上記の本発明の接続部材において、前記少なくとも1つの第1隆起部は、前記挿入部から前記基端部にいくにしたがって中心軸からの距離が増大するような傾斜面を備えることが好ましい。これにより、チューブに対するオスコネクタの挿入作業性が向上する。
複数の前記第1隆起部が中心軸に対して等角度間隔に配置されていることが好ましい。これにより、高い接続強度を安定して得ることができる。また、チューブの周方向の伸び量が増大するので、接続強度を向上させることができる。
この場合、前記複数の第1隆起部と同数の前記第2隆起部を備え、前記第2隆起部は中心軸に対して等角度間隔に配置されていることが好ましい。これにより、高い接続強度を安定して得ることができる。
前記少なくとも1つの第1隆起部の中心軸方向位置に対して前記少なくとも1つの第2隆起部の中心軸方向位置が前記基端部側に位置する第1拡張位置と、前記少なくとも1つの第1隆起部の中心軸方向位置と前記少なくとも1つの第2隆起部の中心軸方向位置とが重複する第2拡張位置とに、前記ロックパーツを前記オスコネクタに対して中心軸方向に移動可能であり、前記第2拡張位置では、周方向において、前記少なくとも1つの第1隆起部が設けられていない領域内に前記少なくとも1つの第2隆起部が配置されることが好ましい。これにより、ロックパーツを第2拡張位置に変位させることにより、更に高い接続強度を得ることができる。
前記オスコネクタが挿入された前記ロックパーツが前記オスコネクタの前記基端部側から脱落するのを防止する脱落防止機構が設けられていることが好ましい。これにより、オスコネクタとロックパーツとが分離するのを防止できる。
以下、本発明の好適な実施形態を図面を用いて説明する。但し、本発明は以下の実施形態に限定されないことは言うまでもない。
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1にかかる接続部材1は、略筒形状のオスコネクタ100と、オスコネクタ100を挿入可能なロックパーツ200とを備える。
図1は、本実施の形態1にかかる接続部材を構成するオスコネクタ100の斜視図である。図2Aは図1の矢印2Aに沿って見たオスコネクタ100の正面図、図2Bは図1の矢印2Bに沿って見たオスコネクタ100の側面図、図2Cは図1の矢印2Cに沿って見たオスコネクタ100の下面図である。
オスコネクタ100は、その中心軸101に沿った貫通穴102が形成された全体として略中空円筒形状を有している。オスコネクタ100の一端は例えばPEGチューブの上流側端(メスコネクタ)に挿入される挿入部103であり、その他端は液状物が充填された容器などに接続された経腸栄養投与セットを構成するチューブの下流側端と接続される基端部104である。液状物は、基端部104側から挿入部103側に向かって貫通穴102内を流れる。以下の説明の便宜のため、中心軸101方向において、基端部104側(上流側)を「上側」、挿入部103側(下流側)を「下側」と呼ぶ。
挿入部103の外周面の一部には、基端部104側で外径が大きなテーパ面(円錐面)が中心軸101方向に複数個繰り返して配置されたタケノコ形状部105が形成されている。但し、タケノコ形状部105は一例であって、これ以外の、オスコネクタの挿入部として公知の形状が形成されていても良い。
挿入部103の外周面の他の一部に、好ましくはタケノコ形状部105よりも基端部104側の位置に、中心軸101と平行な方向に沿って見たときに中心軸101からの距離が他の部分に比べて増大するように盛り上がった2つの第1隆起部130a,130bが形成されている。2つの第1隆起部130a,130bは中心軸101に対して対称位置に配置されている。
第1隆起部130a,130bは、中心軸101と平行な方向に挿入部103から基端部104にいくにしたがって、中心軸101からの距離が増大するように傾斜した傾斜面131a,131bを備える。傾斜面131a,131bの最も基端部104側の位置に、第1隆起部130a,130bの頂部(中心軸101から最も遠い部分)132a,132bがある。中心軸101に直交する方向に沿った頂部132a,132b間距離はD13である。距離D13はタケノコ形状部105の最大外径よりも大きい。
基端部104の円筒面である外周面には、畝状に突出した2本のリブ120a,120bが中心軸101と平行に延設されている。2本のリブ120a,120bは中心軸101に対して対称位置に配置されている。2本のリブ120a,120bの頂部間距離はD12である。中心軸101を通り、2本のリブ120a,120bを含む仮想の平面(図示せず)上に、2つの第1隆起部130a,130bが設けられている。
図3は、本実施の形態1にかかる接続部材を構成するロックパーツ200の斜視図である。図4Aは図3の矢印4Aに沿って見たロックパーツ200の正面図、図4Bは図3の矢印4Bに沿って見たロックパーツ200の側面図、図4Cは図3の矢印4Cに沿って見たロックパーツ200の下面図である。
ロックパーツ200は、中心軸201に沿った貫通穴202が形成された、略円筒形状の本体部203を備える。以下の説明の便宜のため、中心軸201方向において、図3の紙面上側を「上側」、図3の紙面下側を「下側」と呼ぶ。
ロックパーツ200の下側端に、中心軸201と平行な方向に沿って見たときに中心軸からの距離が増大するように盛り上がった2つの第2隆起部230a,230bが形成されている。2つの第2隆起部230a,230bは中心軸201に対して対称位置に配置されている。第2隆起部230a,230bの下側端に、第2隆起部230a,230bの頂部(中心軸201から最も遠い部分)232a,232bがある。中心軸201に直交する方向に沿った頂部232a,232b間距離はD23である。上述した第1隆起部130a,130bの頂部132a,132b間距離D13は、第2隆起部230a,230bの頂部232a,232b間距離D23と同じか又はこれより大きい(D13≧D23)。ロックパーツ200の下側には、第2隆起部230a,230bを残して切り落とすことにより、一対の切り欠き235a,235bが形成されている。
更に、本体部203の外周面には、中心軸201を含む面に沿って板状の一対の把持板240a,240bが立設されている。把持板240a,240bは、ロックパーツ200を保持したり、中心軸201周りにロックパーツ200を回転させるためのトルクをロックパーツ200に付与したりする際に把持される。中心軸201方向において、把持板240a,240bは、切り欠き235a,235bが形成された領域には形成されていない。一対の把持板240a,240bに代えて、ロックパーツ200の外周面を各種多角柱面に形成したり、該外周面に凹凸模様などが付与されていても良い。
本体部203の円筒面である内周面には、2本の凹状の溝220a,220bが形成されている。2本の溝220a,220bは、ロックパーツ200の中心軸201方向の両端を結び、中心軸201と平行に延びている。2本の溝220a,220bは、中心軸201に対して対称位置に配置されている。本体部203の内周面の内径はD20、2本の溝220a,220bの底部(中心軸201から最も遠い部分)間距離はD22である。上述したリブ120a,120bの頂部間距離D12は、本体部203の内周面の内径D20より大きく、溝220a,220bの底部間距離D22より小さい(D20<D12<D22)。中心軸201を通り、2本の溝220a,220bを含む仮想の平面(図示せず)上に2つの第2隆起部230a,230bが設けられている。
オスコネクタ100及びロックパーツ200は、硬質の樹脂材料、例えばポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリエチレン、ABS樹脂、ポリ塩化ビニル等を用いて、射出成型等により製造することができる。
図5に示すように、ロックパーツ200は、その貫通穴202の下側の開口からオスコネクタ100の基端部104が挿入されて、オスコネクタ100により貫通される。このとき、中心軸101,201に対するリブ120a,120bの回転方向位置と溝220a,220bの回転方向位置とを一致させることにより、リブ120a,120bは溝220a,220b内を通過する。
ロックパーツ200の第2隆起部230a,230bの下側端がオスコネクタ100の第1隆起部130a,130bに当接するまでオスコネクタ100をロックパーツ200内に挿入すると、オスコネクタ100のリブ120a,120bがロックパーツ200よりも上側に露出する。
オスコネクタ100が挿入されたロックパーツ200のオスコネクタ100に対する代表的な3つの位置を以下に説明する。なお、オスコネクタ100及びロックパーツ200は、両者間に隙間があるために、中心軸101と中心軸201とが一致しないような姿勢をとることは可能であるが、以下に示す図面では簡単化のためにオスコネクタ100の中心軸101とロックパーツ200の中心軸201とが一致した状態を示している。
第1は、図5に示す「挿入可能位置」である。ロックパーツ200が挿入可能位置にあるとき、中心軸101,201に対する第1隆起部130a,130bの回転方向位置と第2隆起部230a,230bの回転方向位置とが一致する。
挿入可能位置では、ロックパーツ200はオスコネクタ100に対して中心軸101,201回りに回転することができる。
また、挿入可能位置では、ロックパーツ200はオスコネクタ100に対して中心軸101,201に沿って基端部104側に移動することができる。逆に、第1隆起部130a,130bと第2隆起部230a,230bとが中心軸101,201方向に当接することにより、ロックパーツ200はオスコネクタ100に対して中心軸101,201に沿って挿入部103側へ移動することができない。
第2は、図6に示す「第1拡張位置」である。ロックパーツ200の第1拡張位置は、ロックパーツ200を上記の挿入可能位置からオスコネクタ100に対して中心軸101,201方向に移動させることなく約90度回転させることで実現できる。第1拡張位置では、中心軸101,201に対する第1隆起部130a,130bの回転方向位置と第2隆起部230a,230bの回転方向位置とがずれている。
第1拡張位置では、上記挿入可能位置と同様に、ロックパーツ200はオスコネクタ100に対して中心軸101,201回りに回転することができる。
また、第1拡張位置では、リブ120a,120bと本体部203とが当接することにより、ロックパーツ200はオスコネクタ100に対して中心軸101,201に沿って基端部104側へ移動することができない。即ち、リブ120a,120bは、オスコネクタ100が挿入されたロックパーツ200がオスコネクタ100の基端部104側から脱落するのを防止する脱落防止機構として機能する。第1拡張位置では、逆に、ロックパーツ200はオスコネクタ100に対して中心軸101,201に沿って挿入部103側に移動することができる。
第3は、図7に示す「第2拡張位置」である。ロックパーツ200の第2拡張位置は、ロックパーツ200を上記の第1拡張位置からオスコネクタ100に対して回転させることなく中心軸101,201に沿って挿入部103側に移動させることで実現できる。第2拡張位置では、第1隆起部130a,130bが切り欠き235a,235b内に嵌入しており、第1隆起部130a,130bの中心軸101,201方向位置と、第2隆起部230a,230bの中心軸101,201方向位置とが重複している。
第2拡張位置では、第1隆起部130a,130bと第2隆起部230a,230bとが当接することにより、ロックパーツ200のオスコネクタ100に対する中心軸101,201回りの回転が制限される。
また、第2拡張位置では、ロックパーツ200はオスコネクタ100に対して中心軸101,201に沿って基端部104側に移動することができる。逆に、第1隆起部130a,130bと本体部203とが当接することにより、ロックパーツ200はオスコネクタ100に対して中心軸101,201に沿って挿入部103側へ移動することができない。
本実施の形態1の接続部材1と可撓性を有する中空のPEGチューブ90の上流側端(メスコネクタ)とを接続する方法を以下に説明する。以下に示す図8、図10、図12において、PEGチューブ90の図示しない下流側端は、患者の腹に形成された胃ろうを通って胃内に挿入されている。80は患者に投与される液状物を搬送するための経腸栄養投与セットの下流側に設けられた可撓性を有する中空のチューブである。チューブ80の下流側端は、オスコネクタ100の貫通穴102に基端部104側から挿入されて、融着などの方法によりオスコネクタ100と一体化されている。経腸栄養投与セットの図示しない上流側端は、例えば経腸栄養剤が充填された容器に接続されている。経腸栄養投与セットの構成は、特に制限はなく、例えばJIS T3213で規定された経腸栄養投与セットや、これ以外の公知の経腸栄養投与セットのいずれであってもよい。経腸栄養投与セットには、その中を流れる液状物を圧送するための加圧機構などが設けられていても良い。
最初に、図8に示すように、ロックパーツ200を挿入可能位置(図5参照)に維持した状態で、オスコネクタ100の挿入部103をPEGチューブ90の上流側端に挿入する。このとき、オスコネクタ100の基端部104を指で摘み、リブ120a,120bを利用して回転力を加えながら、オスコネクタ100をPEGチューブ90内にねじ込むことができる。
第1隆起部130a,130bは、その頂部132a,132bよりも挿入部103側に傾斜面131a,131bを備えているので、オスコネクタ100をPEGチューブ90内に挿入するにしたがって、PEGチューブ90の上流側開口端縁は第1隆起部130a,130bの形状に沿って周方向に拡張される。更に、第1隆起部130a,130bの頂部132a,132b間距離D13が第2隆起部230a,230bの頂部232a,232b間距離D23と同じか又はこれより大きいので、PEGチューブ90の上流側開口端縁は、第1隆起部130a,130bの頂部132a,132bを乗り越えた後、第2隆起部230a,230bの頂部232a,232bに引っ掛かることなく、これを容易に乗り越えることができる。
このようにして、図8に示すように、オスコネクタ100の第1隆起部130a,130bの頂部132a,132b及びロックパーツ200の第2隆起部230a,230bの頂部232a,232bがPEGチューブ90で隠れてしまうように、オスコネクタ100をPEGチューブ90内に深く挿入する。PEGチューブ90は柔軟で弾力性を有するので、オスコネクタ100の外形に沿って周方向に適宜拡張され、オスコネクタ100の外周面に密着する。
図9は図8Aの第1隆起部130a,130bの頂部132a,132bを通る9−9線での矢視断面図である。PEGチューブ90が、第1隆起部130a,130bによって周方向に伸ばされていることが分かる。
次に、図10に示すように、ロックパーツ200をオスコネクタ100に対して約90度回転させて第1拡張位置(図6参照)に変位させる。PEGチューブ90はオスコネクタ100に密着しているので、ロックパーツ200を回転させても、PEGチューブ90はオスコネクタ100に対してほとんど位置ずれすることはない。
図11は図10の第1隆起部130a,130bの頂部132a,132bを通る11−11線での矢視断面図である。PEGチューブ90は、第1隆起部130a,130bに加えて第2隆起部230a,230bによっても周方向に伸ばされていることが分かる。通常状態(オスコネクタ100が挿入されていない状態)に対するPEGチューブ90の周方向の伸び量は、図9よりも図11において大きい。このPEGチューブ90の周方向の伸び量の増加に対応して、PEGチューブ90と接続部材1との密着力が増大する。このように、ロックパーツ200を図10及び図11に示すように第1拡張位置に変位させてPEGチューブ90の周方向の伸び量を増大させることにより、PEGチューブ90と接続部材1とをより強く接続することができる。
また、図10Aを図8Aと比較すれば分かるように、PEGチューブ90の、第1隆起部130a,130bの頂部132a,132bより上側の部分が、頂部132a,132bを包み込むように内側に折れ曲がる。このようにPEGチューブ90が頂部132a,132bに係止されることにより、PEGチューブ90と接続部材1との接続強度は更に向上する。
次に、図12に示すように、ロックパーツ200をオスコネクタ100に対して挿入部103側に移動させて第2拡張位置(図7参照)に変位させる。PEGチューブ90はオスコネクタ100に密着しているので、ロックパーツ200を移動させても、PEGチューブ90はオスコネクタ100に対してほとんど位置ずれすることはない。
図13は図12の第1隆起部130a,130bの頂部132a,132bを通る13−13線での矢視断面図である。PEGチューブ90が、第1隆起部130a,130bに加えて第2隆起部230a,230bによっても周方向に伸ばされている点は、図11と同じである。
また、図12Aに示すように、PEGチューブ90の、第1隆起部130a,130bの頂部132a,132bより上側の部分が、頂部132a,132bを包み込むように内側に折れ曲がっており、これは図10Aと同じである。
第2拡張位置(図12,図13)では、第2隆起部230a,230bがPEGチューブ90内により深く挿入され、PEGチューブ90のより深い部分を周方向に伸ばしている点で、第1拡張位置(図10,図11)と異なる。従って、PEGチューブ90に引き抜き方向の引っ張り力が作用してPEGチューブ90がオスコネクタ100に対して引き抜き方向に僅かに位置ずれしても、依然としてPEGチューブ90と接続部材1との高い接続強度を維持することができる。また、一般にPEGチューブ90の上流側端の内周面には、オスコネクタの挿入を容易にするために、開口側で内径が大きくなるテーパ面(円錐面)が形成されていることが多く、この場合には、ロックパーツ200を第2拡張位置に変位させることで、内径のより小さな位置でPEGチューブ90が周方向に伸ばされるので、PEGチューブ90と接続部材1との接続強度を更に増大させることができる。
PEGチューブ90と接続部材1との接続状態を解除するには、上記と逆の操作を行えばよい。即ち、オスコネクタ100に対してロックパーツ200を第2拡張位置から第1拡張位置、挿入可能位置へと順に変位させた後、PEGチューブ90から接続部材1を引き抜く。
以上のように、本実施の形態1の接続部材1は、挿入可能位置から第1拡張位置、第2拡張位置へとロックパーツ200を順に変位させて、PEGチューブ90の周方向の伸び量を順に増大させる。これにより、PEGチューブ90の内周面と接続部材1との密着強度が順に増大するので、PEGチューブ90と接続部材1とを強固に接続することができる。従って、PEGチューブ90を通じて液状物を患者に圧送する場合や、接続部材1とPEGチューブ90との接続部分に作業者が意図せずに外力を加えてしまった場合などでも、PEGチューブ90から接続部材1が外れてしまうのを防止できる。
しかも、オスコネクタ100の挿入部103にはタケノコ形状部105などの従来のオスコネクタにおいて公知の形状を設けることができる。また、PEGチューブ90に接続部材1を挿入し始める際には、ロックパーツ200は挿入可能位置にあるので、第1隆起部130a,130b及び第2隆起部230a,230bをPEGチューブ90内に挿入する際のPEGチューブ90の伸び量は比較的小さい。更に、第1隆起部130a,130bには、その頂部132a,132bよりも下側に傾斜面131a,131bが設けられている。また、第1隆起部130a,130bの頂部132a,132b間距離D13は、第2隆起部230a,230bの頂部232a,232b間距離D23と同じか又はこれより大きい。これらにより、PEGチューブ90に対する接続部材1の挿入作業性は良好である。
また、PEGチューブ90は、オスコネクタ100に対するロックパーツ200の位置(挿入可能位置、第1拡張位置、第2拡張位置)に応じて、周方向に可逆的に伸ばされるだけであるので、PEGチューブ90と接続部材1とを何度でも再接続することができる。また、再接続を繰り返しても、PEGチューブ90と接続部材1との接続強度は変化しない。
また、本実施の形態1の接続部材1は、PEGチューブ90内に挿入されて、PEGチューブ90の内周面を中心軸101,201から遠ざかるように押し出す。即ち、接続部材1はPEGチューブ90の外周面に対して何ら作用しない。従って、PEGチューブ90の外径や肉厚とは無関係に、常に高い接続強度を得ることができる。
また、接続部材1は、オスコネクタ100とロックパーツ200との2部品のみで構成されるので、部品点数が少なく、低コストである。しかも、ロックパーツ200にオスコネクタ100を挿入するだけで組み立てられるので、組立は極めて容易である。更に、ロックパーツ200はオスコネクタ100が挿入されているので、部品を紛失する可能性は低い。
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2にかかる接続部材2は、略筒形状のオスコネクタ300と、オスコネクタ300を挿入可能なロックパーツ400とを備える。以下に示す図において、実施の形態1で説明した図に示された構成要素と同じ構成要素には同一の符号を付しており、それらについての説明を省略する。
図14は、本実施の形態2にかかる接続部材を構成するオスコネクタ300の斜視図である。図15Aは図14の矢印15Aに沿って見たオスコネクタ300の正面図、図15Bは図14の矢印15Bに沿って見たオスコネクタ300の側面図、図15Cは図14の矢印15Cに沿って見たオスコネクタ300の下面図である。本実施の形態2のオスコネクタ300は、以下の点で実施の形態1のオスコネクタ100と異なる。
第1に、実施の形態1のオスコネクタ100において基端部104の外周面に設けられていたリブ120a,120bは、本実施の形態2のオスコネクタ300には設けられていない。
第2に、本実施の形態2のオスコネクタ300では、基端部104の上側端に2つの凹部(切り欠き)320a,320bが設けられている。2つの凹部320a,320bは中心軸101に対して対称位置に配置されている。中心軸101を通り、2つの凹部320a,320bを含む仮想の平面(図示せず)上に、2つの第1隆起部130a,130bが設けられている。
図16は、本実施の形態2にかかる接続部材を構成するロックパーツ400の斜視図である。図17Aは図16の矢印17Aに沿って見たロックパーツ400の正面図、図17Bは図16の矢印17Bに沿って見たロックパーツ400の側面図、図17Cは図16の矢印17Cに沿って見たロックパーツ400の下面図である。本実施の形態2のロックパーツ400は、以下の点で実施の形態1のロックパーツ200と異なる。
第1に、実施の形態1のロックパーツ200において本体部203の内周面に形成されていた溝220a,220bは、本実施の形態2のロックパーツ400には設けられていない。
第2に、本実施の形態2のロックパーツ400では、本体部203の上側の開口端近傍の内周面に2つの凸部420a,420bが設けられている。中心軸201を通り、2つの凸部420a,420bを含む仮想の平面(図示せず)上に2つの第2隆起部230a,230b及び一対の把持板240a,240bが設けられている。
実施の形態1の場合と同様に、オスコネクタ300及びロックパーツ400は、硬質の樹脂材料、例えばポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリエチレン、ABS樹脂、ポリ塩化ビニル等を用いて、射出成型等により製造することができる。
図18に示すように、ロックパーツ400は、その貫通穴202の下側の開口からオスコネクタ300の基端部104が挿入される。
オスコネクタ300が挿入されたロックパーツ400のオスコネクタ300に対する代表的な2つの位置を以下に説明する。なお、オスコネクタ300及びロックパーツ400は、両者間に隙間があるために、中心軸101と中心軸201とが一致しないような姿勢をとることは可能であるが、以下に示す図面では簡単化のためにオスコネクタ300の中心軸101とロックパーツ200の中心軸201とが一致した状態を示している。
第1は、図18に示す「挿入可能位置」である。ロックパーツ400が挿入可能位置にあるとき、オスコネクタ300の凹部320a,320bにロックパーツ400の凸部420a,420bがそれぞれ嵌入する。従って、挿入可能位置では、ロックパーツ400はオスコネクタ300に対して中心軸101,201回りに回転することができない。
また、挿入可能位置では、第1隆起部130a,130bと第2隆起部230a,230bとが中心軸101,201方向に当接する。従って、ロックパーツ400はオスコネクタ300に対して中心軸101,201に沿って挿入部103側へ移動することができない。
第2は、図19に示す「拡張位置」である。ロックパーツ400の拡張位置は、上記の挿入可能位置からロックパーツ400をオスコネクタ300に対して中心軸101,201に沿って上側に移動させて凹部320a,320bと凸部420a,420bとの嵌合を解除し、次いで、ロックパーツ400をオスコネクタ300に対して約90度回転させることで実現できる。拡張位置では、中心軸101,201に対する第1隆起部130a,130bの回転方向位置と第2隆起部230a,230bの回転方向位置とがずれている。
拡張位置では、ロックパーツ400の凸部420a,420bは、オスコネクタ200の基端部104側の開口端面と当接している。但し、凹部320a,320bと凸部420a,420とは係合していないので、ロックパーツ400はオスコネクタ300に対して中心軸101,201回りに回転することができる。
第1隆起部130a,130bの頂部132a,132bと、第2隆起部230a,230bの頂部232a,232bとの中心軸101,201方向に沿った距離は、挿入可能位置(図18)より拡張位置(図19)のほうが大きい(後述する図20A、図21Bを参照)。
本実施の形態2の接続部材2と可撓性を有する中空のPEGチューブ90の上流側端(メスコネクタ)とを接続する方法を以下に説明する。
最初に、図20Aに示すように、ロックパーツ400を挿入可能位置(図18参照)に維持した状態で、オスコネクタ300の挿入部103をPEGチューブ90の上流側端に挿入する。挿入可能位置ではロックパーツ400の凸部420a,420bがオスコネクタ300の凹部320a,320b内に嵌入している。従って、ロックパーツ400の把持板240a,240bを指で摘んで回転力を加えながら、オスコネクタ300をPEGチューブ90内にねじ込むことができる。
このようにして、図20Aに示すように、オスコネクタ300の第1隆起部130a,130bの頂部132a,132b及びロックパーツ400の第2隆起部230a,230bの頂部232a,232bがPEGチューブ90で隠れてしまうように、オスコネクタ100をPEGチューブ90内に深く挿入する。PEGチューブ90は柔軟で弾力性を有するので、オスコネクタ100の外形に沿って周方向に適宜拡張され、オスコネクタ100の外周面に密着する。
図20Bは図20Aの第1隆起部130a,130bの頂部132a,132bを通る20B−20B線での矢視断面図である。PEGチューブ90が、第1隆起部130a,130bによって周方向に伸ばされていることが分かる。
次に、図21Aに示すように、オスコネクタ300に対してロックパーツ400を、中心軸101,201に沿って上側に移動させ、次いで、約90度回転させ拡張位置(図19参照)に変位させる。PEGチューブ90はオスコネクタ300に密着しているので、ロックパーツ400を変位させても、PEGチューブ90はオスコネクタ300に対してほとんど位置ずれすることはない。
図21Bは図21Aの第1隆起部130a,130bの頂部132a,132bを通る21B−21B線での矢視断面図である。PEGチューブ90は、第1隆起部130a,130bに加えて第2隆起部230a,230bによっても周方向に伸ばされていることが分かる。通常状態(オスコネクタ300が挿入されていない状態)に対するPEGチューブ90の周方向の伸び量は、図20Aよりも図21Aにおいて大きい。このPEGチューブ90の周方向の伸び量の増加に対応して、PEGチューブ90と接続部材2との密着力が増大する。このように、ロックパーツ400を図21A及び図21Bに示すように拡張位置に変位させてPEGチューブ90の周方向の伸び量を増大させることにより、PEGチューブ90と接続部材2とをより強く接続することができる。
また、図21Aを図20Aと比較すれば分かるように、PEGチューブ90の、第1隆起部130a,130bの頂部132a,132bより上側の部分が、頂部132a,132bを包み込むように内側に折れ曲がる。このようにPEGチューブ90が頂部132a,132bに係止されることにより、PEGチューブ90と接続部材2との接続強度は更に向上する。
PEGチューブ90と接続部材2との接続状態を解除するには、上記と逆の操作を行えばよい。即ち、オスコネクタ300に対してロックパーツ400を拡張位置から挿入可能位置へ変位させた後、PEGチューブ90から接続部材2を引き抜く。
以上のように、本実施の形態2の接続部材2は、挿入可能位置から拡張位置へロックパーツ400を変位させて、PEGチューブ90の周方向の伸び量を増大させる。これにより、PEGチューブ90の内周面と接続部材2との密着強度が増大するので、PEGチューブ90と接続部材2とを強固に接続することができる。従って、PEGチューブ90を通じて液状物を患者に圧送する場合や、接続部材2とPEGチューブ90との接続部分に作業者が意図せずに外力を加えてしまった場合などでも、PEGチューブ90から接続部材2が外れてしまうのを防止できる。
しかも、オスコネクタ300の挿入部103にはタケノコ形状部105などの従来のオスコネクタにおいて公知の形状を設けることができる。また、PEGチューブ90に接続部材2を挿入し始める際には、ロックパーツ400は挿入可能位置にあるので、第1隆起部130a,130b及び第2隆起部230a,230bをPEGチューブ90内に挿入する際のPEGチューブ90の伸び量は比較的小さい。更に、第1隆起部130a,130bには、その頂部132a,132bよりも下側に傾斜面131a,131bが設けられている。また、第1隆起部130a,130bの頂部132a,132b間距離D13は、第2隆起部230a,230bの頂部232a,232b間距離D23と同じか又はこれより大きい。これらにより、PEGチューブ90に対する接続部材2の挿入作業性は良好である。
また、PEGチューブ90は、オスコネクタ300に対するロックパーツ400の位置(挿入可能位置、拡張位置)に応じて、周方向に可逆的に伸ばされるだけであるので、PEGチューブ90と接続部材2とを何度でも再接続することができる。また、再接続を繰り返しても、PEGチューブ90と接続部材2との接続強度は変化しない。
また、本実施の形態2の接続部材2は、PEGチューブ90内に挿入されて、PEGチューブ90の内周面を中心軸101,201から遠ざかるように押し出す。即ち、接続部材2はPEGチューブ90の外周面に対して何ら作用しない。従って、PEGチューブ90の外径や肉厚とは無関係に、常に高い接続強度を得ることができる。
また、接続部材2は、オスコネクタ300とロックパーツ400との2部品のみで構成されるので、部品点数が少なく、低コストである。しかも、ロックパーツ400にオスコネクタ300を挿入するだけで組み立てられるので、組立は極めて容易である。更に、ロックパーツ400はオスコネクタ300が挿入されているので、部品を紛失する可能性は低い。
上記の実施の形態1,2は例示に過ぎず、種々の変更が可能である。
例えば、上記の実施の形態1,2ではオスコネクタ100,300は2つの第1隆起部130a,130bを備え、ロックパーツ200,400は2つの第2隆起部230a,230bを備えていたが、オスコネクタが備える第1隆起部の数、ロックパーツが備える第2隆起部の数はいずれも2つに限定されず、1つ又は3つ以上であっても良い。但し、第1及び第2隆起部の数が多くなると、ロックパーツ200,400の位置を挿入可能位置と拡張位置(第1拡張位置、第2拡張位置)との間で変化させたときのPEGチューブ90の周方向の伸びの変化量が少なくなる。また、第1及び第2隆起部の数が1つだけだと、接続部材が中心軸101,201に対して非対称な形状になるので、高い接続強度を安定して得ることが困難となることがある。従って、第1及び第2隆起部の数は、いずれも2つであることが好ましい。
複数の第1隆起部の中心軸101に対する配置は特に制限はないが、中心軸101に対して等角度間隔に配置されることが好ましい。これにより、オスコネクタ100をPEGチューブ90に挿入したときに、PEGチューブ90を中心軸101に対して対称に伸ばすことができるので、高い接続強度を安定して得られやすくなる。また、PEGチューブ90の周方向の伸び量を増大させることができるので、より高い接続強度を得ることができる。
更に、複数の第2隆起部の中心軸201に対する配置も特に制限はないが、中心軸201に対して等角度間隔に配置されることが好ましい。これにより、ロックパーツを回転させてその位置を挿入可能位置と拡張位置(第1拡張位置、第2拡張位置)との間で変化させたときに、オスコネクタの中心軸101とロックパーツの中心軸201との位置ずれがほとんど発生しないので、PEGチューブ90を周方向にバランス良く伸ばすことができ、高い接続強度を常に安定して得ることができる。
第1隆起部の数と第2隆起部の数は同じであっても異なっていても良い。しかしながら、同数であると、ロックパーツの位置を挿入可能位置と拡張位置(第1拡張位置、第2拡張位置)との間で変化させたときのPEGチューブ90の周方向の伸びの変化量を大きくすることができるので好ましい。
中心軸101,201と平行な方向に沿って見た第1隆起部及び第2隆起部の形状は、上記の実施の形態1,2では略円弧形状であったが、本発明はこれに限定されない。中心軸101,201からの距離が増大するように盛り上がっていれば、PEGチューブ90を周方向に伸ばすことができるので、本発明の効果を得ることができる。例えば、楕円の一部、三角形、台形等であってもよい。但し、第1隆起部及び第2隆起部がPEGチューブ90を傷付けるのを防止するために、第1隆起部及び第2隆起部の外周端縁は面取りされていたり、円弧形状が設けられていたりすることが好ましい。
上記の実施の形態1,2では、ロックパーツの下側の、第2隆起部230a,230b以外の部分には切り欠き235a,235bが形成されていた。しかしながら、本発明では、切り欠きを省略し、第2隆起部が設けられていない部分に周方向に連続する円筒壁を設けてもよい。この円筒壁を実施の形態1のロックパーツ200に設けると、ロックパーツ200は、第2拡張位置に移動することはできないが、挿入可能位置から第1拡張位置に移動することは可能であるから、高い接続強度を得ることが可能である。
上記の実施の形態1,2では、本発明の接続部材を経腸栄養投与セットを構成するチューブの下流側端に設ける例を示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、ラインを延長するために、経腸栄養投与セットと経腸栄養カテーテルとの間に接続して使用される経腸栄養延長チューブを構成する可撓性を有する中空のチューブの下流側端に設けることもできる。経腸栄養延長チューブの構成は、特に制限はなく、例えばJIS T3264で規定された経腸栄養延長チューブや、これ以外の公知の経腸栄養延長チューブのいずれであってもよい。接続部材と経腸栄養延長チューブとの接続は、上記の実施の形態1,2と同様に、経腸栄養延長チューブを構成するチューブの下流側端を、オスコネクタ100の貫通穴102に基端部104側から挿入し、融着などの方法によりオスコネクタ100と一体化することで行うことができる。更に、経腸栄養投与セットや経腸栄養延長チューブ以外の中空のチューブの一端に本発明の接続部材を取り付けることもできる。
上記の実施の形態1,2では、本発明の接続部材をPEGチューブと接続する場合を例に説明したが、本発明の接続部材は、PEGチューブ以外の経鼻チューブやPTEGチューブなどの経腸栄養療法に用いられる各種チューブ(経腸栄養カテーテル)や、経腸栄養療法以外に用いられる医療用チューブ、更には医療用以外の用途に用いられるチューブに適用することが可能である。