JP5410326B2 - 果実収納トレー - Google Patents

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Description

本発明は果実等を包装するために使用される果実収納トレーに関するものであり、非常に高い緩衝機能を有する果実収納トレーを提供することを目的とする。
従来、柔軟な熱可塑性合成樹脂薄フィルムの表面に平坦面を介して複数の果実収納凹部を形成し、当該フィルムを硬質のトレー上面に張設し、これら果実収納凹部内に果実を宙吊り状態で収納することにより、果実損傷防止機能を有する果実収納トレーが提案されている(特許文献1)。
かかるトレーは、果実収納凹部に果実を収納すると、上記薄フィルムが果実の下半部に被覆され、かかる状態において収納果実の底面がトレー底面に接触することなく果実を宙吊り状態で支持するものである。
特開2009−96547
ところで、上記果実収納凹部は柔軟な熱可塑性合成樹脂薄フィルムに平坦面を介して形成されているため、該果実収納凹部の開口上縁(エッジ部分)も全周に亙り柔軟であり、輸送運搬中に開口部上縁により果実が傷付くこともなく、高い緩衝機能を有するものであった。
しかしながら、上記果実収納凹部の開口上縁の一部に硬質な材質のトレーの外周枠が近接しているため、さらなる緩衝性能の向上が望まれている。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、熱可塑性合成樹脂薄フィルムにて果実を宙吊り包装する果実収納トレーであって、果実収納凹部に隣接するトレー外周枠に切欠部を設け、該切欠部を上記薄フィルムで被覆することにより、果実収納凹部に収納された果実の緩衝性をさらに向上させた果実収納トレーを提供することを目的とする。
上記の目的を達成するため本発明は、
第1に、柔軟性のある熱可塑性合成樹脂薄フィルムの一面に平坦面を介して柔軟性のある果実収納凹部を塑性変形により形成し、かつ上記薄フィルムの周囲に柔軟性のある係合用折曲部を形成し、上面開口有底トレーの外周枠により構成される上面開口部分に、上記熱可塑性合成樹脂薄フィルムを被覆して、該薄フィルムをその上記一面が上記開口部分に水平方向に伸張した状態で張設し、かつ上記張設状態で上記薄フィルムと上記外周枠とを接合し、上記果実収納凹部に果実を収納した状態において、上記果実収納凹部と上記トレーの底板間に空間を介在させることにより、上記フィルムにより上記果実を宙吊り状態で支持し得るように構成し、上記外周枠における上記果実収納凹部の開口上縁に近接する部分に、上記外周枠を凹状に切り欠いた切欠部を設け、上記薄フィルムの上記係合用折曲部により上記切欠部を被覆するように構成したものであることを特徴とする果実収納トレーにより構成される。
このように構成すると、果実収納凹部に果実を宙吊り状態で支持し得ると共に、例えば運搬時の振動等により上記果実収納凹部内の果実が外周枠の方向に移動したとしても、果実は外周枠の切欠部に張設されている薄フィルムにより弾性的に受け止められるため、果実の損傷を防止することができる。
第2に、上記熱可塑性合成樹脂薄フィルムの上記果実収納凹部を上記平坦面を介して複数形成し、上面開口有底トレーの底面に上方向きの支持突起を設け、該支持突起の上端により上記熱可塑性合成樹脂薄フィルムの上記果実収納凹部間の裏面側を支持するように構成したものであることを特徴とする上記第1記載の果実収納トレーにより構成される。
このように構成すると、複数の果実収納凹部内に複数の果実を宙吊り状態で支持することができる。
第3に、上記切欠部は、上記複数の果実収納凹部の各開口上縁に近接する外周枠に、各果実収納凹部に対応して設けられているものであることを特徴とする上記第2記載の果実収納トレーにより構成される。
このように構成すると、複数の果実収納凹部に収納された果実が、運搬時の振動等により外周枠の方向に移動したとしても、果実は対応する切欠部に張設されている薄フィルムにより弾性的に受け止められるため、複数の果実の収納状態においても果実の損傷を防止することができる。
第4に、上記切欠部上に被覆された上記薄フィルムは張設状態であることを特徴とする上記第1〜3の何れかに記載の果実収納トレーにより構成される。
よって、切欠部上の上記薄フィルムに上記果実が当接しても、該薄フィルムが弾性的に伸張変形して果実を受け止めるため、果実を傷付けることはない。
第5に、上記上面開口有底トレーの上記外周枠の外側面は外周枠上縁から下方向けて末広がり状のテーパ面により形成されてなる上記第1〜4の何れかに記載の果実収納トレーにより構成される。
このように構成すると、例えば上面開口有底箱体に上記果実収納トレーを複数個収納する場合、隣接する外周枠の外側面同士を当接させることで、当接した両外側面は互いに押し合う方向の弾性力を作用させるので、上記箱体内において各果実収納トレーを安定して収納することができる。
本発明は上述のように構成したので、果実を熱可塑性合成樹脂薄フィルムの果実収納凹部において宙吊り状態で支持し得ると共に、上記凹部内の果実が硬質の外周枠に当接することのない緩衝性の非常に高い果実収納トレーを実現したものである。
また、複数の果実を上記薄フィルムの複数の果実収納凹部において宙吊り状態で支持し得ると共に、上記凹部内の各果実が硬質の外周枠に当接することがなく、複数の果実の収納状態においても、緩衝性の非常に高い果実収納トレーを実現したものである。
また、上面開口有底箱体に複数個の果実収納トレーを安定して収納ることのできる果実収納トレーを実現したものである。
本発明に係る果実収納トレーの分解斜視図である。 同上トレーの斜視図である。 (a)は同上トレーの平面図、(b)は同上トレーの分解側面図である。 (a)は同上トレーの外周枠の切欠部近傍の拡大断面図、(b)は同上トレーの切欠部近傍の拡大側面図である。 (a)は同上トレーの熱可塑性合成樹脂薄フィルムの加熱工程を示す成形型の断面図を含む説明図、(b)は同上トレーの熱可塑性合成樹脂薄フィルムの成形工程を示す成形型の断面図を含む説明図である。 同上トレーに果実を収納した状態を示す側面断面図である。 同上トレーの他の実施形態の分解斜視図である。 同上トレーの他の実施形態の斜視図である。 同上トレーを上面開口有底箱体に収納した状態を示す同箱体の側面断面図である。 同上トレーの果実収納凹部の一部拡大断面図である。
以下、添付図面に従って、本発明に係る果実収納トレー10の実施形態を詳細に説明する。
図1は果実収納トレー10の熱可塑性合成樹脂薄フィルム1と当該薄フィルム1が被せられる硬質な上面開口有底トレー2を示すものである。上記熱可塑性合成樹脂薄フィルム1は薄くかつ柔軟な薄フィルムにより形成されており、その略長方形状の平坦面1aに該平坦面1aを介して複数の柔軟な果実収納用凹部3が塑性変形により形成されている。また、上記平坦面1aの周囲には該平坦面1aから略直交する方向に柔軟な係合用折曲部1bが上記薄フィルム1の外周部として一体的に形成されている。
上記果実収納凹部3の形状は、収納される果実の形状に合わせてその下半部の形状と同様の形状とされており、本実施形態ではイチジクの下半部の形状となっている。
上記熱可塑性合成樹脂薄フィルム1は、その厚さが10μm〜300μmの極めて薄い柔軟性のあるフィルムであり、その材質はポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、ポリスチレン等の薄膜透明又は半透明又は不透明の熱可塑性フィルムが用いられる。尚、以下の実施形態において、熱可塑性合成樹脂薄フィルム1の厚さは上記と同様である。尚、図1に示す実施形態の熱可塑性合成樹脂薄フィルム1はイチジクを包装するためのものであり、その厚さは90μmである。
上記熱可塑性合成樹脂薄フィルム1の平坦面1aの面積は、上記トレー2の外周枠2’の面積と略同一か若干小さく形成する。よって、上記熱可塑性合成樹脂薄フィルム1は、図2に示すように、その係合用折曲部1bの部分を以って、上面開口有底トレー2の上面開口2aを閉鎖するように、外周枠2’により形成される上面開口2aの周縁に被せられ、薄フィルム1の一面である平坦面1aを水平方向の縦横方向に若干牽引(伸張)した張設状態(ピンと張った状態)で被覆する(図2参照)。そして、上記トレー2の外周枠2’の上縁2”の複数の接着箇所P(図2の斜線部分)と上記薄フィルム1裏面とをホットメルト接着剤、或いはスポット溶着等により接合(接着)することにより、果実収納トレー10が構成される。また、上記トレー2の支持突起6(後述)の上端の接着箇所P’と上記薄フィルム1の平坦面1a’の裏面も接着される。
上記トレー2は、略長方形の底面2bと該底面2bの周囲から四方上方に立ち上がる外周枠2’とから形成された上面開口の箱状のトレーであり、このトレー2は全体が硬質のプラスチックにより形成されている。このトレー2の上記底面2bには、上記熱可塑姓合成樹脂薄フィルム1の上記果実収納凹部3に各々対応する位置に、下向き凹状の凹部4が形成されている。この凹部4は図3(b)に示すように、上記トレー2に上記熱可塑性合成樹脂薄フィルム1を被覆した場合(図3(b)の二点鎖線参照)、果実収納凹部3の底部3aと上記凹部4の底板4aとの間に空間Sを形成し、これにより果実収納凹部3による果実の宙吊り包装を実現するものである。
また、上記底面2bにおける上記凹部4間の中央には支持突起6が上向きに突出形成されている。この支持突起6の高さは、上記外周枠2’の上端2”の高さと同じ高さに形成されており、上記外周枠2’に上記熱可塑性合成樹脂フィルム1を被覆したとき、上記果実収納凹部3によって囲まれる中央の平坦面1a’の裏面に接し、これにより上記果実収納凹部3内に果実が収納されたとき、当該果実を宙吊り状態に支持するものである。尚、上述のように上記支持突起6の上端は上記薄フィルム1の平坦面1a’の裏面に接合(接着)される。
上記外周枠2’は、図3(b)にその断面を示すように、上記トレー2の底面2bの周囲から一端上方に立ち上がる内面2cと、内面2c上端周囲に形成される幅狭の上記上縁2”と、該上縁2”から下方向けて末広がり状のテーパ面Tにより形成された外面2c’により形成されており、上記外面2c’の下端縁の全周には外方向に湾曲した外向縁部2c”が形成されている。このように、上記外周枠2’は、全体として、外周枠上縁2”から下方向けて末広がり状のテーパ面Tにより形成されている。
上記外周枠2’における上記果実収納凹部3の開口上縁3’に近接する部分には、上記外周枠2’の上縁2”を下方向けて凹状に切り欠いた切欠部5a,5bを設け、上記薄フィルム1の上記平坦面1a及び上記係合用折曲部1bにより上記各切欠部5a,5bを被覆するように構成されている(図2参照)。
上記薄フィルム1の各果実収納凹部3は、薄フィルム1の平坦面1a,1a’を介して塑性変形により凹状に形成されているが、上述のように薄フィルム自体が10μm〜300μm(本実施形態では90μm)と極めて薄いので、上記平坦面1a,1a’及び上記果実収納凹部3は何れも柔軟な状態を維持している(図10参照)。よって、上記果実収納凹部3の開口上縁3’(開口エッジ部分)も上記凹部3の全周に亘り柔軟に形成されており、開口上縁3’の裏面側に硬質な部材は存在しないので、上記果実収納凹部3内に果実を収納しても、果実が上記開口上縁3’により傷付くことはないように構成されている。
上記切欠部5a,5bが形成されているのは、図2に示すように、上記熱可塑性合成樹脂薄フィルム1を上記トレー2に装着した状態において、上記果実収納凹部3の開口上縁3’と該薄フィルム1の外周縁1”とが近接する部分(開口上縁3’中、符号「3a’」の開口上縁の部分)に対応する上記トレー2の外周枠2’の上縁部分である。即ち、上記外周枠2’における上記果実収納凹部3の上記開口上縁3a’に近接する部分に、上記外周枠2’を凹状に切り欠いた切欠部5a,5bを設ける。尚、上述のように、上記果実収納凹部3の開口上縁3’中、上記フィルム1の外周縁1”(上記トレー2の外周枠2’)に近接する開口上縁を符号「3a’」で示す。
よって、上記トレー2の長手方向の外周枠2’の対向辺においては、果実収納凹部3の開口上縁3a’に近接する部分に2個ずつの切欠部5a,5aが形成されており、上記トレー2の短辺方向の外周枠2’の対向辺においては、果実収納凹部3の開口上縁3a’に近接する部分に2個ずつの切欠部5b,5bが形成される。よって、上記外周枠2’の周囲には計8箇所の切欠部5a,5bが形成されている。
この切欠部5a,5bは、図7、図8に示すように果実収納凹部3の数が増えた場合においても、果実収納凹部3に対応して、各果実収納凹部3の開口上縁3a’に近接する外周枠2’に果実収納凹部3に対応して各々形成される。尚、図7、図8の実施形態では、果実収納凹部が15個(5×3)形成されているので、上記切欠部5a,5bもトレー2の外周枠2”の対向する長辺側に5個ずつの切欠部5aが設けられ、対向する短辺側に3個ずつの切欠部5bが設けられ、計16個の切欠部5a,5bが設けられている。
そして、上記各切欠部5a,5bには、図2、図4に示すように、上記熱可塑性合成樹脂薄フィルム1が切欠部5aの上面側5’及び外周側面側5”に張設されているため、図4(a)(b)に示すように、上記上面側5’の薄フィルム1の平坦面1a部分に上方から下方(矢印a方向)に力が作用しても、上記切欠部5aが存在するため、上記薄フィルム1が下方に弾性的に撓むことができ(図4(a)(b)二点鎖線t参照)、これにより果実が上記トレー2の外周枠2’に当接することを防止することができ、果実への衝撃を緩衝することができる。
また、図4(a)に示すように、上記外周側面側5”に張設されている薄フィルム1に外方向(矢印b方向)に力が作用しても、上記切欠部5aが存在するため、上記薄フィルム1の係合用折曲部1bが外方に弾性的に撓むことで(図4(a)二点鎖線t’参照)、果実が外周枠2’に直接当接することを防止することができ、これにより果実への衝撃を緩衝することができる。このように、上記長辺側の切欠部5aの機能を説明したが、短辺側の上記切欠部5bにおいても上記切欠部5aと全く同様の機能を有するものである。
上記熱可塑性合成樹脂薄フィルム1は、図5(a)(b)に示す真空成型法により形成することができる。上記薄フィルム1は薄フィルムの成形型7により成形する(図5(a)参照)。上記成形型7は、上面の平坦面7aに複数の果実収納凹部形成用凹型8が上記平坦面7aを介して凹設され、さらに該凹型7内部に複数の吸引用の小貫通孔9が成形型7の下向きに貫通して形成された略直方体形状をなすものである(図5参照)。この成形型7を網状板11上に水平に設置する。
その後、平面状の熱可塑性合成樹脂薄フィルム1を上記成形型7の上記平坦面7a上方に配置し、ヒータHにより数秒間加熱してフィルム1を軟化させる。尚、加熱時間はフィルム材質及び厚みに合わせて調整することが好ましい。そして、上記ヒータHにより軟化させた上記熱可塑性合成樹脂薄フィルム1を上記成形型7方向に下降させ、そのフィルム面を上記成形型7の平坦面(上面)7aに接触させる(図5(a)熱可塑性合成樹脂薄フィルム1の二点鎖線の状態)。次に、真空吸引装置(図示せず)にて、上記成形型7の下方であって上記網状板11下方から空気を矢印c,c’方向(下方)に吸引する。すると、上記吸引用小貫通孔9を介して成形型7下方に真空吸引(矢印c)され、上記薄フィルム1が上記凹型8内に吸着されて該凹型8に沿う果実収納凹部3が塑性変形により形成される。また、成形型7の周囲において網状板11下方に真空吸引(矢印c’)され、これにより図1に示す柔軟な果実収納凹部3及び柔軟な係合用折曲部1bを有する柔軟な熱可塑性合成樹脂薄フィルム1を塑性変形により形成することができる。上記凹部3が形成された後、更に真空吸引することで、果実収納凹部3の上記吸引用小貫通孔9の対応箇所に通気用透孔3”をフィルムに貫通形成することもできる(図1参照)。
上記凹型7の形状は例えばイチジクの下半部の形状となっており、上記凹型7に吸着されることにより、上記真空吸引によりイチジクの下半部の形状の果実収納凹部3が塑性変形により形成される。また、上記成形型7の外周部においても網状板11の下方向けて真空吸引されるため(矢印c’)、上記熱可塑性合成樹脂薄フィルム1の上記成形型7の外周の平坦面7aより外部は成形型6の側面に沿って下方に折れ曲がるように上記成形型6の外側面に吸着され、係合用折曲部1bがフィルム1’の平坦面1aの周囲に塑性変形により形成される(図5(b)参照)。尚、上記係合用折曲部1bの外周の水平部分1b’は不要であるので、該水平部分1b’は位置dにて切除する。その後、上記成形型7から成形後の上記薄フィルム1を離脱すれば良い。
上記上面開口有底トレー2も同様の真空成型法により形成することができるが、該トレー2は硬質のプラスチックとして成形されるものである。即ち、この上面開口有底トレー2は例えばPETを材料として成形されるものであり、成形後においては図1の形状を維持する硬質なトレーとして形成されるものである。
このような方法により成型された熱可塑性合成樹脂薄フィルム1は、柔軟性のある複数の果実収納凹部3が塑性変形により形成された平坦面1aと、その平坦面1aの周縁の全周から略直交する方向(図1では下方向)に柔軟性のある係合用折曲部1bが塑性変形により上記平坦面1aと一体的に形成されている。
この熱可塑性合成樹脂薄フィルム1は、成型後においては図1に示すような形状を維持しているが、その厚さが極めて薄いため、全体的に柔軟性を有しており、2つ折り或いは3つ折りに折り畳む等によりコンパクトに収納できるし、上下方向に積み重ねた場合は、上記係合用折曲部1b及び果実収納凹部3が上下方向に不定形に圧縮された状態となり、多数のフィルム1を積み重ねても嵩張らずに収納、運搬が可能となる。尚、上記凹部3等は不定形に圧縮した後においても、塑性変形しているため元の果実収納凹部3、係合用折曲部1bの形状を維持しており、物品を収納することに関して何ら支障はない。
本発明に係る果実収納トレー10は、上述のように構成されるものであるから、果実収納トレー10を構成するには、熱可塑性合成樹脂薄フィルム1を、その係合用折曲部1bを以って上面開口有底トレー2の開口2aを構成する外周枠2’に被覆し、上記トレー2の上面開口2a及び切欠部5a,5bの上面側5’と外周側面側5”を上記平坦面1aと上記係合用折曲部1bにて被覆する(図2参照)。
そして、かかる被覆状態で、接着部分P,P’をホットメルト接着剤或いはスポット溶着等で接合(接着)する。
上記熱可塑性合成樹脂薄フィルム1を硬質な上記トレー2に被覆すると、上記熱可塑性合成樹脂薄フィルム1は、図2に示すように、縦横水平方向に伸張された状態で(ピンと張った状態)で上記外周枠2に張設される。このとき、上記薄フィルム1の平坦面1a,1a’は、水平な張設状態となり、上記切欠部5a,5bの上面側5’においても、上記薄フィルム1が水平に張設されて平坦面1aが形成されている。さらに、上記切欠部5a,5bの外周側面側5”においても上記薄フィルム1が垂直に張設されて垂直平坦面1a”を形成した状態となる(図2、図4)。
かかる状態において、果実収納凹部3内にイチジク等の果実を収納すれば良い(図6参照)。すると、果実Fの下半部に果実収納凹部3の熱可塑性合成樹脂薄フィルム1が密着し、果実収納凹部3の底部3aとトレー2の凹部4の底板4aとの間には空間Sが形成され、当該果実収納凹部3において、上記トレー2の外周枠2’の上縁2”と支持突起6により果実Fを吊下げ状態で支持することができる。
かかる状態においては、果実収納凹部3の開口上縁3’(開口エッジ)はその全周に亘り柔軟な薄フィルム1によって構成されているため、上記開口上縁3’自体も柔軟であり(図1参照)、当該果実収納凹部3内の果実Fが上記開口上縁3’によって傷付くことはなく、果実を緩衝包装することができる(図10)。
さらに、上記外周枠2’には、切欠部5a,5bが形成され、それらの上面側5’及び外周側面側5”には、上記薄フィルム1の平坦面1a及び係合用折曲部1bの垂直平坦面1a”が張設されているので、運搬時の振動等により上記果実収納凹部3内の果実Fが外周枠2’の方向に、薄フィルム1と共に移動したとしても、果実Fは外周枠2’の切欠部5a,5bに張設されている薄フィルム1(平坦面1a、垂直平坦面1a”)が弾性的に撓んで(図4(a)(b)の薄フィルム1の二点鎖線t参照)、該薄フィルム1により弾性的に受け止められるため、該果実Fが硬質の外周枠2’に当接することはなく、硬質の外周枠2’への当接による果実Fの損傷等を防止することができる。例えば、運搬時の振動等により上記果実Fが果実収納凹部3に収納された状態で、上記切欠部5a,5bの上面側に上方から下方向きに当接したとしても、上記切欠部5a,5bに張設された上記薄フィルム1が下方向きに撓むため(図4(a)(b)二点鎖線t参照)、上記果実Fが外周枠2の上縁2”に接触することを防止することができる。
また、運搬時の振動等により上記果実Fが上記果実収納凹部3に収納された状態で、横方向(水平方向)に振動して、上記外周枠2’の方向に薄フィルム1と共に移動して上記切欠部5a,5bの外周側面側5”の垂直平坦面1a”に内側から当接したとしても、上記垂直平坦面1a”の薄フィルムが外方に撓むため(図4(a)薄フィルム1の二点鎖線t’参照)、果実は上記薄フィルム1により弾性的に受け止められ、これにより上記果実Fが外周枠2’の内側面に接触することを防止でき、果実の損傷を防止することができる。
図9は、上面開口有底箱体12内に上記果実収納トレー10の2個を隣接して収納した状態を示す図である。このように2つの果実収納凹部10,10を収納した状態において、隣接する果実収納トレー10,10の上記外周枠2’の末広がり状のテーパ面Tにより構成された外面2c’同士が互いに弾性的に当接するように構成する。このように構成すると、隣接する外周枠2’の外面2c’同士が当接することで、末広がり状の外側面2c’が末広がり方向とは反対方向に互いに押圧され、その結果、当接した両外側面2c’は互いに押し合う方向(矢印d,d’方向)の弾性力を作用させるので、上記箱体12内において各果実収納トレー10のがたつきを防止して、各トレー10を安定して収納保持することができる。尚、上記両トレー10,10同士が当接する外側面2c’とは反対側の外側面2c’は、各々箱体12の内側面12aに弾性的に当接するように構成することで、確実に果実収納トレー10のがたつきを防止することができる。
本発明は上述のように、果実を薄フィルム1の果実収納凹部3において宙吊り状態で支持し得ると共に、例えば果実の運搬時の振動等により、上記凹部3内の果実が薄フィルム1と共に外周枠2’の方向に振動したとしても、果実は切欠部5a,5bの薄フィルム1により弾性的に受け止められるため、硬質の外周枠2’に当接して傷付くことを効果的に防止することができ、果実の宙吊り緩衝機能と相俟って、極めて緩衝性能の高い果実収納トレーを実現したものである。
また、複数の果実を薄フィルム1の複数の果実収納凹部3において宙吊り状態で支持し得ると共に、上記果実の運搬時の振動等により、上記凹部3内の各果実が薄フィルム1と共に外周枠2’の方向に振動したとしても、各果実が対応する切欠部に張設された薄フィルム1により弾性的に受け止められるため、複数の果実を収納した状態においても、果実の損傷を防止することのできる、極めて緩衝性能の高い果実収納トレーを実現したものである。
また、上面開口有底箱体12に複数個の果実収納トレー10をがたつくことなく安定して収納することのできる果実収納トレーを実現したものである。
本発明の果実収納トレーは緩衝機能が極めて優れているので、表面が柔らかく、傷の入りやすい高級果実(例えば苺、イチジク、マンゴー等)のトレーその他の果実のトレーとして広く用いられると共に、果実に限らず、野菜等のように緩衝包装が必要な食品、その他、工業製品(特に精密部品等)の緩衝包装としても広く用いることができる。
1 熱可塑性合成樹脂薄フィルム
1a,1a’ 平坦面
1a” 垂直平坦面
1b 係合用折曲部
2 上面開口有底トレー
2’ 外周枠
2a 上面開口部分
2b 底面
2c’ 外側面
4 凹部
4a 底板
3 果実収納凹部
3’,3a’ 開口上縁
5a,5b 切欠部
6 支持突起
P,P’ 接着部
S 空間
T テーパ面

Claims (5)

  1. 柔軟性のある熱可塑性合成樹脂薄フィルムの一面に平坦面を介して柔軟性のある果実収納凹部を塑性変形により形成し、
    かつ上記薄フィルムの周囲に柔軟性のある係合用折曲部を形成し、
    上面開口有底トレーの外周枠により構成される上面開口部分に、上記熱可塑性合成樹脂薄フィルムを被覆して、該薄フィルムをその上記一面が上記開口部分に水平方向に伸張した状態で張設し、
    かつ上記張設状態で上記薄フィルムと上記外周枠とを接合し、
    上記果実収納凹部に果実を収納した状態において、上記果実収納凹部と上記トレーの底板間に空間を介在させることにより、上記フィルムにより上記果実を宙吊り状態で支持し得るように構成し、
    上記外周枠における上記果実収納凹部の開口上縁に近接する部分に、上記外周枠を凹状に切り欠いた切欠部を設け、上記薄フィルムの上記係合用折曲部により上記切欠部を被覆するように構成したものであることを特徴とする果実収納トレー。
  2. 上記熱可塑性合成樹脂薄フィルムの上記果実収納凹部を上記平坦面を介して複数形成し、
    上面開口有底トレーの底面に上方向きの支持突起を設け、該支持突起の上端により上記熱可塑性合成樹脂薄フィルムの上記果実収納凹部間の裏面側を支持するように構成したものであることを特徴とする請求項1記載の果実収納トレー。
  3. 上記切欠部は、上記複数の果実収納凹部の各開口上縁に近接する外周枠に、各果実収納凹部に対応して設けられているものであることを特徴とする請求項2記載の果実収納トレー。
  4. 上記切欠部上に被覆された上記薄フィルムは張設状態であることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の果実収納トレー。
  5. 上記上面開口有底トレーの上記外周枠の外側面は外周枠上縁から下方向けて末広がり状のテーパ面により形成されてなる請求項1〜4の何れかに記載の果実収納トレー。
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