以下、図面について、本発明の一実施の形態を詳述する。
(1)ホログラムによる情報の記録及び再生原理
まず、本発明による光ディスクの具体的な構成を説明する前に、ホログラムを用いた情報の記録原理及び再生原理について説明する。
図3(A)において、記録媒体Mは、略直方体状に形成されており、例えば波長405[nm]でなる青色光ビームに反応し、照射された光強度によって屈折率が変化するフォトポリマ等でなるものとする。
この記録媒体Mに対して、図の上側及び下側から、波長405[nm]でなる青色光ビームLb1及びLb2を集光するよう所定の強度で照射した場合、青色光ビームLb1及びLb2の干渉により定在波が生成され、ホログラムでなる記録マークRMが形成される。
一方、この記録マークRMは、図3(B)に示すように、記録時と同波長の青色光ビームLb1が照射されると、ホログラムとしての性質により、再生光ビームLb3を発生する。
また図3(C)に示すように、記録媒体Mのうち記録マークRMが形成されていない箇所に対して青色光ビームLb1が照射された場合、再生光ビームLb3を発生しない。
そこで、例えば情報を2進数表示したときの値「0」及び「1」を、それぞれ「記録マークRMなし」及び「記録マークRMあり」に割り当てることにより、記録媒体Mに対して情報を記録し、また再生することが可能となる。
このようにホログラムの形成を利用した情報の記録では、例えば青色光ビームLb1及びLb2のように2種類の光ビームが用いられ、また情報の再生では、青色光ビームLb1のように1種類の光ビームが用いられるようになされている。
(2)第1の実施の形態
(2−1)光ディスクの構成
次に、本実施の形態において情報記録媒体として用いられる光ディスク100について説明する。図4に外観図を示すように、光ディスク100は、全体として従来のCD、DVD及びBDと同様に直径約120[mm]の円盤状に構成されている。
また光ディスク100は、図5(A)に断面図を示すように、情報を記録するための記録層101を中心に有しており、基板102及び103により当該記録層101を両面から挟むように構成されている。
基板102及び103は、例えばポリカーボネイトやガラス等の材料により構成されており、いずれも一面から入射される光をその反対面へ高い透過率で透過させるようになされている。また基板102及び103は、ある程度の強度を有しており、記録層101を保護する役割も担うようになされている。
因みに光ディスク100は、厚さ方向に関して記録層101を中心としたほぼ対称な構造となっており、全体として経年変化等による反りや歪み等の発生を極力抑えるようにも配慮されている。なお基板102及び103の表面については、無反射コーティングにより不要な反射が防止されるようになされていても良い。
記録層101は、光ディスク8(図1)及び記録媒体M(図3)と同様、照射された光強度によって屈折率が変化するフォトポリマ等でなり、波長405[nm]でなる青色光ビームに反応するようになされている。
また光ディスク100は、記録層101と基板103との境界面に、反射層としての反射膜105を有している。反射層105は、波長405[nm]でなる青色光ビームLb1及びLb2に関して、高い反射率(例えば約95%以上)を呈するようになされている。
実際上、光ディスク100では、青色光ビームLb2を反射膜105で反射させたときの焦点Fb2を、当該反射膜105に照射される前における青色光ビームLb1の焦点Fb1に合わせることを前提としている(詳しくは後述する)。
このとき記録層101の内部では、図5(A)に示したように、比較的強い強度でなる2本の青色光ビームLb1及びLb2が干渉するため、定在波が生成されることになり、図2(A)に示したようなホログラムとしての性質を有する干渉パターンが形成される。
さらに光ディスク100は、記録層101と基板102との境界面に位置決め層としての反射透過膜104を有している。反射透過膜104は、誘電体多層膜等でなり、波長405[nm]でなる青色光ビームLb1、Lb2及び青色再生光ビームLb3を透過すると共に、波長660[nm]でなる赤色光ビームLr1を反射するといった波長選択性を有している。
また反射透過膜104は、トラッキングサーボ用の案内溝を形成しており、具体的には、一般的なBD−R(Recordable)ディスク等と同様のランド及びグルーブにより螺旋状のトラックを形成している。このトラックには、所定の記録単位ごとに一連の番号でなるアドレスが付されており、情報を記録又は再生するトラックを当該アドレスにより特定し得るようになされている。
なお反射透過膜104(すなわち記録層101と基板102との境界面)には、案内溝に代えてピット等が形成され、或いは案内溝とピット等とが組み合わされていても良く、要は光ビームを用いてアドレスを認識し得れば良い。
この反射透過膜104は、基板102側から赤色光ビームLr1が照射された場合、これを当該基板102側へ反射する。以下、このとき反射された光ビームを赤色反射光ビームLr2と呼ぶ。
赤色反射光ビームLr2は、例えば光ディスク装置において、目標とするトラック(以下、これを目標トラックと呼ぶ)に対して、所定の対物レンズOLにより集光された赤色光ビームLr1の焦点Frを合わせるための、当該対物レンズOLの位置制御(すなわちフォーカス制御及びトラッキング制御)に用いられることが想定されている。なお以下では、光ディスク100の基板102側の面を面100Aと呼ぶ。
実際上、光ディスク100に情報が記録されるとき、図5(A)に示したように、位置制御された対物レンズOLにより赤色光ビームLr1が集光され、反射透過膜104の目標トラックに合焦される。
また、当該赤色光ビームLr1と光軸Lxを共有し当該対物レンズOLにより集光された青色光ビームLb1が、基板102及び反射透過膜104を透過し、記録層101内における当該目標トラックの裏側(すなわち基板103側)に相当する位置に合焦される。このとき青色光ビームLb1の焦点Fb1は、対物レンズOLを基準として、共通の光軸Lx上における焦点Frよりも遠方に位置することになる。
さらに、青色光ビームLb1と同一波長でなり光軸Lxを共有する青色光ビームLb2が、対物レンズOLにより集光され、当該青色光ビームLb1と同様に基板102及び反射透過膜104を透過し、反射膜105により反射されるようになされている。このとき当該青色光ビームLb2の焦点Fb2は、図示しない光学素子により、青色光ビームLb1の焦点Fb1と同一の位置に調整されるようになされている。
この結果、光ディスク100には、記録層101内における目標トラックの裏側に相当する焦点Fb1及びFb2の位置に、比較的小さい干渉パターンでなる記録マークRMが記録される。
このとき記録層101内には、いずれも収束光でなる青色光ビームLb1及びLb2が重なり、且つ所定強度以上となった部分に定在波が生じ、記録マークRMが形成される。このため記録マークRMは、図2(A)に示したように、全体的に2つの円錐体を互いの底面同士で貼り合わせ、中央部(底面同士を貼り合わせた部分)が僅かにくびれたような形状となる。
因みに、記録マークRMに関して、中央部におけるくびれ部分の直径RMrについては、青色光ビームLb1及びLb2の波長をλ[m]、対物レンズOL1及びOL2の開口数をNAとすると、次に示す(1)式により求められる。
また記録マークRMの高さRMhに関しては、記録層101の屈折率をnとすると、次に示す(2)式により求められる。
例えば、波長λを405[nm]、開口数NAを0.5、屈折率nを1.5とすると、(1)式より直径RMr=0.97[μm]、(2)式より高さRMh=9.72[μm]となる。
さらに光ディスク100は、記録層101の厚さt1(=0.3[mm])が記録マークRMの高さRMhよりも充分に大きくなるよう設計されている。このため光ディスク100は、記録層101内における反射透過膜104からの距離(以下、これを深さと呼ぶ)が切り換えられながら記録マークRMが記録されることにより、図2(B)に示したような、複数のマーク記録層を当該光ディスク100の厚さ方向に重ねた多層記録を行い得るようになされている。
この場合、光ディスク100の記録層101内において、青色光ビームLb1の焦点Fb1の深さ及び青色光ビームLb2が反射膜105において反射された後における焦点Fb2の深さが調整されることにより、記録マークRMの深さが変更されることになる。例えば光ディスク100は、記録マークRM同士の相互干渉等を考慮してマーク記録層同士の距離p3が約15[μm]に設定されれば、記録層101内に約20層のマーク記録層を形成することができる。なお距離p3については、約15[μm]とする以外にも、記録マークRM同士の相互干渉等を考慮した上で他の種々の値としても良い。
一方、図5(B)に示すように、光ディスク100は、情報が再生されるとき、当該情報を記録したときと同様、対物レンズOLにより集光された赤色光ビームLr1が反射透過膜104の目標トラックに合焦するよう当該対物レンズOLが位置制御されるようになされている。
また光ディスク100は、同一の対物レンズOLを介し基板102及び反射透過膜104を透過した青色光ビームLb1の焦点Fb1を、記録層101内における当該目標トラックの「裏側」に相当し、かつ目標深さとなる位置(以下、これを第1目標マーク位置PS1と呼ぶ)に合焦させるようになされている。
このとき焦点Fb1の位置に記録されている記録マークRM(説明の便宜上、以下これを第1記録マークRM1と呼ぶ)は、ホログラムとしての性質により青色再生光ビームLb5を発生する。この青色再生光ビームLb5は、記録マークRM1の記録時に照射された(反射後の)青色光ビームLb3と同等の光学特性を有しており、当該青色光ビームLb3と同じ方向へ、すなわち記録層101内から基板102側へ発散しながら進むことになる。
さらに光ディスク100は、情報が再生される際、図示しない光学素子によって青色光ビームLb2の焦点Fb2が調整されることにより、図5(B)に示すように、当該青色光ビームLb2を反射膜105において反射させることなく、第1記録マークRM1と異なる目標深さ(以下、第2目標深さとも呼ぶ)となる位置(以下、第2目標マーク位置PS2と呼ぶ)の第2記録マークRM2に合焦されるようにもなされている。
この場合、当該第2記録マークRM2は、ホログラムとしての性質により青色再生光ビームLb6を発生する。この青色再生光ビームLb6は、青色再生光ビームLb5と同様に、記録層101内から基板102側へ発散しながら進むことになる。
このように光ディスク100は、情報が記録される場合、位置制御用の赤色光ビームLr1、情報記録用の青色光ビームLb1及びLb2が用いられることにより、記録層101内において焦点Fb1及びFb2が重なる位置、すなわち反射透過膜104における目標トラックの裏側となり且つ目標深さとなる目標マーク位置に、当該情報として記録マークRMが形成されるようになされている。
また光ディスク100は、記録済みの情報が再生される場合、位置制御用の赤色光ビームLr1及び情報再生用の青色光ビームLb1が用いられることにより、焦点Fb1の位置、すなわち第1目標マーク位置PS1に記録されている第1記録マークRM1から、青色再生光ビームLb5を発生させ、同時に情報再生用の青色光ビームLb2が用いられることにより、焦点Fb2の位置、すなわち第2目標マーク位置PS2に記録されている第2記録マークRM2から、青色再生光ビームLb6を発生させるようになされている。
(2−2)光ディスク装置の構成
次に、上述した光ディスク100に対応した光ディスク装置20について説明する。光ディスク装置20は、図6に示すように、制御部21により全体を統括制御するようになされている。
制御部21は、図示しないCPU(Central Processing Unit)を中心に構成されており、図示しないROM(Read Only Memory)から基本プログラムや情報記録プログラム等の各種プログラムを読み出し、これらを図示しないRAM(Random Access Memory)に展開することにより、情報記録処理等の各種処理を実行するようになされている。
例えば制御部21は、光ディスク100が装填された状態で、図示しない外部機器等から情報記録命令、記録情報及び記録アドレス情報を受け付けると、駆動命令及び記録アドレス情報を駆動制御部22へ供給すると共に、記録情報を信号処理部23へ供給する。因みに記録アドレス情報は、光ディスク100の記録層101又は反射透過膜104に付されたアドレスのうち、記録情報を記録すべきアドレスを示す情報である。
駆動制御部22は、駆動命令に従い、スピンドルモータ24を駆動制御することにより光ディスク100を所定の回転速度で回転させると共に、スレッドモータ25を駆動制御することにより、光ピックアップ26を移動軸25A及び25Bに沿って光ディスク100の径方向(すなわち内周方向又は外周方向)における記録アドレス情報に対応した位置へ移動させる。
信号処理部23は、供給された記録情報に対して所定の符号化処理や変調処理等の各種信号処理を施すことにより記録信号を生成し、これを光ピックアップ26へ供給する。
光ピックアップ26は、駆動制御部22の制御に基づいてフォーカス制御及びトラッキング制御を行うことにより、光ディスク100の記録層101又は反射透過膜104における記録アドレス情報により示されるトラック(以下、これを目標トラックと呼ぶ)に光ビームの照射位置を合わせ、信号処理部23からの記録信号に応じた記録マークRMを記録するようになされている(詳しくは後述する)。
また制御部21は、例えば外部機器(図示せず)から情報再生命令及び当該記録情報のアドレスを示す再生アドレス情報を受け付けると、駆動制御部22に対して駆動命令を供給すると共に、再生処理命令を信号処理部23へ供給する。
駆動制御部22は、情報を記録する場合と同様、スピンドルモータ24を駆動制御することにより光ディスク100を所定の回転速度で回転させると共に、スレッドモータ25を駆動制御することにより光ピックアップ26を再生アドレス情報に対応した位置へ移動させる。
光ピックアップ26は、駆動制御部22の制御に基づいてフォーカス制御及びトラッキング制御を行うことにより、光ディスク100の記録層101又は反射透過膜104における再生アドレス情報により示されるトラック(すなわち目標トラック)に光ビームの照射位置を合わせ、所定光量の光ビームを照射する。このとき光ピックアップ26は、光ディスク100における記録層101の記録マークRMから発生される再生光ビームを検出し、その光量に応じた検出信号を信号処理部23へ供給するようになされている(詳しくは後述する)。
信号処理部23は、供給された検出信号に対して所定の復調処理や復号化処理等の各種信号処理を施すことにより再生情報を生成し、この再生情報を制御部21へ供給する。これに応じて制御部21は、この再生情報を外部機器(図示せず)へ送出するようになされている。
このように光ディスク装置20は、制御部21によって光ピックアップ26を制御することにより、光ディスク100の記録層101における目標トラックに情報を記録し、また当該目標トラックから情報を再生するようになされている。
(2−3)光ピックアップの構成
次に、光ピックアップ26の構成について説明する。図7に模式的に示すように、光ピックアップ26は、多数の光学部品が設けられており、大きく分けて位置制御光学系30及び情報光学系50により構成されている。
(2−3−1)位置制御光学系の構成
位置制御光学系30は、図7と対応する図8に示すように、光ディスク100の面100Aに対して赤色光ビームLr1を照射し、当該光ディスク100により当該赤色光ビームLr1が反射されてなる赤色反射光ビームLr2を受光するようになされている。
図7において位置制御光学系30のレーザダイオード31は、波長約660[nm]の赤色レーザ光を射出し得るようになされている。実際上レーザダイオード31は、制御部21(図4)の制御に基づいて発散光でなる所定光量の赤色光ビームLr1を射出し、コリメータレンズ32へ入射させる。コリメータレンズ32は、赤色光ビームLr1を発散光から平行光に変換し無偏光ビームスプリッタ33の面33Bへ入射させる。
無偏光ビームスプリッタ33は、赤色光ビームLr1を反射透過面33Sにおいて約50%の割合で反射し、面33Aから出射させダイクロイックプリズム34へ入射させる。
ダイクロイックプリズム34の反射透過面34Sは、光ビームの波長により透過率及び反射率が異なる、いわゆる波長選択性を有しており、波長約660[nm]の赤色光ビームをほぼ100%の割合で透過し、波長約405[nm]の青色光ビームをほぼ100%の割合で反射するようになされている。このためダイクロイックプリズム34は、当該反射透過面34Sにおいて赤色光ビームLr1を透過し、無偏光ビームスプリッタ35の面35Cへ入射させる。
無偏光ビームスプリッタ35は、反射透過面35Sにおいて赤色光ビームLr1の一部を透過し、面35Aから出射させ対物レンズ36へ入射させる。
対物レンズ36は、赤色光ビームLr1を集光し、光ディスク100の面100Aへ向けて照射する。このとき赤色光ビームLr1は、図5(A)に示したように、基板102を透過し反射透過膜104において反射され、赤色光ビームLr1と反対方向へ向かう赤色反射光ビームLr2となる。
この後、赤色反射光ビームLr2は、対物レンズ36により平行光に変換され、無偏光ビームスプリッタ35及びダイクロックプリズム34を順次透過し、無偏光ビームスプリッタ33の面33Aへ入射される。
無偏光ビームスプリッタ33は、赤色反射光ビームLr2を約50%の割合で透過することにより面33Cから出射させ、集光レンズ37へ入射させる。集光レンズ37は、赤色反射光ビームLr2を収束させ、シリンドリカルレンズ38により非点収差を持たせた上で当該赤色反射光ビームLr2をフォトディテクタ39へ照射する。
ところで光ディスク装置20では、回転する光ディスク100においていわゆる面ブレ等が発生する可能性があるため、位置制御光学系30に対する目標トラックの相対的な位置が変動する可能性がある。
このため、位置制御光学系30において赤色光ビームLr1の焦点Fr(図5(A))を目標トラックに追従させるには、当該焦点Frを光ディスク100に対する近接方向又は離隔方向であるフォーカス方向及び光ディスク100の内周側方向又は外周側方向であるトラッキング方向へ移動させる必要がある。
そこで対物レンズ36は、2軸アクチュエータ36Aにより、フォーカス方向及びトラッキング方向の2軸方向へ駆動され得るようになされている。
また位置制御光学系30(図8)では、対物レンズ36により赤色光ビームLr1が集光され光ディスク100の反射透過膜104へ照射されるときの合焦状態が、集光レンズ37により赤色反射光ビームLr2が集光されフォトディテクタ39に照射されるときの合焦状態に反映されるよう、各種光学部品の光学的位置等が調整されている。
フォトディテクタ39は、図9に示すように、赤色反射光ビームLr2が照射される面上に、格子状に分割された4つの検出領域39A、39B、39C及び39Dを有している。因みに矢印a1により示される方向(図中の縦方向)は、赤色光ビームLr1が反射透過膜104(図5(A))に照射されるときの、トラックの走行方向に対応している。
フォトディテクタ39は、検出領域39A、39B、39C及び39Dにより赤色反射光ビームLr2の一部をそれぞれ検出し、このとき検出した光量に応じて検出信号SDAr、SDBr、SDCr及びSDDrをそれぞれ生成して、これらを信号処理部23(図6)へ送出する。
信号処理部23は、いわゆる非点収差法によるフォーカス制御を行うようになされており、次に示す(3)式に従ってフォーカスエラー信号SFErを算出し、これを駆動制御部22へ供給する。
このフォーカスエラー信号SFErは、赤色光ビームLr1の焦点Frと光ディスク100の反射透過膜104とのずれ量(すなわち距離)の大きさを表すことになる。
また信号処理部23は、いわゆるプッシュプル法によるトラッキング制御を行うようになされており、次に示す(4)式に従ってトラッキングエラー信号STErを算出し、これを駆動制御部22へ供給する。
このトラッキングエラー信号STErは、赤色光ビームLr1の焦点Frと光ディスク100の反射透過膜104における目標トラックとのずれ量(すなわち距離)の大きさを表すことになる。
駆動制御部22は、フォーカスエラー信号SFErを基にフォーカス駆動信号SFDrを生成し、当該フォーカス駆動信号SFDrを2軸アクチュエータ36Aへ供給することにより、赤色光ビームLr1が光ディスク100の反射透過膜104に合焦するよう、対物レンズ36をフィードバック制御(すなわちフォーカス制御)する。
また駆動制御部22は、トラッキングエラー信号STErを基にトラッキング駆動信号STDrを生成し、当該トラッキング駆動信号STDrを2軸アクチュエータ36Aへ供給することにより、赤色光ビームLr1が光ディスク100の反射透過膜104における目標トラックに合焦するよう、対物レンズ36をフィードバック制御(すなわちトラッキング制御)する。
このように位置制御光学系30は、赤色光ビームLr1を光ディスク100の反射透過膜104に照射し、その反射光である赤色反射光ビームLr2の受光結果を信号処理部23へ供給するようになされている。これに応じて駆動制御部22は、当該赤色光ビームLr1を当該反射透過膜104の目標トラックに合焦させるよう、対物レンズ36のフォーカス制御及びトラッキング制御を行うようになされている。
(2−3−2)情報光学系の構成
情報光学系50(図7)は、光ディスク100の面100Aに対して青色光ビームLb1及びLb2を照射するようになされており、また当該光ディスク100から入射される青色光ビームLb3及びLb4を受光するようになされている。
(2−3−2−1)青色光ビームの光路(1)
図7と対応する図10において、情報光学系50のレーザダイオード51は、波長約405[nm]の青色レーザ光を射出し得るようになされている。実際上レーザダイオード51は、制御部21(図6)の制御に基づいて発散光でなる青色光ビームLb0を射出し、コリメータレンズ52へ入射させる。コリメータレンズ52は、青色光ビームLb0を発散光から平行光に変換し、1/2波長板53へ入射させる。
青色光ビームLb0は、1/2波長板53によって偏光方向が所定角度回転されることにより、例えばp偏光成分が約50%、s偏光成分が約50%となされ、偏光ビームスプリッタ54の面54Cに入射される。
偏光ビームスプリッタ54は、反射透過面54Sにおいて、光ビームの偏光方向により異なる割合で当該光ビームを反射又は透過するようになされている。例えば反射透過面54Sは、p偏光の光ビームをほぼ全て透過し、s偏光の光ビームをほぼ全て反射するようになされている。
実際上、偏光ビームスプリッタ54は、反射透過面54Sにより、青色光ビームLb0のうちp偏光成分を透過して青色光ビームLb1とし、これを面54Aからガルバノミラー55へ照射する。ガルバノミラー55は、青色光ビームLb1をミラー面55Aにより反射し、液晶パネル56へ入射させる。
液晶パネル56は、青色光ビームLb1の球面収差や光ディスク100の傾きに起因するコマ収差等を補正し、1/4波長板57へ入射させる。1/4波長板57は、青色光ビームLb1を例えば直線偏光から右円偏光に変換し、リレーレンズ58へ入射させる。
リレーレンズ58は、可動レンズ59により青色光ビームLb1を平行光から収束光に変換し、収束後に発散光となった当該青色光ビームLb1を固定レンズ60により再度収束光に変換し、無偏光ビームスプリッタ35の面35Dへ入射させる。
ここで可動レンズ59は、アクチュエータ59Aにより青色光ビームLb1の光軸方向に移動されるようになされている。実際上、リレーレンズ58は、制御部21(図6)の制御に基づきアクチュエータ59Aによって可動レンズ59を移動させることにより、固定レンズ60から出射される青色光ビームLb1の収束状態を変化させ得るようになされている。
無偏光ビームスプリッタ35は、反射透過面35Sにおいて青色光ビームLb1を反射し、対物レンズ36へ入射させる。因みに青色光ビームLb1は、反射透過面35Sにおいて反射されるときに円偏光における偏光方向が反転され、例えば右円偏光から左円偏光に変換される。
対物レンズ36は、青色光ビームLb1を集光し、光ディスク100の面100Aへ照射する。因みに対物レンズ36は、青色光ビームLb1に関しては、リレーレンズ58との光学的な距離等の関係により、開口数(NA)が0.5の集光レンズとして作用することになる。
このとき青色光ビームLb1は、図5(A)に示したように、基板102及び反射透過膜104を透過し、記録層101内に合焦する。ここで当該青色光ビームLb1の焦点Fb1の位置は、リレーレンズ58の固定レンズ60から出射される際の収束状態により定められることになる。すなわち焦点Fb1は、可動レンズ59の位置に応じて記録層101内の面100A側又はその反対側へ移動することになる。
具体的に情報光学系50は、可動レンズ59の移動距離と青色光ビームLb1の焦点Fb1の移動距離とがほぼ比例関係となるように設計されており、例えば可動レンズ59を1[mm]移動させると、青色光ビームLb1の焦点Fb1が30[μm]移動するようになされている。
実際上、情報光学系50は、制御部21(図6)によって可動レンズ59の位置が制御されることにより、光ディスク100の記録層101内における青色光ビームLb1の焦点Fb1(図5(A))の深さd(すなわち反射透過膜104からの距離)を調整するようになされている。
このように情報光学系50では、リレーレンズ58における可動レンズ59の位置を制御することにより、偏光ビームスプリッタ54の面54Aから出射される青色光ビームLb1の焦点Fb1が光ディスク100の記録層101内における所望の焦点深さdに位置するよう調整するようになされている。なお、以下では、青色光ビームLb1が辿る光路を青光路1と呼ぶ。
(2−3−2−2)青色光ビームの光路(2)
一方、偏光ビームスプリッタ54は、図7と対応する図11に示すように、青色光ビームLb0が面54Cに入射されると、反射透過面54Sにより、青色光ビームLb0のうちs偏光成分を反射して青色光ビームLb2とし、これを面54Bから液晶パネル71へ入射させる。
液晶パネル71は、青色光ビームLb1の球面収差や光ディスク100の傾きに起因するコマ収差等を補正し、光学補償器72に入射させる。光学補償器72は、屈折率の差異を利用して青色光ビームLb2の光路長を青色光ビームLb1と一致させた上で、1/2波長板73へ入射させる。
1/2波長板73は、青色光ビームLb2を例えばs偏光からp偏光に変換し、偏光ビームスプリッタ74の面74Dに入射させる。
偏光ビームスプリッタ74は、偏光ビームスプリッタ54と同様、反射透過面74Sにおいて、光ビームの偏光方向により異なる割合で当該光ビームを反射又は透過するようになされている。例えば反射透過面74Sは、p偏光の光ビームをほぼ全て透過し、s偏光の光ビームをほぼ全て反射するようになされている。
実際上、偏光ビームスプリッタ74は、反射透過面74Sにより、p偏光でなる青色光ビームLb1を透過し、面74Bから1/4波長板75へ入射させる。1/4波長板75は、青色光ビームLb1を例えば直線偏光から右円偏光に変換し、リレーレンズ76へ入射させる。
リレーレンズ76は、リレーレンズ58と同様に構成されており、可動レンズ77により青色光ビームLb2を平行光から収束光に変換し、収束後に発散光となった当該青色光ビームLb2を固定レンズ78により再度収束光に変換し、ダイクロイックプリズム34の面34Dへ入射させる。
ダイクロイックプリズム34は、青色光ビームLb2の波長に応じて当該青色光ビームLb2を反射透過面34Sにおいて反射し面34Aから出射させ、無偏光ビームスプリッタ35の面35Cへ入射させる。因みに青色光ビームLb2は、反射透過面34Sにおいて反射されるときに円偏光における偏光方向が反転され、例えば右円偏光から左円偏光に変換される。
無偏光ビームスプリッタ35は、反射透過面35Sにおいて青色光ビームLb2の一部を透過し、面35Aから出射させ対物レンズ36へ入射させる。
対物レンズ36は、青色光ビームLb2を集光し、光ディスク100の面100Aへ照射する。因みに対物レンズ36は、青色光ビームLb1の場合と同様、青色光ビームLb2に関しても、リレーレンズ76との光学的な距離等の関係により、開口数(NA)が0.5の集光レンズとして作用することになる。
このとき青色光ビームLb2は、図5(A)に示したように、基板102及び反射透過膜104を透過し、一度記録層101を透過し反射膜105において反射された後、記録層101内に合焦する。ここで当該青色光ビームLb2の焦点Fb2の位置は、リレーレンズ76の固定レンズ78から出射される際の収束状態により定められることになる。すなわち焦点Fb2は、可動レンズ77の位置に応じて記録層101内の面100A側又はその反対側へ移動することになる。
具体的に情報光学系50は、青色光ビームLb1の場合と同様、可動レンズ77の移動距離と青色光ビームLb2の焦点Fb2の移動距離とがほぼ比例関係となるように設計されており、例えば可動レンズ77を1[mm]移動させると、青色光ビームLb2の焦点Fb2が30[μm]移動するようになされている。
実際上、情報光学系50は、制御部21(図6)によって可動レンズ77の位置が制御されることにより、光ディスク100の記録層101内における青色光ビームLb2の焦点Fb2(図5(A))の深さd(すなわち反射透過膜104からの距離)を調整するようになされている。
ここで、リレーレンズ58及び76は、制御部21によって可動レンズ59及び77を互いに相補的な位置に調整することにより、青色光ビームLb1の焦点Fb1と青色光ビームLb2の焦点Fb2とを一致させ得るように設計されている。
このように情報光学系50では、リレーレンズ58における可動レンズ59の位置を制御することにより、偏光ビームスプリッタ54の面54Bから出射される青色光ビームLb2の焦点Fb2が光ディスク100の記録層101内における所望の焦点深さdに位置するよう調整するようになされている。なお、以下では、青色光ビームLb2が辿る光路を青光路2と呼ぶ。
(2−3−2−3)青色光ビームの光路(3)
次に、図11に示した青色光ビームLb2が焦点Fb2(図5(A))において集光された後、そのまま進行し再度拡散するときの青色光ビームLb3について説明する。
青色光ビームLb3は、図7及び図10と対応する図12に示すように、青色光ビームLb1(図10)の青光路1を逆方向へ辿るように、対物レンズ36により平行光に変換された後、無偏光ビームスプリッタ35の面35Aに入射される。
因みに、青色光ビームLb2は、対物レンズ36から光ディスク100へ照射されたときに左円偏光であったため、光ディスク100の反射膜105において反射された際に右円偏光に反転される。すなわち青色光ビームLb3は、右円偏光の状態で無偏光ビームスプリッタ35へ入射する。
無偏光ビームスプリッタ35は、反射透過面35Sによって青色光ビームLb3を反射し、面35Dからリレーレンズ58へ入射させる。このとき青色光ビームLb3は、反射透過面35Sにおいて円偏光における偏光方向が反転され、例えば右円偏光から左円偏光に変換される。
リレーレンズ58は、固定レンズ60及び可動レンズ59を順次介して青色光ビームLb3を1/4波長板57へ入射させる。1/4波長板57は、青色光ビームLb3を例えば左円偏光から直線偏光(s偏光)に変換し、液晶パネル56を介してガルバノミラー55へ照射する。ガルバノミラー55は、ミラー面55Aにより青色光ビームLb3を反射させ、偏光ビームスプリッタ54の面54Aへ入射させる。
偏光ビームスプリッタ54は、s偏光でなる青色光ビームLb3を反射透過面54Sにおいて反射させ、面54Dから出射させて集光レンズ61へ入射させる。
集光レンズ61は、青色光ビームLb3を収束させ、所定径の孔部62Hが設けられたピンホール板62を介してフォトディテクタ63へ照射させる。フォトディテクタ63は、青色光ビームLb3の光量を検出し、このとき検出した光量に応じて検出信号SD1を生成し、これを信号処理部23(図6)へ供給するようになされている(詳しくは後述する)。なお、以下では、青色光ビームLb3が辿る光路を青光路3と呼ぶ。
(2−3−2−4)青色光ビームの光路(4)
ところで情報光学系50は、各種光学部品の誤差等により、単純に可動レンズ59及び77を互いに相補的に移動させるのみでは、焦点Fb1及びFb2を一致させ得ない可能性もある。そこで情報光学系50は、焦点Fb1及びFb2のずれ量に応じて可動レンズ77の位置を補正し得るようになされている。
図10に示した青色光ビームLb1は、焦点Fb1において合焦した後、再び発散光となり、光ディスク100(図5(A))の反射膜105において反射される。このとき青色光ビームLb1は、反射透過面35Sにおいて円偏光における偏光方向が反転され、例えば左円偏光から右円偏光に変換される(以下、反射後の青色光ビームLb1を青色光ビームLb3と呼ぶ)。
その後、青色光ビームLb4は、図7及び図11と対応する図13に示すように、青光路2(図11)を逆方向に辿るようにして、対物レンズ36により平行光に変換され、無偏光ビームスプリッタ35によりその一部が透過されて、ダイクロイックプリズム34の面34Aに入射される。
ダイクロイックプリズム34は、反射透過面34Sにより青色光ビームLb4を反射し、面34Dから出射してリレーレンズ76へ入射させる。このとき青色光ビームLb4は、反射透過面34Sにおいて円偏光における偏光方向が反転され、例えば右円偏光から左円偏光に変換される。
リレーレンズ76は、固定レンズ78及び可動レンズ77を順次介して青色光ビームLb4を1/4波長板75へ入射させる。1/4波長板75は、青色光ビームLb4を例えば左円偏光から直線偏光(s偏光)に変換し、偏光ビームスプリッタ74の面74Bへ入射させる。
偏光ビームスプリッタ74は、青色光ビームLb4の偏光方向(s偏光)に基づき当該青色光ビームLb4を反射透過面74Sにおいて反射させ、面74Cから無偏光ビームスプリッタ80の面80Aへ入射させる。
無偏光ビームスプリッタ80は、反射透過面80Sによって青色光ビームLb4の一部を反射して面80Bから出射させ、さらにミラー84により反射させた上で集光レンズ85へ入射させる。集光レンズ85は、青色光ビームLb4を収束し、シリンドリカルレンズ86により非点収差を持たせた上で当該青色光ビームLb4をフォトディテクタ87へ照射する。
ここで、情報光学系50では、記録層101内における青色光ビームLb1の焦点Fb1に対する青色光ビームLb2の焦点Fb2のずれ量が、集光レンズ85により青色光ビームLb4が集光されフォトディテクタ87へ照射されるときの照射状態に反映されるよう、各種光学部品の光学的位置が調整されている。
フォトディテクタ87は、図14に示すように、フォトディテクタ39(図9)と同様、青色光ビームLb4が照射される面上に、格子状に分割された4つの検出領域87A、87B、87C及び87Dを有している。因みに矢印a2により示される方向(図中の横方向)は、青色光ビームLb4が照射されるときの、反射透過膜104(図5(A))におけるトラックの走行方向に対応している。
フォトディテクタ87は、検出領域87A、87B、87C及び87Dにより青色光ビームLb4の一部をそれぞれ検出し、このとき検出した光量に応じて検出信号SDAb、SDBb、SDCb及びSDDbをそれぞれ生成して、これらを信号処理部23(図6)へ送出する。
信号処理部23は、いわゆる非点収差法によるフォーカス制御を行うようになされており、次に示す(5)式に従ってフォーカスエラー信号SFEbを算出し、これを駆動制御部22へ供給する。
このフォーカスエラー信号SFEbは、青色光ビームLb1の焦点Fb1と青色光ビームLb2の焦点Fb2とのフォーカス方向に関するずれ量を表すことになる。
また信号処理部23は、プッシュプル信号を用いたトラッキング制御(ラジアル制御とも呼ぶ)を行うようになされており、次に示す(6)式に従ってトラッキングエラー信号STEbを算出し、これを駆動制御部22へ供給する。
このトラッキングエラー信号STEbは、青色光ビームLb1の焦点Fb1と青色光ビームLb2の焦点Fb2とのトラッキング方向(いわゆるラジアル方向)に関するずれ量を表すことになる。
さらに信号処理部23は、タンジェンシャル制御に必要なタンジェンシャルエラー信号も生成するようになされている。このタンジェンシャル制御とは、タンジェンシャル方向(すなわちトラックの接線方向)に関して青色光ビームLb2の焦点Fb2を目標位置へ移動させる制御である。
具体的に信号処理部23は、プッシュプル信号を用いたタンジェンシャル制御を行うようになされており、次に示す(7)式に従ってタンジェンシャルエラー信号SNEbを算出し、これを駆動制御部22へ供給する。
このタンジェンシャルエラー信号SNEbは、青色光ビームLb1の焦点Fb1と青色光ビームLb2の焦点Fb2とのタンジェンシャル方向に関するずれ量を表すことになる。
これに応じて駆動制御部22は、フォーカスエラー信号SFEbを基にリレーレンズ76の可動レンズ77を移動させ、青色光ビームLb1の焦点Fb1に対する青色光ビームLb2の焦点Fb2のフォーカス方向に関するずれ量を減少させるよう、フィードバック制御するようになされている。
また駆動制御部22は、トラッキングエラー信号STEbを基にトラッキング駆動信号STDbを生成すると共に、タンジェンシャルエラー信号SNEbを基にタンジェンシャル駆動信号SNDbを生成し、当該トラッキング駆動信号STDb及び当該タンジェンシャル駆動信号SNDbをガルバノミラー55へ供給することにより、青色光ビームLb1の焦点Fb1に対する青色光ビームLb2の焦点Fb2のトラッキング方向及びタンジェンシャル方向に関するずれ量をそれぞれ減少させるようガルバノミラー55における反射面55Aの角度を調整する、トラッキング制御及びタンジェンシャル制御を行うようになされている。
このように情報光学系50は、青色光ビームLb1が光ディスク100の反射膜105において反射されてなる青色光ビームLb4を受光し、その受光結果を信号処理部23へ供給するようになされている。これに応じて駆動制御部22は、青色光ビームLb2の焦点Fb2を青色光ビームLb1の焦点Fb1に合わせるよう、リレーレンズ76の可動レンズ76によりフォーカス方向のずれを調整し、またガルバノミラー55によるトラッキング制御及びタンジェンシャル制御を行うようになされている。
さらに、無偏光ビームスプリッタ80は、反射透過面80Sによって青色光ビームLb4の一部を透過させ、面80Bから集光レンズ81へ入射させる。集光レンズ81は、青色光ビームLb4を収束させ、所定径の孔部82Hが設けられたピンホール板82を介してフォトディテクタ83へ照射させる。
フォトディテクタ83は、青色光ビームLb4の光量を検出し、このとき検出した光量に応じて検出信号SD2を生成し、これを信号処理部23(図6)へ供給するようになされている(詳しくは後述する)。なお、以下では、青色光ビームLb4が辿る光路を青光路4と呼ぶ。
(2−4)情報の記録及び再生
次に、光ディスク装置20が光ディスク100に情報を記録する場合、及び当該光ディスク100から情報を再生する場合について、それぞれ説明する。
(2−4−1)情報の記録
光ディスク装置20の制御部21(図6)は、光ディスク100に情報を記録する場合、上述したように、外部機器(図示せず)等から情報記録命令、記録情報及び記録アドレス情報を受け付けると、駆動命令及び記録アドレス情報を駆動制御部22へ供給すると共に、記録情報を信号処理部23へ供給する。
このとき駆動制御部22は、光ピックアップ26の位置制御光学系30(図8)により赤色光ビームLr1を光ディスク100の面100A側から照射させ、その反射光である赤色反射光ビームLr2の検出結果を基に、対物レンズ36のフォーカス制御及びトラッキング制御(すなわち位置制御)を行うことにより、赤色光ビームLr1の焦点Frを記録アドレス情報に対応した目標トラックに追従させる。
また制御部21は、情報光学系50(図7)により青色光ビームLb1を光ディスク100の面100A側から照射させる。このとき青色光ビームLb1の焦点Fb1は、位置制御された対物レンズ36によって集光されることにより、目標トラックの裏側に位置することになる。
さらに制御部21は、リレーレンズ58における可動レンズ59の位置を調整することにより、当該焦点Fb1(図5(A))の深さdを目標深さに調整する。この結果、青色光ビームLb1の焦点Fb1は、目標マーク位置に合わされる。
また制御部21は、リレーレンズ58における可動レンズ59の位置に合わせてリレーレンズ76における可動レンズ77の位置を調整することにより、青色光ビームLb2の焦点Fb2(図5(A))の深さdを調整する。これにより青色光ビームLb2は、焦点Fb2の深さdが、光ディスク100の面ブレや各光学素子の誤差が生じていないと仮定した場合の青色光ビームLb1における焦点Fb1の深さdに合わされる。
さらに制御部21は、青色光ビームLb1が光ディスク100の反射膜105により反射されてなる青色光ビームLb3をフォトディテクタ87により検出させ、その検出結果を基に、駆動制御部22により可動レンズ77の位置を調整して青色光ビームLb2の焦点Fb2と青色光ビームLb1の焦点Fb1とのずれを減少させ、ガルバノミラー55にトラッキング制御及びタンジェンシャル制御を行わせる。
この結果、青色光ビームLb2の焦点Fb2は、青色光ビームLb1における焦点Fb1の位置、すなわち目標マーク位置に合わされる。
そのうえ制御部21は、光学補償器72により屈折率の差異を利用して青色光ビームLb2の光路長を調整し、青色光ビームLb1及びLb2における光路長の差をコヒーレント長以下に抑える。
かくして光ディスク装置20の制御部21は、光ピックアップ26により光ディスク100の記録層101内の目標マーク位置に対して、良好な記録マークRMを形成することができる。
ところで信号処理部23(図6)は、外部機器(図示せず)等から供給される記録情報を基に、例えば値「0」又は「1」のバイナリデータを表す記録信号を生成する。これに応じてレーザダイオード51は、例えば記録信号が値「1」である時に青色光ビームLb0を出射し、記録信号が値「0」である時に青色光ビームLb0を出射しないようになされている。
これにより光ディスク装置20では、記録信号が値「1」のときには光ディスク100の記録層101内の目標マーク位置に記録マークRMを形成し、当該記録信号が値「0」のときには当該目標マーク位置に当該記録マークRMを形成しないことになるため、当該記録マークRMの有無により当該目標マーク位置に記録信号の値「1」又は「0」を記録することができ、結果的に記録情報を光ディスク100の記録層101に記録することができる。
(2−4−2)情報の再生
光ディスク装置20の制御部21(図6)は、光ディスク100から情報を再生する場合、光ピックアップ26の位置制御光学系30(図7)により赤色光ビームLr1を光ディスク100の面100A側から照射させ、その反射光である赤色反射光ビームLr2の検出結果を基に、駆動制御部22により対物レンズ36のフォーカス制御及びトラッキング制御(すなわち位置制御)を行わせる。
また制御部21は、情報光学系50(図7)により青色光ビームLb1を光ディスク100へ照射させる。このとき青色光ビームLb1の焦点Fb1は、位置制御された対物レンズ36によって集光されることにより、目標トラックの裏側に位置することになる。
さらに制御部21は、リレーレンズ58における可動レンズ59の位置を調整することにより、図5(B)に示すように、焦点Fb1の深さd1を第1の目標深さに調整する。この結果、青色光ビームLb1の焦点Fb1は、第1目標マーク位置PS1に合わされる。
これに応じて、第1目標マーク位置PS1に記録されている第1記録マークRM1は、ホログラムとして作用し、いわゆる再生光としての青色再生光ビームLb5を面100A側へ発生させる。
因みに制御部21は、再生時におけるレーザダイオード51の出射パワーを抑えることにより、青色光ビームLb1による記録マークRMの誤消去を防止するようになされている。
そのうえ制御部21は、情報光学系50により、青色光ビームLb1に加えて青色光ビームLb2も光ディスク100へ照射させるようになされている。このとき青色光ビームLb2の焦点Fb2は、青色光ビームLb1の焦点Fb1と同様、位置制御された対物レンズ36によって集光されることにより、目標トラックの裏側に位置することになる。
また制御部21は、リレーレンズ76における可動レンズ77の位置を、リレーレンズ58における可動レンズ59の位置と連動させることなく独立して調整することにより、図5(B)に示すように、焦点Fb2の深さd2を焦点Fb1の深さd1と異なる第2の目標深さに調整する。この結果、青色光ビームLb2の焦点Fb2は、第2の目標マーク位置に合わされる。
これに応じて、第2の目標マーク位置に記録されている第2の記録マークRM2は、ホログラムとして作用し、いわゆる再生光としての青色再生光ビームLb6を面100A側へ発生させる。
すなわち情報光学系50は、青色光ビームLb1及びLb2を、互いの焦点Fb1及びFb2が互いに異なる第1及び第2の目標マーク位置にそれぞれ合焦するよう、同時に照射するようになされている。
この結果、情報光学系50は、光ディスク100の記録層101内における第1及び第2の目標マーク位置にある第1記録マークRM1及び第2記録マークRM2から、それぞれ青色再生光ビームLb5及びLb6を発生させることができる。
このとき情報光学系50(図12)の対物レンズ36は、青色再生光ビームLb5及びLb6を混合したまま平行光に変換し、無偏光ビームスプリッタ35の面35Aへ入射させる。
無偏光ビームスプリッタ35の反射透過膜35Sは、青色再生光ビームLb5及びLb6を混合したまま、その一部を反射して面35Dから出射させ、青光路3を経て集光レンズ61へ入射させる。
集光レンズ61は、青色再生光ビームLb5及びLb6を集光する。ここで図15(A)に示すように、ピンホール板62は、青色再生光ビームLb5の焦点を孔部62H内に位置させるよう配置されているため、当該青色再生光ビームLb5を通過させフォトディテクタ63に照射させる。
一方、ピンホール板62は、焦点が孔部62H内に形成されない青色再生光ビームLb6については、その大部分を遮断するため、当該青色再生光ビームLb6を事実上フォトディテクタ63に照射させない。
この結果、フォトディテクタ63は、青色再生光ビームLb5の光量を検出し、このとき検出した光量に応じて検出信号SD1を生成し、これを信号処理部23(図6)へ供給することができる。
さらに、無偏光ビームスプリッタ35の反射透過膜35S(図13)は、青色再生光ビームLb5及びLb6を混合したまま、その一部を透過して面35Cから出射させ、青光路4を経て集光レンズ81へ入射させる。
集光レンズ81は、青色再生光ビームLb5及びLb6を集光する。ここで図15(B)に示すように、ピンホール板82は、青色再生光ビームLb6の焦点を孔部82H内に位置させるよう配置されているため、当該青色再生光ビームLb6を通過させフォトディテクタ83に照射させる。
一方、ピンホール板82は、焦点が孔部82H内に形成されない青色再生光ビームLb5については、その大部分を遮断するため、ピンホール板62と反対に、当該青色再生光ビームLb5を事実上フォトディテクタ83に照射させない。
この結果、フォトディテクタ83は、青色再生光ビームLb6の光量を検出し、このとき検出した光量に応じて検出信号SD2を生成し、これを信号処理部23(図6)へ供給することができる。
因みに光ディスク装置20は、目標マーク位置に記録マークRMが記録されていなかった場合、当該目標マーク位置からは青色再生光ビームLb5又はLb6が発生しないため、情報光学系50により、当該青色再生光ビームLb5又はLb6を受光しなかったことを示す検出信号を生成することになる。
これに応じて信号処理部23は、この検出信号を基に、青色再生光ビームLb5又はLb6が検出されたか否かを値「1」又は「0」として認識し、この認識結果を基に再生情報を生成する。
これにより光ディスク装置20では、光ディスク100の記録層101内の目標マーク位置に記録マークRMが形成されているときには青色再生光ビームLb5又はLb6を受光し、当該目標マーク位置に当該記録マークRMが形成されていないときには青色再生光ビームLb5又はLb6を受光しないことにより、それぞれの目標マーク位置に値「1」又は「0」のいずれが記録されているかを独立して認識することができる。
このように光ピックアップ26は、いわゆる参照光としての青色光ビームLb1及びLb2を、光ディスク100の記録層101内における第1記録マークRM1及び第2記録マークRM2にそれぞれ合焦させることにより、いわゆる再生光としての青色再生光ビームLb5及びLb6をそれぞれ発生させ、青光路3及び青光路4を介してフォトディテクタ63及び83によりそれぞれの光量を検出し、記録マークRMの有無に応じた検出信号SD1及びSD2を生成し得るようになされている。
その後信号処理部23は、検出信号SD1及びSD2に対してそれぞれ上述した復調処理や復号化処理等の各種信号処理を施すことによりそれぞれ再生情報を生成し、これら再生情報を制御部21へ供給する。
制御部21は、所定の情報統合処理によって複数の再生情報を一つの再生情報に統合した上で外部機器(図示せず)へ送出するようになされている。この結果、光ディスク装置20は、青色再生光ビームLb5及びLb6によりそれぞれ通常の再生速度で再生するだけで、見かけ上、2倍の再生速度を得ることができる。
なお光ディスク装置20は、例えば液晶パネル71を制御して青色光ビームLb2及び青色再生光ビームLb6等を遮断することにより、敢えて青色光ビームLb1および青色再生光ビームLb5により得られる1系統の再生情報のみを基に情報を再生するようにしても良い。
(2−5)動作及び効果
以上の構成において、第1の実施の形態における光ディスク装置20の制御部21(図6)は、光ディスク100に対して情報を記録する際、及び当該光ディスク100から情報を再生する際のいずれにおいても、光ピックアップ26の位置制御光学系30(図8)により赤色光ビームLr1の焦点Frを光ディスク100の反射透過膜104(図5(A)及び(B))における目標トラックに合焦させるよう、対物レンズ36のフォーカス制御及びトラッキング制御を行う。
さらに制御部21は、光ディスク100に対して情報を記録する際、2本の青色光ビームLb1(図10)及びLb2(図11)を用い、リレーレンズ58及び76の可動レンズ59及び77の位置を相補的に制御し、当該青色光ビームLb1及びLb2の焦点Fb1及びFb2をいずれも目標マーク位置に合わせることにより(図5(A))、光ディスク100の記録層101内に記録マークRMを形成する。
一方、制御部21は、光ディスク100から情報を再生する際、リレーレンズ58及び76の可動レンズ59及び77の位置を互いに独立して制御し、2本の青色光ビームLb1及びLb2の焦点Fb1及びFb2を互いに異なる目標マーク位置にそれぞれ合わせることにより(図5(B))、光ディスク100の記録層101内において深さd1及びd2に位置する第1記録マークRM1及び第2記録マークRM2からそれぞれ青色再生光ビームLb5及びLb6を発生させる。
このとき制御部21は、フォトディテクタ63及び83によりそれぞれ青色再生光ビームLb5及びLb6の光量を検出し、所定の信号処理を施して得られた2系統の再生信号を統合することにより、2倍の再生速度でなる一つの再生信号を生成する。
従って光ディスク装置20の制御部21は、情報の記録時には、ホログラムを利用した情報記録の原理的な制約により同時に一つの記録マークRMしか記録し得ないものの、情報の再生時には、同時に2つの記録マーク、すなわち第1記録マークRM1及び第2記録マークRM2からそれぞれ青色再生光ビームLb5及びLb6を発生させて2系統の再生信号を得ることができ、これらを統合して2倍速の再生信号を得ることができる。
このとき制御部21は、情報の記録時に互いに相補的となるよう位置制御するリレーレンズ58及び76の可動レンズ59及び77を、情報の再生時にそれぞれ互いに独立して位置制御するだけで、青色光ビームLb1及びLb2の焦点Fb1及びFb2をそれぞれ第1目標マーク位置PS1及び第2目標マーク位置PS2に合わせることができるため、当該焦点Fb1及びFb2を互いに独立して調整するための光学部品等を追加せずに済む。
これにより光ディスク装置20は、光ディスク100の物理的な強度や高速回転時における面ブレ等により、光ディスク100の回転速度に上限があり情報の再生速度の上限が必然的に定められてしまうような場合であっても、2系統の情報を同時に読み出し統合することにより、見かけ上の再生速度を約2倍に向上させることができる。
本来、光ディスク装置20は、光ディスク100に対して記録マークRMを記録する際、原理的に2系統の青色光ビームLb1及びLb2が必要となるため、予め青光路1及び青光路2のように2系統の光学系を有している。このため光ディスク装置20は、2系統同時再生を行うために、改めて光学系を増設する必要が無く、一方の光学系のみを用いて情報を再生する場合に使用していなかった他方の光学系を有効活用することができる。
ちなみに光ディスク装置20の制御部21は、例えば情報の記録時に、記録すべき情報を2系統に分解しておき、同一の目標トラックにおける異なる深さとなる目標マーク位置に、分解後の互いに対応する情報をそれぞれ記録しておくことにより、再生時に得られる2系統の情報を統合して元の情報を得ることができる。
以上の構成によれば、第1の実施の形態による光ディスク装置20の制御部21は、光ディスク100に対して情報を記録する際、2本の青色光ビームLb1及びLb2の焦点Fb1及びFb2をいずれも目標マーク位置に合わせ干渉させることにより記録マークRMを形成する一方、光ディスク100から情報を再生する際、2本の青色光ビームLb1及びLb2の焦点Fb1及びFb2を互いに異なる目標マーク位置にそれぞれ合わせることにより、光ディスク100の記録層101内の互いに異なる位置にある第1記録マークRM1及び第2記録マークRM2からそれぞれ青色再生光ビームLb5及びLb6を発生させて2系統の再生信号を得ることができ、これらを統合することにより2倍の再生速度でなる一つの再生信号を生成することができる。
(3)第2の実施の形態
(3−1)光ディスクの構成
本実施の形態における光ディスク200は、第1の実施の形態における光ディスク100(図4)とほぼ同様の外観を有している。
この光ディスク200は、光ディスク100に対して照射される赤色光ビームLr1に代えて青色光ビームLb11が照射され、目標トラックに合焦されることを想定している。
実際上、光ディスク200は、図5(A)との対応部分に同一符号を付した図16(A)に断面図を示すように、光ディスク100と比較して、反射透過膜104に代えて、反射透過膜204を有している点が異なっている。
反射透過膜204は、反射透過膜104と同様に螺旋状のトラックが形成されている一方、反射透過膜104と異なり、青色光ビームLbのうち所定の割合(例えば約10%)を反射すると共に残り(例えば約90%)を透過するような材料で構成されている。
かかる構成により、光ディスク200は、情報が記録される際、光ディスク100と比較して反射透過膜204における青色光ビームLb1及びLb2の透過率を一部低下させるものの、当該青色光ビームLb1及びLb2により記録マークRMをほぼ同様に記録するようになされている。
また光ディスク200は、情報が再生される際、光ディスク100と同様に、青色光ビームLb1及びLb2の焦点Fb1及びFb2の位置にある記録マークRM1及びRM2からそれぞれ青色再生光ビームLb3及びLb4を発生させる。
このとき光ディスク200は、光ディスク100と比較して反射透過膜204における青色再生光ビームLb3及びLb4の透過率についても一部低下させるものの、当該青色再生光ビームLb3及びLb4を基板102側から発散光として出射させるようになされている。
このように光ディスク200は、第1の実施の形態における光ディスク100と異なり、情報が記録される場合及び情報が再生される場合のいずれにおいても、位置制御用及び情報記録用の双方に青色光ビームが用いられるようになされている。
(3−2)光ディスク装置の構成
次に、上述した光ディスク200に対応した光ディスク装置120について説明する。光ディスク装置120は、図6に示した第1の実施の形態における光ディスク装置20と比較して、制御部21に代えて制御部121を有し、光ピックアップ26に代えて光ピックアップ126を有している点が異なるものの、他はほぼ同様に構成されている。
制御部121は、制御部21と同様、図示しないCPUを中心に構成されており、図示しないROMから基本プログラムや情報記録プログラム等の各種プログラムを読み出し、これらを図示しないRAMに展開することにより、情報記録処理等の各種処理を実行するようになされている。
また光ディスク装置120は、第1の実施の形態における光ディスク装置20と同様、制御部121によって光ピックアップ126を制御することにより、光ディスク200の記録層101における目標トラックに対応する位置に情報を記録し、また当該目標トラックに対応する位置から情報を再生するようになされている。
(3−3)光ピックアップの構成
次に、光ピックアップ126の構成について説明する。光ピックアップ126は、図7との対応部分に同一符号を付した図17に示すように、光ピックアップ26におけるレーザダイオード31やフォトディテクタ39等といった一部の光学部品に代えて、無偏光ビームスプリッタ91及びフォトディテクタ96等を有している。
すなわち光ピックアップ126は、光ピックアップ26と比較して、位置制御光学系30が省略され、これに代えて青色光ビームを用いたフォーカス制御やトラッキング制御を行う位置制御光学系90(図18)を有しており、また情報光学系50(図7)と対応する情報光学系98(図19)を有している。
(3−3−1)位置制御光学系の構成
図17と対応する図18に示すように、レーザダイオード51は、制御部121(図6)の制御に基づいて発散光でなる青色光ビームLb0を射出し、コリメータレンズ52へ入射させる。コリメータレンズ52は、青色光ビームLb0を発散光から平行光に変換し、1/2波長板53へ入射させる。
青色光ビームLb0は、1/2波長板53によって偏光方向が所定角度回転されることにより、例えばp偏光成分が約50%、s偏光成分が約50%となされ、無偏光ビームスプリッタ91の面91Dに入射される。
無偏光ビームスプリッタ91は、反射透過面91Sにおいて青色光ビームLb0を所定の割合(例えば20%)で透過させて青色光ビームLb11とし、これを面91Bから出射させ、さらにミラー92により反射させた上で無偏光ビームスプリッタ93の面93Cへ入射させる。
無偏光ビームスプリッタ93は、反射透過面93Sにおいて青色光ビームLb11を所定の割合(例えば20%)で透過させ、面93Aから出射させ、無偏光ビームスプリッタ35の面35Cへ入射させる。
無偏光ビームスプリッタ35は、反射透過面35Sにおいて青色光ビームLb11の一部を透過させ、面35Aから出射させ対物レンズ36へ入射させる。
対物レンズ36は、第1の実施の形態における赤色光ビームLr1と同様に、青色光ビームLb11を集光し、光ディスク200の面200Aへ向けて照射する。このとき青色光ビームLb11は、図16(A)に示したように、基板102を透過し反射透過膜204において所定の割合(例えば約10%)が反射され、青色光ビームLb11と反対方向へ向かう青色光ビームLb12となる。
この後、青色光ビームLb12は、対物レンズ36により平行光に変換され、無偏光ビームスプリッタ35及び無偏光ビームスプリッタ93を順次透過し、ミラー92により反射された後、無偏光ビームスプリッタ91の面91Bへ入射される。
無偏光ビームスプリッタ91は、青色光ビームLb12を約80%の割合で反射することにより面91Cから出射させ、集光レンズ94へ入射させる。集光レンズ94は、青色光ビームLb12を収束させ、シリンドリカルレンズ95により非点収差を持たせた上で当該青色光ビームLb12をフォトディテクタ96へ照射する。
フォトディテクタ96は、第1の実施の形態におけるフォトディテクタ39と同様に検出領域(図示せず)が4分割されており、当該フォトディテクタ39と同様に4種類の検出信号SDAc、SDBc、SDCc及びSDDcをそれぞれ生成して、これらを信号処理部23(図6)へ送出する。
これに応じて信号処理部23は、第1の実施の形態と同様のフォーカスエラー信号SFEc及びトラッキングエラー信号STEcを生成し、これらを駆動制御部22へ供給する。
駆動制御部22は、フォーカスエラー信号SFEcを基に、青色光ビームLb11が光ディスク200の反射透過膜204に合焦するよう対物レンズ36をフィードバック制御(すなわちフォーカス制御)する。
また駆動制御部22は、トラッキングエラー信号STEcを基に、青色光ビームLb11が光ディスク200の反射透過膜204における目標トラックに合焦するよう、対物レンズ36をフィードバック制御(すなわちトラッキング制御)する。
このように位置制御光学系90は、第1の実施の形態における赤色光ビームLr1に代えて青色光ビームLb11を用い、これを光ディスク200の反射透過膜204に照射し、その反射光である青色光ビームLb12の受光結果を信号処理部23へ供給するようになされている。これに応じて駆動制御部22は、当該青色光ビームLb11を当該反射透過膜204の目標トラックに合焦させるよう、対物レンズ36のフォーカス制御及びトラッキング制御を行うようになされている。
(3−3−2)情報光学系の構成
図17と対応する図19に示すように、情報光学系98は、第1の実施の形態における情報光学系50(図7)と比較して、青色光ビームLb0が偏光ビームスプリッタ54の面54Cへ入射される点に代えて、無偏光ビームスプリッタ91の反射透過面91Sにおいて当該青色光ビームLb0が所定割合で反射されてなる青色光ビームLb10が当該面54Cへ入射されるようになされている点が異なるものの、他は同様に構成されている。
すなわち情報光学系98は、偏光ビームスプリッタ54の反射透過面54Sにより、青色光ビームLb10のうちp偏光成分を透過して青色光ビームLb1とし、また青色光ビームLb10のうちs偏光成分を反射して青色光ビームLb2とするようになされている。
その後情報光学系98は、第1の実施の形態における情報光学系50と同様に、青光路1(図10)に相当する光路を介して青色光ビームLb1を光ディスク200へ照射し、青光路2(図11)に相当する光路を介して青色光ビームLb2を光ディスク200へ照射するようになされている。
また情報光学系98は、青光路3(図12)に相当する光路を介して、青色光ビームLb2が光ディスク200により反射された後の青色光ビームLb3をフォトディテクタ63へ入射させ、また青光路4(図13)に相当する光路を介して、青色光ビームLb1が光ディスク200により反射された後の青色光ビームLb4をフォトディテクタ83へ入射させる。
さらに情報光学系98は、フォトディテクタ87により青色光ビームLb4の一部を検出する。この検出結果を基に、信号処理部23及び駆動制御部22は、青色光ビームLb1の焦点Fb1に対する青色光ビームLb2の焦点Fb2のフォーカス方向に関するずれ量を減少させるようフィードバック制御し、また青色光ビームLb1の焦点Fb1に対する青色光ビームLb2の焦点Fb2のトラッキング方向(すなわちラジアル方向)及びタンジェンシャル方向に関するずれ量を減少させるよう、ガルバノミラー55における反射面55Aの角度を調整する(すなわちトラッキング制御及びタンジェンシャル制御を行う)ようになされている。
このように情報光学系98は、第1の実施の形態における情報光学系50とほぼ同様に、青色光ビームLb1及びLb2並びに青色光ビームLb3及びLb4をそれぞれ導光するようになされている。
(3−4)情報の記録及び再生
次に、光ディスク装置120が光ディスク200に情報を記録する場合、及び当該光ディスク200から情報を再生する場合について、それぞれ説明する。
光ディスク装置120の制御部121は、光ディスク200に情報を記録する際、青色光ビームLb11を用いて対物レンズ36のフォーカス制御及びトラッキング制御を行った状態で、青色光ビームLb1およびLb2を光ディスク200へ照射し、それぞれの焦点Fb1及びFb2を目標マーク位置に合わせることにより、記録マークRMを記録するようになされている。
また光ディスク装置120の制御部121は、光ディスク200から情報を再生する際、青色光ビームLb1の焦点Fb1を第1目標マーク位置PS1に合わせることにより、第1記録マークRM1により青色再生光ビームLb5を発生させ、これを検出する。
さらに光ディスク装置120の制御部121は、青色光ビームLb2の焦点Fb2を第2目標マーク位置PS2に合わせることにより、第2記録マークRM2により青色再生光ビームLb6を発生させ、これを検出する。
このとき信号処理部23は、第1記録マークRM1及び第2記録マークRM2の有無に応じた検出信号SD1及びSD2を基にそれぞれ再生情報を生成し、制御部121は、複数の再生情報を一つの再生情報に統合した上で外部機器(図示せず)へ送出する。この結果、光ディスク装置120は、第1の実施の形態における光ディスク装置20と同様、見かけ上、2倍の再生速度を得ることができる。
(3−5)動作及び効果
以上の構成において、第2の実施の形態における光ディスク装置120の制御部121(図6)は、光ディスク200に対して情報を記録する際、及び当該光ディスク200から情報を再生する際のいずれにおいても、光ピックアップ126の位置制御光学系90(図18)により青色光ビームLb11の焦点Fb11を光ディスク200の反射透過膜204(図16(A)及び(B))における目標トラックに合焦させるよう、対物レンズ36のフォーカス制御及びトラッキング制御を行う。
さらに制御部121は、光ディスク200に対して情報を記録する際、第1の実施の形態と同様に、リレーレンズ58及び76の可動レンズ59及び77の位置をアクチュエータ59A及び77Aを介して相補的に制御し、2本の青色光ビームLb1及びLb2の焦点Fb1及びFb2をいずれも目標マーク位置に合わせることにより(図16(A))、光ディスク200の記録層101内に記録マークRMを形成する。
一方、制御部121は、光ディスク200から情報を再生する際も、第1の実施の形態と同様に、リレーレンズ58及び76の可動レンズ59及び77の位置を互いに独立して制御し、2本の青色光ビームLb1及びLb2の焦点Fb1及びFb2を互いに異なる目標マーク位置にそれぞれ合わせることにより(図16(B))、光ディスク200の記録層101内において深さd1及びd2に位置する第1記録マークRM1及び第2記録マークRM2から青色再生光ビームLb5及びLb6をそれぞれ発生させる。
このとき制御部121は、フォトディテクタ63及び83によりそれぞれ青色再生光ビームLb5及びLb6の光量を検出し、所定の信号処理を施して得られた2系統の再生信号を統合することにより、2倍の再生速度でなる一つの再生信号を生成する。
従って光ディスク装置120の制御部121は、第1の実施の形態と同様、情報の記録時には、ホログラムを利用した情報記録の原理的な制約により同時に一つの記録マークRMしか記録し得ないものの、情報の再生時には、同時に2つの記録マーク、すなわち第1記録マークRM1及び第2記録マークRM2からそれぞれ再生光ビームLb5及びLb6を発生させて2系統の再生信号を得ることができ、これらを統合して2倍速の再生信号を得ることができる。
特に光ディスク装置120の光ピックアップ126(図17)は、第1の実施の形態における光ピックアップ26(図7)と比較して、赤色のレーザダイオード31等を省略することができるので、光ピックアップ126の構成を簡略化することができ、軽量化による光ピックアップ126のトラッキング方向移動時における応答性の向上や部品削減による低コスト化等を図ることができる。
以上の構成によれば、第2の実施の形態における光ディスク装置120の制御部121は、第1の実施の形態における光ディスク装置20の制御部21と同様、光ディスク200に対して情報を記録する際、2本の青色光ビームLb1及びLb2の焦点Fb1及びFb2をいずれも目標マーク位置に合わせ干渉させることにより記録マークRMを形成する一方、光ディスク200から情報を再生する際、2本の青色光ビームLb1及びLb2の焦点Fb1及びFb2を互いに異なる目標マーク位置にそれぞれ合わせることにより、光ディスク200の記録層101内の互いに異なる位置にある第1記録マークRM1及び第2記録マークRM2からそれぞれ青色再生光ビームLb5及びLb6を発生させて2系統の再生信号を得ることができ、これらを統合することにより2倍の再生速度でなる一つの再生信号を生成することができる。
(4)他の実施の形態
なお上述した第1及び第2の実施の形態においては、2系統の青光路を介して2本の青色再生光ビームLb5及びLb6を発生させて得られた2系統の再生信号を統合して2倍の再生速度でなる一つの再生信号を生成するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えば3系統や4系統以上の青光路を設けるようにし、3本又は4本以上の青色再生光ビームを発生させて得られる3系統又は4系統以上の再生信号を統合して3倍や4倍以上の再生速度を得られるようにしても良い。
この場合、各青光路にリレーレンズを設けて光ディスク100又は200へ照射する青色光ビームLbの焦点Fbがそれぞれ異なる位置(深さ)となるように調整し、またフォトディテクタの直前に設けたピンホール板により所望の青色再生光ビームのみの光量を検出するようにすれば良い。
また上述した第1の実施の形態においては、対物レンズ36の位置制御を行うための光ビーム(これを位置制御光ビームと呼ぶ)を波長約660[nm]の赤色光ビームとし、記録マークRMを形成するための光ビーム(これを記録光ビームと呼ぶ)を波長約405[nm]の青色光ビームとするようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、位置制御光ビーム及び記録光ビームをそれぞれ任意の波長としても良い。
この場合、反射透過膜104としては、位置制御光ビームをその波長に応じて反射し、記録光ビームをその波長に応じて透過する性質を有していればよい。また記録層101は、記録光ビームの波長に反応する材料であれば良い。
さらに上述した第2の実施の形態においては、位置制御光ビーム及び記録光ビームをいずれも波長約405[nm]の青色光ビームとするようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、位置制御光ビーム及び記録光ビームを任意の波長としても良い。
さらに上述した第1及び第2の実施の形態においては、リレーレンズ58及び76により、光ディスク100又は200内における目標マーク位置の深さ(すなわち反射透過膜104又は204からの距離)を調整するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えば単一の集光レンズを移動させることにより当該目標マーク位置の深さを変更し、或いは対物レンズ36のフォーカス制御を行うことにより当該目標マーク位置の深さを変更するなど、他の手法により当該目標マーク位置の深さを変更するようにしても良い。
さらに上述した第1及び第2の実施の形態においては、赤色光ビームLr1と青色光ビームLb1との光軸を一致させるようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えば赤色光ビームLr1と青色光ビームLb1との光軸を所定角度傾け、光ディスク100の面100Aから見て目標トラックと目標マーク位置とを意図的に一致させない(すなわちオフセットを設ける)ようにしても良い。
さらに上述した第1及び第2の実施の形態においては、位置制御光学系30(図7)及び90(図18)並びに情報光学系50(図7)及び98(図19)において、非点収差法によりフォーカスエラー信号を生成するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えばナイフエッジ法やフーコー法等の他の手法によってフォーカスエラー信号を生成するようにしても良い。
また位置制御光学系30及び90におけるトラッキングエラー信号の生成についても、プッシュプル法に限らず、3ビーム法や差動プッシュプル法等の他の手法により当該トラッキングエラー信号を生成するようにしても良い。
これらの場合、各エラー信号の生成手法に応じて、シリンドリカルレンズ38及び86に代えて回折格子等の光学素子が設けられれば良く、またフォトディテクタ39及び83については、各エラー信号の生成手法に対応した分割パターンで検出領域が分割されていれば良く、さらに信号処理部23は、各エラー信号の生成手法に対応した演算処理を行うことにより各エラー信号を生成すれば良い。
さらに上述した第1及び第2の実施の形態においては、液晶パネル56及び71により青色光ビームLb1及びLb2並びに青色再生光ビームLb5及びLb6の球面収差や光ディスク100の傾きに起因するコマ収差等を補正するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、エキスパンダレンズ等の他の種々の光学素子により球面収差や光ディスク100の傾きに起因するコマ収差等を補正するようにしても良い。
さらに上述した実施の形態においては、光ディスク100の直径を約120[mm]、記録層101の厚さt1を約0.3[mm]、基板102及び103の厚さt2及びt3を約0.6[mm]とするようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、それぞれ他の値であっても良い。この場合、記録層101並びに基板102及び103の厚さと各材料の屈折率等を考慮した上で、青色光ビームLb1及びLb2の焦点が目標マーク位置に合わされるよう、各光学部品の光学特性や配置等が設定されていれば良い。
さらに上述した実施の形態においては、第1の焦点位置調整手段としてのリレーレンズ58及び制御部21と、第2の焦点位置調整手段としてのリレーレンズ76及び制御部21と、制御手段としての制御部21と、第1及び第2の検出手段としてのフォトディテクタ63及び83とによって光ディスク装置としての光ディスク装置20を構成する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、その他種々の回路構成でなる第1の焦点位置調整手段と、第2の焦点位置調整手段と、制御手段と、第1及び第2の検出手段とによって光ディスク装置を構成するようにしても良い。
20、120……光ディスク装置、21、121……制御部、22……駆動制御部、23……信号処理部、26、126……光ピックアップ、30、90……位置制御光学系、31、51……レーザダイオード、33、35、80、91、93……無偏光ビームスプリッタ、34……ダイクロックプリズム、36……対物レンズ、36A……アクチュエータ、39、63、83、87……フォトディテクタ、50……情報光学系、54、74……偏光ビームスプリッタ、55……ガルバノミラー、56、71……液晶パネル、58、76……リレーレンズ、59、77……可動レンズ、62、82……ピンホール板、75……1/4波長板、100、200……光ディスク、101……記録層、102、103……基板、104、204……反射透過膜、Lr1……赤色光ビーム、Lr2……赤色反射光ビーム、Lb0、Lb1、Lb2、Lb3、Lb4、Lb10、Lb11、Lb12……青色光ビーム、Lb5、Lb6……青色再生光ビーム、Fr、Fb1、Fb2、Fb11……焦点、RM、RM1、RM2……記録マーク。