JP2019153471A - 高周波コイル用線材及び絶縁電線 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明に係る高周波コイル用線材10は、図1に示すように、銅又は銅合金からなる中心導体1と、その中心導体1の外周に設けられた銅鉄合金層2とを有する。この高周波コイル用線材10は、銅鉄合金層2の加工歪を除去する熱処理条件が中心導体1の熱処理条件と同じ又はほぼ同じであるため、線引き加工性に優れている。したがって、細線化のための線引き加工で歪除去を行う場合でも、中心導体1が水素脆化や過焼鈍状態になりにくい。また、高周波特性については、外周に設けた銅鉄合金層2が良好なシールド効果を示すため、高周波抵抗の上昇を抑制することができ、コイルの小型化に有利である。こうした高周波コイル用線材10は、安定した高周波特性を示すことができ、低コストで細径化線材を製造することができる。
中心導体1は、銅又は銅合金からなるものである。銅としては、タフピッチ銅、無酸素銅等を挙げることができる。銅合金としては、銅−銀合金(銀入り銅。例えば0.02〜6質量%の銀入り銅)、銅−錫合金(錫入り銅。例えば0.15〜7質量%の錫入り銅)等を挙げることができる。タフピッチ銅か無酸素銅であるかは、JIS H−3510に準拠した水素脆化試験によって判定することができ、銅−銀合金(銀入り銅)、銅−錫合金(錫入り銅)のいずれかであるかも、含まれる元素をICP発光分光分析によって測定して定性及び定量分析することができる。
銅鉄合金層2は、中心導体1の外周に設けられている。銅鉄合金層2の加工歪を除去する熱処理条件は、インライン等の連続的な熱処理やバッチ式の熱処理ではその処理方式に応じて設定されるが、バッチ式の熱処理の例では400℃、2時間であり、中心導体1のバッチ式の熱処理の例である350℃、2時間と比べると同じ又はほぼ同じである。そのため、そうした熱処理条件によって中心導体1と銅鉄合金層2の両方の加工歪みを容易に除去又は緩和することができる。その結果、従来技術のように中心導体と強磁性層との熱処理条件が異なることによる中心導体の水素脆化や過焼鈍状態を起こすことがなく、細径化のための線引き加工性を優れたものとすることができ、効率的な製造を可能とし、製造コストを抑えることができる。
中心導体1と銅鉄合金層2との境界面には、化合物層3が存在していることが好ましい。この化合物層3は、銅又は銅合金中の元素と鉄との化合物であり、例えば、CuFe、Cu2Fe等を挙げることができる。こうした化合物層3の存在は、密着性を向上させることができ、その結果、線引き性を向上させることができるので有利である。化合物層3は、主には、加工歪みを除去又は緩和するために施される熱処理によって生成しやすく、その厚さは熱処理条件によっても異なるので特に限定されないが、一例としては0.05〜1.0μm程度である。なお、化合物層3が化合物であることは、合金として単一物性を示すものとは異なり、それぞれの物性(物理的物性:線膨張係数、熱伝導等、機械的物性:引張強さ、伸び等)が併存していることとなる。なお、化合物層3が合金ではなく化合物であることは、X線回析法等で評価することができる。
銅鉄合金層2の外周には、本発明の効果を阻害しない範囲内で、例えばはんだ付けをよりし易くしたり、はんだ溶食防止性を担う等のめっき層(図示しない)を設けてもよい。その厚さは特に限定されないが、0.02〜1.0μmの範囲内であることが好ましい。めっき層の種類としては、はんだ付けの向上目的のためには、銀めっき、金めっき、ニッケルめっき等が好ましく、はんだ溶食防止の目的のためには、ニッケルめっき等が好ましい。そのめっき方法、めっき液組成、めっき条件、めっき厚さ等については任意に設定される。
得られた高周波コイル用線材10は、モーター、インバータ、非接触給電用等のパワー半導体を使う高周波分野に絶縁電線を用いたコイル(リアクトル、インダクタ、チョークコイル、ノイズフィルター、IHヒータ、電源トランス等)として使用される。この高周波コイル用線材10は、安定した高周波特性を示すことができ、低コストで製造可能な細径の高周波コイル用線材となる。
本発明に係る絶縁電線20は、図2に示すように、上記本発明に係る高周波コイル用線材10を有し、その高周波コイル用線材10を構成する銅鉄合金層2の外周に絶縁層4が形成されている。高周波コイル用線材10の構成要素は既に説明したので以下ではそれ以外について説明する。
絶縁層4は、図2に示すように、銅鉄合金層2の外周に設けられている。絶縁層4を設けることにより、高周波コイル用線材10を、各種高周波コイル、高周コイル用の電線(撚り線、集合させた素線の外周を絶縁被覆により一体化した絶縁電線等)として有用に利用できる。絶縁層4は特に限定されず、従来公知のものを適用することができ、例えば、絶縁性塗布皮膜、絶縁性押出し樹脂又は絶縁性テープ、又はそれらの組み合わせ等として設けられる。
中心導体用素線として、直径8.0mmで101%IACSのタフピッチ銅(TPCと略す。)を用いた。次に、幅28mm、厚さ0.15mmでFe含有率が5質量%の銅鉄合金テープを準備した。この銅鉄合金テープを中心導体素線の周囲の軸方向に包み込み、溶接によって被覆率50%の筒状複合材を作製した。その後、複合材を伸線ダイスを用いて引き抜き加工して中心導体素線と銅鉄合金テープとを圧着させ、直径7.0mmの複合化導体とした。この複合化導体を伸線加工して、直径0.1mmの高周波コイル用線材10を得た。なお、熱処理は加工歪みを緩和させるために、インラインでの熱処理を行い、2.6mm、0.8mm、0.1mmのそれぞれのタイミングで600〜800℃・0.5〜3分間で行った。得られた高周波コイル用線材10の外周に、ポリエステル系絶縁層形成用塗料を塗布焼き付けし、絶縁層4を設けた絶縁電線20を得た。
Fe含有率が10質量%の銅鉄合金テープを準備し、この銅鉄合金テープを中心導体素線の周囲の軸方向に包み込み、溶接によって被覆率30%の筒状複合材を作製した。それ以外は、実施例1と同様にして、実施例2の高周波コイル用線材10及び絶縁電線20を得た。
Fe含有率が30質量%の銅鉄合金テープを準備し、この銅鉄合金テープを中心導体素線の周囲の軸方向に包み込み、溶接によって被覆率30%の筒状複合材を作製した。それ以外は、実施例1と同様にして、実施例3の高周波コイル用線材10及び絶縁電線20を得た。
Fe含有率が50質量%の銅鉄合金テープを準備し、この銅鉄合金テープを中心導体素線の周囲の軸方向に包み込み、溶接によって被覆率5%の筒状複合材を作製した。それ以外は、実施例1と同様にして、実施例4の高周波コイル用線材10及び絶縁電線20を得た。
中心導体用素線として、直径8.0mmで88%IACSの2質量%銀入り銅を用いた。次に、実施例2で用いたのと同じFe含有率が10質量%の銅鉄合金テープを準備した。この銅鉄合金テープを中心導体素線の周囲の軸方向に包み込み、溶接によって被覆率30%の筒状複合材を作製した。その後、実施例1と同様にして、実施例5の高周波コイル用線材10及び絶縁電線20を得た。
中心導体用素線として、直径8.0mmで80%IACSの4質量%銀入り銅を用いた。それ以外は、実施例5と同様にして、実施例6の高周波コイル用線材10及び絶縁電線20を得た。
中心導体用素線として、直径8.0mmで80%IACSの0.3質量%錫入り銅を用いた。それ以外は、実施例3と同様にして、実施例7の高周波コイル用線材10及び絶縁電線20を得た。
中心導体用素線として、直径8.0mmで74%IACSの3質量%錫入り銅を用いた。それ以外は、実施例3と同様にして、実施例8の高周波コイル用線材10及び絶縁電線20を得た。
中心導体用素線として、直径8.0mmで101%IACSのTPCを用い、その後、伸線ダイスを用いて引き抜き加工して、直径0.1mmの中心導体のみからなるコイル用線材を得た。なお、熱処理は加工歪みを緩和させるために、2.6mmのタイミングで800℃・2分間で行った。得られたコイル用線材の外周に、ポリエステル系絶縁層形成用塗料を塗布焼き付けし、絶縁層4を設けた絶縁電線を得た。
中心導体用素線として、実施例5〜8で用いたものをそれぞれ準備し、比較例1と同様にして、比較例2〜5のコイル用線材と絶縁電線を得た。
実施例1〜8及び比較例1〜5の絶縁電線を用いて、導電率、Q値、抵抗変化率、Fe含有率を測定した。導電率は、YOKOGAWA抵抗計により直流抵抗を測定し、その値から、銅線を100%とした場合の導電率として計算した。Q値は、絶縁電線(エナメル線)でコイルを作製して評価した。コイルは、ヘリカルコイルを作製(巻数:22ターン、巻枠直径5.5mm)し、インピーダンスアナライザにより、1MHzの時のコイルのQ値を測定した。抵抗変化率は、交流抵抗を直流抵抗で割った値であり、シールド性を評価した。Fe含有率はICP発光分光分析によって測定した。これらの結果を表1及び表2に示した。
2 銅鉄合金層
3 化合物層
4 絶縁層
10 高周波コイル用線材
20 絶縁電線
Claims (7)
- 銅又は銅合金からなる中心導体と、前記中心導体の外周に設けられた銅鉄合金層とを有する、ことを特徴とする高周波コイル用線材。
- 前記銅鉄合金層中の鉄含有量が5〜50質量%の範囲内である、請求項1に記載の高周波コイル用線材。
- 前記高周波コイル用線材の総断面積に占める前記銅鉄合金層の断面積比が5〜50%の範囲内である、請求項1又は2に記載の高周波コイル用線材。
- 導電率が60%IACS以上である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の高周波コイル用線材。
- 前記中心導体の材質が、タフピッチ銅、無酸素銅、銀入り銅、及び錫入り銅から選ばれるいずれかである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の高周波コイル用線材。
- 前記中心導体と前記銅鉄合金層との境界面に化合物層が存在している、請求項1〜5のいずれか1項に記載の高周波コイル用線材。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載の高周波コイル用線材を有し、該高周波コイル用線材を構成する銅鉄合金層の外周に絶縁層が形成されている、絶縁電線。
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JP2005522840A (ja) * | 2002-04-12 | 2005-07-28 | ジョンゴ・ヨン | 磁気抵抗エナメル線及びその製造方法とこれを用いたコイル及びその製造方法 |
US20160215357A1 (en) * | 2013-09-06 | 2016-07-28 | Kc Glass & Materials Co., Ltd. | Copper ferrous alloy for shielding electromagnetic waves and method for preparing the same |
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