルロースとして含まれることが多い。この結晶性セルロースを非晶質化することで、非結晶性セルロースを得ることができる。この非結晶性セルロースを加水分解することで、3〜6糖類のセルロース、セロビオース、グルコース等の低分子量のセルロース分解物を効率よく得ることができる。
バイオマス材料に含まれるセルロースは、水不溶性の結晶性セルロースとして含まれることが多い。この結晶性セルロースを非晶質化することで、非結晶性セルロースを得ることができる。この非結晶性セルロースを加水分解することで、3〜6糖類のセルロース、セロビオース、グルコース等の低分子量のセルロース分解物を効率よく得ることができる。
(炭素触媒)
炭素触媒は、結晶性を有する材料を好ましく用いることができる。炭素触媒は、結晶性を有する範囲で、部分的に非晶質構造を有してもよい。
炭素触媒としては、例えば、天然黒鉛(鱗片状黒鉛、鱗状黒鉛、土状黒鉛、球状黒鉛、塊状黒鉛等)、人造黒鉛、易黒鉛化性炭素、熱分解黒鉛等が例示できる。
易黒鉛化性炭素は、高温加熱処理によって三次元的な積層規則性を持つ結晶性が生成しやすく、軟質炭素、ソフトカーボンなどとも呼ばれている炭素材料である。
これらの炭素触媒は単独で、または2種以上を組み合わせて用いてもよい。
炭素触媒は、結晶性を有する材料を好ましく用いることができる。炭素触媒は、結晶性を有する範囲で、部分的に非晶質構造を有してもよい。
炭素触媒としては、例えば、天然黒鉛(鱗片状黒鉛、鱗状黒鉛、土状黒鉛、球状黒鉛、塊状黒鉛等)、人造黒鉛、易黒鉛化性炭素、熱分解黒鉛等が例示できる。
易黒鉛化性炭素は、高温加熱処理によって三次元的な積層規則性を持つ結晶性が生成しやすく、軟質炭素、ソフトカーボンなどとも呼ばれている炭素材料である。
これらの炭素触媒は単独で、または2種以上を組み合わせて用いてもよい。
炭素触媒は、CuKα線を用いたエックス線回折において、炭素002面に由来する主ピークの半値幅が1°以上であることが好ましい。
ここで、半値幅は、ピークの極大値の1/2強度の2点間の間隔(いわゆる、半値全幅(FWHM=Full Width at Half Maximum)として定義される。
炭素触媒において、炭素002面に由来する主ピークの半値幅は、X線回折装置(例えば、株式会社リガク製「MiniFlex600」、測定角度:2θ=10〜90°、電圧:30kV、電流:5mA)で測定したときに得られるチャートにおける、主ピークの半値幅の値を意味する。主ピークは、炭素002面に由来する主ピークが出現する2θ=15〜35°の測定角度におけるピーク強度が最も大きいピークを意味する。
ここで、半値幅は、ピークの極大値の1/2強度の2点間の間隔(いわゆる、半値全幅(FWHM=Full Width at Half Maximum)として定義される。
炭素触媒において、炭素002面に由来する主ピークの半値幅は、X線回折装置(例えば、株式会社リガク製「MiniFlex600」、測定角度:2θ=10〜90°、電圧:30kV、電流:5mA)で測定したときに得られるチャートにおける、主ピークの半値幅の値を意味する。主ピークは、炭素002面に由来する主ピークが出現する2θ=15〜35°の測定角度におけるピーク強度が最も大きいピークを意味する。
炭素002面に由来する主ピークの半値幅は、炭素触媒の結晶性の指標となる。半値幅が大きいと、結晶性が低く、一次粒子径(結晶子サイズ)が小さい傾向がある。また、半値幅が小さいと、結晶性が高く、一次粒子径(結晶子サイズ)が大きい傾向がある。
炭素触媒の炭素002面に由来する主ピークの半値幅が1°以上であることで、セルロースの加水分解をより促進させることができる。この半値幅が1°以上であると、炭素触媒の炭素002面の面間隔にバラツキが発生することが確認でき、この面間隔のバラツキに起因して炭素触媒の活性が高まると考えられる。
この半値幅は、1.5°以上がより好ましく、2.0°以上がさらに好ましい。
また、この半値幅は、特に限定されないが、5.0°以下が好ましい。
この半値幅は、1.5°以上がより好ましく、2.0°以上がさらに好ましい。
また、この半値幅は、特に限定されないが、5.0°以下が好ましい。
ここで、炭素触媒の半値幅は、炭素触媒が加水分解反応系に投入される前の状態で測定される数値である。例えば、炭素触媒とセルロースとを混合して、任意的に粉砕処理をした状態で、水を添加し、加水分解する場合では、セルロースと混合する前に炭素触媒の半値幅を測定することができる。
炭素触媒は、CuKα線を用いたエックス線回折において、炭素002面の面間隔d002が3.380Å以上であることが好ましい。
これによって、セルロースの加水分解をより促進させることができる。この面間隔d002が3.380Å以上であると、炭素触媒の結晶性がある程度低下していることが確認でき、この結晶性の低下によって、炭素触媒の活性をより高めることができる。結晶性の低下の一因は、炭素の積層構造のうち一層又は複数の層が部分的に剥離することであるため、結晶性が低下することで、炭素触媒に活性な面が現れ、触媒活性が高まると考えられる。
これによって、セルロースの加水分解をより促進させることができる。この面間隔d002が3.380Å以上であると、炭素触媒の結晶性がある程度低下していることが確認でき、この結晶性の低下によって、炭素触媒の活性をより高めることができる。結晶性の低下の一因は、炭素の積層構造のうち一層又は複数の層が部分的に剥離することであるため、結晶性が低下することで、炭素触媒に活性な面が現れ、触媒活性が高まると考えられる。
この炭素002面の面間隔d002は、3.390Å以上がより好ましく、3.400Å以上がさらに好ましい。
また、この炭素002面の面間隔d002は、特に限定されないが、3.5Å以下が好ましい。
また、この炭素002面の面間隔d002は、特に限定されないが、3.5Å以下が好ましい。
ここで、炭素触媒の炭素002面の面間隔d002は、炭素触媒が加水分解反応系に投入される前の状態で測定される数値である。詳しくは、上記炭素触媒の半値幅と同様である。
炭素002面の面間隔d002は、X線(CuKα線)を炭素触媒の粉末試料に照射し、回折線をゴニオメーターにより測定し得た回折プロファイルより、回折角2θ=24〜26°付近に現れる炭素002面に対応した回折ピークより、ブラッグの式を用い算出することができる。
炭素触媒は、レーザーラマン分光測定によって求めたR値が0.5以上、1.5以下であることが好ましい。
R値は、励起波長532nmのレーザーラマン分光測定により求められるプロファイルの中で、波数1360cm−1付近に現れるピークの強度をId、波数1580cm−1付近に現れるピークの強度をIgとし、その両ピークの強度比Id/Igとして表される。
R値が大きいほど、炭素触媒の表面にエッジ面が多く露出していることを表す。R値が小さいほど、炭素触媒の表面にベーサル面の割合が多いことを表す。
R値は、励起波長532nmのレーザーラマン分光測定により求められるプロファイルの中で、波数1360cm−1付近に現れるピークの強度をId、波数1580cm−1付近に現れるピークの強度をIgとし、その両ピークの強度比Id/Igとして表される。
R値が大きいほど、炭素触媒の表面にエッジ面が多く露出していることを表す。R値が小さいほど、炭素触媒の表面にベーサル面の割合が多いことを表す。
炭素触媒のR値が0.5以上であることで、セルロースの加水分解をより促進させることができる。R値が大きく、炭素触媒の表面にエッジ面が多く露出している方が、炭素触媒の活性が高まると考えられる。このR値は、0.8以上がより好ましく、0.9以上がさらに好ましい。
また、このR値は、1.5以下が好ましく、1.3以下がより好ましい。これによって、炭素触媒の表面にエッジ面が多く露出すると共に、セルロースを物理的に吸着しやすいベーサル面が確保され、結果的に炭素触媒の活性が高まると考えられる。
また、このR値は、1.5以下が好ましく、1.3以下がより好ましい。これによって、炭素触媒の表面にエッジ面が多く露出すると共に、セルロースを物理的に吸着しやすいベーサル面が確保され、結果的に炭素触媒の活性が高まると考えられる。
ここで、炭素触媒のR値は、炭素触媒が加水分解反応系に投入される前の状態で測定される数値である。詳しくは、上記炭素触媒の半値幅と同様である。
レーザーラマン分光測定は、日本分光株式会社製「NSR−1000」を用い、励起波長532nm、レーザー出力3.9mW、入射スリット150μmの設定で測定することができる。得られたデータは、基準物質であるインデン(和光純薬製)のラマンシフト補正を行う。
炭素触媒は、水中で多糖類と反応させるために、粒子状の固体触媒であることが好ましい。粒子形状は、球状、破砕状、鱗片状、薄片状等であってよい。
炭素触媒の平均粒子径は、炭素触媒の原料の種類によって異なるが、10nm以上が好ましく、20nm以上がより好ましく、100nm以上がさらに好ましい。また、炭素触媒の平均粒子径は、100μm以下が好ましく、50μm以下がより好ましく、20μm以下がさらに好ましい。
ここで、炭素触媒のR値は、炭素触媒が加水分解反応系に投入される前の状態で測定される数値である。詳しくは、上記炭素触媒の半値幅と同様である。
炭素触媒の平均粒子径は、レーザー回折/散乱式粒度分布計で測定したD50の値(体積分布のメジアン径、累積中央値)を意味する。このような粒度分布計としては、例えば、株式会社堀場製作所製「LA−920」(光源:He−Neレーザー)が挙げられる。
炭素触媒の平均粒子径は、炭素触媒の原料の種類によって異なるが、10nm以上が好ましく、20nm以上がより好ましく、100nm以上がさらに好ましい。また、炭素触媒の平均粒子径は、100μm以下が好ましく、50μm以下がより好ましく、20μm以下がさらに好ましい。
ここで、炭素触媒のR値は、炭素触媒が加水分解反応系に投入される前の状態で測定される数値である。詳しくは、上記炭素触媒の半値幅と同様である。
炭素触媒の平均粒子径は、レーザー回折/散乱式粒度分布計で測定したD50の値(体積分布のメジアン径、累積中央値)を意味する。このような粒度分布計としては、例えば、株式会社堀場製作所製「LA−920」(光源:He−Neレーザー)が挙げられる。
(水溶性糖類の製造方法)
以下、水溶性糖類の製造方法の一例について説明する。
水溶性糖類の製造方法の一例には、上記した炭素触媒を用いて、バイオマス材料に含まれる多糖類から水溶性糖類を製造する方法が含まれる。好ましくは、多糖類と炭素触媒と水の存在下で加水分解反応を行わせて、水溶性糖類を生成することができる。
バイオマス材料に含まれる多糖類には、例えば、セルロース、ヘミセルロース、でんぷん、ペクチン等が含まれる。
この方法によって多糖類から製造される水溶性糖類には、例えば、3〜6糖類のセルロース、セロビオース、グルコース等が含まれる。
以下、水溶性糖類の製造方法の一例について説明する。
水溶性糖類の製造方法の一例には、上記した炭素触媒を用いて、バイオマス材料に含まれる多糖類から水溶性糖類を製造する方法が含まれる。好ましくは、多糖類と炭素触媒と水の存在下で加水分解反応を行わせて、水溶性糖類を生成することができる。
バイオマス材料に含まれる多糖類には、例えば、セルロース、ヘミセルロース、でんぷん、ペクチン等が含まれる。
この方法によって多糖類から製造される水溶性糖類には、例えば、3〜6糖類のセルロース、セロビオース、グルコース等が含まれる。
図1に、水溶性糖類の製造方法の第1の例のフローチャートを示す。
図1に示すフローチャートは、炭素触媒及びセルロース原料を混合し粉砕するステップS1と、粉砕後の混合物に水を添加し加水分解するステップS2と、加水分解後の反応液を固液分離するステップS3とを備える。
図1に示すフローチャートは、炭素触媒及びセルロース原料を混合し粉砕するステップS1と、粉砕後の混合物に水を添加し加水分解するステップS2と、加水分解後の反応液を固液分離するステップS3とを備える。
混合、粉砕ステップS1は、炭素触媒及びセルロース原料を混合し、混合物を粉砕処理する。混合物の粉砕処理は、乾式混合が好ましく、例えば、回転ミル、振動ミル、遊星ミル等のボールミル、ジェットミル、ローラーミル、ハンマーミル、ピンミル、ディスクミル等を好ましく用いることができる。粉砕時間は30分以上が好ましく、100分以上がより好ましい。粉砕時間が200分以内であっても、水溶性糖類への分解効率を十分に得ることができる。
混合、粉砕ステップS1前の炭素触媒の半値幅、面間隔d002、R値が、それぞれ上記した好ましい範囲を満たすことで、水溶性糖類への分解効率を高めることができる。また、混合、粉砕ステップS1によって、セルロース原料の結晶性が低下し、非結晶性セルロースを得ることができ、セルロース成分の加水分解をより促進させることができる。
混合、粉砕ステップS1前の炭素触媒の半値幅、面間隔d002、R値が、それぞれ上記した好ましい範囲を満たすことで、水溶性糖類への分解効率を高めることができる。また、混合、粉砕ステップS1によって、セルロース原料の結晶性が低下し、非結晶性セルロースを得ることができ、セルロース成分の加水分解をより促進させることができる。
加水分解ステップS2は、粉砕後の混合物に水を添加し、セルロース成分を加水分解する。加水分解は、必要に応じて加熱及び撹拌して行うことが好ましい。加水分解の加熱温度は100〜250℃が好ましく、150〜200℃がより好ましい。加熱時間は、10〜480分間が好ましく、30〜120分間がより好ましい。
加水分解ステップS2では、粉砕後のセルロース成分が加水分解されて、3〜6糖類のセルロース、セロビオース、グルコース等の水溶性糖類等を生成することができる。
加水分解ステップS2は、反応液のpHを中性付近で行うことができる。この場合、反応液のpHは5〜8が好ましく、6〜7がより好ましい。炭素触媒を用いることで、中性付近においても加水分解反応を促進させることができ、酸やアルカリの添加を不要にできる。
加水分解ステップS2では、粉砕後のセルロース成分が加水分解されて、3〜6糖類のセルロース、セロビオース、グルコース等の水溶性糖類等を生成することができる。
加水分解ステップS2は、反応液のpHを中性付近で行うことができる。この場合、反応液のpHは5〜8が好ましく、6〜7がより好ましい。炭素触媒を用いることで、中性付近においても加水分解反応を促進させることができ、酸やアルカリの添加を不要にできる。
加水分解ステップS2では、投入した炭素触媒及びセルロース原料の全量に対して、炭素触媒の配合量は、1質量%以上が好ましく、5質量%以上がより好ましく、10質量%以上がさらに好ましい。
また、投入した炭素触媒及びセルロース原料の全量に対して、炭素触媒の配合量は、50質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましい。
また、投入した炭素触媒及びセルロース原料の全量に対して、炭素触媒の配合量は、50質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましい。
加水分解ステップS2では、投入した炭素触媒、セルロース原料及び水を含む反応液全量に対し、投入した炭素触媒及びセルロース原料の合計量は、0.1質量%以上が好ましく、0.5質量%以上がより好ましい。
また、投入した炭素触媒、セルロース原料及び水を含む反応液全量に対し、投入した炭素触媒及びセルロース原料の合計量は、20質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましい。
また、投入した炭素触媒、セルロース原料及び水を含む反応液全量に対し、投入した炭素触媒及びセルロース原料の合計量は、20質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましい。
固液分離ステップS3は、加水分解後の反応液を液体と固体に分離する。固液分離には、遠心分離、ろ過等を好ましく用いることができる。
固液分離後の上澄み液には、水とともに、加水分解された水溶性糖類が含まれる。この上澄み液から水溶性糖類を回収することができる。また、固液分離後の沈殿物には、セルロース成分の未反応物、炭素触媒等が含まれる。
固液分離後の上澄み液には、水とともに、加水分解された水溶性糖類が含まれる。この上澄み液から水溶性糖類を回収することができる。また、固液分離後の沈殿物には、セルロース成分の未反応物、炭素触媒等が含まれる。
図2に、水溶性糖類の製造方法の第2の例のフローチャートを示す。
この製造方法では、炭素触媒と非結晶性セルロースとが別々の状態で水に添加されるため、予め炭素触媒とセルロース原料とを混合し粉砕する工程を不要にすることができる。
炭素触媒が上記した特性を有することで、非結晶性セルロースを加水分解するための触媒作用を十分に得ることができる。
炭素触媒を用いて、非結晶性セルロースと水を反応させることで、非結晶性セルロースが加水分解されて、3〜6糖類のセルロース、セロビオース、グルコース等の水溶性糖類を生成することができる。
この製造方法では、炭素触媒と非結晶性セルロースとが別々の状態で水に添加されるため、予め炭素触媒とセルロース原料とを混合し粉砕する工程を不要にすることができる。
炭素触媒が上記した特性を有することで、非結晶性セルロースを加水分解するための触媒作用を十分に得ることができる。
炭素触媒を用いて、非結晶性セルロースと水を反応させることで、非結晶性セルロースが加水分解されて、3〜6糖類のセルロース、セロビオース、グルコース等の水溶性糖類を生成することができる。
図2に示すフローチャートでは、炭素触媒を粉砕し粉砕後の炭素触媒を得るステップS11と、セルロース原料を非晶質化し非結晶性セルロースを得るステップS12と、粉砕後の炭素触媒と、非晶質化後の非結晶性セルロースと、水とを混合するステップS13と、続いて加水分解するステップS14と、加水分解後の反応液を固液分離するステップS15とを備える。
炭素触媒を粉砕するステップS11を設けずに、炭素触媒をそのまま非結晶性セルロース及び水と混合し、加水分解してもよい。また、セルロース原料を非晶質化するステップS12を設けずに、セルロース原料をそのまま粉砕後の炭素触媒及び水と混合し、加水分解してもよい。
炭素触媒を粉砕するステップS11を設けずに、炭素触媒をそのまま非結晶性セルロース及び水と混合し、加水分解してもよい。また、セルロース原料を非晶質化するステップS12を設けずに、セルロース原料をそのまま粉砕後の炭素触媒及び水と混合し、加水分解してもよい。
炭素触媒を粉砕するステップS11は、乾式混合が好ましく、例えば、回転ミル、振動ミル、遊星ミル等のボールミル、ジェットミル、ローラーミル、ハンマーミル、ピンミル、ディスクミル等を好ましく用いることができる。炭素触媒の種類や粒子径、粉砕方法に応じて、炭素触媒の粉砕時間は適宜設定すればよい。
この粉砕ステップS11前の炭素触媒の半値幅、面間隔d002、R値が、それぞれ上記した好ましい範囲を満たすことで、水溶性糖類への分解効率を高めることができる。
この粉砕ステップS11前の炭素触媒の半値幅、面間隔d002、R値が、それぞれ上記した好ましい範囲を満たすことで、水溶性糖類への分解効率を高めることができる。
セルロース原料を非晶質化するステップS12は、粉砕処理、酸処理等を好ましく用いることができる。なかでも、非晶質化の効率がよく、廃液処理が不要であるため、粉砕処理が好ましい。
非晶質化ステップS12によって、セルロース原料の結晶性が低下し、非結晶性セルロースを得ることができ、セルロース成分の加水分解をより促進させることができる。非結晶性セルロースは、エックス線回折分析にてセルロース結晶からの回折ピークが観察されないものであることが好ましい。
非晶質化ステップS12によって、セルロース原料の結晶性が低下し、非結晶性セルロースを得ることができ、セルロース成分の加水分解をより促進させることができる。非結晶性セルロースは、エックス線回折分析にてセルロース結晶からの回折ピークが観察されないものであることが好ましい。
次いで、粉砕後の炭素触媒、非結晶性セルロース、及び水を混合し(ステップS13)、加水分解をする(ステップS14)。
加水分解ステップS14は、必要に応じて加熱及び撹拌して行うことが好ましい。加水分解の加熱温度は100〜250℃が好ましく、150〜200℃がより好ましい。加熱時間は、10〜480分間が好ましく、30〜120分間がより好ましい。
加水分解ステップS14では、非結晶性セルロースが加水分解されて、3〜6糖類のセルロース、セロビオース、グルコース等の水溶性糖類等を生成することができる。
加水分解ステップS14は、反応液のpHを中性付近で行うことができる。この場合、反応液のpHは5〜8が好ましく、6〜7がより好ましい。炭素触媒を用いることで、中性付近においても加水分解反応を促進させることができ、酸やアルカリの添加を不要にできる。
加水分解ステップS14は、必要に応じて加熱及び撹拌して行うことが好ましい。加水分解の加熱温度は100〜250℃が好ましく、150〜200℃がより好ましい。加熱時間は、10〜480分間が好ましく、30〜120分間がより好ましい。
加水分解ステップS14では、非結晶性セルロースが加水分解されて、3〜6糖類のセルロース、セロビオース、グルコース等の水溶性糖類等を生成することができる。
加水分解ステップS14は、反応液のpHを中性付近で行うことができる。この場合、反応液のpHは5〜8が好ましく、6〜7がより好ましい。炭素触媒を用いることで、中性付近においても加水分解反応を促進させることができ、酸やアルカリの添加を不要にできる。
加水分解ステップS14では、投入した炭素触媒、セルロース原料及び水の配合割合は、上記した第1のフローチャートと同様の範囲であることが好ましい。
固液分離ステップS15は、加水分解後の反応液を液体と固体とを分離する工程である。詳細については、上記した第1のフローチャートと同様である。
固液分離ステップS15は、加水分解後の反応液を液体と固体とを分離する工程である。詳細については、上記した第1のフローチャートと同様である。
上記した各例では、セルロース原料を用いているが、セルロース原料に代えて、又はセルロース原料に加えて、ヘミセルロース、でんぷん、ペクチン、バイオマス材料等を原料として用いる場合でも、水溶性糖類を生成することができる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<評価方法>
(炭素002面の面間隔d002)
株式会社リガク製「広角X線回折装置(MiniFlex)」を用い、Cu−Kα線をモノクロメーターで単色化し、高純度シリコンを標準物質として測定した。
測定は以下の条件で行った。
スリット(固定スリット)
発散スリット:1.25deg
散乱スリット:8mm
受光スリット:13mm
X線源:銅(CuKα線)
封入管の電圧及び電流値:30kV/5mA
測定:連続走査,2θ=10°〜90°
走査幅:0.02°
走査速度:10°/min
(炭素002面の面間隔d002)
株式会社リガク製「広角X線回折装置(MiniFlex)」を用い、Cu−Kα線をモノクロメーターで単色化し、高純度シリコンを標準物質として測定した。
測定は以下の条件で行った。
スリット(固定スリット)
発散スリット:1.25deg
散乱スリット:8mm
受光スリット:13mm
X線源:銅(CuKα線)
封入管の電圧及び電流値:30kV/5mA
測定:連続走査,2θ=10°〜90°
走査幅:0.02°
走査速度:10°/min
回折線をゴニオメーターにより測定し得た回折プロファイルより、回折角2θ=24〜26°付近に現れる炭素002面に対応した回折ピークより、ブラッグの式を用いて、炭素002面の面間隔d002を算出した。
(炭素002面に由来する主ピークの半値幅)
炭素002面に由来する主ピークの半値幅の測定では、上記炭素002面の面間隔d002で測定した回折プロファイルを用いて、2θ=20°〜35°の測定範囲に出現する主ピークの半値幅を求めた。
炭素002面に由来する主ピークの半値幅の測定では、上記炭素002面の面間隔d002で測定した回折プロファイルを用いて、2θ=20°〜35°の測定範囲に出現する主ピークの半値幅を求めた。
(ラマンスペクトルピーク強度比(R値))
日本分光株式会社製「NRS−1000」を用い、レーザー出力3.9mW、分光器Fシングル、入射スリット幅150μm、積算回数2回、露光時間120秒にて測定を行った。
日本分光株式会社製「NRS−1000」を用い、レーザー出力3.9mW、分光器Fシングル、入射スリット幅150μm、積算回数2回、露光時間120秒にて測定を行った。
(メジアン径D50)
炭素触媒のメジアン径は、レーザー回折式粒度分布計「LA−920」(株式会社堀場製作所製)を用いて測定した。
炭素触媒のメジアン径は、レーザー回折式粒度分布計「LA−920」(株式会社堀場製作所製)を用いて測定した。
(セルロース水溶化率の測定)
加水分解操作後、容器内に残った溶液と固形物の混合物を、遠心分離することで固液分離した。
沈殿した固形物は、乾かないように注意しながら充分に水洗した後に120℃で乾燥させ、固形物残渣とした。加水分解前後で炭素触媒の質量は変化しないものとし、仕込み質量の合計から固形物残渣への質量減少分はセルロースが水溶化した分とみなし、この質量減少分からセルロース水溶化率を算出した。
セルロース水溶化率(質量%)={(炭素触媒とセルロースの仕込量(g))−(加水分解後の固形物残渣の質量(g))}/(セルロースの仕込量(g))×100
加水分解操作後、容器内に残った溶液と固形物の混合物を、遠心分離することで固液分離した。
沈殿した固形物は、乾かないように注意しながら充分に水洗した後に120℃で乾燥させ、固形物残渣とした。加水分解前後で炭素触媒の質量は変化しないものとし、仕込み質量の合計から固形物残渣への質量減少分はセルロースが水溶化した分とみなし、この質量減少分からセルロース水溶化率を算出した。
セルロース水溶化率(質量%)={(炭素触媒とセルロースの仕込量(g))−(加水分解後の固形物残渣の質量(g))}/(セルロースの仕込量(g))×100
<製造例>
(実施例1)
炭素材料として、メジアン径D50が13.4μmの易黒鉛化性炭素(株式会社クレハ製「KS」)を用いた。この易黒鉛化性炭素をXRD分析した結果、弱いながらも回折ピークを示す結晶性であり、002面からの回折ピークから算出した結晶面間隔d002は3.450Åであった。また、同じく002面からの回折ピークの半値幅は2.00°であった。レーザーラマン分光測定機により分析したR値は1.00であった。
この易黒鉛化性炭素0.193gとセルロース1.25gとをφ5mmジルコニアボール50gとともに45mLジルコニアポットに封入し、遊星ボールミルにて回転数500rpmで120分間、乾式で粉砕混合し、粉砕混合粉末を得た。セルロース原料には、シグマ・アルドリッチ製「Avicel PH−101」を用いた。
粉砕混合粉末0.1gを濃度72%の硫酸1gに一昼夜浸漬し、粉砕混合粉末中のセルロースを溶解した。その後、上澄み液が中性になるまで希釈とデカント及びろ過を繰り返した。ろ過し乾燥して、粉砕混合後の炭素触媒を得た。電子顕微鏡を用いて観察したところ、粉砕混合後の炭素触媒は薄片状になっていた。
(実施例1)
炭素材料として、メジアン径D50が13.4μmの易黒鉛化性炭素(株式会社クレハ製「KS」)を用いた。この易黒鉛化性炭素をXRD分析した結果、弱いながらも回折ピークを示す結晶性であり、002面からの回折ピークから算出した結晶面間隔d002は3.450Åであった。また、同じく002面からの回折ピークの半値幅は2.00°であった。レーザーラマン分光測定機により分析したR値は1.00であった。
この易黒鉛化性炭素0.193gとセルロース1.25gとをφ5mmジルコニアボール50gとともに45mLジルコニアポットに封入し、遊星ボールミルにて回転数500rpmで120分間、乾式で粉砕混合し、粉砕混合粉末を得た。セルロース原料には、シグマ・アルドリッチ製「Avicel PH−101」を用いた。
粉砕混合粉末0.1gを濃度72%の硫酸1gに一昼夜浸漬し、粉砕混合粉末中のセルロースを溶解した。その後、上澄み液が中性になるまで希釈とデカント及びろ過を繰り返した。ろ過し乾燥して、粉砕混合後の炭素触媒を得た。電子顕微鏡を用いて観察したところ、粉砕混合後の炭素触媒は薄片状になっていた。
粉砕混合粉末0.374gを、精製水40gとともにテフロン(登録商標)容器に封入し、更にそのテフロン(登録商標)容器をステンレス製耐圧容器に収めた。ステンレス製耐圧容器を撹拌スターラー付きヒーターに設置し、テフロン(登録商標)容器の中に封入した水の温度が180℃となるように加熱した。180℃到達後の経過時間を加熱時間とし、加熱時間は60分とした。なお、昇温時のオーバーシュートは1℃以下だった。加熱時間経過後は、ヒーターによる加熱を停止し、徐冷した。
加水分解操作後、テフロン(登録商標)容器内に残った溶液と固形物を遠心分離し、沈澱した固形物を乾燥したのちに質量を測定し、セルロースの水溶化率を算出したところ66質量%であり、良好なセルロース水溶化率が得られた。
加水分解操作後、テフロン(登録商標)容器内に残った溶液と固形物を遠心分離し、沈澱した固形物を乾燥したのちに質量を測定し、セルロースの水溶化率を算出したところ66質量%であり、良好なセルロース水溶化率が得られた。
(実施例2)
炭素材料として、易黒鉛化性炭素(株式会社クレハ製「KS」)を分級装置サイクロンによって分級し集塵装置バグフィルターで収集した微粉末を用いた。この微粉末のメジアン径D50は1.8μmであった。この易黒鉛化性炭素をXRD分析した結果、弱いながらも回折ピークを示す結晶性であり、002面からの回折ピークから算出した結晶面間隔d002は3.422Åであった。また、同じく002面からの回折ピークの半値幅は2.18°であった。レーザーラマン分光測定機により分析したR値は0.93であった。
実施例1と同様に粉砕混合した。粉砕混合粉末からセルロースを硫酸によって溶解除去し、粉砕混合後の炭素触媒を得た。電子顕微鏡を用いて観察したところ、粉砕混合後の炭素触媒は薄片状になっていた。
実施例1と同様に、加水分解し、セルロースの水溶化率を算出したところ69質量%であり、良好なセルロース水溶化率が得られた。
炭素材料として、易黒鉛化性炭素(株式会社クレハ製「KS」)を分級装置サイクロンによって分級し集塵装置バグフィルターで収集した微粉末を用いた。この微粉末のメジアン径D50は1.8μmであった。この易黒鉛化性炭素をXRD分析した結果、弱いながらも回折ピークを示す結晶性であり、002面からの回折ピークから算出した結晶面間隔d002は3.422Åであった。また、同じく002面からの回折ピークの半値幅は2.18°であった。レーザーラマン分光測定機により分析したR値は0.93であった。
実施例1と同様に粉砕混合した。粉砕混合粉末からセルロースを硫酸によって溶解除去し、粉砕混合後の炭素触媒を得た。電子顕微鏡を用いて観察したところ、粉砕混合後の炭素触媒は薄片状になっていた。
実施例1と同様に、加水分解し、セルロースの水溶化率を算出したところ69質量%であり、良好なセルロース水溶化率が得られた。
(実施例3)
実施例1において、易黒鉛化性炭素とセルロースの粉砕混合時間を480分にした他は同様にして、セルロースの加水分解を行い、セルロースの水溶化率を算出した。
電子顕微鏡を用いて観察したところ、粉砕混合後の炭素触媒は薄片状になっていた。
セルロースの水溶化率を算出したところ95質量%であり、良好なセルロース水溶化率が得られた。
実施例1において、易黒鉛化性炭素とセルロースの粉砕混合時間を480分にした他は同様にして、セルロースの加水分解を行い、セルロースの水溶化率を算出した。
電子顕微鏡を用いて観察したところ、粉砕混合後の炭素触媒は薄片状になっていた。
セルロースの水溶化率を算出したところ95質量%であり、良好なセルロース水溶化率が得られた。
(比較例1)
炭素材料として、メジアン径D50が72μmの天然黒鉛(日本黒鉛工業株式会社製「CPB」)を用いた。この天然黒鉛をXRD分析した結果、鋭い回折ピークを示す結晶性であり、002面からの回折ピークから算出した結晶面間隔d002は3.358Åであった。また、同じく002面からの回折ピークの半値幅は0.14°であった。レーザーラマン分光測定機により分析したR値は0.11であった。
実施例1と同様に粉砕混合した。粉砕混合粉末からセルロースを硫酸によって溶解除去し、粉砕混合後の炭素触媒を得た。電子顕微鏡を用いて観察したところ、粉砕混合後の炭素触媒は薄片状であるが剥離していない塊状であった。
実施例1と同様に、加水分解し、セルロースの水溶化率を算出したところ18質量%と低かった。
炭素材料として、メジアン径D50が72μmの天然黒鉛(日本黒鉛工業株式会社製「CPB」)を用いた。この天然黒鉛をXRD分析した結果、鋭い回折ピークを示す結晶性であり、002面からの回折ピークから算出した結晶面間隔d002は3.358Åであった。また、同じく002面からの回折ピークの半値幅は0.14°であった。レーザーラマン分光測定機により分析したR値は0.11であった。
実施例1と同様に粉砕混合した。粉砕混合粉末からセルロースを硫酸によって溶解除去し、粉砕混合後の炭素触媒を得た。電子顕微鏡を用いて観察したところ、粉砕混合後の炭素触媒は薄片状であるが剥離していない塊状であった。
実施例1と同様に、加水分解し、セルロースの水溶化率を算出したところ18質量%と低かった。
(比較例2)
炭素材料として、メジアン径D50が11μmの難黒鉛化性炭素(株式会社クラレ製「カーボトロンP」)を用いた。この難黒鉛化性炭素をXRD分析した結果、回折ピークを示さず、すなわち非結晶性であった。レーザーラマン分光測定機により分析したR値は1.17であった。
実施例1と同様に粉砕混合した。粉砕混合粉末からセルロースを硫酸によって溶解除去し、粉砕混合後の炭素触媒を得た。電子顕微鏡を用いて観察したところ、粉砕混合後の炭素触媒はバルク状であった。
実施例1と同様に、加水分解し、セルロースの水溶化率を算出したところ25質量%と低かった。
炭素材料として、メジアン径D50が11μmの難黒鉛化性炭素(株式会社クラレ製「カーボトロンP」)を用いた。この難黒鉛化性炭素をXRD分析した結果、回折ピークを示さず、すなわち非結晶性であった。レーザーラマン分光測定機により分析したR値は1.17であった。
実施例1と同様に粉砕混合した。粉砕混合粉末からセルロースを硫酸によって溶解除去し、粉砕混合後の炭素触媒を得た。電子顕微鏡を用いて観察したところ、粉砕混合後の炭素触媒はバルク状であった。
実施例1と同様に、加水分解し、セルロースの水溶化率を算出したところ25質量%と低かった。
(比較例3)
炭素材料として、メジアン径D50が8.3μmの易黒鉛化性炭素(大阪ガスケミカル株式会社製「Gramax」)を用いた。この易黒鉛化性炭素をXRD分析した結果、回折ピークを示す結晶性であり、002面からの回折ピークから算出した結晶面間隔d002は3.378Åであった。また、同じく002面からの回折ピークの半値幅は0.46°であった。レーザーラマン分光測定機により分析したR値は0.30であった。
実施例1と同様に粉砕混合した。粉砕混合粉末からセルロースを硫酸によって溶解除去し、粉砕混合後の炭素触媒を得た。電子顕微鏡を用いて観察したところ、粉砕混合後の炭素触媒は塊状であった。
実施例1と同様に、加水分解し、セルロースの水溶化率を算出したところ39質量%と低かった。
炭素材料として、メジアン径D50が8.3μmの易黒鉛化性炭素(大阪ガスケミカル株式会社製「Gramax」)を用いた。この易黒鉛化性炭素をXRD分析した結果、回折ピークを示す結晶性であり、002面からの回折ピークから算出した結晶面間隔d002は3.378Åであった。また、同じく002面からの回折ピークの半値幅は0.46°であった。レーザーラマン分光測定機により分析したR値は0.30であった。
実施例1と同様に粉砕混合した。粉砕混合粉末からセルロースを硫酸によって溶解除去し、粉砕混合後の炭素触媒を得た。電子顕微鏡を用いて観察したところ、粉砕混合後の炭素触媒は塊状であった。
実施例1と同様に、加水分解し、セルロースの水溶化率を算出したところ39質量%と低かった。
本願の開示は、2018年4月24日に出願された特願2018−082980号に記載の主題と関連しており、それらのすべての開示内容は引用によりここに援用される。
既に述べられたもの以外に、本発明の新規かつ有利な特徴から外れることなく、上記の実施形態に様々な修正や変更を加えてもよいことに注意すべきである。したがって、そのような全ての修正や変更は、添付の請求の範囲に含まれることが意図されている。
既に述べられたもの以外に、本発明の新規かつ有利な特徴から外れることなく、上記の実施形態に様々な修正や変更を加えてもよいことに注意すべきである。したがって、そのような全ての修正や変更は、添付の請求の範囲に含まれることが意図されている。
本発明により、草本類などのバイオマス材料に由来するセルロース等の多糖類を、液体酸及び酵素を使わずに加水分解することのできる炭素触媒を提供することができる。
Claims (4)
- バイオマス材料に含まれる多糖類を加水分解するための炭素触媒であって、CuKα線を用いたエックス線回折において、炭素002面に由来する主ピークの半値幅が1°以上である、炭素触媒。
- CuKα線を用いたエックス線回折において、炭素002面の面間隔d002が3.380Å以上である、請求項1に記載の炭素触媒。
- 易黒鉛化性炭素であり、レーザーラマン分光測定によって求めたR値が0.5以上、1.5以下である、請求項1又は2に記載の炭素触媒。
- 請求項1から3のいずれか1項に記載の炭素触媒を用いて、バイオマス材料に含まれる多糖類から水溶性糖類を製造する、水溶性糖類の製造方法。
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---|---|---|---|
JP2018082980 | 2018-04-24 | ||
JP2018082980 | 2018-04-24 | ||
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Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPWO2019208594A1 true JPWO2019208594A1 (ja) | 2021-06-17 |
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