一般に、オス型コネクタの管状部は実質的に剛体と見なすことができる硬い材料からなる。一方、オス型コネクタの管状部が挿入されるメス型コネクタの部分は、弾性的に変形可能な可撓性及び柔軟性を有する材料からなる。形状や寸法が異なるオス型コネクタの各種の管状部に対して、引っ張り特性及び耐圧特性を満足してオス型コネクタを接続するためには、メス型コネクタの内径を小さくすればよい。
しかしながら、メス型コネクタの内径を単純に小さくしただけでは、オス型コネクタの管状部を挿入する際にメス型コネクタを大きく拡径させる必要があるので、挿入に大きな力が必要となり、挿入容易性が低下してしまう。
そこで、本発明者らは、多くのオス型コネクタの管状部の外周面には、周方向に連続した凹状の溝、凸状のリブ、または段差が形成されていることに着目した。オス型コネクタの外周面に形成された溝、リブ、または段差に嵌合又は係合するように、メス型コネクタの内周面に凸状のリブを形成すれば、引っ張り特性を向上させることができる。
また、メス型コネクタの内周面のリブをオス型コネクタの管状部に局所的に密着させれば、当該密着領域でメス型コネクタとオス型コネクタとの密着圧力を大きくすることができるので、耐圧特性を向上させることができる。
しかも、メス型コネクタの内径を小さくすることに比べれば、メス型コネクタの内周面にリブを形成することによるオス型コネクタの挿入容易性の低下は無視できるほどに小さい。そして、メス型コネクタの内周面の形状を工夫すれば、挿入容易性を向上させることができる。
以上の見地から本発明者らは本発明を完成した。即ち、本発明のメス型コネクタの内周面は、内径が順に小さくなる第1領域、第2領域、及び、第3領域を、オス型コネクタの管状部が挿入される先端から基端部に向かってこの順に備える。前記第1領域は、前記基端部に近づくしたがって内径が小さくなるテーパ面である。前記第1領域に、周方向に連続した第1リブが形成されている。前記第1領域と前記第2領域との間に、周方向に連続した第2リブが形成されている。
前記第2領域は、前記基端部に近づくしたがって内径が小さくなるテーパ面であることが好ましい。これにより、耐圧特性及び挿入容易性が更に向上する。
上記において、前記第2領域の前記テーパ面のテーパ角度は、前記第1領域の前記テーパ面のテーパ角度よりも大きいことが好ましい。これにより、耐圧特性及び挿入容易性が更に向上する。
前記第3領域は、前記基端部に近づくしたがって内径が小さくなるテーパ面であることが好ましい。これにより、耐圧特性及び挿入容易性が更に向上する。
前記メス型コネクタの中心軸を含む面に沿った前記第1リブの断面形状は、前記先端側の第1傾斜面と前記基端部側の第2傾斜面とを有することが好ましい。この場合、前記第1傾斜面の第1傾斜角度θ1aは、前記第2傾斜面の第2傾斜角度θ1bよりも小さいことが好ましい。これにより、挿入容易性及び引っ張り特性が更に向上する。
前記メス型コネクタの中心軸を含む面に沿った前記第1リブの断面形状は三角形状を有することが好ましい。この場合、前記三角形状の底辺の長さL1に対する高さH1の比H1/L1は、1未満であることが好ましい。これにより、引っ張り特性が更に向上する。
前記メス型コネクタの中心軸を含む面に沿った前記第2リブの断面形状は、前記先端側の第1傾斜面と前記基端部側の第2傾斜面とを有することが好ましい。この場合、前記第2傾斜面の第1傾斜角度θ2aは、前記第2傾斜面の第2傾斜角度θ2bよりも小さいことが好ましい。これにより、挿入容易性及び引っ張り特性が更に向上する。
前記メス型コネクタの中心軸を含む面に沿った前記第2リブの断面形状は三角形状を有することが好ましい。この場合、前記三角形状の底辺の長さL2に対する高さH2の比H2/L2は、1未満であることが好ましい。これにより、引っ張り特性が更に向上する。
前記第2領域の内周面に、周方向に連続した複数の凸条が、前記メス型コネクタの中心軸方向に一定ピッチで配置されていることが好ましい。これにより、引っ張り特性が向上する。
前記先端側の外周面に、外方向に突出したフランジ部が形成されていることが好ましい。これにより、挿入容易性が向上する。また、メス型コネクタをハンドルに挿入して保持することが可能となり、この場合には、挿入容易性が更に向上する。
以下に、本発明を好適な実施形態を示しながら詳細に説明する。但し、本発明は以下の実施形態に限定されないことはいうまでもない。以下の説明において参照する各図は、説明の便宜上、本発明の実施形態の構成部材のうち、本発明を説明するために必要な主要部材のみを簡略化して示したものである。従って、本発明は以下の各図に示されていない任意の部材を備え得る。また、以下の各図中の寸法は、実際の寸法および寸法比率等を忠実に表したものではない。
図1Aは本発明の一実施形態に係るメス型コネクタ1の概略構成を示した斜視図、図1Bはメス型コネクタ1の中心軸1aに沿ったメス型コネクタ1の断面図である。以下の説明の便宜のため、図1A及び図1Bの紙面の上側(オス型コネクタ側)をメス型コネクタ1の「上」側、図1A及び図1Bの紙面の下側(オス型コネクタとは反対側)をメス型コネクタ1の「下」側と呼ぶ。但し、これらはメス型コネクタ1の実際の使用状態での上下方向を意味するものではない。
メス型コネクタ1は、液状物が流れる流路2がその中心軸1aに沿って形成された、全体として円筒形状を有する。オス型コネクタの管状部は、メス型コネクタ1の先端(図1A及び図1Bの上側端)3の開口から挿入される。メス型コネクタ1の先端3とは反対側(下側)の部分は、栄養セットの柔軟性を有するチューブ9(後述する図4A及び図4Bを参照)が挿入され固定される基端部4である。
メス型コネクタ1は、可撓性及び弾性を有する材料からなり、特に制限はないが、例えば、PBD(ポリブタジエン)、PVC(ポリ塩化ビニル樹脂)、ABS(アクリル−ブタジエン−スチレン共重合体)、ポリアミド樹脂、EVA(エチレン−酢酸ビニル共重合体)等の熱可塑性樹脂、ポリウレタン樹脂、天然ゴム、合成ゴム等を用いて、一体成型により作成することができる。
メス型コネクタ1の内周面は、先端3から基端部4に向かって、第1領域11、第2領域12、第3領域13をこの順に有する。メス型コネクタ1の内径は、第1領域11、第2領域12、第3領域13の順に小さい。メス型コネクタ1の内径をこのように徐々に小さくすることにより、メス型コネクタ1に対するオス型コネクタの管状部の挿入容易性が向上する。また、オス型コネクタの管状部の外周面の形状や寸法が種々に異なっても、いずれかの領域でメス型コネクタ1の内周面と管状部の外周面とを密着させることができるので、オス型コネクタの管状部の仕様にかかわらず、オス型コネクタと接続したときの引っ張り特性及び耐圧特性が向上する。
第1領域11の内周面は、基端部4に近づくにしたがって内径が小さくなるテーパ面である。これにより、オス型コネクタの管状部をメス型コネクタ1に挿入する際に、テーパ面である第1領域11が管状部を案内するので、メス型コネクタ1に挿入された管状部の中心軸をメス型コネクタ1の中心軸1aに容易に一致させることができる。その結果、メス型コネクタ1の内周面と管状部の外周面との密着性が向上するので、オス型コネクタと接続したときの耐圧特性が向上する。また、挿入容易性も向上する。
本実施形態では、第2領域12の内周面及び第3領域13の内周面も、基端部4に近づくにしたがって内径が小さくなるテーパ面である。これにより、第2領域12及び第3領域13に達するほどに長い管状部が挿入されたときに、上記の第1領域11と同様に、テーパ面が管状部を案内するので、管状部の中心軸をメス型コネクタ1の中心軸1aに容易に一致させることができる。その結果、メス型コネクタ1の内周面と管状部の外周面との密着性が向上するので、オス型コネクタと接続したときの耐圧特性が向上する。また、挿入容易性も向上する。
第2領域12のテーパ面のテーパ角度は、第1領域11のテーパ面のテーパ角度よりも大きいことが好ましい。これにより、第2領域12がオス型コネクタの管状部と接触する可能性が高くなるので、耐圧特性及び挿入容易性が向上する。
同様に、第3領域13のテーパ面のテーパ角度は、第2領域12のテーパ面のテーパ角度よりも大きいことが好ましい。これにより、第3領域13がオス型コネクタの管状部と接触する可能性が高くなるので、耐圧特性及び挿入容易性が向上する。
但し、第3領域13の内周面は、中心軸1a方向において内径が一定である円筒面であってもよい。更に、第2領域12の内周面も、中心軸1a方向において内径が一定である円筒面であってもよい。
第1領域11には、第1リブ21及び第1補助リブ26が形成されている。第1リブ21は、先端3側の開口に隣接して、又はその近傍に位置し、第1補助リブ26は、第1リブ21に対して、基端部4側に位置している。更に、第1領域11と第2領域12との境界領域には第2リブ22が形成されている。第1リブ21,第1補助リブ26,第2リブ22は、中心軸1a方向に突出し、且つ、周方向に連続した環状の突起である。第1リブ21,第1補助リブ26,第2リブ22の各頂部(中心軸1aに最も近い部分)での内径は、第1リブ21,第1補助リブ26,第2リブ22の順に小さくなることが好ましい。
メス型コネクタ1にオス型コネクタの管状部を挿入すると、第1リブ21,第1補助リブ26,第2リブ22のうちの少なくとも1つが管状部の外周面に当接し適宜弾性変形して管状部の外周面に局所的に密着する。当該密着領域では、メス型コネクタ1とオス型コネクタの管状部との密着圧力は高い。従って、オス型コネクタと接続したときの耐圧特性が向上する。また、管状部の外周面に周方向に延びた溝、リブ、又は段差等が形成されている場合には、当該溝、リブ、又は段差等と第1リブ21,第1補助リブ26,第2リブ22のうちの少なくとも1つとが嵌合又は係合することにより、引っ張り特性が向上する。
図2Aは、第1リブ21を含む図1Bの部分2Aの拡大断面図である。第1リブ21の中心軸1aを含む面に沿った断面形状は、略三角形状を有している。第1リブ21の先端3側の第1傾斜面21aの第1傾斜角度θ1aは、基端部4側の第2傾斜面21bの第2傾斜角度θ1bよりも小さいことが好ましい。ここで、第1傾斜角度θ1a及び第2傾斜角度θ1bは、第1傾斜面21a及び第2傾斜面21bが中心軸1aと平行な方向に対してなす角度で定義される。第1傾斜角度θ1aを相対的に小さくすることにより、オス型コネクタの管状部の挿入容易性が向上する。また、第2傾斜角度θ1bを相対的に大きくすることにより、オス型コネクタに対する引っ張り特性が向上する。第1リブ21の略三角形の断面形状の底辺の長さL1に対する高さH1の比H1/L1は、1未満であることが好ましく、更には0.7以下であることが好ましい。ここで、「底辺」は、図2Aに示されているように、第1傾斜面21a及び第2傾斜面21bの、互いに接続されていない側の端を結ぶ線分によって定義される。「高さH1」は、第1傾斜面21a及び第2傾斜面21bの接続点から当該底辺までの距離で定義される。比H1/L1が小さいほど、メス型コネクタ1に挿入されたオス型コネクタの管状部に引っ張り力が加わったときに、第1リブ21が変形にしにくくなるので、引っ張り特性が向上する。なお、比H1/L1の下限は、特に制限はないが、0.3以上、更には0.4以上であることが好ましい。比H1/L1がこの下限値より小さくなると、第1リブ21の頂部(中心軸1aに最も近い箇所)の角度(頂角)が大きくなるので、耐圧特性や引っ張り特性が低下する可能性がある。
図示を省略するが、第1補助リブ26も、図2Aに示した第1リブ21と同様の断面形状を有していることが好ましく、その場合には、上述した第1リブ21と同様の効果を奏する。即ち、第1補助リブ26の中心軸1aを含む面に沿った断面形状は、略三角形状を有しており、第1補助リブ26の先端3側の第1傾斜面の第1傾斜角度は、基端部4側の第2傾斜面の第2傾斜角度よりも小さいことが好ましい。ここで、第1傾斜角度及び第2傾斜角度は、第1傾斜面及び第2傾斜面が中心軸1aと平行な方向に対してなす角度で定義される。また、第1補助リブ26の略三角形の断面形状の底辺の長さに対する高さの比は、1未満であることが好ましい。ここで、「底辺」及び「高さ」は、図2Aで説明したのと同様に定義される。
なお、本発明では、第1補助リブ26を省略してもよい。
図2Bは、第2リブ22を含む図1Bの部分2Bの拡大断面図である。第2リブ22の中心軸1aを含む面に沿った断面形状も、略三角形状を有している。第1リブ21と同様に、第2リブ22の先端3側の第1傾斜面22aの第1傾斜角度θ2aは、基端部4側の第2傾斜面22bの第2傾斜角度θ2bよりも小さいことが好ましい。ここで、第1傾斜角度θ2a及び第2傾斜角度θ2bは、第1傾斜面22a及び第2傾斜面22bが中心軸1aと平行な方向に対してなす角度で定義される。第1傾斜角度θ2aを相対的に小さくすることにより、オス型コネクタの管状部の挿入容易性が向上する。また、第2傾斜角度θ2bを相対的に大きくすることにより、オス型コネクタに対する引っ張り特性が向上する。第2リブ22の略三角形の断面形状の底辺の長さL2に対する高さH2の比H2/L2は、1未満であることが好ましく、更には0.6以下であることが好ましい。ここで、「底辺」は、図2Bに示されているように、第1傾斜面22a及び第2傾斜面22bの、互いに接続されていない側の端を結ぶ線分によって定義される。「高さH2」は、第1傾斜面22a及び第2傾斜面22bの接続点から当該底辺までの距離で定義される。比H2/L2が小さいほど、メス型コネクタ1に挿入されたオス型コネクタの管状部に引っ張り力が加わったときに、第2リブ22が変形にしにくくなるので、引っ張り特性が向上する。なお、比H2/L2の下限は、特に制限はないが、0.2以上、更には0.25以上であることが好ましい。比H2/L2がこの下限値より小さくなると、第2リブ22の頂部(中心軸1aに最も近い箇所)の角度(頂角)が大きくなるので、耐圧特性や引っ張り特性が低下する可能性がある。
図2Cは、第2領域12の内周面を含む図1Bの部分2Cの拡大断面図である。図2Cに示されているように、第2領域12の内周面には、複数の凸条27が形成されている。各凸条27は、中心軸1a方向に突出し、且つ、周方向に環状に連続している。凸条27の断面形状は、略円弧形状を有している。複数の凸条27は、同一形状を有し、中心軸1a方向に一定ピッチで配置されている。複数の凸条27は、オス型コネクタの管状部の外周面に形成された、周方向に連続する溝と嵌合することにより、引っ張り特性を向上させる。但し、本発明では、複数の凸条27を省略してもよい。
図1に示されているように、メス型コネクタ1の先端3側の開口端縁の外周面には、外方向に突出したフランジ部5が形成されている。本実施形態では、フランジ部5は、メス型コネクタ1の外周面に周方向に連続しているが、周方向に2以上に分断されていてもよい。また、本実施形態では、フランジ部5はメス型コネクタ1の上端に設けられているが、メス型コネクタ1の上端の近傍、即ち、上端から下方に僅かに離れた位置に設けられていてもよい。フランジ部5は、メス型コネクタ1の先端3を補強し、オス型コネクタの管状部を挿入する際に、先端3が変形するのを防止する。従って、挿入容易性が向上する。また、後述するハンドル50を用いる場合には、ハンドル50を介してメス型コネクタ1を保持することができる。
フランジ部5の基端部4側の面には、周方向に沿った環状の溝6が形成されている。
但し、本発明では溝6を省略してもよい。更に、フランジ部5を省略してもよい。
フランジ部6よりも下側の領域の外周面には、外方向に突出した複数(本実施形態では4本)のリブ7が上下方向に延びている。複数のリブ7は中心軸1aに対して等角度間隔で配置されている。リブ7の頂部でのメス型コネクタ1の外径は、フランジ部5でのメス型コネクタ1の外径より小さい。リブ7の数は4本に限定されず、これより少なくても多くてもよい。但し、本発明ではリブ7を省略してもよい。
メス型コネクタ1の流路2内に、オス型コネクタの管状部が挿入される。このとき、メス型コネクタ1を指で直接把持するのではなく、特許文献1に記載されているように、メス型コネクタ1を保持するハンドルを把持してもよい。図3Aは、本実施形態のメス型コネクタ1に適用可能なハンドル50の一例を示した斜視図、図3Bは図3Aの3B−3B線を含む面に沿ったハンドル50の矢視断面図である。ハンドル50は、メス型コネクタ1が挿入される貫通穴59を取り囲むように周方向に連続した環状形状を有している。
ハンドル50は、メス型コネクタ1よりも硬く且つ高い剛性を有する材料からなり、特に制限はないが、例えば、ポリプロピレン樹脂、ポリカーボネート、ポリアセタール、PVC、PBD等を用いて、一体成型により作成することができる。
ハンドル50の内周面には、メス型コネクタ1のフランジ部5の外径より大きな内径を有する大径部51と、大径部51より下側に、メス型コネクタ1のフランジ部5の外径より小さな内径を有する小径部52とを有する。そして大径部51と小径部52との間に、フランジ保持部53が形成されている。フランジ保持部53は、上側に向いた面を有し、この面上に、上方に向かって突出した凸条54が形成されている。凸状54は、周方向に沿って延びている。本実施形態では、小径部52においてハンドル50の内径は最小となる。
大径部51よりも上側に、一対の鍔部55が形成されている。一対の鍔部55のそれぞれの互いに対向する面には、対向する鍔部55に向かって突出した凸部56が形成されている。凸部55は、鍔部55の上側端縁に沿って周方向に延びている。
図4A及び図4Bに示すように、ハンドル50の貫通穴59内にメス型コネクタ1が挿入される。なお、図4Aの断面及び図4Bの断面は、いずれも中心軸1aを含み、互いに直交している。
メス型コネクタ1のフランジ部5はハンドル50の大径部51内に嵌入される。ハンドル50は、メス型コネクタ1に対して中心軸1a方向に移動可能であり、且つ、メス型コネクタ1の回りに回転可能である。
メス型コネクタ1のフランジ部5の下面は、ハンドル50のフランジ保持部53と当接する。更に、フランジ部5の下面に形成された溝6に、フランジ保持部53の凸状54が嵌入する。このようにしてフランジ部5とフランジ保持部53とが係合すると、メス型コネクタ1はハンドル50に対してこれ以上下方に移動することができない。
メス型コネクタ1の外周面に形成されたリブ7は、ハンドル50の内周面の少なくとも一部(例えば小径部52)と接触していることが好ましい。これにより、メス型コネクタ1とハンドル50との間に発生する静止摩擦力によって、ハンドル50がメス型コネクタ1に保持され、下方に落下するのを防止できる。
図4A及び図4Bに示すようにハンドル50内にメス型コネクタ1を挿入すると、一方の手で、メス型コネクタ1ではなく、ハンドル50を把持し、他方の手でオス型コネクタを把持して、メス型コネクタ1にオス型コネクタの管状部を挿入することができる。
ハンドル50を用いないで、メス型コネクタ1の外周面を直接把持すると、把持力によってメス型コネクタ1が圧縮変形して、その中に挿入される管状部との間の摩擦力が増大するので、管状部の挿入が困難になる場合がある。これに対して、ハンドル50を介してメス型コネクタ1を保持すれば、ハンドル50は実質的に変形せず、手で把持することによるメス型コネクタの変形が小さいので、挿入容易性が向上する。
フランジ部5の溝6にフランジ保持部53の凸状54が嵌入しているので、メス型コネクタ1に管状部を挿入する作業中に加えられる力によってフランジ部5が変形しても、フランジ部5とフランジ保持部53との係合は外れにくい。
フランジ部5はメス型コネクタ1の上端又はその近傍に形成されているので、メス型コネクタ1に管状部を挿入する作業中に加えられる力によってメス型コネクタ1が座屈変形することはない。
凸部56は、オス型コネクタに設けられた係合爪と係合させることができる。これにより、引っ張り特性が向上する。但し、ハンドル50は、凸部56と係合可能な係合爪を有しないオス型コネクタをメス型コネクタ1に接続する場合にも使用可能である。そのようなオス型コネクタに対しては、凸部56は使用されない。
次に、メス型コネクタ1と、現在、医療分野で実際に使用されている代表的ないくつかのオス型コネクタとの接続について説明する。
図5Aは、第1オス型コネクタ110の側面図である。第1オス型コネクタ110は、液状物が流出する貫通穴(図示せず)が長手方向に沿って形成された管状部111を備える。管状部111の外周面には、基端側の第1円筒面111aと、第1円筒面111aより大きな外径を有する先端側の第2円筒面111bとが隣接して形成されている。第1円筒面111aと第2円筒面111bとの間に、両者の外径差に起因する段差112が形成されている。また、第2円筒面111bより先端側には、先端に近づくにしたがって外径が小さくなるテーパ面113が形成されている。
図5Bは、メス型コネクタ1に第1オス型コネクタ110の管状部111を挿入した状態を示した断面図である。
メス型コネクタ1の第1リブ21がわずかに圧縮変形して段差112と係合し且つ密着している。これにより、引っ張り特性及び耐圧特性が向上する。
メス型コネクタ1の第1補助リブ26が第2円筒面111bに当接し、圧縮変形して密着している。更に、メス型コネクタ1の第2リブ22がテーパ面113に当接し、圧縮変形して密着している。これらにより、耐圧特性が向上する。
上述したように、第1領域11、第2領域12、及び、第3領域13の順に内径が小さくなること、第1領域11には、基端部4に近づくにしたがって内径が小さくなるテーパ面が形成されていること、第1リブ21,第1補助リブ26,第2リブ22の先端3側の傾斜面の傾斜角度及び基端部4側の傾斜面の傾斜角度が図2A及び図2Bで説明したように設定されていること等から、メス型コネクタ1に対する第1オス型コネクタ110の管状部111の挿入容易性は良好である。
以上のように、本実施形態のメス型コネクタ1は、第1オス型コネクタ110に対して、引っ張り特性、耐圧特性、挿入容易性を満足しながら接続することができる。
図6Aは、第2オス型コネクタ120の側面図である。第2オス型コネクタ120は、液状物が流出する貫通穴(図示せず)が長手方向に沿って形成された管状部121を備える。管状部121の外周面のうち基端側の領域は円筒面122であり、円筒面122上には雄ネジ123が形成されている。円筒面よりも先端側の領域は、先端に近づくにしたがって外径が小さくなるテーパ面125であり、テーパ面125上には、基端側に3列のリブ126が、先端側に5列の微小溝127が、それぞれ形成されている。リブ126及び微小溝127は、いずれも周方向に連続している。
図6Bは、メス型コネクタ1に第2オス型コネクタ120の管状部121を挿入した状態を示した断面図である。
メス型コネクタ1の第1リブ21がわずかに圧縮変形して雄ネジ123と係合している。これにより、引っ張り特性が向上する。
メス型コネクタ1の第1補助リブ26が円筒面122に当接し、圧縮変形して密着している。更に、メス型コネクタ1の第2リブ22がテーパ面125のリブ126と微小溝177との間の領域に当接し、圧縮変形して密着している。これらにより、耐圧特性が向上する。
メス型コネクタ1の複数の凸状27が微小溝127に嵌合し且つ圧縮変形して密着している。これにより、引っ張り特性及び耐圧特性が向上する。
上述したように、第1領域11、第2領域12、及び、第3領域13の順に内径が小さくなること、第1領域11には、基端部4に近づくにしたがって内径が小さくなるテーパ面が形成されていること、第1リブ21,第1補助リブ26,第2リブ22の先端3側の傾斜面の傾斜角度及び基端部4側の傾斜面の傾斜角度が図2A及び図2Bで説明したように設定されていること等から、メス型コネクタ1に対する第2オス型コネクタ120の管状部121の挿入容易性は良好である。
以上のように、本実施形態のメス型コネクタ1は、第2オス型コネクタ120に対して、引っ張り特性、耐圧特性、挿入容易性を満足しながら接続することができる。
図7Aは、第3オス型コネクタ130の側面図である。第3オス型コネクタ130は、液状物が流出する貫通穴(図示せず)が長手方向に沿って形成された管状部131を備える。管状部131の外周面には、先端に近づくにしたがって外径が小さくなるテーパ面132が形成されている。テーパ面132上には、基端から先端に向かって、第1,第2,及び第3タケノコ状部133a,133b,133cが、互いに離間してこの順に配置されている。第1タケノコ状部133aには、3つの微小テーパ面134aが互いに隣接して配置されている。微小テーパ面134aは、管状部131の先端に近づくにしたがって外径が小さくなるテーパ面であり、そのテーパ角度はテーパ面132のテーパ角度より大きい。従って、各微小テーパ面134aの基端側(最大径側)端には段差135aが形成されている。第1タケノコ状部133aと同様に、第2タケノコ状部133bは3つの微小テーパ面134bとその基端側端の段差135bを含み、第3タケノコ状部133cは3つの微小テーパ面134cとその基端側端の段差135cを含む。
図7Bは、メス型コネクタ1に第3オス型コネクタ130の管状部131を挿入した状態を示した断面図である。
メス型コネクタ1の第1リブ21及び第1補助リブ26が圧縮変形してテーパ面132に密着している。これにより、耐圧特性が向上する。
メス型コネクタ1の第2リブ22がわずかに圧縮変形して第3タケノコ状部133cの段差135cと係合している。これにより、引っ張り特性が向上する。
上述したように、第1領域11、第2領域12、及び、第3領域13の順に内径が小さくなること、第1領域11には、基端部4に近づくにしたがって内径が小さくなるテーパ面が形成されていること、第1リブ21,第1補助リブ26,第2リブ22の先端3側の傾斜面の傾斜角度及び基端部4側の傾斜面の傾斜角度が図2A及び図2Bで説明したように設定されていること等から、メス型コネクタ1に対する第3オス型コネクタ130の管状部131の挿入容易性は良好である。
以上のように、本実施形態のメス型コネクタ1は、第3オス型コネクタ130に対して、引っ張り特性、耐圧特性、挿入容易性を満足しながら接続することができる。
図8Aは、第4オス型コネクタ140の側面図である。第4オス型コネクタ140は、液状物が流出する貫通穴(図示せず)が長手方向に沿って形成された管状部141を備える。管状部141の外周面には、基端側に、相対的に大きな外径を有する円筒面である大径部142を備え、先端側に、相対的に小さな外径を有する円筒面である小径部143を備え、更に、大径部142と小径部143との間に、両者をつなぐ略テーパ面である遷移部144を備える。大径部142には、周方向に連続する凸条と凹条とが交互に一定ピッチで配置された凹凸面145が形成されている。
図8Bは、メス型コネクタ1に第4オス型コネクタ140の管状部141を挿入した状態を示した断面図である。
メス型コネクタ1の第1リブ21及び第1補助リブ26が圧縮変形して凹凸面145と係合し且つ密着している。これにより、引っ張り特性及び耐圧特性が向上する。
メス型コネクタ1の第2リブ22が遷移部144に圧縮変形して密着している。これにより、耐圧特性が向上する。
上述したように、第1領域11、第2領域12、及び、第3領域13の順に内径が小さくなること、第1領域11には、基端部4に近づくにしたがって内径が小さくなるテーパ面が形成されていること、第1リブ21,第1補助リブ26,第2リブ22の先端3側の傾斜面の傾斜角度及び基端部4側の傾斜面の傾斜角度が図2A及び図2Bで説明したように設定されていること等から、メス型コネクタ1に対する第4オス型コネクタ140の管状部141の挿入容易性は良好である。
以上のように、本実施形態のメス型コネクタ1は、第4オス型コネクタ140に対して、引っ張り特性、耐圧特性、挿入容易性を満足しながら接続することができる。
上述したように、本発明のメス型コネクタ1は、その内周面の形状が最適化されているので、複数種類のオス型コネクタに対して、引っ張り特性、耐圧特性、挿入容易性を満足しながら接続することができる。
上記の説明では、メス型コネクタ1を4種類のオス型コネクタと接続した場合を説明したが、本発明のメス型コネクタ1はこれら以外のオス型コネクタに対しても引っ張り特性、耐圧特性、挿入容易性を満足しながら接続することが可能である。
上記の実施形態は例示に過ぎない。本発明は、上記の実施形態に限定されず、様々に変更することができる。
第1リブ21、第1補助リブ26、第2リブ22の断面形状や中心軸1a方向の位置、第1領域11、第2領域12、第3領域13の中心軸1a方向の位置や中心軸1a方向の寸法、中心軸1a方向の各位置でのメス型コネクタ1の内径等を適宜変更することにより、オス型コネクタの管状部との接触状態を上述した図5〜図8とは異ならせることが可能であり、そのような場合には、上述した図5〜図8とは異なる箇所で引っ張り特性や耐圧特性を向上させることができる。
本発明のメス型コネクタの内周面に、周方向に連続する凸状のリブや、周方向に連続する凹状の溝などが更に形成されていてもよい。
ハンドル50の構成は任意である。例えば、鍔部55や凸部56を省略してもよい。また、本発明のメス型コネクタを、ハンドル50を使用せずに、オス型コネクタと接続することもできる。
本発明のメス型コネクタは、医療分野で使用される栄養セットまたは輸液セットの上流側端に設けられるメス型コネクタ以外の、液状物が流れる流路上の任意の位置で使用されるメス型コネクタであってもよい。