JP5407004B2 - 電線及びコイル - Google Patents

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Description

本発明は電線及びコイルに関し、特に各種高周波機器の巻線、リッツ線及びケーブル等に利用される電線及びコイルに関する。
高周波電流を通電する機器(変圧器、モータ、リアクトル、誘導加熱装置及び磁気ヘッド装置等)の巻線及び給電ケーブルにおいては、その高周波電流により発生した磁界によって導体内に渦電流損が生じ、その結果として交流抵抗が増大(表皮効果及び近接効果が増大)することとなって発熱及び消費電力増大を引き起こす。表皮効果及び近接効果の増大を抑止する対策として、一般的には線の細径化と各素線を絶縁被覆したリッツ線の採用が図られている(例えば、特許文献1〜5参照。)。
しかしながら、特許文献1〜5等の先行技術手段では、接続のためのハンダ処理において絶縁皮膜の除去作業が困難であり且つ素線本数が増えるために細径化には限度があることと、表皮効果よりも近接効果が圧倒的に支配的な線径においては効果的な抑止対策が見出されていなく、細径化対策により得られる特性には限界があることが常識化されている。なお、特許文献1〜5に対策例が示されているが、いずれもアイデア的なものであり具体性に乏しく、有効な対策とは言えない。
また、特許文献6には、アルミニウム(Al)導体の外周を銅層で被覆し、更にその上にニッケル層を形成した構造が記載されているものの、半田付けを容易とするためにニッケル層を形成しているにすぎず、交流抵抗の低減を目的としたものではない。
また、特許文献7、非特許文献1及び2には、交流抵抗の低減のために銅(Cu)線の外周に軟磁性材層(磁性薄膜)のメッキを施すことが記載されているが、軟磁性材層(磁性薄膜)は内部に侵入しようとする外部磁界を完全に遮蔽することができず、遮蔽しきれなかった外部磁界が渦電流損を発生させるため、近接効果による損失が大きくなる。
特開2009−129550号公報 特開昭62−76216号公報 特開2005−108654号公報 国際公開2006/046358号 特開2002−150633号公報 実開昭50−66171号公報 特開2010−157363号公報
水野勉、外7名、「磁性めっき線を用いた導線内に生ずる渦電流損の低減」、電気学会論文誌A、2007年、第127巻、第10号、p.611−620 水野勉(Tsutomu Mizuno)、外7名、「磁性めっき線を用いた導線内に生ずる渦電流損の低減(Reduction of eddy current loss in magnetoplated wire)」、ザ・インターナショナル・ジャーナル・フォー・コンピューテーション・アンド・マスマティックス・イン・エレクトリカル・アンド・エレクトロニック・エンジニアリング(THE INTERNATIONAL JOURNAL FOR COMPUTATION AND MATHEMATICS IN ELECTRICAL AND ELECTRONIC ENGINEERING)、2009年、第28巻、第1号、p.57-66
上記問題点を鑑み、本発明の目的は、内部に侵入しようとする外部磁界を遮蔽するとともに、遮蔽しきれずに内部に侵入した外部磁界による渦電流を低減することができ、近接効果による損失を抑制することによって交流抵抗の増大を抑制することができる電線及びコイルを提供することである。
本発明の一態様によれば、アルミニウム又はアルミニウム合金からなる中心導体と、中心導体を被覆する銅からなる被覆層と、被覆層を被覆し、外部磁界を遮蔽する強磁性体層とを備え、強磁性体層の厚さが0.04μm〜14μmであり、中心導体と被覆層とを合わせた直径が0.05mm〜0.4mmであり、中心導体の断面積が中心導体と被覆層とを合わせた断面積の85%〜95%である電線が提供される。
本発明の一態様において、強磁性体層の比透磁率が5〜10000であっても良い。
本発明の一態様において、中心導体と被覆層との間に形成され、被覆層よりも体積抵抗率が大きい金属間化合物層を更に備え、被覆層が、長手方向に繊維状組織を有し、被覆層の断面積が、中心導体、金属間化合物層及び被覆層を合わせた全体の断面積に対して15%以下であっても良い。
本発明の一態様において、中心導体と被覆層との間に形成され、被覆層よりも体積抵抗率が大きい金属間化合物層を更に備え、金属間化合物層は、被覆層が被覆された中心導体を減面率がそれぞれ20%以上の複数段のダイスを用いて伸線することにより形成されていても良い。
本発明の他の態様によれば、アルミニウム又はアルミニウム合金からなる中心導体と、中心導体を被覆する銅からなる被覆層と、被覆層を被覆し、外部磁界を遮蔽する強磁性体層とを備え、強磁性体層の厚さが0.04μm〜14μmであり、中心導体と被覆層とを合わせた直径が0.05mm〜0.4mmであり、中心導体の断面積が中心導体と被覆層とを合わせた断面積の85%〜95%である電線を絶縁被覆して使用したコイルが提供される。
本発明によれば、内部に侵入しようとする外部磁界を遮蔽するとともに、遮蔽しきれずに内部に侵入した外部磁界による渦電流を低減することができ、近接効果による損失を抑制することによって交流抵抗の増大を抑制することができる電線及びコイルを提供することができる。
本発明の第1の実施の形態に係る電線の一例を示す断面図である。 本発明の第1の実施の形態に係る表皮効果を説明するための模式図である。 本発明の第1の実施の形態に係る近接効果を説明するための模式図である。 3層構造の導線の断面図である。 電流が流れている導線表面の電磁界を示す概略図である。 外部磁界が印加された場合の3層構造の導線の断面図である。 外部磁界が印加された場合の導線表面の電磁界を示す概略図である。 図8(a)は、直径0.05mmの導線における強磁性体層の厚さの影響(近接効果による損失の理論値)を表すグラフである。図8(b)は、直径0.05mmの導線における強磁性体層の厚さの影響(表皮効果による交流抵抗の理論値)を表すグラフである。 図9(a)は、直径0.05mmの導線における強磁性体層の透磁率の影響(近接効果による損失の理論値)を表すグラフである。図9(b)は、直径0.05mmの導線における強磁性体層の透磁率の影響(表皮効果による交流抵抗の理論値)を表すグラフである。 図10(a)は、直径0.05mmの導線における強磁性体層の厚さの影響(近接効果による損失の理論値)を表すグラフである。図10(b)は、直径0.05mmの導線における近接効果による損失が最小となる強磁性体層の厚さを表す表である。 異なる構成の直径0.05mmの導線における近接効果による損失が最小となる強磁性体層の厚さを表す表である。 図12(a)〜図12(d)は、異なる構成の直径0.05mmの導線における近接効果による損失が最小となる強磁性体層の厚さを表す表(その1)である。 図13(a)〜図13(d)は、異なる構成の直径0.05mmの導線における近接効果による損失が最小となる強磁性体層の厚さを表す表(その2)である。 図14(a)は、異なる構成の直径0.05mmの導線における周波数と近接効果による損失(理論値)との関係を表すグラフである。図14(b)は、異なる構成の直径0.05mmの導線における周波数と表皮効果による交流抵抗(理論値)との関係を表すグラフである。 図15(a)は、異なる構成の直径0.05mmの導線における周波数と近接効果による損失(理論値)との関係を表すグラフである。図15(b)は、異なる構成の直径0.05mmの導線における周波数と表皮効果による交流抵抗(理論値)との関係を表すグラフである。 図16(a)は、異なる構成の直径0.05mmの導線を使ったコイルにおける周波数と交流抵抗(理論値)との関係を表すグラフである。図16(b)は、異なる構成の直径0.05mmの導線を使ったコイルにおける特定周波数での交流抵抗(理論値)を表す表である。 図17(a)は、異なる構成の直径0.05mmの導線を使ったコイルにおける周波数と交流抵抗(理論値)との関係を表すグラフである。図17(b)は、異なる構成の直径0.05mmの導線を使ったコイルにおける特定周波数での交流抵抗(理論値)を表す表である。 図18(a)は、異なる構成の直径0.05mmの導線を使ったコイルにおける周波数と交流抵抗(理論値)との関係を表すグラフである。図18(b)は、異なる構成の直径0.05mmの導線を使ったコイルにおける特定周波数での交流抵抗(理論値)を表す表である。 図19(a)は、異なる構成の直径0.05mmの導線を使ったコイルにおける周波数と交流抵抗(理論値)との関係を表すグラフである。図19(b)は、異なる構成の直径0.05mmの導線を使ったコイルにおける特定周波数での交流抵抗を表す表である。 図20(a)は、直径0.2mmの導線における強磁性体層の厚さの影響(近接効果による損失の理論値)を表すグラフである。図20(b)は、直径0.2mmの導線における強磁性体層の厚さの影響(表皮効果による交流抵抗の理論値)を表すグラフである。 図21(a)は、直径0.2mmの導線における強磁性体層の透磁率の影響(近接効果による損失の理論値)を表すグラフである。図21(b)は、直径0.2mmの導線における強磁性体層の透磁率の影響(表皮効果による交流抵抗の理論値)を表すグラフである。 図22(a)は、直径0.2mmの導線における強磁性体層の厚さの影響(近接効果による損失の理論値)を表すグラフである。図22(b)は、直径0.2mmの導線における近接効果による損失が最小となる強磁性体層の厚さを表す表である。 図23(a)〜図23(d)は、異なる構成の直径0.2mmの導線における近接効果による損失が最小となる強磁性体層の厚さを表す表(その1)である。 図24(a)〜図24(d)は、異なる構成の直径0.2mmの導線における近接効果による損失が最小となる強磁性体層の厚さを表す表(その2)である。 図25(a)は、異なる構成の直径0.2mmの導線における周波数と近接効果による損失(理論値)との関係を表すグラフである。図25(b)は、異なる構成の直径0.2mmの導線における周波数と表皮効果による交流抵抗(理論値)との関係を表すグラフである。 図26(a)は、異なる構成の直径0.2mmの導線における周波数と近接効果による損失(理論値)との関係を表すグラフである。図26(b)は、異なる構成の直径0.2mmの導線における周波数と表皮効果による交流抵抗(理論値)との関係を表すグラフである。 図27(a)は、異なる構成の直径0.2mmの導線を使ったコイルにおける周波数と交流抵抗(理論値)との関係を表すグラフである。図27(b)は、異なる構成の直径0.2mmの導線を使ったコイルにおける特定周波数での交流抵抗(理論値)を表す表である。 図28(a)は、異なる構成の直径0.2mmの導線を使ったコイルにおける周波数と交流抵抗(理論値)との関係を表すグラフである。図28(b)は、異なる構成の直径0.2mmの導線を使ったコイルにおける特定周波数での交流抵抗(理論値)を表す表である。 図29(a)は、異なる構成の直径0.2mmの導線を使ったコイルにおける周波数と交流抵抗(理論値)との関係を表すグラフである。図29(b)は、直異なる構成の径0.2mmの導線を使ったコイルにおける特定周波数での交流抵抗(理論値)を表す表である。 図30(a)は、異なる構成の直径0.2mmの導線を使ったコイルにおける周波数と交流抵抗(理論値)との関係を表すグラフである。図30(b)は、異なる構成の直径0.2mmの導線を使ったコイルにおける特定周波数での交流抵抗(理論値)を表す表である。 図31(a)は、直径0.4mmの導線における強磁性体層の厚さの影響(近接効果による損失の理論値)を表すグラフである。図31(b)は、直径0.4mmの導線における強磁性体層の厚さの影響(表皮効果による交流抵抗の理論値)を表すグラフである。 図32(a)は、直径0.4mmの導線における強磁性体層の透磁率の影響(近接効果による損失の理論値)を表すグラフである。図32(b)は、直径0.4mmの導線における強磁性体層の透磁率の影響(表皮効果による交流抵抗の理論値)との関係を表すグラフである。 図33(a)は、直径0.4mmの導線における強磁性体層の厚さの影響(近接効果による損失の理論値)を表すグラフである。図33(b)は、直径0.4mmの導線における近接効果による損失が最小となる強磁性体層の厚さを表す表である。 図34(a)〜図34(d)は、異なる構成の直径0.4mmの導線における近接効果による損失が最小となる強磁性体層の厚さを表す表(その1)である。 図35(a)〜図35(d)は、異なる構成の直径0.4mmの導線における近接効果による損失が最小となる強磁性体層の厚さを表す表(その2)である。 図36(a)は、異なる構成の直径0.4mmの導線における周波数と近接効果による損失(理論値)との関係を表すグラフである。図36(b)は、異なる構成の直径0.4mmの導線における周波数と表皮効果による交流抵抗(理論値)との関係を表すグラフである。 図37(a)は、異なる構成の直径0.4mmの導線における周波数と近接効果による損失(理論値)との関係を表すグラフである。図37(b)は、異なる構成の直径0.4mmの導線における周波数と表皮効果による交流抵抗(理論値)との関係を表すグラフである。 図38(a)は、異なる構成の直径0.4mmの導線を使ったコイルにおける周波数と交流抵抗(理論値)との関係を表すグラフである。図38(b)は、異なる構成の直径0.4mmの導線を使ったコイルにおける特定周波数での交流抵抗(理論値)を表す表である。 図39(a)は、異なる構成の直径0.4mmの導線を使ったコイルにおける周波数と交流抵抗(理論値)との関係を表すグラフである。図39(b)は、異なる構成の直径0.4mmの導線を使ったコイルにおける特定周波数での交流抵抗(理論値)を表す表である。 図40(a)は、異なる構成の直径0.4mmの導線を使ったコイルにおける周波数と交流抵抗(理論値)との関係を表すグラフである。図40(b)は、異なる構成の直径0.4mmの導線を使ったコイルにおける特定周波数での交流抵抗(理論値)を表す表である。 図41(a)は、異なる構成の直径0.4mmの導線を使ったコイルにおける周波数と交流抵抗(理論値)との関係を表すグラフである。図41(b)は、異なる構成の直径0.4mmの導線を使ったコイルにおける特定周波数での交流抵抗(理論値)を表す表である。 図42(a)は、直径0.05mmの95%FCA線における近接効果による損失が最小となる強磁性体層の厚さを表す表である。図42(b)は、直径0.2mmの95%FCA線における近接効果による損失が最小となる強磁性体層の厚さを表す表である。図42(c)は、直径0.4mmの95%FCA線における近接効果による損失が最小となる強磁性体層の厚さを表す表である。 図43(a)は、直径0.05mmの90%FCA線における近接効果による損失が最小となる強磁性体層の厚さを表す表である。図43(b)は、直径0.2mmの90%FCA線における近接効果による損失が最小となる強磁性体層の厚さを表す表である。図43(c)は、直径0.4mmの90%FCA線における近接効果による損失が最小となる強磁性体層の厚さを表す表である。 図44(a)は、直径0.05mmの85%FCA線における近接効果による損失が最小となる強磁性体層の厚さを表す表である。図44(b)は、直径0.2mmの85%FCA線における近接効果による損失が最小となる強磁性体層の厚さを表す表である。図44(c)は、直径0.4mmの85%FCA線における近接効果による損失が最小となる強磁性体層の厚さを表す表である。 図45(a)は、本発明の第1の実施の形態の第1の実施例に係る巻線を示す上面図である。図45(b)は、本発明の第1の実施の形態の第1の実施例に係る巻線を示す側面図である。 本発明の第1の実施の形態の第1の実施例に係る周波数と交流抵抗(Cu、CAは実測値、FCAは理論値)との関係を表すグラフである。 本発明の第1の実施の形態の第2の実施例に係る巻線の条件を表す表である。 本発明の第1の実施の形態の第2の実施例に係る周波数と交流抵抗(Cu、CAは実測値、FCAは理論値)との関係を表すグラフである。 本発明の第1の実施の形態の第3の実施例に係る周波数と近接効果による損失(理論値)との関係を表すグラフである。 本発明の第2の実施の形態に係る電線の一例を示す断面図である。 本発明の第2の実施の形態に係る表皮効果深さと周波数の関係(電線単体の単線モデルでの理論値)を示すグラフである。 本発明の第2の実施の形態に係るCu線とAl線について表皮効果と周波数の関係(電線単体の単線モデルでの理論値)を示すグラフである。 本発明の第2の実施の形態に係るCu線とAl線について近接効果と周波数の関係(電線単体の単線モデルでの理論値)を示すグラフである。 本発明の第2の実施の形態に係る集合導体を鉄心コアに巻いた変圧器モデルにおける磁心の電流による磁束と漏れ磁束の模式図である。 本発明の第2の実施の形態に係る高周波変圧器の特性(理論値)を示すグラフである。 本発明の第2の実施の形態に係る渦電流のセグメントモデルとその等価回路である。 本発明の第2の実施の形態に係る電線と比較例に係る電線の構造及び特性(実測値)を表す表である。 図58(a)は、SCR方式で製造されたタフピッチ銅(TPC)の加工組織の断面を表す光学顕微鏡の写真である。図58(b)は、ディップフォーミング方式で製造されたCu線の加工組織の断面を表す光学顕微鏡の写真である。 図59(a)は、SCR方式で製造されたタフピッチ銅(TPC)の再結晶組織の断面を表す光学顕微鏡の写真である。図59(b)は、ディップフォーミング方式で製造されたCu線の再結晶組織の断面を表す光学顕微鏡の写真である。 本発明の第2の実施の形態に係る伸線ダイスの一例を示す模式図である。 本発明の第2の実施の形態に係る伸線時のせん断応力の区分を示す模式図である。 図62(a)〜図62(c)は、本発明の第2の実施の形態に係る伸線時応力分布解析結果を示す模式図である。 本発明の第2の実施の形態の実施例に係る被覆層と中心導体との界面の透過型電子顕微鏡観察結果を示す写真である。 図64(a)〜図64(d)は、本発明の第2の実施の形態の実施例に係るエネルギー分散型X線分光分析(EDS)結果を示すグラフである。
次に、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な厚みや寸法は以下の説明を参酌して判断すべきものである。又、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることはもちろんである。
また、以下に示す実施の形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、この発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。この発明の技術的思想は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
(第1の実施の形態)
本発明の第1の実施の形態に係る電線は、図1に示すように、アルミニウム(Al)又はAl合金からなる中心導体1と、中心導体1を被覆する銅(Cu)からなる被覆層2と、被覆層2を被覆し、外部磁界を遮蔽する強磁性体層(磁性メッキ層)3とを備える、強磁性メッキされた銅被覆Al線(以下、「FCA」という。)である。
被覆層2の断面積は、中心導体1及び被覆層2を合わせた断面積に対して15%以下であり、3%〜15%程度が望ましく、より望ましくは3%〜10%程度、更に望ましくは3%〜5%程度である。被覆層2の断面積の比が小さいほど、交流抵抗を低減することができる。電線全体の直径は、0.05mm〜0.6mm程度が望ましく、0.05mm〜0.4mm程度がより望ましい。
中心導体1としては、例えば電気用アルミニウム(ECアルミニウム)又はAl−Mg−Si系合金(JIS6000番台)のアルミニウム合金が使用可能であるが、アルミニウム合金の方がECアルミニウムよりも体積抵抗率が大きいためにより望ましい。
強磁性体層3の材料としては、ニッケル(Ni)、Ni−Fe系合金、鉄系合金(電磁軟鉄、ケイ素鋼等)、パーマロイ系合金(78パーマロイ、ミューメタル等)、フェライト化合物(Mn−Zn系フェライト等)、又はアモルファス等の強磁性体が使用可能である。強磁性体層3の材料としては、電気めっきに適した材料が望ましい。強磁性体層3は、例えば100〜1000程度の比透磁率を有する。強磁性体層3の比透磁率は、1000〜10000程度であっても良く、或いは5〜10000程度であっても良く、10000以上であっても良い。強磁性体層3の厚さ(a−b)は、0.5μm〜10μm程度であっても良く、0.04μm〜14μm程度であっても良く、0.01μm〜15μm程度であっても良い。
図2に示すように、電線(導体)において、内部磁束によって導体内に渦電流が流れ、表皮効果として交流抵抗を増大させる。また、図3に示すように、導体において、外部磁束により導体内に渦電流が流れ、近接効果として交流抵抗を増大させる。
交流抵抗Racは、直流抵抗成分をRdc、表皮効果による交流抵抗をRs、近接効果による交流抵抗(近接効果成分)をRpとして、次式(1)で表される。

ac=(1+k)Rdc+Rp

=Rs+Rp …(1)

ここで、kは表皮効果係数を表す。
まず、本発明の第1の実施の形態における表皮効果による交流抵抗Rの計算手法の一例を説明する。図5に示すように、z方向に均一に分布する3層構造の円筒状導線について考える。導線の内層、中間層、外層の導電率をそれぞれσ,σ,σ,比透磁率を、μ,μ2,μ3と仮定し、導線のz方向に電流が流れているとする。
以下の定式化において、各電磁界は複素表現を使用し、時間因子をejωtとする。ただし、ωは角周波数を表す。
電流により、電界のz方向成分Eが生成され、それが以下の波動方程式(2)を満たす。


ただし、μ0は真空中の比透磁率を表す。また、磁界Hθはθ方向成分のみを有し、次のように与えられる。


ここで、


をおくと、波動方程式(2)の解は次のようにおくことができる。


ただし、Jν(z)は第1種Bessel関数を表し、
であり、
は第1種Hankel関数を表す。
r=bでE,Hθが連続となる境界条件により、


となる。ただし、


である。ここで、

であり、
である。
また、式(3)より、次式(18)が得られる。


の法則より、導線に流れる全電流Iは次のように得られる。


ただし、
は横断面における導線の外周に沿う線積分を表す。式(19)に式(12),(13)を代入すると、次式(20)が得られる。


一方、図6に示す導線に流れ込むパワーフローはPoyntingベクトルより次式(21)のように計算される。


ここで、
は図6における導線の円筒状の表面積分を表し、
は法線方向に向くベクトル面素を表す。

はPoyntingベクトルであり、arはr方向の単位ベクトルである。
式(21)に式(9),(18)を代入すると、次式(22)が得られる。


ここで、

により、次式(23)が得られる。


したがって、表皮効果による単位長さ当たりの交流抵抗は、次のように与えられる。


ただし、
は実数部を表し、周波数を0としたときの値が、直流抵抗Rdcである。

導線が2層構造の場合、σ1=σ2,μ1=μ2,式(14)及び式(15)より、
となり、導線が3層構造の場合、σ1=σ2=σ,μ1=μ2=μ,式(16)及び式(17)よりさらに、


となる。
各層で磁気ヒステリシスなどで磁気損失がある場合、透磁率に虚数部を導入することにより、損失を表すことができる。例えば、

次に、本発明の第1の実施の形態における近接効果成分Rの計算手法の一例を説明する。図7に示すように、導線の外部にx方向の高周波磁界Hが、x方向の単位ベクトルをaとして、次のように印加されているとする。


ここで、H=∇×Aを満たす磁気ポテンシャル


を導入すると、外部ポテンシャル


は式(30)の磁界を与える。
磁気ポテンシャルは次の波動方程式(33)を満たす。


ただし、μは真空中の透磁率を表す。
式(33)の解は、次のようにおくことができる。


各境界で磁界の接線成分(Hθ)と磁束密度の法線成分(μ0Hr)が連続になる境界条件により、


となる。ただし、


である。ここで、

であり、
である。
また、磁界Hθは次のように得られる。


また、電界Eは次のように得られる。


図8に示す導線表面から導線内部に入り込むパワーフローは次式(50)のように計算される。


ただし、

はPoyntingベクトルを表し、
は図8における導線表面における面積分を表す。
式(49),(50)を式(51)に代入すると、次式(52)が得られる。


ただし、


である。導線の損失Pは、次のように求められる。


となる。
導線が2層構造の場合、σ1=σ2,μ1=μ2,式(45)及び式(46)より、

となり、導線が1層構造の場合、σ1=σ2=σ,μ1=μ2=μ,式(47)及び式(48)よりさらに、

となる。
各層で磁気ヒステリシスなどで磁気損失がある場合、透磁率に虚数部を導入することにより、損失を表すことができる。
トランス、リアクトル等のように、一本の導線でコイル等を巻いた場合、外部磁界は導線中を流れる電流によって作られる。その場合、次式(61)のように外部磁界の強さ
|H0|は電流の大きさ|I|に比例する。


ただし、αは比例係数であり、導線の巻き方に依存し、導線が細く密集する場合にαが大きくなる。これを式(56)に代入することにより、近接効果による単位長さ当たりの抵抗Rは、次のように与えられる。


次に、上述した式(1)〜(62)を用いて、直径0.05mm、0.2mm、0.4mmの導線について計算した結果を、図8〜図41を用いて説明する。Alについては、抵抗率ρ=3.024×10−5Ω・mm、比透磁率μ=1で計算した。Cuについては、抵抗率ρ=1.724×10−5Ω・mm、比透磁率μ=1で計算した。強磁性体層3については、抵抗率ρ=9.8×10−5Ω・mm、比透磁率μ=100〜10000で計算した。
また、図8〜図41において、「FCA95%」、「FCA90%」、「FCA85%」は、本発明の第1の実施の形態に係る電線であって、図1に示すように中心導体1、被覆層2、及び強磁性体層3の3層構造であり、中心導体1と被覆層2を合わせた断面積に対するAlの断面積がそれぞれ95%、90%、85%のもの(それぞれ「95%FCA線」、「90%FCA線」、「85%FCA線」という。)を意味する。一方、「CA95%」、「CA90%」及び「CA85%」は、比較例に係る電線であって、Al層と、Al層を被覆したCu層の2層構造であり、Al層とCu層を合わせた断面積に対するAlの断面積がそれぞれ95%、90%、85%のもの(それぞれ「95%CA線」、「90%CA線」、「85%CA線」という。)を意味する。「FCu」は、比較例に係る電線であって、Cu層と、Cu層を被覆した強磁性体層の2層構造のもの(「FCu線」という。)を意味する。「Cu」は、比較例に係る電線であってCu線を意味する。
また、図1に示すように、中心導体1の直径を2c、中心導体1と被覆層2とを合わせた直径を2b、電線全体の直径を2aとし、強磁性体層3の厚さは(a−b)となる。
図8(a)及び図8(b)は、直径0.05mmであって、強磁性体層3の比透磁率μrが100で共通し、強磁性体層3の厚さを0.5μm、1μm、2μm、5μmで変化させた95%FCA線と、95%CA線についての近接効果による損失P及び表皮効果による交流抵抗Rsの計算結果をそれぞれ示す。図8(a)から、強磁性体層3を設けると近接効果による損失Pが小さくなるが、強磁性体層3が更に厚くなると逆に近接効果による損失Pが大きくなることが分かる。即ち、近接効果による損失Pが最小となる最適な強磁性体層3の厚さが存在することが見出された。図8(b)から、強磁性体層3が厚くなるほど、低周波側での表皮効果による交流抵抗Rsは小さいが、高周波側での表皮効果による交流抵抗Rsは大きいことが分かる。
図9(a)及び図9(b)は、直径0.05mmであって、強磁性体層3の厚さが1μmで共通し、強磁性体層3の比透磁率μrを100、300、500、1000で変化させた90%FCA線及び90%CA線についての近接効果による損失P及び表皮効果による交流抵抗Rsの計算結果をそれぞれ示す。図9(a)から、強磁性体層3の比透磁率μrが大きくなるほど、近接効果による損失Pは小さくなるが、比透磁率μrがある程度大きくなると、変化が小さくなるのが分かる。図9(b)から、強磁性体層3の比透磁率μrが大きくなるほど、高周波側での表皮効果による交流抵抗Rsが大きいことが分かる。
図10(a)は、直径0.05mm、強磁性体層3の比透磁率μr=300、b=0.025mm、c=0.0244mmの95%FCA線において、a=0.025mm〜0.028mmと変化させたときの近接効果による損失Pの計算結果を示す。図10(a)から、近接効果による損失Pは、強磁性体層3の厚さに依存することが分かる。また、近接効果による損失Pが最小になる強磁性体層3の最適な厚さが存在することが見出された。図10(b)は、図10(a)と同じ導線についての近接効果による損失Pが最小になる強磁性体層3の最適な厚さ(単位はμm)を示す。
図11は、直径0.05mm、b=0.025mm、c=0.0244mmの95%FCA線において、比透磁率μr及び周波数を変化させたときの近接効果による損失Pが最小になる強磁性体層3の最適な厚さ(単位はμm)を示す。図11から、強磁性体層3の最適な厚さは強磁性体層3の比透磁率μrにも依存することが分かる。また、比透磁率μrが高くなるほど強磁性体層3の最適な厚さが薄くなることが分かる。
図12(a)〜図12(d)及び図13(a)〜図13(d)は、異なる構成の直径0.05mmの導線において、比透磁率μrと周波数を変化させたときの近接効果による損失Pが最小になる強磁性体層3の最適な厚さ(単位はμm)の計算結果を示す。図12(a)〜図12(d)及び図13(a)〜図13(d)において強磁性体層3の最適な厚さは0.09μm〜1.45μmである。図12(a)〜図12(d)及び図13(a)〜図13(d)から、中心導体1の占める割合が多いほど、近接効果による損失Pが最小になる強磁性体層3の最適な厚さが薄くなることが分かる。
図14(a)は、直径0.05mm、強磁性体層3の比透磁率μr=300、強磁性体層3の厚さが0.82μmのCu線、85%CA線、FCu線及び85%FCA線についての近接効果による損失P及び表皮効果による交流抵抗Rsの計算結果をそれぞれ示す。図14(a)から、FCA線の近接効果による損失Pは、Cu線とCA線の1/10程度となることが分かる。図14(b)に示すようにFCA線はFCu線より表皮効果による交流抵抗Rsは高いものの、図14(a)に示すようにFCA線はFCu線より近接効果による損失Pは小さい。
図15(a)及び図15(b)は、直径0.05mmのFCA線において、強磁性体層3の比透磁率μr=300、強磁性体層3の厚さが0.82μmであって、中心導体1の占める割合を変化させたときの近接効果による損失P及び表皮効果による交流抵抗Rsの計算結果をそれぞれ示す。図15(a)に示した近接効果による損失Pについて、85%FCA線:95%FCA線の比は最大で1.05:1であり、90%FCA線:95%FCA線の比は最大で1.03:1である。図15(b)から、中心導体1の占める割合が大きいほど表皮効果による交流抵抗Rsは高いことが分かる。
図16(a)及び図16(b)は、直径0.05mmの導線を使ったコイルにおいて、比透磁率μr=300、強磁性体層3の厚さが0.82μm、α=10000mm−1の場合の交流抵抗Racの計算結果を示す。図16(a)に示すように、周波数が1kHz以上で、FCA線はCA線より交流抵抗Racが小さくなる。周波数が6kHz以上で、FCA線はCu線より交流抵抗Racが小さくなる。周波数が70kHz以上で、FCA線はFCu線より交流抵抗Racが小さくなる。
図17(a)及び図17(b)は、図16(a)及び図16(b)とα以外は同じ条件で、α=5000mm−1の場合の交流抵抗Racの計算結果を示す。図17(a)に示すように、周波数が1kHz以上で、FCA線はCA線より交流抵抗Racが小さくなる。周波数が15kHz以上で、FCA線はCu線より交流抵抗Racが小さくなる。周波数が150kHz以上で、FCA線はFCu線より交流抵抗Racが小さくなる。
図18(a)及び図18(b)は、図16(a)及び図16(b)とα以外は同じ条件で、α=1000mm−1の場合の交流抵抗Racの計算結果を示す。図18(a)に示すように、周波数が1kHz以上で、FCA線はCA線より交流抵抗Racが小さくなる。周波数が74kHz以上で、FCA線はCu線より交流抵抗Racが小さくなる。周波数が700kHz以上で、FCA線はFCu線より交流抵抗Racが小さくなる。
図19(a)及び図19(b)は、図16(a)及び図16(b)とα以外は同じ条件で、α=500mm−1の場合の交流抵抗Racの計算結果を示す。図19(a)に示すように、周波数が1kHz以上で、FCA線はCA線より交流抵抗Racが小さくなる。周波数が150kHz以上で、FCA線はCu線より交流抵抗Racが小さくなる。周波数が1390kHz以上で、FCA線はFCu線より交流抵抗Racが小さくなる。
図20(a)及び図20(b)は、直径0.2mmの導線であって、強磁性体層3の比透磁率μrが300で共通し、強磁性体層3の厚さが1μm、2μm、5μm、10μmのFCA線と、CA線についての近接効果による損失P及び表皮効果による交流抵抗Rsの計算結果をそれぞれ示す。図20(a)から、強磁性体層3を設けると近接効果による損失Pが小さくなるが、強磁性体層3が更に厚くなると逆に近接効果による損失Pが大きくなることが分かる。即ち、近接効果による損失Pが最小となる最適な強磁性体層3の厚さが存在することが見出された。図20(b)から、強磁性体層3が厚くなるほど、低周波側での表皮効果による交流抵抗Rsは小さいが、高周波側での表皮効果による交流抵抗Rsは大きいことが分かる。
図21(a)及び図21(b)は、直径0.2mmであって、強磁性体層3の厚さが2μmで共通し、強磁性体層3の比透磁率μrが100、300、500、1000と変化したFCA線と、CA線についての近接効果による損失P及び表皮効果による交流抵抗Rsの計算結果をそれぞれ示す。図21(a)から、強磁性体層3の比透磁率μrが大きくなるほど、近接効果による損失Pは小さくなるが、比透磁率μrがある程度大きくなると、変化が小さくなるのが分かる。図21(b)から、強磁性体層3の比透磁率μrが大きくなるほど、高周波側での表皮効果による交流抵抗Rsが大きいことが分かる。
図22(a)は、直径0.2mmのFCA線であって、強磁性体層3の比透磁率μr=500、b=0.100mm、c=0.095mmにおいて、a=0.100mm〜0.110mmと変化させたときの近接効果による損失Pの計算結果を示す。図22(a)から、近接効果による損失Pは、強磁性体層3の厚さ及び周波数に依存することが分かる。また、近接効果による損失Pが最小になる強磁性体層3の最適な厚さが存在することが見出された。図22(b)は、図22(a)と同じ導線についての近接効果による損失Pが最小になる強磁性体層3の最適な厚さ(単位はμm)を示す。
図23(a)〜図23(d)及び図24(a)〜図24(d)は、直径0.2mmの導線であって、比透磁率μrと周波数を変化させたときの近接効果による損失Pが最小になる強磁性体層3の最適な厚さ(単位はμm)を示す。図23(a)〜図23(d)及び図24(a)〜図24(d)において強磁性体層3の最適な厚さは0.30μm〜5.79μmである。図23(a)〜図23(d)及び図24(a)〜図24(d)から、中心導体1の占める割合が多いほど、近接効果による損失Pが最小になる強磁性体層3の最適な厚さが薄くなることが分かる。比透磁率μrが高くなるほど強磁性体層3の最適な厚さが小さくなり、周波数が高くなるほど強磁性体層3の最適な厚さが概ね小さくなることが分かる。
図25(a)及び図25(b)は、直径0.2mm、強磁性体層3の比透磁率μr=300、強磁性体層3の厚さが2.3μmのCu線、95%CA線、FCu線及び95%FCA線についての近接効果による損失P及び表皮効果による交流抵抗Rsの計算結果をそれぞれ示す。図25(a)から、FCA線の近接効果による損失Pは、Cu線とCA線の1/10程度となることが分かる。図25(b)に示すようにFCA線はFCu線より表皮効果による交流抵抗Rsは高いものの、図25(a)に示すようにFCA線はFCu線より近接効果による損失Pは小さいことが分かる。
図26(a)及び図26(b)は、直径0.2mm、強磁性体層3の比透磁率μr=300、強磁性体層3の厚さが2.3μmであって、中心導体1の占める割合を変化させたFCA線についての近接効果による損失P及び表皮効果による交流抵抗Rsの計算結果をそれぞれ示す。図26(a)に示した近接効果による損失Pについて、85%FCA線:95%FCA線の比は最大で1.07:1であり、90%FCA線:95%FCA線の比は最大で1.03:1である。図26(a)から、中心導体1の占める割合が大きいほど近接効果による損失Pは小さいことが分かる。図26(b)から、中心導体1の占める割合が大きいほど表皮効果による交流抵抗Rsは高いことが分かる。
図27(a)及び図27(b)は、直径0.2mmの導線を使ったコイルにおいて、比透磁率μr=300、強磁性体層3の厚さが2.3μm、α=5000mm−1の場合の交流抵抗Racの計算結果を示す。図27(a)に示すように、周波数が1kHz以上で、FCA線はCA線、Cu線より交流抵抗Racが小さくなる。周波数が2kHz以上で、FCA線はFCu線より交流抵抗Racが小さくなる。
図28(a)及び図28(b)は、図27(a)及び図27(b)とα以外は同じ条件で、α=1000mm−1の場合の交流抵抗Racの計算結果を示す。図28(a)に示すように、周波数が1kHz以上で、FCA線はCA線より交流抵抗Racが小さくなる。周波数が1.1kHz以上で、FCA線はCu線より交流抵抗Racが小さくなる。周波数が9kHz以上で、FCA線はFCu線より交流抵抗Racが小さくなる。
図29(a)及び図29(b)は、図27(a)及び図27(b)とα以外は同じ条件で、α=500mm−1の場合の交流抵抗Racの計算結果を示す。図29(a)に示すように、周波数が1kHz以上で、FCA線はCA線より交流抵抗Racが小さくなる。周波数が2.2kHz以上で、FCA線はCu線より交流抵抗Racが小さくなる。周波数が17kHz以上で、FCA線はFCu線より交流抵抗Racが小さくなる。
図30(a)及び図30(b)は、図27(a)及び図27(b)とα以外は同じ条件で、α=100mm−1の場合の交流抵抗Racの計算結果を示す。図30(a)に示すように、周波数が1kHz以上で、FCA線はCA線より交流抵抗Racが小さくなる。周波数が12kHz以上で、FCA線はCu線より交流抵抗Racが小さくなる。周波数が85kHz以上で、FCA線はFCu線より交流抵抗Racが小さくなる。
図31(a)及び図31(b)は、直径0.4mmであって、強磁性体層3の比透磁率μrが100で共通し、強磁性体層3の厚さが2μm、5μm、10μm、20μmのFCA線と、CA線についての近接効果による損失P及び表皮効果による交流抵抗Rsの計算結果をそれぞれ示す。図31(a)から、強磁性体層3を設けると近接効果による損失Pが小さくなるが、強磁性体層3が更に厚くなると逆に近接効果による損失Pが大きくなることが分かる。即ち、近接効果による損失Pが最小となる最適な強磁性体層3の厚さが存在することが見出された。図31(b)から、強磁性体層3が厚くなるほど、低周波側での表皮効果による交流抵抗Rsは小さいが、高周波側での表皮効果による交流抵抗Rsは大きいことが分かる。
図32(a)及び図32(b)は、直径0.4mmであって、強磁性体層3の厚さが5μmで共通し、強磁性体層3の比透磁率μrが100、300、500、1000と変化したFCA線と、CA線についての近接効果による損失P及び表皮効果による交流抵抗Rsの計算結果をそれぞれ示す。図32(a)から、強磁性体層3の比透磁率μrが大きくなるほど、近接効果による損失Pは小さくなるが、比透磁率μrがある程度大きくなると、変化が小さくなるのが分かる。図32(b)から、強磁性体層3の比透磁率μrが大きくなるほど、高周波側での表皮効果による交流抵抗Rsが大きいことが分かる。
図33(a)は、直径0.4mmのFCA線において、強磁性体層3の比透磁率μr=300、b=0.200mm、c=0.195mmにおいて、a=0.200mm〜0.210mmと変化させたときの近接効果による損失Pの計算結果を示す。図33(a)から、近接効果による損失Pは、強磁性体層3の厚さ及び周波数に依存することが分かる。また、近接効果による損失Pが最小になる強磁性体層3の最適な厚さが存在することが見出された。図33(b)は、図33(a)と同じ導線についての近接効果による損失Pが最小になる強磁性体層3の最適な厚さ(単位はμm)を示す。
図34(a)〜図34(d)及び図35(a)〜図35(d)は、直径0.4mmのFCA線において、比透磁率μrと周波数を変化させたときの近接効果による損失Pが最小になる強磁性体層3の最適な厚さ(単位はμm)を示す。図34(a)〜図34(d)及び図35(a)〜図35(d)において強磁性体層3の最適な厚さは0.31μm〜11.58μmである。図34(a)〜図34(d)及び図35(a)〜図35(d)から、中心導体1の占める割合が多いほど、近接効果による損失Pが最小になる強磁性体層3の最適な厚さが薄くなることが分かる。比透磁率μrが高くなるほど強磁性体層3の最適な厚さが小さくなり、周波数が高くなるほど強磁性体層3の最適な厚さが概ね小さくなることが分かる。
図36(a)及び図36(b)は、直径0.4mm、強磁性体層3の比透磁率μr=500、強磁性体層3の厚さが4.5μmのCu線、95%CA線、FCu線及び95%FCA線についての近接効果による損失及び表皮効果による交流抵抗Rsの計算結果をそれぞれ示す。図36(a)から、FCA線の近接効果による損失Pは、Cu線とCA線の1/10程度となることが分かる。図36(b)に示すようにFCA線はFCu線より表皮効果による交流抵抗Rsは高いものの、図36(a)に示すようにFCA線はFCu線より近接効果による損失Pは小さいことが分かる。
図37(a)及び図37(b)は、直径0.4mm、強磁性体層3の比透磁率μr=500、強磁性体層3の厚さが4.5μmであって、中心導体1の占める割合を変化させたFCA線についての近接効果による損失P及び表皮効果による交流抵抗Rsの計算結果をそれぞれ示す。図37(a)に示した近接効果による損失Pについて、85%FCA線:95%FCA線の比は最大で1.05:1であり、90%FCA線:95%FCA線の比は最大で1.03:1である。図37(b)から、中心導体1の占める割合が大きいほど表皮効果による交流抵抗Rsは高いことが分かる。
図38(a)及び図38(b)は、直径0.4mmの導線を使ったコイルにおいて、比透磁率μr=500、強磁性体層3の厚さが4.5μm、α=1000mm−1の場合の交流抵抗Racの計算結果を示す。図38(a)に示すように、周波数が1kHz以上で、FCA線はCA線、Cu線より交流抵抗Racが小さくなる。周波数が1.8kHz以上で、FCA線はFCu線より交流抵抗Racが小さくなる。
図39(a)及び図39(b)は、図38(a)及び図38(b)とα以外は同じ条件で、α=500mm−1の場合の交流抵抗Racの計算結果を示す。図39(a)に示すように、周波数が1kHz以上で、FCA線はCA線、Cu線より交流抵抗Racが小さくなる。周波数が3.1kHz以上で、FCA線はFCu線より交流抵抗Racが小さくなる。
図40(a)及び図40(b)は、図38(a)及び図38(b)とα以外は同じ条件で、α=100mm−1の場合の交流抵抗Racの計算結果を示す。図40(a)に示すように、周波数が1kHz以上で、FCA線はCA線より交流抵抗Racが小さくなる。周波数が1.4kHz以上で、FCA線はCu線より交流抵抗Racが小さくなる。周波数が15kHz以上で、FCA線はFCu線より交流抵抗Racが小さくなる。
図41(a)及び図41(b)は、図38(a)及び図38(b)とα以外は同じ条件で、α=50mm−1の場合の交流抵抗Racの計算結果を示す。図41(a)に示すように、周波数が1kHz以上で、FCA線はCA線より交流抵抗Racが小さくなる。周波数が3kHz以上で、FCA線はCu線より交流抵抗Racが小さくなる。周波数が31kHz以上で、FCA線はFCu線より交流抵抗Racが小さくなる。
図42(a)〜図42(c)は、直径0.05mm、0.2mm、0.4mmの95%FCA線において、比透磁率μrと周波数を変化させたときの近接効果による損失Pが最小になる強磁性体層3の最適な厚さ(単位はμm)の計算結果を示す。図42(a)〜図42(c)から、比透磁率μrが高くなるほど強磁性体層3の最適な厚さが概ね小さくなり、周波数が高くなるほど強磁性体層3の最適な厚さが概ね小さくなることが分かる。
図43(a)〜図43(c)は、直径0.05mm、0.2mm、0.4mmの90%FCA線において、比透磁率μrと周波数を変化させたときの近接効果による損失Pが最小になる強磁性体層3の最適な厚さ(単位はμm)の計算結果を示す。図43(a)〜図43(c)から、比透磁率μrが高くなるほど強磁性体層3の最適な厚さが概ね小さくなり、周波数が高くなるほど強磁性体層3の最適な厚さが概ね小さくなることが分かる。
図44(a)〜図44(c)は、直径0.05mm、0.2mm、0.4mmの85%FCA線において、比透磁率μrと周波数を変化させたときの近接効果による損失Pが最小になる強磁性体層3の最適な厚さ(単位はμm)の計算結果を示す。図44(a)〜図44(c)から、比透磁率μrが高くなるほど強磁性体層3の最適な厚さが概ね小さくなり、周波数が高くなるほど強磁性体層3の最適な厚さが概ね小さくなることが分かる。
更に、図42(a)〜図42(c)、図43(a)〜図43(c)、図44(a)〜図44(c)を対比すると、中心導体1の占める割合が多いほど、近接効果による損失Pが最小になる強磁性体層3の最適な厚さが概ね薄くなることが分かる。
このように、本発明の第1の実施の形態に係る電線及びこれを使用したコイルによれば、内部に侵入しようとする外部磁界を強磁性体層3により遮蔽するとともに、遮蔽しきれずに内部に侵入した外部磁界による渦電流を、同じ径のFCu線よりも低減させることができる。これはAlの体積抵抗率がCuに比べて大きいために、同等の大きさの磁界が侵入しても渦電流損が小さくなるためである。
更に、渦電流損を最小とする強磁性体層3の最適な厚さが存在することが見出されたので、電線の径、中心導体1と被覆層2とを合わせた断面積に対して中心導体1の断面積が占める割合、使用する周波数、及び比透磁率μr等に応じて強磁性体層3の厚さを規定することにより、渦電流損を最小とすることができる。
更に、渦電流損が最小になる強磁性体層3の厚さが、同じ径のFCu線と比較して薄くなり、強磁性体層3のメッキ工程に要する時間を短縮することができる。
次に、本発明の第1の実施の形態に係る電線の製造方法を説明する。なお、以下に示す製造方法は一例であり特に限定されるものではない。本発明の第1の実施の形態に係る電線は種々の製造方法により製造することが可能である。
(イ)直径9.5mm〜12.0mm程度のAl又はAl合金からなる中心導体1を用意する。中心導体1の表面に、0.1mm〜0.4mm程度の厚さの銅テープを縦添え方式で添わせながらTIG溶接又はプラズマ溶接等を行うことにより、中心導体1の表面に被覆層2を被覆する。次に、被覆層2が被覆された中心導体1をスキンパスで直径9.3mm〜12.3mm程度に成形することにより、被覆層2が被覆された中心導体1からなる母材を作製する。
(ロ)次に、母材を、25〜26パス程度の複数段の伸線ダイスを通すことにより伸線する。複数段の伸線ダイスを経ることにより、中心導体1と被覆層2とを合わせた直径を0.6mm程度以下とする。なお、中心導体1の表面に電気めっきにより被覆層2を形成しても良い。
(ハ)その後、電気めっき等により、被覆層2の表面に0.5μm〜10μm程度のNi等からなる強磁性体層3を形成する。
本発明の第1の実施の形態に係る電線の製造方法によれば、強磁性体層3により内部に侵入しようとする外部磁界を遮蔽するとともに、遮蔽しきれずに内部に侵入した外部磁界による渦電流を低減することができ、近接効果による損失を抑制することができる電線を製造可能となる。更に、渦電流損が最小になる強磁性体層3の厚さが、同じ径のFCu線と比較して薄くなり、強磁性体層3のメッキ工程に要する時間を短縮することができる。
(第1の実施例)
本発明の第1の実施の形態の第1の実施例に係る巻線について説明する。まず、比較例として、図45(a)及び図45(b)に示すように、0.4mmに線引きした14本の素線を束ねた長さ7.3mのCu線にポリウレタンを被覆し、ボビン5を用いて80ターンで巻線(Cu巻線)6を作製した。Cu巻線6と同様の条件で、95%CA線の巻線(95%CA巻線)を作製した。これらCu巻線6及び95%CA巻線を備えるリアクトルを作製し、リアクトルを用いて直流抵抗及び交流抵抗を測定し、上述の式(61)における比例係数αを求めた。
更に、実測して求めた比例係数αを用いて、第1の実施例に係る巻線として、Cu巻線6と同様の条件で、95%FCA線の巻線(95%FCA巻線)をCu巻線と同等の形状に作製したときの抵抗を上述の式(62)によって計算により求めた。
図46に、第1の実施例に係る95%FCA巻線を、比較例に係るCu巻線、CA巻線と比較した特性を示す。インダクタンスを同一に合わせたリアクトルにおいて、Cu巻線と95%FCA巻線を対比すると、直流抵抗が1.56倍であるにもかかわらず、交流抵抗は100kHzにおいて約9.3%に低減されることが分かる。
(第2の実施例)
本発明の第1の実施の形態の第2の実施例に係るIH調理器用の磁場発生コイルについて説明する。図47に示すように、比較例に係るCu線として、直径0.4mm、長さ6.6mの素線を55本用いてリッツ線構造とし、17ターンでIH調理器用の磁場発生コイルを作製し、それらについて特性確認試験を行い、上述の式(58)における比例係数αを求めた。
更に、実測して求めた比例係数αを用いて、第2の実施例に係る95%FCA巻線として、直径0.4mでCu巻線と同等の形状で作製したときの抵抗を上述の式(59)によって計算により求めた。試験結果と計算結果を図48に示す。IH調理器には、一般的に20kHz〜100kHz程度の高周波電流が使用されるが、95%FCA線の交流抵抗がCu巻線の交流抵抗よりも小さくなるのが分かる。Cu巻線と95%FCA巻線を対比すると、直流抵抗から26kHzの領域でCu巻線の抵抗のほうが低いが、それ以降は95%FCA巻線の抵抗のほうが低くなり、100kHzにおいては約21%に低減されることが分かる。
(第3の実施例)
本発明の実施の形態の第3の実施例として、直径0.2mmの95%FCA線とFCu線について、それぞれ強磁性体層の厚さ2.3μm、比透磁率300の場合の近接効果による損失Pの計算結果を示す。図49から、FCA線では、近接効果による損失PがFCu線と比較して0.73倍に低減されているのが分かる。
(第2の実施の形態)
本発明の第2の実施の形態に係る電線は、図50に示すように、Al又はAl合金からなる中心導体1と、中心導体1を被覆するCuからなる被覆層2と、被覆層2を被覆し、強磁性体層3と、中心導体1と被覆層2と間に、中心導体1から被覆層2にかけて傾斜的に組成が変化するように形成され、被覆層2よりも体積抵抗率が大きい金属間化合物層(合金層)4とを備える。
被覆層2の断面積は、中心導体1、金属間化合物層4及び被覆層2を合わせた断面積に対して15%以下であり、3%〜15%程度が望ましく、より望ましくは3%〜10%程度、更に望ましくは3%〜5%程度である。被覆層2の断面積の比が小さいほど、交流抵抗を低減することができる。電線全体の直径は、0.05mm〜0.6mm程度が望ましく、0.05mm〜0.4mm程度がより望ましい。
中心導体1としては、例えば電気用アルミニウム(ECアルミニウム)又はAl−Mg−Si系合金(JIS6000番台)のアルミニウム合金が使用可能であるが、アルミニウム合金の方がECアルミニウムよりも体積抵抗率が大きいためにより望ましい。
強磁性体層3の材料としては、ニッケル(Ni)、Ni−Fe系合金、鉄系合金(電磁軟鉄、ケイ素鋼等)、パーマロイ系合金(78パーマロイ、ミューメタル等)、フェライト化合物(Mn−Zn系フェライト等)、又はアモルファス等の強磁性体が使用可能である。強磁性体層3の材料としては、電気めっきに適した材料が望ましい。強磁性体層3は、例えば100〜1000程度の比透磁率を有する。強磁性体層3の比透磁率は、1000〜10000程度であっても良く、10000以上であっても良い。強磁性体層3の厚さは、0.5μm〜10μm程度である。
金属間化合物層4は、電線の伸線工程において減面率がそれぞれ20%以上の複数段に組み合わせたダイスを用いて、被覆層2が被覆された中心導体1を伸線することにより生成される。金属間化合物層4の厚さは10nm〜1μm程度である。金属間化合物層4は、例えばCuAl及びCuAl等を含む。金属間化合物層4の体積抵抗率は被覆層2の体積抵抗率よりも大きく、例えば10μΩ−cm〜40μΩ−cm程度である。
通常、変圧器又はリアクトル等の巻線には、Cu線をポリウレタン、ポリエステル、ポリエステルイミド、ポリアミドイミド又はポリイミド等で絶縁被覆したものが用いられる。同軸ケーブルにおいては高周波電流信号であるために表皮効果特性を勘案し、例えばAl線の外側にCu層を薄肉で被覆した銅被覆Al線(CA線)が用いられる。
近年では、高周波変圧器、高速モータ、リアクトル、誘電加熱装置、磁気ヘッド装置及び非接触給電装置等の数kHz(例えば1kHz)〜数100kHz(例えば300kHz)程度の高周波電流を通電する機器の用途拡大が進み、そのような機器で使用される電線においては、交流損失低減の目的で巻線の細径化又はリッツ線が一般的に使われている。しかしながら、接続のためのハンダ処理において絶縁皮膜の除去作業を困難にすることと、且つ素線本数が増えるために、細径化には限度がある。これに対して、本発明の第2の実施の形態に係る電線によれば、リッツ線にしなくとも、交流抵抗の増大を抑止するための細径化電線に更なる抑止効果を付与するものである。
図51は、電線単体の単線モデルにおける周波数と表皮効果深さ(skin depth)との関係を示す。表皮効果深さとは、電流密度が表面の1/e(約0.37)となる電線表面からの深さを意味する。図51から、適用周波数が100kHz程度以下の場合、素線径が0.5mm(約0.25mmの表皮効果深さの2倍相当)においては表皮効果の影響は小さいことが分かる。
図52及び図53は、直径0.4mmの電線単体の単線モデルでの表皮効果及び近接効果による交流抵抗一周波数特性を交流抵抗Racと直流抵抗Rdcとの比(Rac/Rdc)でそれぞれ示す。図53においては、外部磁場Hを37.8A/mmとした。図52の表皮効果による場合において、図53の近接効果による場合と比較してRac/Rdcの増大傾向は僅かである。一方、図53の近接効果の場合では周波数が高くなるとRac/Rdcが著しく増大する。この増大傾向は外部磁場の強さに依存する。即ち、細径化巻線での高周波電流による交流損失は近接効果が支配的である。また、ここでの理論計算結果から、Cu線よりもAl線の方が小さな近接効果特性を有することが分かる。近接効果対策としては、導体の線径を可能な範囲で小さくする以外、導体の体積抵抗率を大きくする手法が有効であることが明らかとなったが、大きくするにも限度があり、一般に使用されている導体材料から選択することが望ましい。汎用導体材料である銅とAlを比較した場合、導電率が銅の約61%であるAlの方が優れた近接効果低減特性を有する。一方、Alの場合には表面が酸化皮膜で覆われており、特に近接効果対策の観点による細い線ではその除去が極めて困難である。従って、Al線の外側に銅を薄肉で被せたCA線に着目した。
一方、CA線の場合には、銅の体積抵抗率がAlよりも小さいために、外部磁界によって発生した渦電流が銅側に集められて線の長手方向に流れやすく、銅よりも近接効果の小さいAlを中心導体に適用したとしてもその本来の特性が損なわれる。
高周波電力機器の実例として、図54に高周波変圧器モデルを示す。高周波変圧器モデルは、磁心10と、磁心10の周りを捲回する第1の巻き線11及び第2の巻き線12を備える。隣接する第1及び第2の巻線11,12を流れる電流による磁束のみならず、磁心10からの漏れ磁束が第1及び第2の巻線11,12に流入するため、それらの外部磁束による渦電流損が発生することになる。このため、高周波変圧器モデルでは、電線単体の単線モデルに比べて交流抵抗の増大は大きい。
図55に、図54に示した高周波変圧器モデルの交流抵抗一周波数特性の理論計算値をRac/Rdcで示す。この実際モデルの場合にもAl線の方がCu線よりも交流抵抗が大きく低減されることが分かる。上述のAl線の優位性は、Alの体積抵抗率が銅よりも大きいことによるものである。反面、Al線はハンダ付け性に困難さがある。このため、実用的にはAlの欠点を補うことのできるCA線が適するとも考えられるが、Cu層を外側に設けたことで渦電流がCu層を流れ、かえってAl線本来の特性が損なわれる。
これに対して、本発明の第2の実施の形態に係る電線によれば、図50に示すように、被覆層2よりも体積抵抗率が高い金属間化合物層4により、図56に示すように、中心導体1から被覆層2に向かって流れ込む渦電流を抑制することができ、表皮効果及び近接効果を抑制することができる。更に、中心導体1と被覆層2との界面に金属間化合物層4が生成されたことで、等価的に被覆層2の厚さを減じた線径になったことにより近接効果を低減することができる。よって、撚線(リッツ線)にしなくても交流抵抗を抑制することができ、発熱及び消費電力を抑制することが可能となる。
更に、内部に侵入しようとする磁界を強磁性体層3により遮蔽するとともに、遮蔽しきれずに内部に侵入した外部磁界による渦電流を、FCu線よりも低減させることができる。これはAlの体積抵抗率がCuに比べて大きいために、同等の大きさの外部磁界が侵入しても渦電流損が小さくなるためである。この結果、高周波領域における抵抗を低減させることができる。
更に、渦電流損が最小になる強磁性体層3の厚さが、同じ径のFCu線と比較して薄くなり、強磁性体層3のメッキ工程に要する時間を短縮することができる。
次に、本発明の第2の実施の形態に係る電線と、比較例として、再結晶温度以上で熱処理を行い再結晶化した電線を対比して説明する。本発明の第2の実施の形態に係る電線は、複数段に組み合わせたダイスを用いて、被覆層2が被覆された中心導体1を伸線することにより生成されるため、図57に模式的に示すように、中心導体1及び被覆層2は加工組織となり、長手方向に繊維状組織を有する。ここで、加工組織とは、冷間加工を受けた組織である。冷間加工とは、再結晶温度以下で行う加工を意味する。また、繊維状組織とは、伸線加工によって結晶粒が伸線方向に引き伸ばされた組織を意味する。このような加工組織の例として、図58(a)にSCR(Southwire Continuous Rod)方式で製造された直径0.9mmのタフピッチ銅(TPC)の加工組織の断面を表し、図58(b)にディップフォーミング方式で製造された直径0.9mmの無酸素銅(OFC)の加工組織の断面を表す。
一方、比較例に係る電線は、図57に模式的に示すように、再結晶温度以上で熱処理を行い再結晶化した再結晶組織を有する。ここで、再結晶組織とは、冷間加工によってひずみを生じた結晶粒が、再結晶によってひずみのない結晶に置き換わった組織を意味する。再結晶組織の例として、図59(a)にSCR方式で製造された直径0.9mmのタフピッチ銅(TPC)の再結晶組織の断面を表し、図59(b)にディップフォーミング方式で製造された直径0.9mmの無酸素銅(OFC)の再結晶組織の断面を表す。
また、図57に示すように、本発明の第2の実施の形態に係る電線は、比較例に係る電線に比して固有抵抗値が高いため、近接効果をより抑制することができる。更に、本発明の第2の実施の形態に係る電線は、比較例に係る電線に比してビッカース硬度が高いので、製造時に傷や変形がしにくく、コイルとしての特性がより安定する。
次に、本発明の第2の実施の形態に係る電線の製造方法を説明する。なお、以下に示す製造方法は一例であり特に限定されるものではない。本発明の第2の実施の形態に係る電線は種々の製造方法により製造することが可能である。
(イ)直径9.5mm〜12.0mm程度のAl又はAl合金からなる中心導体1を用意する。中心導体1の表面に、0.1mm〜0.4mm程度の厚さの銅テープを縦添え方式で添わせながらTIG溶接又はプラズマ溶接等を行うことにより、中心導体1の表面に被覆層2を被覆する。次に、被覆層2が被覆された中心導体1をスキンパスで直径9.3mm〜12.3mm程度に成形することにより、被覆層2が被覆された中心導体1からなる母材を作製する。
(ロ)次に、母材を、25〜26パス程度の複数段の伸線ダイスを通すことにより伸線する。図60に示すように、伸線ダイス20は、エントランス部21、アプローチ部22、リダクション部23、ベアリング部24及びバックリリーフ部25を備える。母材7は、リダクション部23において伸線前の直径d1より小さい直径d2に加工される。本発明の第2の実施の形態においては、各伸線ダイスにおいて図60に示すリダクション角度αを8°(全角2α=16°)程度、1パス(伸線ダイス)当たりの減面率を20%程度以上、望ましくは20%〜29%程度とする。伸線ダイスの減面率を20%程度以上、望ましくは20%〜29%程度とすることで、同一方向の大きなせん断応力を持続して発生させることができる。このせん断発熱により、中心導体1と被覆層2との界面に、中心導体1の材料と被覆層2の材料とからなる金属間化合物層4が形成される。複数段の伸線ダイスを経ることにより、電線の直径を0.6mm程度以下とする。
(ハ)その後、電気めっき等により、被覆層2の表面に0.5μm〜10μm程度のNi等からなる強磁性体層3を形成する。
本発明の第2の実施の形態に係る電線の製造方法によれば、伸線工程において複数段に組み合わせたダイスの減面率を20%以上にすることにより、伸線後に熱処理をすることなく中心導体1と被覆層2との間に金属間化合物層4を形成し、図50に示した電線を製造可能となる。
図61及び図62(a)〜図62(c)に伸線時の縦断面応力分布の有限要素法(FEM)解析結果を示す。図61示したせん断応力の区分にしたがい、図62(a)〜図62(c)に伸線ダイスの減面率が5%、10%及び20%の場合の伸線時の縦断面応力分布が示されている。図62(a)〜図62(c)から、伸線ダイスの減面率が20%の場合、伸線ダイスの減面率が5%及び10%の場合に比較して、大きなせん断応力が発生することが分かる。本発明の実施の形態では、減面率が20%以上の複数の伸線ダイスを用いて徐々に伸線し、比較的大きなせん断発熱を連続的且つ周期的に発生させることで、中心導体1と被覆層2との間に傾斜的に組成が変化するように金属間化合物層4を良好な結合状態で生成することができる。
(実施例)
本発明の第2の実施の形態の実施例として、減面率がそれぞれ20%以上の複数の伸線ダイスを用いて、図1に示すように中心導体1と被覆層2の間に金属間化合物層4が形成され、被覆層2の断面積が電線全体の断面積の5%である電線(以下、「5%CA線」という。)を作製した。まず、直径9.5mmのAlからなる中心導体1の上に0.15mm厚の銅テープを縦添え方式で添わせながらTIG溶接し、スキンパスで直径9.25mmに成形し、母材を作製した。この母材を、複数段(26パス)の伸線ダイスを通し、直径9.25mmから直径0.4mmに引き落とした。伸線ダイスのリダクション角度αは一律8°(全角2α=16°)とし、第1パス〜第3パスの減面率を29%〜24%、第4パス〜第10パスの減面率を23%〜21%、第11パス〜第26パスの減面率を21%〜20%とした。
本発明の第2の実施の形態の実施例に係る5%CA線について、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて銅/アルミ界面を観察した。TEM観察により、第14パス後の1.6mm径において10nm以上の厚さの良好な結合状態の金属間化合物が生成されていることを確認した。第26パス後の0.4mm径においても同様に10nm以上の厚さの金属間化合物を確認した。
図63に5%CA線のTEM写真を示す。図63において、黒色部分が銅、白色部分がAl、灰色部分が金属間化合物層を示す。図63から、中心導体1から被覆層2にかけて傾斜的に組成が変化するように金属間化合物層4が良好な結合状態で生成されていることが分かる。図63に示した中心導体1の点P1、金属間化合物層4の中心導体側の点P2、被覆層2の点P3、金属間化合物層4の被覆層2側のP4についてエネルギー分散型X線分光分析(EDS)による点分析結果を図64(a)〜図64(d)にそれぞれ示す。図64(b)に示すように、金属間化合物層4の中心導体1側ではAl原子がリッチであり、図64(d)に示すように、金属間化合物層4の被覆層2側では銅原子がリッチであることが確認された。図64(a)〜図64(d)から、中心導体1から被覆層2にかけて金属間化合物層4を構成する金属材料が傾斜的に分布していることが分かる。また、金属間化合物層4の組成として、CuAl及びCuAlが主体であり、CuAl及びCuAlの固有抵抗は、薄平状において約10μΩ−cm以上である。銅の固有抵抗は1.724μΩ−cmであるため、金属間化合物層の固有抵抗は銅の5倍以上であり十分大きな値といえる。
(その他の実施の形態)
本発明は上記の実施の形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
本発明の第1及び第2の実施の形態に係る電線として素線(単線)を説明したが、この素線を複数本束ねた集合線や、複数本撚り合わせたリッツ線として使用することも可能であり、集合線やリッツ線の場合にも更に有効に交流抵抗を抑制することができる。
なお、本発明の第2の実施の形態に係る電線をコイルにする場合やリッツ線として使用する場合等、高周波電線を変形させる際には、加工組織(長手方向の繊維状組織)を維持するために熱処理を行わずに変形させる。また、柔軟性を向上させるために、熱処理を必要とする場合は、加工組織は失わない条件で熱処理をしても良い。また、中心導体1及び被覆層2のそれぞれの抵抗値をより高くするために熱処理を必要とする場合は、加工組織は失わない条件で熱処理を行っても良い。なお、熱処理を行う場合は、熱処理を行いながら高周波電線を変形させても良く、高周波電線を変形させた後に熱処理を行っても良い。また、熱処理は高周波電線全体に対して行っても良く、局所的に行っても良い。
また、本発明の第1及び第2の実施の形態に係る電線及びこれを使用したコイルは、200Hz〜30MHz程度、又は1kHz〜30MHz程度の周波数が適用可能であり、例えば40kHz程度で使用するリアクトル、60kHz程度で使用するIH調理器、又は230kHz程度で使用するスイッチング電源用高周波トランス、13.56MHzの産業科学医療用(ISM)バンドで使用する磁気共鳴型非接触給電装置等に適用可能である。
また、本発明の第1及び第2の実施の形態において、「高周波」とは例えば200Hz程度以上の周波数を意味する。なお、本発明の第1及び第2の実施の形態に係る電線及びこれを使用したコイルは、200Hz未満の製品にも適用可能であり、30MHzより高い周波数の製品にも適用可能である。
また、本発明の第1及び第2の実施の形態に係るコイルに使用されるFCA線の表面には、エナメル等の絶縁体で絶縁被覆が施されている。
このように、本発明はここでは記載していない様々な実施の形態等を含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
本発明の電線及びコイルは、高周波変圧器、モータ、リアクトル、チョークコイル、誘導加熱装置、磁気ヘッド、高周波給電ケーブル、DC電源ユニット、スイッチング電源、ACアダプタ、渦電流検出方式等の変位センサ・探傷センサ、IHクッキングヒータ、コイル若しくは給電ケーブル等の非接触給電装置又は高周波電流発生装置等の種々の装置の製造業を含む電子機器産業に利用可能である。
1…中心導体
2…被覆層
3…強磁性体層
4…金属間化合物層
5…ボビン
6…巻線
7…母材
10…磁心
11…第1の巻線
12…第2の巻線
20…伸線ダイス
21…エントランス部
22…アプローチ部
23…リダクション部
24…ベアリング部
25…バックリリーフ部

Claims (3)

  1. アルミニウム又はアルミニウム合金からなる中心導体と、
    前記中心導体を被覆する銅からなる被覆層と、
    前記被覆層を被覆し、外部磁界を遮蔽する強磁性体層と、
    前記中心導体と前記被覆層との間に形成され、前記被覆層よりも体積抵抗率が大きいアルミニウム及び銅からなる金属間化合物層と、を備え、
    前記被覆層が、長手方向に繊維状組織を有し、
    前記強磁性体層の厚さが0.5μm〜10μmであり、前記中心導体と前記金属間化合物層及び前記被覆層とを合わせた直径が0.05mm〜0.4mmであり、前記被覆層の断面積が前記中心導体と前記金属間化合物層及び前記被覆層とを合わせた断面積の3%〜15%であり、前記強磁性体層の比透磁率が100〜10000であり、使用される周波数が200Hz〜30MHzであることを特徴とする電線。
  2. 前記金属間化合物層は、前記被覆層が被覆された前記中心導体を減面率がそれぞれ20%以上の複数段のダイスを用いて伸線することにより形成されることを特徴とする請求項1に記載の電線。
  3. アルミニウム又はアルミニウム合金からなる中心導体と、
    前記中心導体を被覆する銅からなる被覆層と、
    前記被覆層を被覆し、外部磁界を遮蔽する強磁性体層と、
    前記中心導体と前記被覆層との間に形成され、前記被覆層よりも体積抵抗率が大きいアルミニウム及び銅からなる金属間化合物層と、を備え、
    前記被覆層が、長手方向に繊維状組織を有し、
    前記強磁性体層の厚さが0.5μm〜10μmであり、前記中心導体と前記金属間化合物層及び前記被覆層とを合わせた直径が0.05mm〜0.4mmであり、前記被覆層の断面積が前記中心導体と前記金属間化合物層及び前記被覆層とを合わせた断面積の3%〜15%であり、前記強磁性体層の比透磁率が100〜10000であり、使用される周波数が200Hz〜30MHzであることを特徴とする電線を絶縁被覆して使用したコイル。
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