JP2008097694A - 多層光記録再生装置及び光記録再生方法、並びに多層光記録媒体 - Google Patents

多層光記録再生装置及び光記録再生方法、並びに多層光記録媒体 Download PDF

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Abstract

【課題】多層光記録媒体において、各記録層における記録トラックの偏心を規定値内に合わせるためのプロセス時間を短縮する。
【解決手段】予めアドレスや半径位置などを表す為の凹凸部やトラッキング用の溝を有していない記録層(サーボ領域未付加記録層)が少なくとも1層以上あり、前記サーボ領域未付加記録層を予めアドレスや半径位置などを表す為の凹凸部やトラッキング用の溝を有する記録層(サーボ領域付加層)で挟んだ形態で積層しているデータ記録が可能な多層光記録媒体を用い、同じ特性を持つ光源を2つ備え、そのうちの一つの光源から出射したビームはサーボ用ビームとして作用し、他のもう一つの光源から出射したビームは記録再生用ビームとして作用する多層光記録再生装置100を用い、ビームの進行方向に対して手前側のサーボ領域付加層34と奥側のサーボ領域付加層35とでサーボ専用ビームとしての役割を二つのビーム間で逆転させた。
【選択図】図1

Description

本発明は中間層を介して複数の記録層を積層した多層光記録媒体に、データを記録・再生する多層光記録再生装置及び多層光記録再生方法、並びにその多層光記録媒体に関する。
近年、マルチメディア化に対応して、大量のデータを高密度で記録し、かつ迅速に記録再生する情報記録媒体としての光情報記録媒体(光ディスク)が注目されている。このような光ディスクとしては、例えば、CDまたはレーザーディスク等のように、ディスク製作時にスタンピングされた情報の再生のみが行われる再生専用型ディスク、CD−R等のように、一回だけの記録を可能とした追記型ディスク、光磁気記録方式や相変化記録方式を用いて、何回もデータの書き換え消去が可能な書き換え型ディスク等が知られている。
一方、光ディスクにデータを記録し、記録されたデータを再生する方法は、レーザ光を対物レンズを用いて回折限界にまで絞り込んだ光スポットを照射して行われる。この光スポットの径は、レーザ光の波長λと対物レンズの開口数NAとを用いて(λ/NA)程度となる。近年の光ディスクの大容量化の要求に応えるべく、これらの光ディスク製品は高密度化され、これらに情報を記録再生するための光ヘッド装置は、光ディスク面上に集光するスポット径を小さくする必要があるために、レーザ光源の波長を650nmまたは635nmとしたり、対物レンズの開口数(NA)を0.6にしている。さらに、次世代の光記録においてはレーザ光源の波長を400nm程度、NAを0.6以上とすることにより、より大きな記録密度を得ることが提案されている。
さらに、レーザ光源の短波長化や高NA化が限界に達すると、新しい大容量化技術として、記録媒体の深さ方向へ記録することにより更なる大容量化を図る方法も考えられている。その内の一つが、特許文献1に記載されているようなバルク状態の記録媒体に3次元的に記録再生を行うもので、もう一つが特許文献2に記載されているような複数の記録層を積み重ねた多層型記録媒体の利用である。
このうち多層光記録媒体としては、2層再生専用型ディスク(DVD−ROM)がすでに商品化されており、同様に、2層追記型ディスクや2層書き換え型ディスクも開発が進められている。また、3層以上の多層光記録媒体も盛んに検討されており、今後の大容量化技術として期待されている。
特開2002−312958号公報 特開2003−346378号公報
このように、多層光記録媒体における記録層の数が多くなるに従って種々の問題が生じてくる。その中のひとつに、ある厚さの中間層を介して各記録層を順次積層する時にトラッキングサーボ用凹凸溝を各記録層に設けているために各記録層における記録トラックの偏心を規定値内に合わせるためのプロセス時間が層数分かかり、なおかつ記録層が多くなると偏心が規定値外になるなどして最終的な歩留まりが低下するという問題が生じてくる。
本発明は、このような従来技術における問題点を解決し、偏心合わせによるプロセス時間の短縮および歩留まり向上を図り、安価でかつ高速アクセス可能な多層光記録再生装置及び多層光記録再生方法、並びに多層光記録媒体を提供することにある。
かかる課題を解決するために、本発明における多層光記録再生装置及び多層光記録再生方法、並びに多層光記録媒体は、以下の特徴を備えている。
一つは、予めアドレスや半径位置などを表す為の凹凸部やトラッキング用の溝を有していない記録層(サーボ領域未付加層)が少なくとも1層以上あり、前記サーボ領域未付加層を、中間層を介して、予めアドレスや半径位置などを表す為の凹凸部やトラッキング用の溝を有する記録層(サーボ領域付加層)で挟んだ形態で積層しているデータ記録が可能な多層光記録媒体を用い、ほぼ同じ特性を持つ光源を2つ備え、そのうちの一つの光源から出射したビームはサーボ用ビームとして作用し、他のもう一つの光源から出射したビームは記録再生用ビームとして作用する多層光記録再生装置であって、ビームの進行方向に対して手前側のサーボ領域付加層と奥側のサーボ領域付加層とでサーボ専用ビームとしての役割を2つのビーム間で逆転させることを特徴としている。
なお、サーボ用ビームに割り当てられたビームの焦点制御は対物レンズにより行い、記録再生用ビームに割り当てられたビームの焦点位置制御はリレーレンズを用いて行っている。本発明では、どちらのビームも記録再生用ビームとしての役割もするので、それぞれのビームの光路中にリレーレンズを搭載している。
例えば、ビームの進行方向に対して手前側のサーボ領域付加層を光源1から出射したビームでサーボをかけ、光源2から出射したビームでそのすぐ奥側のサーボ領域未付加記録層に記録再生を行っていたとして、その後、ビームの進行方向に対して奥側のサーボ領域近辺の記録層に記録再生を行う場合には、光源1から出射したビームと光源2から出射したビームとの位置関係は変わらずに(即ち光源1から出射したビームの焦点位置の方が光源2から出射したビームの焦点位置に対して手前側にあり、そのビーム間隔は層間距離とほぼ同じ)、そのままの状態で奥側に移動しながら任意の場所まで移動してくると、光源2から出射したビームがサーボ用ビームとなり光源1から出射したビームが記録再生用ビームとなり、最終的には光源2から出射したビームで奥側のサーボ領域付加層にサーボをかけることになる。このように2つのビーム間で役割を切り変えることにより短時間での記録再生が可能となる。
更に、記録層の総数に対してサーボ領域付加層の総数の割合が従来に比べて少ない為に、層間移動に伴う時間が短縮でき、高速アクセスが可能となった。
本発明では、確実なサーボ及びアクセスを可能とするために、サーボ領域付加層を設けている。ここで対物レンズの制御はサーボ用に割り当てられたビームのみで実行するようにしている。即ち、多層光記録媒体の回転中に生じる上下ぶれや偏心などはサーボ用ビームで制御し、他の記録再生用ビームでは対物レンズの制御はしていない。また本発明の多層光記録再生装置ではサーボ用ビームの焦点位置と記録再生用ビームの焦点位置は任意に変えることができる。実際には、記録再生用ビームの焦点位置を多層光記録媒体の深さ方向に可変させるためにリレーレンズを用いている。更にこのリレーレンズの記録媒体側のレンズのみを移動させることにより、リレーレンズ内で平行光が焦点を結ぶ位置の変化も無く記録再生用ビームの焦点位置を確実に制御できる。また、リレーレンズ中の焦点が合う場所にピンホールを設置することにより、記録媒体中の目的の記録マークからの反射ビーム以外の反射ビームをこのピンホールで除去することができ、確実な再生信号を得ることが出来る。厳密に言えば、絞込みレンズの移動に応じて記録再生用ビームの焦点位置を自動調整した方が好ましい。
この時、偏心合わせによるプロセス時間の短縮および歩留まり向上を図るために、サーボ領域未付加層には予めアドレスや半径位置などを表す為の凹凸部やトラッキングの為の溝は形成されていない(サーボ領域未付加層)。そこで、サーボ領域未付加層へのデータの記録時には、サーボ領域付加層に形成しているアドレスや半径位置などの情報をサーボ用ビームで再生しながら、その情報を元にサーボ領域未付加層に記録を行うことが本発明の特徴の一つである。再生時にも同様な動作が実施される。場合によっては、最初の時点で記録再生ビーム照射によりアドレスや半径位置などを表す為の情報をサーボ領域未付加層に追加記録しても良い。
次に、2つのビームの位置関係を装置間で同じにする為に最初に調整を行う。まずサーボ用ビームと記録再生用ビームとも任意のサーボ領域付加層に照射し焦点合わせおよびトラッキングを個々に行い、同じトラックの同じ位置に二つのビームを合わせる。この動作は、記録再生領域とは別の半径位置に設けた装置互換を取る為の2ビーム位置調整領域を設けてそこで予め実施していても良い。二つのビームが重なった状態での種々の情報を記録装置内の内部メモリに記憶させる。場合によっては、ビームの進行方向に二つのビームが重ならない程度ずらしてもよい。この時、サーボ用ビームを先行させた方が好ましい。ここでサーボ動作の順番としては、対物レンズの制御によりサーボ用ビームで目的のサーボ領域付加層に焦点合わせおよびトラッキングを行った後、記録再生用ビームの焦点位置をリレーレンズにより調整しトラッキングを行うことになる。なお、少なくともリレーレンズの記録再生用光源側のレンズを記録再生用ビームの進行方向に対して垂直方向に移動させることにより多層光記録媒体中における記録再生用ビームのトラッキング制御を実施している。このようにして同じトラックの同じ位置を二つのビームで照射することができたら、サーボ用ビームはサーボ領域付加層にサーボをかけたまま、記録再生用ビームを目的の記録層へ移動させる。ここではサーボ領域付加層を含め装置の特性で決められた数の層まで記録再生を行うことになる。なお、記録しようとする記録層の一部に既に記録が行われていた場合には、まず焦点を合わせた後、既に記録されているデータ列を元にトラッキングをかける機能も有している。なお、サーボ用ビームの方が記録再生用ビームよりも時間的に先行させている場合には、サーボ領域付加層のアドレスや半径位置などの情報を再生しながら、前記サーボ領域付加層の一つ隣側のサーボ領域未付加層にデータを記録することにより、両方の層のデータ記録場所をほぼ同じにすることができて好ましい。
また、サーボ領域未付加層において既に記録されているデータの後ろに新たに連続的にデータを追加記録する場合には、既にあるデータに続いてすぐに記録をしないで、すこし記録をしない領域(空白領域)を設けた方が好ましい。特に、異なる装置で記録を行った場合にはサーボ領域付加層の記録トラックに対して既に記録されているデータが半径方向にずれて記録されている可能性があり、既に記録されているデータの影響受けてトラッキングがずれるのを防ぐ為である。
本発明の多層光記録再生装置は、予め焦点位置の移動距離と球面収差量との関係を求めておいて各光源から出射されたビームの焦点位置がサーボ領域付加層より記録層方向に移動した距離に応じて収差補正を自動で行う収差補正機構を備えていることも特徴の一つである。
通常、記録再生用ビームが透過する層(基板やカバー層や中間層や保護層など)の厚みによって球面収差が発生する。この球面収差は、層のトータル厚さをd、ビームの波長をλとすると、NA×d/λに比例する。即ち、この層のトータル厚さによって球面収差を補正する必要がある。そこで、本発明では、球面収差補正を行う為に液晶素子を用いている。この液晶素子は、誘電率と屈折率に異方性を持つため、液晶素子に印加する電圧によって屈折率が変化する。この物性を利用することにより、球面収差を補正するものである。
本発明の多層光記録再生装置においては、光多層記録媒体にビームが入射した位置から奥側のサーボ領域付加層までのトータル厚さのほぼ中心位置に焦点があった時に球面収差が零になる様に対物レンズを設計している。その為に、本発明で用いる光多層記録媒体は、記録層の総数によらず光多層記録媒体にビームが入射した位置から奥側のサーボ領域付加層までのトータル厚さのほぼ中心位置に焦点が合うように各層(記録層や中間層など)の厚さを決めている。また、各ビームの焦点位置の移動距離と球面収差量との関係は予め記録再生装置内の内部メモリに記憶されている。
次に、球面収差を自動で補正する方法を述べる。ここでは、記録再生用ビームの球面収差補正方法を説明する。多層光記録再生装置にセットされた多層光記録媒体においては、目的のサーボ領域付加層上にサーボ用ビームおよび記録再生用ビームの両方が合焦するようにそれぞれのAF制御手段により実行する。その時のパラメータ値(対物レンズの位置、リレーレンズの位置、フォーカスサーボゲインなど)を装置内のメモリに記憶しておく。これらのパラメータを取得する為の領域を、記録再生領域とは別の半径位置に設けても良い(初期調整用領域)。そして、目的のサーボ領域付加層上に焦点があった状態でのリレーレンズの記録媒体側のレンズ位置と、予め求めていた記録層のほぼ中心位置に焦点があった時のリレーレンズにおける記録媒体側のレンズ位置とを比較して球面収差量を補正する。そして、更にビームが隣のサーボ領域未付加層方向へ移動した場合にはリレーレンズ位置の変化量に応じて更に収差補正量を制御するのである。例えば、3層目の記録層へ記録再生用ビームの焦点を合わせた時に、サーボ領域付加層に焦点が合った状態でのリレーレンズの記録媒体側のレンズ位置(基準位置)から20μm程度記録媒体側のレンズが移動したとすると、内部メモリに記憶されている電圧補正分布データをもとに20μmずれた時の補正量分だけ液晶素子に電圧をかけて補正するのである。
本発明ではトラッキング用の溝があるサーボ領域付加層にも記録再生を実施する。その為に、サーボ領域付加層における溝部分に記録する場合とサーボ領域未付加層における記録(溝は無い)では記録特性が異なる可能性がある。これに関しては、予め試し書き領域を設けて、その場所で記録特性を調べておき、実際の記録時に補正しながら記録を行うことにより良好な記録が行えた。
また、一度も記録されていない記録媒体の場合を装置にセットした場合には、ビームの入射側から見て一番遠くにある奥側のサーボ領域付加層から順に記録をしていくことにより、記録された記録マークによる影響を少なくすることができて好ましい。
本発明に用いる多層光記録媒体は、多層形成プロセス時の各記録層の偏心合わせ工程での歩留まりを高くするために、予めアドレスや半径位置などを表す為の凹凸部やトラッキング用の溝を有する記録層(サーボ領域付加層)の層数を2層と少なくしている。またこの2層間に挟む事のできるサーボ領域未付加層の総数は多層光記録再生装置の性能で決まってくる。サーボ領域未付加層の総数が多い場合には、中間層を予め作製した薄板シートを用いることによりプロセスの簡単化が可能である。以上により多層形成プロセス時の各記録層の偏心合わせ工程での歩留まりを高くする事ができた。
かくして本発明によれば、安価でかつ高速アクセス可能な多層光記録再生装置及び多層光記録再生方法、並びに多層光記録媒体が提供される。
以下、図面に基づき、本発明を実施するための最良の形態(以下、実施の形態)について詳細に説明する。
(実施例)
図1は、本実施の形態が適用される多層光記録媒体への多層光記録再生装置を説明するための図である。多層光記録再生装置100は、波長405nmのレーザ光を発光する高出力半導体レーザ1と、高出力半導体レーザ1からのビームを平行光線にするコリメートレンズ2と、偏光ビームスプリッタ3と、λ/4板4と、高出力半導体レーザ1から出射したビームの焦点位置を変えるためのリレーレンズ5と、再生信号のSNを上げるためにリレーレンズ5内に設けたピンホール6と、球面収差を補正する球面収差補正板(液晶素子)7と、ハーフプリズム8と記録再生用ビーム及びサーボ用ビームを多層光記録媒体9内に焦点を絞る対物レンズ10と、多層光記録媒体9から戻ってきたビームを元に信号再生用とAF用及びトラッキング用のビームに分けるビームスプリッタ11と、ビームスプリッタ11により分けられた信号用の平行光線を絞り込む絞り込みレンズ12と、信号用の検出器13と、AF用及びトラッキング用のビームを絞り込む絞込みレンズ14とシリンドリカルレンズ15と検出器16、を有している。
また、記録装置100は、波長405nmのレーザ光を発光する高出力半導体レーザ17と、コリメートレンズ18と、偏光ビームスプリッタ19と、λ/4波長板20と、記録再生用ビームの焦点位置を変えるためのリレーレンズ21と、再生信号のSNを上げるためにリレーレンズ21内に設けたピンホール22と、球面収差を補正する球面収差補正板(液晶素子)23と、反射ミラー24と、AF用及びトラッキング用のビームを絞り込む絞り込みレンズ25とシリンドリカルレンズ26と検出器27と、を有する。
更に、記録装置100は、高出力半導体レーザ1を制御するレーザドライバ28と、高出力半導体レーザ17を制御するレーザドライバ29と、検出器27からの信号を用いて対物レンズ10の焦点位置を調整するAF&トラッキング制御回路30および高出力半導体レーザ1から出射したビームの焦点位置を目的の記録層に合わせるためのAF&トラッキング制御回路31と、サーボ制御、記録パワー制御などを総合的に制御するマイクロプロセッサ32と、を備えている。
尚、記録再生装置100は、対物レンズ10の位置を調整するためのアクチュエータと、リレーレンズ5及びリレーレンズ21の各レンズを移動させる移動装置と、リレーレンズ5及びリレーレンズ21と連動して球面収差補正板7及び23に収差が小さくなるように電圧を印加する自動補正機構を備え、さらに、レーザスポットを多層光記録媒体9の半径方向に移動させる移動装置と、多層光記録媒体9を回転させるための回転装置と、を有し、これらは図示を省略した。
また、本実施の形態においては、記録再生用ビームに波長(λ)405nmの高出力半導体レーザ1を使用しているが、これに限定されず、波長(λ)250nm〜450nmの高出力レーザを用いても良い。更に、光源は、高出力半導体レーザに限らず、ガスレーザ、他の構造のレーザを用いることができる。記録ビームの波長は、多層光記録媒体の記録層における吸収率が大きい波長が好ましい。
前記、多層光記録媒体は、ポリカーボネイト基板33上にサーボ領域付加層34及びサーボ領域付加層35の間に透明な中間層36を介してサーボ領域未付加層37を目的の層数だけ積層し、最後に0.1mmの透明保護板のカバー層38を貼り合わせた構造となっている。ここで、各記録層の形成方法を詳細に説明する。まず、アドレスや半径位置などを表す為の凹凸部やトラッキング用の溝を表面に有するポリカーボネイト基板33上に記録膜を形成しサーボ領域付加層34とする。そしてサーボ領域付加層34上に中間層36として薄板シートを形成する。その上に記録膜を形成しサーボ領域未付加層37とする。同様なプロセスを経て、最終的にはナノプリント法によりアドレスや半径位置などを表す為の凹凸部やトラッキング用の溝を表面に有する中間層上に記録膜を形成したサーボ領域付加層35と0.1mmの透明保護板のカバー層38とを接着して多層光記録媒体9が完成する。
本実施例では、記録膜として酸化物系や窒化物系などの光学定数のkが比較的小さいものを形成している。本実施例では、BiGe+N系記録膜を用い、各膜厚は層数よって変えている。さらに図示はしていないが保護層及び光学調整層として、誘電体膜を少なくとも形成している。本実施例では、誘電体膜としてZnS-SiO2を用い、記録膜を挟んだ構造とした。なお、記録膜としてはBiGe+N系記録膜以外にも光学的にほぼ透明でビーム照射によりその部分の反射率や屈折率などの光学定数が変化するものなら本発明に使用できる。また、誘電体膜としては、ZnS-SiO2以外にも光学的にほぼ透明で熱的および機械的に強いものであれば本発明に使用できる。例えば、SiO2やSiNなどである。
また本実施例で用いた中間層は厚さ約20μmで波長405nmにおいてほぼ透明である。更に多層化する場合には、中間層やカバー層の厚さをこれよりも薄くすればよい。
また本実施例で用いた中間層はナノプリント法により形成した約20μmの厚さの薄板シートで波長405nmにおいてほぼ透明である。また、場合によってはナノプリント法ではなく、紫外線硬化樹脂などを用いた2P法により中間層を形成しても良い。ただ、層数を増やす場合には本実施例のような薄板シートを積み重ねる方法がプロセス短縮には有効である。
ここで本実施例における多層光記録再生装置100に6層の記録層を有する多層光記録媒体9へ記録再生を行う場合の各動作を詳細に説明する。
まず多層光記録媒体9を多層光記録再生装置100にセットし、2つのビームの位置関係を装置間で同じにする為に初期調整を行う。例えば、高出力半導体レーザ1から出射したビームをサーボ用ビームとし、高出力半導体レーザ17から出射したビームを記録再生用ビームとし、両者のビームを奥側のサーボ領域付加層34に照射し焦点合わせおよびトラッキングを個々に行い、同じトラックの同じ位置に二つのビームを合わせる。この動作は、記録再生領域とは別の半径位置に設けた装置互換を取る為の2ビーム位置調整領域を設けてそこで予め実施していても良い。二つのビームが重なった状態での種々の情報を記録装置内の内部メモリに記憶させる。場合によっては、ビームの進行方向に二つのビームが重ならない程度ずらしてもよい。この時、サーボ用ビームを先行させた方が好ましい。ここでサーボ動作の順番としては、対物レンズ10の制御によりサーボ用ビームで奥側のサーボ領域付加層34に焦点合わせおよびトラッキングを行った後、記録再生用ビームの焦点位置もリレーレンズにより奥側のサーボ領域付加層34にトラッキングを行うことになる。なお、少なくともリレーレンズの記録再生用光源側のレンズを記録再生用ビームの進行方向に対して垂直方向に移動させることにより多層光記録媒体中における記録再生用ビームのトラッキング制御を実施している。このようにして同じトラックの同じ位置を二つのビームで照射することができたら、サーボ用ビームはサーボ領域付加層34にサーボをかけたまま、記録再生用ビームを目的の記録層、例えば奥側のサーボ領域付加層34の1層手前のサーボ領域未付加層37へ移動させる。ここでは多層光記録再生装置の特性で決められた数の層まで記録再生が行えることになる。更に、このあとで手前のサーボ領域付加層35近辺の記録層に記録再生を実施する場合には、高出力半導体レーザ1から出射したビームと高出力半導体レーザ17から出射したビームとの位置関係は変わらずに(即ち高出力半導体レーザ17から出射したビームの焦点位置の方が高出力半導体レーザ1から出射したビームの焦点位置に対して手前側にあり、そのビーム間隔は層間距離とほぼ同じ)、そのままの状態で手前側に移動しながらサーボ領域付加層35の近くまで移動してくると、高出力半導体レーザ17から出射したビームが今度はサーボ用ビームとなり、高出力半導体レーザ1から出射したビームが記録再生用ビームとなる。最終的には高出力半導体レーザ17から出射したビームで手前側のサーボ領域付加層35にサーボをかけることになる。このように2つのビーム間で役割を切り変えることにより短時間での記録再生が可能となる。
更に、サーボ用ビームの方が記録再生用ビームよりも時間的に先行させている場合には、サーボ領域付加層のアドレスや半径位置などの情報を再生しながら、前記サーボ領域付加層の一つ隣側のサーボ領域未付加層にデータを記録することにより、両方の層のデータ記録場所をほぼ同じにすることができて好ましい。
また、サーボ領域未付加層において既に記録されているデータの後ろに新たに連続的にデータを追加記録する場合には、既にあるデータに続いてすぐに記録をしないで、すこし記録をしない領域(空白領域)を設けた方が好ましい。特に、異なる装置で記録を行った場合にはサーボ領域付加層の記録トラックに対して既に記録されているデータが半径方向にずれて記録されている可能性があり、既に記録されているデータの影響受けてトラッキングがずれるのを防ぐ為である。
なお、記録しようとする記録層の一部に既に記録が行われていた場合には、まず焦点を合わせた後、既に記録されているデータ列を元にトラッキングをかける機能も有している。
多層光記録媒体9中の深さ方向に記録再生用ビームの焦点位置が1層分移動したとすると、球面収差の量が変化する。この球面収差は、層のトータル厚さをd、ビームの波長をλとすると、NA×d/λに比例する。即ち、記録再生用ビーム移動することにより、対物レンズ10と記録再生用ビームの焦点位置との間にある中間層36の厚さ分多くなり(実際には記録膜や誘電体膜の厚さも考慮している)、この変化した層のトータル厚さによって球面収差を補正する必要がある。そこで、本発明では、球面収差補正を行う為に液晶素子7を用いている。この液晶素子7は、誘電率と屈折率に異方性を持つため、液晶素子7に印加する電圧によって屈折率が変化する。この物性を利用することにより、球面収差を補正するものである。
さらにサーボ領域付加層上に2つのビームが合焦するようにした状態から改めて記録再生用ビームの焦点位置の移動量に対応する最適な収差補正量を求め、その値を元に記録媒体中の記録再生用ビームの基準位置からの移動した距離に応じて自動で収差補正を行ってもよい。この場合の方が確実に球面収差補正ができる。
また、本実施例のようにリレーレンズ5及び21中の焦点が合う場所にピンホール6及び22を設置することにより、目的の記録層における記録マークなどからの反射ビーム以外の反射ビームはこのピンホールで除去することができ、確実な再生信号を得ることが出来る。また、リレーレンズの記録媒体側のレンズのみを移動させるためにリレーレンズ内で平行光が焦点を結ぶ位置の変化も無いので、ピンホールの位置を記録再生用ビームの焦点位置を移動させる度に移動させる必要はない。
本発明の多層光記録再生装置においては、光多層記録媒体にビームが入射した位置から奥側のサーボ領域付加層までのトータル厚さのほぼ中心位置に焦点があった時に球面収差が零になる様に対物レンズを設計している。その為に、本発明で用いる光多層記録媒体は、記録層の総数によらず光多層記録媒体にビームが入射した位置から奥側のサーボ領域付加層までのトータル厚さのほぼ中心位置に焦点が合うように各層(記録層や中間層など)の厚さを決めている。その結果、本発明で用いる多層光記録媒体は、記録層の総数によらず光多層記録媒体にビームが入射した位置から奥側のサーボ領域付加層までのトータル厚さがほぼ同じとなっている。
図2は、本実施例で用いる多層光記録媒体において3層構造から6層構造までを例にとり、各記録層に記録再生を行う場合の各ビームの位置関係を示したものである。ここで、Sはサーボ用ビームを示し、R/Wは記録再生用ビームを示している。また本実施例では最低限必要なサーボ領域付加層を形成している。
例えば6層構造でサーボ領域未付加層37であるL1層に記録再生を行う場合について説明する。まず、サーボ用ビームと記録再生用ビームをサーボ領域付加層34であるL0層に照射し、目的の半径において各ビームとも焦点合わせ及びトラッキング動作を行う。そしてサーボ用ビームはこのままサーボ領域付加層34であるL0層に焦点合わせ及びトラッキング動作を維持し、記録再生用ビームはL1層に移動させる。すなわちL1層に記録再生を行っている状態では、図2に示すように、再生用ビームはL0層に記録再生用ビームはL1層にあることになる(各層を記録再生する場合の各ビームの配置例は図2を参照)。
以上のような多層光記録再生装置及び多層光記録再生方法、並びに多層光記録媒体を用いることにより、高速アクセスが可能となり、更に多層形成プロセス時の各記録層の偏心合わせ工程での歩留まりを高くする事ができた。
本実施例における記録再生装置の構成図 本実施例における記録再生時のビームの位置例
符号の説明
1…高出力半導体レーザ、2,18…コリメートレンズ、3,19…偏光ビームスプリッタ、4,20…λ/4板、5,21…リレーレンズ、6,22…ピンホール、7,23…球面収差補正板(液晶素子)、8…ハーフプリズム、9…多層光記録媒体、10…対物レンズ、11…ビームスプリッタ、12,14,25…絞り込みレンズ、13,16,27…検出器、15,26…シリンドリカルレンズ、17…高出力半導体レーザ、24…反射ミラー、28,29…レーザドライバ、30,31…AF&トラッキング制御回路、32…マイクロプロセッサ、33…ポリカーボネイト基板、34,35…サーボ領域付加層、36…中間層、37…サーボ領域未付加層、38…カバー層、100…多層光記録再生装置

Claims (20)

  1. 予めアドレスや半径位置などを表す為の凹凸部やトラッキング用の溝を有していない記録層としてサーボ領域未付加層が少なくとも1層以上あり、前記サーボ領域未付加層を、中間層を介して、予めアドレスや半径位置などを表す為の凹凸部やトラッキング用の溝を有する記録層であるサーボ領域付加層で挟んだ形態で積層しているデータ記録が可能な多層光記録媒体を用い、ほぼ同じ特性を持つ光源を2つ備え、そのうちの一つの光源から出射したビームはサーボ用ビームとして作用し、他のもう一つの光源から出射したビームは記録再生用ビームとして作用する多層光記録再生装置であって、ビームの進行方向に対して手前側のサーボ領域付加層と奥側のサーボ領域付加層とでサーボ用ビームとしての役割を2つのビーム間で逆転させることを特徴とする多層光記録再生装置。
  2. 請求項1記載の多層光記録再生装置において、サーボ用ビームに割り当てられたビームの焦点制御は対物レンズにより行い、記録再生用ビームに割り当てられたビームの焦点位置制御はリレーレンズを用いることを特徴とする多層光記録再生装置
  3. 請求項2記載の多層光記録再生装置において、それぞれのビームの光路中にリレーレンズを搭載していることを特徴とする多層光記録再生装置。
  4. 請求項3記載の多層光記録再生装置において、該リレーレンズ中の焦点が合う場所にピンホールを設置したことを特徴とする多層光記録再生装置。
  5. 請求項1記載の多層光記録再生装置において、サーボ領域未付加層におけるトラッキング制御を少なくともリレーレンズの光源側のレンズを移動させることにより行うことを特徴とする多層光記録再生装置
  6. 請求項1記載の多層光記録再生装置において、予め焦点位置の移動距離と球面収差量との関係を求めておいて記録再生用光源から出射されたビームの焦点位置がサーボ領域付加層より記録層方向に移動した距離に応じて収差補正を自動で行う収差補正機構を備えていることを特徴とする多層光記録再生装置。
  7. 請求項6記載の多層光記録再生装置において、該収差補正を行う為に液晶素子を用いたことを特徴とする多層光記録再生装置。
  8. 請求項6記載の多層光記録再生装置において、初めて該記録再生装置にセットされた多層光記録媒体においては、最初に設定された半径でのサーボ領域付加層上にサーボ用光源および記録再生用光源から出射された各ビームが合焦するように自動調整するAF制御手段、その時のパラメータ値としてリレーレンズの位置、あるいは、フォーカスサーボゲイン、あるいはその双方を装置内のメモリに記憶する手段を有していることを特徴とする多層光記録再生装置。
  9. 請求項6記載の情報の記録再生装置において、該サーボ層上にサーボ用光源および記録再生用光源から出射された各ビームが合焦するようにした状態におけるリレーレンズの記録媒体側のレンズ位置を基準として、記録再生用光源から出射されたビームが記録層方向へ移動した場合には記録層側のレンズ位置の変化により収差補正量を制御することを特徴とする多層光記録再生装置。
  10. 請求項6記載の多層光記録再生装置において、初めて該記録再生装置にセットされた多層光記録媒体においては、該サーボ層上にサーボ用光源および記録再生用光源から出射された2つのビームが合焦するようにした状態から改めて記録再生用ビームの焦点位置の移動量に対応する最適な収差補正量を求め、その値を元に多層光記録媒体中の記録再生用ビームの基準位置からの移動した距離に応じて自動で収差補正を行うことを特徴とする多層光記録再生装置。
  11. 請求項6記載の多層光記録再生装置において、光多層記録媒体にビームが入射した位置から奥側のサーボ領域付加層までのトータル厚さのほぼ中心位置に焦点があった時に球面収差が零になる様に絞り込みレンズを設計していることを特徴とする多層光記録再生装置。
  12. 請求項11記載の多層光記録再生装置において、記録層の総数によらず光多層記録媒体にビームが入射した位置から奥側のサーボ領域付加層までのトータル厚さがほぼ同じである多層光記録媒体を用いることを特徴とする多層光記録再生装置。
  13. 予めアドレスや半径位置などを表す為の凹凸部やトラッキング用の溝を有していない記録層としてサーボ領域未付加層が少なくとも1層以上あり、前記サーボ領域未付加層を、中間層を介して、予めアドレスや半径位置などを表す為の凹凸部やトラッキング用の溝を有する記録層であるサーボ領域付加層で挟んだ形態で積層しているデータ記録が可能な多層光記録媒体を用い、ほぼ同じ特性を持つ光源を2つ備え、そのうちの一つの光源から出射したビームはサーボ用ビームとして作用し、他のもう一つの光源から出射したビームは記録再生用ビームとして作用し、更にビームの進行方向に対して手前側のサーボ領域付加層と奥側のサーボ領域付加層とでサーボ用ビームとしての役割を2つのビーム間で逆転させて記録再生を行うことを特徴とする多層光記録再生方法。
  14. 請求項13記載の多層光記録再生方法において、予め焦点位置の移動距離と球面収差量との関係を求めておいて記録再生用光源から出射されたビームの焦点位置がサーボ領域付加層より記録層方向に移動した距離に応じて収差補正を自動で行いながら記録再生を行うことを特徴とする多層光記録再生方法。
  15. 請求項14記載の多層光記録再生方法において、該収差補正を行う為に液晶素子を用いたことを特徴とする多層光記録再生方法。
  16. 請求項14記載の多層光記録再生方法において、該サーボ領域付加層上にサーボ用光源および記録再生用光源から出射された各ビームが合焦するようにした状態におけるリレーレンズの多層光記録媒体側のレンズ位置を基準として、記録再生用光源から出射されたビームが記録層方向へ移動した場合には記録層側のレンズ位置の変化により収差補正量を制御しながら記録再生を行うことを特徴とする多層光記録再生方法。
  17. 請求項14記載の多層光記録再生方法において、初めて該記録再生装置にセットされた多層光記録媒体においては、該サーボ領域付加層上にサーボ用光源および記録再生用光源から出射された2つのビームが合焦するようにした状態から改めて記録再生用ビームの焦点位置の移動量に対応する最適な収差補正量を求め、その値を元に多層光記録媒体中の記録再生用ビームの基準位置からの移動した距離に応じて自動で収差補正を行いながら記録再生を行うことを特徴とする多層光記録再生方法。
  18. 予めアドレスや半径位置などを表す為の凹凸部やトラッキング用の溝を有していない記録層としてサーボ領域未付加層が少なくとも1層以上あり、前記サーボ領域未付加層を、中間層を介して、予めアドレスや半径位置などを表す為の凹凸部やトラッキング用の溝を有する記録層であるサーボ領域付加層で挟んだ形態で積層していることを特徴とする多層光記録媒体。
  19. 請求項18記載の多層光記録媒体において、記録層の総数によらず光多層記録媒体にビームが入射した位置から奥側のサーボ領域付加層までのトータル厚さがほぼ同じであることを特徴とする多層光記録媒体。
  20. 請求項18記載の多層光記録媒体において、中間層が予め作製されている薄板シートであることを特徴とする多層光記録媒体。
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