JP4495573B2 - 基板処理装置、及び基板処理方法 - Google Patents

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本発明は、シリコンウエハなどの基板に対し、基板表面のエッチングや、薄膜の形成などを行う基板処理装置に関するものである。
図7は従来の基板処理装置における処理炉202Jを上方から見た図8におけるd−d'断面での断面図、図8は同装置における処理炉202Jを横方向から見た図7におけるc−c'断面での断面図、図9は絶縁トランス(後述)の構成の詳細について説明するための図である。
従来の基板処理装置では、図7および図8に示すように、反応管203内部の壁面近くに垂直方向に細長いバッファ室237が設けられており、当該バッファ室237の内部には2本の電極保護管275で覆った第1の棒状電極269および第2の棒状電極270とバッファ室237内で均等なガス流を得るためのガスノズル233が設置されている。
同装置では、高周波電源273で発生する高周波電力が、整合器272等を介して第1の棒状電極269および第2の棒状電極270の端部に印加されると、バッファ室237内の第1の棒状電極269と第2の棒状電極270の間のプラズマ生成領域224にプラズマが生成される。そして、ガスノズル233から供給される反応性ガスを当該プラズマ生成領域224で生成されたプラズマにより励起させる。このようにして励起させた反応性ガスを、バッファ室237の壁面に形成されているガス供給孔248aを介して、反応室内のウエハ200に対して供給させる構成となっている。
上述のような構成の従来の基板処理装置では、バッファ室237内にて生成されるプラズマが、反応管203周辺の金属部分に対して広がらないようにプラズマ電流を遮断する目的で、絶縁トランス16が設置されている。
しかし、上述のような従来の構成では、第1の棒状電極269および第2の棒状電極270の端部に対して印加する高周波電力を大きくすると絶縁トランス16が発熱してしまい、反応性ガスを励起させるための十分なプラズマ密度を得ることができない場合があった。
本発明は上述した問題点を解決するためになされたものであり、プラズマをバッファ室内にとどめた状態で、プラズマ密度を上げることのできる基板処理装置を提供することを目的とする。
上述した課題を解決するため、本発明に係る基板処理装置は、基板を収容する処理室と、前記処理室内に処理ガスを供給するガス供給手段と、前記ガス供給手段により供給された処理ガスをプラズマ励起させるための一対の電極と、前記処理室を構成する反応管の内壁と基板との間に設けられ、前記一対の電極が設けられるバッファ室と、環状の磁性体に所定方向に所定回数だけ巻き付けられ、前記一対の電極の内のいずれか一方に一端が接続され、他端が高周波電源と接続されている第一のコイルと、前記環状の磁性体に前記所定方向とは逆方向に前記所定回数だけ巻き付けられ、前記一対の電極の内のいずれか他方に一端が接続され、他端が接地されている第二のコイルと、前記第一のコイルと前記高周波電源の間に接続され、インピーダンス制御を行なうための整合器とを有することを特徴とするものである。
また、本発明の基板処理方法は、基板を収容する処理室と、前記処理室内に処理ガスを供給するガス供給手段と、前記ガス供給手段により供給された処理ガスをプラズマ励起させるための一対の電極と、前記処理室を構成する反応管の内壁と基板との間に設けられ、前記一対の電極が設けられるバッファ室と、環状の磁性体に所定方向に所定回数だけ巻き付けられ、前記一対の電極の内のいずれか一方に一端が接続され、他端が高周波電源と接続されている第一のコイルと、前記環状の磁性体に前記所定方向とは逆方向に前記所定回数だけ巻き付けられ、前記一対の電極の内のいずれか他方に一端が接続され、他端が接地されている第二のコイルと、前記第一のコイルと前記高周波電源の間に接続され、インピーダンス制御を行なうための整合器とを有する基板処理装置によって行なわれる基板処理方法であって、前記処理室に基板を収容する工程と、前記ガス供給手段により前記処理室内に処理ガスを供給する工程と、前記一対の電極により前記ガス供給手段から供給された処理ガスをプラズマ励起させる工程とを有することを特徴とするものである。
以上に詳述したように本発明によれば、プラズマをバッファ室内にとどめた状態で、プラズマ密度を上げることのできる基板処理装置を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
図1および図2において、本発明が適用される基板処理装置の一例である半導体製造装置についての概略を説明する。
筐体101内部の前面側には、図示しない外部搬送装置との間で基板収納容器としてのカセット100の授受を行う保持具授受部材としてのカセットステージ105が設けられ、該カセットステージ105の後側には昇降手段としてのカセットエレベータ115が設けられ、該カセットエレベータ115には搬送手段としてのカセット移載機114が取りつけられている。又、前記カセットエレベータ115の後側には、前記カセット100の載置手段としてのカセット棚109が設けられると共に前記カセットステージ105の上方にも予備カセット棚110が設けられている。前記予備カセット棚110の上方にはクリーンユニット118が設けられクリーンエアを前記筐体101の内部を流通させるように構成されている。
前記筐体101の後部上方には、処理炉202が設けられ、該処理炉202の下方には基板としてのウエハ200を水平姿勢で多段に保持する基板保持手段としてのボート217を該処理炉202に昇降させる昇降手段としてのボートエレベータ121が設けられ、該ボートエレベータ121に取りつけられた昇降部材122の先端部には蓋体としてのシールキャップ219が取りつけられ該ボート217を垂直に支持している。前記ボートエレベータ121と前記カセット棚109との間には昇降手段としての移載エレベータ113が設けられ、該移載エレベータ113には搬送手段としてのウエハ移載機112が取りつけられている。又、前記ボートエレベータ121の横には、開閉機構を持ち前記処理炉202の下面を塞ぐ遮蔽部材としての炉口シャッタ116が設けられている。
なお、処理の均一性を向上する為にボート217を回転するための回転手段であるボート回転機構267(後述の図3参照)が設けてあり、ボート回転機構267を回転することにより、石英キャップ218に保持されたボート217を回転するようになっている。
前記ウエハ200が装填された前記カセット100は、図示しない外部搬送装置から前記カセットステージ105に該ウエハ200が上向き姿勢で搬入され、該ウエハ200が水平姿勢となるよう該カセットステージ105で90°回転させられる。さらに、前記カセット100は、前記カセットエレベータ115の昇降動作、横行動作及び前記カセット移載機114の進退動作、回転動作の協働により前記カセットステージ105から前記カセット棚109又は前記予備カセット棚110に搬送される。
カセット棚109にはウエハ移載機112の搬送対象となる前記カセット100が収納される移載棚123があり、ウエハ200が移載に供される該カセット100はカセットエレベータ115、カセット移載機114により該移載棚123に移載される。
カセット100が移載棚123に移載されると、前記ウエハ移載機112の進退動作、回転動作及び前記移載エレベータ113の昇降動作の協働により該移載棚123から降下状態の前記ボート217に前記ウエハ200を移載する。
前記ボート217に所定枚数の前記ウエハ200が移載されると前記ボートエレベータ121により該ボート217が前記処理炉202に挿入され、前記シールキャップ219により前記処理炉202が気密に閉塞される。気密に閉塞された前記処理炉202内では前記ウエハ200が加熱されると共に処理ガスが該処理炉202内に供給され、前記ウエハ200に処理がなされる。
前記ウエハ200への処理が完了すると、該ウエハ200は上記した動作の逆の手順により、前記ボート217から前記移載棚123の前記カセット100に移載され、該カセット100は前記カセット移載機114により該移載棚123から前記カセットステージ105に移載され、図示しない外部搬送装置により前記筐体101の外部に搬出される。
なお、前記炉口シャッタ116は、前記ボート217が降下状態の際に前記処理炉202の下面を塞ぎ(図2参照)、外気が該処理炉202内に巻き込まれるのを防止している。
前記カセット移載機114等の搬送動作は、搬送制御手段124により制御される。
続いて、本実施の形態による基板処理装置における、ウエハ等の基板へのプロセス処理例としてCVD法の中の1つであるALD法を用いた成膜処理について説明する。
ALD法は、ある成膜条件(温度、時間等)の下で、成膜に用いる2種類(またはそれ以上)の原料となるガスを1種類ずつ交互に基板上に供給し、1原子層単位で吸着させ、表面反応を利用して成膜を行う手法である。
ここで、利用する化学反応としては、例えばSiN(窒化珪素)膜形成の場合には、ALD法ではDCS(SiH2Cl2、ジクロルシラン)とNH3(アンモニア)を用いる。これにより、300〜600℃の低温で高品質の成膜が可能となる。また、ガス供給は、複数種類の反応性ガスを1種類ずつ交互に供給する。そして、膜厚制御は、反応性ガス供給のサイクル数で制御する(例えば、成膜速度が1Å/サイクルとすると、20Åの膜を形成する場合、処理を20サイクル行う。)。
図3は本実施の形態による基板処理装置における縦型の処理炉202の概略構成を示す処理炉部分の縦断面図、図4は本実施の形態による基板処理装置における処理炉202を上方から見た図5におけるb−b'断面での断面図、図5は処理炉202を横方向から見た図4におけるa−a'断面での断面図である。なお、図3は処理炉202を横方向から見た図4におけるe−e'断面での断面図となっている。
加熱手段であるヒータ207の内側に、基板であるウエハ200を処理する反応容器として反応管203が設けられ、この反応管203の下端開口は蓋体であるシールキャップ219により気密部材であるOリング220を介して気密に閉塞され、少なくとも、このヒータ207、反応管203、及びシールキャップ219により処理炉202を形成している。シールキャップ219には石英キャップ218を介して基板保持手段であるボート217が立設され、前記石英キャップ218はボートを保持する保持体となっている。そして、ボート217は処理炉(処理室)202に挿入される。ボート217にはバッチ処理される複数のウエハ200が水平姿勢で管軸方向に多段に積載される。前記ヒータ207は処理炉202に挿入されたウエハ200を所定の温度に加熱する。
そして、処理炉202へは複数種類、ここでは2種類のガスを供給する供給管としての2本のガス供給管232a、232bが設けられる。ここでは第1のガス供給管232aからは流量制御手段である第1のマスフローコントローラ241a及び開閉弁である第1のバルブ243aを介し、さらに後述する処理炉202内に形成されたバッファ室237を介して処理炉202に反応ガスが供給され、第2のガス供給管232bからは流量制御手段である第2のマスフローコントローラ241b、開閉弁である第2のバルブ243b、ガス溜め247、及び開閉弁である第3のバルブ243cを介して処理炉202に反応ガスが供給されている。
処理炉202は、ガスを排気する排気管であるガス排気管231により第4のバルブ243dを介して排気手段である真空ポンプ246に接続され、真空排気されるようになっている。なお、この第4のバルブ243dは弁を開閉して処理炉202の真空排気・真空排気停止ができ、さらに弁開度を調節して圧力調整可能になっている開閉弁である。
処理炉202を構成している反応管203の内壁とウエハ200との間における円弧状の空間には、反応管203の下部より上部の内壁にウエハ200の積載方向に沿って、ガス分散空間であるバッファ室237が設けられており、バッファ室237のウエハ200と隣接する壁の端部にはガスを供給する供給孔であるガス供給孔248aが設けられている。このガス供給孔248aは反応管203の中心へ向けて開口している。このガス供給孔248aは、下部から上部にわたってそれぞれ同一の開口面積を有し、さらに同じ開口ピッチで設けられている。
そしてバッファ室237のガス供給孔248aが設けられた端部と反対側の端部には、ガスノズル(ガス供給手段)233が、やはり反応管203の下部より上部にわたりウエハ200の積載方向に沿って配設されている。このガスノズル233の供給孔の開口面積は、バッファ室237と処理炉202の差圧が小さい場合には、上流側から下流側まで同一の開口面積で同一の開口ピッチとすると良いが、差圧が大きい場合には上流側から下流側に向かって開口面積を大きくするか、開口ピッチを小さくすると良い。
本実施の形態では、ガスノズル233の供給孔の開口面積や開口ピッチを上流側から下流にかけて調節することで、ガスノズル233の各供給孔から供給されるガスの流速に差がある場合でも、各供給孔から供給されるガスの流量がほぼ同量となるように設定されている。そしてこのガスノズル233の各供給孔から噴出するガスをバッファ室237に噴出させて一旦導入し、前記ガスの流速差の均一化を行う構成となっている。
すなわち、バッファ室237において、ガスノズル233の各供給孔より噴出したガスはバッファ室237で各ガスの粒子速度が緩和された後、ガス供給孔248aより処理炉202に噴出する。この間に、ガスノズル233の各供給孔より噴出したガスは、各ガス供給孔248aより噴出する際には、均一な流量と流速とを有するガスとなる。
また、バッファ室237には、細長い構造を有する第1の電極である第1の棒状電極269及び第2の電極である第2の棒状電極270が、上部より下部にわたって電極を保護する保護管である電極保護管275に保護されて配設されている。
ここで、第1の棒状電極269は阻止インダクタンス20bを介して基準電位であるアースに接続されており、第2の棒状電極270は阻止インダクタンス20aおよび整合器272等を介して高周波電源273に接続されている。このような構成において、高周波電源273により印加された高周波電圧に基づいて、第1の棒状電極269及び第2の棒状電極270間のプラズマ生成領域224にプラズマが生成される。
この電極保護管275は、第1の棒状電極269及び第2の棒状電極270のそれぞれをバッファ室237の雰囲気と隔離した状態でバッファ室237に挿入できる構造となっている。ここで、電極保護管275の内部は外気(大気)と同一雰囲気であると、電極保護管275にそれぞれ挿入された第1の棒状電極269及び第2の棒状電極270がヒータ207の加熱で酸化されてしまうおそれがある。そこで、電極保護管275の内部は窒素などの不活性ガスを充填あるいはパージし、酸素濃度を充分低く抑えて第1の棒状電極269又は第2の棒状電極270の酸化を防止する構成(不活性ガスパージ機構)としている。
制御手段であるコントローラ221は、第1のマスフローコントローラ241aおよび第2のマスフローコントローラ241b、第1のバルブ243a〜第4のバルブ243d、ヒータ207、真空ポンプ246、ボート回転機構267、図中省略のボート昇降機構、高周波電源273、整合器272に接続されている。コントローラ221により、第1のマスフローコントローラ241aおよび第2のマスフローコントローラ241bの流量調整、第1のバルブ243a〜第3のバルブ243cの開閉動作、第4のバルブ243dの開閉及び圧力調整動作、ヒータ207の温度調節、真空ポンプ246の起動や停止、ボート回転機構267の回転速度調節、ボート昇降機構の昇降動作制御、高周波電源273の電力供給制御、整合器272によるインピーダンス制御が行われる。
次にALD法による成膜例について、DCS及びNH3ガスを用いてSiN膜を成膜する例で説明する。成膜しようとするウエハ200をボート217に装填し、処理炉202に搬入する。搬入後、次の3つのステップを順次実行する。
(ステップ1)
ステップ1では、プラズマ励起の必要なNH3ガスと、プラズマ励起の必要のないDCSガスとを平行して流す。まず第1のガス供給管232aに設けた第1のバルブ243a、及びガス排気管231に設けた第4のバルブ243dを共に開けて、第1のガス供給管232aから第1のマスフローコントローラ243aにより流量調整されたNH3ガスをガスノズル233の供給孔からバッファ室237へ噴出し、第1の棒状電極269及び第2の棒状電極270(一対の電極)間に高周波電源273から整合器272を介して高周波電力を印加してNH3ガスをプラズマにより励起し、活性種として処理炉202に供給しつつガス排気管231から排気する。NH3ガスをプラズマ励起することにより活性種として流すときは、第4のバルブ243dを適正に調整して処理炉202内の圧力を10〜100Paとする。第1のマスフローコントローラ241aで制御するNH3の供給流量は1000〜10000sccmである。NH3をプラズマ励起することにより得られた活性種にウエハ200を晒す時間は2〜120秒間である。このときのヒータ207の温度はウエハが300〜600℃になるよう設定してある。NH3は反応温度が高いため、上記ウエハ温度では反応しないので、プラズマ励起することにより活性種としてから流すようにしており、このためウエハ温度は設定した低い温度範囲のままで行える。
このNH3をプラズマ励起することにより活性種として供給しているとき、第2のガス供給管232bの上流側の第2のバルブ243bを開け、下流側の第3のバルブ243cを閉めて、DCSも流すようにする。これにより第2バルブ243bと第3のバルブ243cとの間に設けられているガス溜め247にDCSを溜める。このとき、処理炉202内に流しているガスはNH3をプラズマ励起することにより得られた活性種であり、DCSは存在しない。したがって、NH3は気相反応を起こすことはなく、プラズマにより励起され活性種となったNH3はウエハ200上の下地膜と表面反応する。
(ステップ2)
ステップ2では、第1のガス供給管232aの第1のバルブ243aを閉めて、NH3の供給を止めるが、引続きガス溜め247へ供給を継続する。ガス溜め247に所定圧力かつ所定量のDCSが溜まったら上流側の第2のバルブ243bも閉めて、ガス溜め247にDCSを閉じ込めておく。また、ガス排気管231の第4のバルブ243dは開いたままにし真空ポンプ246により、処理炉202を20Pa以下に排気し、残留NH3を処理炉202から排除する。また、この時にはN2等の不活性ガスを処理炉202に供給すると、さらに残留NH3を排除する効果が高まる。ガス溜め247内には、圧力が20000Pa以上になるようにDCSを溜める。また、ガス溜め247と処理炉202との間のコンダクタンスが1.5×10-33/s以上になるように装置を構成する。また、反応管203容積とこれに対する必要なガス溜め247の容積との比として考えると、反応管203容積100l(リットル)の場合においては、100〜300ccであることが好ましく、容積比としてはガス溜め247は反応室容積の1/1000〜3/1000倍とすることが好ましい。
(ステップ3)
ステップ3では、処理炉202の排気が終わったらガス排気管231の第4のバルブ243dを閉じて排気を止める。第2のガス供給管232bの下流側の第3のバルブ243cを開く。これによりガス溜め247に溜められたDCSが処理炉202に一気に供給される。このときガス排気管231の第4のバルブ243dが閉じられているので、処理炉202内の圧力は急激に上昇して約931Pa(7Torr)まで昇圧される。DCSを供給するための時間は2〜4秒設定し、その後上昇した圧力雰囲気中に晒す時間を2〜4秒に設定し、合計6秒とした。このときのウエハ温度はNH3の供給時と同じく、300〜600℃である。DCSの供給により、下地膜上のNH3とDCSとが表面反応して、ウエハ200上にSiN膜が成膜される。成膜後、第3のバルブ243cを閉じ、第4のバルブ243dを開けて処理炉202を真空排気し、残留するDCSの成膜に寄与した後のガスを排除する。また、この時にはN2等の不活性ガスを処理炉202に供給すると、さらに残留するDCSの成膜に寄与した後のガスを処理炉202から排除する効果が高まる。また第2のバルブ243bを開いてガス溜め247へのDCSの供給を開始する。
上記ステップ1〜3を1サイクルとし、このサイクルを複数回繰り返すことによりウエハ上に所定膜厚のSiN膜を成膜する。
ALD装置では、ガスは下地膜表面に吸着する。このガスの吸着量は、ガスの圧力、及びガスの暴露時間に比例する。よって、希望する一定量のガスを、短時間で吸着させるためには、ガスの圧力を短時間で大きくする必要がある。この点で、本実施の形態では、第4のバルブ243dを閉めたうえで、ガス溜め247内に溜めたDCSを瞬間的に供給しているので、処理炉202内のDCSの圧力を急激に上げることができ、希望する一定量のガスを瞬間的に吸着させることができる。
また、本実施の形態では、ガス溜め247にDCSを溜めている間に、ALD法で必要なステップであるNH3ガスをプラズマ励起することにより活性種として供給、及び処理炉202の排気をしているので、DCSを溜めるための特別なステップを必要としない。また、処理炉202内を排気してNH3ガスを除去してからDCSを流すので、両者はウエハ200に向かう途中で反応しない。供給されたDCSは、ウエハ200に吸着しているNH3とのみ有効に反応させることができる。
図6は、阻止インダクタンス(高周波阻止用コイル)の構成の詳細について説明するための図である。
本実施の形態では、阻止インダクタンス20a(第一のコイル)および阻止インダクタンス20b(第二のコイル)は、トロイダル状の磁性体21にそれぞれ逆方向に同じ回数だけ巻きつけられた構成となっている。
阻止インダクタンス20aの一方の端部は第2の棒状電極270と接続され、他方の端部は整合器272と接続される。また、阻止インダクタンス20bの一方の端部は第1の棒状電極269と接続され、他方の端部はグランドに接続される。
すなわち、阻止インダクタンス20aは、環状の磁性体に所定方向に所定回数だけ巻き付けられ、第2の棒状電極270を高周波電源と接続している。また、阻止インダクタンス20bは、環状の磁性体に前記所定方向とは逆方向に前記所定回数だけ巻き付けられ、第1の棒状電極269を接地させている。
高周波電源273から整合器272および阻止インダクタンス20aを介して第2の棒状電極270に高周波電流が供給される際、電磁誘導によって、阻止インダクタンス20bには阻止インダクタンス20aとは逆方向に等しい大きさの電流が流れる。
これにより、第1の棒状電極269と第2の棒状電極270に流れる高周波電流により発生する磁束は逆方向となり相殺し合うため、磁性体21には磁束は発生せず、従来の高周波トランスでは磁性体が磁気飽和してしまうような大きい高周波電流を供給する場合においても動作可能であり、高周波電流に基づく発熱による不具合を生じることなく、高密度プラズマを安定的に生成することができる。
また、本実施の形態によれば、第1の棒状電極269および第2の棒状電極270から反応管周辺の金属部分への高周波電流については、阻止インダクタンス20aおよび阻止インダクタンス20bが大きな抵抗となり、第1の棒状電極269および第2の棒状電極270と反応管周辺の金属部分との間でのプラズマの発生は抑制される。一方、第1の棒状電極269と第2の棒状電極270に流れる高周波電流により発生する磁束は逆方向となり相殺し合うため、磁性体21には磁束は発生せず、阻止インダクタンス20aおよび阻止インダクタンス20bは高周波電流の抵抗とはならない。これにより、棒状電極間に流れる高周波電流はバッファ室237内に局在することとなり、バッファ室内に高密度プラズマを生成することができる。
以上述べたように、本実施の形態によれば、積載された基板を処理する縦型の反応室と、処理用の複数のガスを基板に供給するためのガス供給系と、前記ガス供給系から基板に供給されるガスを一旦蓄えて、前記積載された基板にガスを均一に供給するバッファ室と、前記バッファ室の中にプラズマを生成するための電極を設けた装置において、バッファ室の外側の空間で、プラズマが生成されることを防止するために、バッファ室内の棒状電極から反応室周辺の導電体部材への高周波電流を抑制する基板処理装置を提供することができる。
また、本実施の形態によれば、基板を収容する処理室と、前記処理室内に処理ガスを供給するガス供給手段と、前記処理室内の前記処理ガスを排出する排出手段と、前記処理ガスをプラズマ励起させるための一対の電極とを有し、前記一対の電極のそれぞれは、環状の磁性体にそれぞれ逆方向に同じ回数を巻いた巻線に接続され、さらに、一方の巻線は高周波電源に接続され、他方の巻線は接地されていることを特徴とする基板処理装置を提供することができる。
本発明の実施の形態による基板処理装置を示す斜視図である。 本実施の形態による基板処理装置を示す断面図である。 本実施の形態による基板処理装置における縦型の処理炉202の概略構成を示す処理炉部分の縦断面図である。 本実施の形態による基板処理装置における処理炉202を上方から見た図5におけるb−b'断面での断面図である。 処理炉202を横方向から見た図4におけるa−a'断面での断面図である。 阻止インダクタンスの構成の詳細について説明するための図である。 従来の基板処理装置における反応室部分を上方から見た図8におけるd−d'断面での断面図である。 同装置を横方向から見た図7におけるc−c'断面での断面図である。 絶縁トランスの構成の詳細について説明するための図である。
符号の説明
100 カセット、101 筐体、105 カセットステージ、109 カセット棚、110 予備カセット棚、112 ウエハ移載機、113 移載エレベータ、114 カセット移載機、115 カセットエレベータ、116 炉口シャッタ、118 クリーンユニット、121 ボートエレベータ、122 昇降部材、123 移載棚、124 搬送制御手段、200 ウエハ、202 処理炉、203 反応管、207 ヒータ、217 ボート、218 石英キャップ、219 シールキャップ、220 Oリング、221 コントローラ、224 プラズマ生成領域、231 ガス排気管、232a 第1のガス供給管、232b 第2のガス供給管、233 ノズル、237 バッファ室、241a 第1のマスフローコントローラ、241b 第2のマスフローコントローラ、243a 第1のバルブ、243b 第2のバルブ、243c 第3のバルブ、243d 第4のバルブ、246 真空ポンプ、247 ガス溜め、248a ガス供給孔、267 ボート回転機構、269 第1の棒状電極、270 第2の棒状電極、272 整合器、273 高周波電源、275 電極保護管。

Claims (2)

  1. 基板を収容する処理室と、
    前記処理室内に処理ガスを供給するガス供給手段と、
    前記ガス供給手段により供給された処理ガスをプラズマ励起させるための一対の電極と、
    前記処理室を構成する反応管の内壁と基板との間に設けられ、前記一対の電極が設けられるバッファ室と、
    環状の磁性体に所定方向に所定回数だけ巻き付けられ、前記一対の電極の内のいずれか一方に一端が接続され、他端が高周波電源と接続されている第一のコイルと、
    前記環状の磁性体に前記所定方向とは逆方向に前記所定回数だけ巻き付けられ、前記一対の電極の内のいずれか他方に一端が接続され、他端が接地されている第二のコイルと
    前記第一のコイルと前記高周波電源の間に接続され、インピーダンス制御を行なうための整合器と
    を有することを特徴とする基板処理装置。
  2. 基板を収容する処理室と、
    前記処理室内に処理ガスを供給するガス供給手段と、
    前記ガス供給手段により供給された処理ガスをプラズマ励起させるための一対の電極と、
    前記処理室を構成する反応管の内壁と基板との間に設けられ、前記一対の電極が設けられるバッファ室と、
    環状の磁性体に所定方向に所定回数だけ巻き付けられ、前記一対の電極の内のいずれか一方に一端が接続され、他端が高周波電源と接続されている第一のコイルと、
    前記環状の磁性体に前記所定方向とは逆方向に前記所定回数だけ巻き付けられ、前記一対の電極の内のいずれか他方に一端が接続され、他端が接地されている第二のコイルと、
    前記第一のコイルと前記高周波電源の間に接続され、インピーダンス制御を行なうための整合器とを有する基板処理装置によって行なわれる基板処理方法であって、
    前記処理室に基板を収容する工程と、
    前記ガス供給手段により前記処理室内に処理ガスを供給する工程と、
    前記一対の電極により前記ガス供給手段から供給された処理ガスをプラズマ励起させる工程と
    を有することを特徴とする基板処理方法。
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