次に本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。
図1及び図2には、本発明の実施形態に係る基板処理装置1が示されている。基板処理装置1は、半導体製造装置として構成されていて、筐体101を有する。
筐体101の前面側には、図示しない外部搬送装置との間で、基板収納容器として用いられるカセット100の授受を行う保持具授受部材として用いられるカセットステージ105が設けられている。カセットステージ105の後側には昇降手段としてのカセットエレベータ115が設けられ、該カセットエレベータ115には搬送手段としてのカセット移載機114が取り付けられている。また、カセットエレベータ115の後側には、カット100の載置手段として用いられるカセット棚109が設けられるとともに、カセットステージ105の上方にも、予備カセット棚110が設けられている。予備カセット棚110の上方にはクリーンユニット118が設けられ、クリーンエアを前記筐体101の内部に流通させるように構成されている。
筐体101の後部上方には、処理炉202が設けられ、処理炉202の下方には基板として用いられるウエハ200を水平姿勢で多段に保持する基板保持手段としてのボート217を処理炉202に昇降させる昇降手段として用いられるボートエレベータ121が設けられている。ボートエレベータ121に取り付けられた昇降部材122の先端部には、蓋体としてのシールキャップ219が取り付けられ、ボート217を垂直に支持している。ボートエレベータ121とカセット棚109との間には、昇降手段として用いられる移載エレベータ113が設けられ、移載エレベータ113には基板搬送手段として用いられるウエハ移載機112が取り付けられている。また、ボートエレベータ121の横には、開閉機構を持ち前記処理炉202の下面を塞ぐ遮蔽部材として用いられる炉口シャッタ116が設けられている。
ウエハ200が装填されたカセット100は、図示しない外部搬送装置からカセットステージ105にウエハ200が上向きの姿勢で搬入され、ウエハ200が水平の姿勢になるようカセットステージ105で90°回転させられる。さらに、カセット100は、カセットエレベータ115の昇降動作、横行動作及びカセット移載機114の進退動作、回転動作の協働により前記カセットステージ105からカセット棚109又は予備カセット棚110に搬送される。
カセット棚109にはウエハ移載機112の搬送対象となるカセット100が収納される移載棚123があり、ウエハ200が移載に供されるカセット100はカセットエレベータ115、カセット移載機114により移載棚123に移載される。
カセット100が移載棚123に移載されると、ウエハ移載機112の進退動作、回転動作及び移載エレベータ113の昇降動作の協働により移載棚123から降下状態のボート217にウエハ200を移載する。
ボート217に所定枚数のウエハ200が移載されると、ボートエレベータ121によりボート217が処理炉202に挿入され、シールキャップ219により処理炉202が気密に閉塞される。気密に閉塞された処理炉202内では、ウエハ200が加熱されるとともに処理ガスが処理炉202に供給され、ウエハ200に処理がなされる。
ウエハ200への処理が完了すると、ウエハ200は上述した動作と逆の手順により、ボート217から移載棚123のカセット100に移載され、カセット100はカセット移載機114により移載棚123からカセットステージ105に移載され、図示しない外部搬送装置により筐体101の外部に搬出される。なお、炉口シャッタ116は、ボート217が降下状態の際に処理炉202の下面を塞ぎ、外気が処理炉202内に巻き込まれるのを防止している。
カセット移載機114等の搬送動作は、制御手段として用いられるコントローラ280により制御される。
図3及び図4には、処理炉202が示されている。
処理炉202の周辺には、加熱装置(加熱手段)として用いられるヒータ207が設けられ、ヒータ207の内側に、ウエハ200を処理する反応容器として用いられる反応管203が設けられ、反応管203の下端開口は蓋体として用いられるシールキャップ29により、気密部材として用いられるOリング220を介して気密に閉塞され、少なくとも、反応管203、及びシールキャップ219により、ウエハ200を収納する処理室201を形成している。
シールキャップ219にはボート支持台218を介して217が立設され、ボート支持台218はボートを保持する保持体となっている。そして、ボート217は処理室201に挿入される。ボート217にはバッチ処理される複数のウエハ200が水平姿勢で管軸方向に多段に積載される。ここで、図4において、200Tは、多段に積層されたウエハ200であって、最も上方の位置に配置されたウエハ200を示している。また、200Bは、積層されたウエハ200であって、最も下方に配置されたウエハ200を示している。また、200Cは、積層されたウエハ200であってウエハ200Tとウエハ200Bとから、略等距離にある位置に配置されたウエハ200を示している。ヒータ207は処理室201に挿入されたウエハ200を所定の温度に加熱する。
処理室201へは複数種類、ここでは2種類のガスを供給する供給経路として用いられる2本のガス供給管232a、232bが設けられる。第1のガス供給管232aからは流量制御装置(流量制御手段)である第1のマスフローコントローラ241a及び開閉弁である第1のバルブ243aを介し、さらに後述する反応管203内に形成されたバッファ室237を介して処理室201に反応ガスが供給される。第2のガス供給管232bからは、流量制御装置(流量制御手段)である第2のマスフローコントローラ241b、開閉弁である第2のバルブ243b、ガス溜め247、及び開閉弁である第3のバルブ243cを介し、さらに後述するガス供給部249を介して処理室201に反応ガスが供給されている。
2本のガス供給管232a、232b、第1のマスフローコントローラ241a、第1のバルブ243a、第2のマスフローコントローラ241b、第2のバルブ243b、ガス溜め247、第3のバルブ243c、及びガス供給部249等は、処理室201に処理ガスを供給するガス供給ユニットとして用いられている。
処理室201は、ガスを排気するガス排気管231により第4のバルブ243dを介して真空ポンプ246に接続され、真空排気されるようになっている。また、この第4のバルブ243dは、弁を開閉して処理室201の真空排気・真空排気停止ができ、さらに弁開度を調節して圧力調整可能になっている開閉弁である。ガス排気管231、第4のバルブ243d、真空ポンプ246等が、処理室201内の雰囲気を排気するガス排気ユニットして用いられている。
処理室201を構成している反応管203の内壁とウエハ200との間における円弧状の空間には、反応管203の下部より上部の内壁にウエハ200の積載方向に沿って、ガス分散空間であるバッファ室237が設けられている。バッファ室237のウエハ200と隣接する壁の端部には、ガスを供給する供給孔である第1のガス供給孔248aが設けられている。第1のガス供給孔248aは、反応管203の中心へ向けて開口している。第1のガス供給孔248aは、下部から上部にわたってそれぞれ同一の開口面積を有し、さらに同じ開口ピッチで設けられている。
バッファ室237の第1のガス供給孔248aが設けられた端部と反対側の端部には、ノズル233が、反応管203の下部より上部にわたりウエハ200の積載方向に沿って配設されている。ノズル233には、ガスを供給する複数の供給孔である第2のガス供給孔248bが設けられている。第2のガス供給孔248bの開口面積は、バッファ室237と処理室201の差圧が小さい場合には、ガスの上流側から下流側まで同一の開口面積で同一の開口ピッチとすると良いが、差圧が大きい場合には上流側から下流側に向かって開口面積を大きくするか、開口ピッチを小さくすると良い。
本実施の形態においては、第2のガス供給孔248bの開口面積を上流側から下流側にかけて徐々に大きくしている。このように構成することで、第2の各ガス供給孔248bよりガスの流速の差はあるが、流量は略同量であるガスをバッファ室237に噴出させている。そして、バッファ室237内において、それぞれの第2のガス供給孔248bより噴出したガスの粒子速度差が緩和された後、第1のガス供給孔248aより処理室201に噴出させている。よって、各第2のガス供給孔248bより噴出したガスは、各第1のガス供給孔248aより噴出する際には、均一な流量と流速とを有するガスとすることができる。
さらに、バッファ室237には、第1の電極269、及び第2の電極270が設けられている。第1の電極269と第2の電極270とは、処理室201内のガスを活性な状態とするため、高周波電力が印加される一対の電極として用いられ、ともに棒状であって、上部より下部にわたって、それぞれが収納管275、275内に収納されている。第1の電極269、及び第2の電極270のいずれか一方は、整合器272を介して高周波電源273に接続され、他方は基準電位であるアースに接続されている。この結果、第1の電極269及び第2の電極270間のプラズマ生成領域224にプラズマが生成される。
2つの収納管275は、それぞれが第1の電極269、第2の電極270を保護する保護管として用いられるとともに、第1の電極269、第2の電極270のそれぞれを、少なくとも一箇所が屈曲した状態で収納する収納管として用いられ、第1の電極269及び第2の電極270のそれぞれをバッファ室237の雰囲気と隔離した状態でバッファ室237に挿入できる構造となっている。ここで、収納管275の内部が外気(大気)と同一雰囲気であると、収納管275にそれぞれ挿入された第1の電極269及び第2の電極270はヒータ207の加熱で酸化されてしまう。そこで、収納管275の内部は窒素などの不活性ガスを充填あるいはパージし、酸素濃度を充分低く抑えて第1の電極269又は第2の電極270の酸化を防止するための不活性ガスパージ機構が設けられる。
さらに、第1のガス供給孔248aの位置より、反応管203の内周を、例えば120°程度回った内壁に、ガス供給部249が設けられている。ガス供給部249は、ALD法による成膜においてウエハ200へ、複数種類のガスを1種類ずつ交互に供給する際に、バッファ室237とガス供給種を分担する供給部である。
ガス供給部249もバッファ室237と同様にウエハと隣接する位置に同一ピッチでガスを供給する供給孔である第3のガス供給孔248cを有し、下部では第2のガス供給管232bが接続されている。
第3のガス供給孔248cの開口面積は、ガス供給部249内と処理室201内の差圧が小さい場合には、ガスの上流側から下流側まで同一の開口面積で同一の開口ピッチとすると良いが、差圧が大きい場合には上流側から下流側に向かって開口面積を大きくするか開口ピッチを小さくすると良い。
本実施の形態においては、第3のガス供給孔248aの開口面積を上流側から下流側にかけて徐々に大きくしている。
反応管203内の中央部には、複数枚のウエハ200を多段に同一間隔で載置するボート217が設けられており、ボート217は図中省略のボートエレベータ機構により反応管203に出入りできるようになっている。また、処理の均一性を向上するためにボート217を回転するための回転装置(回転手段)として用いられるボート回転機構267が設けてあり、ボート回転機構267を回転することにより、石英キャップ218に保持されたボート217を回転するようになっている。
コントローラ280は、第1、第2のマスフローコントローラ241a、241b、第1〜第4のバルブ243a、243b、243c、243d、ヒータ207、真空ポンプ246、ボート回転機構267、図中省略のボート昇降機構、高周波電源273、整合器272に接続されており、第1、第2のマスフローコントローラ241a、241bの流量調整、第1〜第3のバルブ243a、243b、243cの開閉動作、第4のバルブ243dの開閉及び圧力調整動作、ヒータ207温度調節、真空ポンプ246の起動・停止、ボート回転機構267の回転速度調節、ボート昇降機構の昇降動作制御、高周波電源273の電力供給制御、整合器272によるインピーダンス制御が、コントローラ280によって行われる。
基板処理装置1においては、例えば、ALD法による成膜がなされ、例えば、半導体デバイスの製造工程の一つとして、DCS及びNH3ガスを用いてSiN膜の成膜がなされる。
DCS及びNH3ガスを用いてSiN膜の成膜をするにあたり採用されるALD(Atomic Layer Deposition)法は、CVD(Chemical
Vapor Deposition)法の中の1つであって、ある成膜条件(温度、時間等)の下で、成膜に用いる2種類(またはそれ以上)の原料となる処理ガスを1種類ずつ交互に基板上に供給し、1原子層単位で吸着させ、表面反応を利用して成膜を行う手法である。
利用する化学反応は、例えばSiN(窒化珪素)膜形成の場合、ALD法ではDCS(SiH2Cl2、ジクロルシラン)とNH3(アンモニア)を用いて300〜600℃の低温で高品質の成膜が可能である。また、ガス供給は、複数種類の反応性ガスを1種類ずつ交互に供給する。そして、膜厚制御は、反応性ガス供給のサイクル数で制御し、例えば、成膜速度が1Å/サイクルとすると、20Åの膜を形成する場合、処理を20サイクル行う。
すなわち、まず成膜しようとするウエハ200をボート217に装填し、処理室201に搬入する。そして、搬入後、次の3つのステップを順次実行する。
最初のステップであるステップ1では、プラズマ励起の必要なNH3ガスと、プラズマ励起の必要のないDCSガスとを並行して流す。まず、第1のガス供給管232aに設けた第1のバルブ243a、及びガス排気管231に設けた第4のバルブ243dをともに開けて、第1のガス供給管232aから第1のマスフローコントローラ241aにより流量調整されたNH3ガスをノズル233の第2のガス供給孔248bからバッファ室237へ噴出し、第1の電極269及び第2の電極270間に高周波電源273から整合器272を介して高周波電力を印加してNH3をプラズマ励起し、活性種として処理室201に供給しつつガス排気管231から排気する。
NH3ガスをプラズマ励起することにより活性種として流すときは、第4のバルブ243dを適正に調整して処理室201内圧力を10〜100Paの範囲に維持する。第1のマスフローコントローラ241aで制御するNH3の供給流量は、例えば、1〜10slmの範囲で供給される。NH3をプラズマ励起することにより得られた活性種にウエハ200を晒す時間は2〜120秒間である。この時のヒータ207温度はウエハが300〜600℃の範囲になるように設定してある。NH3は反応温度が高いため、上述のウエハ温度では反応しないので、プラズマ励起することにより活性種としてから流すようにしており、このためウエハ温度は設定した低い温度範囲のままで行える。
NH3をプラズマ励起することにより活性種として供給しているとき、第2のガス供給管232bの上流側の第2のバルブ243bを開け、下流側の第3のバルブ243cを閉めて、DCSも流すようにする。これにより第2、第3のバルブ243b、243c間に設けたガス溜め247にDCSを溜める。このとき、処理室201内に流しているガスはNH3をプラズマ励起することにより得られた活性種であり、DCSは存在しない。したがって、NH3は気相反応を起こすことはなく、プラズマにより励起され活性種となったNH3は、ウエハ200上の下地膜などの表面部分と表面反応(化学吸着)する。
次のステップであるステップ2では、第1のガス供給管232aの第1のバルブ243aを閉めて、NH3の供給を止めるが、引き続きガス溜め247へ供給を継続する。ガス溜め247に所定圧、所定量のDCSが溜まったら上流側の第2のバルブ243bも閉めて、ガス溜め247にDCSを閉じ込めておく。また、ガス排気管231の第4のバルブ243dは開いたままにし、真空ポンプ246により、処理室201を20Pa以下に排気し、残留NH3を処理室201から排除する。また、この時にはN2等の不活性ガスを処理室201に供給すると、さらに残留NH3を排除する効果が高まる。
ガス溜め247内には、圧力が20000Pa以上になるようにDCSを溜める。また、ガス溜め247と処理室201との間のコンダクタンスが1.5×10−3m3/s以上になるように装置を構成する。また、反応管203の容積とこれに対する必要なガス溜め247の容積との比として考えると、反応管203容積が100l(リットル)の場合においては、100〜300ccであることが好ましく、容積比としてはガス溜め247は反応室容積の1/1000〜3/1000倍とすることが好ましい。
最後のステップであるステップ3では、処理室201の排気が終わったらガス排気管231の第4のバルブ243dを閉じて排気を止める。第2のガス供給管232bの下流側の第3のバルブ243cを開く。これによりガス溜め247に溜められたDCSが処理室201に一気に供給される。この時、ガス排気管231の第4のバルブ243dが閉じられているので、処理室201内の圧力は急激に上昇して約931Pa(7Torr)まで昇圧される。DCSを供給するための時間は2〜4秒設定し、その後上昇した圧力雰囲気中に晒す時間を2〜4秒に設定し、合計6秒とした。
この時のウエハ温度はNH3の供給時と同じく、300〜600℃の範囲内の所望の温度で維持される。DCSの供給により、ウエハ200の表面に化学吸着したNH3とDCSとが表面反応(化学吸着)して、ウエハ200上にSiN膜が成膜される。成膜後、第3のバルブ243cを閉じ、第4のバルブ243dを開けて処理室201を真空排気し、残留するDCSの成膜に寄与した後のガスを排除する。また、この時にはN2等の不活性ガスを処理室201に供給すると、さらに残留するDCSの成膜に寄与した後のガスを処理室201から排除する効果が高まる。また第2のバルブ243bを開いてガス溜め247へのDCSの供給を開始する。
以上で説明をしたステップ1〜3を1サイクルとし、このサイクルを複数回繰り返すことによりウエハ上に所定膜厚のSiN膜を成膜する。
ALD装置では、ガスはウエハ200の表面部分に化学吸着する。このガスの吸着量は、ガスの圧力、及びガスの暴露時間に比例する。よって、希望する一定量のガスを、短時間で吸着させるためには、ガスの圧力を短時間で大きくする必要がある。この点で、本実施の形態では、第4のバルブ243dを閉めたうえで、ガス溜め247内に溜めたDCSを瞬間的に供給しているので、処理室201内のDCSの圧力を急激に上げることができ、希望する一定量のガスを瞬間的に吸着させることができる。
また、本実施の形態では、ガス溜め247にDCSを溜めている間に、ALD法で必要なステップであるNH3ガスをプラズマ励起することにより活性種として供給、及び処理室201の排気をしているので、DCSを溜めるための特別なステップを必要としない。また、処理室201内を排気してNH3ガスを除去しているからDCSを流すので、両者はウエハ200に向かう途中で反応しない。供給されたDCSは、ウエハ200に吸着しているNH3とのみ有効に反応させることができる。
図5及び図6には、第1の電極269が示されている。
以下、第1の電極269について説明をするが、第2電極270の構成は、第1の電極269と同一である。
図5に示されるように、第1の電極269は、複数の短管290と、芯線292と、網組部材294とを有する。短管290は、芯線292により折曲可能であるように複数個が連結され、芯線292よりも熱による変形が少ない管体として用いられているとともに、金属、又は絶縁材からなる内部材として用いられていて、芯線292と比較して熱変形しにくく、且つ一定の断熱性と剛性とを有する材料からなり、具体的な材料としては、例えば高純度のアルミナ、Ni(ニッケル)等が用いられる。しかし、アルミナ等を用いる場合、Al等による汚染が発生する可能性があり、半導体製造装置においては、より好適には、石英を用いることが望ましい。また、短管290は、略円筒形状を有し、長手方向に貫通するように貫通孔296が形成されている。
芯線292は、複数の短管290のそれぞれを互いに連結する金属からなる芯線として用いられていて、複数の短管290に形成された貫通孔296を貫通することにより複数の短管290を折曲可能であるように連結している。芯線292は、曲げの確保できる塑性変形可能であり、より具体的には、例えば、Ni(ニッケル)を主成分とした針金が用いられる。芯線292を用いて、複数の短管290を連結する際には、互いに隣り合う短管290と短管290との間に、一定の隙間d1が設けられる。
網組部材294は、複数の短管290の外表面を覆うように設けられる金属からなる網状の外部材として用いられていて、例えばNiを主成分とする細線が編みこまれるようにして形成されている。網組部材294は細線からなり可撓性を有するため変形可能であり、変形することのより複数の短管290の外表面を覆うように配置されている。図5においては、網組部材294は、説明の便宜上、上から2番目に位置する短管290と、上から3番目に位置する短管290との外周面のみを覆うかのように示されているが、網組部材294は、一端部側に位置する短管290から他端部側に位置する短管290まで、すべての短管290の外周面を覆うように設けられている。
以上ように、第1の電極269は、複数の短管290が間隔dを有するように芯線292で連結され、複数の短管290に外周面を覆う網組部材が、細線が編みこまれた変形可能なものであるため、図6に示されるように折曲した状態とすることが可能である。このため、収納管275(図3参照)が屈曲した形状であっても、折曲した収納管275の内壁に沿うように変形することが可能である。また、第1の電極269の一端部側を、収納管275に挿入し、第1の電極269の他端部側を押圧することで、第1の電極269を、折曲した収納管275に倣って、収納管275内に挿入することができる。
また、第1の電極269を構成する複数の短管290は、芯線292よりも熱による熱による変形が少なく、且つ一定の剛性を有するため、互いに隣り合う短管290の間に形成された隙間dが詰まることはあっても、それぞれの短管290の長さは変わらないため、例えば、収納管275に挿入する際等に、大きく長手方向の長さが縮むことがない。このため、収納管275の先端側等の本来は第1の電極269が配置される場所に、第1の電極269が縮むことにより第1の電極269が到達しなくなることがなく、該場所で発生するプラズマの濃度が本来よりも低くなるとの問題が生じにくい。
図7には、第1の電極269の変形例が示されている。
以下、第1の電極269について説明をするが、第2電極270としても、以下で説明をする変形例に係る電極を利用することができる。
先述の第1の電極269では、複数の短管290として略円筒形状のものを用いたが、この変形例では、略球状の短管290を用いる。この変形例に係る第1の電極269でも、短管290には管通孔が形成されていて、貫通孔296に芯線292が挿入され、複数の短管290が連結される。また、複数の短管290の外周を覆うように網組部材294が設けられている。
図8には、比較例に係る第1の電極269が示されている。
先述の本発明の第1の実施形態で用いられる第1の電極269、及び変形例に係る第1の電極は、複数の短管290と、芯線292と、網組部材294とを有していた。これに対して、この変形例に係る第1の電極は、図8(a)に示すように、短管290を有せず、芯線292が直接に網組部材294で覆われている。このため、加熱された際に、断熱効果を有する短管290を介せず、直接に芯線292が加熱されるため、図8(b)の右側に示されるように、芯線292が熱の影響で縮んだり歪んだりしやすい。
図8(b)は、芯線292が熱によって縮み歪むことによって、第1の電極が長さd2だけ短くなった状態を示している。
図9には、比較例に係る第1の電極269が、収納管275に収納された様子が示されている。本来であれば、図9(a)に示されるように、収納管275の上端部近傍まで第1の電極269が到達する。しかしながら、例えば、自重によって網組部材294を構成する細線の間隔が狭くなる等の理由で第1の電極269が縮むと、本来は、第1の電極269が配置されるべき場所に、第1の電極269が存在しない空間310が形成されてしまう。この場合、空間310で生成されるプラズマの濃度は、空間310に第1の電極269が存在する場合と比較して低くなる。
図9(b)に示すように自重によって第1の電極269が縮む以外にも、例えば、収納管275内に第1の電極269を挿入する際に、位置P、P等で第1の電極269が収納管275の内壁に接触し、摩擦により網組部材294を構成する細線の間隔が詰まる等の理由で第1の電極269が縮むことがある。この場合も、収納管275の端部に、第1の電極が存在しない空間310が形成される。
第1の電極269は、芯線292と、芯線292により折曲可能であるように複数個が連結され、芯線292よりも熱による変形が少ない短管290とを有し、芯線292の熱の影響による形状変化を抑えるものであれば良い。よって、先述の実施形態に係る第1の電極269や、先述の変形例に係る第1の電極269のように、短管290に芯線292を通し、短管290に導電性のある網組部材294を巻きつける構成に替えて、短管290そのものを金属等の導電性材料から構成し、網組部材294を設けないようにしても良い。
図10には、処理温度を470℃としてウエハ200に形成された膜の測定データが、用いる電極の種類及びウエハ200が処理室201内に配置される位置ごとに示されている。図10に示される測定データは、ウエハ200に形成された膜の厚さ、面内均一性及び面間均一性である。ここで、面内均一性とは、1つのウエハ200内における位置ごとの膜厚の均一性をいう。また、面間均一性とは、例えば、処理室201内における上部中央部、及び下部等、処理室201内の異なる位置に配置された複数のウエハ200にそれぞれ形成された膜の間での膜厚の均一性をいう。
また、図10には、ウエハ200が配置される位置として、上部、中央部、及び下部が示されている。ここで、上部とは、処理室201内において、最も上方のウエハ200Tが配置される位置をいう(図4参照)。また、下部とは、処理室201内において、最も下方のウエハ200Bが配置される位置をいう(図4参照)。また、中央部とは、処理室201内において、ウエハ200Tとウエハ200Bとから略距離にあるウエハ200Cが配置される位置をいう(図4参照)。
図10に示す測定結果から、処理室201内のいずれの位置にウエハ200配置される場合であっても、第1の電極269及び第2の電極270として短管の材質が石英である電極を用いた場合に最も面内膜厚均一が良く、第1の電極269及び第2の電極270として短管の材質がNiである電極を用いた場合に次に面内膜厚均一が良く、第1の電極269及び第2の電極270として短管を有しない電極を用いた場合に最も面内均一性が悪いことがわかる。
具体的には、ウエハ200が処理室201内における上部に配置される場合は、第1の電極269及び第2の電極270として材質が石英である短管を備えた電極を用いると、面内均一性は、0.88%である。また、ウエハ200が処理室201内における上部に配置される場合であって、第1の電極269及び第2の電極270として材質がNiである短管を備えた電極を用いた場合は、面内均一性が1.02%である。また、ウエハ200が処理室201内における上部に配置される場合であって、第1の電極269及び第2の電極270として短管を備えない電極を用いた場合、面内均一性が1.19%である。
このように、ウエハ200が処理室201の上部に配置される場合、面内膜厚均一性は、第1の電極269及び第2の電極270として石英を材質とする短管を供えた電極を用いた場合が最も良く、第1の電極269及び第2の電極としてNiを材質とする短管を備えた電極を用いた場合が次に良く、第1の電極269及び第2の電極270として短管を有しない電極を用いた場合が最も悪い。
次に、ウエハ200を処理室201内における中央部に配置した場合は、第1の電極269及び第2の電極270として材質が石英からなる短管を備えた電極を用いると、面内均一性は、1.41%である。また、ウエハ200が処理室201内における中央部に配置される場合であって、第1の電極269及び第2の電極270として材質がNiからなる短管を備えた電極を用いた場合は、面内均一性が1.56%である。また、ウエハ200が処理室201内における中央部に配置される場合であって、第1の電極269及び第2の電極270として短管を備えない電極を用いた場合、面内均一性が1.61%である。
このように、ウエハ200が処理室201の中央部に配置される場合、面内膜厚均一性は、第1の電極269及び第2の電極270として石英を材質とする短管を供えた電極を用いた場合が最も良く、第1の電極269及び第2の電極としてNiを材質とする短管を備えた電極を用いた場合が次に良く、第1の電極269及び第2の電極270として短管を有しない電極を用いた場合が最も悪い。
次に、ウエハ200を処理室201内における下部に配置した場合は、第1の電極269及び第2の電極270として材質が石英からなる短管を備えた電極を用いると、面内均一性は、1.47%である。また、ウエハ200が処理室201内における下部に配置される場合であって、第1の電極269及び第2の電極270として材質がNiからなる短管を備えた電極を用いた場合は、面内均一性が1.60%である。また、ウエハ200が処理室201内における下部に配置される場合であって、第1の電極269及び第2の電極270として短管を備えない電極を用いた場合、面内均一性が1.63%である。このように、ウエハ200が処理室201の下部に配置される場合、面内膜厚均一性は、第1の電極269及び第2の電極270として石英を材質とする短管を供えた電極を用いた場合が最も良く、第1の電極269及び第2の電極としてNiを材質とする短管を備えた電極を用いた場合が次に良く、第1の電極269及び第2の電極270として短管を有しない電極を用いた場合が最も悪い。
また、図10に示す測定結果から、図10に示す測定結果から、処理室201内のいずれの位置にウエハ200配置される場合であっても、第1の電極269及び第2の電極270として、材質が石英からなる短管を有する電極を用いた場合に、ウエハ200に形成される膜の厚さが最も厚く、第1の電極269及び第2の電極270として、材質がNiからなる短管を有する電極を用いた場合に、ウエハ200に形成される膜の膜厚が次に厚く、第1の電極269及び第2の電極270として、短管を有しない電極を用いた場合に、ウエハ200に形成される膜の膜厚が最も薄いことがわかる。
具体的には、ウエハ200が処理室201内における上部に配置される場合は、第1の電極269及び第2の電極270として材質が石英からなる短管を備えた電極を用いると、形成される膜の膜厚は390.37Åである。また、ウエハ200が処理室201内における上部に配置される場合であって、第1の電極269及び第2の電極270として材質がNiからなる短管を備えた電極を用いた場合は、形成される膜の膜厚は385.58Åである。また、また、ウエハ200が処理室201内における上部に配置される場合であって、第1の電極269及び第2の電極270として短管を備えない電極を用いた場合、形成される膜の膜厚は、382.08Åである。
このように、ウエハ200が処理室201の上部に配置される場合、ウエハ200に形成される膜の膜厚は、第1の電極269及び第2の電極270として石英を材質とする短管を供えた電極を用いた場合が最も厚く、第1の電極269及び第2の電極としてNiを材質とする短管を備えた電極を用いた場合が次に厚く、第1の電極269及び第2の電極270として短管を有しない電極を用いた場合が最も薄い。
次に、ウエハ200が処理室201内における中央部に配置される場合は、第1の電極269及び第2の電極270として材質が石英からなる短管を備えた電極を用いると、形成される膜の膜厚は399.69Åである。また、ウエハ200が処理室201内における中央部に配置される場合であって、第1の電極269及び第2の電極270として材質がNiからなる短管を備えた電極を用いた場合は、形成される膜の膜厚は395.52Åである。また、また、ウエハ200が処理室201内における中央部に配置される場合であって、第1の電極269及び第2の電極270として短管を備えない電極を用いた場合、形成される膜の膜厚は、393.55Åである。
このように、ウエハ200が処理室201の中央部に配置される場合、ウエハ200に形成される膜の膜厚は、第1の電極269及び第2の電極270として石英を材質とする短管を供えた電極を用いた場合が最も厚く、第1の電極269及び第2の電極としてNiを材質とする短管を備えた電極を用いた場合が次に厚く、第1の電極269及び第2の電極270として短管を有しない電極を用いた場合が最も薄い。
次に、ウエハ200が処理室201内における下部に配置される場合は、第1の電極269及び第2の電極270として材質が石英からなる短管を備えた電極を用いると、形成される膜の膜厚は401.57Åである。また、ウエハ200が処理室201内における下部に配置される場合であって、第1の電極269及び第2の電極270として材質がNiからなる短管を備えた電極を用いた場合は、形成される膜の膜厚は396.11Åである。また、ウエハ200が処理室201内における下部に配置される場合であって、第1の電極269及び第2の電極270として短管を備えない電極を用いた場合、形成される膜の膜厚は、393.82Åである。
このように、ウエハ200が処理室201の下部に配置される場合、ウエハ200に形成される膜の膜厚は、第1の電極269及び第2の電極270として石英を材質とする短管を供えた電極を用いた場合が最も厚く、第1の電極269及び第2の電極としてNiを材質とする短管を備えた電極を用いた場合が次に厚く、第1の電極269及び第2の電極270として短管を有しない電極を用いた場合が最も薄い。
また、図10に示す測定結果から、第1の電極269及び第2の電極270として短管290を有しない電極を用いた場合と比較して、第1の電極269及び第2の電極270として、Ni及び石英のいずれかを材質とする短管290を備えた電極を用いた場合に、面間均一性が向上していることがわかる。
具体には、第1の電極269及び第2の電極270として短管290を有しない電極を用いた場合は、面間均一性が1.506%である。また、第1の電極269及び第2の電極270として石英を材料とした短管を備えた電極を用いた場合は、面間均一性が1.409%である。また、第1の電極269及び第2の電極270としてNiを材料とした短管を備えた電極を用いた場合は、面間均一性が1.341%である。
このように、第1の電極269及び第2の電極270として短管290を有しない電極を用いた場合と比較して、第1の電極269及び第2の電極270として、Ni及び石英のいずれかを材質とする短管290を備えた電極を用いた場合に、面間均一性が向上している。
図11には、処理温度を470℃としてウエハ200に形成された膜の測定データが、用いる電極の種類、ウエハ200が処理室201内に配置される位置、及びウエハ200内における位置ごとに示されている。
図11に示される測定データは、ウエハ200に形成された膜の周方向別変化率である。ここで、周方向別変化率とは、ウエハ200の中心からの距離ごとの面間均一性をいう。また、図11には、ウエハ200内における周方向別変化率が測定される位置として、中心位置、位置1、位置2、及び位置3が示されている。ここで、位置1、位置2、位置3の順に、ウエハ200の中心からの距離が大きく定められている。
図11に示されるように、処理室201内におけるウエハ200が配置される位置、及びウエハ200における周方向の位置がいずれの位置であっても、第1の電極269及び第2の電極270として材質がNiからなる短管を備えた電極を用いた場合の方が、第1の電極269及び第2の電極270として材質が石英からなる短管を用いた場合と比較して、周方向別変化率が小さいことがわかる。
図12には、処理温度を545℃としてウエハ200に形成された膜の測定データが、用いる電極の種類及びウエハ200が処理室201内に配置される位置ごとに示されている。図12に示される測定データは、ウエハ200に形成された膜の厚さ、面内均一性、及び面間均一性である。また、図12における上部、中央部、及び下部は、先述の図10の場合と同じである。
図12に示す測定結果から、処理温度が470℃である場合と同様に、処理温度が545℃である場合についても、処理室201内のいずれの位置にウエハ200配置される場合であっても、第1の電極269及び第2の電極270として短管の材質が石英である電極を用いた場合に最も面内膜厚均一が良く、第1の電極269及び第2の電極270として短管の材質がNiである電極を用いた場合に次に面内膜厚均一が良く、第1の電極269及び第2の電極270として短管を有しない電極を用いた場合に最も面内均一性が悪いことがわかる。
具体的には、処理温度が545℃であって、ウエハ200が処理室201内における上部に配置される場合は、第1の電極269及び第2の電極270として石英を材料とした短管を備えた電極を用いると、面内均一性は0.95%であり、第1の電極269及び第2の電極270としてNiを材料とした短管を備えた電極を用いた場合は、面内均一性が1.10%であり、第1の電極269及び第2の電極270として短管を備えない電極を用いた場合、面内均一性が1.24%である。
次に、処理温度が545℃であって、ウエハ200を処理室201内における中央部に配置した場合は、第1の電極269及び第2の電極270として石英を材料とした短管を備えた電極を用いると、面内均一性は、1.45%であり、第1の電極269及び第2の電極270としてNiを材料とした短管を備えた電極を用いた場合は、面内均一性が1.61%であり、第1の電極269及び第2の電極270として短管を備えない電極を用いた場合は、面内均一性が1.70%である。
次に、処理温度が545℃であって、ウエハ200を処理室201内における下部に配置した場合は、第1の電極269及び第2の電極270として石英を材料とした短管を備えた電極を用いると、面内均一性は、1.61%であり、第1の電極269及び第2の電極270としてNiを材料とした短管を備えた電極を用いると、面内均一性が1.69%であり、第1の電極269及び第2の電極270として短管を備えない電極を用いた場合、面内均一性が1.77%である。
以上のように、処理温度が545℃である場合も、処理温度が470℃である場合と同様に、処理室201内においてウエハ200が配置される位置にかかわらず、面内膜厚均一性は、第1の電極269及び第2の電極270として石英を材質とする短管を供えた電極を用いた場合が最も良く、第1の電極269及び第2の電極としてNiを材質とする短管を備えた電極を用いた場合が次に良く、第1の電極269及び第2の電極270として短管を有しない電極を用いた場合が最も悪い。
また、図12に示す測定結果から、処理温度が545℃である場合も、処理温度が470℃である場合と同様に、処理室201内のいずれの位置にウエハ200配置される場合であっても、第1の電極269及び第2の電極270として、材質が石英からなる短管を有する電極を用いた場合に、ウエハ200に形成される膜の厚さが最も厚く、第1の電極269及び第2の電極270として、材質がNiからなる短管を有する電極を用いた場合に、ウエハ200に形成される膜の膜厚が次に厚く、第1の電極269及び第2の電極270として、短管を有しない電極を用いた場合に、ウエハ200に形成される膜の膜厚が最も薄いことがわかる。
具体的には、処理温度が545℃であって、ウエハ200が処理室201内における上部に配置される場合、第1の電極269及び第2の電極270として石英を材料とした短管を備えた電極を用いると、形成される膜の膜厚は377.10Åであり、第1の電極269及び第2の電極270としてNiを材料とした短管を備えた電極を用いると、形成される膜の膜厚は371,98Åであり、第1の電極269及び第2の電極270として短管を備えない電極を用いると、形成される膜の膜厚は、370.39Åである。
次に、処理温度が545℃であって、ウエハ200が処理室201内における中央部に配置される場合は、第1の電極269及び第2の電極270として石英を材料とした短管を備えた電極を用いると、形成される膜の膜厚は381.28Åであり、第1の電極269及び第2の電極270としてNiを材料とした短管を備えた電極を用いると、形成される膜の膜厚は377.51Åであり、第1の電極269及び第2の電極270として短管を備えない電極を用いると形成される膜の膜厚は、377.15Åである。
次に、処理温度が545℃であって、ウエハ200が処理室201内における下部に配置される場合は、第1の電極269及び第2の電極270として石英を材料とした短管を備えた電極を用いると、形成される膜の膜厚は379.78Åであり、第1の電極269及び第2の電極270としてNiを材料とした短管を備えた電極を用いると、形成される膜の膜厚は375.13Åであり、第1の電極269及び第2の電極270として短管を備えない電極を用いると、形成される膜の膜厚は、374.98Åである。
以上のように、処理温度が545℃である場合も、処理温度が470℃である場合と同様に、処理室201内においてウエハ200が配置される位置にかかわらず、ウエハ200に形成される膜の膜厚は、第1の電極269及び第2の電極270として石英を材質とする短管を供えた電極を用いた場合が最も厚く、第1の電極269及び第2の電極としてNiを材質とする短管を備えた電極を用いた場合が次に厚く、第1の電極269及び第2の電極270として短管を有しない電極を用いた場合が最も薄い。
また、図12に示す測定結果から、処理温度が545℃である場合も、処理温度が470℃である場合と同様に第1の電極269及び第2の電極270として短管290を有しない電極を用いた場合と比較して、第1の電極269及び第2の電極270として、Ni及び石英のいずれかを材質とする短管290を備えた電極を用いた場合に、面間均一性が、向上していることがわかる。
具体的には、処理温度が545℃である場合、第1の電極269及び第2の電極270として短管290を有しない電極を用いると面間均一性が0.903%であり、第1の電極269及び第2の電極270として石英を材料とした短管を備えた電極を用いると面間均一性が0.551%であり、第1の電極269及び第2の電極270としてNiを材料とした短管を備えた電極を用いた場合は、面間均一性が0.737%である。このように、処理温度が545℃である場合においても、第1の電極269及び第2の電極270として短管290を有しない電極を用いた場合と比較して、第1の電極269及び第2の電極270として、Ni及び石英のいずれかを材質とする短管290を備えた電極を用いた場合に、面間均一性が向上している。
図13には、処理温度を545℃としてウエハ200に形成された膜の測定データが、用いる電極の種類、ウエハ200が処理室201内に配置される位置、及びウエハ200内における位置ごとに示されている。図13に示される測定データは、ウエハ200に形成された膜の周方向別変化率である。また、図13には、ウエハ200内における周方向変化率が測定される位置として、中心位置、位置1、位置2、及び位置3が示されている。ここで、位置1、位置2、位置3の順に、ウエハ200の中心からの距離が大きく定められている。
図13に示されるように、処理温度を545℃である場合も、処理温度が470℃である場合と同様に、処理室201内におけるウエハ200が配置される位置、及びウエハ200における周方向の位置がいずれの位置であっても、第1の電極269及び第2の電極270として材質がNiからなる短管を備えた電極を用いた場合の方が、第1の電極269及び第2の電極270として材質が石英からなる短管を用いた場合と比較して、周方向別変化率が小さい。
本発明は、特許請求の範囲に記載した事項を特徴とするが、さらに以下に付記した事項も含まれる。
[付記1]
基板を収容する処理室と、
前記処理室に処理ガスを供給するガス供給ユニットと、
前記処理室内の雰囲気を排気するガス排気ユニットと、
前記処理ガスを活性な状態とするため、高周波電力が印加される少なくとも一対の電極と、
前記一対の電極のそれぞれを、少なくとも一箇所が曲がった状態で収納する収納管と、
を備え、
前記電極は、
金属からなる芯線と、
この芯線により折曲可能であるように複数個が連結され、前記芯線よりも熱による変形が少ない管体と、
から構成される基板処理装置。
[付記2]
前記管体は、金属又は絶縁材からなる付記1記載の基板処理装置。
[付記3]
前記管体は石英からなる付記2記載の基板処理装置。
[付記4]
前記管体の形状は、略円筒形状又は略球状である付記1記載の基板処理装置。
[付記5]
前記芯線は、塑性変形可能な金属からなる付記1記載の基板処理装置。
[付記6]
前記芯線は、ニッケルからなる請求項1記載の基板処理装置。
[付記7]
前記電極は、前記管体の複数個の外表面を覆うように設けられ、金属からなり可撓性を有する網状の網組部材をさらに有する付記1記載の基板処理装置。
[付記8]
前記管体は、導電性材料からなる付記1記載の基板処理装置。
[付記9]
複数の基板を積層して収容する処理室と、
前記処理室に処理ガスを供給するガス供給ユニットと、
前記処理室内の雰囲気を排気するガス排気ユニットと、
前記処理ガスを活性な状態とするため、高周波電力が印加される少なくとも一対の電極と、
前記一対の電極のそれぞれを、少なくとも一箇所が曲がった状態で収納する収納管と、
前記処理室の外に設けられ、前記処理室内の雰囲気を加熱する加熱ユニットと、
を備え、
前記電極は、
金属又は絶縁材からなる複数の内部材と、
前記内部材のそれぞれを連結する金属からなる芯線と、
前記内部材の外表面を覆うように設けられた金属からなる網状の外部材と、
から構成される基板処理装置。