JP5405798B2 - 吸収性物品 - Google Patents

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本発明は、人体に装着されて排泄された体液等を吸収する吸収性物品に関する。
例えば女性の生理用ナプキンやパンティライナ、高齢者あるいは幼児用のおむつなどの分泌液等の吸収性物品においては、従来から機能性や着用感を向上させるために種々の改良が加えられて今日に至っている。具体的には、肌側に接する表面シート、衣服に接する裏面シート、これらの両シート間に挟み込まれる吸収体などの各構成部材において要求される機能を高める素材の開発、それらの部材の形態や構造の改良、あるいはそれらの組み合せなどが検討され、試みられてきた。
この中で形態に工夫を凝らしたものとして、特許文献1には、パルプ積繊分布を必要な部分にのみ多く積繊させるために、台紙上の幅方向中央部にパルプ繊維を積繊し、台紙の幅方向両端部を折り重ねて吸収体を形成し、かつ台紙上の幅方向中央部および幅方向一端部または両端部にパルプ繊維を積繊する工程を有する吸収体の製造方法が開示されている。
また、他の例として、特許文献2に示すように、吸収体心綿で構成したパネルを中央と両側の3区画に区分けし、両側のサイドパネルを中央のミドルパネルの片面側へ折り重ねて吸収材コア体を形成し、これを液透過性カバーで上張りして吸収材製品としたものが知られている。
また、特許文献3には、裏面シート側及び/又は表面シート側から陥没する多数の圧縮部が互いに離間して形成されており、圧縮部は液吸収によってその厚みが液吸収前よりも増加するようになされている吸収性物品が開示されている。この物品は具体的には、吸収体の片面が陥没するように吸収体材料にエンボス加工を施し、陥没していない平滑面を肌面側に向けて配置した生理用ナプキンである。この生理用ナプキンによれば、表面シートからの液の引込み性、及び吸収ポイント近くでの液の保持性に優れるとされる。
さらに、特許文献4には、不織布を多層積層したシート材であって、所定方向に沿って層状態が変化した層状態変化領域を有しており、層状態変化領域が所定方向に折り重ねられることによって、不織布積層体の各層の層状態が不織布積層体の厚み方向に異なるようにすることが記載されている。具体的に、上記層状態は、各層におけるエンボスの数や大きさを変えることにより異なるものとされている。この不織布積層シートは表面シート若しくは吸収体と表面シートとに介在される拡散層として好適に用いられるとされる。
特開平11−137604号公報 特開平7−163619号公報 特開2006−55352号公報 特開2007−168219号公報
この種の吸収性物品としては、通常、液吸収性を高めるために、パルプ繊維層を圧縮して引き込みを良くすることが行われている。圧縮によって繊維層の密度を上げるには、吸収体をエンボス加工する方法が採用される。パルプ繊維体としての吸収体の液拡がり面積及び液残り量を、馬血滴下について試験してみると、拡がり面積はエンボス無しの場合よりも、エンボス加工を行い、かつ、そのエンボス率(後述)を高めた方が液拡がりが増加し、表面の液残り量についても、エンボス無しの場合よりもエンボス率を高めた吸収体の方が大きく低下するのが確められている。
しかし、単純に吸収体全域にエンボス加工を行うと、(イ)吸収体全体が硬くなり、使用者に不快感を与える、(ロ)安心感やフィット感を得る「吸収体厚み」が確保し難く、厚みと吸収性のバランスを確保するのが困難であり、さらに(ハ)表面の拡散面積が広がることで周囲へ液が拡がり易くなり、液漏れを誘発する原因となりうる。
上述した特許文献1に記載の吸収体の製造方法及び製造装置は、必要な箇所にパルプ層を積繊して部分的に高坪量とした吸収体が得られる利点はあるものの、台紙上に個別にパルプ繊維層を必要量積繊した上で前記台紙を折り重ねるという工程を経なければならないので、工程全体として手数がかかり、また積繊装置も比較的複雑である。
特許文献2に記載された吸収材製品は、簡単な折り畳み工程で吸収体コアを製作できるものの、折り畳んだ各層の厚みが均等で、かつ、上層にエンボス部があるため、上層で液が拡がり、肌に接する上層では液の吸収効果が低く、その結果、上層から側部へ向って液漏れが起き易い。
また、特許文献3の構造は、圧縮部における液保持機能が向上し、液戻りが少ないという利点はあるものの、一層の吸収体に下面側からエンボス打ちを行うため、吸収体上部で高密度となり、上面での液拡散が若干生じ易いといった難点も指摘される。
本発明は、上記の課題に鑑み、使用上の風合いとともに、液拡がりを維持しつつ、下層側への液引込み力の向上、並びに液保持性の向上を図った吸収性物品を提供することにある。
上記の目的を達成するため、本発明の吸収性物品は、表面シートと、裏面シートと、前記両シートの間に配置された吸収体とを有する吸収性物品であって、前記吸収体は、吸収体長手方向に沿って吸収体の両側方が折り畳まれて積層された上層部と下層部との多層構造を有し、前記下層部には前記上層部の幅方向中央部よりも凹凸高密度化された圧縮領域がある。
本発明によれば、下層の液引込み性の向上及び上層での液拡散の抑制により、上層表面でのドライ感が得られ、また、側部での吸収体の折り曲げにより、側部液漏れの防止と柔軟性の向上を達成できる。
以下に本発明をその好ましい実施形態に基づき説明するが、本発明はこれらにより限定して解釈されるものではない。
本発明の実施形態を説明するに先立ち、本発明で用いられる幾つかの用語について、その定義を以下に記載する。
本発明において、「凹凸高密度化」は、繊維から構成される構造部材を圧縮して凹凸賦形した場合、少なくとも凹部の繊維密度が高まることを表現している。この場合、凸部の繊維密度は高くなる場合もあるし、実質変わらない場合もある。例えば、通常のエンボス加工はこの凹凸高密度化に含まれる。具体的には、エンボスロール乃至これとフラットロールとの組合せにより点エンボス若しくは線状エンボスにより凹凸賦形することが挙げられ、フラットロールにより部材の全体若しくはまとまった領域を平押し圧縮することは含まない。上記エンボスの大きさは特に限定されないが、点エンボスであれば1点の面積が1〜30mmであることが好ましく、線状エンボスであれば線幅が1〜5mmであることが好ましい。線状エンボスにおいて、1つの線内に高圧縮部と低圧縮部とを設けてもよく、それぞれの長さは特に限定されないが、例えば0.5〜5mmであることが好ましい。
本発明において「積層する」とは、2つの部材が接しながら積層することのほか、両部材間の間に他のシート部材や接着剤等を介在させることも含む。そして本発明の吸収性物品においては、上層部と下層部とがほぼ同じ横幅で積層されることが好ましい。この場合、1枚の吸収体素材を中央で2つに折り畳んで上層部と下層部を構成するか、あるいは吸収体素材の両側部分をそれぞれ中央部の下面に接するように折り畳んで2層構造としてもよい。場合によっては、両側部の端部が互いに部分的に重なるように折り畳んで一部分3層構造となるようにしてもよい。
本発明の吸収性物品においては、吸収体の下層部には上層部の幅方向中央部より凹凸高密度化されている部分があるが、下層部において凹凸高密度化された圧縮領域は使用者の概ね排泄部(例えば膣口)に対向する部分を含む領域(本発明においては、吸収性物品における当該領域を「排泄部対応位置」という。)に形成されることが好ましい。この排泄部対応位置は排泄部に対向する部分を含めばその吸収体ないし吸収性物品における範囲は特に限定されないが、吸収体表面積の10〜90%であることが好ましい。本発明において「繊維密度」とは、繊維部材の所定領域における単位体積当りの繊維質量をいい、単に「密度」というときには特に断らない限りこの繊維密度をさす。密度の測定方法については、特に断らない限り、マイクロスコープ(キーエンス社製)を用いて体積を割り出し、吸収体の質量をその体積で除した値とする。また、吸収体等において密度に勾配をつけつとき、高密度(Dh)−低密度(Dl)の好ましい差(Dh−Dl)の範囲は20〜80%である。
本発明において「凹凸高密度化率」若しくは「エンボス率」とは、対象となる部材のエンボス等が施された領域における面積Aに含まれる「凹凸高密度化された部分」若しくは「エンボス」の面積aの総和の比率(Σa/A)をいう。ここで、面積Aは、特に断らない限り、エンボス又は高圧搾部が50〜100箇所計測できる範囲とする。本発明の吸収性物品において、吸収体の下層部の排泄部対応位置における「凹凸高密度化率」若しくは「エンボス率」は特に限定されないが、エンボスが施されている領域において10〜70%であることが好ましい。
図1は本発明の吸収性物品における好ましい実施形態(実施形態1)としての生理用ナプキンを一部分破断して示した斜視図である。また図2(a)は図1のII−II線に沿った拡大断面図、図2(b)は図2(a)のA部の拡大図であり、吸収体内部における液の引き込み形態及び各層どうしの接触状態を示したものである。この実施形態1の生理用ナプキン10は、本発明の要部である吸収体1と、この吸収体1を上下面で挟むように包囲する液透過性の表面シート2及び裏面シート3と、吸収体1の長手方向両端部を包むサイドシート4と、折り畳み前の吸収体素材と一体で折り畳まれる台紙8(図2)とを有している。裏面シート3の下面は若干粘着性が付与されており、これによって使用時には下着の裏面に軽く接着される。
なお、図2においては、明瞭化のため、吸収体1に対して表面シート2、裏面シート3、サイドシート4、台紙などは離間して示してあるが、実際には相互に密着して配置される。
図1にも明示されるように、表面シート2、裏面シート3、サイドシート4は長手方向に長さがほぼ等しく、かつ吸収体1の長手方向両端より若干長く張り出している。より具体的に説明すれば、まず、吸収体1の両側部を表裏面から挟むようにサイドシート4が付着され、次に表面シート2を吸収体1の表面からサイドシート4に重なるように裏面の側部にかけて張着され、さらに吸収体1の裏面側へ部分的に延びた表面シート2及びサイドシート4に重なるように裏面シート3が吸収体1の裏面に張着される。
なお、吸収体1を包囲する表面シート2、裏面シート3及びサイドシート4は、必ずしもこのような形態に限定されるものではなく、吸収体1の他の包囲形態、例えば、これらのシートを吸収体1の長手方向(Y方向)だけでなく横幅方向(X方向)にも周縁部を外側へ張り出るようにし、また長手方向中央箇所で側方へ大きく耳状に伸長させてサイドウイング部を形成するようにしてもよい。この場合、前記サイドウイング部は、使用時に下着を挟み込むように下着表面側に折り畳まれる。なお、これらのシートの周縁の張り出し、及び前記サイドウイング部により、下着への装着が容易になるとともに、液体の漏れ、特に横漏れをさらに効果的に防止できる。このようなサイドウイング部を有する実施形態とする場合、図示した本実施形態1のナプキンとは側部の部材配置が異なる。すなわち、表面シート2及びサイドシート4を吸収体を巻き込むようにして裏面シート3で挟み込むのではなく、表面シート2及びサイドシート4を側部外方に張り出すように延在させて構成することができる。
吸収体1を物品内部で所望の位置に確実に配設保持し、形くずれや吸収体のずれを起さないように吸収体1の両端部に近接して表面シート2及び裏面シート3が吸収体1とともに、あるいは吸収体1にのみ帯状の接合部5を設けてもよい。この接合は例えば線状のエンボス手段によって行うことができ、これによって例えば使用者の装着状態で運動等による体勢の変化があっても、形くずれ等は防止される。また、強い圧搾による深いエンボス加工を両側部の近傍部分に施して防漏部6を形成してもよい。
実施形態1における吸収体1は、矩形平板状のパルプ積繊体で形成された吸収体素材(図示省略)の両側部が素材裏側へ折り畳まれ、その両端部が前記素材の裏面で近接あるいは突き合わせられ、これによって上層部1aと下層部1bの2層構造の吸収体1となっている。したがって全体の厚みが大きく、柔軟性及びクッション性に富み、これによってフィット感及び安心感を与える厚みと吸収性とのバランスが確保される。なお、使用時には上層部が使用者の肌に接する側となる。
上記のように実施形態1による吸収体1は、両端部を切断して2枚重ねとした構成ではなく、両端部を折り曲げて2層構造としているので、両幹部の切断縁での硬化がなく好ましい。また、エンボスによる凹凸高密度部7(図2参照)は中央部の排泄部対応位置にのみに形成されるため、吸収体全体としては柔軟性があり、使用時の違和感を抑えることができる。本実施形態1の吸収体1は、両側の下層部の端部1t,1tが互いに当接するようにされている。このとき下層部端部の当接とはばらつき等により幾分離間していてもよく、その離間距離は10mm以下であることが好ましい。
図2に示すように、吸収体1の下層部1bは全体の横幅方向中央付近、より具体的には使用者の液排泄部に対応した部位(ここでは吸収ポイントと称する)付近にエンボス加工による凹凸高密度部7が形成されている。上層部1aと下層部1bはこのエンボス凸部7aで接触し、エンボス凹部7bではエンボス溝7dによる空隙が生じている。
このような高密度化をもたらすエンボス形状としては種々の形態が採用可能であるが、実施形態1としては、図3に示すように、長手方向及び横幅方向に配列された凹状の点エンボス9で形成されているものが挙げられる。なお、この点エンボス9は下層部1bの上面(上層部側)及び下面に同形態で対向するように形成される。
別の好ましいエンボス賦形の実施形態(実施形態2)として図4に示すように長手方向に連続した凹状の線状エンボス11で凹凸高密度部が形成されているものが挙げられる。図示のように、これらの線状エンボス11は横幅方向(X方向)には不連続であり、このような長手方向のエンボス部11を形成することにより、液はエンボス部11に沿って長手方向に伝達される傾向となり、横方向への液の拡散が少なくなり、液の横漏れが防止される。また、吸収体1の下層部1bの両端部近く、及び両端部近くには点エンボス(図3)、線状エンボス(図4)とも形成されず、長手方向及び横方向への液漏れも防止される。
次に、本発明のまた別の好ましい実施形態(実施形態3)について、図5を参照して説明する。本実形態においては、下層部1bの周辺における非エンボス部(低密度部)13に対して、中央部の排泄部対応位置に設けられた凹凸高密度化されたエンボス部(凹凸高密度部)7は領域としてその繊維密度が高められている。この高密度部7は、その中で低密度となるエンボス凸部7aと、より高密度のエンボス凹部7bとから構成される(図2、図5参照)。その結果、凹凸高密度部7の密度は、エンボス凸部7aとエンボス凹部7bとをあわせて平均化した繊維密度、すなわち凹凸高密度部全体の質量(Wo)をその体積(Vo)で除した値となる。そしてエンボス凸部7aとエンボス凹部7bとは、長手方向にみて連続し、幅方向にみて不連続とされている。このような幅方向にみて不連続な高密度領域の構成は図3〜図6に示した本実施形態1〜4において共通する。
図5に示す実施形態ではさらに凹状の点エンボス9の内側に、この点エンボス9よりも底の深い凹状の深底点エンボス12が形成されている。すなわち、排泄部対応位置の凹凸高密度部7周囲の非エンボス部13に比べて高密度となっているが、底の深い内側の深底点エンボス12の部分を外側の点エンボス9の周辺部分よりも更に高い凹凸高密度部としてもよい。
このように下層部1bの吸収ポイントにおいて高密度領域と、更に密度の高い高密度領域を混在させることにより、下層部1bの平面上で密度勾配が生じ、上層部から高密度部へ引き込まれた液はより高い高密度領域へ取り込まれ、全体として下層部1bの液引込み性が向上し、また下層部1bの横幅方向への液拡散が防止される。
図6はさらにまた別の好ましい実施形態(実施形態4)を示す下層部1bを裏面側からみた平面図である。この実施形態では、図4に示す長手方向に延在した線状エンボス部11内に、より底の深い凹状の深底線状エンボス14が長手方向に間隔を置いて形成され、これによって下層部1bに連続して形成された高密度部分には、高圧搾部(深底線状エンボス部14)と低圧搾部(線状エンボス部11)とが長手方向に交互に形成された形態となっている。この実施形態においても、図5のエンボスパターンと同様に、高圧搾部領域と低圧搾部領域とを混在させることにより、下層部1bの平面に密度勾配が生じ、上層部から高密度部へ引き込まれた液は、高密度領域の低圧搾部から高圧搾部へと取り込まれ、全体として下層部の液引込み性が向上し、また、低圧搾部及び高圧搾部とも横幅方向には不連続となっているので、下層部で横幅方向への液拡散は防止される。
さらに、凹エンボス加工した領域に底の深いエンボス加工を行うので、より高密度のエンボスあるいは高圧搾部の成形性が向上する。また、長手方向に並ぶ凹状のエンボス部分に高圧搾部と低圧搾部とを交互に形成することにより、吸収体の長手方向の柔軟性が向上する。
図7はまた別の実施形態(実施形態5)に係る吸収体の部分的な長手方向断面図である。この実施形態では吸収体1の上層部1a下側に折り畳まれた下層部1bの端部16,17どうしが吸収体1の横幅方向中央部分で重なっている。この形態においては、吸収体1の中央部では下層部1bがこの重ね部分で2層となっており、したがって、上層部1aと2層の下層部1bとで部分的に3層構造となっている。この重なり部分では一方の下層部1bの端部16は上層部1aの下面に接し、この部分の密度が両側周辺部より高密度にされている。
このような構成とすることにより、吸収体1の中央部で大きな密度勾配が生じ、上層部1aからの液の引込み性が一層高くなるとともに、下層部1bでは中央部から周辺側へと液の拡散が生じ、全体として液の保持性も向上する。また、上層部1aでは周辺部より中央部での密度を高くしても、下層部1bの端部の重なりにより、吸収体1の中央部全体での大きな密度勾配は失われず、上層部1aでの液拡散防止、上層部1aの中央側への液の集中、上層部1aの中央から下層部1bへの液の引込みが良好に行われる。
上述の実施形態では下層部の高密度化は下層部上面と下面で同じに構成したが、これとは別の実施形態(実施形態6)では下層部の上下面で密度が異なるように形成されている。この場合、図8に示すように、下層部1bの下面20の方を上面21より高密度とすることにより、大きな密度勾配が生じ、下層部1bでの液の引込み性がさらに向上する。このように層内で上面側と下面側とにおける繊維密度の勾配を設けるためには、図示したもののように、上面側のエンボス溝7dと下面側のエンボス溝7cとの深さに差をつけることでなしうる。本実施形態では上面側のエンボス溝7dをより深くし、下面側の繊維密度を高める構成としている。また、これとは別にエンボス率が上下面で異なるように、下層の上面及び下面を賦形する実施態様があげられる。すなわち、上面側にあらわれるエンボスと下面側にあらわれるエンボスの間隔や面積が異なるようにして、上述のように好ましくは下面側を高密度にすることができる。たとえば、線エンボスのピッチが上面と下面とで異なるようにしてもよい。
本発明の吸収性物品においては、吸収体下層部の排泄部対応位置に設けられた凹凸高密度部に吸収性ポリマー材を排泄することが好ましい。吸収性ポリマー材は吸収性ポリマーを含有すれば、その他の成分を有していてもよいが、吸収性ポリマーのみからなることが好ましい。吸収性ポリマーとしては、使い捨ておむつや生理用ナプキン等の吸収体に通常使用されている各種のポリマー材料を用いることができ、例えば、ポリアクリル酸ソーダ、(アクリル酸−ビニルアルコール)共重合体、ポリアクリル酸ソーダ架橋体、(デンプン−アクリル酸)グラフト重合体、(イソブチレン−無水マレイン酸)共重合体及びそのケン化物、ポリアクリル酸カリウム、並びにポリアクリル酸セシウム等が挙げられる。本発明において吸収性ポリマーは、自重の20倍以上の水又は生理食塩水を吸収し保持し得る性能を有するような超吸収性高分子化合物、いわゆるS.A.P.(Super Absorbent Plymer)であることが好ましい。吸収性ポリマー材の形状は特に限定されないが、球形粒状のもの、不定形粉末状のもの、塊状のもの等が挙げられる。このように、吸収性物品の下層部に形成された凹凸高密度部に吸収性ポリマー材を配置することで、さらに液引き込み性が向上でき、また側部液漏れ防止効果も向上できる。
上記本発明の吸収性物品のける各実施形態として生理用ナプキンは、通常のこの種物品の製造工程により製造することができる。例えば、大別して台紙供給ロール、解繊機と、パルプ積繊機と、エンボス加工を行うプレス機と、折り畳み装置と、カッターと、シート付け装置とを有し、台紙やパルプ繊維等素材の供給から製品取り出しまで一連の搬送ライン上で自動的かつ連続的に吸収性物品の製造することができる。吸収体素材を折り畳んで吸収体とするときには、例えば折り畳み装置として、折り目付けローラ及び折り畳み用邪魔板を備えたものを用い、吸収体素材の側部を裏側へ折り返して、吸収体素材の中央部の裏面に重なるように折り畳むことができる。折り畳み装置としては、例えば特開平11−137604の図4〜図7に開示されたものを参考にすることができる。
本発明の吸収性物品において表面シートは、液透過性であり肌への当りのソフトな材料からなることが好ましい。例えばコットン等の天然繊維を材料とする不織布や、各種合成繊維に親水化処理を施したものを材料とする不織布を用いることができる。裏面シートは液不透過性のシート材からなることが好ましい。裏面シートは必要に応じて水蒸気の透過性のものであってもよい。具体的に十分な水蒸気透過性を得るために、炭酸カルシウム等のフィラーからなる微粉を分散させたポリエチレン等の合成樹脂製のフィルムを延伸し、微細な孔をあけた多孔質フィルムを用いることが好ましい。サイドシートとしては、不織布、フィルムシート、紙等が挙げられる。防漏性の観点からは、サイドシートを液不透過性又は難透過性である疎水性不織布、防漏性のフィルムシート等により形成することが好ましい。上記シートは一枚でもよいし、さらに機能性のシート等と組み合わせて2枚以上のものとしてもよい。吸収体の形成材料としては、通常吸収性物品に用いられるものを用いることができる。具体的には例えば、繊維集合体又はこれと高分子吸水ポリマーとを併用させたもの等を用いることができる。繊維集合体を構成する繊維としては、パルプ繊維等の親水性天然繊維や、合成繊維(好ましくは親水化処理を施したもの)等を用いることができる。
上記各実施形態においては、本発明の吸収性物品について生理用ナプキンを例に詳しく説明したが、本発明はこれに限定されず、様々な吸収性物品において効果を奏するものである。本発明の吸収性物品として例えば、生理用ナプキンのほか、失禁用パット、おむつ、ペット用シーツなどが好ましい実施形態として挙げられる。
本発明について実施例に基づきさらに詳細に説明するが、本発明はこれにより限定して解釈されるものではない。
(実施例)
以下のようにして図1に示した生理用ナプキン試験体1を作製した。表面シートとしてポリエチレンとポリエステルによる芯鞘構造の2.2dtex繊維(大和紡績(株)製NBF(SH)[商品名]、表面親水性処理済み)をカード法によりウエブ化した後、熱処理温度133℃のエアスルー法により不織布化した不織布を用い、裏面シートとしてポリエチレン製のフィルムを用いた。台紙は16g/m2の吸収紙(伊野紙製)を使用し、解繊機に仕込むパルプ繊維としてはウエハウザー製のNB416L[商品名]を用いた。製造した生理用ナプキンの寸法は、長手方向(Y方向)が約205mm、幅方向(X方向)が70mmであった。表面シートの厚みは0.4mmであり、坪量は25g/mであった。裏面シートは凹凸表面処理が施されており、その厚みは22μmmであり、坪量は20g/mであった。
吸収体は図1及び図2に示したように長手方向に沿って2つ折りに折り畳まれた上層部と下層部から構成されている。折り畳まれた吸収体は長さ(Y方向)175mmであり、幅(X方向)68mmであった。また、吸収体全体の厚さは5mmであり、上層部の厚さは約2.5mmであり、下層部の厚さは約2.5mmであった。吸収体全体の坪量は240g/mであり、上層部の坪量は120g/mであり、下層部の坪量は120g/mであった。
吸収体1は図6に示したような下層部に高圧搾部と低圧搾部を有する6本の線状エンボス部が施されたものとした。1本の線状エンボスの全体長さreは約120mmであり、幅rcは約2mmであった。高圧搾部の長さrbは約1mmであり、低圧搾部の長さはraは約1.5mmであった。また吸収体の全長は175mm、横幅は68mmである。下層部のエンボス率は45%であった。吸収体の厚みは4.5mmであった。
「表面液残り量の測定・算出手段」
試験液の馬血を滴下して約1分後の試験体を解体し、馬血を滴下した部分を含む表面シートを切り出し、その質量(Wf)を測定した。一方、馬血を滴下しない同面積の表面シートの質量(Wi)を予め測定しておき、滴下前後の質量の差(Wf−Wi)を求め、これを液残り量とした。この液残り量が少ないほど良く、この値が30mmg以下であるとき実用上高いレベルで満足を得ることができる。
「表面側液拡がり面積の測定・算出手段」
上記馬血を滴下して約1分後の試験体を表面シート側から画像解析機(NEXUS社製、画像解析ソフトNEW QUBE(ver.4.20)、光源(サンライト SL−230K2;mm/F2.8Dニッコールレンズ)、CCDカメラ[(HV−37;日立電子(株)社製)Fマウントによるレンズとの接続]及びビデオボード[スペクトラ3200;カノプース(株)社製]を用いて撮影し、この撮影画像から馬血により染色されている部分の面積を算出した。この漏れ拡がり面積が小さいほど良く、この値が10mm以下であれば、実用上高いレベルで満足を得ることができる。
(比較例)
比較例として、上記試験体と同じ坪量で、エンボス無しの単層吸収体を用いた生理用ナプキン試験体c1と、同じ坪量でエンボス率2.2%の単層吸収体を用いた生理用ナプキン試験体c2と、同坪量でエンボス率7.6%の単層吸収体を用いた生理用ナプキン試験体c3とを用い、表面側液残り量(mg)と表面側液拡がり面積(cm)及び同じ坪量での吸収体厚みを試験した。その結果を表1に示す。
[表1]
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
試験体 吸収体厚さ 表面シート液残り量 表面側液拡がり面積
(mm) (mg) (mm
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
c1 5.8 75 10
c2 4.9 60 10
c3 2.8 25 13
1 4.5 30 10
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この結果からも明らかなように、本発明の吸収体(試験体1)では表面側の液残り量は30mgと少なく、比較例の試験体c1,c2と比べてきわめて良好であった。また表面側の液拡がり面積も小さく、良好であった。吸収体の厚みも同じ坪量の比較例c2と変わりない程度に大きく、良好であった。
以上説明したように本発明の好ましい実施形態によれば、矩形状のパルプ積繊の長手方向側部にエンボス加工を施した上で、前記側部を中央部の裏側へ折り畳む構成としたので、中央の上層部から下層部へかけて密度勾配が生じ、上層部から下層部への液引込み力が向上し、また吸収体表面での液拡散が抑制され、吸収体表面のドライ感が向上する。そして、装着時の違和感もなく、吸収体の液吸収性とフィット感や安心感を与える吸収体厚みのバランスを確保できる等の効果がもたらされる。
本発明の吸収性物品の好ましい実施形態(実施形態1)としての生理用ナプキンを一部分破断して模式的に示した斜視図である。 図1のII−II線に沿った拡大断面図(a)及びそのA部拡大断面図(b)である。 本実施形態1おける吸収体下層部の点エンボスの形成状態を示す平面図である。 本発明の別の好ましい実施形態(実施形態2)の吸収体下層部の線状エンボスの形成状態を示す平面図である。 本発明のまた別の好ましい実施形態(実施形態3)による吸収体下層部の線状エンボスの形成状態を示す平面図である。 本発明のさらにまた別の好ましい実施形態(実施形態4)による吸収体下層部の線状エンボスの形成状態を示す平面図である。 本発明のまた別の好ましい実施形態(実施形態5)の吸収体の幅方向拡大断面図である。 本発明のさらにまた別の好ましい実施形態(実施形態6)の吸収体の部分的な幅方向拡大断面図である。
符号の説明
1 吸収体
1a 上層部
1b 下層部
2 表面シート
3 裏面シート
4 サイドシート
5 接合部
7 凹凸高密度部(エンボス部)
7a エンボス凸部
7b エンボス凹部
8 台紙
9 点エンボス
10 生理用ナプキン
11 線状エンボス部
12 深底点エンボス
13 低密度部(非エンボス部)
14 深底線状エンボス

Claims (3)

  1. 表面シートと、裏面シートと、前記両シートの間に配置された吸収体とを有する吸収性物品であって、
    前記吸収体は、吸収体長手方向に沿って吸収体の両側方が折り畳まれて積層された上層部と下層部との多層構造を有し、
    前記下層部には前記上層部の幅方向中央部よりも凹凸高密度化された圧縮領域があり、
    前記圧縮領域は、高圧搾部からなる凹部と低圧搾部からなる凸部が交互に吸収性物品の長手方向に連続して形成され、
    前記下層部には前記凹部と前記凸部とより密度の低い未圧搾の低密度部が存在し、前記低密度部において折り畳まれていて、
    前記吸収体の長手方向に沿う両側部が前記裏面シート側に折り畳まれてなす前記下層部の両側部同士が互いに部分的に重なるか、又はその側部端において互いに当接し、かつ前記下層部の中央領域は、その両側部よりも高密度の前記圧縮領域であり、
    前記圧縮領域は中央部の排泄部対応位置にのみ形成されている吸収性物品。
  2. 前記凹部と前記凸部が長手方向に交互に連続する凹凸高密度部は幅方向に間欠的に複数配置され、前記凹部と前記凸部とは、幅方向にみて不連続である請求項1に記載の吸収性物品。
  3. 前記高圧搾部からなる凹部の内側に、底の深く、より密度の高い凹状部を設ける請求項1または2に記載の吸収性物品。
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