JP6086266B2 - オス型コネクタ - Google Patents

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Description

本発明は、メス型コネクタに挿入される管状部を備えたオス型コネクタに関する。
経口によらずに患者に栄養や薬剤を投与する方法として経腸栄養療法や静脈栄養療法が知られている。経腸栄養療法では、患者の鼻腔から胃又は十二指腸にまで通された経鼻チューブ又は患者の腹に形成された胃ろうに挿入されたPEG(Percutaneous Endoscopic Gastrostomy)チューブを介して栄養剤、流動食、又は薬剤などの液状物(一般に「経腸栄養剤」と呼ばれる)が投与される。また、静脈栄養療法では、患者の静脈に挿入された輸液ラインを介してブドウ糖などの栄養成分や薬剤成分を含む液状物(一般に「輸液」と呼ばれる)が投与される。
経腸栄養療法や静脈栄養療法においては、患者に投与される液状物は、医療用容器に収納される。医療用容器の下端には、液状物が流出するオス型コネクタが設けられている。医療用容器のオス型コネクタと、患者に接続された経鼻チューブ、PEGチューブ、又は輸液ライン等とは栄養セット(輸液セットと呼ばれることもある)で接続される。栄養セットは柔軟性を有するチューブ等を含み、その上流側端にはメス型コネクタが設けられている。オス型コネクタの管状部をメス型コネクタに挿入することで、医療用容器と栄養セットとを接続することができる。
オス型コネクタ及びメス型コネクタに関しては標準となる規格が存在せず、オス型コネクタの管状部や、管状部が挿入されるメス型コネクタの内周面に関して、その形状や寸法が異なる各種のオス型コネクタ及びメス型コネクタが存在し現実に使用されている。従って、例えば製造業者又は販売業者が異なるオス型コネクタとメス型コネクタとを接続することが困難である場合がある。
特許文献1には、複数種類のオス型コネクタに接続可能なメス型コネクタが記載されている。
特開2002−200145号公報
しかしながら、特許文献1には、複数種類のメス型コネクタに接続可能なオス型コネクタについては記載されていない。
オス型コネクタとメス型コネクタとの接続に関しては、接続されたオス型コネクタとメス型コネクタとが引っ張り力を加えても分離しないという「引っ張り特性」や、液状物に圧力を加えてもオス型コネクタとメス型コネクタとの接続部分から液状物が漏れ出さないという「耐圧特性」などの基本特性を備えていることが望まれる。これらの基本特性に加えて、メス型コネクタにオス型コネクタを容易に挿入することができるという「挿入容易性」を備えていることが望まれる。
本発明は、複数種類のメス型コネクタに対して、引っ張り特性、耐圧特性、挿入容易性を満足しながら接続することができるオス型コネクタを提供することを目的とする。
本発明のオス型コネクタは、メス型コネクタに挿入される管状部を備えたオス型コネクタであって、前記管状部の外周面には、前記管状部の先端側ほど外径が小さくなるただ一つのテーパ面が、前記先端から基端に向かって所定領域内に形成されており、更に、前記ただ一つのテーパ面には、周方向に連続する少なくとも1つの凸条と、複数の凹条であって、前記複数の凹条のそれぞれは周方向に連続している複数の凹条とが互いに離間して形成されていることを特徴とする。
管状部の外周面にテーパ面が形成されているので、管状部をメス型コネクタに挿入することにより、メス型コネクタを周方向に弾性的に伸び変形させて、管状部とメス型コネクタの内周面とを密着させることができる。
管状部の外周面に、少なくとも1つの凸条及び少なくとも1つの凹条が形成されているので、これら凸条及び凹条のうちの少なくとも1つをメス型コネクタの内周面に形成された溝又はリブと嵌合させることができる。あるいは、少なくとも1つの凸条をメス型コネクタの内周面に食い込むように局所的に密着させることができる。
以上の結果、複数種類のメス型コネクタに対して、引っ張り特性、耐圧特性、挿入容易性を満足しながら接続することができるオス型コネクタを実現できる。
図1は、本発明の実施形態1に係るオス型コネクタの概略構成を示した斜視図である。 図2Aは図1に示したオス型コネクタの側面図、図2Bは中心軸に沿ったその断面図である。 図3Aは図2Bの部分3Aの拡大断面図、図3Bは図2Bの部分3Bの拡大断面図である。 図4は、図1に示したオス型コネクタとこれが取り付けられる医療用容器の分解図である。 図5は、接続する前の、図1に示したオス型コネクタ及び第1メス型コネクタの斜視図である。 図6は、図5に示した第1メス型コネクタの断面図である。 図7Aは接続された図1に示したオス型コネクタ及び第1メス型コネクタの側面図、図7Bは図7Aの7B−7B線を含む面に沿った矢視断面図である。 図8は、第2メス型コネクタの断面図である。 図9Aは接続された図1に示したオス型コネクタ及び第2メス型コネクタの側面図、図9Bは図9Aの9B−9B線を含む面に沿った矢視断面図である。 図10Aは、本発明の実施形態2に係るオス型コネクタの側面図、図10Bは中心軸に沿ったその断面図である。 図11は、本発明の別のオス型コネクタが取り付けられた医療用容器の正面図である。
一般に、オス型コネクタの管状部は実質的に剛体と見なすことができる硬い材料からなる。一方、オス型コネクタの管状部が挿入されるメス型コネクタの部分は、弾性的に伸び変形可能な可撓性及び柔軟性を有する材料からなる。オス型コネクタの管状部が挿入される部分の内周面の形状や寸法が異なる種々のメス型コネクタに対して、引っ張り特性及び耐圧特性を満足してオス型コネクタを接続するためには、オス型コネクタの管状部の外径を大きくすればよい。
しかしながら、管状部の外径を大きくすると、管状部を挿入する際にメス型コネクタを大きく拡径させる必要があるので、挿入に大きな力が必要となり、挿入容易性が低下してしまう。
そこで、本発明者らは、多くのメス型コネクタの内周面には、周方向に連続した凹状の溝又は凸状のリブが形成されていることに着目した。そして、メス型コネクタの内周面に形成された溝又はリブに嵌合又は係合するように、オス型コネクタの管状部の外周面に凸条及び凹条を形成すれば、管状部の外径を大きくすることなく、所望する引っ張り特性及び耐圧特性が得られることを見出した。また、管状部の外径を大きくすることに比べれば、管状部の外周面に凸条及び凹条を形成することによる挿入容易性の低下は無視できるほどに小さいことを見出した。
即ち、本発明のオス型コネクタでは、メス型コネクタに挿入される管状部の外周面には、管状部の先端側ほど外径が小さくなるテーパ面と、周方向に連続する少なくとも1つの凸条と、周方向に連続する少なくとも1つの凹条とが形成されている。
上記の本発明のオス型コネクタにおいて、前記少なくとも1つの凹条は、前記テーパ面上に形成されていることが好ましい。これにより、テーパ面をメス型コネクタの内周面に密着させながら、当該内周面に形成されたリブと凹条とを嵌合させることができる。その結果、引っ張り特性及び耐圧特性が更に向上する。
前記少なくとも1つの凸条は、前記少なくとも1つの凹条に対して前記基端側に配置されていることが好ましい。これにより、管状部の凹条とメス型コネクタのリブとをより深く嵌合させることができる。その結果、引っ張り特性及び耐圧特性が更に向上する。
前記凹条が複数設けられていることが好ましい。これにより、より多くの凹条をメス型コネクタのリブと嵌合させることができる。その結果、引っ張り特性及び耐圧特性が更に向上する。
この場合において、隣り合う凹条間に前記凸条は存在しないことが好ましい。これにより、管状部の凹条とメス型コネクタのリブとをより深く嵌合させることができる。その結果、引っ張り特性及び耐圧特性が更に向上する。
3つ以上の前記凹条が等間隔で配置されていることが好ましい。これにより、管状部の凹条とメス型コネクタのリブとが嵌合する可能性を高めることができる。
前記凸条の数が1つであってもよい。この場合には、管状部とメス型コネクタの内周面との密着性を向上させることができる。
あるいは、前記凸条の数が2つ以上であってもよい。この場合には、メス型コネクタの内周面との密着性を凸条部分で局所的に向上させることができる。
前記テーパ面の最大径箇所に前記凸条が設けられていることが好ましい。これにより、凸条の数を少なくしても、所望する引っ張り特性及び耐圧特性を得ることができる。
前記凸条の外表面は、その頂部に対して前記先端側の領域よりも前記基端側の領域において、より大きく傾斜していることが好ましい。これにより、オス型コネクタとメス型コネクタとの間に引っ張り力が作用したとき、凸条がメス型コネクタに食い込むので、引っ張り特性及び耐圧特性が更に向上する。
以下に、本発明を好適な実施形態を示しながら詳細に説明する。但し、本発明は以下の実施形態に限定されないことはいうまでもない。以下の説明において参照する各図は、説明の便宜上、本発明の実施形態の構成部材のうち、本発明を説明するために必要な主要部材のみを簡略化して示したものである。従って、本発明は以下の各図に示されていない任意の部材を備え得る。また、以下の各図中の寸法は、実際の寸法および寸法比率等を忠実に表したものではない。
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係るオス型コネクタ1Aの概略構成を示した斜視図である。図2Aはオス型コネクタ1Aの側面図、図2Bは中心軸1aに沿ったその断面図である。
オス型コネクタ1Aは、キャップ10と、メス型コネクタに挿入される管状部20とを備える。図2Bに示した一点鎖線は、オス型コネクタ1Aの中心軸1aである。
キャップ10は、略円筒形状の周囲壁11と、周囲壁11の一端に設けられた底板15とを備える。周囲壁11の内周面には、中心軸1aと同軸の雌ネジ12が形成されている。
円板状の底板15の中央の円形領域が、その周囲の円環状の領域に比べて隆起して台座部16が形成されている。台座部16の外周面は略円筒面であり、その外周面上に一対の係止爪17が中心軸1aに対して放射方向に突出している。
台座部16の中央に、管状部20が中心軸1aに沿って立設されている。管状部20には、液状物を流すための貫通穴29が、その長手方向に沿って形成されている。
管状部20の台座16側の端部を基端20bと呼び、これとは反対側の端部を先端20tと呼ぶ。
管状部20の外周面の形状は、先端20tから基端20bに向かって所定の領域では、先端20tに近づくほど外径が小さくなるテーパ面27であり、テーパ面27よりも基端20b側の領域では円筒面28である。円筒面28の外径は、テーパ面27の最大径と一致する。テーパ面27及び円筒面28の各中心軸は中心軸1aと一致する。
テーパ面27と円筒面28との境界に、凸条25が形成されている。凸条25は、管状部20の周方向に連続した突起(即ち、リブ)である。
図3Aは、図2Bの凸条25を含む部分3Aの中心軸1aを含む面に沿った拡大断面図である。凸条25の外表面は、その頂部(最大径をなす部分)25tに対して先端20t側の領域よりも基端20b側の領域において、より大きく傾斜している。本実施形態では、頂部25tに対して先端20t側のテーパ面25aのテーパ角度θaよりも基端20b側のテーパ面25bのテーパ角度θbの方が遙かに大きい。なお、基端20b側の領域は、テーパ面25bに代えて、中心軸1aに垂直な面(即ち、θb=90度)であってもよい。あるいは、θb>90度であってもよい。
更に、テーパ面27上には、第1凹条21、第2凹条22、第3凹条23が、基端20bから先端20tへこの順に、互いに離間して形成されている。第1凹条21、第2凹条22、第3凹条23は、管状部20の周方向に連続した凹み(即ち、溝)である。
図3Bは、図2Bの第1凹条21を含む部分3Bの中心軸1aを含む面に沿った拡大断面図である。図示されているように、本実施形態の第1凹条21の外表面は、略V字状の断面を有している。但し、本発明はこれに限定されず、略U字状、略円弧状、四角形状などの任意の断面形状を有していてもよい。第2凹条22及び第3凹条23の断面形状は、第1凹条21の断面形状と同一(又は相似)であってもよいし、異なっていてもよい。また、第1凹条21、第2凹条22、第3凹条23の寸法(中心軸1a方向の幅、中心軸1aと直交する方向の深さ)は同一であってもよいし、異なっていてもよい。第1凹条21、第2凹条22、第3凹条23の断面形状や寸法は、オス型コネクタ1Aを接続する可能性があるメス型コネクタの内周面に形成されたリブ(後述する第1リブ61、第2リブ62、第3リブ63)の形状及び寸法を考慮して設定されることが好ましい。
オス型コネクタ1Aは、特に制限はないが、例えばポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ABS(アクリル−ブタジエン−スチレン共重合体)等の、メス型コネクタに比べて相対的に硬い樹脂材料を用いて、射出成形法等により一体的に作成することができる。
図4は、図1に示したオス型コネクタ1Aとこれが取り付けられる医療用容器100の分解図である。
医療用容器100は、液状物が収納されるパウチ101と、パウチ101内に液状物を注入し、又はパウチ101内に収納された液状物を取り出すためのポート110とを備えている。
パウチ101は、柔軟な同一寸法の2枚のシートを重ね合わせて、その周縁のシール領域102にてヒートシール等の方法により接合してなる袋状物である。シートとしては、例えば、異種のプラスチック材料からなるシートを2層以上積層した複合材料を用いることができる。なお、パウチ101の構成は図4に限定されず、種々に変更可能である。
ポート110は、液状物が通過するための貫通穴115が形成された円筒部111と、円筒部111の一端側の外周面上に設けられた接合部112と、円筒部111の他端側の外周面上に形成された雄ネジ113とを備えている。ポート110は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、エチレン酢酸ビニルコポリマー、熱可塑性エラストマー、ABS(アクリル−ブタジエン−スチレン共重合体)、ポリアセタール等のパウチ101に比べて相対的に硬い材料からなり、例えば射出成型にて一体に製造することができる。接合部112は底面が略菱形である四角柱形状を有し、パウチ101を構成する2枚のシートの周縁間に挟んでヒートシールされている。これにより、ポート110はパウチ101と接合され一体化されている。
ポート110の雄ネジ113に、オス型コネクタ1Aのキャップ10の内周面に形成された雌ネジ12を螺合させることにより、オス型コネクタ1Aをポート110に接続することができる。その結果、オス型コネクタ1Aの貫通穴29はポート110の貫通穴115を介してパウチ101の内部と連通する。
次に、オス型コネクタ1Aとメス型コネクタとの接続について説明する。
図5は、接続する前の、オス型コネクタ1A及び第1メス型コネクタ50Aの斜視図である。実際には、オス型コネクタ1Aは、医療用容器100のポート110に接続されているが、図5では、図面を簡単化するために、ポート110を含む医療用容器100の図示を省略している。第1メス型コネクタ50Aは、医療用途に現実に使用されているメス型コネクタの一つである。図6は第1メス型コネクタ50Aの断面図である。
第1メス型コネクタ50Aは、可撓性及び弾性を有しており、例えば、PBD(ポリブタジエン)、PVC(ポリ塩化ビニル樹脂)、ABS(アクリル−ブタジエン−スチレン共重合体)、ポリアミド樹脂、EVA(エチレン−酢酸ビニル共重合体)等の熱可塑性樹脂、ポリウレタン樹脂、天然ゴム、合成ゴム等を用いて一体成型により作成されている。
第1メス型コネクタ50Aは、全体として中空の筒形状を有し、その一方の側に、オス型コネクタ1Aの管状部20が挿入される挿入部51を備え、他方の側に基端部58を備える。第1メス型コネクタ50Aの、オス型コネクタ1Aが挿入される側の端を、挿入側端52と呼ぶ。挿入部51の挿入側端52の外周面上には、外方向に突出した環状のフランジ53が形成されている。基端部58には、柔軟なチューブ59が接続されている。第1メス型コネクタ50A及びチューブ59は、医療用容器100(図4参照)と患者とを繋ぐ栄養セットの一部であってもよい。
図6に示されているように、挿入部51の内周面は、挿入側端52に近づくにしたがって内径が大きくなるテーパ面60である。テーパ面60には、第1リブ61、第2リブ62、第3リブ63が、挿入側端52から基端部58へこの順に、互いに離間して形成されている。第1リブ61、第2リブ62、第3リブ63は、挿入部51の周方向に連続した突起(凸条)である。第1リブ61、第2リブ62、第3リブ63は、一定ピッチで配置されている。
図5に示すように、オス型コネクタ1Aと第1メス型コネクタ50Aとを対向させて、オス型コネクタ1Aの管状部20を第1メス型コネクタ50Aの挿入部51内に挿入する。第1メス型コネクタ50Aの挿入側端52にフランジ53が形成されているので、管状部20を挿入する際に、挿入側端52が座屈変形しにくい。
管状部20が挿入部51内に侵入するにしたがって、管状部20のテーパ面27は挿入部51を周方向に弾性的に伸び変形させ、管状部20の外周面と挿入部51の内周面とが密着する。挿入部51の伸び変形量が大きくなるにしたがって、管状部20の外周面と挿入部51の内周面との摩擦力が大きくなり、管状部20を挿入部51に挿入するのにより大きな力が必要となる。
図7Aは接続されたオス型コネクタ1A及び第1メス型コネクタ50Aの側面図、図7Bは図7Aの7B−7B線を含む面に沿った矢視断面図である。図7Bに示されているように、管状部20の外周面に形成された第1凹条21、第2凹条22、第3凹条23に、挿入部51の内周面に形成された第1リブ61、第2リブ62、第3リブ63が、それぞれ嵌入している。
この状態で、オス型コネクタ1A及び第1メス型コネクタ50Aに、両者が分離する方向の引っ張り力を加えると、当該引っ張り力は挿入部51を縮径させるように作用し、第1〜第3凹条21,22,23と第1〜第3リブ61,62,63とが更に深く嵌合する。従って、オス型コネクタ1Aは、第1メス型コネクタ50Aに対して良好な引っ張り特性を有する。また、第1〜第3凹条21,22,23と第1〜第3リブ61,62,63とが嵌合しているので、これらの嵌合がない場合に比べて、耐圧特性も向上する。また、引っ張り特性及び耐圧特性を得るために、管状部20を太くして挿入部51を大きく伸び変形させる必要がないので、挿入容易性も良好である。
更に、図7Bに示されているように、管状部20の外周面に形成された凸条25が、挿入部51の内周面を局所的に弾性変形させている。オス型コネクタ1A及び第1メス型コネクタ50Aに、両者が分離する方向の引っ張り力を加えると、凸条25が挿入部51の内周面に食い込む。従って、凸条25は、引っ張り特性及び耐圧特性を向上させる。
上記の例では、オス型コネクタ1Aの第1凹条21、第2凹条22、第3凹条23のピッチが、メス型コネクタ50Aの第1リブ61、第2リブ62、第3リブ63のピッチと一致する場合を説明したが、両者が一致していない場合であっても、第1凹条21、第2凹条22、第3凹条23のうちの少なくとも1つと、第1リブ61、第2リブ62、第3リブ63のうちの少なくとも1つとを嵌合させることができるので、上記の例と同様の効果を得ることができる。
また、管状部20の外径及び挿入部51の内径によっては、上記の例のように管状部20を挿入部51に深く挿入することができず、凸条25が挿入部51の内周面で覆われない場合があるかもしれない。そのような場合であっても、第1凹条21、第2凹条22、第3凹条23のうちの少なくとも1つと、第1リブ61、第2リブ62、第3リブ63のうちの少なくとも1つとを嵌合させることができるので、上記の例と同様の効果を得ることができる。
図8は、図5及び図6に示した第1メス型コネクタ50Aとは別の第2メス型コネクタ50Bの断面図である。図8では、図6に示した要素に対応する要素には同じ符号を付しており、それらについての詳細な説明を省略する。
第2メス型コネクタ50Bは、第1メス型コネクタ50Aと、基本的構成に関しては同じであるが、以下の点で異なる。第1に、第2メス型コネクタ50Bの挿入部51の内径は、第1メス型コネクタ50Aのそれに比べてわずかに大きい。第2に、第2メス型コネクタ50Bでは、その挿入部51の内周面に形成されたテーパ面60に、第1溝71、第2溝72、第3溝73が、挿入側端52から基端部58へこの順に、互いに離間して形成されている。第1溝71、第2溝72、第3溝73は、挿入部51の周方向に連続した凹み(凹条)である。第1溝71、第2溝72、第3溝73は、一定ピッチで配置されている。
オス型コネクタ1Aと第2メス型コネクタ50Bとの接続は、第1メス型コネクタ50Aの場合と同様にして行うことができる。即ち、オス型コネクタ1Aの管状部20を第2メス型コネクタ50Bの挿入部51内に挿入する。管状部20が挿入部51内に侵入するにしたがって、管状部20のテーパ面27は挿入部51を周方向に弾性的に伸び変形させ、管状部20の外周面と挿入部51の内周面とが密着する。第2メス型コネクタ50Bの内径は、第1メス型コネクタ50Aの内径よりも大きいので、管状部20は第2メス型コネクタ50B内により深く挿入できる。
図9Aは接続されたオス型コネクタ1A及び第2メス型コネクタ50Bの側面図、図9Bは図9Aの9B−9B線を含む面に沿った矢視断面図である。図9Bに示されているように、管状部20の外周面に形成された凸条25が、挿入部51の内周面に形成された第1溝71に嵌入している。
この状態で、オス型コネクタ1A及び第2メス型コネクタ50Bに、両者が分離する方向の引っ張り力を加えると、当該引っ張り力は挿入部51を縮径させるように作用し、凸条25と第1溝71とが更に深く嵌合し、且つ、凸条25が第1溝71の表面に食い込む。従って、オス型コネクタ1Aは、第2メス型コネクタ50Bに対して良好な引っ張り特性を有する。また、凸条25と第1溝71とが嵌合しているので、この嵌合がない場合に比べて、耐圧特性も向上する。また、引っ張り特性及び耐圧特性を得るために、管状部20を太くして挿入部51を大きく伸び変形させる必要がないので、挿入容易性も良好である。
凸条25が、その外表面が先端20tよりも基端20b側でより大きく傾斜した形状を有しているので(図3A参照)、オス型コネクタ1A及び第2メス型コネクタ50Bに、両者が分離する方向の引っ張り力を加えると、凸条25が挿入部51の第1溝71に食い込むように凸条25と第1溝71とが係合する。従って、本実施形態の凸条25の形状は引っ張り特性を向上させることができる。
上記の例では、オス型コネクタ1Aの凸条25と第2メス型コネクタ50Bの第1溝71とが嵌合する場合を説明したが、凸条25や第1溝71、第2溝72、第3溝73の位置によっては、凸条25が第2溝72又は第3溝73に嵌合してもよく、その場合も上記の例と同様の効果を得ることができる。
上記の実施形態では、オス型コネクタ1Aを、2種類のメス型コネクタ50A,50Bに接続する例を示したが、オス型コネクタ1Aをこれら以外のメス型コネクタに接続することも可能である。現在、実際に使用されているメス型コネクタの多くは、オス型コネクタ1Aの管状部20が挿入される部分(挿入部51)は柔軟な材料からなり、その内周面には、周方向に連続したリブ又は溝が少なくとも1つ以上形成されている。従って、オス型コネクタ1Aの管状部20を挿入したとき、管状部20をメス型コネクタの内周面と密着させることができ(好ましくは、メス型コネクタを周方向に弾性的に伸び変形させることができ)、且つ、管状部20の外周面に形成された凹条及び凸条とメス型コネクタのリブ及び溝とを1組以上嵌合させることができれば、上記の実施形態と同様の効果が得られる。従って、本発明のオス型コネクタ1Aは、引っ張り特性、耐圧特性、挿入容易性を満足しながら、各種のメス型コネクタと接続することができる。
オス型コネクタ1Aの管状部20の凹条及び凸条とメス型コネクタのリブ及び溝との嵌合は、メス型コネクタの外側から視認することが困難である場合がある。そのような場合であっても、メス型コネクタの挿入部51に管状部20を挿入する過程で、押し込み力の変化から嵌合を認識することができる場合がある。あるいは、メス型コネクタの挿入部51に管状部20を可能な限り深く挿入した後、オス型コネクタ及びメス型コネクタに、両者が分離する方向の引っ張り力を加えて、管状部20とメス型コネクタとを位置ズレさせることにより、オス型コネクタ1Aの凹条及び凸条とメス型コネクタのリブ及び溝とを嵌合させることができる。
(実施形態2)
図10Aは、本発明の実施形態2に係るオス型コネクタ1Bの側面図、図10Bは中心軸に沿ったその断面図である。これらの図において、実施形態1のオス型コネクタ1Aと同じ要素には同じ符号が付されており、それらについての説明を省略する。以下、実施形態1のオス型コネクタ1Aと相違する点を中心に本実施形態2のオス型コネクタ1Bを説明する。
本実施形態2のオス型コネクタ1Bは、環状部20の外周面上に2つの凸条25a,25bが形成されている点で、実施形態1のオス型コネクタ1Aと相違する。第1凸条25aは、実施形態1の凸条25と同様に、テーパ面27と円筒面28との境界に形成されている。第2凸条25bは、第1凹条21と第2凹条22との間に設けられている。
凸条25a,25bは、実施形態1の凸条25と同様に、管状部20の周方向に連続した突起(即ち、リブ)である。図3Aで説明した凸条25の断面形状に関する説明が、凸条25a,25bの断面形状についても同様に当てはまる。第1凸条25aと第2凸条25bとは、断面形状及び寸法が同一であってもよいし、異なっていてもよい。
本実施形態2のオス型コネクタ1Bは、実施形態1のオス型コネクタ1Aと同様に各種のメス型コネクタと接続することができ、実施形態1で説明したのと同様の効果を奏する。
更に、本実施形態2では、2つの凸条25a,25bを備える。従って、例えば第1メス型コネクタ50A(図5、図6参照)と接続する場合には、2つの凸条25a,25bが、第1メス型コネクタ50Aの挿入部51の内周面を局所的に弾性変形させてこれに食い込む。従って、引っ張り特性及び耐圧特性が更に向上する。挿入部51の内径に対して管状部20の外径が大きすぎる場合には、管状部20を挿入部51に深く挿入することができないかも知れない。このような場合であっても、先端20t側の第2凸条25bだけでも挿入部51内に収納することができる可能性が高い。従って、本実施形態2のオス型コネクタ1Bは、実施形態1のオス型コネクタ1Aに比べて、凸条による引っ張り特性及び耐圧特性の向上効果が大きい。
また、例えば第2メス型コネクタ50B(図8参照)と接続する場合には、オス型コネクタ1Bが2つの凸条25a,25bを備えるので、凸条と第2メス型コネクタ50Bの溝とを容易に嵌合させることができる。また、オス型コネクタ1Bが2つの凸条25a,25bが第2メス型コネクタ50Bの2つの溝に同時に嵌合する可能性もあり、そのような場合には引っ張り特性及び耐圧特性が更に向上する。
本実施形態2は、上記以外は実施形態1と同様であり、実施形態1の説明を本実施形態2にも適用することができる。
上記の実施形態1,2は例示に過ぎない。本発明は、上記の実施形態1,2に限定されず、様々に変更することができる。
上述の説明から明らかなように、オス型コネクタの管状部の外周面に形成される凸条及び凹条の数は、上記の実施形態1,2に限定されない。即ち、凸条の数は3以上であってもよく、また、凹条の数は3より少なくても多くてもよい。即ち、管状部の外周面に、少なくとも1つの凸条と少なくとも1つの凹条とが形成されていればよい。また、少なくとも1つの凸条及び少なくとも1つの凹条の中心軸1a方向の配置も上記の実施形態に限定されない。
但し、オス型コネクタは、実質的に変形しない硬い材料で作成されるので、オス型コネクタに形成された凸条は、メス型コネクタの溝と嵌合しない場合には、当該凸条の近傍においてオス型コネクタの管状部とメス型コネクタの挿入部との密着性が低下する可能性がある。従って、一般的に、オス型コネクタでは、凸条の数は少ない方が好ましい。逆に、凹条の数は多い方が、メス型コネクタのリブとの嵌合数が増えるので好ましい。
また、複数の凹条を設ける場合に、中心軸1a方向に隣り合う凹条の間に凸条が配置されていると、当該凸条の近傍においてオス型コネクタの管状部とメス型コネクタの挿入部との密着性が低下し、オス型コネクタの凹条とメス型コネクタのリブとの嵌合が不十分になる可能性がある。従って、中心軸1a方向に隣り合う凹条の間に凸条が存在しないことが好ましい。
少ない数の凸条をメス型コネクタの溝と嵌合させて引っ張り特性及び耐圧特性を向上させるためには、凸条は、相対的に外径が大きな領域に配置されることが好ましい。外径が大きいほど、凸条と溝との周方向の嵌合長さが長くなるからである。
従って、上記の実施形態1のように、先端20tに近い側に複数の凹条を連続して配置し、この複数の凹条よりも基端20b側に少なくとも1つ(好ましくは1つ)の凸条を配置するのが好ましい。また、凸条は、テーパ面の最大径箇所、即ち、テーパ面と円筒面との境界に配置するのが好ましい。これらの好ましい配置は、特に引っ張り特性及び耐圧特性を更に向上させることができる。
但し、メス型コネクタの形状、寸法、材料(機械的強度)等によっては、オス型コネクタの凸条が、メス型コネクタの挿入部の内周面を局所的に弾性変形させてこれに食い込み、その頂部(図3Aの頂部25tを参照)にて局所的に密着する場合がある。このような場合には、凸条の数は、むしろ多い方が好ましい。例えば、メス型コネクタが、弾性及び可撓性を有し、内周面にリブ及び溝のいずれも形成されていない円筒形状のチューブである場合には、オス型コネクタには、実施形態2のオス型コネクタ1Bのように複数の凸条が形成されていることが好ましい。
凸条及び凹条の中心軸1a方向の位置も上記の実施形態1,2に限定されない。3つ以上の凹条を設ける場合に、凹条の中心軸1a方向のピッチは一定であってもよいし、異なっていてもよい。但し、3つ以上の凹条が一定ピッチで配置されていると、凹条と各種のメス型コネクタに形成されたリブとが嵌合する可能性が高くなるので好ましい。複数の凸条を設ける場合に、各凸条の中心軸1a方向の位置は上記の実施形態2に限定されない。
凸条の外表面の断面形状は、図3Aに限定されない。例えば、テーパ角度θaとテーパ角度θbとがθa>θb又はθa=θbを満足する三角形状断面や、略U字状、略円弧状、四角形状などの任意の断面形状を有していてもよい。
上記の実施形態1,2では、管状部20の外表面に形成された円筒面28の外径は、テーパ面27の最大径と同じであったが、本発明はこれに限定されず、例えば円筒面28の外径が、テーパ面27の最大径よりも小さくてもよい。また、円筒面28を省略することもできる。例えば、先端20tから基端20bまでの全領域にテーパ面27が連続的に形成されていてもよい。
オス型コネクタの台座部16に設けられた係止爪17を省略してもよい。更に、台座部16を省略し、キャップ10の底板15の中央に管状部20が直接立設されていてもよい。
本発明のオス型コネクタは、メス型コネクタに挿入される管状部を備えていればよく、管状部以外の構成は任意である。上記の実施形態1,2は、管状部20が、キャップ10に設けられていたが、本発明はこれに限定されず、例えば、図11に示すように、パウチ101に一体化された接合部112に直接設けられていてもよい。図11の管状部20は実施形態1と同じ構成を有しているが、実施形態2と同じ構成を有していてもよい。
本発明のオス型コネクタが設けられる医療用容器は、図4及び図11に示した柔軟な袋状であるパウチ101に限定されず、例えば、硬質材料からなり、実質的に変形できない、直方体形状又は円筒形状等を有する容器であってもよい。
更に、本発明のオス型コネクタは、医療用容器以外の、液状物が流れる流路上の任意の位置で使用されるオス型コネクタであってもよい。
本発明のオス型コネクタが接続されるメス型コネクタの構成は、上記の第1及び第2メス型コネクタ50A,50Bに限定されない。オス型コネクタの管状部が挿入される挿入部51の内周面が、内径が一定の円筒面であってもよい。また、挿入部51の内周面にリブや溝が形成されていなくてもよい。開口部にフランジ53が形成さていなくてもよい。例えば、メス型コネクタが、柔軟なチューブであってもよい。
本発明の利用分野は特に制限はないが、例えば経腸栄養療法や静脈栄養療法を行う際に使用されるオス型コネクタとして利用することができる。その他、医療用以外の食品などの液状物を取り扱う際に使用されるオス型コネクタとして利用することもできる。
1A,1B オス型コネクタ
1a オス型コネクタの中心軸
10 キャップ
20 管状部
20b 管状部の基端
20t 管状部の先端
21 第1凹条
22 第2凹条
23 第3凹条
25 凸条
25a 第1凸条
25b 第2凸条
27 テーパ面
28 円筒面
50A,50B メス型コネクタ
51 挿入部
52 挿入側端
58 基端部
60 テーパ面
61 第1リブ
62 第2リブ
63 第3リブ
71 第1溝
72 第2溝
73 第3溝

Claims (5)

  1. メス型コネクタに挿入される管状部を備えたオス型コネクタであって、
    前記管状部の外周面には、前記管状部の先端側ほど外径が小さくなるただ一つのテーパ面が、前記先端から基端に向かって所定領域内に形成されており、
    更に、前記ただ一つのテーパ面には、周方向に連続する少なくとも1つの凸条と、複数の凹条であって、前記複数の凹条のそれぞれは周方向に連続している複数の凹条とが互いに離間して形成されていることを特徴とするオス型コネクタ。
  2. 前記凸条の数が2つ以上である請求項1に記載のオス型コネクタ。
  3. 隣り合う凹条間に前記凸条は存在しない請求項1又は2に記載のオス型コネクタ。
  4. 3つ以上の前記凹条が等間隔で配置されている請求項1〜3のいずれかに記載のオス型コネクタ。
  5. 前記凸条の外表面は、その頂部に対して前記先端側の領域よりも前記基端側の領域において、より大きく傾斜している請求項1〜4のいずれかに記載のオス型コネクタ。
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