JP5409711B2 - レーザ光によるワーク加工装置 - Google Patents
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Description
図1に本発明の一実施形態によるワーク加工装置の全体構成を示す。このワーク加工装置は、ガラス基板等のワークに加工ラインに沿ってレーザ光を照射し、孔開け等の加工を行うための装置である。この装置は、ベッド1と、ワークとしてのガラス基板が載置されるワークテーブル2と、ガラス基板にレーザ光を照射するためのレーザ光照射ヘッド3と、を備えている。ここで、図1に示すように、ベッド1の上面に沿った平面において、互いに直交する軸をx軸、y軸とし、これらの軸に直交する鉛直方向の軸をz軸と定義する。また、x軸に沿った両方向(+方向及び−方向)をx軸方向、y軸に沿った両方向をy軸方向、z軸に沿った両方向をz軸方向と定義する。
<ワークテーブル>
ワークテーブル2は、矩形状に形成されており、ワークテーブル2の下方には、ワークテーブル2をx軸方向及びy軸方向に移動させるためのテーブル移動機構5が設けられている。
テーブル移動機構5は、図1に示すように、それぞれ1対の第1及び第2ガイドレール8,9と、第1及び第2移動テーブル10,11と、各移動テーブル10,11を駆動するためのy軸モータ5a及びx軸モータ5b(図7参照)と、を有している。1対の第1ガイドレール8はベッド1の上面にy軸方向に延びて設けられている。第1移動テーブル10は、第1ガイドレール8の上部に設けられ、第1ガイドレール8に移動自在に係合する複数のガイド部10aを下面に有している。第2ガイドレール9は第1移動テーブル10の上面にx軸方向に延びて設けられている。第2移動テーブル11は、第2ガイドレール9の上部に設けられ、第2ガイドレール9に移動自在に係合する複数のガイド部11aを下面に有している。第2移動テーブル11の上部には、固定部材12を介してワークテーブル2が取り付けられている。
レーザ光照射ヘッド3は、図1及び図3に示すように、ベッド1の上面に配置された門型フレーム1aに装着されており、レーザ光出力部15と、光学系16と、内部に1対の高速回転用ウェッジプリズム(後述)が組み込まれた高速中空モータ17と、内部に1対の低速回転用ウェッジプリズム(後述)及び集光レンズが組み込まれた偏向・回転機構18と、を有している。また、レーザ光照射ヘッド3をx軸方向に移動させるためのx軸方向移動機構21と、高速中空モータ17及び偏向・回転機構18をz軸方向に移動させるためのz軸方向移動機構22と、が設けられている。z軸方向移動機構22はz軸モータ22a(図7参照)等を有している。
レーザ光出力部15は従来と同様のレーザ管により構成されている。このレーザ光出力部15によって、波長532nmのグリーンレーザがy軸に沿ってワークテーブル2とは逆側に出射される。
光学系16は、レーザ光出力部15からのレーザ光を高速中空モータ17に組み込まれた1対の高速回転用ウェッジプリズムに導くものである。この光学系16は、図3に拡大して示すように、第1〜第4ミラー25〜28と、レーザ出力を計測するパワーモニタ29と、ビームエキスパンダ30と、を有している。
内部に高速回転用ウェッジプリズム321,322が配置された高速中空モータ17の模式図を図4に示している。高速中空モータ17は、中心にz軸方向に延びる回転軸Rを有し、この回転軸Rを含む中央部が中空になっている。そして、この中空部に1対の高速回転用ウェッジプリズム321,322が固定されている。1対のウェッジプリズム321,322は、同形状、同比重であって、屈折率のみが異なっている。各ウェッジプリズム321,322は、それぞれ回転軸Rに対して傾斜する斜面321a,322aと、回転軸Rに垂直な垂直面321b,322bと、を有している。そして、1対のウェッジプリズム321,322は、互いの垂直面321b,322bが近接して対向するように配置され、2つの垂直面321b,322bが平行で、かつ2つの斜面321a,322aが平行になるように配置されている。
図5を参照して、プリズムの頂角をδ、屈折率をnとした場合、このプリズムの偏角θは、δが小さい場合、
(n−1)・δ
である。なお、上式は、sinδ=δ(単位はラジアン)で近似できる程度にδが小さい場合の近似式である。本実施形態で用いるプリズムでは、頂角δは大きくても5°程度なので、sinδ=δと近似しても差し支えない。したがって、同形状(同じ頂角)で屈折率がそれぞれn1,n2である2つのウェッジプリズムのそれぞれの偏角θ1,θ2は、
θ1=(n1−1)・δ
θ2=(n2−1)・δ
である。そして2つのウェッジプリズムの斜面が平行になるように組み合わせて配置した場合の偏角θは、
θ=(n1−1)・δ−(n2−1)・δ=(n1−n2)・δ
となる。以上から明らかなように、頂角δが同じで、かつ同じ材質のウェッジプリズムの組合せであれば、n1=n2で、トータルの偏角は「0」になる。
この組合せの場合の偏角(°)は、頂角1°に対して、「0.169」である。
この組合せの場合の偏角(°)は、頂角1°に対して、「0.232」である。
この組合せの場合の偏角(°)は、頂角1°に対して、「0.170」である。
内部に1対の低速回転用ウェッジプリズム341,342が配置された偏向・回転機構18を、図6に模式的に示す。偏向・回転機構18は、中心にz軸方向に延びる回転軸を有している。この回転軸は、高速中空モータ17の回転軸Rと同軸である。この偏向・回転機構18は、回転軸Rを含む中心部に1対の低速回転用ウェッジプリズム341,342と、これらのウェッジプリズム341,342のそれぞれに対応して設けられた低速回転用の第1低速モータ345及び第2低速モータ346と、を有している。第1低速モータ345及び第2低速モータ346は中空モータであり、中空の回転軸の内部にウェッジプリズム341,342が装着されている。これらのウェッジプリズム341,342のそれぞれは、対応して設けられた低速回転用の第1低速モータ345及び第2低速モータ346によって個別に回転し、また所定の回転角度で維持することが可能である。
以上のようなレーザ照射ヘッド3は、前述のように、ベッド1の門型フレーム1aに支持されている。より詳細には、図3に示すように、門型フレーム1aの上面にはx軸方向に延びる1対の第3ガイドレール36が設けられており、この1対の第3ガイドレール36及び図示しない駆動機構がx軸方向移動機構21を構成している。そして、1対の第3ガイドレール36には、支持部材37が移動自在に支持されている。支持部材37は、第3ガイドレール36に支持された横支持部材38と、横支持部材38のワークテーブル2側の一端側から下方に延びる縦支持部材39と、を有している。縦支持部材39の側面には、z軸方向に延びる1対の第4ガイドレール40が設けられており、この1対の第4ガイドレール40及び図示しない駆動機構がz軸方向移動機構22を構成している。第4ガイドレール40には、z軸方向に移動自在に第3移動テーブル41が支持されている。
このガラス基板加工装置は、図7に示すように、コントローラ50を有している。コントローラ50には、レーザ出力部15や、各移動テーブル10,11を駆動するためのy軸モータ5a、x軸モータ5b、z軸モータ22a、高速中空モータ17、第1及び第2低速モータ345,346が接続されている。そして、コントローラ50は、レーザ出力部15からのレーザ出力等を制御するとともに、各モータの回転を制御することによってレーザ光の走査軌跡等を制御する。
<基本的な加工動作>
次に、レーザ光によるガラス基板の加工動作について説明する。
次に、図10に示すような、x軸方向及びy軸方向に延びる2つの直線部と、2つの直線部の間に円弧状の曲線部と、を有する加工ラインに沿ってレーザ光を照射し、加工する場合の協調制御について説明する。図10に示す例では、加工ラインの曲線部の前後において低速回転用ウェッジプリズム341,342のそれぞれを逆方向に回転させながら移動テーブル10,11が移動制御される。図10において、実線が加工ラインであり、一点鎖線がワークテーブル2(レーザ光照射ヘッド3の光学系の中心:レーザ出力部15の出射軸)の移動軌跡である。また、図10における「90°」、「0°」は、それぞれヘッド3の光学系の中心である出射軸に対するレーザ光の位置の角度を示している。
次に、第1加工例と同様の形状の加工ラインを別の制御処理によって加工する場合の第2加工例を図13及び図14に示す。この図13及び図14に示す例では、加工ラインの曲線部において低速回転用ウェッジプリズム341,342を同方向に回転させながら移動テーブル10,11が移動制御される。図10において、実線が加工ラインであり、一点鎖線がワークテーブル2の移動軌跡である。図14は図13に示す加工を行う場合の、各モータの速度制御のタイムチャートである。
以上のような本実施形態では、ワークテーブル2をx,y方向に移動させながらレーザ光を偏向、回転させることによって、加工ラインの曲線部分を加工する際に、加工ラインよりも大きな半径を描くような軌跡でワークテーブル2を移動させることが可能になる。したがって、各モータに対するワークテーブルの追従性が鈍い場合でも、走査速度を比較的速くすることができ、加工効率が向上する。
本発明は以上のような実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変形又は修正が可能である。
5a y軸モータ
5b x軸モータ
15 レーザ出力部
16 光学系
17 高速中空モータ
18 偏向・回転機構
321,322 高速回転用ウェッジプリズム
341,342 低速回転用ウェッジプリズム
345,346 低速モータ
35 集光レンズ
50 コントローラ
G ガラス基板
Claims (8)
- ワークにレーザ光を照射して曲線部を含む加工ラインに沿って加工を行う加工装置であって、
加工すべきワークが載置されるワークテーブルと、
前記ワークテーブルを、載置面と平行な面内において互いに直交するx,y方向に移動するためのテーブル駆動手段と、
レーザ光を出力するレーザ光出力部と、
前記レーザ光出力部から出射されたレーザ光を出射軸から偏向させるとともに、偏向されたレーザ光を出射軸の回りに回転させる偏向・回転手段と、
前記テーブル駆動手段及び前記偏向・回転手段の駆動を協調制御して、前記偏向・回転手段の出射軸が加工ラインの曲線部よりも大きな半径で移動するように前記ワークテーブルを移動させつつ前記出射軸の回りに回転するレーザ光を前記加工ラインに沿って走査する走査制御手段と、
を備えたレーザ光によるワーク加工装置。 - 前記偏向・回転手段は、
対向して配置された第1ウェッジプリズム及び第2ウェッジプリズムと、
前記第1及び第2ウェッジプリズムを前記出射軸の回りに回転させるための回転手段と、
レーザ光をワーク上に集光させる集光レンズと、
を有する、請求項1に記載のレーザ光によるワーク加工装置。 - 前記偏向・回転手段の回転手段は、
前記第1ウェッジプリズムを前記出射軸の回りに回転させるための第1モータと、
前記第2ウェッジプリズムを前記出射軸の回りに回転させるための第2モータと、
を有する、請求項2に記載のレーザ光によるワーク加工装置。 - 前記偏向・回転手段の回転手段は、前記第1及び第2ウェッジプリズムが内部に配置された中空モータである、請求項1に記載のレーザ光によるワーク加工装置。
- 前記走査制御手段は、
直線状の加工ラインを走査する場合は、前記テーブル駆動手段によって前記ワークテーブルをx方向又はy方向に移動制御し、
曲線状の加工ラインを走査する場合は、前記テーブル駆動手段によって前記ワークテーブルをx方向及びy方向に移動制御するとともに、前記偏向・回転手段によってレーザ光を回転させる、
請求項1に記載のレーザ光によるワーク加工装置。 - 前記偏向・回転手段は、
対向して配置された第1ウェッジプリズム及び第2ウェッジプリズムと、
前記第1及び第2ウェッジプリズムを前記出射軸の回りに回転させるための回転手段と、
レーザ光をワーク上に集光させる集光レンズと、
を有し、
前記走査制御手段は、直線部及び曲線部を含む加工ラインに沿ってレーザ光を走査する際に、
加工ラインの直線部を走査する場合は、前記テーブル駆動手段によって前記ワークテーブルをx方向又はy方向に移動制御し、
加工ラインの曲線部を走査する場合は、前記テーブル駆動手段によって前記ワークテーブルをx方向及びy方向に移動制御するとともに、前記第1及び第2ウェッジプリズムを前記出射軸の回りに同じ方向に回転させる、
請求項5に記載のレーザ光によるワーク加工装置。 - 前記偏向・回転手段は、
対向して配置された第1ウェッジプリズム及び第2ウェッジプリズムと、
前記第1及び第2ウェッジプリズムを光軸の回りに回転させるための回転手段と、
レーザ光をワーク上に集光させる集光レンズと、
を有し、
前記走査制御手段は、直線部及び曲線部を含む加工ラインに沿ってレーザ光を走査する際に、
加工ラインの直線部を走査する場合は、前記テーブル駆動手段によって前記ワークテーブルをx方向又はy方向に移動制御し、
加工ラインの曲線部を走査する場合は、前記曲線部を含み前記曲線部の前後の領域において、前記テーブル駆動手段によって前記ワークテーブルをx方向及びy方向に移動制御するとともに、前記第1及び第2ウェッジプリズムを前記出射軸の回りに逆方向に回転させる、
請求項5に記載のレーザ光によるワーク加工装置。 - 前記レーザ光出力部と前記偏向・回転手段との間に配置され、1対のウェッジプリズム及び前記1対のウェッジプリズムが内部に配置された中空モータからなり、レーザ光の集光点を回転させるための集光点回転機構をさらに備えた、請求項1から7のいずれかに記載のレーザ光によるワーク加工装置。
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