JP5409994B2 - 硬化性組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、硬化性組成物に関する。詳しくは、耐熱性に優れ、イソプロピルアルコール等の有機物質を始めとする薬品に対して耐性に優れ、接着性が良好で、更には放熱性にも優れるエネルギー線硬化性組成物とそれを用いた接着剤、接合体、硬化体に関する。
オプトエレクトロニクス分野では、機器の高性能化と小型化に伴い、機器に内装される部品自体の耐熱性への要望が高まりつつあり、部品の接着、固定に使用される接着剤にも、接着性、耐久性に加え、高耐熱化が求められている。
さらに、製造現場では、被接着体の前処理や、接着剤塗布装置の洗浄に使用される各種溶剤に対する影響を無視できないのが現状であり、アルコール系溶剤、特にイソプロピルアルコールに対し、膨潤しない接着剤の開発が望まれている。
このような技術の潮流の中で、当該分野における接着剤は、量産化を考慮して、熱硬化型のエポキシ系接着剤から速硬化性を有した紫外線硬化型のアクリル系接着剤やエポキシ系接着剤へと移行してきた。
例えば、特許文献1にはエポキシ系の紫外線硬化型接着剤が開示されている。さらに、特許文献2には耐水性の良好な接着剤組成物として、2ヒドロキシエチルメタクリレートを一成分として有する防水用接着剤組成物が提案されている。
特開平07−118369号公報 特開平01−207371号公報
しかし、特許文献1に開示されている紫外線硬化性接着剤は、エポキシ系であるため、耐溶剤性は有利であるが、アクリル系と比較し硬化が遅く、又、光を照射した際に、生成される、ルイス酸の発生がデバイスへ与える影響が無視できず、硬化が速く、ルイス酸を発生しないアクリル系での開発が望まれている。また、特許文献2記載の防水用接着剤組成物は、耐湿試験後の引っ張り接着強さが低下するほか、耐熱性自体も十分でないという問題を有している。
このように、従来の接着剤組成物は、耐溶剤性は良好であっても、作業性に関しては高速化するラインでの生産に適さない、或いは作業性は良好であっても耐熱性が十分でなく、さらに、高い接着強さと共に、良好な耐熱性、耐湿性を同時に満たすものもなかった。
本発明は、この様な公知技術に事情に鑑みてなされたもので、特に金属被着体に対して高い接着強さを有し、耐熱性が高く、溶剤、特にイソプロピルアルコールに対し、膨潤しない硬化性組成物を提供することを目的とするものである。
本発明者は、前記公知技術の課題を解決するべく鋭意研究を重ねた結果、分子量が500〜50000のジエン系或いは水素添加されたジエン系の(メタ)アクリレート、特定構造の飽和脂環式炭化水素をエステル結合を介して有する単官能(メタ)アクリレート、水酸基含有(メタ)アクリレート、多官能性(メタ)アクリレート、光重合開始剤、および酸化防止剤を含有する樹脂組成物が、前記の目的を達成し得ることを見いだし、本発明に至ったものである。
即ち、本発明は、(A)〜(F)成分を含有することを特徴とする硬化性組成物であり、更に(G)成分を含有することを特徴とする前記の硬化性組成物であり、更に(H)成分を含有することを特徴とする前記の硬化性組成物であり、更に(I)成分を含有することを特徴とする前記の硬化性組成物である。
尚、ここで、(A)成分は、分子の末端又は側鎖に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有し、ポリブタジエン、ポリイソプレン、前2者の水素添加物からなる群から選ばれる1種以上で、分子量が500〜50000である(メタ)アクリレート、(B)成分は、炭素数9〜12の飽和脂環式炭化水素をエステル結合を介して有する単官能(メタ)アクリレート、(C)成分は、水酸基含有(メタ)アクリレート、(D)成分は、多官能性(メタ)アクリレート、(E)成分は、光重合開始剤、(F)成分は、酸化防止剤、(G)成分は、カルボキシル基またはリン酸基を有する(メタ)アクリレート、(H)成分は、シランカップリング剤、(I)成分は、無機充填材、である。
本発明は、その好ましい実施態様に於いて、(A)成分を25〜70質量%、(B)成分を2〜40質量%、(C)成分を3〜15質量%、(D)成分を5〜55質量%、(E)成分を0.1〜10質量%、(F)成分を0.01〜1質量%、(G)成分を0.1〜10質量%、(H)成分を0.1〜10質量%、含有する組成物100質量部に対して(I)成分を50〜300質量部含有することを特徴とする。
本発明は、更に好ましい実施態様に於いて、(B)成分がイソボルニルメタクリレート、イソボルニルアクリレート、ジシクロペンタニルメタクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、2−メチル−2−アダマンチルメタクリレート、2−メチル−2−アダマンチルアクリレートから選択される少なくとも1種であることを特徴とする前記の硬化性組成物であり、(D)成分がジメチロール-トリシクロデカンジアクリレート、ジメチロール-トリシクロデカンジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレートから選択される少なくとも1種であることを特徴とする前記の硬化性組成物であり、(G)成分が2−アクリロイルオキシエチルコハク酸、2−メタクリロイルオキシエチルコハク酸、アクリル酸ダイマー、2−メタクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、2−アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、ω−カルボキシ-ポリカプロラクトンモノアクリレートから選択される少なくとも1種であることを特徴とする前記の硬化性組成物であり、(H)成分がγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシランから選択される少なくとも1種であることを特徴とする前記の硬化性組成物である。
本発明は、前記のエネルギー線硬化性樹脂組成物からなることを特徴とする接着剤であり、硬化体であり、前記の接着剤を用いてなることを特徴とする接合体である。
本発明の硬化性組成物は、分子量が500〜50000のジエン系或いは水素添加されたジエン系の(メタ)アクリレート、特定構造の不飽和炭化水素をエステル結合を介して有する単官能(メタ)アクリレート、水酸基含有(メタ)アクリレート、多官能性(メタ)アクリレート、光重合開始剤、および酸化防止剤を含有する特定組成のエネルギー線硬化型組成物からなるので、エネルギー線を照射することにより硬化することが可能であり、しかも金属被着体に対する接着性、接着耐久性が良好であり、耐熱性が高く、且つイソプロピルアルコールに浸漬した場合にも膨潤が少ないという特徴を有している。
(A)成分は、分子の末端又は側鎖に1個以上の(メタ)アクリロイル基を有し、ポリブタジエン、ポリイソプレン、前2者の水素添加物からなる群から選ばれる1種以上で、分子量が500〜50000である(メタ)アクリレートである。なお、ここで言う分子量としては、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定されるポリスチレン換算の数平均分子量が用いられる。
(メタ)アクリレートの主鎖骨格は、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリブタジエンの水素添加物、ポリイソプレンの水素添加物から選ばれる1種以上である。好ましくは、ポリブタジエン、またはポリブタジエンの水素添加物が選択され、特に好ましくはポリブタジエンが選択される。
ポリブタジエンのミクロ構造について特に制限はなく、1,4−cis体ユニット割合の少ないlow−cisポリブタジエン骨格、1,4−cis体ユニット割合の多いhigh−cisポリブタジエン骨格、1,2−ポリブタジエン骨格等いずれでも構わないが、発明者の検討に拠れば、1,2−ポリブタジエン骨格が好ましく選択される。
ポリブタジエンの水素添加物またはポリイソプレンの水素添加物を用いる場合、耐熱性や耐候性の点から、これらの水素添加率は好ましくは80%以上、より好ましくは85%以上、特に好ましくは90%以上である。なお、ここで水素添加率は、ポリブタジエンの水素添加物またはポリイソプレンの水素添加物中の全ジエンモノマーユニット数に対する水素が付加したモノマーユニット数の割合をいう。
(メタ)アクリレートは、上記主鎖骨格の末端又は側鎖に1個以上の(メタ)アクリロイル基を有す。中でも主鎖骨格の両末端に(メタ)アクリロイル基を有すものが好ましい。
(メタ)アクリレートは分子量が500〜50000であり、好ましくは800〜38000である。分子量が500未満では、本発明の硬化性樹脂組成物にエネルギー線を照射して得られる硬化体の硬度が低すぎて、接着剤層が形成し難くなることがある。一方分子量が50000を越える場合には、得られる樹脂組成物の粘度が高くなりすぎて、製造過程での混合等における作業性、或いは実用用途において当該樹脂組成物を用いる際の作業性に問題が生じるようになり、やはり好ましくない。
(A)成分の(メタ)アクリレートとしては、日本曹達社製「NISSO−PB TEAI−1000」(両末端アクリレート変性水素添加ブタジエン系オリゴマー)、日本曹達社製「NISSO−PB TE−2000」(両末端メタクリレート変性ブタジエン系オリゴマー)等を例示することができる。
(B)成分は、炭素数9〜12の飽和脂環式炭化水素基をエステル結合を介して有する単官能(メタ)アクリレートである。炭素数9〜12の飽和脂環式炭化水素基としては、例えば、ジシクロペンタニル基、イソボルニル基、アダマンチル基などが挙げられ、特に好ましくは、ジシクロペンタニル基やイソボルニル基等が挙げられる。またアクリレートとメタクリレートとに関してはメタクリレートが好ましく選択される。
炭素数9〜12の飽和脂環式炭化水素基をエステル結合を介して有する単官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、2−メチル−2−アダマンチル(メタ)アクリレート、2−エチル−2−アダマンチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート等が挙げられ、好ましくはイソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、2−メチル−2−アダマンチル(メタ)アクリレート等が、さらに好ましくはイソボルニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
(C)成分は、水酸基含有(メタ)アクリレートである。水酸基含有(メタ)アクリレートは、分子内に水酸基を少なくとも一つ以上有する単官能性(メタ)アクリレートモノマーを言い、好ましくは単官能性メタクリレートモノマーが用いられる。
水酸基含有(メタ)アクリレートモノマーとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−2−ヒドロキシプロピルフタレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、1,6−へキサンジオールモノ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールモノ(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールモノ(メタ)アクリレート等が挙げられ、好ましくは2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等が、特に好ましくは2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシブチルメタクリレート等が挙げられる。
本発明の(D)成分は、多官能性(メタ)アクリレートである。本発明の多官能性(メタ)アクリレートは、分子内に(メタ)アクリロイル基を2以上有する化合物をいい、好ましくは多官能性メタクリレートモノマーが用いられる。多官能性(メタ)アクリレートとしては、例えば、ジメチロール-トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ジメチロール-シクロヘキサンジ(メタ)アクリレート等の脂環式構造を有する多官能性(メタ)アクリレートやエチレンオキシド付加ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド付加ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド付加ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド付加ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート等の芳香族環構造を有する多官能性(メタ)アクリレート、またトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等の脂肪族分岐構造を有する多官能性(メタ)アクリレート等がある。このうちジメチロール-トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート等のような脂環式構造を有する多官能性(メタ)アクリレート或いはトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等のような脂肪族分岐構造を有する多官能性(メタ)アクリレートを用いることが好ましく、ジメチロール-トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート等の炭素数6〜12の脂環式構造を有する多官能性(メタ)アクリレートを用いることが特に好ましい。
(E)成分は、光重合開始剤である。光重合開始剤には紫外線重合開始剤や可視光重合開始剤等があるが、どちらも制限無く用いられる。紫外線重合開始剤にはベンゾイン系、ベンゾフェノン系、アセトフェノン系等があり、可視光重合開始剤にはアシルホスフィンオキサイド系、チオキサントン系、メタロセン系、キノン系等がある。
光重合開始剤として具体的に例示すると、ベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、2,2−ジエトキシアセトフェノン、ビスジエチルアミノベンゾフェノン、ベンジル,ベンゾイン、ベンゾイルイソプロピルエーテル、ベンジルジメチルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、チオキサントン、1−(4−イソプロピルフェニル)2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチル−1―プロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、カンファーキノン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)―フェニルホスフィンオキサイド、2−メチル―1―(4−(メチルチオ)フェニル)―2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル―2-ジメチルアミノ-1―(4−モルフォリノフェニル)―1−ブタノン−1、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)―2,4,4―トリメチル−ペンチルホスフィンオキサイド等が挙げられる。
(F)成分は酸化防止剤である。酸化防止剤としてはフェノール系、ハイドロキノン系を使用でき、好ましくはフェノール系が用いられる。酸化防止剤としては、β―ナフトキノン、2−メトキシー1,4−ノフトキノン、メチルハイドロキノン、ハイドロキノン、2,2−メチレン−ビス(4−メチル−6−ターシャリーブチルフェノール)、カテコール、ハイドロキノンモノメチルエーテル、モノターシャリーブチルハイドロキノン、2,5−ジターシャリーブチルハイドロキノン、p−ベンゾキノン、2,5−ジフェニル−p−ベンゾキノン、2,5−ジターシャリーブチル−p−ベンゾキノン、ピクリン酸、クエン酸、フェノチアジン、ターシャリーブチルカテコール、2−ブチル−4−ヒドロキシアニソール及び2,6−ジターシャリーブチル−p−クレゾール等が例示できる。
本発明の硬化性組成物は、前記(A)〜(F)成分を必須成分として含有する。前記(A)〜(F)成分を含有する組成物は、これにエネルギー線を照射されることにより硬化し、その硬化物は、剛性が高く、耐熱性および耐湿性が良好で、金属被着体に対して一様に高い接着強さを示すとともに、その硬化体はイソプロピルアルコールに対して接着性、寸法変化が少ない特徴を示す。
本発明の硬化性組成物は、金属面への密着性を一層向上させることを目的に、(G)成分として、カルボキシル基またはリン酸基を有する(メタ)アクリレートをさらに含有することが好ましい。
リン酸基を有する(メタ)アクリレートとしては、(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドフォスフェート、(メタ)アクリロイルオキシエチルポリエチレングリコールアシッドフォスフェート等が挙げられる。
カルボキシル基を有する(メタ)アクリレートとしては、マレイン酸、フマル酸、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート、フタル酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸ダイマー、β−(メタ)アクロイルオキシエチルハイドロジェンサクシネート、2−アクリロイルオキシエチルコハク酸、2−メタクリロイルオキシエチルコハク酸等が例示される。
カルボキシル基またはリン酸基を有する(メタ)アクリレートの中でも、特に好ましくは、2−アクリロイルオキシエチルコハク酸、2−メタクリロイルオキシエチルコハク酸、アクリル酸ダイマー、2−メタクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、2−アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、ω−カルボキシ-ポリカプロラクトンモノアクリレート等が挙げられ、更に好ましくは、2−メタクリロイルオキシエチルコハク酸、2−メタクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート等が挙げられる。
本発明のエネルギー線硬化性樹脂組成物は、被着体への密着性を一層向上させることを目的に、(H)成分として、シランカップリング剤をさらに含有することができる。
シランカップリング剤としては、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニル−トリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン及びγ−ユレイドプロピルトリエトキシシラン等が挙げられ、好ましくはγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等を例示できる。
本発明の硬化性組成物は、剛性をさらに付与することを目的に、(I)成分として、無機充填剤をさらに含有することができる。
無機充填剤としては、石英、石英ガラス、溶融シリカ、複合酸化物からなるガラス粉、球状シリカ等のシリカ粉等や、球状アルミナ、破砕アルミナ、酸化マグネシウム、酸化ベリリウム、酸化チタン等の酸化物類、窒化ホウ素、窒化ケイ素、窒化アルミニウム等の窒化物類、炭化ケイ素等の炭化物類、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の水酸化物類、銅、銀、鉄、アルミニウム、ニッケル、チタン等の金属類や合金類、ダイヤモンド、カーボン等の炭素系充填材などが挙げられる。これら無機充填剤は、1種または2種以上を使用することができる。無機充填剤については、容易に入手可能であり、アクリル樹脂への充填性を考慮すると、石英、石英ガラス、溶融シリカ、球状シリカ、複合酸化物からなるガラス粉等が好ましく、より好ましくは球状シリカ、複合酸化物からなるガラス粉等が挙げられる。
本発明の硬化性組成物に於いて、好ましくは、(A)成分〜(I)成分について、(A)成分を25〜70質量%、(B)成分を2〜40質量%、(C)成分を3〜15質量%、(D)成分を5〜55質量%、(E)成分を0.1〜10質量%、(F)成分を0.01〜1質量%、(G)成分を0.1〜10質量%、(H)成分を0.1〜10質量%含有する組成物とし、この組成物100質量部に対して(I)成分を50〜300質量部含有するとき、エネルギー線を照射して得られる硬化物の剛性が特に高く、耐熱性および耐湿性が一層良好で、しかも硬化収縮性が特段に低くなり、かつ様々な被着体に対して格段に高い接着強さを有するようになるので、特に好ましい。
なお、本発明の硬化性組成物は、本発明の目的を損なわない範囲で、一般に使用されているアクリルゴム、ウレタンゴムなどの各種エラストマー、メタクリル酸メチル−ブタジエン−スチレン系グラフト共重合体やアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン系グラフト共重合体などのグラフト共重合体、溶剤、増量材、補強材、可塑剤、増粘剤、染料、顔料、難燃剤及び界面活性剤、熱重合開始剤等の添加剤を使用することができる。
以下に、実施例、比較例をあげて、本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。尚、実施例および比較例に記載の配合組成物中の各成分には以下の化合物を選択した。
(A)成分の、分子の末端又は側鎖に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有し、ポリブタジエン、ポリイソプレン、前2者の水素添加物からなる群から選ばれる1種以上で、分子量が500〜50000である(メタ)アクリレートとして、
(A−1)末端アクリル変性ポリブタジエン(日本曹達社製「TE−2000」)(GPCによるポリスチレン換算の数平均分子量2100)、
(A−2)末端アクリル変性ポリブタジエン水素添加物(日本曹達社製「TEAI−1000」)(GPCによるポリスチレン換算の数平均分子量1200)、
比較例に用いる成分例として、
(A’−1)2官能ウレタンアクリレート(東亞合成社製「アロニックスM−1200」)、
(B)成分の炭素数9〜12の飽和脂環式炭化水素をエステル結合を介して有する単官能(メタ)アクリレートとして、
(B−1)イソボルニルメタクリレート(共栄社化学社製「ライトエステルIB−X」)、
(B−2)ジシクロペンタニルメタクリレート(日立化成工業社製「FA−513M」)、
(B−3)2−メチル−2−アダマンチルメタクリレート(出光興産社製「アダマンテートMM」)、
比較例に用いる成分例として、
(B’−1)フェノキシポリエチレングリコールメタクリレート(共栄社化学社製「ライトエステルPO」)、
(C)成分の水酸基含有(メタ)アクリレートとして、
(C−1)2−ヒドロキシエチルメタクリレート(共栄社化学社製「ライトエステルHO」)、
(D)成分の多官能性(メタ)アクリレートとして、
(D−1)ジメチロールトリシクロデカンジアクリレート(共栄社化学社製「ライトアクリレートDCP−A」)、
(D−2)ジメチロールトリシクロデカンジメタクリレート(共栄社化学社製「ライトエステルDCP−M」)、
(D−3)トリメチロールプロパントリメタクリレート(共栄社化学社製「ライトエステルTMP」)、
(D−4)トリメチロールプロパントリアクリレート(共栄社化学社製「ライトアクリレートTMP−A」)、
(E)成分の光重合開始剤として、
(E−1)ベンジルジメチルケタール(チバ・スペシャルティー・ケミカルズ社製「IRGACURE651」)、
(E−2)1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(チバ・スペシャルティー・ケミカルズ社製「IRGACURE184」)、
(F)成分の酸化防止剤として、
(F−1)2,2−メチレン−ビス(4−メチル−6−ターシャリーブチルフェノール)(住友化学社製「スミライザーMDP−S」)、
(G)成分のカルボキシル基またはリン酸基を有する(メタ)アクリレートとして、
(G−1)2−メタクリロイルオキシエチルコハク酸(共栄社化学社製「ライトエステルHO−MS」)、
(G−2)2−メタクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート(共栄社化学社製「ライトエステルP−1M」)、
(G−3)2−アクリロイルオキシエチルコハク酸(共栄社化学社製「ライトエステルHOA−MS」)、
(G−4)2−アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート(共栄社化学社製「ライトアクリレートP−1A」)、
(G−5)アクリル酸ダイマー(東亜合成社製「アロニックスM−5600」)、
(G−6) ω−カルボキシーポリカプロラクトンーモノアクリレート(東亜合成社製「アロニックスM−5300」)、
(H)成分のシランカップリング剤として、
(H−1)γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業社製「KBM−503」)、
(I)成分の無機充填材として、
(I−1)球状シリカ(電気化学工業社製「FB−5D」)、
を用いた。
(実施例1〜20、比較例1〜4)
表1、表2、表3に示す種類の原材料を表1、表2、表3に示す組成で混合して樹脂組成物を調製した。得られた組成物について、引張接着強さの測定及び耐湿性評価試験を行った。またイソプロピルアルコールに対する影響評価として寸法変化率を測定した。それらの結果を表1、表2、表3に示す。
Figure 0005409994
Figure 0005409994
Figure 0005409994
各種物性は、次のように測定した。
〔光硬化条件〕
光硬化に際しては、スポット照射機(HOYA社製「EXECURE4000」)を使用し、USHIO社製紫外線照度計「UIT−101」を用い、照射強度150mW/cmの条件で20秒間照射し硬化させた。
〔引張接着強さ〕
2枚の亜鉛ダイカスト試験片(10×25×2.0mm、ZDC2)を間隙約0.8mmの間隔に調整し、その間隙に、1点約12mg程度の接着剤を幅25mmの両端に合計2点、シリンジにて流し込み、上記条件にて接着剤を硬化させた。硬化後、接着剤で接合された該試験片を、2点の接着剤間に、厚さ0.3mmのSPCC鋼板(幅7mm)を差し込み、引張接着強さを測定した。
〔耐湿性評価〕
2枚の亜鉛ダイカスト試験片(100×25×2.0mm、ZDC2)を用いて上記引張接着強さ評価と同様な試験片を作製後、温度80℃、湿度90%の雰囲気中にて500時間放置し、取り出し後、23℃×50%RH雰囲気の室内にて30分以上放置後、引張接着強さを測定した。
〔IPA膨潤試験〕
シリコーンシート製の型枠の中に、接着剤を流し込み、PETフィルムで覆い、PETフィルム側から上記光硬化条件にて、光を照射することにより、4×4×10mmの接着剤硬化体を作製する。その硬化体を80℃の熱風乾燥機中にて1時間養生(アニール)し、試験片とした。作製した試験片の、長さ方向(10mm)を23℃×50%RHの室内でマイクロメーターにて測定する。その後、本硬化体試験片をステンレス製密閉容器中でイソプロピルアルコールに浸漬し、容器ごと80℃の熱風乾燥機中に48時間養生する。取り出した硬化体を23℃×50%RH雰囲気の室内にて30分以上放置後、再度長さ方向(10mm)をマイクロメーターにて測定し、浸漬前後の長さ変化から、イソプロピルアルコールに対する影響を評価した。イソプロピルアルコールに対する影響は、寸法変化率(%)として下記数式により算出した。
寸法変化率(%)=(浸漬後の長さ〔mm〕―浸漬前の長さ〔mm〕)/浸漬前の長さ〔mm〕×100
〔GPC評価〕
A成分の分子量は次の条件で測定し、GPCによりポリスチレン換算の数平均分子量として得た。
[測定条件]
溶媒(移動相):THF
流速:1.0ml/min
設定温度:40℃
カラム構成:東ソー社製「TSK guardcolumn MP(×L)」6.0mmID×4.0cm1本、および東ソー社製「TSK−GELMULTIPOREHXL−M」7.8mmID×30.0cm(理論段数16000段)2本、計3本(全体として理論段数32000段)、
サンプル注入量:100μl(試料液濃度1mg/ml)
送液圧力:39kg/cm
検出器:RI検出器
本発明の硬化性組成物は、金属、被着体に対して高い接着強さを有し、しかも耐熱性および耐湿性が良好で、イソプロピルアルコール等の溶剤に対し、影響を受けないため、金属の接着或いは固定用途に適用できるし、機器の高性能化の進んでいるオプトエレクトロニクス分野での部品同士の接着や固定の用途に好適に使用できるので、産業上非常に有用である。

Claims (14)

  1. (A)成分25〜70質量%、(B)成分2〜40質量%、(C)成分3〜15質量%、(D)成分5〜55質量%、(E)成分を0.01〜15質量%、及び(F)成分を0.01〜5質量%を含有し、かつ、エチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート又はイソブチルメタクリレートから選択される少なくとも1種以上である飽和炭化水素をエステル結合を介して有する単官能(メタ)アクリレートを含有しない硬化性組成物。
    (ここで、
    (A)成分は、分子の末端又は側鎖に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有し、ポリブタジエン、ポリイソプレン、及びポリブタジエン若しくはポリイソプレンの水素添加物からなる群から選ばれる1種以上で、数平均分子量が500〜50000である(メタ)アクリレート、
    (B)成分は、炭素数9〜12の飽和脂環式炭化水素をエステル結合を介して有する単官能(メタ)アクリレート、
    (C)成分は、水酸基含有(メタ)アクリレート、
    (D)成分は、多官能性(メタ)アクリレート、
    (E)成分は、光重合開始剤、
    (F)成分は、酸化防止剤、
    である。)
  2. (A)成分を25〜70質量%、(B)成分を2〜40質量%、(C)成分を3〜15質量%、(D)成分を5〜55質量%、(E)成分を0.1〜10質量%、(F)成分を0.01〜5質量%、(G)成分を0.1〜10質量%、(H)成分を0.1〜10質量%含有し、かつ、エチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート又はイソブチルメタクリレートから選択される少なくとも1種以上である飽和炭化水素をエステル結合を介して有する単官能(メタ)アクリレートを含有しない硬化性組成物。
    (ここで、
    (A)成分は、分子の末端又は側鎖に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有し、ポリブタジエン、ポリイソプレン、及びポリブタジエン若しくはポリイソプレンの水素添加物からなる群から選ばれる1種以上で、数平均分子量が500〜50000である(メタ)アクリレート、
    (B)成分は、炭素数9〜12の飽和脂環式炭化水素をエステル結合を介して有する単官能(メタ)アクリレート、
    (C)成分は、水酸基含有(メタ)アクリレート、
    (D)成分は、多官能性(メタ)アクリレート、
    (E)成分は、光重合開始剤、
    (F)成分は、酸化防止剤、
    (G)カルボキシル基またはリン酸基を有する(メタ)アクリレート系モノマー、
    (H)シランカップリング剤、
    である。)
  3. (A)成分を25〜70質量%、(B)成分を2〜40質量%、(C)成分を3〜15質量%、(D)成分を5〜55質量%、(E)成分を0.1〜10質量%、(F)成分を0.01〜5質量%、(G)成分を0.1〜10質量%、(H)成分を0.1〜10質量%含有する組成物100質量部に対して、(I)成分を50〜300質量部含有し、かつ、エチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート又はイソブチルメタクリレートから選択される少なくとも1種以上である飽和炭化水素をエステル結合を介して有する単官能(メタ)アクリレートを含有しない硬化性組成物。
    (ここで、
    (A)成分は、分子の末端又は側鎖に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有し、ポリブタジエン、ポリイソプレン、及びポリブタジエン若しくはポリイソプレンの水素添加物からなる群から選ばれる1種以上で、数平均分子量が500〜50000である(メタ)アクリレート、
    (B)成分は、炭素数9〜12の飽和脂環式炭化水素をエステル結合を介して有する単官能(メタ)アクリレート、
    (C)成分は、水酸基含有(メタ)アクリレート、
    (D)成分は、多官能性(メタ)アクリレート、
    (E)成分は、光重合開始剤、
    (F)成分は、酸化防止剤、
    (G)カルボキシル基またはリン酸基を有する(メタ)アクリレート系モノマー、
    (H)シランカップリング剤、
    (I)無機充填材
    である。)
  4. (B)成分がイソボルニルメタクリレート、イソボルニルアクリレート、ジシクロペンタニルメタクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、2−メチル−2−アダマンチルメタクリレート、2−メチル−2−アダマンチルアクリレートから選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
  5. (D)成分がジメチロール−トリシクロデカンジアクリレート、ジメチロール−トリシクロデカンジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレートから選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
  6. (G)成分が2−アクリロイルオキシエチルコハク酸、2−メタクリロイルオキシエチルコハク酸、アクリル酸ダイマー、2−メタクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、2−アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、ω−カルボキシ-ポリカプロラクトンモノアクリレートから選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項2乃至3のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
  7. (H)成分がγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシランから選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項2乃至3のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
  8. (I)成分が結晶性石英粉であることを特徴とする請求項3に記載の硬化性組成物。
  9. (I)成分が溶融シリカ粉であることを特徴とする請求項3に記載の硬化性組成物。
  10. (I)成分が複合酸化物からなるガラス粉であることを特徴とする請求項3に記載の硬化性組成物。
  11. 請求項1乃至10のいずれか1項に記載の硬化性組成物からなることを特徴とする接着剤。
  12. イソプロピルアルコールに対する耐性を有する請求項11に記載の接着剤。
  13. 請求項1乃至10のいずれか1項に記載の硬化性組成物からなる接着剤を用いてなることを特徴とする接合体。
  14. 請求項1乃至10のいずれか1項に記載の硬化性組成物からなることを特徴とする硬化体。
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