JP4634155B2 - 基板処理装置及び成膜方法 - Google Patents

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Description

本発明は、シリコンウエハなどの基板に対し、基板表面のエッチングや、薄膜の形成などを行う基板処理装置に関するものである。
図5は従来の基板処理装置における処理炉202Jを上方から見た図6におけるd−d'断面での断面図、図6は同装置における処理炉202Jを横方向から見た図5におけるc−c'断面での断面図である。
従来の基板処理装置では、図5および図6に示すように、反応管203内部の壁面近くに垂直方向に細長いバッファ室237が設けられており、当該バッファ室237の内部には2本の電極保護管275で覆った第1の棒状電極269および第2の棒状電極270とバッファ室237内で均等なガス流を得るためのガスノズル233が設置されている。
同装置では、高周波電源273で発生する高周波電力が、整合器272(整合器インダクタ23、整合器キャパシタ24aおよび整合器キャパシタ24bから構成される)を介して第2の棒状電極270の端部に印加されると、バッファ室237内の第1の棒状電極269と第2の棒状電極270の間のプラズマ生成領域224にプラズマが生成される。そして、ガスノズル233から供給される反応性ガスを当該プラズマ生成領域224で生成されたプラズマにより励起させる。このようにして励起させた反応性ガスを、バッファ室237の壁面に形成されているガス供給孔248aを介して、反応室内のウエハ200に対して供給させる構成となっている。
上述のような構成の従来の基板処理装置においてプラズマ放電させる場合、高周波電源273からの電力を整合器キャパシタ24aおよび整合器インダクタ23を介して第2の棒状電極270に供給する。
プラズマ放電開始時は、第1の棒状電極269と第2の棒状電極270の間の静電容量(C成分)、整合器キャパシタ24aおよび整合器インダクタ23によって共振回路を構成し、第1の棒状電極269と第2の棒状電極270との間での電圧値を上げて、プラズマ放電を起こさせる。プラズマ放電後は、発生したプラズマ放電によって第1の棒状電極269と第2の棒状電極270との間のインピーダンスが大きく変動するため、整合器272が整合状態(共振状態)を維持するように動作する。このように整合器272は、一対の棒状電極の内いずれか一方と高周波電源273との間のインピーダンス整合を行う役割を有している。
上述のような従来の基板処理装置では、処理に用いるガスを短時間で切替え、その都度プラズマ放電とプラズマ放電の停止とを繰り返すような成膜方法を行う場合に、整合器272の第1の棒状電極269と第2の棒状電極270の間のインピーダンスに応じた追従動作が、プラズマ放電に応じて頻繁に行われるため、ウエハへの成膜処理の処理効率の低下(成膜レートの低下)の原因となる場合があった。
本発明は上述した問題点を解決するためになされたものであり、整合器による整合動作を頻繁に行うことなく、安定したプラズマ放電を実現することのできる基板処理装置を提供することを目的とする。
上述した課題を解決するため、本発明に係る基板処理装置は、基板を収容する処理室と、前記処理室内に処理ガスを供給するガス供給手段と、高周波電圧を印加されることによりプラズマを発生させ、該発生させたプラズマによって前記ガス供給手段により供給された処理ガスをプラズマ励起させるための一対の電極と、前記一対の電極の内いずれか一方と高周波電源との間に接続されるとともに、前記一対の電極の内いずれか一方と高周波電源との間のインピーダンス整合を行う整合器と、前記一対の電極のうち一方の電極と他方の電極とを接続するキャパシタとを有することを特徴とするものである。
又、上述のような構成の基板処理装置は、前記プラズマが、ガス供給手段による前記処理ガスの供給タイミングに応じて、生成と非生成とが繰り返される処理において適用されることが更なる特徴とするものである。
以上に詳述したように本発明によれば、整合器による整合動作を頻繁に行うことなく、安定したプラズマ放電を実現することのできる基板処理装置を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
図1および図2において、本発明が適用される基板処理装置の一例である半導体製造装置についての概略を説明する。
筐体101内部の前面側には、図示しない外部搬送装置との間で基板収納容器としてのカセット100の授受を行う保持具授受部材としてのカセットステージ105が設けられ、該カセットステージ105の後側には昇降手段としてのカセットエレベータ115が設けられ、該カセットエレベータ115には搬送手段としてのカセット移載機114が取りつけられている。又、前記カセットエレベータ115の後側には、前記カセット100の載置手段としてのカセット棚109が設けられると共に前記カセットステージ105の上方にも予備カセット棚110が設けられている。前記予備カセット棚110の上方にはクリーンユニット118が設けられクリーンエアを前記筐体101の内部を流通させるように構成されている。
前記筐体101の後部上方には、処理炉(処理室)202が設けられ、該処理炉202の下方には基板としてのウエハ200を水平姿勢で多段に保持する基板保持手段としてのボート217を該処理炉202に昇降させる昇降手段としてのボートエレベータ121が設けられ、該ボートエレベータ121に取りつけられた昇降部材122の先端部には蓋体としてのシールキャップ219が取りつけられ該ボート217を垂直に支持している。前記ボートエレベータ121と前記カセット棚109との間には昇降手段としての移載エレベータ113が設けられ、該移載エレベータ113には搬送手段としてのウエハ移載機112が取りつけられている。又、前記ボートエレベータ121の横には、開閉機構を持ち前記処理炉202の下面を塞ぐ遮蔽部材としての炉口シャッタ116が設けられている。
なお、処理の均一性を向上する為にボート217を回転するための回転手段であるボート回転機構267(後述の図3参照)が設けてあり、ボート回転機構267を回転することにより、石英キャップ218に保持されたボート217を回転するようになっている。
前記ウエハ200が装填された前記カセット100は、図示しない外部搬送装置から前記カセットステージ105に該ウエハ200が上向き姿勢で搬入され、該ウエハ200が水平姿勢となるよう該カセットステージ105で90°回転させられる。さらに、前記カセット100は、前記カセットエレベータ115の昇降動作、横行動作及び前記カセット移載機114の進退動作、回転動作の協働により前記カセットステージ105から前記カセット棚109又は前記予備カセット棚110に搬送される。
カセット棚109にはウエハ移載機112の搬送対象となる前記カセット100が収納される移載棚123があり、ウエハ200が移載に供される該カセット100はカセットエレベータ115、カセット移載機114により該移載棚123に移載される。
カセット100が移載棚123に移載されると、前記ウエハ移載機112の進退動作、回転動作及び前記移載エレベータ113の昇降動作の協働により該移載棚123から降下状態の前記ボート217に前記ウエハ200を移載する。
前記ボート217に所定枚数の前記ウエハ200が移載されると前記ボートエレベータ121により該ボート217が前記処理炉202に挿入され、前記シールキャップ219により前記処理炉202が気密に閉塞される。気密に閉塞された前記処理炉202内では前記ウエハ200が加熱されると共に処理ガスが該処理炉202内に供給され、前記ウエハ200に処理がなされる。
前記ウエハ200への処理が完了すると、該ウエハ200は上記した動作の逆の手順により、前記ボート217から前記移載棚123の前記カセット100に移載され、該カセット100は前記カセット移載機114により該移載棚123から前記カセットステージ105に移載され、図示しない外部搬送装置により前記筐体101の外部に搬出される。
なお、前記炉口シャッタ116は、前記ボート217が降下状態の際に前記処理炉202の下面を塞ぎ(図2参照)、外気が該処理炉202内に巻き込まれるのを防止している。
前記カセット移載機114等の搬送動作は、搬送制御手段124により制御される。
続いて、本実施の形態による基板処理装置における、ウエハ等の基板へのプロセス処理例としてCVD法の中の1つであるALD法を用いた成膜処理について説明する。
ALD法は、ある成膜条件(温度、時間等)の下で、成膜に用いる2種類(またはそれ以上)の原料となるガスを1種類ずつ交互に基板上に供給し、1原子層単位で吸着させ、表面反応を利用して成膜を行う手法である。
ここで、利用する化学反応としては、例えばSiN(窒化珪素)膜形成の場合には、ALD法ではDCS(SiH2Cl2、ジクロルシラン)とNH3(アンモニア)を用いる。これにより、300〜600℃の低温で高品質の成膜が可能となる。また、ガス供給は、複数種類の反応性ガスを1種類ずつ交互に供給する。そして、膜厚制御は、反応性ガス供給のサイクル数で制御する(例えば、成膜速度が1Å/サイクルとすると、20Åの膜を形成する場合、処理を20サイクル行う。)。
図3は本実施の形態による基板処理装置における縦型の処理炉202の概略構成を示す処理炉部分の縦断面図、図4は本実施の形態による基板処理装置における処理炉202を上方から見た図3におけるb−b'断面での断面図である。なお、図3は処理炉202を横方向から見た図4におけるe−e'断面での断面図となっている。本実施の形態による基板処理装置における処理炉202を横方向から見た図4におけるa−a'断面での断面図は、上述した従来の基板処理装置における構成(図6参照)と同様であるため、説明は割愛する。
加熱手段であるヒータ207の内側に、基板であるウエハ200を処理する反応容器として反応管203が設けられ、この反応管203の下端開口は蓋体であるシールキャップ219により気密部材であるOリング220を介して気密に閉塞され、少なくとも、このヒータ207、反応管203、及びシールキャップ219により処理炉202を形成している。シールキャップ219には石英キャップ218を介して基板保持手段であるボート217が立設され、前記石英キャップ218はボートを保持する保持体となっている。そして、ボート217は処理炉202に挿入される。ボート217にはバッチ処理される複数のウエハ200が水平姿勢で管軸方向に多段に積載される。前記ヒータ207は処理炉202に挿入されたウエハ200を所定の温度に加熱する。
そして、処理炉202へは複数種類、ここでは2種類のガスを供給する供給管としての2本のガス供給管232a、232bが設けられる。ここでは第1のガス供給管232aからは流量制御手段である第1のマスフローコントローラ241a及び開閉弁である第1のバルブ243aを介し、さらに後述する処理炉202内に形成されたバッファ室237を介して処理炉202に反応ガスが供給され、第2のガス供給管232bからは流量制御手段である第2のマスフローコントローラ241b、開閉弁である第2のバルブ243b、ガス溜め247、及び開閉弁である第3のバルブ243cを介して処理炉202に反応ガスが供給されている。
処理炉202は、ガスを排気する排気管であるガス排気管231により第4のバルブ243dを介して排気手段である真空ポンプ246に接続され、真空排気されるようになっている。なお、この第4のバルブ243dは弁を開閉して処理炉202の真空排気・真空排気停止ができ、さらに弁開度を調節して圧力調整可能になっている開閉弁である。
処理炉202を構成している反応管203の内壁とウエハ200との間における円弧状の空間には、反応管203の下部より上部の内壁にウエハ200の積載方向に沿って、ガス分散空間であるバッファ室237が設けられており、バッファ室237のウエハ200と隣接する壁の端部にはガスを供給する供給孔であるガス供給孔248aが設けられている。このガス供給孔248aは反応管203の中心へ向けて開口している。このガス供給孔248aは、下部から上部にわたってそれぞれ同一の開口面積を有し、さらに同じ開口ピッチで設けられている。
そしてバッファ室237のガス供給孔248aが設けられた端部と反対側の端部には、ガスノズル(ガス供給手段)233が、やはり反応管203の下部より上部にわたりウエハ200の積載方向に沿って配設されている。このガスノズル233の供給孔の開口面積は、バッファ室237と処理炉202の差圧が小さい場合には、上流側から下流側まで同一の開口面積で同一の開口ピッチとすると良いが、差圧が大きい場合には上流側から下流側に向かって開口面積を大きくするか、開口ピッチを小さくすると良い。
本実施の形態では、ガスノズル233の供給孔の開口面積や開口ピッチを上流側から下流にかけて調節することで、ガスノズル233の各供給孔から供給されるガスの流速に差がある場合でも、各供給孔から供給されるガスの流量がほぼ同量となるように設定されている。そしてこのガスノズル233の各供給孔から噴出するガスをバッファ室237に噴出させて一旦導入し、前記ガスの流速差の均一化を行う構成となっている。
すなわち、バッファ室237において、ガスノズル233の各供給孔より噴出したガスはバッファ室237で各ガスの粒子速度が緩和された後、ガス供給孔248aより処理炉202に噴出する。この間に、ガスノズル233の各供給孔より噴出したガスは、各ガス供給孔248aより噴出する際には、均一な流量と流速とを有するガスとなる。
また、バッファ室237には、細長い構造を有する第1の電極である第1の棒状電極269及び第2の電極である第2の棒状電極270が、上部より下部にわたって電極を保護する保護管である電極保護管275に保護されて配設されている。
この電極保護管275は、第1の棒状電極269及び第2の棒状電極270(一対の電極)のそれぞれをバッファ室237の雰囲気と隔離した状態でバッファ室237に挿入できる構造となっている。ここで、電極保護管275の内部が外気(大気)と同一雰囲気であると、電極保護管275にそれぞれ挿入された第1の棒状電極269及び第2の棒状電極270がヒータ207の加熱で酸化されてしまうおそれがある。そこで、電極保護管275の内部は窒素などの不活性ガスを充填あるいはパージし、酸素濃度を充分低く抑えて第1の棒状電極269又は第2の棒状電極270の酸化を防止する構成(不活性ガスパージ機構)としている。
第2の棒状電極270は整合器インダクタ23および整合器キャパシタ24aを介して高周波電源273に接続されており、第1の棒状電極269は基準電位であるアースに接続されている。また、高周波電源273と整合器キャパシタ24aとの間で整合器キャパシタ24bを介してグランドに接続されている。また、第1の棒状電極269と第2の棒状電極270とは、電極間キャパシタ22を介して接続されている。ここで、整合器インダクタ23、整合器キャパシタ24aおよび整合器キャパシタ24bから整合器272が構成されている。
上述した従来の基板処理装置におけるプラズマ放電では、一旦第1の棒状電極269と第2の棒状電極270の間の電圧が上昇する位置(プラズマ未発生時の整合位置)に整合器を移動させ、プラズマが点火してから、整合器をプラズマ発生時の整合位置に移動させる。整合器にできるだけ整合動作を行わせないようにするためには、プラズマ点火時とプラズマ非点火時の第1の棒状電極269と第2の棒状電極270の間のインピーダンスの変動量を少なくする必要がある。
本実施の形態による基板処理装置では、高周波電源273により高周波電圧が印加された直後は、非放電状態で、電極間キャパシタ22、整合器インダクタ23および整合器キャパシタ24aによって共振回路が構成される。このとき、十分な電極間電圧が印加されることにより、第1の棒状電極269と第2の棒状電極270の間におけるプラズマ生成領域224にプラズマが生成される。このプラズマは、ガス供給手段による前記処理ガスの供給タイミングに応じて、生成と非生成とが繰り返される。
プラズマ放電が起こると、第1の棒状電極269と第2の棒状電極270の間でのインピーダンスの変化が起こるが、このインピーダンスの変化量は、電極間キャパシタ22のインピーダンスに比べて無視しうる差であるため、整合器272による追従動作は生じない。
また、高周波電圧の印加を一旦止めた後、高周波電圧の印加を再開する場合においても、前回のプラズマ放電時の整合器272における整合位置と今回のプラズマ放電時の整合器272における整合位置にほとんど差がないため、十分な端子間電圧が印加され、瞬時にプラズマ放電状態を得ることができる。
なお、電極間キャパシタ22のインピーダンス値は、低すぎると放電開始に必要なだけの端子間電圧が得られないため、放電開始に必要な端子電圧を得られるような所定のインピーダンス値に設定されている。
制御手段であるコントローラ221は、第1のマスフローコントローラ241aおよび第2のマスフローコントローラ241b、第1のバルブ243a〜第4のバルブ243d、ヒータ207、真空ポンプ246、ボート回転機構267、図中省略のボート昇降機構、高周波電源273、整合器272に接続されている。コントローラ221により、第1のマスフローコントローラ241aおよび第2のマスフローコントローラ241bの流量調整、第1のバルブ243a〜第3のバルブ243cの開閉動作、第4のバルブ243dの開閉及び圧力調整動作、ヒータ207の温度調節、真空ポンプ246の起動や停止、ボート回転機構267の回転速度調節、ボート昇降機構の昇降動作制御、高周波電源273の電力供給制御、整合器272によるインピーダンス制御が行われる。
次にALD法による成膜例について、DCS及びNH3ガスを用いてSiN膜を成膜する例で説明する。成膜しようとするウエハ200をボート217に装填し、処理炉202に搬入する。搬入後、次の3つのステップを順次実行する。
(ステップ1)
ステップ1では、プラズマ励起の必要なNH3ガスと、プラズマ励起の必要のないDCSガスとを平行して流す。まず第1のガス供給管232aに設けた第1のバルブ243a、及びガス排気管231に設けた第4のバルブ243dを共に開けて、第1のガス供給管232aから第1のマスフローコントローラ243aにより流量調整されたNH3ガスをガスノズル233の供給孔からバッファ室237へ噴出し、第1の棒状電極269及び第2の棒状電極270間に高周波電源273から整合器272を介して高周波電力を印加してNH3をプラズマ励起し、活性種として処理炉202に供給しつつガス排気管231から排気する。NH3ガスをプラズマ励起することにより活性種として流すときは、第4のバルブ243dを適正に調整して処理炉202内の圧力を10〜100Paとする。第1のマスフローコントローラ241aで制御するNH3の供給流量は1000〜10000sccmである。NH3をプラズマ励起することにより得られた活性種にウエハ200を晒す時間は2〜120秒間である。このときのヒータ207の温度はウエハが300〜600℃になるよう設定してある。NH3は反応温度が高いため、上記ウエハ温度では反応しないので、プラズマ励起することにより活性種としてから流すようにしており、このためウエハ温度は設定した低い温度範囲のままで行える。
このNH3をプラズマ励起することにより活性種として供給しているとき、第2のガス供給管232bの上流側の第2のバルブ243bを開け、下流側の第3のバルブ243cを閉めて、DCSも流すようにする。これにより第2バルブ243bと第3のバルブ243cとの間に設けられているガス溜め247にDCSを溜める。このとき、処理炉202内に流しているガスはNH3をプラズマ励起することにより得られた活性種であり、DCSは存在しない。したがって、NH3は気相反応を起こすことはなく、プラズマにより励起され活性種となったNH3はウエハ200上の下地膜と表面反応する。
(ステップ2)
ステップ2では、第1のガス供給管232aの第1のバルブ243aを閉めて、NH3の供給を止めるが、引続きガス溜め247へ供給を継続する。ガス溜め247に所定圧力かつ所定量のDCSが溜まったら上流側の第2のバルブ243bも閉めて、ガス溜め247にDCSを閉じ込めておく。また、ガス排気管231の第4のバルブ243dは開いたままにし真空ポンプ246により、処理炉202を20Pa以下に排気し、残留NH3を処理炉202から排除する。また、この時にはN2等の不活性ガスを処理炉202に供給すると、さらに残留NH3を排除する効果が高まる。ガス溜め247内には、圧力が20000Pa以上になるようにDCSを溜める。また、ガス溜め247と処理炉202との間のコンダクタンスが1.5×10-33/s以上になるように装置を構成する。また、反応管203容積とこれに対する必要なガス溜め247の容積との比として考えると、反応管203容積100l(リットル)の場合においては、100〜300ccであることが好ましく、容積比としてはガス溜め247は反応室容積の1/1000〜3/1000倍とすることが好ましい。
(ステップ3)
ステップ3では、処理炉202の排気が終わったらガス排気管231の第4のバルブ243dを閉じて排気を止める。第2のガス供給管232bの下流側の第3のバルブ243cを開く。これによりガス溜め247に溜められたDCSが処理炉202に一気に供給される。このときガス排気管231の第4のバルブ243dが閉じられているので、処理炉202内の圧力は急激に上昇して約931Pa(7Torr)まで昇圧される。DCSを供給するための時間は2〜4秒設定し、その後上昇した圧力雰囲気中に晒す時間を2〜4秒に設定し、合計6秒とした。このときのウエハ温度はNH3の供給時と同じく、300〜600℃である。DCSの供給により、下地膜上のNH3とDCSとが表面反応して、ウエハ200上にSiN膜が成膜される。成膜後、第3のバルブ243cを閉じ、第4のバルブ243dを開けて処理炉202を真空排気し、残留するDCSの成膜に寄与した後のガスを排除する。また、この時にはN2等の不活性ガスを処理炉202に供給すると、さらに残留するDCSの成膜に寄与した後のガスを処理炉202から排除する効果が高まる。また第2のバルブ243bを開いてガス溜め247へのDCSの供給を開始する。
上記ステップ1〜3を1サイクルとし、このサイクルを複数回繰り返すことによりウエハ上に所定膜厚のSiN膜を成膜する。
ALD装置では、ガスは下地膜表面に吸着する。このガスの吸着量は、ガスの圧力、及びガスの暴露時間に比例する。よって、希望する一定量のガスを、短時間で吸着させるためには、ガスの圧力を短時間で大きくする必要がある。この点で、本実施の形態では、第4のバルブ243dを閉めたうえで、ガス溜め247内に溜めたDCSを瞬間的に供給しているので、処理炉202内のDCSの圧力を急激に上げることができ、希望する一定量のガスを瞬間的に吸着させることができる。
また、本実施の形態では、ガス溜め247にDCSを溜めている間に、ALD法で必要なステップであるNH3ガスをプラズマ励起することにより活性種として供給、及び処理炉202の排気をしているので、DCSを溜めるための特別なステップを必要としない。また、処理炉202内を排気してNH3ガスを除去してからDCSを流すので、両者はウエハ200に向かう途中で反応しない。供給されたDCSは、ウエハ200に吸着しているNH3とのみ有効に反応させることができる。
上述のように、本実施の形態では、第1の棒状電極269と第2の棒状電極270との間に電極間キャパシタ22を接続し、放電状態であるか非放電状態であるかに拘わらず、整合器272に対しては電極間キャパシタ22のインピーダンスが支配的となるような構成となっている。
以上述べたように、本実施の形態によれば、積載された基板を処理する縦型の処理室と、処理用のガスを基板に供給するためのガス供給系と、前記ガス供給系から基板に供給されるガスを一旦蓄えて、前記積載された基板にガスを均一に供給するバッファ室と、前記バッファ室の中にプラズマを生成するための電極を設けた装置において、一対の放電電極の端部にキャパシタを接続することにより、プラズマの着火性の向上を図った基板処理装置を提供することができる。
上述のような構成により、処理に用いるガスを短時間で切替え、その都度プラズマ放電とプラズマ放電の停止とを繰り返すような成膜方法を行う場合でも、整合器における整合動作を頻繁に行ことなく、安定したプラズマ放電状態を実現することが可能となる。また、プラズマ放電時の整合器における整合動作がなくなり、成膜レートの向上が図れるという効果を奏する。また、整合器における整合動作の回数が低減することにより、整合器の機械的な寿命の延長を図ることができる。
本発明の実施の形態による基板処理装置を示す斜視図である。 本実施の形態による基板処理装置を示す断面図である。 本実施の形態による基板処理装置における縦型の処理炉202の概略構成を示す処理炉部分の縦断面図である。 本実施の形態による基板処理装置における処理炉202を上方から見た図3におけるb−b'断面での断面図である。 従来の基板処理装置における反応室部分を上方から見た図6におけるd−d'断面での断面図である。 同装置を横方向から見た図5におけるc−c'断面での断面図である。
符号の説明
100 カセット、101 筐体、105 カセットステージ、109 カセット棚、110 予備カセット棚、112 ウエハ移載機、113 移載エレベータ、114 カセット移載機、115 カセットエレベータ、116 炉口シャッタ、118 クリーンユニット、121 ボートエレベータ、122 昇降部材、123 移載棚、124 搬送制御手段、200 ウエハ、202 処理炉、203 反応管、207 ヒータ、217 ボート、218 石英キャップ、219 シールキャップ、220 Oリング、221 コントローラ、224 プラズマ生成領域、231 ガス排気管、232a 第1のガス供給管、232b 第2のガス供給管、233 ノズル、237 バッファ室、241a 第1のマスフローコントローラ、241b 第2のマスフローコントローラ、243a 第1のバルブ、243b 第2のバルブ、243c 第3のバルブ、243d 第4のバルブ、246 真空ポンプ、247 ガス溜め、248a ガス供給孔、267 ボート回転機構、269 第1の棒状電極、270 第2の棒状電極、272 整合器、273 高周波電源、275 電極保護管。

Claims (2)

  1. 基板を収容する処理室と、
    前記処理室内に処理ガスを供給するガス供給手段と、
    高周波電源によって高周波電圧印加されることによりプラズマを発生させ、該発生させたプラズマによって前記ガス供給手段により供給された処理ガスをプラズマ励起させるための一対の電極と、
    前記一対の電極の夫々を前記処理室内の雰囲気と隔離するために前記一対の電極の夫々を覆うように設けられた電極保護部材と、
    前記一対の電極の内いずれか一方と前記高周波電源との間に接続されるとともに、前記一対の電極の内いずれか一方と前記高周波電源との間のインピーダンス整合を行う整合器と、
    前記一対の電極のうち一方の電極と他方の電極とを接続するキャパシタと
    を有し、
    前記一対の電極の一端側は、前記処理室内に位置し、前記一対の電極の他端側は、前記処理室外に位置し、
    前記整合器、及び、前記キャパシタは、前記一対の電極の他端側に接続されることを特徴とする基板処理装置。
  2. 成膜対象となるウエハを処理室に搬入する搬入工程と、
    その一端が前記処理室内に位置し、その他端が前記処理室外に位置すると共に、その電極間にキャパシタが接続された一対の電極の一方に、インピーダンス整合を行う整合器を介して高周波電力を供給することにより第1の処理ガスをプラズマ励起し、前記プラズマ励起された第1の処理ガスを前記ウエハに供給する第1ガス供給工程と、
    前記第1の処理ガスとは異なる第2の処理ガスをプラズマ励起せずに前記ウエハに供給する第2ガス供給工程とを有し、
    前記第1ガス供給工程において、前記高周波電力を前記一対の電極の一方に供給する際に、前記整合器によるインピーダンス整合動作を行わずに前記高周波電力の供給を開始する成膜方法。
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