JP2006190788A - 基板処理装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 基板中央部等への原料ガス供給不足を解消し、成膜時間の短縮及び原料ガスの有効利用を図る。
【解決手段】 基板を収容した処理室に、第1の原料ガスAと第2の原料ガスBとを互いに混合させることなく交互に供給して、基板上に所望の薄膜を形成させる。第1の原料ガスA又は第2の原料ガスBの一方の原料ガスを処理室内に供給する際、処理室内の圧力を上下に変動させつつ供給する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、複数の原料ガスを交互に処理室内に供給して基板処理を行なう基板処理装置に関する。
この種の基板処理装置は、一の原料ガスを処理室内の基板上に供給して一の原料を吸着させ、この一の原料の吸着した基板上に他の原料ガスを供給して一の原料と他の原料とを表面反応させて薄膜を形成し、これを繰り返すことにより、所定膜厚の成膜を行うものである。このような吸着と成膜とを交互に行って原子層レベルの膜を形成する成膜法は、ALD(Atomic Layer Deposition)法と呼ばれている。
このALD法は、特に段差被覆性に優れているので、トレンチ型やシリンダ型の容量電極形状をもつキャパシタ絶縁膜の形成に使用されている。シリンダ型を例に挙げると、図6に示すようなDRAMデバイスの基板50の表面にあるシリンダ型をした下部電極52に、その外部表面から内部表面にわたってキャパシタ絶縁膜としてSiN膜53を形成したりしている。なお、同図において51は層間絶縁膜である。
上述した成膜法を採用する基板処理装置では、一の原料ガスを処理室内に供給する際、基板上に滞留層ある場合には、この滞留層を通して、原料ガス分子が拡散により基板周辺部から中央部表面に供給されることになる。したがって、基板周辺部と比べて基板中央部には原料ガス分子が少量しか供給されないという事態が発生することになる。
特に、基板表面にパターン回路用の凹部が形成されている場合においては、凹部内に滞留層が形成されやすいため、その凹部内まで原料ガスを十分に供給することが困難であった。例えば、DRAMデバイスの基板表面にあるキャパシタ用トレンチ、またはキャパシタ用シリンダ内部表面へ原料ガスを十分に供給して飽和吸着させることが困難になる。
したがって、基板の中央部や凹部などの特定部位にも原料ガスを十分に供給するために、原料ガスを長時間連続供給する必要があり、成膜時間の短縮及び原料ガスの有効利用が図れなかった。
本発明の課題は、上述した従来技術の問題点を解消して、基板上への原料ガス供給不足を解消し、成膜時間の短縮及び原料ガスの有効利用を図ることが可能な基板処理装置を提供することにある。
本発明は、基板を収容した処理室に、少なくとも第1の原料ガスと第2の原料ガスとを互いに混合させることなく交互に供給して、前記基板上に所望の薄膜を形成させる基板処理装置であって、前記第1の原料ガス又は第2の原料ガスの少なくとも一方の原料ガスを処理室内に供給する際、前記処理室内の圧力を上下に変動させつつ供給することを特徴とする基板処理装置である。
処理室内の圧力を上下に変動させつつ供給すると、拡散ではなく、圧力差に起因した原料ガス流れが形成されるため、基板上の特定部位に滞留層があっても、特定部位へ原料ガスを十分供給することができ、基板特定部位への原料ガスの供給不足が解消される。本発明は、複数の基板を隙間を開けて積層して処理する場合に、基板間の隙間に滞留層が形成されやすいので、特に有用となる。
本発明において、圧力上下変動は、原料ガス供給時に継続的に上下動させることが好ましい。また、原料ガス供給時の圧力上下変動を、第1の原料ガスと第2の原料ガスとを交互に供給するサイクルを1サイクルとした場合、1サイクル当り2回以上実施することが好ましい。また、圧力上下変動は、原料置換効率及び気相反応抑制の双方を考慮すると、原料ガス供給時の最高圧力が最低圧力の1.5〜3倍となるよう制御することが好ましい。
本発明によれば、基板上への原料ガスの供給不足が解消され、成膜時間の短縮、及び原料ガスの有効利用を図ることができる。
以下に本発明の実施の形態についてい説明する。
図2、図3において本発明が適用される基板処理装置の一例である半導体製造装置についての概略を説明する。
筐体101内部の前面側には、図示しない外部搬送装置との間で基板収納容器としてのカセット100の授受を行う保持具授受部材としてのカセットステージ105が設けられ、該カセットステージ105の後側には昇降手段としてのカセットエレベータ115が設けられ、該カセットエレベータ115には搬送手段としてのカセット移載機114が取りつけられている。又、前記カセットエレベータ115の後側には、前記カセット100の載置手段としてのカセット棚109が設けられると共に前記カセットステージ105の上方にも予備カセット棚110が設けられている。前記予備カセット棚110の上方にはクリーンユニット118が設けられクリーンエアを前記筐体101の内部を流通させるように構成されている。
前記筐体101の後部上方には、処理炉202が設けられ、該処理炉202の下方には基板としてのウェハ200を水平姿勢で多段に保持する基板保持手段としてのボート217を該処理炉202に昇降させる昇降手段としてのボートエレベータ121aが設けられ、該ボートエレベータ121aに取りつけられた昇降部材122の先端部には蓋体としてのシールキャップ219が取りつけられ該ボート217を垂直に支持している。前記ボートエレベータ121aと前記カセット棚109との間には昇降手段としての移載エレベータ113が設けられ、該移載エレベータ113には搬送手段としてのウェハ移載機112が取りつけられている。又、前記ボートエレベータ121aの横には、開閉機構を持ち前記処理炉202の下面を塞ぐ遮蔽部材としての炉口シャッタ116が設けられている。
前記ウェハ200が装填された前記カセット100は、図示しない外部搬送装置から前記カセットステージ105に該ウェハ200が上向き姿勢で搬入され、該ウェハ200が水平姿勢となるよう該カセットステージ105で90°回転させられる。更に、前記カセット100は、前記カセットエレベータ115の昇降動作、横行動作及び前記カセット移載機114の進退動作、回転動作の協働により前記カセットステージ105から前記カセット棚109又は前記予備カセット棚110に搬送される。
前記カセット棚109には前記ウェハ移載機112の搬送対象となる前記カセット100が収納される移載棚123があり、前記ウェハ200が移載に供される該カセット100は前記カセットエレベータ115、前記カセット移載機114により該移載棚123に移載される。
前記カセット100が前記移載棚123に移載されると、前記ウェハ移載機112の進退動作、回転動作及び前記移載エレベータ113の昇降動作の協働により該移載棚123から降下状態の前記ボート217に前記ウェハ200を移載する。
前記ボート217に所定枚数の前記ウェハ200が移載されると前記ボートエレベータ121aにより該ボート217が前記処理炉202に挿入され、前記シールキャップ219により前記処理炉202が気密に閉塞される。気密に閉塞された前記処理炉202内では前記ウェハ200が加熱されると共に処理ガスが該処理炉202内に供給され、前記ウェハ200に処理がなされる。
前記ウェハ200への処理が完了すると、該ウェハ200は上記した作動の逆の手順により、前記ボート217から前記移載棚123の前記カセット100に移載され、該カセット100は前記カセット移載機114により該移載棚123から前記カセットステージ105に移載され、図示しない外部搬送装置により前記筐体101の外部に搬出される。尚、前記炉口シャッタ116は、前記ボート217が降下状態の際に前記処理炉202の下面を塞ぎ、外気が該処理炉202内に巻き込まれるのを防止している。
前記カセット移載機114等の搬送動作は、搬送制御手段124により制御される。
まず、本発明の実施の形態にて行った、ウェハ等の基板へのプロセス処理例としてALD法を用いた成膜処理について、簡単に説明する。
ALD法は、ある成膜条件(温度、時間等)の下で、成膜に用いる2種類(またはそれ以上)の原料となるガスを1種類ずつ交互に基板上に供給し、1原子層単位で吸着させ、表面反応を利用して成膜を行う手法である。
即ち、利用する化学反応は、例えばSiN(窒化珪素)膜形成の場合ALD法ではDCS(SiH2Cl2、ジクロルシラン)とNH3(アンモニア)を用いて300〜600℃の低温で高品質の成膜が可能である。また、ガス供給は、複数種類の反応性ガスを1種類ずつ交互に供給する。そして、膜厚制御は、反応性ガス供給のサイクル数で制御する。(例えば、成膜速度が1Å/サイクルとすると、20Åの膜を形成する場合、処理を20サイクル行う。)
以下に本発明の実施の形態を説明する。
図3は、本実施の形態にかかる縦型の基板処理炉の概略構成図であり、処理炉部分を縦断面で示し、図4は本実施の形態にかかる縦型の基板処理炉の概略構成図であり、処理炉部分を横断面で示す。加熱手段であるヒータ207の内側に、基板であるウェハ200を処理する反応容器として反応管203が設けられ、この反応管203の下端開口は蓋体であるシールキャップ219により気密部材であるOリング220を介して気密に閉塞され、少なくとも、このヒータ207、反応管203、及びシールキャップ219により処理炉202を形成している。シールキャップ219には石英キャップ218を介して基板保持手段であるボート217が立設され、前記石英キャップ218はボートを保持する保持体となっている。そして、ボート217は処理炉202に挿入される。ボート217にはバッチ処理される複数のウェハ200が水平姿勢で管軸方向に多段に積載される。前記ヒータ207は処理炉202に挿入されたウェハ200を所定の温度に加熱する。
そして、処理炉202へは複数種類、ここでは2種類のガスを供給する供給管としての2本のガス供給管232a、232bが設けられる。ここでは第1のガス供給管232aからは流量制御手段である第1のマスフローコントローラ241a及び開閉弁である第1のバルブ243aを介し、更に後述する処理炉202内に形成されたバッファ室237を介して処理炉202に反応ガスが供給され、第2のガス供給管232bからは流量制御手段である第2のマスフローコントローラ241b、開閉弁である第2のバルブ243b、ガス溜め247、及び開閉弁である第3のバルブ243cを介し、更に後述するガス供給部249を介して処理炉202に反応ガスが供給されている。
処理炉202はガスを排気する排気管であるガス排気管231により第4のバルブ243dを介して排気手段である真空ポンプ246に接続され、真空排気されるようになっている。尚、この第4のバルブ243dは弁を開閉して処理炉202の真空排気・真空排気停止ができ、更に弁開度を調節して圧力調整可能になっている開閉弁である。
処理炉202を構成している反応管203の内壁とウェハ200との間における円弧状の空間には、反応管203の下部より上部の内壁にウェハ200の積載方向に沿って、ガス分散空間であるバッファ室237が設けられており、そのバッファ室237のウェハ200と隣接する壁の端部にはガスを供給する供給孔である第1のガス供給孔248aが設けられている。この第1のガス供給孔248aは反応管203の中心へ向けて開口している。この第1のガス供給孔248aは、下部から上部にわたってそれぞれ同一の開口面積を有し、更に同じ開口ピッチで設けられている。
このようにウェハ200の積載方向に沿って設けられたバッファ室237に第1のガス供給孔248aを設け、このガス供給口248aからガスをウェハ200間に供給しているのは、ウェハ200間に発生する滞留層にもかかわらず、ウェハ中央部表面へのガス供給量を向上して、処理室201内へ供給した原料の総量に対し、小流量しかウェハ中央部に供給されないという問題を解消するためである。
そしてバッファ室237の第1のガス供給孔248aが設けられた端部と反対側の端部には、ノズル233が、やはり反応管203の下部より上部にわたりウェハ200の積載方向に沿って配設されている。そしてノズル233には複数のガスを供給する供給孔である第2のガス供給孔248bが設けられている。この第2のガス供給孔248bの開口面積は、バッファ室237と処理炉202の差圧が小さい場合には、上流側から下流側まで同一の開口面積で同一の開口ピッチとすると良いが、差圧が大きい場合には上流側から下流側に向かって開口面積を大きくするか、開口ピッチを小さくすると良い。
本実施の形態において、第2のガス供給孔248bの開口面積や開口ピッチを上流側から下流にかけて調節することで、まず、第2の各ガス供給孔248bよりガスの流速の差はあるが、流量はほぼ同量であるガスを噴出させる。そしてこの各第2のガス供給孔248bから噴出するガスをバッファ室237に噴出させて一旦導入し、前記ガスの流速差の均一化を行うこととした。
すなわち、バッファ室237において、各第2のガス供給孔248bより噴出したガスはバッファ室237で各ガスの粒子速度が緩和された後、第1のガス供給孔248aより処理炉202に噴出する。この間に、各第2のガス供給孔248bより噴出したガスは、各第1のガス供給孔248aより噴出する際には、均一な流量と流速とを有するガスとすることができた。
さらに、バッファ室237に、細長い構造を有する第1の電極である第1の棒状電極269及び第2の電極である第2の棒状電極270が上部より下部にわたって電極を保護する保護管である電極保護管275に保護されて配設され、この第1の棒状電極269又は第2の棒状電極270のいずれか一方は整合器272を介して高周波電源273に接続され、他方は基準電位であるアースに接続されている。この結果、第1の棒状電極269及び第2の棒状電極270間のプラズマ生成領域224にプラズマが生成される。
この電極保護管275は、第1の棒状電極269及び第2の棒状電極270のそれぞれをバッファ室237の雰囲気と隔離した状態でバッファ室237に挿入できる構造となっている。ここで、電極保護管275の内部は外気(大気)と同一雰囲気であると、電極保護管275にそれぞれ挿入された第1の棒状電極269及び第2の棒状電極270はヒータ207の加熱で酸化されてしまう。そこで、電極保護管275の内部は窒素などの不活性ガスを充填あるいはパージし、酸素濃度を充分低く抑えて第1の棒状電極269又は第2の棒状電極270の酸化を防止するための不活性ガスパージ機構が設けられる。
さらに、第1のガス供給孔248aの位置より、反応管203の内周を120°程度回った内壁に、ガス供給部249が設けられている。このガス供給部249は、ALD法による成膜においてウェハ200へ、複数種類のガスを1種類ずつ交互に供給する際に、バッファ室237とガス供給種を分担する供給部である。
このガス供給部249もバッファ室237と同様にウェハと隣接する位置に同一ピッチでガスを供給する供給孔である第3のガス供給孔248cを有し、下部では第2のガス供給管232bが接続されている。
第3のガス供給孔248cの開口面積はバッファ室237と処理炉202の差圧が小さい場合には、上流側から下流側まで同一の開口面積で同一の開口ピッチとすると良いが、差圧が大きい場合には上流側から下流側に向かって開口面積を大きくするか開口ピッチを小さくすると良い。
反応管203内の中央部には複数枚のウェハ200を多段に同一間隔で載置するボート217が設けられており、このボート217は図中省略のボートエレベータ機構により反応管203に出入りできるようになっている。また処理の均一性を向上する為にボート217を回転するための回転手段であるボート回転機構267が設けてあり、ボート回転機構267を回転することにより、石英キャップ218に保持されたボート217を回転するようになっている。
制御手段であるコントローラ121は、第1、第2のマスフローコントローラ241a、241b、第1〜第4のバルブ243a、243b、243c、243d、ヒータ207、真空ポンプ246、ボート回転機構267、図中省略のボート昇降機構、高周波電源273、整合器272に接続されており、第1、第2のマスフローコントローラ241a、241bの流量調整、第1〜第3のバルブ243a、243b、243cの開閉動作、第4のバルブ243dの開閉及び圧力調整動作、ヒータ207温度調節、真空ポンプ246の起動・停止、ボート回転機構267の回転速度調節、ボート昇降機構の昇降動作制御、高周波電源273の電力供給制御、整合器272によるインピーダンス制御が行われる。
次にALD法による成膜例について、DCS及びNH3ガスを用いてSiN膜を成膜する例で説明する。
まず成膜しようとするウェハ200をボート217に装填し、処理炉202に搬入する。搬入後、次の3つのステップを順次実行する。
[ステップ1]
ステップ1では、プラズマ励起の必要なNH3ガスと、プラズマ励起の必要のないDCSガスとを併行して流す。まず第1のガス供給管232aに設けた第1のバルブ243a、及びガス排気管231に設けた第4のバルブ243dを共に開けて、第1のガス供給管232aから第1のマスフローコントローラ243aにより流量調整されたNH3ガスをノズル233の第2のガス供給孔248bからバッファ室237へ噴出し、第1の棒状電極269及び第2の棒状電極270間に高周波電源273から整合器272を介して高周波電力を印加してNH3をプラズマ:励起し、活性種として処理炉202に供給しつつガス排気管231から排気する。NH3ガスをプラズマ励起することにより活性種として流すときは、第4のバルブ243dを適正に調整して処理炉202内圧力を10〜100Paとする。第1のマスフローコントローラ241aで制御するNH3の供給流量は1,000〜10,000sccmである。NH3をプラズマ励起することにより得られた活性種にウェハ200を晒す時間は2〜120秒間である。このときのヒータ207温度はウェハが300〜600℃になるよう設定してある。NH3は反応温度が高いため、上記ウェハ温度では反応しないので、プラズマ励起することにより活性種としてから流すようにしており、このためウェハ温度は設定した低い温度範囲のままで行える。
このNH3をプラズマ励起することにより活性種として供給しているとき、第2のガス供給管232bの上流側の第2のバルブ243bを開け、下流側の第3のバルブ243cを閉めて、DCSも流すようにする。これにより第2、第3のバルブ243b、243c間に設けたガス溜め247にDCSを溜める。このとき、処理炉202内に流しているガスはNH3をプラズマ励起することにより得られた活性種であり、DCSは存在しない。したがって、NH3は気相反応を起こすことはなく、プラズマにより励起され活性種となったNH3はウェハ200上の下地膜と表面反応する。
[ステップ2]
ステップ2では、第1のガス供給管232aの第1のバルブ243aを閉めて、NH3の供給を止めるが、引続きガス溜め247へ供給を継続する。ガス溜め247に所定圧、所定量のDCSが溜まったら上流側の第2のバルブ243bも閉めて、ガス溜め247にDCSを閉じ込めておく。また、ガス排気管231の第4のバルブ243dは開いたままにし真空ポンプ246により、処理炉202を20Pa以下に排気し、残留NH3を処理炉202から排除する。また、この時にはN等の不活性ガスを処理炉202に供給すると、更に残留NH3を排除する効果が高まる。ガス溜め247内には、圧力が20,000Pa以上になるようにDCSを溜める。また、ガス溜め247と処理炉202との間のコンダクタンスが1.5×10-33/s以上になるように装置を構成する。また、反応管203容積とこれに対する必要なガス溜め247の容積との比として考えると、反応管203容積100l(リットル)の場合においては、100〜300ccであることが好ましく、容積比としてはガス溜め247は処理室容積の1/1000〜3/1000倍とすることが好ましい。
[ステップ3]
ステップ3では、処理炉202の排気が終わったらガス排気管231の第4のバルブ243dを閉じて排気を止める。第2のガス供給管232bの下流側の第3のバルブ243cを開く。これによりガス溜め247に溜められたDCSが処理炉202に一気に供給される。このときガス排気管231の第4のバルブ243dが閉じられているので、処理炉202内の圧力は急激に上昇して約931Pa(7Torr)まで昇圧される。DCSを供給するための時間は2〜4秒設定し、その後上昇した圧力雰囲気中に晒す時間を2〜4秒に設定し、合計6秒とした。このときのウェハ温度はNH3の供給時と同じく、300〜600℃である。DCSの供給により、下地膜上のNH3とDCSとが表面反応して、ウェハ200上にSiN膜が成膜される。成膜後、第3のバルブ243cを閉じ、第4のバルブ243dを開けて処理炉202を真空排気し、残留するDCSの成膜に寄与した後のガスを排除する。また、この時にはN2等の不活性ガスを処理炉202に供給すると、更に残留するDCSの成膜に寄与した後のガスを処理炉202から排除する効果が高まる。また第2のバルブ243bを開いてガス溜め247へのDCSの供給を開始する。
上記ステップ1〜3を1サイクルとし、このサイクルを複数回繰り返すことによりウェハ上に所定膜厚のSiN膜を成膜する。
ALD装置では、ガスは下地膜表面に吸着する。このガスの吸着量は、ガスの圧力、及びガスの暴露時間に比例する。よって、希望する一定量のガスを、短時間で吸着させるためには、ガスの圧力を短時間で大きくする必要がある。この点で、本実施の形態では、第4のバルブ243dを閉めたうえで、ガス溜め247内に溜めたDCSを瞬間的に供給しているので、処理炉202内のDCSの圧力を急激に上げることができ、希望する一定量のガスを瞬間的に吸着させることができる。
また、本実施の形態では、ガス溜め247にDCSを溜めている間に、ALD法で必要なステップであるNH3ガスをプラズマ励起することにより活性種として供給、及び処理炉202の排気をしているので、DCSを溜めるための特別なステップを必要としない。また、処理炉202内を排気してNH3ガスを除去しているからDCSを流すので、両者はウェハ200に向かう途中で反応しない。供給されたDCSは、ウェハ200に吸着しているNH3とのみ有効に反応させることができる。
ところで、上述した縦型の基板処理炉では、処理室201内へ供給した原料ガスの総量に対し、小流量しかウェハ中央部に供給されないという問題を解決するために、ウェハ200の積載方向に沿って設けられたバッファ室237に第1のガス供給孔248aを多数設け、このガス供給口248aからガスをウェハ200間に向けてガスを供給して、ウェハ中央部への供給量の向上をはかっている。
しかし、このようにウェハ間に対応して多数のガス供給孔を設けても、ウェハピッチの縮小化により、その供給量向上の効果は低減する。したがって、ウェハ周辺部から中央部に原料ガスを十分に供給することが困難になる。また、例えばウェハ全面、特にDRAMデバイスのウェハ表面にあるキャパシタ用トレンチまたはシリンダ内部表面へ、原料ガス分子を十分に供給し飽和吸着させることも困難になる。このため、ウェハピッチの縮小化に応じて、原料ガスを長時間連続供給する必要があり、原料資源の有効利用を図ることが困難であった。
そこで、次に述べるように本実施の形態では、原料ガス供給時に処理室内の圧力を継続的に上下動させることにより、そのような問題を解決している。
図1に示すように、ALD法の成膜シーケンスでは、1サイクルの中で、原料ガスAおよび原料ガスBをそれぞれ1回ずつ交互に供給し、互いに混合することがないように、それらの原料ガスA、B供給の間に処理室内のパージを行っているが、特に上記原料Aガスを処理室内に供給する際、処理室内の圧力を上下に変動させつつ供給するようにしている。
1回の原料ガスAを供給する際に、処理室内全圧の上下変動を実施することにより、原料ガスAは、圧力上昇時に、拡散ではなく圧力差に起因した流れにより、ウェハ周辺部から中央部に入りこむ。これにより原料ガスA中の未反応原料分子がウェハ中央部に十分供給される。また、続く圧力低下時に、圧力差に起因した流れにより反応生成分子がウェハ上から有効に排出される。また、1回の原料ガスAを供給する際に、圧力上下変動を複数回繰り返すことにより、原料ガスA中の未反応原料分子を効率良くウェハ中央部に供給できる。したがって、原料ガス供給時、処理室内の圧力は、継続的に上下動させることが好ましい。また、原料供給時の圧力上下変動の回数は1サイクル当り2回以上が好ましい。
また圧力の変動のパターンは、処理室内の圧力を上下に変動させるものであれば、いずれの方式でも良く、図示するように圧力を鋸歯状に変動させる他に、パルス状に変動させたり、サインカーブ状に変動させたり、さらには階段状に上がった後下がるように変動させたりしてもよい。
なお、図示例では、原料ガスAのみを圧力上下変動させるようにしているが、原料ガスAよりも原料ガスBの方が拡散しにくい場合には、原料ガスBのみを変動させるようにしてもよい。また原料ガスA及びBともに拡散しにくい場合には、原料ガスA及びBをともに変動させるようにしてもよい。
処理室内の圧力を上下に変動させる手段としては、例えば、図4に示すガス排気管231に設けた第4のバルブ243dを用いることができる。この場合、コントローラ121により、第4のバルブ243dの弁を開閉して、処理炉202の真空排気・真空排気停止をさせたり、弁開度を調節して処理室201内の圧力を上下に変動させたりする。又は、処理室201内の圧力を上下に変動させる手段としてガス溜め247を用いることができる。この場合、コントローラ121により、第2のバルブ243b及び第3のバルブ243cを開閉動作させるタイミングを選択することにより、ガス溜め247に溜めるガスの圧力を調整して、処理室201内の圧力を上下に変動させる。
このように、原料ガス供給時に処理室内の圧力を上下に変動させることによって、ウェハ中央部への原料分子供給不足を解消し、ウェハ中央部への供給を効率良く実現できる。また、キャパシタ用シリンダ、トレンチ内への原料分子供給を有効に実施できる。さら、ウェハピッチの縮小化によっても、ウェハ間への原料分子を十分に供給することができる。実施の形態によれば、圧力変動させない従来例と比べて30%以上の成膜時間の短縮化が図れ、高速成膜ALD装置を実現できる。
図1において、圧力を固定する原料ガスBをNH3とし、圧力を変動させる原料ガスAをDCSとしてSiN膜を形成する場合の具体例を示せば、NH3圧力は30〜100Paの範囲で固定し、DCS圧力は例えば10〜1333Paの範囲で上下に変動させる。なお、DCSの最低圧力は10Pa未満でもよく、その場合、完全真空引きの0.5Paとしてもよい。また、成膜ガス流量はDCS0.1slm〜1.0slm、NH31slm〜10slm、炉内温度は300℃〜600℃、N2パージガス流量は100cc〜4lである。
上述したように実施の形態によれば、処理室内の圧力を上下に変動させることにより、原料ガスのウェハの中央部や凹部などの特定部位、あるいは狭ピッチのウェハ間への供給を効率良く実現できる。しかし、その反面、原料ガスの処理室内での分圧が過度に上昇することにより、気相反応が発生しALD反応ではなくCVD反応になって、気相反応により原料が分解しALD反応が進行しなくなることが考えられる。このような場合には、処理室内の圧力を上下に変動させる際、原料ガスの分圧を気相反応が発生しない圧力に保持することが必要になる。そのためには、成膜シーケンス中の処理室内全圧を一定圧力以下に保持すればよく、原料ガス供給時の最高圧力が最低圧力の1.5〜3倍となるよう設定することが好ましい。1.5倍より小さければウェハ上の原料ガスの置換効率が不十分となりウェハ上に十分な原料ガスを供給できず、3倍より大きければ気相反応が促進されてALD反応が進行しなくなるからである。
本発明の実施形態にかかるALD法の成膜シーケンス例を示す図である。 本発明の実施の形態にかかる基板処理装置を示す斜示図である。 本発明の実施の形態にかかる基板処理装置を示す断面図である。 本発明の実施の形態にかかる縦型の基板処理炉の概略構成図であり、処理炉部分を縦断面で示した図である。 本発明の実施の形態にかかる縦型の基板処理炉の概略構成図であり、処理炉部分を横断面で示した図である。 ALD法の成膜例としてのシリンダ型の容量電極形状をもつキャパシタ絶縁膜の説明図である。
符号の説明
200 ウェハ(基板)
201 処理室

Claims (1)

  1. 基板を収容した処理室に、少なくとも第1の原料ガスと第2の原料ガスとを互いに混合させることなく交互に供給して、前記基板上に所望の薄膜を形成させる基板処理装置であって、
    前記第1の原料ガス又は第2の原料ガスの少なくとも一方の原料ガスを処理室内に供給する際、前記処理室内の圧力を上下に変動させつつ供給することを特徴とする基板処理装置。
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