JP2012164380A - 光記録再生方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】サーボ層と記録再生層を備える光記録媒体において、記録再生層の層数を増大とトラッキング制御の安定を両立させる。
【解決手段】複数の記録再生層14とサーボ層18とを備える光記録媒体10に適用される光記録再生方法であって、サーボ層18を利用してトラッキングを行いながら記録再生層14に情報を記録するサーボ層利用ステップと、記録再生層14における情報の記録済み領域を利用してトラッキングを行いながら、他の記録再生層14に情報を記録する記録済み領域利用ステップと、を有するようにした。
【選択図】図4
【解決手段】複数の記録再生層14とサーボ層18とを備える光記録媒体10に適用される光記録再生方法であって、サーボ層18を利用してトラッキングを行いながら記録再生層14に情報を記録するサーボ層利用ステップと、記録再生層14における情報の記録済み領域を利用してトラッキングを行いながら、他の記録再生層14に情報を記録する記録済み領域利用ステップと、を有するようにした。
【選択図】図4
Description
本発明は、複数の記録再生層を有する光記録媒体に対して情報を記録する光記録再生方法に関する。
従来、ディジタル動画コンテンツの視聴や、ディジタルデータの記録のために、CD−DA、CD−ROM、CD−R、CD−RW、DVD−ROM、DVD−R、DVD+/−RW、DVD−RAM、Blu−ray Disc(BD)などの光記録媒体が広く利用されている。この中でも、次世代型DVD規格の一つとされるBDは、記録再生に用いるレーザー光の波長を405nmと短くし、対物レンズの開口数を0.85に設定している。BD規格に対応した光記録媒体側は、0.32μmのピッチでトラックが形成される。このようにすることで、光記録媒体の1つの記録再生層に対して25GB以上の記録再生を可能にしている。
ところで、動画やデータの容量は今後益々増大することが予想される。従って、光記録媒体における記録再生層を多層化することで光記録媒体の容量を増大させる方法が検討されている。BD規格の光記録媒体では、6層〜8層の記録再生層を設けることで、200GBもの超大容量を実現する技術も報告されている(非特許文献1、2参照)。
一方、光記録媒体において記録再生層を多層化する場合、各記録再生層に対してグルーブ/ランド等のトラッキング制御用の凹凸を形成しようとすると、媒体構成が複雑となり、偏芯調整などの作業が困難になることが懸念される。また、記録再生層を設けるごとに凸凹を形成するための母型となるスタンパが必要となり、多層化すればするほど、このスタンパを使う回数が増え製造コストが増大する。
そこで近年、光記録媒体において、凹凸や溝を有するサーボ層と、凹凸や溝を有しない記録再生層を別々に設けるようにし、トラッキング制御専用のビームを用いてサーボ層からトラッキング信号を得ながら、記録再生専用のビームによって記録再生層に情報を記録する技術が提案されている(特許文献1、2参照)。
また、2層同時読み取りを目的として、凹凸や溝を有する記録層と、凹凸や溝を有しない記録層を交互に積層する技術も提案されている(特許文献3参照)。
I. Ichimura et. al., Appl. Opt, 45, 1974-1803 (2006)
K. Mishima et. al., Proc. of SPIE, 6282, 62820I (2006)
しかし、特許文献3の技術では、記録再生層の層数を増大させると、凹凸や溝を有する記録層の層数が増大するので、結局、媒体構成が複雑となり、偏芯調整などの作業が困難になる。
また、特許文献1、2の技術では、記録再生層の層数が増大するにつれて、記録再生層とサーボ層の距離が離れてしまうので、両者の間に膜厚公差が生じやすくなる。具体的に記録再生層に照射される記録再生用のビームではフォーカス制御を行い、サーボ層に照射されるトラッキング用のビームではトラッキング制御のみを行うようにしている。即ち、トラッキング用のビームのフォーカスは、記録再生用のビームのフォーカス制御に依存する。結果、膜厚公差が大きくなると、トラッキング用のビームのフォーカス位置が変動してしまい、トラッキング信号が不安定になって、十分なトラッキング制御が行えないという問題があった。この問題を解決するためには、トラッキング制御を行うビームの光学系にも、フォーカスサーボ機構を導入することが考えられるが、それでも補正できる膜厚公差に限界があり、また、光ピックアップが大きくなるという問題があった。
特に、記録再生用のビームとトラッキング用のビームが、一つの対物レンズを共有する場合、対物レンズに入射させる双方のビームの拡がり角度を異ならせることで、焦点位置をずらず必要がある。両ビームの拡がり角度を大きく異ならせるほど、トラッキング用のビームによるトラッキング制御と、記録再生用のビームに求められるトラッキング制御のずれが大きくなる。例えば、光記録媒体に反りが生じている場合などは、トラッキング位置と記録位置が大きくずれてしまうという問題があった。
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、サーボ層と記録再生層を有する光記録媒体に対して、トラッキング制御を常に安定的に行うための手法を提供することを目的としている。
本発明者らの鋭意研究によって、上記目的は以下の手段によって達成される。
即ち、上記目的を達成する本発明は、トラッキング制御用の凹凸を有しない平面構造の複数の記録再生層と、トラッキング制御用の凹凸又は溝が形成されるサーボ層とを備える光記録媒体に対して、前記記録再生層に情報を記録する光記録再生方法であって、前記サーボ層を利用してトラッキングを行いながら前記記録再生層に情報を記録するサーボ層利用ステップと、前記記録再生層における情報の記録済み領域を利用してトラッキングを行いながら、他の前記記録再生層に情報を記録する記録済み領域利用ステップと、を有することを特徴とする光記録再生方法である。
上記目的を達成する上記光記録再生方法の前記記録済み領域利用ステップでは、前記記録済み領域を提供する前記記録再生層に隣接する前記記録再生層に情報を記録する事を特徴とする。
上記目的を達成する上記光記録再生方法の前記サーボ層利用ステップでは、前記サーボ層に隣接する前記記録再生層に情報を記録する事を特徴とする。
上記目的を達成する上記光記録再生方法の前記サーボ層利用ステップでは、前記記録再生層におけるデータ領域の全てに対して情報の記録が完了するまで、記録作業を継続するようにし、前記記録済み領域利用ステップでは、前記サーボ層利用ステップにおける前記記録再生層の前記記録済み領域を利用して、他の前記記録再生層に情報を記録することを特徴とする。
上記目的を達成する上記光記録再生方法の前記サーボ層利用ステップでは、他の前記記録再生層におけるデータ領域の全てに対して情報の記録が完了するまで、記録作業を継続するようにし、その後、他の前記記録再生層の前記記録済み領域を利用して、次の前記記録再生層に情報を記録することを特徴とする。
上記目的を達成する上記光記録再生方法の前記サーボ層利用ステップにおいて、前記サーボ層に照射されるトラッキング用ビームの波長と、前記記録再生層に照射される記録用ビームの波長が、略同じであり、前記サーボ層は、前記トラッキング用ビーム又は前記記録用ビームによって情報の記録が可能な記録再生膜を有することを特徴とする。
上記目的を達成する上記光記録再生方法の前記光記録媒体において、前記サーボ層と該サーボ層に最も近い前記記録再生層の間に配置されるバッファ層の厚さは、複数の前記記録再生層の間に配置される複数の中間層のいずれかの厚さと略同じであることを特徴とする。
上記目的を達成する上記光記録再生方法の前記光記録媒体において、複数の前記中間層の厚さが2種類以下に設定されることを特徴とする。
上記目的を達成する上記光記録再生方法の前記光記録媒体において、前記サーボ層が、複数の前記記録再生層と比較して光入射面から遠い位置に配置されることを特徴とする。
上記目的を達成する上記光記録再生方法の前記光記録媒体において、前記サーボ層が、複数の前記記録再生層と比較して光入射面から近い位置に配置されることを特徴とする。
本発明によれば、サーボ層と記録再生層を有する光記録媒体に対して、トラッキング制御を常に安定的に行いながら、記録再生層に対して情報を記録することが可能となる。
以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照して説明する。
図1には、本発明の実施形態に係る光記録媒体10と、この光記録媒体10の記録再生に用いられる光ピックアップ90の構成が示されている。光ピックアップ90は、第1光学系100と、第2光学系200を備える。第1光学系100は、光記録媒体10の記録再生層群14に対して記録・再生を行う光学系となる。第2光学系200は、第1光学系100を利用して記録再生層群14に情報を記録する際に、後述するサーボ層18や記録再生層群14の記録済み領域を利用してトラッキング制御を行う光学系となる。
第1光学系100の光源101から出射された、青色波長380〜450nm(ここでは405nm)となる発散性の記録再生用のビーム170は、球面収差補正手段193を備えたコリメートレンズ153を透過し、偏光ビームスプリッタ152に入射する。偏光ビームスプリッタ152に入射したビーム170は、偏光ビームスプリッタ152を透過して、更に4分の1波長板154の透過によって円偏光に変換された後、第2光学系200のビームスプリッタ260に入射する。このビームスプリッタ260は、透過率が大きく、且つ反射率が小さく設定されている。具体的に反射率に対する透過率の比率が10倍又はそれ以上に設定される。従って、ビーム170はビームスプリッタ260を透過して、対物レンズ156で収束ビームに変換される。このビーム170は、光記録媒体10の内部に形成された、記録再生対象となる記録再生層群14又はサーボ層18のいずれかに集光される。
対物レンズ156の開口はアパーチャ155で制限され、開口数NAを0.70〜0.90(ここでは0.85)としている。例えば記録再生層群14で反射されたビーム170は、対物レンズ156、ビームスプリッタ260、及び4分の1波長板154を透過して往路とは90度異なる直線偏光に変換された後、偏光ビームスプリッタ152で反射される。
偏光ビームスプリッタ152で反射されたビーム170は、集光レンズ159を透過して収束光に変換され、シリンドリカルレンズ157を経て、光検出器132に入射する。ビーム170には、シリンドリカルレンズ157を透過する際、非点収差が付与される。
光検出器132は、図示しない4つの受光部を有し、それぞれ受光した光量に応じた電流信号を出力する。これら電流信号から、非点収差法によるフォーカス誤差(以下FEとする)信号、再生時に限定されるプッシュプル法によるトラッキング誤差(以下TEとする)信号、光記録媒体10に記録された情報の再生信号等が生成される。FE信号およびTE信号は、所望のレベルに増幅および位相補償が行われた後、アクチュエータ191および192にフィードバック供給されて、フォーカス制御およびトラッキング制御がなされる。なお、第1光学系100によるトラッキング制御は再生時のみ利用される。
第2光学系200の光源201から出射された、青色波長380〜450nm(ここでは405nm)となる発散性のトラッキング制御用のビーム270は、球面収差補正手段293を備えたコリメートレンズ253を透過し、偏光ビームスプリッタ252に入射する。偏光ビームスプリッタ252に入射したビーム270は、偏光ビームスプリッタ252を透過して、更に第2光学系用の4分の1波長板254を透過して円偏光に変換された後、ビームスプリッタ260で反射される。このビーム270は更に対物レンズ156で収束ビームに変換されて、光記録媒体10の内部に形成されたサーボ層18又は記録再生層群14における記録済み領域に集光される。例えばサーボ層18で反射されたビーム270は、対物レンズ156を透過してビームスプリッタ260で反射し、4分の1波長板254において往路とは90度異なる直線偏光に変換された後、偏光ビームスプリッタ252で更に反射される。偏光ビームスプリッタ252で反射されたビーム270は、集光レンズ259を透過して収束光に変換され、シリンドリカルレンズ257を経て、光検出器232に入射する。ビーム270には、シリンドリカルレンズ257を透過する際、非点収差が付与される。
光検出器232は、図示しない4つの受光部を有し、それぞれ受光した光量に応じた電流信号を出力する。これら電流信号から、プッシュプル法によるトラッキング誤差(TE)信号が生成される。なお、サーボ層18にも情報が記録されている場合は再生信号を生成してもよい。この光検出器232側では、フォーカス誤差(FE)信号を生成する必要はないが、勿論、フォーカス誤差(FE)信号を生成しても良い。
なお、既に述べたように、ビームスプリッタ260は、透過率が大きく且つ反射率が小さく設定されいる。従って、第1光学系100の光源101から出射され、記録再生層群14のいずれかで反射した戻り光の一部は、ビームスプリッタ260で反射して第2光学系200側に進む。反対に、第2光学系200の光源201から出射され、サーボ層18又は記録再生層群14における記録済み領域で反射した戻り光の大部分は、ビームスプリッタ260を透過して第1光学系100側に進む。即ち、第1光学系100と第2光学系200において、略同じ青色波長380〜450nmの光源を採用する以上、両者の戻り光の混合は避けられない。しかし、第1光学系100と第2光学系200は、光記録媒体10内において互いに異なる焦点位置となるため、各ビーム170、270の拡がり角度が異なることから、特に図示しない一定形状のスリットやアパーチャを用いてビーム170、270の一方のみを抽出してから、各光検出器132、232に入射させることで、混合による影響を除去する。
とりわけ、第1光学系100におけるビーム170の光記録媒体10内の焦点位置と、第2光学系200のビーム270の光記録媒体10内の焦点位置の差が、常に一定の範囲内に収まるようにすると、上述のスリットやアパーチャを簡潔な構造にできるので、より簡便にビームの分離が可能となる。焦点距離の差を安定させるためには、記録再生用のビーム170の焦点位置と、サーボ用のビーム270の焦点位置が近い方が、誤差が小さくなるので好ましいと言える。
第1光学系100による記録再生層群14への情報の記録時は、第2光学系200のTE信号について、所望のレベルに増幅および位相補償が行われた後、アクチュエータ191および192にフィードバック供給されてトラッキング制御がなされる。この結果、第2光学系200のトラッキング制御に基づいて、第1光学系100が記録再生層群14に情報を記録するようになっている。なお、本実施形態では、記録再生層群14に記録済みの情報を再生する際は、記録再生層群14上の記録マークを利用して第1光学系100が独自にトラッキング制御するようにしている。一方、第2光学系200のトラッキング制御を利用しながら再生することも勿論可能である。
図2には、本実施形態の光記録媒体10の断面構造が拡大して示されている。
光記録媒体10は、外径が約120mm、厚みが約1.2mmの円盤形状となっている。この光記録媒体10は、光入射面10A側から、カバー層11、記録再生層群14及び中間層群16、バッファ層17、サーボ層18、支持基板12を備えて構成される。
記録再生層群14は、ここでは第1〜第6記録再生層14A〜14Fを備えて構成されており、それぞれに情報を記録できる構造となっている。この第1〜第6記録再生層14A〜14Fは、トラッキング制御用の凹凸や溝を有しない平面構造となっており、第1光学系100から高エネルギーとなる記録用のビーム170が照射されると、記録マークが形成される。なお、この記録再生層群14の種類として、情報の追記が出来るが書き換えが出来ない追記型記録再生層と、情報の書換が可能な書換型記録再生層がある。
支持基板12は、光記録媒体に求められる厚み(約1.2mm)を確保するための、厚さ1.0mmで直径120mmとなる円盤形状の基板であり、この支持基板12の光入射面10A側の面にサーボ層18が形成される。具体的には、支持基板12における光入射面10A側に、その中心部近傍から外縁部に向けてランド18Aおよびグルーブ18Bが螺旋状に形成される。このランド18Aおよびグルーブ18Bが、トラッキング制御用の凹凸(溝)となり、第2光学系200のビーム270がガイドされるようになっている。
なお、支持基板12の材料としては種々の材料を用いることが可能であり、例えば、ガラス、セラミックス、樹脂を利用できる。これらのうち成型の容易性の観点から樹脂が好ましい。樹脂としてはポリカーボネイト樹脂、オレフィン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、シリコーン樹脂、フッ素系樹脂、ABS樹脂、ウレタン樹脂等が挙げられる。これらの中でも、加工性などの点からポリカーボネイト樹脂やオレフィン樹脂が特に好ましい。なお、支持基板12は、ビーム270の光路とならないことから、高い光透過性を有している必要はない。
支持基板12の上に形成されるサーボ層18は、支持基板12の表面にトラッキング制御用の凹凸(グルーブおよびランド)と反射性の層を形成することによって構成される。特に本実施形態では、情報を記録可能な記録膜が設けられている。この記録膜は、後述する記録再生層14A〜14Fと略同じ膜構成となっている。なお、このサーボ層18において情報の記録機能が不要な場合は、Ag等の金属層を形成して、単純な光反射膜として機能させれば良い。
サーボ層18における隣接するランド18A同士又はグルーブ18B同士のピッチP1は、ここでは0.37μm以下、例えば0.26μm〜0.35μmの範囲内に設定される。具体的にピッチP1は0.32μm近傍に設定される。 記録再生層14A〜14Fに記録される記録マークのトラックピッチP2は、ランド18A及びグルーブ18BのピッチP1と略同じに設定される。結果、記録マーク間のトラックピッチP2は、0.37μm未満に設定され、望ましくは0.26μm〜0.35μmの範囲内に設定され、より好ましくは0.32μm近傍に設定される。
この結果、記録再生層14A〜14Fに記録されるトラックピッチP2は、BD規格と互換性のある0.32μm前後となる。サーボ層18のランド18A同士/グルーブ18B同士のピッチP1(0.32μm前後)は、青色波長領域のビーム270で十分トラッキングができる大きさとなっている。
バッファ層17は、光透過性のアクリル系の紫外線硬化型樹脂により構成されており、後述する第1〜第5中間層16A〜16Eの何れかの膜厚と一致させている。ここでは、第1〜第5中間層16A〜16Eの膜厚の一つである12μmに設定されている。
バッファ層17の光入射面10A側に積層される第1〜第6記録再生層14A〜14Fは、それぞれ、追記型記録膜の両外側に誘電体膜を積層した3層構造となっている(図示省略)。なお、この第1〜第6記録再生層14A〜14Fは、第1光学系100における青色波長領域(短い波長)のビーム170に対して光反射率・吸収率・透過率等が最適化されている。
各記録再生層の誘電体膜は、追記型記録膜を保護するという基本機能に加えて、記録マークの形成前後における光学特性の差を拡大させる役割も果たす。
なお、ビーム170を照射した場合に、誘電体膜に吸収されるエネルギーが大きいと記録感度が低下しやすい。従って、これを防止するためには、これらの誘電体膜の材料として、380nm〜450nm(特に405nm)の波長領域において低い吸収係数(k)を有する材料を選択することが好ましい。なお、本実施の形態においては、誘電体膜の材料としてTiO2を用いている。
誘電体膜に挟まれる追記型記録膜は不可逆的な記録マークが形成される膜であり、記録マークが形成された部分とそれ以外の部分(ブランク領域)は、ビーム170に対する反射率が大きく異なる。この結果、データの記録・再生を行うことができる。
追記型記録膜は、Bi及びOを含む材料を主成分として形成される。この追記型記録膜は、無機反応膜として機能し、レーザー光の熱による化学的又は物理的な変化で反射率が大きく異なるようになっている。具体的な材料としては、Bi−Oを主成分とするか、又は、Bi−M−O(ただしMは、Mg、Ca、Y、Dy、Ce、Tb、Ti、Zr、V、Nb、Ta、Mo、W、Mn、Fe、Zn、Al、In、Si、Ge、Sn、Sb、Li、Na、K、Sr、Ba、Sc、La、Nd、Sm、Gd、Ho、Cr、Co、Ni、Cu、Ga、Pbの中から選択される少なくとも1種の元素)を主成分とすることが好ましい。なお、本実施形態では、追記型記録膜の材料として、Bi−Ge−Oを用いている。
なお、ここでは第1〜第6記録再生層14A〜14Fにおいて追記型記録膜を採用する場合を示したが、繰り返し記録が可能な相変化記録膜を採用することも可能である。この場合の相変化記録膜は、SbTeGeを主成分とすることが好ましい。
中間層群16は、光入射面10Aから遠い側から順番に第1〜第5中間層16A〜16Eを有しており、第1〜第6記録再生層14A〜14Fの間に積層される。各中間層16A〜16Eは、アクリル系またはエポキシ系の紫外線硬化型樹脂によって構成される。この中間層16A〜16Eの膜厚は、積層数を増大させるためには20μm以下に設定することが好ましく、第1中間層16Aが16μm、第2中間層16Bが12μm、第3中間層16Cが16μm、第4中間層16Dが12μm、第5中間層16Eが16μmとなる。つまり、2種類の膜厚(16μm、12μm)の中間層が交互に積層されている。この結果、第1〜第6記録再生層14A〜14Fの層間距離として、光入射面側から順番に第1距離(16μm)と、この第1距離と異なる第2距離(12μm)が交互に設定されることになる。また、第1距離と第2距離の差は4μmに設定される。このようにすると、層間クロストークが低減される。勿論、全ての中間層群16の膜厚を同じに設定しても良い。
カバー層11は、中間層群16と同様に光透過性のアクリル系の紫外線硬化型樹脂により構成されており、38μmの膜厚に設定されている。
光記録媒体10は、上記のように構成される結果、サーボ層18は、光入射面10Aから0.122mm(122μm)の距離に位置しており、また、記録再生層群14の中で光入射面10Aから最も遠い第1記録再生層14Aは、光入射面10Aから0.11mm(110μm)の距離に位置しており、第2記録再生層14Bは光入射面10Aから94μm、第3記録再生層14Cは光入射面10Aから82μm、第4記録再生層14Dは光入射面10Aから66μm、第5記録再生層14Eは光入射面10Aから54μm、そして、光入射面10Aに最も近い第6記録再生層14Fは、光入射面10Aから38μmの距離に位置することになる。また、記録再生層群14の全体的な厚み(第1記録再生層14A〜第6記録再生層14F間の距離)は72μmとなる。
また、本実施形態の光記録媒体10では、サーボ層18が、記録再生層群14と比較して光入射面10Aから遠い位置に配置されている。このようにすると、トラッキング用のランド18A及びグルーブ18Bが、記録再生層群14に照射される記録再生用のビーム170に悪影響を与えることを低減できる。
次に、本実施形態の光記録媒体10の製造方法について説明する。
まず、金属スタンパを用いることによる、ポリカーボネイト樹脂の射出成型法により、グルーブおよびランドが形成された支持基板12を作製する。射出成形の型を利用して、この支持基板12には、記録再生層群14のアドレス情報、記録再生パワー等を含む記録条件、記録再生層14A〜14Fの位置又は層間距離など、媒体製造時に予め保持させておくべき基本情報がプリフォーマットされる。具体的には、ランド18A又はグルーブ18Bのウォブルを利用して、基本情報がプリフォームされる。なお、支持基板12の作製は射出成型法に限られず、2P法や他の方法によって作製しても構わない。
その後、支持基板12におけるグルーブ及びランドが設けられた側の表面にサーボ層18を形成する。サーボ層18は、誘電体膜、追記型記録膜、誘電体膜の順に気相成長法を用いて形成し、記録膜として機能させる。更に、サーボ層18の上にバッファ層17を形成する。バッファ層17は、例えば、粘度調整されたアクリル系またはエポキシ系の紫外線硬化型樹脂をスピンコート法等により皮膜し、これに対して紫外線を照射して硬化することにより形成する。なお、紫外線硬化性樹脂の代わりに、光透過性樹脂からなる光透過性シートを接着剤や粘着剤等を用いてサーボ層18の上に貼り付けることで形成することもできる。
次に、第1記録再生層14Aを形成する。具体的には、誘電体膜、追記型記録膜、誘電体膜の順に気相成長法を用いて形成する。中でもスパッタリング法を用いることが好ましい。その後、第1記録再生層14Aの上に第1中間層16Aを形成する。第1中間層16Aは、例えば、粘度調整された紫外線硬化型樹脂をスピンコート法等により皮膜し、その後、この紫外線硬化性樹脂に紫外線を照射して硬化することにより形成する。この手順を繰り返すことで、第2記録再生層14B、第2中間層16B・・・と順番に積層していく。
第6記録再生層14Fまで完成したら、その上にカバー層11を形成してこの光記録媒体10が完成する。なおカバー層11は、例えば、粘度調整されたアクリル系またはエポキシ系の紫外線硬化型樹脂をスピンコート法等により皮膜し、これに対して紫外線を照射して硬化することにより形成する。なお、本実施形態では上記製造方法を説明したが、本発明は上記製造方法に特に限定されるものではなく、他の製造技術を採用することもできる。
次に、図3を参照して、光ピックアップ90を用いて、本実施形態の光記録媒体10に情報を記録再生する方法について説明する。
<サーボ層への記録/汎用ステップ>
この光記録媒体10のサーボ層18に情報を記録する際は、従来の公知手法を用いる。具体的には第1光学系100のみを用いて、サーボ層18に対してビーム170を照射し、グルーブ18Bを利用してトラッキング制御及びフォーカス制御を行いながら、グルーブ18B上に情報を記録する。再生についても同様である。
<第1記録再生層への記録/サーボ層利用ステップ>
サーボ層18に隣接する第1記録再生層14Aに情報を記録する場合、まず、第2光学系200の青色波長領域のビーム270をサーボ層18に照射してトラッキングを行う。具体的には、図3(A)、(B)に示されるように、サーボ層18におけるグルーブ18Bに対して、ビーム270のスポットを照射してトラッキングを行う。この作業と同時に、第1光学系100の青色波長領域の記録用ビーム170を第1記録再生層14Aに照射する。
その結果、グルーブ18Bをトラッキングしながら、このグルーブ18Bに沿って、第1記録再生層14Aに情報が記録される。結果、第1記録再生層14Aに形成される記録マークのトラックピッチP2は、グルーブ18B間のピッチP1と一致することになる。なお、サーボ層18には、光記録媒体10に関する基本仕様や、情報記録層群14の積層枚数に関する情報が、記録ピットやBCA(バーストカッティングエリア)に予め記録されており、トラッキング制御を開始する前に常に読み出すようになっている。光記録媒体に関する基本情報としては、サーボ層18の位置、第1〜第6記録再生層14A〜14Fの位置、記録再生層群の層間距離に関するルールを含むようになっている。
第1記録再生層14Aに対して、必要な情報の記録が完了した後は、今回の追記情報(記録に関するアドレス情報、コンテンツ情報等)をサーボ層18側に記録して完了する。なお、この場合におけるサーボ層18に対する記録は、既に述べた汎用ステップとして、ビーム170を利用して行うが、勿論、トラッキング制御を行っているビーム270を利用して直接記録しても良い。管理情報をサーボ層18に集約させることで、次回の記録再生時に、どこから記録するべきか、容易に把握することができるようになる。
なお、仮にサーボ層18が記録層を有しない場合は、例えば、光入射面10Aから最も遠い(サーボ層18に最も近い)第1記録再生層14Aの一部に管理領域を確保しておき、そこに管理情報を記録しておくことが好ましい。
その後、第1記録再生層14Aに対する情報の記録を再開する場合は、先ず、サーボ層18に記録されている管理情報を再生して、第1記録再生層14Aにおける前回の記録が完了した位置を確認し、その位置から記録を継続する。このようにして、サーボ層利用ステップでは、第1記録再生層14Aにおけるデータ領域の全てに対して情報の記録が完了するまで、記録作業を必ず継続していく。仮にデータ領域が中途半端に余ったり、必要に応じて未記録のスペースを確保しなければならない場合であっても、そこにダミー情報を記録することで、情報の継続を維持する。この結果、第1記録再生層14Aにおけるデータ領域の全てが記録済み領域となる。
<第2記録再生層への記録/記録済み領域利用ステップ>
第1記録再生層14Aのデータ領域の全てに情報の記録が完了したら、次に、第1記録再生層14Aに隣接する第2記録再生層14Bに情報を記録する。この場合、図4(A)、(B)に示されるように、まず第2光学系200のトラッキング制御用のビーム270を第1記録再生層14Aの記録済み領域に照射することで、その再生信号を利用しながらトラッキング制御を行う。この作業と同時に、第1光学系100の記録用のビーム170を第2記録再生層14Bに照射して記録を行う。なお、必要な情報の記録が完了した後は、今回の追記情報(記録に関するアドレス情報、コンテンツ情報等)をサーボ層18側に記録して完了する。
その後、第2記録再生層14Bに対する情報の記録を再開する場合は、先ず、サーボ層18に記録されている管理情報を再生して、第2記録再生層14Bにおける前回の記録が完了した位置を確認し、その位置から記録を継続する。このようにして、記録済み領域利用ステップでは、第2記録再生層14Bにおけるデータ領域の全てに対して情報の記録が完了するまで、記録作業を必ず継続していく。仮にデータ領域が中途半端に余ったり、必要に応じて未記録のスペースを確保しなければならない場合は、ダミー情報を記録する事ことで情報の継続を維持する。この結果、第2記録再生層14Bにおけるデータ領域の全てが記録済み領域となる。
<第3記録再生層以降の記録/記録済み領域利用ステップ>
第2記録再生層14Bのデータ領域の全てに情報の記録が完了したら、次に、第2記録再生層14Bに隣接する第3記録再生層14Cに情報を記録する。この場合、第2光学系200のトラッキング制御用のビーム270を第2記録再生層14Bの記録済み領域に照射することで、その再生信号を利用しながらトラッキング制御を行う。この作業と同時に、第1光学系100の記録用のビーム170を第3記録再生層14Cに照射して記録を行う。その後は、第2記録再生層14Bで説明した記録済み領域利用ステップと同じであるので説明を省略する。以上の手順を繰り返して、第1〜第6記録再生層14A〜14Fまで、この順番に情報を記録していく。
なお、例えば第1記録再生層14Aに記録された情報を再生する際には、先ず、第1光学系100のビーム170を利用してサーボ層18を再生し、上述の基本仕様と、記録に基づく追記情報(例えば第1記録再生層14Aに記録したコンテンツ情報等)を読み出す。その後、これらの情報に基づいて、第1光学系100のビーム170を第1記録再生層14Aに移動させて所定アドレスにアクセスして再生を行う。この際は、第1記録再生層14Aに記録されている記録マークを利用してトラッキングを行えば良い。従って、第1記録再生層14Aのコンテンツ再生中は、第2光学系200のビーム270は不要とすることができる。
以上、本実施形態における光記録媒体10及び光記録再生方法によれば、サーボ層18を利用してトラッキングを行いながら記録再生層群16に情報を記録するサーボ層利用ステップと、記録再生層16における情報の記録済み領域を利用してトラッキングを行いながら、他の記録再生層群16に情報を記録する記録済み領域利用ステップの双方を備えている。この結果、記録再生層群16に対して最初に情報を記録する際は、サーボ層利用ステップによって、サーボ層18を積極的に利用してトラッキング制御を行う。一方、いずれかの記録再生層のデータ領域が記録済み領域となった場合は、記録済み領域利用ステップに移行する。結果、記録再生層の記録済み領域を利用してトラッキング制御を行いながら、他の記録再生層に情報を記録していくことができる。
このようにすることで、記録再生層群16の積層数を増大させても、トラッキング制御を行う記録再生層群16の中の記録済み領域と、情報を記録する記録再生層の未記録領域との距離(積層方向の距離)を近づけることが可能となる。結果、トラッキング制御用のビーム270と、記録再生用のビーム170の間に生じる膜厚公差を小さくすることができるので、トラッキング制御用のビーム270を独立してフォーカス制御しなくても、トラッキング信号を安定させることができる。
特に本実施形態では、サーボ層利用ステップにおいて、サーボ層18に隣接する第1記録再生層14Aに情報を記録するようにしている。結果、サーボ層18と第1記録再生層14Aの層間距離を小さくすることができ(具体的には20μm以下にすることができ)、トラッキング信号をより安定させることが出来る。また、記録済み領域利用ステップにおいても、例えば第1記録再生層14Aの記録済み領域を利用する場合は、これに隣接する第2記録再生層14Bに情報を記録する。第2記録再生層14Bの記録済み領域を利用する場合は、これに隣接する第3記録再生層14Cに情報を記録する。このように、トラッキング制御目的で利用する記録再生層と、記録対象となる記録再生層を隣接させることで、同様にトラッキング信号を一層安定させることが出来る。
更に本実施形態では、サーボ層利用ステップ、記録済み領域利用ステップのいずれにおいても、記録対象となる記録再生層におけるデータ領域の全てに対して情報の記録が完了するまで、記録作業を継続する。なお、この「継続」とは、記録対象となる記録再生層のデータ領域内に、未記録状態が続くことによってトラッキング不能となるエリアを残さないことを意味する。従って、本実施形態のように、記録再生層におけるデータ領域内に、未記録領域が形成されないようにすれば、他の記録再生層に対して安定したトラッキング制御を提供できるようになる。
また本実施形態では、トラッキング用のビーム270の波長と、記録用のビーム170の波長が、同じ青色波長領域であって、更に同じ波長に設定される。更に、サーボ層18には、これらのビーム170、270のいずれかによって情報の記録が可能な記録再生膜が形成されている。サーボ層18を記録層として有効活用すれば、光記録媒体10の記録容量が増大すると共に、このサーボ層18に対して管理情報を記録することが可能となる。例えば、記録再生開始時に、このサーボ層18に記録されている管理情報を読み出せば、記録再生層群16における記録開始位置や再生開始位置を素早く見つけることが出来るようになるので、記録再生効率を高めることが出来る。
この光記録媒体10において、サーボ層18と第1記録再生層14Aの間に配置されるバッファ層17の厚さは、中間層群16のいずれかの厚さと略同じに設定されている。このようにすることで、サーボ層18と記録再生層群14の距離が小さくなり、サーボ層18におけるトラッキング信号を安定させることができる。また、サーボ層18と記録再生層群14の距離が小さくなるので、サーボ層18を記録再生層として機能させる際、記録再生層群16の記録再生に用いる第1光学系100をそのまま利用することができるようになる。特に、第1光学系100によって、サーボ層18の位置推測が容易となり、サーボ層18を第1光学系100における記録再生層群14の1つとして簡便に活用できるようになる。
なお、この光記録媒体10では、クロストークを抑制するために、中間層群16の厚さが2種類に設定され、且つ大小の膜厚が交互に設定されている。そこで本実施形態では、バッファ層17の厚さを、第2中間層16Bの膜厚となる12μmに設定することで、2種類の厚みの交互の関係に維持している。これにより、第1記録再生層14Aの再生時にサーボ層18が悪影響を及ぼさないように配慮している。
また本実施形態では、光記録媒体10において、サーボ層18が、記録再生層群14と比較して光入射面から遠い位置に配置されている。このようにすることで、支持基板12に対して凹凸(ランド18A、グルーブ18B)を直接形成することが可能となるので、サーボ層18の作製が容易になり、製造コストを低減することが可能になる。
本実施形態の光記録媒体10では、サーボ層18を、光入射面10Aを基準として記録再生層群14よりも遠い側に配置する場合に限って示したが、本発明はこれに限定されない。また。記録再生層群14として記録再生層を6層以上備える場合に限って示したが、本発明はこれに限定されない。
図5に、他の実施例に係る光記録媒体10として、サーボ層18が、4層の記録再生層群14よりも光入射面10A側に配置される場合を示す。このようにすると、サーボ層18が光入射面10Aに近づくので、収差補正範囲の拡張性が高められ、トラッキング精度を高めることが出来る。なお、ここでは特に図示しないが、記録再生層群の中間にサーボ層を配置することも可能である。
更に本実施形態の光記録再生方法では、サーボ層利用ステップ及び記録済み領域利用ステップの双方において、記録対象となる記録再生層におけるデータ領域の全てに対して情報の記録が完了するまで、記録作業を継続するようにしているが、本発明はこれに限定されない。例えば図6(A)、(B)に示されるように、記録再生層群14のデータ領域を半径方向に沿って複数のエリアEに分けて、このエリアE毎に積層方向に順番に記録していくことも可能である。
また本実施形態の光記録再生方法では、トラッキング制御を行っているサーボ層18又は情報記録層の記録済み領域と、記録対象となっている記録再生層が、常に隣接している場合に限って示したが、本発明はこれに限定されない。例えば図7(A)、(B)に示されるように、トラッキング制御を行っているサーボ層18又は情報記録層の記録済み領域と、ビーム170によって記録対象となっている記録再生層の間に、他の記録再生層を介在させることも可能である。このように、記録再生用のビーム170とトラッキング制御用のビーム270の間に、膜厚公差が大きくならない範囲内で、ある程度の距離(焦点距離の差)を確保することが好ましい。この結果、互いのビーム170、270の拡がり角度差が大きくなるので、光記録媒体10からの戻り光が混合しても、スリットやアパーチャを用いることで容易に分離できる。また、本実施形態のように、バッファ層17を含めた中間層群16の膜厚が交互に設定している場合、サーボ層18又は情報記録層の記録済み領域と、記録対象となっている記録再生層の間に、一つの記録再生層を介在させることが好ましい。結果、焦点距離の差が常に一定の28μm(16μm+12μmの和)となるので、トラッキング制御用のビーム270のフォーカス位置の設定が簡便になる。
なお、本実施形態では、記録再生層群において、2種類の層間距離(16μm、12μm)を交互に設定する場合を示したが、本発明はこれに限定されず、3種類以上の層間距離を組み合わせても良い。勿論、全て同じ膜厚に設定しても良い。
なお、上記実施形態の光記録再生方法が適用される光記録媒体は、記録再生層が予め成膜されている場合を示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、光記録媒体内において、将来の複数の記録再生層となり得る場所の全体を、所定の厚みを有する一体的なバルク層とすることも可能である。このバルク層にビームが照射されると、ビームスポットの焦点部分のみが状態変化をおこして記録マークが形成される。即ち、本発明における多層光記録媒体は、ビームが照射される記録再生層が予め形成されたものに限られず、バルク内の平面領域に記録マークが随時形成され、この記録マークの集合体として、複数の記録再生層が事後的に多層形成される場合を含む。
このような場合、本光記録再生方法は、サーボ層を利用してトラッキングを行いながら、バルク層の一部の平面領域に記録マークを形成して記録再生層を事後的に形成していくサーボ層利用ステップと、バルク層内に事後的に形成された記録再生層の記録済み領域を利用してトラッキングを行いながら、バルク層の他の領域に記録マークを形成して記録再生層を事後的に形成する記録済み領域利用ステップの双方を備えればよい。この結果、バルク層に対して最初に情報を記録する際は、サーボ層利用ステップによって、サーボ層を積極的に利用してトラッキング制御を行う。一方、バルク層内に記録再生層が一旦形成されたら、記録済み領域利用ステップに移行し、このバルク層内の記録済み領域を利用してトラッキング制御を行いながら、他の場所に記録マークを形成することができる。
更に本実施形態では、ビーム170、270共に青色波長領域としたが、本発明はこれに限定されない。また例えば、ビーム270が、記録再生層群14の記録済み領域を利用してトラッキング制御を行うことが出来る範囲内であれば、記録再生用のビーム170と異なる波長に設定することもできる。ビーム170、270に波長差を設けることで、波長選択特性を有するフィルターなどによって、混ざり合った戻り光を分離することが可能になる。
本発明の光記録媒体及び光記録再生方法は、サーボ層と記録再生層を有する各種光記録媒体に適用することができる。
10 光記録媒体
11 カバー層
12 支持基板
14 記録再生層群
16 中間層群
17 バッファ層
18 サーボ層
90 光ピックアップ
11 カバー層
12 支持基板
14 記録再生層群
16 中間層群
17 バッファ層
18 サーボ層
90 光ピックアップ
Claims (10)
- トラッキング制御用の凹凸を有しない複数の記録再生層と、トラッキング制御用の凹凸又は溝が形成されるサーボ層とを備える光記録媒体に対して、前記記録再生層に情報を記録する光記録再生方法であって、
前記サーボ層を利用してトラッキングを行いながら前記記録再生層に情報を記録するサーボ層利用ステップと、
前記記録再生層における情報の記録済み領域を利用してトラッキングを行いながら、他の前記記録再生層に情報を記録する記録済み領域利用ステップと、
を有することを特徴とする光記録再生方法。 - 前記記録済み領域利用ステップでは、前記記録済み領域を提供する前記記録再生層に隣接する前記記録再生層に情報を記録する事を特徴とする請求項1に記載の光記録再生方法。
- 前記サーボ層利用ステップでは、前記サーボ層に隣接する前記記録再生層に情報を記録する事を特徴とする請求項1又は2に記載の光記録再生方法。
- 前記サーボ層利用ステップでは、前記記録再生層におけるデータ領域の全てに対して情報の記録が完了するまで、記録作業を継続するようにし、
前記記録済み領域利用ステップでは、前記サーボ層利用ステップにおける前記記録再生層の前記記録済み領域を利用して、他の前記記録再生層に情報を記録することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の光記録再生方法。 - 前記サーボ層利用ステップでは、他の前記記録再生層におけるデータ領域の全てに対して情報の記録が完了するまで、記録作業を継続するようにし、その後、他の前記記録再生層の前記記録済み領域を利用して、次の前記記録再生層に情報を記録することを特徴とする請求項4に記載の光記録再生方法。
- 前記サーボ層利用ステップにおいて、前記サーボ層に照射されるトラッキング用ビームの波長と、前記記録再生層に照射される記録用ビームの波長が、略同じであり、
前記サーボ層は、前記トラッキング用ビーム又は前記記録用ビームによって情報の記録が可能な記録再生膜を有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の光記録再生方法。 - 前記光記録媒体において、前記サーボ層と該サーボ層に最も近い前記記録再生層の間に配置されるバッファ層の厚さは、複数の前記記録再生層の間に配置される複数の中間層のいずれかの厚さと略同じであることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の光記録再生方法。
- 前記光記録媒体において、複数の前記中間層の厚さが2種類以下に設定されることを特徴とする請求項7に記載の光記録再生方法。
- 前記光記録媒体において、前記サーボ層が、複数の前記記録再生層と比較して光入射面から遠い位置に配置されることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の光記録再生方法。
- 前記光記録媒体において、前記サーボ層が、複数の前記記録再生層と比較して光入射面から近い位置に配置されることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の光記録再生方法。
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