JP5407923B2 - 光記録媒体シリーズ - Google Patents

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Description

本発明は、複数の記録再生層を有する光記録媒体が複数種類用意される光記録媒体シリーズに関する。
従来、ディジタル動画コンテンツの視聴や、ディジタルデータの記録のために、CD−DA、CD−ROM、CD−R、CD−RW、DVD−ROM、DVD−R、DVD+/−RW、DVD−RAM、Blu−ray Disc(BD)などの光記録媒体が広く利用されている。この中でも、次世代型DVD規格の一つとされるBDは、記録再生に用いるレーザー光の波長を405nmと短くし、対物レンズの開口数を0.85に設定される。BD規格に対応した光記録媒体側は、0.32μmのピッチでトラックが形成される。このようにすることで、光記録媒体の1つの記録再生層に対して25GB以上の記録再生を可能にしている。
ところで、動画やデータの容量は今後益々増大することが予想される。従って、光記録媒体における記録再生層を多層化することで光記録媒体の容量を増大させる方法が検討されている。BD規格の光記録媒体では、6層〜8層の記録再生層を設けることで、200GBもの超大容量を実現する技術も報告されている(非特許文献1、2参照)。
一方、光記録媒体において記録再生層を多層化する場合、各記録再生層に対してグルーブ/ランド等のトラッキング制御用の凹凸を形成しており、各層を設けるごとにこの凸凹を形成するための母型となるスタンパを使用する必要がある。従って、多層化すればするほど、このスタンパを使う回数が増え製造コストが増大することが懸念される。
そこで近年、光記録媒体においてサーボ層と記録再生層を別々に設けるようにし、サーボ専用レーザー光を用いてサーボ層からトラッキング信号を得ながら、記録用レーザー光によって記録再生層に情報を記録する技術が提案されている(特許文献1、2参照)。この技術によれば、各記録再生層には、トラッキング情報を持たせるため凹凸(溝)が不要となり、製造時にも記録再生層用のスタンパを使用する必要が無くなるので、大幅なコストダウンが可能となる。
特開2002−63738号公報 特開2009−104717号公報
I. Ichimura et. al., Appl. Opt, 45, 1974-1803 (2006) K. Mishima et. al., Proc. of SPIE, 6282, 62820I (2006)
特許文献1、2に記載される光記録媒体では、必要とする記録容量に応じて記録再生層の積層数を異ならせる必要がある。しかしながら、記録再生層の積層数が異なる様々な光記録媒体が生産されるようになると、情報の記録・再生を行う光ピックアップ側では、光記録媒体における厚さ方向のどこに記録再生層やサーボ層が存在するのか分からなくなってしまう。
具体的に、特許文献1、2に記載の光記録媒体では、記録再生層の積層数が異なると、スペーサ層等の厚み次第でサーボ層の位置が変わってしまう。従って、光記録媒体がセットされる毎に、記録用レーザー光の焦点をフォーカス方向に移動させて、各記録再生層やサーボ層の位置を読み取る必要があるので、記録・再生の準備に時間がかかるという問題があった。
また、この光記録媒体では、記録再生層間のスペーサ層の厚みの違いで生じる収差を、光ピックアップ側の光学系に設けたビームエキスパンダーにより補正して、各記録再生層に対する記録再生を実現するが、光ピックアップ側における収差補正の許容量には自ずと限界がある。従って、光記録媒体側において今後さらなる多層化が進展すると、収差補正の許容範囲外に記録再生層が設定されてしまい、光ピックアップ側が、収差補正を適切に行えない事態が懸念される。サーボ層も同様に、光ピックアップの収差補正の許容範囲外に配置されると、記録再生時において最も重要なトラッキング制御が全く出来なくなってしまうという問題がある。
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、複数の光記録媒体の間で統一的な概念を導入することで、光ピックアップ側の負担の少ない光記録媒体シリーズを提供することを目的としている。
本発明者らの鋭意研究によって、上記目的は以下の手段によって達成される。
上記目的を達成する本発明は、トラッキング制御用の凹凸を有しない平面構造の複数の記録再生層と、トラッキング制御用の凹凸が形成されるサーボ層とを備えることによって、前記サーボ層を利用してトラッキング制御を行いながら前記記録再生層に情報を記録できる光記録媒体が、複数種類用意された光記録媒体シリーズであって、複数の前記光記録媒体の間において、前記記録再生層の積層数が互いに異なっており、複数の前記光記録媒体の間において、光入射面からの前記サーボ層の位置が互いに等しくなっていることを特徴とする光記録媒体シリーズである。
上記目的を達成する光記録媒体シリーズは、上記発明において、複数の前記光記録媒体の間において、前記光入射面に最も近い前記記録再生層の該光入射面からの位置が互いに等しくなっていることを特徴とする。
上記目的を達成する光記録媒体シリーズは、上記発明において、複数の前記光記録媒体の間において、前記光入射面に最も遠い前記記録再生層の該光入射面からの位置が互いに等しくなっていることを特徴とする。
上記目的を達成する光記録媒体シリーズは、上記発明において、前記光記録媒体における前記サーボ層が、複数の前記記録再生層と比較して前記光入射面から遠い位置に配置されることを特徴とする。
上記目的を達成する光記録媒体シリーズは、上記発明において、複数の前記光記録媒体の各々は、複数の前記記録再生層の層間距離として、第1距離と、該第1距離と異なる第2距離とが交互に設定されることを特徴とする。
上記目的を達成する光記録媒体シリーズは、上記発明において、前記サーボ層における前記トラッキング制御用の凹凸のトラックピッチが、前記記録再生層に記録予定のトラックピッチの2倍に設定されていることを特徴とする。
本発明によれば、複数の光記録媒体の間で統一的な概念を導入することで、光ピックアップ側で確実に記録再生が可能な光記録媒体シリーズを得ることが可能となる。
本実施形態に係る光記録媒体シリーズの記録再生を行う光ピックアップの構造を示すブロック図である。 同光記録媒体シリーズに属する光記録媒体の積層構造を示す断面図である。
以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照して説明する。
図1には、本実施形態に係る光記録媒体シリーズに属する第1光記録媒体10と、この第1光記録媒体10の記録再生に用いられる光ピックアップ90の構成が示されている。光ピックアップ90は、第1光学系100と第2光学系200を備える。第1光学系100は、第1光記録媒体10の記録再生層群14に対して記録・再生を行う光学系となる。第2光学系200は、第1光学系100を利用して記録再生層群14に情報を記録する時に、後述するサーボ層18を利用してトラッキング制御を行う光学系となる。
第1光学系100の光源101から出射された比較的短い青色波長380〜450nm(ここでは405nm)となる発散性のビーム170は、球面収差補正手段193を備えたコリメートレンズ153を透過し、第2光学系200の波長選択フィルタ260を透過して偏光ビームスプリッタ152に入射する。偏光ビームスプリッタ152に入射したビーム170は、偏光ビームスプリッタ152を透過して、更に4分の1波長板154の透過によって円偏光に変換された後、対物レンズ156で収束ビームに変換される。このビーム170は、第1光記録媒体10の内部に形成された複数の記録再生層群14のいずれか記録再生層の上に集光される。
対物レンズ156の開口はアパーチャ155で制限され、開口数NAを0.70〜0.90(ここでは0.85)としている。例えば記録再生層群14で反射されたビーム170は、対物レンズ156、4分の1波長板154を透過して往路とは90度異なる直線偏光に変換された後、偏光ビームスプリッタ152で反射される。なお、この偏光ビームスプリッタ152は波長選択特性を有しており、第1光学系100の光源101からのビーム170は反射可能であるが、後述する第2光学系200の比較的長い赤色波長のビーム270は常に透過するようになっている。
偏光ビームスプリッタ152で反射されたビーム170は、集光レンズ159を透過して収束光に変換され、シリンドリカルレンズ157を経て、光検出器132に入射する。ビーム170には、シリンドリカルレンズ157を透過する際、非点収差が付与される。
光検出器132は、図示しない4つの受光部を有し、それぞれ受光した光量に応じた電流信号を出力する。これら電流信号から、非点収差法によるフォーカス誤差(以下FEとする)信号、再生時に限定されるプッシュプル法によるトラッキング誤差(以下TEとする)信号、第1光記録媒体10に記録された情報の再生信号等が生成される。FE信号およびTE信号は、所望のレベルに増幅および位相補償が行われた後、アクチュエータ191および192にフィードバック供給されて、フォーカス制御およびトラッキング制御がなされる。なお、第1光学系100によるトラッキング制御は再生時のみ利用される。
第2光学系200の光源201から出射された波長630〜680nm(ここでは650nm)となる発散性のビーム270は、球面収差補正手段293を備えたコリメートレンズ253を透過し、偏光ビームスプリッタ252に入射する。偏光ビームスプリッタ252に入射したビーム270は、偏光ビームスプリッタ252を透過して、更に第2光学系用の4分の1波長板254を透過して円偏光に変換された後、波長選択フィルタ260で反射されて、第1光学系100と共有される偏光ビームスプリッタ152を透過する。このビーム270は更に対物レンズ156で収束ビームに変換されて、第1光記録媒体10の内部に形成されたサーボ層18に集光される。サーボ層18で反射されたビーム270は、対物レンズ156、及び偏光ビームスプリッタ152を透過して第2光学系200の波長選択フィルタ260で反射し、4分の1波長板254において往路とは90度異なる直線偏光に変換された後、偏光ビームスプリッタ252で反射される。偏光ビームスプリッタ252で反射されたビーム270は、集光レンズ259を透過して収束光に変換され、シリンドリカルレンズ257を経て、光検出器232に入射する。ビーム270には、シリンドリカルレンズ257を透過する際、非点収差が付与される。
光検出器232は、図示しない4つの受光部を有し、それぞれ受光した光量に応じた電流信号を出力する。これら電流信号から、非点収差法によるフォーカス誤差(FE)信号、プッシュプル法によるトラッキング誤差(TE)信号が生成される。なお、サーボ層18にも情報が記録されている場合は再生信号も生成される。
第1光学系100による記録再生層群14への情報の記録時は、第2光学系200のTE信号について、所望のレベルに増幅および位相補償が行われた後、アクチュエータ191および192にフィードバック供給されてトラッキング制御がなされる。この結果、第2光学系200のトラッキング制御に基づいて、第1光学系100が記録再生層群14に情報を記録するようになっている。なお、本実施形態では、記録再生層群14に記録済みの情報を再生する際は、記録再生層群14上の記録マークを利用して第1光学系100が独自にトラッキング制御するようにしている。一方、この第2光学系200のトラッキング制御を利用しながら再生することも勿論可能である。
図2は、本実施形態の光記録媒体シリーズに属する第1〜第3光記録媒体10、20、30の断面構造が拡大して示されている。なお、ここでは第1光記録媒体10を詳細に説明することにし、第2、第3光記録媒体20、30は第1光記録媒体10と異なる点を重点的に説明する。なお、第1〜第3光記録媒体10、20、30の間で相関する部材については符号の下一桁を共通させている。
第1光記録媒体10は、外径が約120mm、厚みが約1.2mmの円盤形状となっている。この光記録媒体10は、光入射面10A側から、カバー層11、記録再生層群14及び中間層群16、スペーサ層17、サーボ層18、支持基板12を備えて構成される。
記録再生層群14は、ここでは第1〜第6記録再生層14A〜14Fを備えて構成されており、それぞれに情報を記録できる構造となっている。この第1〜第6記録再生層14A〜14Fは、トラッキング制御用の凹凸を有しない平面構造となっており、第1光学系100から高エネルギーとなる記録用のビーム170が照射されると、記録マークが形成される。なお、この記録再生層群14の種類として、情報の追記が出来るが書き換えが出来ない追記型記録再生層と、情報の書換が可能な書換型記録再生層がある。
支持基板12は、光記録媒体に求められる厚み(約1.2mm)を確保するための、厚さ1.0mmで直径120mmとなる円盤形状の基板であり、この支持基板12の光入射面10A側の面にサーボ層18が形成される。具体的には、支持基板12における光入射面10A側に、その中心部近傍から外縁部に向けてグルーブおよびランドが螺旋状に形成される。このグルーブおよびランドが、トラッキング制御用の凹凸(溝)となり、第2光学系200のビーム270がガイドされるようになっている。
なお、支持基板12の材料としては種々の材料を用いることが可能であり、例えば、ガラス、セラミックス、樹脂を利用できる。これらのうち成型の容易性の観点から樹脂が好ましい。樹脂としてはポリカーボネイト樹脂、オレフィン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、シリコーン樹脂、フッ素系樹脂、ABS樹脂、ウレタン樹脂等が挙げられる。これらの中でも、加工性などの点からポリカーボネイト樹脂やオレフィン樹脂が特に好ましい。なお、支持基板12は、ビーム270の光路とならないことから、高い光透過性を有している必要はない。
支持基板12の上に形成されるサーボ層18は、支持基板12の表面にトラッキング制御用の凹凸(グルーブおよびランド)と反射性の層を形成することによって構成される。このサーボ層18は、Ag等の金属層を形成して光反射膜として機能させれば良い。また、必要に応じて記録が可能な反射性の記録層を設けても良い。
サーボ層18におけるトラッキング制御用の凹凸のトラックピッチPは、ここでは、記録再生層14A〜14Fに記録予定とされる記録マークのトラックピッチの2倍に設定される。具体的に、記録再生層14A〜14Fに記録予定とされるトラックピッチは、BD規格との互換性のために0.32μm前後としていることから、サーボ層18のグルーブ/ランドのトラックピッチPは0.64μm前後に設定される。0.64μm前後のトラックピッチPであれば、比較的長い赤色波長領域のビーム270であっても十分なトラッキングが可能である。特に本実施形態では、グルーブとランドの双方を利用してトラッキングを行うようにしているので、結果として、凹凸のピッチは0.64μm前後となるが、記録再生層14A〜14Fに記録される記録マークのトラックピッチは、その半分の0.32μm前後とすることができる。従って、サーボ層18のトラックピッチを小さくしなくても、記録再生層群14の記録マークのトラックピッチを1/2にできるので、記録容量を増大させることができる。
スペーサ層17は、光透過性のアクリル系の紫外線硬化型樹脂により構成されており、ここでは90μmの膜厚に設定されている。
スペーサ層17の光入射面10A側に積層される第1〜第6記録再生層14A〜14Fは、それぞれ、追記型記録膜の両外側に誘電体膜を積層した3層構造となっている(図示省略)。なお、この第1〜第6記録再生層14A〜14Fは、第1光学系100における青色波長領域(短い波長)のビーム170に対して光反射率・吸収率・透過率等が最適化されており、一方で、第2光学系200の赤色波長領域(長い波長)のビーム270は充分透過するようになっている。
各記録再生層の誘電体膜は、追記型記録膜を保護するという基本機能に加えて、記録マークの形成前後における光学特性の差を拡大させる役割も果たす。
なお、ビーム170を照射した場合に、誘電体膜に吸収されるエネルギーが大きいと記録感度が低下しやすい。従って、これを防止するためには、これらの誘電体膜の材料として、380nm〜450nm(特に405nm)の波長領域において低い吸収係数(k)を有する材料を選択することが好ましい。なお、本実施の形態においては、誘電体膜の材料としてTiO2を用いている。
誘電体膜に挟まれる追記型記録膜は不可逆的な記録マークが形成される膜であり、記録マークが形成された部分とそれ以外の部分(ブランク領域)は、ビーム170に対する反射率が大きく異なる。この結果、データの記録・再生を行うことができる。なお、この追記型記録膜についても、トラッキング用の第2光学系200のビーム270の赤色波長領域おいては高い透過性を有する。
追記型記録膜は、Bi及びOを含む材料を主成分として形成される。この追記型記録膜は、無機反応膜として機能し、レーザー光の熱による化学的又は物理的な変化で反射率が大きく異なるようになっている。具体的な材料としては、Bi−Oを主成分とするか、又は、Bi−M−O(ただしMは、Mg、Ca、Y、Dy、Ce、Tb、Ti、Zr、V、Nb、Ta、Mo、W、Mn、Fe、Zn、Al、In、Si、Ge、Sn、Sb、Li、Na、K、Sr、Ba、Sc、La、Nd、Sm、Gd、Ho、Cr、Co、Ni、Cu、Ga、Pbの中から選択される少なくとも1種の元素)を主成分とすることが好ましい。なお、本実施形態では、追記型記録膜の材料として、Bi−Ge−Oを用いている。
なお、ここでは第1〜第6記録再生層14A〜14Fにおいて追記型記録膜を採用する場合を示したが、繰り返し記録が可能な相変化記録膜を採用することも可能である。この場合の相変化記録膜は、SbTeGeを主成分とすることが好ましい。
中間層群16は、光入射面10Aから遠い側から順番に第1〜第5中間層16A〜16Eを有しており、第1〜第6記録再生層14A〜14Fの間に積層される。各中間層16A〜16Eは、アクリル系またはエポキシ系の紫外線硬化型樹脂によって構成される。この中間層16A〜16Eの膜厚は、第1中間層16Aが16μm、第2中間層16Bが12μm、第3中間層16Cが16μm、第4中間層16Dが12μm、第5中間層16Eが16μmとなる。つまり、2種類の膜厚(16μm、12μm)の中間層が交互に積層されている。この結果、第1〜第6記録再生層14A〜14Fの層間距離として、光入射面側から順番に第1距離(16μm)と、この第1距離と異なる第2距離(12μm)が交互に設定されることになる。また、第1距離と第2距離の差は4μmに設定される。このようにすると、層間クロストークが低減される。
カバー層11は、中間層群16と同様に光透過性のアクリル系の紫外線硬化型樹脂により構成されており、38μmの膜厚に設定されている。
第1光記録媒体10は、上記のように構成される結果、サーボ層18は、光入射面10Aから0.2mm(200μm)の距離に位置しており、また、記録再生層群14の中で光入射面10Aから最も遠い第1記録再生層14Aは、光入射面10Aから0.11mm(110μm)の距離に位置しており、光入射面10Aに最も近い第6記録再生層14Fは、光入射面10Aから38μmの距離に位置することになる。また、記録再生層群14の全体的な厚み(第1記録再生層14A〜第6記録再生層14F間の距離)は72μmとなる。
次に第2光記録媒体20について説明する。この第2光記録媒体20は、記録再生層群24が4層構造(第1〜第4記録再生層24A〜24D)になる点と、その間に挿入される第1〜第3中間層26A〜26Cの膜厚が異なる点を除いては、第1光記録媒体10と同じ構造となっている。具体的に第1〜第3中間層26A〜26Cの膜厚は、第1中間層26Aが26μm、第2中間層26Bが20μm、第3中間層26Cが26μmとなる。この結果、第1〜第4記録再生層24A〜24Dの層間距離として、光入射面側から順番に第1距離(26μm)と、この第1距離と異なる第2距離(20μm)が交互に設定されることになる。また、第1距離と第2距離の差は6μmに設定される。
従って、サーボ層28は、光入射面20Aから0.2mmの距離に位置しており、また、記録再生層群24の中で光入射面20Aから最も遠い第1記録再生層24Aは、光入射面20Aから0.11mmの距離に位置しており、光入射面20Aに最も近い第4記録再生層24Dは、光入射面20Aから38μmの距離に位置することになる。また、記録再生層群24の全体的な厚み(第1記録再生層24A〜第4記録再生層24D間の距離)は72μmとなる。
次に第3光記録媒体30について説明する。この第3光記録媒体30は、記録再生層群34が5層構造(第1〜第5記録再生層34A〜34E)になる点と、その間に挿入される第1〜第4中間層36A〜36Dの膜厚が異なる点を除いては、第1光記録媒体10と同じ構造となっている。具体的に第1〜第4中間層36A〜36Dの膜厚は、第1中間層36Aが20μm、第2中間層36Bが16μm、第3中間層36Cが20μm、第4中間層36Dが16μmとなる。この結果、第1〜第5記録再生層34A〜34Eの層間距離として、光入射面側から順番に第1距離(16μm)と、この第1距離と異なる第2距離(20μm)が交互に設定されることになる。また、第1距離と第2距離の差は4μmに設定される。
従って、サーボ層38は、光入射面30Aから0.2mmの距離に位置しており、また、記録再生層群34の中で光入射面30Aから最も遠い第1記録再生層34Aは、光入射面30Aから0.11mmの距離に位置しており、光入射面30Aに最も近い第5記録再生層34Eは、光入射面30Aから38μmの距離に位置することになる。また、記録再生層群34の全体的な厚み(第1記録再生層34A〜第5記録再生層34E間の距離)は72μmとなる。
従って、本実施形態における光記録媒体シリーズは、第1〜第3記録媒体10、20、30の間において、記録再生層の積層数が互いに異なっていながらも、サーボ層の光入射面からの位置と、光入射面から最も近い記録再生層の光入射面からの位置と、光入射面から最も遠い記録再生層の光入射面からの位置とが互いに等しく設定されている。
この光記録媒体シリーズに属している記録媒体であれば、サーボ層の位置が全て統一されているので、光ピックアップ90における第2光学系200は、サーボ層の位置を容易に探すことが可能となり、素早くトラッキングを実行できるようになる。
また、本実施形態における光記録媒体シリーズは、第1〜第3記録媒体10、20、30の間において、光入射面に最も近い記録再生層の位置が統一されているので、光ピックアップ90における第1光学系100は、光入射面に最も近い記録再生層に素早くフォーカスすることが可能となる。同様に、第1〜第3記録媒体10、20、30の間において、光入射面に最も遠い記録再生層の位置も統一されているので、第1光学系100は、この記録再生層にも素早くフォーカスすることも可能となる。
更に本実施形態における光記録媒体シリーズでは、光入射面に最も近い記録再生層の位置と、光入射面に最も遠い記録再生層の位置の双方が統一されているので、記録再生用の光学系の収差補正量を限定できる。即ち、光ピックアップ90側において、この範囲の収差補正を許容できるようにしておけば、この光記録媒体シリーズに属している光記録媒体である限り確実に記録再生することが可能となる。
次に、光記録媒体シリーズに属する第1〜第3光記録媒体10、20、30の製造方法について説明する。なお、ここでは第1光記録媒体10の製造方法を説明することで、第2、第3光記録媒体20、30の製造方法の説明を省略する。
まず、金属スタンパを用いることによる、ポリカーボネイト樹脂の射出成型法により、グルーブおよびランドが形成された支持基板12を作製する。なお、支持基板12の作製は射出成型法に限られず、2P法や他の方法によって作製しても構わない。
その後、支持基板12におけるグルーブ及びランドが設けられた側の表面にサーボ層18を形成する。このサーボ層18は、Ag合金を用いたスパッタリングによって光反射性の金属層を形成することで行う。更に、サーボ層18の上にスペーサ層17を形成する。スペーサ層17は、例えば、粘度調整されたアクリル系またはエポキシ系の紫外線硬化型樹脂をスピンコート法等により皮膜し、これに対して紫外線を照射して硬化することにより形成する。なお、紫外線硬化性樹脂の代わりに、光透過性樹脂からなる光透過性シートを接着剤や粘着剤等を用いてサーボ層18の上に貼り付けることで形成することもできる。
次に、第1記録再生層14Aを形成する。具体的には、誘電体膜、追記型記録膜、誘電体膜の順に気相成長法を用いて形成する。中でもスパッタリング法を用いることが好ましい。その後、第1記録再生層14Aの上に第1中間層16Aを形成する。第1中間層16Aは、例えば、粘度調整された紫外線硬化型樹脂をスピンコート法等により皮膜し、その後、この紫外線硬化性樹脂に紫外線を照射して硬化することにより形成する。この手順を繰り返すことで、第2記録再生層14B、第2中間層16B・・・と順番に積層していく。
第6記録再生層14Fまで完成したら、その上にカバー層11を形成してこの第1光記録媒体10が完成する。なおカバー層11は、例えば、粘度調整されたアクリル系またはエポキシ系の紫外線硬化型樹脂をスピンコート法等により皮膜し、これに対して紫外線を照射して硬化することにより形成する。なお、本実施形態では上記製造方法を説明したが、本発明は上記製造方法に特に限定されるものではなく、他の製造技術を採用することもできる。
次に、光ピックアップ90を用いて、光記録媒体シリーズに属する第1光記録媒体10に情報を記録再生する手順について説明する。
この第1光記録媒体10の第1記録再生層14Aに情報を記録する場合、まず、第2光学系200の赤色波長領域のビーム270をサーボ層18に照射してトラッキングを行う。この作業と同時に、第1光学系100の青色波長領域の記録用ビーム170を第1記録再生層14Aに照射する。なお、このサーボ層18には、光記録媒体シリーズに関する基本仕様や、情報記録層群14の積層枚数に関する情報が、記録ピットやBCA(バーストカッティングエリア)に予め記録されており、トラッキングを開始する時に常に読み出すようになっている。本実施形態において、光記録媒体シリーズに関する基本情報としては、サーボ層の位置、光入射面に最も近い記録再生層の位置、光入射面に最も遠い記録再生層の位置、記録再生層群の層間距離に関するルールを含むようになっている。
既に述べたように、この光記録媒体シリーズでは、サーボ層18や第1記録再生層14Aの位置が光記録媒体間で予め共通化されている。光記録媒体シリーズに関する基本仕様を読み込むことで、光ピックアップ90側がこの基本仕様に対応できるようにしておけば、サーボ層18と第1記録再生層14Aに対して、各ビーム270、170を素早くフォーカスさせることができる。
その後、サーボ層18を利用してトラッキングを行いながら、第1記録再生層14Aに情報を記録していく。記録完了後は、今回の追記情報(記録に関するアドレス情報、コンテンツ情報等)をサーボ層18側に記録して完了する。なお、サーボ層18が記録層を有しない場合は、この追記情報を、光入射面10Aから最も遠い第1記録再生層14A、又は光入射面10Aに最も近い第6記録再生層14Fに記録して完了することが望ましい。
第2記録再生層14Bに情報を記録する際には、まず、光ピックアップ90が第2記録再生層14Bの位置を推測する。この光記録媒体シリーズでは、第1膜厚となる中間層と、この第1膜厚よりも薄い第2膜厚の中間層が、光入射面10Aの遠い側から交互に積層される仕様となっている。また更に、第1膜厚と第2膜厚の差は、例えば、第1及び第3本光記録媒体10、30では4μm、第2光記録媒体20では6μmに統一されている。従って、このルールに基づいて、第1記録再生層14Aを基準にして第2記録再生層14Bの位置をプログラムによって推測することができる。例えば第1光記録媒体10では、第1記録再生層14Aと第6記録再生層14Fの間隔が72μmであり、記録再生層群14が6層(つまり中間層群16が5層)構造になることから、膜厚差4μmを利用して、第1、第3、第5中間層16A、16C、16Eが16μmとなり、第2、第4中間層16B、16Dが12μmになると算出することもできる。この算出結果に基づいて、第1光学系100のビーム170を第2記録再生層14Bに直接フォーカスさせて情報を記録する。なお、この場合においても、第2光学系200を用いたトラッキングは継続して行われる。記録が完了したら、その追記情報をサーボ層18に記録して完了する。
次に、例えば第1記録再生層14Aに記録された情報を再生する際には、先ず、第2光学系200のビーム270を利用してサーボ層18を再生することで、上述の基本仕様と、記録に基づく追記情報(例えば第1記録再生層14Aに記録したコンテンツ情報等)を読み出す。その後、これらの情報に基づいて、第1光学系100のビーム170を利用して第1記録再生層14Aの所定アドレスにアクセスして再生を行う。この際は、第1記録再生層14Aに既に情報が記録されていることが明らかであるので、その記録マークを利用してトラッキングを行えば良い。従って、第1記録再生層14Aのコンテンツ再生中は、第2光学系200のビーム270は不要とすることができる。
本実施形態における光記録媒体シリーズによれば、記録再生層の数が互いに異なる各光記録媒体10、20、30において、平面構造となる複数の記録再生層と、トラッキング制御用の凹凸が形成されるサーボ層を備えた構造を採用し、更に、これらの複数の光記録媒体10、20、30の間において、光入射面からのサーボ層の位置が互いに等しくなっている。従って、光ピックアップ90は、このシリーズに属する光記録媒体である限り、第2光学系200によって、サーボ層を直接フォーカスすることが可能となり、トラッキングを素早く開始できる。同時に、これらの光記録媒体10、20、30の間において、光入射面に最も近い記録再生層の光入射面からの位置が互い等しくなっているので、第1光学系100によって、この記録再生層を直接フォーカスすることが可能となっている。上述のトラッキング制御との相乗効果により、確実且つ素早い記録を行うことが出来る。
また、この光記録媒体シリーズによれば、光記録媒体10、20、30の間において、光入射面に最も遠い記録再生層の光入射面からの位置が互い等しくなっているので、この記録再生層を第1光学系100が直接フォーカスできる。光ピックアップ90に対して、記録再生層の数が異なる記録媒体10、20、30がセットされたとしても、光入射面に最も近い記録再生層と、最も遠い記録再生層の位置を予め把握できているので、記録再生層の数に依存せずに、記録再生エラーを大幅に抑制することができる。また、記録再生層が存在する位置範囲が予め限定されるので、この範囲の収差補正を許容する光ピックアップ90さえ用意しておけば、全ての光記録媒体10、20、30の記録再生精度を高めることが可能となる。これは、光ピックアップ90の製造コストを低減することにつながる。
とりわけ、第1〜第3光記録媒体10、20、30の各々は、隣接する記録再生層の層間距離として、第1距離と、該第1距離と異なる第2距離とが交互に設定される。このように、記録再生層の層間距離に一定の法則を定義しておくことで、光ピックアップ90が記録再生層の位置を計算によって推測することが可能となり、記録再生速度を高めることが出来る。
また、この光記録媒体シリーズによれば、光記録媒体におけるサーボ層が、記録再生層群よりも光入射面から遠い位置に配置されているので、トラッキング制御用の凹凸が、記録再生層に対する記録再生用のビーム170に悪影響を与えることを低減することができるので、記録再生精度を更に高めることができる。
更にまた、この光記録媒体シリーズによれば、サーボ層のトラッキング用の凹凸のトラックピッチが、記録再生層に記録予定となるトラックピッチの2倍に設定されている。このようにするとで、サーボ層では、安価となる波長の長い赤色のビーム270を採用することによって、ランド及びグルーブの双方を用いたトラッキングを行いつつ、記録再生層では、1/2のトラックピッチによる記録が可能となる。特にサーボ層側のトラックピッチを0.64μmに設定することで、第2光学系200はDVD規格の既存製品をほとんどそのまま用いることが出来る。一方で、記録再生層は0.32μmのトラックピッチとなるので、第1光学系100は、BD規格の既存製品をほとんどそのまま用いることが出来る。即ち、光ピックアップ90側は新たな開発負担が無く、既存の部品を有効活用しながら、本記録媒体シリーズに対応することが可能となる。


なお、本実施形態の光記録媒体シリーズでは、記録再生層群の積層数の異なる3種類の光記録媒体を有する場合に限って示したが、本発明はこれに限定されず、2種類であってもよく、4種類以上の光記録媒体を有するようにしても良い。また、記録再生層群の積層数についても、ここでは4〜6層に限って示したが、本発明はこれに限定されない。
また、本実施形態の光記録媒体シリーズでは、記録再生層群と比較して、サーボ層が光入射面から遠い位置に配置される場合を示したが、本発明はこれに限定されず、サーボ層を記録再生層群よりも光入射面側に配置することも可能である。
更に、本実施形態の光記録媒体シリーズでは、記録再生層の層間距離が、第1距離と第2距離が交互に設定される場合に限って示したが、これに限定されず、3種類以上の層間距離を適宜設定することも可能である。
本発明の光記録媒体シリーズは、サーボ層と記録再生層を有する各種光記録媒体に適用することができる。
10 第1記録媒体
11、21、31 カバー層
12、22、32 支持基板
14、24、34 記録再生層群
16、26、36 中間層群
17、27、37 スペーサ層
18、28、38 サーボ層
20 第2記録媒体
30 第3記録媒体
90 光ピックアップ

Claims (4)

  1. トラッキング制御用の凹凸を有しない平面構造の複数の記録再生層と、トラッキング制御用の凹凸が形成されるサーボ層とを備えることによって、前記サーボ層を利用してトラッキング制御を行いながら前記記録再生層に情報を記録できる光記録媒体が、複数種類用意された光記録媒体シリーズであって、
    複数の前記光記録媒体の間において、前記記録再生層の積層数が互いに異なっており、
    複数の前記光記録媒体の間において、光入射面からの前記サーボ層の位置が互いに等しくなっており、
    複数の前記光記録媒体の間において、前記光入射面に最も近い前記記録再生層の該光入射面からの位置が互いに等しくなっており、
    複数の前記光記録媒体の間において、前記光入射面に最も遠い前記記録再生層の該光入射面からの位置が互いに等しくなっている
    ことを特徴とする光記録媒体シリーズ。
  2. 前記光記録媒体における前記サーボ層が、複数の前記記録再生層と比較して前記光入射面から遠い位置に配置されることを特徴とする請求項1に記載の光記録媒体シリーズ。
  3. 複数の前記光記録媒体の各々は、複数の前記記録再生層の層間距離として、第1距離と、該第1距離と異なる第2距離とが交互に設定されることを特徴とする請求項1又は2に記載の光記録媒体シリーズ。
  4. 前記サーボ層における前記トラッキング制御用の凹凸のトラックピッチが、前記記録再生層に記録予定のトラックピッチの2倍に設定されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の光記録媒体シリーズ。
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