JP5403859B2 - 金属面貼付用感圧性接着シート類 - Google Patents

金属面貼付用感圧性接着シート類 Download PDF

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Description

本発明は、金属面貼付用感圧性接着シート類に関し、より詳細には、金属面に対して直接に貼付しても金属面を腐食させず、また、優れた粘着特性および光学特性で金属面に貼付することができ、さらに、粘着剤組成物を乾燥させて粘着剤層を形成させた後に迅速に粘着特性を発現させることができる金属面貼付用感圧性接着シート類に関する。
近年、電子ディスプレイ等の光学機器や、デジタル万能ディスク等の光学的記録ディスク(光学的記録媒体)などの光学的製品の普及が著しく、その構成中には感圧性接着シート類を用いた部分が多く使用されるようになってきている。例えば、プラズマディスプレイなどでは、前面板に電磁波シールド層を含む光学フィルターが装着されており、この際、電磁波シールド層に感圧性接着シート(粘着シート)が直接貼付されている。また、デジタル万能ディスクの場合、データを含んだディスク(基板)部分が光学読み取り装置で読めるようになっており、このディスクは金属被覆面を有しており、これらのディスクを接合する際に、感圧性接着シート類を利用する事がある(特許文献1参照)。
また、感圧性接着シート類を構成する粘着剤層における粘着剤組成物は、一般的に、十分な粘着特性を発現させる目的で、粘着剤組成物に凝集力を持たせるため、架橋剤が添加されており、ベースポリマーの乾燥時に、粘着剤組成物を化学的又は物理的に架橋させる場合が多い。この際、架橋剤としては、一般的に、エポキシ系化合物や、イソシアネート系化合物が用いられている。
特開2003−501296号公報
しかしながら、このような金属被覆面に感圧性接着シート類を適用する場合、従来の感圧性接着シート類を用いると、時間の経過と共に感圧性接着シート類における粘着剤層を形成する粘着剤組成物のベースポリマーの構造単位中に含まれるカルボキシル基などの酸性基により、金属面の腐食が発生する場合がある。このような金属面の腐食が発生すると、電磁波遮断や、光学的記録等の本来の機能に悪影響が及ぼされることになる。また、カルボキシル基などの酸性基を含まないベースポリマーを主成分とする粘着剤組成物を用いると、熱が加わった条件下や高湿度下などでは、接着強度の低下によって剥がれが生じたり、接着自体が不可能になったりする場合がある。
さらに、カルボキシル基等の酸性基を含まないベースポリマーを主成分とする粘着剤組成物を用いると、架橋剤としてエポキシ系化合物を用いることができず、そのため、イソシアネート系化合物が用いられることになる。しかし、架橋剤としてのイソシアネート系化合物は、エポキシ系化合物のような熱反応型架橋剤に比べて、ポリマー中の官能基構造単位上の官能基との架橋反応が遅く、粘着剤組成物の架橋反応を促進させるためや、架橋反応を平衡状態に安定させるために、加温または常温環境下で保存させる(エージングさせる)必要があり、そのために、感圧性接着シート類を保管するための経費がかかったり、また、感圧性接着シート類を作製した後に短時間内で使用することができなくなったりする問題がある。さらにまた、一方、架橋反応を促進させるために、スズ系化合物等の架橋助剤などを架橋剤と併用すると、スズ系化合物による金属面の腐食を発生させてしまう可能性がある。
従って、本発明の目的は、金属面に対して直接に貼付しても金属面を腐食させず、また、優れた粘着特性および光学特性で金属面に貼付することができ、さらに、粘着剤組成物を乾燥させて粘着剤層を形成させた後に迅速に粘着特性を発現させることができる金属面貼付用感圧性接着シート類を提供することにある。
本発明者らは上記の目的を達成するために鋭意検討した結果、感圧性接着シート類を構成する粘着剤層を、特定のアクリル系単量体と特定構造のマレイミド系化合物とヒドロキシル基含有共重合性単量体とを特定の割合で含む単量体混合物の共重合体をベースポリマーとする粘着剤組成物で形成するとともに、粘着剤組成物の乾燥時に、架橋剤としてイソシアネート系化合物および金属キレート系化合物を用いて硬化させると、該ベースポリマー中にアクリル酸等のカルボキシル基含有共重合性単量体に対応する構造単位が含まれていなくても、粘着剤組成物の乾燥の直後においても、粘着特性、光学特性及び耐熱耐湿性に優れ、しかも金属面に直接貼付しても金属面の腐食を長期間にわたり生じさせないことを見出した。本発明は、これらの知見に基づいて完成されたものである。
すなわち、本発明は、金属面に直接貼付するための感圧性接着テープ又はシートであって、該感圧性接着テープ又はシートを構成する粘着剤層が、下記の(a)成分を、単量体成分全量に対して50〜97.99重量%の割合で含み、下記の(b)成分を、単量体成分全量に対して2〜49.99重量%の割合で含み、下記の(c)成分を、単量体成分全量に対して0.01〜5重量%の割合で含んでいるとともに、カルボキシル基含有共重合性単量体を含まない単量体混合物による共重合体をベースポリマーとし、且つ架橋剤として前記ベースポリマーとしての共重合体100重量部に対して0.01〜15重量部のイソシアネート系化合物および前記ベースポリマーとしての共重合体100重量部に対して0.05〜0.2重量部の金属キレート系化合物を含有している粘着剤組成物により形成されていることを特徴とする金属面貼付用感圧性接着テープ又はシートを提供する。
(a)成分:下記式(1)で表されるアクリル系単量体
CH2=C(R1)COOR2 (1)
(式(1)において、R1は水素原子又はメチル基を示し、R2は炭素数が2〜14のアルキル基を示す。)
(b)成分:下記式(2)で表されるマレイミド系化合物
Figure 0005403859
(式(2)において、R3は水素原子又は1価の有機基を示す。)
(c)成分:カルボキシル基を含有しておらず、且つ(a)成分および(b)成分と共重合が可能なヒドロキシル基含有共重合性単量体
本発明の金属面貼付用感圧性接着テープ又はシートにおいて、粘着剤層を形成するための粘着剤組成物に係るベースポリマーとしての共重合体における単量体混合物は、(a)成分、(b)成分および(c)成分とともに、さらに、下記の(d)成分を、単量体成分全量に対して30重量%以下の割合で含んでいることが好ましい。
(d)成分:カルボキシル基を含有しておらず、且つ(a)成分、(b)成分および(c)成分と共重合が可能な他の単量体
本発明では、架橋剤としてのイソシアネート系化合物の割合は、粘着剤層を形成するための粘着剤組成物に係るベースポリマーとしての共重合体100重量部に対して0.01〜20重量部であることが好ましい
本発明の金属面貼付用感圧性接着テープ又はシートを貼付させることが可能な金属面としては、金属箔表面または金属薄膜層表面であってもよい。
尚、本明細書には上記発明の他に、金属面に直接貼付するための感圧性接着シート類であって、該感圧性接着シート類を構成する粘着剤層が、上記の(a)成分を、単量体成分全量に対して50〜97.99重量%の割合で含み、上記の(b)成分を、単量体成分全量に対して2〜49.99重量%の割合で含み、上記の(c)成分を、単量体成分全量に対して0.01〜5重量%の割合で含んでいるとともに、カルボキシル基含有共重合性単量体を含まない単量体混合物による共重合体をベースポリマーとし、且つ架橋剤としてイソシアネート系化合物および金属キレート系化合物を含有している粘着剤組成物により形成されていることを特徴とする金属面貼付用感圧性接着シート類についても記載する。
本発明の金属面貼付用感圧性接着シート類によれば、金属面に対して直接に貼付しても金属面を腐食させず、また、優れた粘着特性および光学特性で金属面に貼付することができ、さらに、粘着剤組成物を乾燥させて粘着剤層を形成させた後に迅速に粘着特性を発現させることができる。
本発明の金属面貼付用感圧性接着シート類は、該感圧性接着シート類を構成する粘着剤層が、下記の(a)成分を、単量体成分全量に対して50〜97.99重量%の割合で含み、下記の(b)成分を、単量体成分全量に対して2〜49.99重量%の割合で含み、下記の(c)成分を、単量体成分全量に対して0.01〜5重量%の割合で含んでいるとともに、カルボキシル基含有共重合性単量体を含まない単量体混合物による共重合体をベースポリマーとし、且つ架橋剤としてイソシアネート系化合物および金属キレート系化合物を含有している粘着剤組成物により形成されていることを特徴としている。
(a)成分:下記式(1)で表されるアクリル系単量体
CH2=C(R1)COOR2 (1)
(式(1)において、R1は水素原子又はメチル基を示し、R2は炭素数が2〜14のアルキル基を示す。)
(b)成分:下記式(2)で表されるマレイミド系化合物
Figure 0005403859
(式(2)において、R3は水素原子又は1価の有機基を示す。)
(c)成分:カルボキシル基を含有しておらず、且つ(a)成分および(b)成分と共重合が可能なヒドロキシル基含有共重合性単量体
このように、本発明の金属面貼付用感圧性接着シート類は、粘着剤層を形成する粘着剤層のベースポリマーを構成する単量体成分中に、単量体主成分としての特定のアクリル系単量体[(a)成分]を含んでおり、また、前記アクリル系単量体に対する共重合性単量体成分として、特定構造のマレイミド系化合物[(b)成分]を含んでおり、さらに、ベースポリマー中に官能基を導入するための官能基含有共重合性単量体としてヒドロキシル基含有共重合性[(c)成分]を含んでおり、しかも、カルボキシル基含有単量体(好ましくは、酸性基含有共重合性単量体)を含んでいないので、金属面に貼付した際には、金属面に対して変色や変質等の腐食を生じさせず、被着体の電磁波遮断機能や光記録等の機能が損なわれない。また、粘着剤のベースポリマー構造中にカルボキシル基を有しなくても、前記アクリル系単量体[(a)成分]および前記マレイミド系化合物[(b)成分]に対応する構造単位を特定量有しているため、優れた粘着特性および光学特性を発揮することができる。しかも、架橋剤として、イソシアネート系化合物および金属キレート系化合物が用いられているので、粘着剤組成物の乾燥時に硬化反応も進行させることができ、粘着剤組成物の乾燥により粘着剤層を形成させた後に、十分な粘着力を有する粘着特性を迅速に発現させることが可能となっている。
なお、本発明では、粘着剤層を形成するための粘着剤組成物に係るベースポリマーとしての共重合体における単量体混合物としては、カルボキシル基含有共重合性単量体(より好ましくは酸性基含有共重合性単量体)を含有していないことが重要である。カルボキシル基含有共重合性単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸、カルボキシエチルアクリレート、カルボキシペンチルアクリレート、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸などが挙げられる。また、カルボキシル基含有共重合性単量体以外の酸性基含有共重合性単量体としては、例えば、無水マレイン酸、無水イコタン酸などのカルボキシル基含有共重合性単量体の無水物;スチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸、スルホプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシナフタレンスルホン酸などのスルホン酸基含有共重合性単量体;2−ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェートなどのリン酸基含有共重合性単量体などが挙げられる。このような酸性基含有共重合性単量体において、(メタ)アクリル酸等のカルボキシル基含有共重合性単量体は、前述のように、共重合性単量体として広く用いられており、特に、金属面に対する粘着特性を向上させるための改質用モノマーとして広く用いられている。
[(a)成分]
(a)成分は、前記式(1)で表されるアクリル系単量体(「アクリル系単量体(a)」と称する場合がある)である。前記式(1)において、R2に係る炭素数が2〜14のアルキル基としては、例えば、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、イソアミル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、イソオクチル基、ノニル基、イソノニル基、デシル基、イソデシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基などが挙げられる。R2の炭素数が2未満であると、得られる共重合体のガラス転移温度(Tg)が高くなり、それにより、粘着剤(感圧性接着剤)としての濡れ性が低下し、初期接着性(タック性)が悪くなる。また、R2の炭素数が14を超えると、粘着剤の粘着力が劣り好ましくない。
具体的には、アクリル系単量体(a)としては、例えば、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸s−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸イソアミル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシルなどが挙げられる。
アクリル系単量体(a)としては、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸イソアミル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸イソデシルを好適に用いることができる。
なお、アクリル系単量体(a)は単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
アクリル系単量体(a)は、粘着剤層を形成するための粘着剤組成物のベースポリマーとしての共重合体における単量体成分全量に対して50〜97.99重量%(好ましくは60〜96.9重量%、さらに好ましくは70〜94.5重量%)の割合で用いられている。アクリル系単量体(a)の割合が、単量体成分全量に対して50重量%未満であると、得られる共重合体のガラス転移温度(Tg)が高くなり、感圧性接着剤としての性能が低下する。一方、アクリル系単量体(a)の割合が、単量体成分全量に対して97.99重量%を超えると、(b)成分の割合(絶対量)が低下することにより、形成される粘着剤層の接着性能や耐湿特性が低下する。
[(b)成分]
(b)成分は、前記式(2)で表されるマレイミド系化合物(「マレイミド系化合物(b)」と称する場合がある)である。前記式(2)において、R3に係る1価の有機基としては、重合性や粘着特性等を損なわないものであれば特に限定されず、例えば、置換基を有していてもよい炭化水素基などが挙げられる。炭化水素基には、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基(ラウリル基)、トリデシル基、テトラデシル基等のアルキル基(例えば、炭素数が1〜14のアルキル基等);シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基(例えば3〜12員環のシクロアルキル基等);フェニル基、ナフチル基等のアリール基;ベンジル基、2−フェニルエチル基等のアラルキル基などが含まれる。前記置換基としては、例えば、メチル基等のアルキル基(例えば、炭素数が1〜4のアルキル基等)、メトキシ基等のアルコキシ基(例えば、炭素数が1〜4のアルコキシ基等)、塩素原子等のハロゲン原子、ニトロ基などが挙げられる。置換基を有する炭化水素基の代表的な例として、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、2−メトキシフェニル基、3−メトキシフェニル基、4−メトキシフェニル基、2−クロロフェニル基、3−クロロフェニル基、4−クロロフェニル基、2−ニトロフェニル基、3−ニトロフェニル基、4−ニトロフェニル基などが挙げられる。
なお、R3の1価の有機基としては、カルボキシル基(特に、酸性基)を含有していないことが重要である。カルボキシル基以外の酸性基としては、例えば、スルホン酸基、リン酸基などが挙げられる。
具体的には、マレイミド系化合物(b)としては、例えば、マレイミド;N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−プロピルマレイミド、N−イソプロピルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−イソブチルマレイミド、N−s−ブチルマレイミド、N−t−ブチルマレイミド、N−ペンチルマレイミド、N−ヘキシルマレイミド、N−ヘプチルマレイミド、N−オクチルマレイミド、N−(2−エチルヘキシル)マレイミド、N−ノニルマレイミド、N−デシルマレイミド、N−ウンデシルマレイミド、N−ラウリルマレイミド、N−トリデシルマレイミド、N−テトラデシルマレイミド等のN−アルキルマレイミド;N−シクロペンチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等のN−シクロアルキルマレイミド;N−フェニルマレイミド等のN−アリールマレイミドや、これらのマレイミド系化合物における炭化水素基(アルキル基、シクロアルキル基やアリール基など)に各種置換基(例えば、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基など)が置換している形態のマレイミド系化合物などが挙げられる。
なお、マレイミド系化合物(b)は単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
マレイミド系化合物(b)は、粘着剤層を形成するための粘着剤組成物のベースポリマーとしての共重合体における単量体成分全量に対して2〜49.99重量%(好ましくは3〜39.9重量%、さらに好ましくは5〜29.5重量%)の割合で用いられている。マレイミド系化合物(b)の割合が、単量体成分全量に対して2重量%未満であると、形成される粘着剤層の接着性能が低下し、高温多湿の雰囲気下での接着特性の改善効果が得られない。一方、マレイミド系化合物(b)の割合が、単量体成分全量に対して49.99重量%を超えると、粘着剤として望まれる低いガラス転移温度(Tg)を保持し得なくなり、初期の接着性が不充分となる。
[(c)成分]
(c)成分は、カルボキシル基を含有しておらず、且つアクリル系単量体(a)およびマレイミド系化合物(b)と共重合が可能なヒドロキシル基含有共重合性単量体(「ヒドロキシル基含有共重合性単量体(c)」と称する場合がある)である。具体的には、ヒドロキシル基含有共重合性単量体(c)としては、例えば、(メタ)アクリル酸ヒドロキシメチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシイソプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸5−ヒドロキシペンチル、(メタ)アクリル酸6−ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシヘプチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシオクチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシノニル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシデシル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシウンデシル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシラウリル等の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル;グリセリンジアクリレート、グリセリンジメタクリレート;(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸ポリプロピレングリコール等の(メタ)アクリル酸ポリアルキレングリコールビニルアルコール、アリルアルコール;2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、3−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル等のヒドロキシアルキルビニルエーテル;2−ヒドロキシエチルアリルエーテル等のヒドロキシアルキルアリルエーテル;クロトン酸2−ヒドロキシエチル等のクロトン酸ヒドロキシアルキル;N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−エチロール(メタ)アクリルアミド、N−メチロールプロパン(メタ)アクリルアミド、N−エチロールプロパン(メタ)アクリルアミド等のヒドロキシル基含有(メタ)アクリルアミドなどが挙げられる。
ヒドロキシル基含有共重合性単量体(c)としては、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル等の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルを好適に用いることができる。
ヒドロキシル基含有共重合性単量体(c)は単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
ヒドロキシル基含有共重合性単量体(c)は、粘着剤層を形成するための粘着剤組成物のベースポリマーとしての共重合体における単量体成分全量に対して0.01〜5重量%(好ましくは0.1〜3重量%、さらに好ましくは0.5〜2重量%)の割合で用いられている。ヒドロキシル基含有共重合性単量体(c)の割合が、単量体成分全量に対して5重量%を超えると、得られる共重合体がアクリル系ポリマーとしての性能を有効に発現させることが困難になり、また感圧性接着剤としての特性のバランスをとりにくくなる。
[(d)成分]
本発明では、粘着剤層を形成するための粘着剤組成物に係るベースポリマーとしての共重合体における単量体混合物が、アクリル系単量体(a)、マレイミド系化合物(b)およびヒドロキシル基含有共重合性単量体(c)とともに、さらに、下記の(d)成分を含んでいてもよい。
(d)成分:カルボキシル基を含有しておらず、且つアクリル系単量体(a)、マレイミド系化合物(b)およびヒドロキシル基含有共重合性単量体(c)と共重合が可能な他の単量体(「共重合性単量体(d)」と称する場合がある)
共重合性単量体(d)を用いることにより、粘着剤の各種特性や共重合体の構造などをコントロールすることができる。なお、共重合性単量体(d)は単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
共重合性単量体(d)としては、カルボキシル基を含有しておらず(より好ましくは酸性基を含有しておらず)、アクリル系単量体(a)、マレイミド系化合物(b)およびヒドロキシル基含有共重合性単量体(c)と共重合可能な単量体であれば特に制限されず、例えば、(メタ)アクリル酸グリシジル等のエポキシ基含有共重合性単量体;(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸メトキシプロピル、(メタ)アクリル酸メトキシエチレングリコール、(メタ)アクリル酸メトキシポリプロピレングリコール等のアルコキシ基含有共重合性単量体;(メタ)アクリルアミド、N−置換(メタ)アクリルアミド(例えば、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−n−ブチル(メタ)アクリルアミド等のN−アルキル(メタ)アクリルアミド;N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジイソプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジ(n−ブチル)(メタ)アクリルアミド、N,N−ジ(t−ブチル)(メタ)アクリルアミド等のN,N−ジアルキル(メタ)アクリルアミドなど)、N−ビニルカルボン酸アミド類等のアミド基含有共重合性単量体;N−ビニルピロリドン、N−ビニルピリジン、N−ビニルモルホリン、N−(メタ)アクリロイルモルホリン等のN−ビニル窒素含有複素環化合物;N−メチルイタコンイミド、N−エチルイタコンイミド、N−ブチルイタコンイミド、N−2−エチルヘキシルイタコンイミド、N−ラウリルイタコンイミド、N−シクロヘキシルイタコンイミド等のイタコンイミド系単量体;(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノプロピル等のアミノ基含有共重合性単量体;(メタ)アクリロニトリル等のシアノ基含有共重合性単量体;スチレン、α−メチルスチレン等のスチレン系共重合性単量体;エチレン、プロピレン、イソプレン、ブタジエン、イソブチレンなどのα−オレフィン系共重合性単量体;2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートなどのイソシアネート基含有共重合性単量体;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル系共重合性単量体;ビニルエーテルなどのビニルエーテル系共重合性単量体;(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル等の複素環含有(メタ)アクリル酸エステル;フッ素(メタ)アクリレート等のハロゲン原子含有共重合性単量体;シリコーン(メタ)アクリレート等のケイ素原子含有共重合性単量体;(メタ)アクリル酸メチルや、アルキル基部位の炭素数が15以上の(メタ)アクリル酸アルキルエステル;(メタ)アクリル酸シクロペンチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ボルニル、(メタ)アクリル酸イソボルニル等の脂環式炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸フェノキシエチル、(メタ)アクリル酸フェノキシジエチレングリコール等の芳香族炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステル;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート、ジビニルベンゼン、ブチルジ(メタ)アクリレート、ヘキシルジ(メタ)アクリレート等の多官能モノマーなどが挙げられる。
共重合性単量体(d)は、粘着剤層を形成するための粘着剤組成物のベースポリマーとしての共重合体における単量体成分全量に対して30重量%以下(例えば、0〜30重量%)の割合で含んでおり、25重量%以下(例えば、0〜25重量%)の割合で含んでいることが好適である。共重合性単量体(d)の割合が、単量体成分全量に対して30重量%を超えると、得られる共重合体がアクリル系ポリマーとしての性能を有効に発現させることが困難になり、また、感圧性接着剤としての特性のバランスをとりにくくなる。
[単量体混合物による共重合体]
粘着剤層を形成するための粘着剤組成物におけるベースポリマーとしての共重合体は、前記単量体成分[アクリル系単量体(a)、マレイミド系化合物(b)、ヒドロキシル基含有共重合性単量体(c)、必要に応じて共重合性単量体(d)]を所定の割合で含んでいる単量体混合物の重合(共重合)により得られるアクリル系共重合体である。このようなベースポリマーとしての共重合体(「アクリル系共重合体」と称する場合がある)は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
アクリル系共重合体を得るための重合方法としては、例えば、アゾ系化合物(アゾ系開始剤)や過酸化物(過酸化物系開始剤)などの重合開始剤を用いて行う重合方法(溶液重合方法、エマルジョン重合方法や塊状重合方法など)、光開始剤を用いて光や放射線を照射して行う重合方法などを採用することができ、アゾ系開始剤を用いて行う重合方法が好適である。なお、重合開始剤において、アゾ系開始剤としては、例えば、2,2´−アゾビスイソブチロニトリル、2,2´−アゾビス−2−メチルブチロニトリル、2,2´−アゾビス(2−メチルプロピオン酸)ジメチル、4,4´−アゾビス−4−シアノバレリアン酸、アゾビスイソバレロニトリル、2,2´−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロライド、2,2´−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロライド、2,2´−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二硫酸塩、2,2´−アゾビス(N,N´−ジメチレンイソブチルアミジン)ジヒドロクロライドなどが挙げられる。また、過酸化物系開始剤としては、例えば、ジベンゾイルペルオキシド、tert−ブチルペルマレエートなどが挙げられる。さらにまた、光開始剤として、例えば、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、α−ヒドロキシ−α,α′−ジメチルアセトフェノン、メトキシアセトフェノン等のアセトフェノン系開始剤;ベンゾインエチルエーテル等のベンゾインエーテル系開始剤;ベンジルジメチルケタール等のケタール系開始剤;ハロゲン化ケトン;アシルホスフィノキシド;アシルホスフォナートなどが挙げられる。
重合開始剤の使用量は、特に制限されず、例えば、単量体成分の総量100重量部に対して、0.01〜2重量部(好ましくは0.02〜1重量部)程度である。
本発明では、前記単量体混合物を用いて重合させて得られたアクリル系共重合体を、架橋剤としてイソシアネート系化合物および金属キレート系化合物を用いて架橋させて硬化させることにより、適度な凝集力を持たせ、十分な粘着力を迅速に発現させることができる粘着剤層を形成させている。イソシアネート系化合物、金属キレート系化合物は、それぞれ、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
イソシアネート系化合物としては、例えば、例えば、脂肪族ポリイソシアネ−ト、脂環族ポリイソシアネ−ト、芳香族ポリイソシアネ−ト、芳香脂肪族ポリイソシアネ−トなどが挙げられる。前記脂肪族ポリイソシアネ−トには、例えば、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネ−ト、1,4−テトラメチレンジイソシアネ−ト、2−メチル−1,5−ペンタンジイソシアネート、3−メチル−1,5−ペンタンジイソシアネート、リジンジイソシアネ−ト等の脂肪族ジイソシアネ−トなどが含まれる。また、脂環族ポリイソシアネ−トには、例えば、イソホロンジイソシアネ−ト、シクロヘキシルジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネ−ト、水素添加キシレンジイソシアネ−ト、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネ−ト、水素添加テトラメチルキシレンジイソシアネ−ト等の脂環族ジイソシアネ−トなどが含まれる。さらに、芳香族ポリイソシアネ−トには、例えば、2,4−トリレンジイソシアネ−ト、2,6−トリレンジイソシアネ−ト、4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネ−ト、2,4´−ジフェニルメタンジイソシアネ−ト、4,4´−ジフェニルエ−テルジイソシアネ−ト、2−ニトロジフェニル−4,4´−ジイソシアネ−ト、2,2´−ジフェニルプロパン−4,4´−ジイソシアネ−ト、3,3´−ジメチルジフェニルメタン−4,4´−ジイソシネ−ト、4,4´−ジフェニルプロパンジイソシアネ−ト、m−フェニレンジイソシアネ−ト、p−フェニレンジイソシアネ−ト、ナフチレン−1,4−ジイソシアネ−ト、ナフチレン−1,5−ジイソシアネ−ト、3,3´−ジメトキシジフェニル−4,4´−ジイソシアネ−トなどの芳香族ジイソシアネ−トなどが含まれる。さらにまた、芳香脂肪族ポリイソシアネ−トには、例えば、キシリレン−1,4−ジイソシアネ−ト、キシリレン−1,3−ジイソシアネ−ト等の芳香脂肪族ジイソシアネ−トなどが含まれる。
なお、イソシアネート系化合物としては、前記例示の脂肪族ポリイソシアネ−ト、脂環族ポリイソシアネ−ト、芳香族ポリイソシアネ−ト、芳香脂肪族ポリイソシアネ−トによる二重体や三量体、反応生成物又は重合物(例えば、ジフェニルメタンジイソシアネートの二重体や三量体、トリメチロールプロパンとトリレンジイソシアネートとの反応生成物、トリメチロールプロパンとヘキサメチレンジイソシアネートとの反応生成物、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート、ポリエーテルポリイソシアネート、ポリエステルポリイソシアネートなど)なども用いることができる。
イソシアネート系化合物としては、トリメチロールプロパンとトリレンジイソシアネートとの反応生成物を好適に用いることができる。
なお、イソシアネート系化合物の使用量は、例えば、アクリル系共重合体100重量部に対して0.01〜20重量部(好ましくは0.05〜15重量部)程度である。イソシアネート系化合物の使用量が少なすぎると(アクリル系共重合体100重量部に対して0.01重量部未満であると)、ゲル分率が低下して十分なゲル分率が得られなくなり、一方、多すぎると(アクリル系共重合体100重量部に対して20重量部を超えていると)、ゲル分率が大きくなりすぎることがある。
また、金属キレート系化合物としては、例えば、アルミニウムキレート系化合物、チタンキレート系化合物、亜鉛キレート系化合物、ジルコニウムキレート系化合物、鉄キレート系化合物、コバルトキレート系化合物、ニッケルキレート系化合物、スズキレート系化合物、マンガンキレート系化合物、クロムキレート系化合物などが挙げられる。金属キレート系化合物としては、アルミニウムキレート系化合物を好適に用いることができる。
アルミニウムキレート系化合物としては、例えば、アルミニウム又はアルミニウム含有化合物[例えば、アルミニウム(モノ又はジ)アルコラートなど]と、アルミニウム(原子)とキレート環を形成するキレート化剤とで構成されたアルミニウムキレート化合物を用いることができる。前記キレート化剤としては、例えば、β−ジカルボニル化合物[例えば、アセチルアセトン、2,4−ヘキサンジオン、2,4−ヘプタンジオン、3,5−ヘプタンジオン、2,4−オクタンジオン、3,5−オクタンジオン、2,4−ノナンジオン、3,5−ノナンジオン、5−メチル−2,4−ヘキサンジオン等のβ−ジケトン類;アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸プロピル、アセト酢酸イソプロピル、アセト酢酸ブチル、アセト酢酸イソブチル、アセト酢酸s−ブチル、アセト酢酸t−ブチル、アセト酢酸2−エチルヘキシル、アセト酢酸ドデシル等のβ−ケトエステル類(アセト酢酸C1-20アルキルエステルなど);マロン酸ジエチル等のβ−ジエステル類など]や、β位にヒドロキシル基やアミノ基を有するカルボニル化合物(例えば、ダイアセトンアルコール、ダイアセトンアミン、サリチルアルデヒド、サリチル酸メチル、N−メチルサリチルアミド等)などが挙げられる。キレート化剤は単独で用いられていてもよく、複数を組み合わせて用いられていてもよい。
具体的には、アルミニウムキレート系化合物としては、例えば、アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)、アルミニウムトリス(プロピオニルアセトネート)等のアルミニウムトリス(アシルアセトネート);アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムトリス(t−ブチルアセトアセテート)等のアルミニウムトリス(アセト酢酸アルキルエステル);アルミニウムモノ(アセチルアセトネート)ビス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムモノ(アセチルアセトネート)ビス(イソブチルアセトアセテート)、アルミニウムモノ(アセチルアセトネート)ビス(2−エチルヘキシルアセトアセテート)、アルミニウムモノ(アセチルアセトネート)ビス(ドデシルアセトアセテート)等のアルミニウム[(モノ又はビス)(アセチルアセトネート)][(ビス又はモノ)(アセト酢酸アルキルエステル)];(アセチルアセトネート)アルミニウムジイソプロピレート、ビス(アセチルアセトネート)アルミニウムモノイソプロピレート等の[(モノ又はビス)(アシルアセトネート)]アルミニウム[(ジ又はモノ)アルコラート];(エチルアセトアセテート)アルミニウムジイソプロピレート、ビス(エチルアセトアセテート)アルミニウムモノイソプロピレート等の[(モノ又はビス)(アセト酢酸アルキルエステル)]アルミニウム[(ジ又はモノ)アルコラート]などが挙げられる。
アルミニウムキレート系化合物としては、アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)が好適である。
また、アルミニウムキレート系化合物以外の金属キレート系化合物(チタンキレート系化合物、亜鉛キレート系化合物、ジルコニウムキレート系化合物、鉄キレート系化合物、コバルトキレート系化合物、ニッケルキレート系化合物、スズキレート系化合物、マンガンキレート系化合物、クロムキレート系化合物など)としては、前記に例示のアルミニウムキレート系化合物に対応したものなどが挙げられる。
金属キレート系化合物(特に、アルミニウムキレート系化合物)の使用量としては、例えば、アクリル系共重合体100重量部に対して0.03〜1重量部(好ましくは0.05〜0.2重量部)程度である。金属キレート系化合物の添加量が、アクリル系共重合体100重量部に対して0.03重量部未満であると、金属面貼付用感圧性接着シート類の作製直後における硬化反応が十分に進行しない場合があり、一方、1重量部を超えると、ゲル分率が大きくなりすぎることがある。
なお、架橋剤としては、本発明の効果を損なわない範囲で、他の架橋剤(エポキシ系架橋剤、アジリジン系架橋剤、メラミン系架橋剤、金属アルコキシド系架橋剤、金属塩系架橋剤、過酸化物系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、尿素系架橋剤、アミノ系架橋剤、カルボジイミド系架橋剤、カップリング剤系架橋剤(シランカップリング剤など)など)を併用することも可能である。
[粘着剤組成物]
粘着剤層を形成するための粘着剤組成物は、ベースポリマーとして、前記単量体成分[アクリル系単量体(a)、マレイミド系化合物(b)、ヒドロキシル基含有共重合性単量体(c)、必要に応じて共重合性単量体(d)]を所定の割合で含んでいる単量体混合物の重合(共重合)により得られるアクリル系共重合体を含有している。粘着剤組成物には、必要に応じて各種添加剤が添加されていてもよい。このような添加剤としては、例えば、公知乃至慣用の粘着付与樹脂(例えば、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂、石油樹脂、クマロン・インデン樹脂、スチレン系樹脂など)、充填剤、着色剤(顔料や染料など)、酸化防止剤、紫外線吸収剤、界面活性剤などの公知の各種添加剤が挙げられる。これらの添加剤の使用量は、いずれも粘着剤に適用される通常の量でよい。
粘着剤組成物としては、その調製過程でいかなる形態も取りうるが、取り扱い性の面で、溶剤系、エマルション系、ホットメルト系、光重合系などの形態で用いることが好ましい。粘着剤組成物は単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
[金属面貼付用感圧性接着シート類]
本発明の金属面貼付用感圧性接着シート類は、前記粘着剤組成物により形成された粘着剤層(「金属面貼付用粘着剤層」と称する場合がある)を有している。金属面貼付用粘着剤層は、単層、積層体のいずれの形態を有していてもよい。金属面貼付用粘着剤層の厚みとしては、特に制限されないが、例えば、1〜200μm(好ましくは1〜100μm、さらに好ましくは1〜50μm)の範囲から適宜選択することができる。
なお、金属面貼付用粘着剤層の形成方法は、特に制限されない。例えば、慣用の塗工機(例えば、グラビヤロールコーター、リバースロールコーター、キスロールコーター、ディップロールコーター、バーコーター、ナイフコーター、スプレーコーターなど)を用いて、粘着剤組成物を所定の面(例えば、剥離ライナーの剥離面や基材表面など)に塗布することにより、金属面貼付用粘着剤層を形成することができる。
金属面貼付用感圧性接着シート類としては、前記金属面貼付用粘着剤層を有していれば、その構成は特に制限されない。具体的には、金属面貼付用感圧性接着シート類としては、例えば、(1)金属面貼付用粘着剤層のみから形成された構成の基材レス両面感圧性接着シート類、(2)基材の少なくとも一方の面に金属面貼付用粘着剤層が形成され且つ基材の両面側に粘着面が形成された構成の基材付き両面感圧性接着シート類、(3)基材の一方の面に金属面貼付用粘着剤層が形成された構成の基材付き感圧性接着シート類などが挙げられる。
なお、金属面貼付用感圧性接着シート類が基材付き両面粘着シート類である場合、基材の両面に形成された感圧性接着剤層(粘着剤層)が金属面貼付用粘着剤層であってもよく、基材の一方の面に形成された感圧性接着剤層が金属面貼付用粘着剤層であり且つ基材の他方の面に形成された感圧性接着剤層が金属面貼付用粘着剤層以外の粘着剤層(「非金属面貼付用粘着剤層」と称する場合がある)であってもよい。金属面貼付用感圧性接着シート類が、非金属面貼付用粘着剤層を有している場合、該非金属面貼付用粘着剤層は、金属面に対して用いないことが重要である。
また、金属面貼付用感圧性接着シート類は、ロール状に巻回された形態で形成されていてもよく、シートが積層された形態で形成されていてもよい。すなわち、本発明の金属面貼付用感圧性接着シート類は、シート状、テープ状などの形態を有することができる。従って、金属面貼付用感圧性接着シート類には、感圧性接着テープまたは感圧性接着シート(感圧性接着テープ又はシート)などが含まれる。なお、金属面貼付用感圧性接着シート類がロール状に巻回された形態を有している場合(感圧性接着テープである場合)、例えば、金属面貼付用粘着剤層などの感圧性接着剤層を、剥離ライナー(セパレータ)や基材の背面側に形成された剥離処理層により保護した状態でロール状に巻回することにより作製することができる。
本発明の金属面貼付用感圧性接着シート類は、前記構成(1)の金属面貼付用感圧性接着シート類、すなわち、金属面貼付用粘着剤層のみから形成された構成の基材レス両面感圧性接着シート類が好適である。このような基材レス両面感圧性接着シート類は、剥離ライナー上に金属面貼付用粘着剤層が形成された形態を有していることが好ましい。
前記剥離ライナーとしては、粘着テープ又はシート用の剥離ライナーとして用いられているものであれば特に制限されず、公知の剥離ライナーを用いることができる。剥離ライナーとしては、両面が剥離面となっているものであってもよく、何れか一方の面のみが剥離面となっているものであってもよい。従って、金属面貼付用感圧性接着シート類は、金属面貼付用粘着剤層の一方の面に、両面が剥離面となっている剥離ライナーが積層され、且つロール状に巻回されたロール状の形態で形成されていてもよく、または、片面が剥離面となっている剥離ライナーを2つ用いることにより、金属面貼付用粘着剤層のそれぞれの面に各剥離ライナーが積層され、さらに必要に応じてロール状に巻回されたシート状又はロール状の形態で形成されていてもよい。
なお、剥離ライナーの具体例としては、例えば、剥離処理剤からなる剥離処理剤層が剥離ライナー用の基材(例えば、和紙、洋紙、グラシン紙などの紙類;不織布、布などの繊維質材料による基材;線状低密度ポリエチレンフィルム、低密度ポリエチレンフィルム、高密度ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリ−4−メチル−1−ペンテンフィルム、ポリアミドフィルム、ポリエステルフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルムなどのプラスチックフィルムや、金属蒸着プラスチックフィルムなど)の表面に形成された剥離ライナー、それ自体が剥離性の高いプラスチックフィルム[例えば、ポリエチレン(線状低密度ポリエチレン等)、ポロプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体等のエチレン−α−オレフィン共重合体(ブロック共重合体またはランダム共重合体)の他、これらの混合物からなるポリオレフィン系樹脂によるポリオレフィン系フィルム;テフロン(登録商標)製フィルムなど]による剥離ライナー、前記剥離性の高いプラスチックフィルムの素材(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体等のエチレン−α−オレフィン共重合体などのポリオレフィン系樹脂や、テフロンなど)を、各種基材(例えば、金属箔、プラスチックフィルム、紙類など)にラミネート又はコーティングして得られる剥離ライナーなどが挙げられる。
前記剥離処理剤としては、特に制限されず、例えば、シリコーン系剥離処理剤、フッ素系剥離処理剤、長鎖アルキル系剥離処理剤などの公知の剥離処理剤が挙げられる。これらの剥離処理剤は単独で又は2種以上混合して使用することができる。なお、剥離ライナーの両面が剥離処理剤により形成されている場合、両剥離面を形成するための剥離処理剤は、同一のものであってもよく、異なるものであってもよい。
なお、金属面貼付用感圧性接着シート類は、基材を有している場合[すなわち、前記構成(2)の基材付き両面感圧性接着シート類や、前記構成(3)の基材付き感圧性接着シート類である場合]、基材としては、例えば、紙などの紙系基材;布、不織布、ネットなどの繊維系基材;金属箔、金属板などの金属系基材;プラスチックのフィルムやシートなどのプラスチック系基材;ゴムシートなどのゴム系基材;発泡シートなどの発泡体や、これらの積層体(特に、プラスチック系基材と他の基材との積層体や、プラスチックフィルム(又はシート)同士の積層体など)等の適宜な薄葉体を用いることができる。基材としては、プラスチックのフィルムやシートなどのプラスチック系基材を好適に用いることができる。このようなプラスチックのフィルムやシートにおける素材としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)等のα−オレフィンをモノマー成分とするオレフィン系樹脂;ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル系樹脂;ポリ塩化ビニル(PVC);酢酸ビニル系樹脂;ポリフェニレンスルフィド(PPS);ポリアミド(ナイロン)、全芳香族ポリアミド(アラミド)等のアミド系樹脂;ポリスチレン等のスチレン系樹脂;ポリイミド系樹脂;ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などが挙げられる。これらの素材は単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
なお、基材としては優れた透明性を有しているものを用いることが望ましい。
基材の厚さは、例えば、1〜1000μm(好ましくは1〜500μm、さらに好ましくは3〜300μm)程度であるが、これらに限定されない。なお、基材は単層の形態を有していてもよく、積層された形態を有していてもよい。
基材の表面は、金属面貼付用粘着剤層等との密着性を高めるため、慣用の表面処理、例えば、コロナ処理、クロム酸処理、オゾン暴露、火炎暴露、高圧電撃暴露、イオン化放射線処理等の化学的又は物理的方法による酸化処理等が施されていてもよく、下塗り剤や剥離剤等によるコーティング処理等が施されていてもよい。
また、金属面貼付用感圧性接着シート類は、金属面貼付用粘着剤層以外の感圧性接着剤層を有している場合[すなわち、前記構成(2)の基材付き両面感圧性接着シート類において、非金属面貼付用粘着剤層が用いられている場合]、非金属面貼付用粘着剤層は、公知の感圧性接着剤(例えば、他のアクリル系感圧性接着剤、ゴム系感圧性接着剤、ビニルアルキルエーテル系感圧性接着剤、シリコーン系感圧性接着剤、ポリエステル系感圧性接着剤、ポリアミド系感圧性接着剤、ウレタン系感圧性接着剤、フッ素系感圧性接着剤、エポキシ系感圧性接着剤など)を用いて、公知の粘着剤層の形成方法を利用して形成することができる。また、非金属面貼付用粘着剤層の厚みは、特に制限されず、目的や使用方法などに応じて適宜選択することができる。
本発明の金属面貼付用感圧性接着シート類は、前記構成を有しているので、金属面に対して直接に貼付しても金属面を腐食させず、また、優れた粘着特性および光学特性で金属面に貼付することができる。従って、金属面を有する被着体における金属面に直接貼付するための感圧性接着シート類として好適に用いることができる。なお、金属面貼付用感圧性接着シート類を金属面に貼り合わせる際には、金属面に、直接に、少なくとも部分的に(部分的に又は全面的に)貼り合わせればよい。
金属面貼付用感圧性接着シート類が貼り合わせられる被着体(「金属面含有被着体」と称する場合がある)としては、少なくとも部分的に金属面を有していれば特に制限されない。このような金属面含有被着体において、金属面が形成されている部位は、金属面貼付用感圧性接着シート類を直接貼付することが可能な部位であれば特に制限されず、外側の面であってもよく、また、内側の面などであってもよい。なお、1つの金属面含有被着体に金属面が複数形成されている場合、これらの複数の金属面は同一の金属材料により形成された面であってもよく、異なる金属材料により形成された面であってもよい。
前記金属面含有被着体における金属面は、金属材料により形成された金属面含有被着体の表面であってもよく、また、各種材料により形成された基材(又は構造体)の表面に形成された金属層表面(特に、金属薄膜層表面)であってもよい。金属面は、いずれにせよ、金属材料による表面であればよい。前記金属薄膜層等の金属層は、各種材料により構成された基材(又は構造体)の表面の所定の部位に形成することができる。なお、金属面は、全面が層状に一様に形成されていてもよく、部分的にエッチング、印刷などによるパターン状に形成されていてもよい。
金属層の厚みとしては、特に制限されず、金属面含有被着体の種類に応じて適宜選択することができ、例えば、0.1μm以上であってもよい。具体的には、金属層としては、5〜50μmの厚さを有するものや、100μm程度の厚さを有するものなどが例示できる。
金属面を形成するための金属材料としては、特に制限されず、例えば、アルミニウム、銀、金、銅、ニッケル、錫、チタン、鉄、白金、モリブデン、インジウム、バナジウム、ニオブなどの金属単体による金属材料;金合金(例えば、金−銅合金など)、銅合金(例えば、銅−亜鉛合金(真鍮)、銅−アルミニウム合金など)、アルミニウム合金(例えば、アルミニウム−モリブデン合金、アルミニウム−タンタル合金、アルミニウム−コバルト合金、アルミニウム−クロム合金、アルミニウム−チタン合金、アルミニウム−白金合金など)、ニッケル合金(例えば、ニッケル−クロム合金、銅−ニッケル合金、亜鉛−ニッケル合金など)、スズ合金、ステンレス等の各種合金による金属材料などが挙げられる。金属材料は、単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
なお、金属材料は、金属元素のみを含有する金属材料であってもよく、金属元素とともに非金属元素を含有する金属材料[例えば、金属の酸化物、水酸化物、ハロゲン化物(塩化物など)、オキソ酸塩(硝酸塩、硫酸塩、リン酸塩、炭酸塩など)等の金属系化合物]であってもよい。
具体的には、金属面含有被着体としては、例えば、少なくとも部分的に金属面を有している窓材又は該窓材を構成するための部材(例えば、窓ガラス用熱線反射フィルムや飛散防止フィルムなど)、金属薄膜層が設けられた電磁波シールド層を有する光学的製品又は該光学的製品を構成するための部材、さらには、デジタル万能ディスクなどの光学的に記録可能な記録メディア(光学的記録ディスク)などが挙げられる。電磁波シールド層を有する光学的製品における金属薄膜層としては、例えば、電子ディスプレイ(プラズマディスプレイなど)等の光学機器に用いられている光学フィルターにおいて、ポリエチレンテレフタレートフィルムやトリアセチルセルロースフィルムなどの支持フィルム上に、銀やITO(酸化インジウム錫)、酸化ニオブなどを蒸着やスパッタリングさせることによって形成した金属薄膜層や、銅又は銅合金などを特定のパターン(格子状など)にエッチングや印刷させることによって形成した金属薄膜層などが挙げられる。また、前記光学的記録ディスクとしては、いわゆる「HD DVD」、いわゆる「Blu−ray Disc」、いわゆる「DVD」、いわゆる「CD」などが挙げられる。このような光学的記録ディスクにおいて、DVDには、いわゆる「DVD−ROM」、いわゆる「DVD−RAM」、いわゆる「DVD−R(いわゆる「DVD−R」、いわゆる「DVD+R」を含む)」、いわゆる「DVD−RW(いわゆる「DVD−RW」、いわゆる「DVD+RW」を含む)」、いわゆる「DVD−Video」、いわゆる「DVD−Audio」などの形態のDVDが含まれる。また、CDには、いわゆる「CD−ROM」、いわゆる「CD−R」、いわゆる「CD−RW」、いわゆる「Video CD」などの形態のCDが含まれる。なお、これらの金属薄膜層の厚みは、各々の部材で多岐に渡っており、例えば、2nm(ナノメートル)〜100μm(ミクロン)程度である。
以下に、この発明の実施例を記載して、より具体的に説明する。但し、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
(実施例1)
冷却管、窒素導入管、温度計、滴下ロート、攪拌装置を備えた反応容器に、重合開始剤として2,2´−アゾビスイソブチロニトリル:0.2重量部、溶媒として酢酸エチル:100重量部、単量体成分としてアクリル酸n−ブチル:85重量部、N−シクロヘキシルマレイミド:15重量部、4−ヒドロキシブチルアクリレート:1重量部を入れ、窒素環流を室温にて1時間行った。その後、反応容器内の単量体成分を含むモノマー組成物溶液の温度を60℃に昇温し、窒素気流中で、5.5時間重合を行い、アクリル系共重合体の溶液を得た。このアクリル系共重合体の溶液に、架橋剤として、トリメチロールプロパンとトリレンジイソシアネートとの反応生成物(商品名「コロネートL」日本ポリウレタン工業社製;表1中「架橋剤A」と称する)を0.4重量部(固形分)、アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)(商品名「アルミキレートA(W)」川研ファインケミカル社製;表1中「架橋剤C」と称する)を0.1重量部(固形分)、それぞれ、添加して、粘着剤組成物(「粘着剤A」と称する場合がある)とした。
さらに、前記粘着剤Aをアプリケーターを用いて、シリコーン系剥離剤による剥離処理が施されたポリエチレンテレフタレート製フィルム(剥離ライナー;厚さ38μm)の剥離面上に塗布し、130℃で3分間乾燥して、厚さが25μmの粘着剤層を形成した。この粘着剤層上に、シリコーン系剥離剤による剥離処理が施されたポリエチレンテレフタレート製フィルム(剥離ライナー;厚さ38μm)を貼り合わせて、粘着シートを得た。
(実施例2)
表1に示されるように、架橋剤として、イソホロンジイソシアネート(商品名「タケネートD−140N」三井武田ファインケミカル社製;表1中「架橋剤B」と称する)を0.4重量部(固形分)用いるとともに、アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)(商品名「アルミキレートA(W)」川研ファインケミカル社製;表1中「架橋剤C」)を0.1重量部(固形分)用いたこと以外は、実施例1と同様にして、粘着剤組成物(「粘着剤B」と称する場合がある)を調製した。この粘着剤Bを用いたこと以外は実施例1と同様にして、粘着シートを作製した。
(実施例3)
表1に示されるように、単量体成分としてアクリル酸n−ブチル:90重量部、N−シクロヘキシルマレイミド:10重量部、4−ヒドロキシブチルアクリレート:1重量部を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、アクリル系共重合体の溶液を調製した。
このアクリル系共重合体の溶液を用いるとともに、架橋剤として、トリメチロールプロパンとトリレンジイソシアネートとの反応生成物(商品名「コロネートL」日本ポリウレタン工業社製;表1中「架橋剤A」)を0.3重量部(固形分)用い、且つ、アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)(商品名「アルミキレートA(W)」川研ファインケミカル社製;表1中「架橋剤C」)を0.05重量部用いたこと以外は、実施例1と同様にして、粘着剤組成物(「粘着剤C」と称する場合がある)を調製した。この粘着剤Cを用いたこと以外は実施例1と同様にして、粘着シートを作製した。
(実施例4)
表1に示されるように、架橋剤として、トリメチロールプロパンとトリレンジイソシアネートとの反応生成物(商品名「コロネートL」日本ポリウレタン工業社製;表1中「架橋剤A」)を0.3重量部(固形分)用いるとともに、アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)(商品名「アルミキレートA(W)」川研ファインケミカル社製;表1中「架橋剤C」)を0.1重量部用いたこと以外は、実施例3と同様にして、粘着剤組成物(「粘着剤D」と称する場合がある)を調製した。この粘着剤Dを用いたこと以外は実施例1と同様にして、粘着シートを作製した。
(比較例1)
表1に示されるように、架橋剤として、トリメチロールプロパンとトリレンジイソシアネートとの反応生成物(商品名「コロネートL」日本ポリウレタン工業社製;表1中「架橋剤A」)を0.4重量部(固形分)用いたこと以外は実施例1と同様にして、粘着剤組成物(「粘着剤E」と称する場合がある)を調製した。この粘着剤Eを用いたこと以外は実施例1と同様にして、粘着シートを作製した。
(比較例2)
表1に示されるように、架橋剤として、アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)(商品名「アルミキレートA(W)」川研ファインケミカル社製;表1中「架橋剤C」)を0.1重量部(固形分)用いたこと以外は実施例1と同様にして、粘着剤組成物(「粘着剤F」と称する場合がある)を調製した。この粘着剤Fを用いたこと以外は実施例1と同様にして、粘着シートを作製した。
(評価)
実施例1〜4及び比較例1〜2で作製された粘着シートに関して、作製した直後の粘着シートと、作製後に50℃で1日間保存した後の粘着シートとについて、下記のゲル分率測定方法により、粘着剤層のゲル分率を求め、粘着特性を評価した。また、実施例1〜4及び比較例1〜2で作製された粘着シートについて、下記の腐食性評価方法により、腐食性を評価した。測定結果又は評価結果は表1に示した。
(ゲル分率測定方法)
剥離ライナー上に粘着剤組成物を塗布し、130℃で3分間乾燥して粘着剤層(厚さ:25μm)を形成した後、粘着剤層上に剥離ライナーを貼り合わせて作製した直後の粘着シートを評価用サンプルAとする。また、評価用サンプルAを、50℃で1日間保存した後の粘着シートを評価用サンプルBとする。
まず、多孔質ポリテトラフルオロエチレン膜(品番「NTF−1122」日東電工株式会社製;厚さ:85μm)を100mm×100mmに切り取り、また、タコ糸(太さ:1.5mm)を、100mm程度に切断し、これらの重量を測定する(多孔質ポリテトラフルオロエチレン膜およびタコ糸の重量を「A」とする)。
そして、40cm2サイズに切り取った各評価用サンプル(評価用サンプルA、評価用サンプルB)の両方の剥離ライナーを剥がして、前記多孔質ポリテトラフルオロエチレン膜に粘着剤層を包み、包んだ口をタコ糸を用いて縛り、粘着剤層が包まれた包み(「粘着剤層含有包み」と称する場合がある)を作製する。この粘着剤層含有包みの重量を測定し、粘着剤層含有包みの重量から、多孔質ポリテトラフルオロエチレン膜およびタコ糸の重量(A)を差し引いて、試料(粘着剤層)の重量を求める(試料の重量を「B」とする)。
次に、粘着剤層含有包みを、酢酸エチル50mL中に7日間浸漬させ、粘着剤層中のゾル成分のみを、多孔質ポリテトラフルオロエチレン膜外へ溶出させる。そして、浸漬後、酢酸エチル中に7日間浸漬させた粘着剤層含有包みを取り出し、多孔質ポリテトラフルオロエチレン膜に付いた酢酸エチルを拭き取り、乾燥機にて、130℃で2時間乾燥させる。乾燥後、粘着剤層含有包みの重量を測定する(この粘着剤層含有包みの重量を「C」とする)。
そして、粘着剤層のゲル分率(重量%)を、次式により算出する。
ゲル分率(重量%)=[(C−A)/B]×100
(腐食性評価方法)
粘着シートの一方の側の剥離ライナーを剥がして、透明なポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ:25μm)に貼り合わせ、さらに、他方の側の剥離ライナーを剥がして、銅箔(厚さ:80μm)に貼り合わせた後、60℃×95%RHの雰囲気下で250時間保存した。その後、目視で、ポリエチレンテレフタレートフィルム側から銅箔の表面を観察して、粘着シートが貼り合わせられている銅箔の表面の腐食の有無(変色の有無)を確認し、変色しておらず腐食がない場合を「○」とし、変色しており腐食がある場合を「×」として評価した。
Figure 0005403859
表1より明らかなように、比較例1〜2に係る粘着シートでは、作製した直後の粘着シートのみならず、50℃で1日間保存した後の粘着シートでも、粘着剤層のゲル分率は10重量%未満であるのに対し、実施例1〜4に係る粘着シートでは、作製した直後の粘着シートであっても、粘着剤層のゲル分率は10重量%以上となっている。すなわち、実施例1〜4に係る粘着シートは、作製した直後でも、架橋反応が進行しており、架橋の施された粘着剤組成物により形成された粘着剤層が得られていることが確認された。従って、実施例1〜4に係る粘着シートは、粘着剤組成物を乾燥させて粘着剤層を形成させた後に迅速に粘着特性を発現させることが可能である。
このように、架橋剤として、イソシアネート系架橋剤と金属キレート系架橋剤とを組み合わせることにより、架橋を有効に且つ迅速に進行させることが可能であることが確認された。なお、比較例1〜2に係る粘着シートでは、架橋剤として、イソシアネート系架橋剤と金属キレート系架橋剤とが組み合わせられていないため、作製した直後の粘着シートの場合、粘着剤層のゲル分率は0重量%となって架橋が全く進行しておらず、さらに、50℃で1日間保存した後の粘着シートの場合であっても、架橋はほとんど進行しておらず、粘着剤層のゲル分率は10重量%未満と、かなり低くなっている。
また、実施例1〜4に係る粘着シートにおける粘着剤層は、アクリル系単量体を単量体主成分とし、マレイミド系化合物を共重合性単量体とし、且つカルボキシル基含有単量体を単量体成分としていないアクリル系共重合体をベースポリマーとする粘着剤組成物により形成されており、且つ該粘着剤組成物は、架橋剤としてイソシアネート系架橋剤及び金属キレート系架橋剤を含有しているが、前記粘着シートは、金属面(特に、金属薄膜層表面)に対して直接貼付しても、金属面を腐食させないことが確認された。

Claims (3)

  1. 金属面に直接貼付するための感圧性接着テープ又はシートであって、該感圧性接着テープ又はシートを構成する粘着剤層が、下記の(a)成分を、単量体成分全量に対して50〜97.99重量%の割合で含み、下記の(b)成分を、単量体成分全量に対して2〜49.99重量%の割合で含み、下記の(c)成分を、単量体成分全量に対して0.01〜5重量%の割合で含んでいるとともに、カルボキシル基含有共重合性単量体を含まない単量体混合物による共重合体をベースポリマーとし、且つ架橋剤として前記ベースポリマーとしての共重合体100重量部に対して0.01〜15重量部のイソシアネート系化合物および前記ベースポリマーとしての共重合体100重量部に対して0.05〜0.2重量部の金属キレート系化合物を含有している粘着剤組成物により形成されていることを特徴とする金属面貼付用感圧性接着テープ又はシート。
    (a)成分:下記式(1)で表されるアクリル系単量体
    CH2=C(R1)COOR2 (1)
    (式(1)において、R1は水素原子又はメチル基を示し、R2は炭素数が2〜14のアルキル基を示す。)
    (b)成分:下記式(2)で表されるマレイミド系化合物
    Figure 0005403859
    (式(2)において、R3は水素原子又は1価の有機基を示す。)
    (c)成分:カルボキシル基を含有しておらず、且つ(a)成分および(b)成分と共重合が可能なヒドロキシル基含有共重合性単量体
  2. 粘着剤層を形成するための粘着剤組成物に係るベースポリマーとしての共重合体における単量体混合物が、(a)成分、(b)成分および(c)成分とともに、さらに、下記の(d)成分を、単量体成分全量に対して30重量%以下の割合で含んでいる請求項1記載の金属面貼付用感圧性接着テープ又はシート。
    (d)成分:カルボキシル基を含有しておらず、且つ(a)成分、(b)成分および(c)成分と共重合が可能な他の単量体
  3. 金属面が、金属箔表面または金属薄膜層表面である請求項1又は2記載の金属面貼付用感圧性接着テープ又はシート。
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