本発明の第1実施形態に係る硬貨処理機を図1〜図6を参照して以下に説明する。
図1は、第1実施形態に係る硬貨処理機1を概略的に示すもので、硬貨処理機1は、処理機本体2と、この処理機本体2に対し着脱可能な台車部3とを有している。以下の説明における前後左右は、硬貨処理機1の前(操作者から見て手前側)、硬貨処理機1の後(操作者から見て奥側)および硬貨処理機1の左右(操作者から見て左右)である。
処理機本体2には、一括投入された硬貨を分離して搬送する分離供給部(分離供給手段)5が上部に設けられている。この分離供給部5は、バラ硬貨が一括投入されるホッパ6と、このホッパ6の下側にその底部を形成するように設けられた水平旋回可能な回転円盤7と、硬貨が一枚のみ通過可能な開口を有し回転円盤7の回転時の遠心力で硬貨を一枚ずつ繰り出す硬貨分離部8と、硬貨分離部8で一枚ずつ繰り出された硬貨を水平に搬送する硬貨搬送部9とを有している。
また、処理機本体2には、硬貨搬送部9で搬送中の硬貨の真偽及び金種を識別し計数する識別部(識別手段)11が硬貨搬送部9の上流側に設けられ、硬貨搬送部9におけるこの識別部11の下流側には、識別部11の識別結果に基づいて真以外の硬貨と識別された受け入れ不可なリジェクト硬貨を排除するリジェクト部(排除手段)12が設けられて、さらに、硬貨搬送部9におけるリジェクト部12の下流側には、識別部11の識別結果に基づいて真の硬貨であって受け入れ可能と識別された硬貨を金種別に振り分ける複数箇所、具体的には取り扱う硬貨(日本国内では1円硬貨、5円硬貨、10円硬貨、50円硬貨、100円硬貨および500円硬貨)の種類と同数の六箇所の振分部(振分手段)13a〜13fが硬貨搬送部9の搬送方向に沿ってこの順に設けられている。
ここで、これら振分部13a〜13fは、すべて、取り扱う最大径の硬貨(日本国内では500円硬貨)を落下可能な選別孔14a〜14fを有しており、これらのうち上流側の五つの振分部13a〜13eには、選別孔14a〜14eを個別に開閉可能なシャッタ15a〜15eが設けられている。さらに、各振分部13a〜13fのそれぞれの上流側には、硬貨の通過を検出する硬貨センサ16a〜16fが設けられている。同様に、リジェクト部12も、リジェクト孔14gと、リジェクト孔14gを開閉可能なシャッタ15gと、上流側の硬貨センサ16gとを有している。なお、硬貨センサ16a〜16gは、シャッタ15a〜15e,15gのうちの対応するものの開閉タイミングを制御するために用いられ、また、硬貨の搬送ジャムの有無を検出するために用いられる。
また、処理機本体2は、リジェクト部12で硬貨搬送部9から排除された硬貨を受け入れる着脱自在のリジェクトボックス20と、各振分部13a〜13fに一対一で対応して設けられ、各振分部13a〜13fで振り分けられた硬貨を、金種別のシュート19a〜19fを介して一時貯留させる複数箇所、具体的には取り扱う金種と同数の六箇所の一時貯留部(一時貯留手段)21a〜21fとを有している。
一時貯留部21a〜21fは、左右方向に移動可能な共通の側壁部形成体22にそれぞれの鉛直方向に沿う側壁部が個別に形成されており、この側壁部形成体22の下側に左右方向に移動可能に設けられた共通の底部形成体23でそれぞれの底部が形成されている。
なお、側壁部形成体22および底部形成体23がともに待機位置に位置する待機状態にあるとき、最も上流側の一時貯留部21aは、最も上流側の振分部13aの鉛直下方に設けられており、この振分部13aのシャッタ15aが開かれることで選別孔14aから落下された硬貨のみを受け入れて一時貯留させる。同様に、一時貯留部21bは、振分部13bにてシャッタ15bの開作動で選別孔14bから落下された硬貨のみを、一時貯留部21cは、振分部13cにてシャッタ15cの開作動で選別孔14cから落下された硬貨のみを、一時貯留部21dは、振分部13dにてシャッタ15dの開作動で選別孔14dから落下された硬貨のみを、一時貯留部21eは、振分部13eにてシャッタ15eの開作動で選別孔14eから落下された硬貨のみを、一時貯留部21fは、振分部13fにて選別孔14fから落下された硬貨のみを、それぞれ一時貯留させる。
台車部3は、下部に設けられたキャスタ30を転動させることで、処理機本体2に対し前面2A側に引き出され、さらに処理機本体2から取り外されて運搬される一方、前面2A側から装填されることで処理機本体2に装着されるようになっている。
台車部3には、処理機本体2の機体側に固定された金種別のシュート(収納手段)26a〜26fを介して、一時貯留部21a〜21fの硬貨を受け入れて収納する、複数具体的には金種と同数の六つの収納ボックス(収納手段)24a〜24fが、前後方向に並設して個別に着脱可能に設けられている。これら収納ボックス24a〜24fは、上記した処理機本体2の待機状態にある複数の一時貯留部21a〜21fのそれぞれに一対一で対応して鉛直下方に設けられている。そして、一時貯留部21a〜21fを構成する側壁部形成体22および底部形成体23のうちの底部形成体23のみが側方に移動端位置まで移動すると、一時貯留部21aに一時貯留されていた硬貨のみが収納ボックス24aに、一時貯留部21bに一時貯留されていた硬貨のみが収納ボックス24bに、一時貯留部21cに一時貯留されていた硬貨のみが収納ボックス24cに、一時貯留部21dに一時貯留されていた硬貨のみが収納ボックス24dに、一時貯留部21eに一時貯留されていた硬貨のみが収納ボックス24eに、一時貯留部21fに一時貯留されていた硬貨のみが収納ボックス24fに、それぞれ収納されることになる。
台車部3の側方には、図2に示すように、前後方向に並設して複数具体的には金種と同数の六つの個別に仕切られた返却収容部25a〜25fを有する返却ボックス(返却手段)25が着脱自在に設けられている。返却ボックス25の返却収容部25a〜25fは、収納ボックス24a〜24fと左右方向に並設されており、一時貯留部21a〜21fに一時貯留された硬貨を、返却時に、処理機本体2の機体側に固定された金種別のシュート(返却手段)27a〜27fを介して金種別に受け入れる。つまり、一時貯留部21a〜21fを構成する側壁部形成体22および底部形成体23のうちの側壁部形成体22のみが側方に移動端位置まで移動すると、一時貯留部21aに一時貯留されていた硬貨のみが返却収容部25aに、一時貯留部21bに一時貯留されていた硬貨のみが返却収容部25bに、一時貯留部21cに一時貯留されていた硬貨のみが返却収容部25cに、一時貯留部21dに一時貯留されていた硬貨のみが返却収容部25dに、一時貯留部21eに一時貯留されていた硬貨のみが返却収容部25eに、一時貯留部21fに一時貯留されていた硬貨のみが返却収容部25fに、それぞれ投入されることになる。なお、この返却ボックス25にあっては、六つの個別に仕切られた返却収容部25〜25fにより構成される必要はなく、仕切のない、ただ一つの返却収容部によって構成しても良いものである。
そして、図1および図3に示すように、収納ボックス24a〜24fおよび返却ボックス25の上側にて、これら収納ボックス24a〜24fおよび返却ボックス25を結ぶ左右方向に側壁部形成体22を移動可能とし、収納ボックス24a〜24fおよび返却ボックス25の上側かつ側壁部形成体22の下側近接位置にて左右方向に底部形成体23を移動可能とする移動機構(移動手段)31が設けられている。
この移動機構31は、図1に示すように、側壁部形成体22の前後方向の両外面に対向する位置で左右方向に水平延在するように処理機本体2の図示略の固定部に固定された一対の第1レール部33と、底部形成体23の前後方向の両外面の位置で左右方向に水平延在するように処理機本体2の図示略の固定部に固定された一対の第2レール部34と、相対的にスライド可能つまり相対移動可能に連結されたインナスライド部材(第1部材)35およびアウタスライド部材(第2部材)36を有しこれらを上下方向に相対的にスライドする姿勢として側壁部形成体22の前後方向の外面と各対向する第1レール部33との間に配置された一対の上下スライド機構部(上下移動機構)38とを有している。
一対の上下スライド機構部38は、それぞれ、インナスライド部材35が側壁部形成体22の前後方向の各外面に結合されて固定されており、アウタスライド部材36が対向する第1レール部33にこの第1レール部33に沿って水平移動可能となるように支持されている。これにより、一対の上下スライド機構部38は、一対の第1レール部33によって処理機本体2の機体に対し左右方向に水平移動可能に支持されており、側壁部形成体22を上下移動可能に支持している。側壁部形成体22は、所定の上位置にあるとき底部形成体23に載置されて支持される。
移動機構31は、図3に示すように、側壁部形成体22を下方向、つまり底部形成体23に向けて付勢する圧縮バネ(付勢手段)40を有している。この圧縮バネ40は、アウタスライド部材36の下端面と、側壁部形成体22の下端部から前後方向外側に突出するバネ受41の上面との間に介装されている。側壁部形成体22は、所定の上位置にて底部形成体23に載置されて支持された状態から、底部形成体23との間の左右方向の相対移動で、底部形成体23による支持が解除されて自重により下方向に移動することになるが、圧縮バネ40は、この側壁部形成体22の下方移動を助勢する。なお、側壁部形成体22に固定されるインナスライド部材35にバネ受を設けてその上面とアウタスライド部材36の下端面との間に圧縮バネ40を介装しても良い。
移動機構31は、図1に示すように、一対の第1レール部33にスライド可能に支持された一対のアウタスライド部材36を移動させる側壁部駆動機構43を有している。この側壁部駆動機構43は、具体的な図示は略すが、左右方向に離間配置された一対のプーリと、これらプーリに巻回される無端のタイミングベルトとからなる前後一対の伝達機構44と、これらを駆動する共用のモータとを有しており、一対の伝達機構44のそれぞれのタイミングベルトの一部に固定されたアウタスライド部材36を左右方向に駆動する。また、側壁部駆動機構43は、アウタスライド部材36を検知することで側壁部形成体22の左右方向移動の両端位置を検知する図3に示す側壁部位置検知センサ45,46を有している。
一対の第2レール部34は、底部形成体23を左右方向に水平移動可能に支持している。移動機構31は、この底部形成体23を一対の第2レール部34に沿って移動させる図1に示す底部駆動機構47を有している。この底部駆動機構47は、具体的な図示は略すが、左右方向に離間配置された一対のプーリと、これらプーリに巻回される無端のタイミングベルトとからなる前後一対の伝達機構48と、これらを駆動する共用のモータとを有しており、一対の伝達機構48のそれぞれのタイミングベルトの一部に固定された底部形成体23を左右方向に駆動する。また、底部駆動機構47は、底部形成体23の左右方向移動の両端位置を検知する図3に示す底部位置検知センサ49,50を有している。
底部形成体23は、左右方向両側の上部角部に面取り部52,53が形成されており、正面視下辺を下底とする略台形形状をなしている。他方、側壁部形成体22には、左右方向一側の下部角部に、底部形成体23に乗り上げ可能な前後一対のローラベアリング55が前後方向に沿う回転軸55aに軸支されて回転可能に設けられており、左右方向他側の下部角部にも、底部形成体23に乗り上げ可能な前後一対のローラベアリング56が前後方向に沿う回転軸56aに軸支されて回転可能に設けられている。ここで、側壁部形成体22の左右両側のローラベアリング55,56が底部形成体23の左右両側の面取り部52,53間に位置する状態で、側壁部形成体22は、一時貯留部21a〜21fの下部開口が底部形成体23の面取り部52,53間の平坦な閉塞面54で閉塞されることになる。側壁部形成体22および底部形成体23の、この相対位置、つまり一時貯留部21a〜21fが硬貨を貯留する位置を基本位置とする。
そして、この基本位置から側壁部形成体22と底部形成体23とが相対移動して側壁部形成体22が底部形成体23に対して左右方向外側に移動すると、側壁部形成体22の移動方向で見た場合、ローラベアリング55,56のうち移動方向の後側にあるものが閉塞面54上を転動することになり、このローラベアリングが、底部形成体23の面取り部52,53のうち移動方向前側にあるものの上を転動し、その傾斜によって、側壁部形成体22が、これと一体のインナスライド部材35を、アウタスライド部材36に対して下方にスライドさせながら、自重および圧縮バネ40の付勢力で下方向に移動する。なお、側壁部形成体22は図示略のストッパに当接することで下方向の移動限界位置つまり所定の下位置が決められており、この所定の下位置で下方移動が停止した状態で、ローラベアリング55,56は、面取り部52,53から離間するようになっている。
よって、逆に、所定の下位置にある側壁部形成体22が底部形成体23に対して相対移動して左右方向に重なり合う場合には、ローラベアリング55,56のうち相対移動方向前側のものが、まず面取り部52,53のうちの相対移動方向後側のものに当接し、続いてこの面取り部上を転動することになり、その傾斜によって側壁部形成体22が、これと一体のインナスライド部材35を、アウタスライド部材36に対して上方にスライドさせながら、自重および圧縮バネ40の付勢力に抗して上方向に移動することになる。
なお、例えば側壁部形成体22の上下移動距離が小さい場合等に、底部形成体23の面取り部52,53と、側壁部形成体22のローラベアリング55,56とは、一方のみを設けるようにすることが可能である。つまり、例えば、底部形成体23の面取り部52,53のみを設けて面取り部52,53を直接側壁部形成体22の下端部に当接させて潜り込ませるようにしたり、側壁部形成体22のローラベアリング55,56のみを設けてローラベアリング55,56で底部形成体23の段差状角部に乗り上げるようにしたりできる。ただし、これらの場合は異音等を生じる可能性があるため、両方設けるのが好ましい。
処理機本体2には、分離供給部5の駆動を制御するとともに、識別部11の識別結果および硬貨センサ16a〜16gの検出結果に基づいて振分部13a〜13eおよびリジェクト部12のシャッタ15a〜15e,15gを個別に制御するとともに、側壁部駆動機構43および底部駆動機構47を個別に制御する制御部(制御手段)28と、操作者への表示を行うとともに操作者による操作入力が行われる表示操作部29とが設けられている。
次に、第1実施形態の制御部28の制御内容を説明する。
ここで、移動機構31は、一時貯留部21a〜21fを構成する側壁部形成体22および底部形成体23を、収納ボックス24a〜24fの鉛直上方の待機位置に配置させる状態を待機状態としている。なお、この待機状態では、側壁部形成体22および底部形成体23は互いに基本位置に位置し、側壁部位置検知センサ46がアウタスライド部材36つまり側壁部形成体22を、底部位置検知センサ50が底部形成体23を、それぞれ検知している。
制御部28は、入金処理の実行時に、この入金処理で分離供給部5のホッパ6に金種混合で投入された硬貨のうち、識別部11の識別結果に基づいて受け入れ不可と識別されたリジェクト硬貨を、すべてリジェクト部12でリジェクトボックス20に返却する一方、受け入れ可能と識別された真の硬貨を、金種別に選別して振り分けるように振分部13a〜13fを制御する。つまり、識別部11で1円硬貨と識別された硬貨を、振分部13aのシャッタ15aを開いて選別孔14aから一時貯留部21aに一時貯留させる。同様に、5円硬貨と識別された硬貨を、振分部13bのシャッタ15bを開いて選別孔14bから一時貯留部21bに、10円硬貨と識別された硬貨を、振分部13cのシャッタ15cを開いて選別孔14cから一時貯留部21cに、50円硬貨と識別された硬貨を、振分部13dのシャッタ15dを開いて選別孔14dから一時貯留部21dに、100円硬貨と識別された硬貨を、振分部13eのシャッタ15eを開いて選別孔14eから一時貯留部21eに、500円硬貨と識別された硬貨を、振分部13fの選別孔14fから一時貯留部21fに、それぞれ一時貯留させる。なお、一時貯留部21a〜21fへの各金種の振り分けのパターンは上記に限らず他の設定としても良い。
そして、この入金処理でホッパ6に投入された硬貨のうち識別部11の識別結果に基づいて受け入れ可能と識別された真の硬貨がすべて一時貯留部21a〜21fのいずれかに一時貯留されると、制御部28は、金種別の計数結果および合計金額を表示操作部29へ表示させる。これに対して、操作者により表示操作部29へ承認操作が入力されると、制御部28は、移動機構31の底部駆動機構47を駆動して、図4に示すように、側壁部形成体22および底部形成体23のうちの底部形成体23のみを、返却ボックス25が配置されている側方に、底部位置検知センサ49で検知されるまで移動させる。これにより、一時貯留部21a〜21fに一時貯留させていた硬貨を金種別のまま収納ボックス24a〜24fのいずれか対応するものに収納させる。
この収納動作時に、側壁部形成体22は、底部形成体23の移動の後期までは、底部形成体23の移動方向において前側(図3の左側)となるローラベアリング55が底部形成体23の閉塞面54で支持されて所定の上位置にある状態を維持することになり、底部形成体23の移動の後期には、このローラベアリング55が底部形成体23の移動方向後側(図3の右側)にある面取り部53に沿って下方に移動することになる。すると、側壁部形成体22は、これと一体のインナスライド部材35を、第1レール部33上で停止しているアウタスライド部材36に対して圧縮バネ40の付勢力等で下方にスライドさせながら、下方向つまり収納ボックス24a〜24fの方向に向けて移動して図示略のストッパに当接して図4に示すように所定の下位置で停止する。この下方向への移動およびその停止による衝撃で側壁部形成体22の内壁に張り付いていた硬貨を落下させて、収納ボックス24a〜24fのいずれか対応するものに収納させる。側壁部形成体22の下降停止直後に、底部形成体23が底部位置検知センサ49で検知される移動端位置に位置することになり、制御部28は、底部駆動機構47を停止させる。
次に、制御部28は、移動機構31の底部駆動機構47を逆方向に駆動して、側壁部形成体22および底部形成体23のうちの底部形成体23のみを、収納ボックス24a〜24fが配置されている側方に移動させる。すると、側壁部形成体22は、底部形成体23の移動の初期に、底部形成体23の移動方向において後側(図4の左側)となるローラベアリング55が、底部形成体23の移動方向前側(図4の右側)にある面取り部53に当接し面取り部53で持ち上げられる。これにより、側壁部形成体22は、第1レール部33上で停止しているアウタスライド部材36に対してインナスライド部材35を圧縮バネ40の付勢力等に抗して上方にスライドさせる。そして、底部形成体23の移動方向において前側にあるローラベアリング56の下に、底部形成体23が閉塞面54を潜り込ませると、側壁部形成体22は、この閉塞面54で支持されて所定の上位置にある状態に維持されることになる。そして、最終的に、底部形成体23が、図3に示すように待機位置に戻って底部位置検知センサ50で検知されると、制御部28は底部駆動機構47を停止させる。
他方、金種別の計数結果および合計金額の表示操作部29への表示に対して、操作者により表示操作部29へキャンセル操作が入力されると、制御部28は、移動機構31の側壁部駆動機構43を駆動して、側壁部形成体22および底部形成体23のうちの側壁部形成体22のみを、返却ボックス25が配置されている側方に、図5に示すようにアウタスライド部材36が側壁部位置検知センサ45で検知されるまで移動させる。これにより、一時貯留部21a〜21fに一時貯留させていた硬貨を金種別のまま返却ボックス25の返却収容部25a〜25fのいずれか対応するものに返却させる。すると、操作者は、返却ボックス25を取り出して返却硬貨を受け取る。
この返却動作時に、側壁部形成体22は、その移動の後期までは、移動方向の後側(図3の右側)にあるローラベアリング56が底部形成体23の閉塞面54で支持されて所定の上位置にある状態を維持することになり、移動の後期には、移動方向前側(図3の左側)にある底部形成体23の面取り部52に案内されて下降することになる。すると、側壁部形成体22は、第1レール部33上を水平移動するアウタスライド部材36に対してインナスライド部材35を圧縮バネ40の付勢力等で下方にスライドさせながら、下方向つまり返却ボックス25の方向に向けて移動して図示略のストッパに当接して図5に示すように所定の下位置で停止する。この下方向への移動およびその停止による衝撃で側壁部形成体22の内壁に張り付いていた硬貨を落下させて、返却ボックス25の返却収容部25a〜25fのいずれか対応するものに返却させる。この側壁部形成体22の下降停止直後に、アウタスライド部材36つまり側壁部形成体22が側壁部位置検知センサ45で検知される移動端位置に位置することになり、制御部28は、側壁部駆動機構43を停止させる。
次に、制御部28は、移動機構31の側壁部駆動機構43を逆方向に駆動して、側壁部形成体22および底部形成体23のうちの側壁部形成体22のみを、収納ボックス24a〜24fが配置されている側方に移動させる。すると、側壁部形成体22は、その移動の初期に移動方向の前側(図5の右側)にあるローラベアリング56が、移動方向後側(図5の左側)にある底部形成体23の面取り部52に当接しこの面取り部52を登る。これにより、側壁部形成体22は、第1レール部33上で水平移動するアウタスライド部材36に対してインナスライド部材35を圧縮バネ40の付勢力等に抗して上方にスライドさせる。そして、側壁部形成体22は、その移動方向の前側にあるローラベアリング56が、底部形成体23の閉塞面54に乗り上げると、閉塞面54で支持されて所定の上位置にある状態に維持されながら移動することになる。そして、最終的に、側壁部形成体22が、図3に示すように待機位置に戻ってアウタスライド部材36が側壁部位置検知センサ46で検知されると、制御部28は側壁部駆動機構43を停止させる。
以上に述べた第1実施形態によれば、一時貯留部21a〜21fを構成する側壁部形成体22および底部形成体23を左右方向に移動させる移動機構31は、側壁部形成体22と底部形成体23とが左右方向に相対移動する際、つまり一時貯留した硬貨を並列配置された収納ボックス24a〜24fと返却ボックス25とに選択的に振り分ける際に、側壁部形成体22を下方向に移動させるため、この下方向への移動およびその停止による衝撃で側壁部形成体22の内壁に張り付いていた硬貨を落下させることになる。したがって、側壁部形成体22の内壁に張り付くことで硬貨が残留することを防止することができる。
また、収納ボックス24a〜24fの鉛直上方に一時貯留部21a〜21fの側壁部形成体22および底部形成体23が配置された待機状態で、識別部11で識別後の硬貨を分離供給部5から受け入れた後に、移動機構31が、待機状態から、底部形成体23のみを、返却ボックス25が配置されている側方へ移動させると、側壁部形成体22が収納ボックス24a〜24fに向け下方向に移動および停止して硬貨を残留させることなく収納ボックス24a〜24fに受け渡すことになり、待機状態から、側壁部形成体22のみを、返却ボックス25が配置されている側方へ移動させると、側壁部形成体22が返却ボックス25に向け下方向に移動および停止して硬貨を残留させることなく返却ボックス25に受け渡すことになる。
また、移動機構31は、左右方向に延在する第1レール部33に移動可能に支持されているアウタスライド部材36に対して、上下方向に相対移動可能に連結されたインナスライド部材35に側壁部形成体22が結合されているため、簡素な構成で側壁部形成体22を上下左右にスライドさせることができる。また、底部形成体23を第2レール部34によって左右方向に移動させるため、簡素な構成で底部形成体23を左右にスライドさせることができる。
また、側壁部形成体22を下方向に付勢する圧縮バネ40を備えるため、側壁部形成体22の自重に加えて圧縮バネ40の付勢力で、側壁部形成体22を確実に下方向に移動させることができる。また、圧縮バネ40が、第1レール部33に支持され上下方向の動きが規制されたアウタスライド部材36と、アウタスライド部材36に対して上下移動可能な側壁部形成体22(インナスライド部材35でも可)との間に介装された圧縮バネ40であるため、付勢するための構成を効率良くレイアウトできる。
また、側壁部形成体22は、所定の上位置にて底部形成体23に支持され、底部形成体23との間の左右方向の相対移動で、底部形成体23による支持が解除されて自重および圧縮バネ40の付勢力で下方向に移動することになるが、逆方向に相対移動すると、底部形成体23の左右方向両側の上部角部に形成された面取り部52,53で案内されて底部形成体23に乗り上げて、所定の上位置にて底部形成体23に支持される状態に移動復帰することになる。よって、下方向に移動した側壁部形成体22を底部形成体23の上側の基本位置に移動復帰させることが、簡素な構造で容易にできる。
また、側壁部形成体22は、所定の上位置にて底部形成体23に支持され、底部形成体23との間の左右方向の相対移動で、底部形成体23による支持が解除されて自重および圧縮バネ40の付勢力で下方向に移動することになるが、逆方向に相対移動すると、側壁部形成体22の下部で前後方向に沿う回転軸55a,55bに軸支されたローラベアリング55,56が、底部形成体23上に乗り上げることで、側壁部形成体22を所定の上位置にて底部形成体23に支持される状態に移動復帰させることになる。よって、下方向に移動した側壁部形成体22を底部形成体23の上側の基本位置に移動復帰させることが、簡素な構造で容易にできる。
なお、上記では、移動機構31が、収納ボックス24a〜24fの鉛直上方に側壁部形成体22および底部形成体23を配置した状態を、振分部13a〜13fで金種別に振り分けられた硬貨を一時貯留部21a〜21fにて受け入れる待機状態としていたが、図6に示すように、返却ボックス25の鉛直上方に側壁部形成体22および底部形成体23が配置された状態を、振分部13a〜13fで金種別に振り分けられた硬貨を一時貯留部21a〜21fにて受け入れる待機状態としても良い。
この場合、制御部28は、入金処理時に、上記と同様にして識別部11の識別結果に基づいて受け入れ可能と識別された真の硬貨を一時貯留部21a〜21fのいずれかに一時貯留させた状態で、操作者により表示操作部29へ承認操作が入力されると、移動機構31の側壁部駆動機構43を駆動して、側壁部形成体22および底部形成体23のうちの側壁部形成体22のみを、収納ボックス24a〜24fが配置されている側方に、側壁部位置検知センサ45で検知されるまで移動させることで、一時貯留部21a〜21fに一時貯留させていた硬貨を、金種別のまま収納ボックス24a〜24fのいずれか対応するものに収納させる。
この収納動作時に、側壁部形成体22は、その移動の後期までは、移動方向の後側(図6の右側)にあるローラベアリング56が底部形成体23の閉塞面54で支持されて所定の上位置にある状態を維持することになり、移動の後期には、移動方向前側(図6の左側)にある底部形成体23の面取り部52に案内されて下降することになる。すると、側壁部形成体22は、第1レール部33上を水平移動するアウタスライド部材36に対してインナスライド部材35を圧縮バネ40の付勢力等で下方にスライドさせながら、下方向つまり収納ボックス24a〜24fの方向に向けて移動して図示略のストッパに当接して所定の下位置で停止する。この下方向への移動およびその停止による衝撃で側壁部形成体22の内壁に張り付いていた硬貨を落下させて、収納ボックス24a〜24fのいずれか対応するものに収納させる。この側壁部形成体22の下降停止直後に、アウタスライド部材36つまり側壁部形成体22が側壁部位置検知センサ45で検知される移動端位置に位置することになり、制御部28は、側壁部駆動機構43を停止させる。
次に、制御部28は、移動機構31の側壁部駆動機構43を逆方向に駆動して、側壁部形成体22および底部形成体23のうちの側壁部形成体22のみを、返却ボックス25が配置されている側方に移動させる。すると、側壁部形成体22は、その移動の初期に移動方向の前側(図6の右側)にあるローラベアリング56が、移動方向後側(図6の左側)にある底部形成体23の面取り部52に当接しこの面取り部52を登る。これにより、側壁部形成体22は、第1レール部33上で水平移動するアウタスライド部材36に対してインナスライド部材35を圧縮バネ40の付勢力等に抗して上方にスライドさせる。そして、側壁部形成体22は、その移動方向の前側にあるローラベアリング56が、底部形成体23の閉塞面54に乗り上げると、閉塞面54で支持されて所定の上位置にある状態に維持されながら移動することになる。そして、最終的に、側壁部形成体22が、待機位置に戻ってアウタスライド部材36が側壁部位置検知センサ46で検知されると、制御部28は側壁部駆動機構43を停止させる。
他方、金種別の計数結果および合計金額の表示操作部29への表示に対して、操作者により表示操作部29へキャンセル操作が入力されると、制御部28は、底部駆動機構47を駆動して、側壁部形成体22および底部形成体23のうちの底部形成体23のみを、収納ボックス24a〜24fが配置されている側方に、底部位置検知センサ49で検知されるまで移動させる。これにより、一時貯留部21a〜21fに一時貯留させていた硬貨を金種別のまま返却ボックス25の返却収容部25a〜25fのいずれか対応するものに返却させる。すると、操作者は、返却ボックス25を取り出して返却硬貨を受け取る。
この返却動作時に、側壁部形成体22は、底部形成体23の移動の後期までは、底部形成体23の移動方向における前側(図6の左側)にあるローラベアリング55が底部形成体23の閉塞面54で支持されて所定の上位置にある状態を維持することになり、底部形成体23の移動の後期には、このローラベアリング56が移動方向後側(図6の右側)にある面取り部53に沿って下方に移動することになる。すると、側壁部形成体22は、これと一体のインナスライド部材35を、第1レール部33上で停止しているアウタスライド部材36に対して圧縮バネ40の付勢力等で下方にスライドさせながら、下方向つまり返却ボックス25の方向に向けて移動して図示略のストッパに当接して所定の下位置で停止する。この下方向への移動およびその停止の衝撃で側壁部形成体22の内壁に張り付いていた硬貨を落下させて、返却ボックス25の返却収容部25a〜25fのいずれか対応するものに返却させる。この側壁部形成体22の下降停止直後に、底部形成体23が底部位置検知センサ49で検知される移動端位置に位置することになり、制御部28は、底部駆動機構47を停止させる。
次に、制御部28は、移動機構31の底部駆動機構47を逆方向に駆動して、側壁部形成体22および底部形成体23のうちの底部形成体23のみを、返却ボックス25が配置されている側方に移動させる。すると、側壁部形成体22は、底部形成体23の移動の初期に底部形成体23の移動方向における後側(図6の左側)にあるローラベアリング55が、底部形成体23の移動方向前側(図6の右側)にある面取り部53に当接しこの面取り部53で持ち上げられる。これにより、側壁部形成体22は、第1レール部33上で停止しているアウタスライド部材36に対してインナスライド部材35を圧縮バネ40の付勢力等に抗して上方にスライドさせる。そして、底部形成体23が、移動方向における前側にあるローラベアリング56の下に、閉塞面54を潜り込ませると、側壁部形成体22は、閉塞面54で支持されて所定の上位置にある状態に維持されることになる。そして、最終的に、底部形成体23が、待機位置に戻って底部位置検知センサ50で検知されると、制御部28は底部駆動機構47を停止させる。
このように構成すれば、返却ボックス25の鉛直上方に、一時貯留部21a〜21fの側壁部形成体22および底部形成体23が配置された待機状態で、識別部11で識別後の硬貨を分離供給部5から受け入れた後に、移動機構31が、待機状態から、底部形成体23のみを、収納ボックス24a〜24fが配置されている側方へ移動させると、側壁部形成体22が返却ボックス25に向け下方向に移動して硬貨を残留させることなく返却ボックス25に受け渡すことになり、待機状態から、側壁部形成体22のみを、収納ボックス24a〜24fが配置されている側方へ移動させると、側壁部形成体22が収納ボックス24a〜24fに向け下方向に移動して硬貨を残留させることなく収納ボックス24a〜24fに受け渡すことになる。
次に、本発明の第2実施形態に係る硬貨処理機を主に図7〜図11を参照して第1実施形態との相違部分を中心に以下に説明する。
第2実施形態においては、第1実施形態の面取り部52,53およびローラベアリング55,56は設けられていない。そして、第2実施形態の移動機構31は、側壁部形成体22および底部形成体23の前後両側に、処理機本体2の機体に昇降可能に設けられた一対の第3レール部60を備えている。これらの第3レール部60は、左右方向に水平延在しており、この姿勢のまま昇降可能となっている。また、移動機構31は、これらの第3レール部60を上限位置と下限位置との間で昇降させる図示略のソレノイド等からなる昇降駆動部を有している。なお、第3レール部60は下限位置が待機位置となっており、昇降駆動部は駆動されると第3レール部60を上限位置まで上昇させる。
第3レール部60は、左右方向に水平延在する上面において、側壁部形成体22のバネ受41を、側壁部形成体22の待機位置から移動端位置までの全範囲において支持可能となっている。また、第3レール部60は、上限位置にて、側壁部形成体22を所定の上位置よりも若干上側の退避位置に位置させるようになっている。また、第3レール部60は、下限位置にあるとき、下方向に移動した側壁部形成体22を支持して所定の下位置に位置させるようになっており、側壁部形成体22を所定の下位置で停止させるストッパを兼用している。なお、第3レール部60は、側壁部形成体22のバネ受41ではなく、側壁部形成体22と一体に移動する部分であれば、例えばインナスライド部35を下方から支持するようにしても良い。
このような第2実施形態において、制御部28は、入金処理時に、上記と同様にして識別部11の識別結果に基づいて受け入れ可能と識別された真の硬貨を一時貯留部21a〜21fのいずれかに一時貯留させた状態で、操作者により表示操作部29へ承認操作が入力されると、移動機構31の底部駆動機構47を駆動して、側壁部形成体22および底部形成体23のうちの底部形成体23のみを、返却ボックス25が配置されている側方に、底部位置検知センサ49で検知されるまで移動させる。これにより、一時貯留部21a〜21fに一時貯留させていた硬貨を金種別のまま収納ボックス24a〜24fのいずれか対応するものに収納させる。
この収納動作時に、側壁部形成体22は、底部形成体23の移動中、底部形成体23の閉塞面54で支持されて所定の上位置にある状態を維持することになり、最後に底部形成体23が離れると、インナスライド部材35を、第1レール部33上で停止しているアウタスライド部材36に対して圧縮バネ40の付勢力等で下方にスライドさせながら、下方向つまり収納ボックス24a〜24fの方向に向けて移動して、図8に示すように下限位置にある第3レール部60にバネ受41を当接させて所定の下位置で停止する。この下方向への移動およびその停止による衝撃で側壁部形成体22の内壁に張り付いていた硬貨を落下させて、収納ボックス24a〜24fのいずれか対応するものに収納させる。側壁部形成体22から離れた直後に、底部形成体23は、底部位置検知センサ49で検知される移動端位置に位置することになり、制御部28は、底部駆動機構47を停止させる。
次に、制御部28は、移動機構31の図示略の昇降駆動部により、それまで下限位置にあった第3レール部60を上限位置に上昇させる。すると、バネ受41にて第3レール部60に支持された状態の側壁部形成体22が、第1レール部33上で停止しているアウタスライド部材36に対してインナスライド部材35を圧縮バネ40の付勢力等に抗して上方にスライドさせながら、図9に示すように所定の退避位置まで上昇することになる。続いて、制御部28は、移動機構31の底部駆動機構47を逆方向に駆動して、側壁部形成体22および底部形成体23のうちの底部形成体23のみを、収納ボックス24a〜24fが配置されている側方に移動させる。すると、底部形成体23は、第3レール部60に支持されて所定の退避位置に上昇した側壁部形成体22の下側近接位置を移動しながら、最終的に、待機位置に戻って底部位置検知センサ50で検知される。すると、制御部28は底部駆動機構47を停止させるとともに、図示略の昇降駆動部を停止させて図7に示すように第3レール部60を下限位置に下降させる。これにより、側壁部形成体22は、所定の上位置にて底部形成体23に支持される待機状態に戻る。
他方、金種別の計数結果および合計金額の表示操作部29への表示に対して、操作者により表示操作部29へキャンセル操作が入力されると、制御部28は、移動機構31の側壁部駆動機構43を駆動して、側壁部形成体22および底部形成体23のうちの側壁部形成体22のみを、返却ボックス25が配置されている側方に、側壁部位置検知センサ45で検知されるまで移動させる。これにより、一時貯留部21a〜21fに一時貯留させていた硬貨を金種別のまま返却ボックス25の返却収容部25a〜25fのいずれか対応するものに返却させる。すると、操作者は、返却ボックス25を取り出して返却硬貨を受け取る。
この返却動作時に、側壁部形成体22は、その移動中、底部形成体23の閉塞面54で支持されて所定の上位置にある状態を維持することになり、最後に底部形成体23から離れると、第1レール部33上を水平移動するアウタスライド部材36に対してインナスライド部材35を圧縮バネ40の付勢力等で下方にスライドさせながら、下方向つまり返却ボックス25の方向に向けて移動して、図10に示すように下限位置にある第3レール部60にバネ受41を当接させて所定の下位置で停止する。この下方向への移動およびその停止による衝撃で側壁部形成体22の内壁に張り付いていた硬貨を落下させて、返却ボックス25の返却収容部25a〜25fのいずれか対応するものに返却させる。この底部形成体23からの離間直後に、アウタスライド部材36つまり側壁部形成体22が側壁部位置検知センサ45で検知される移動端位置に位置することになり、制御部28は、側壁部駆動機構43を停止させる。
次に、制御部28は、移動機構31の図示略の昇降駆動部により、それまで下限位置にあった第3レール部60を上限位置に上昇させる。すると、バネ受41にて第3レール部60に支持されていた側壁部形成体22が、第1レール部33上で停止しているアウタスライド部材36に対してインナスライド部材35を圧縮バネ40の付勢力等に抗して上方にスライドさせながら、図11に示すように所定の退避位置まで上昇することになる。続いて、制御部28は、移動機構31の側壁部駆動機構43を逆方向に駆動して、側壁部形成体22および底部形成体23のうちの側壁部形成体22のみを、収納ボックス24a〜24fが配置されている側方に移動させる。すると、側壁部形成体22は、第3レール部60に支持されて所定の退避位置に上昇した状態を維持したまま、第3レール部60上をスライドして、底部形成体23の上側近接位置を移動しながら、最終的に、待機位置に戻ってアウタスライド部材36が側壁部位置検知センサ46で検知される。すると、制御部28は側壁部駆動機構43を停止させるとともに、図示略の昇降駆動部を停止させて、図7に示すように第3レール部60を下限位置に下降させる。これにより、側壁部形成体22は、所定の上位置にて底部形成体23に支持される待機状態に戻る。
以上に述べた第2実施形態によれば、側壁部形成体22は、所定の上位置にて底部形成体23に支持され、底部形成体23との間の左右方向の相対移動で、底部形成体23による支持が解除されて下方向に移動することになるが、下方向移動時に、下限位置にある第3レール部60に支持されることになり、この第3レール部60が待機位置から上昇することで、この側壁部形成体22を上方向に移動させることになる。この状態で、側壁部形成体22を、底部形成体23との間の左右方向の相対移動で、底部形成体23上に位置させることにより、下方向に移動した側壁部形成体22を底部形成体23の上側の基本位置に移動復帰させることができる。よって、下方向に移動した側壁部形成体22を底部形成体23の上側の基本位置に移動復帰させることが、容易かつ確実にできる。
ここで、上記において、底部形成体23あるいは側壁部形成体22が移動端位置に位置した状態で、第3レール部60が下限位置から上昇して側壁部形成体22を所定の上方向に移動させる際に、下限位置への下降を介する上限位置への上昇を所定回数繰り返しても良い。このように構成すれば、側壁部形成体22が複数回下方向に移動することになるため、側壁部形成体22の内壁に張り付くことで硬貨が残留することをさらに防止することができる。
また、第2実施形態においても、第1実施形態の変形例と同様に、返却ボックス25の鉛直上方に側壁部形成体22および底部形成体23が配置された状態を、振分部13a〜13fで金種別に振り分けられた硬貨を一時貯留部21a〜21fにて受け入れる待機状態とすることが可能である。
なお、以上の第1,第2実施形態においては、一時貯留部21a〜21fが、並設された収納ボックス24a〜24fおよび返却ボックス25の二カ所に硬貨を振り分ける場合を例にとり説明したが、例えば、収納ボックスおよび返却ボックスの他に、出金可能な収納部を設ける等、並設された三カ所以上に硬貨を振り分ける場合にも適用可能である。
また、以上の第1,第2実施形態においては、側壁部形成体22および底部形成体23が、硬貨処理機1を前方から見て左右方向に移動する場合を例にとり説明したが、硬貨処理機1を側方から見て左右方向に移動する場合にも、勿論適用可能である。