JP5402584B2 - 炭素長繊維強化ポリアミド複合材料 - Google Patents

炭素長繊維強化ポリアミド複合材料 Download PDF

Info

Publication number
JP5402584B2
JP5402584B2 JP2009274529A JP2009274529A JP5402584B2 JP 5402584 B2 JP5402584 B2 JP 5402584B2 JP 2009274529 A JP2009274529 A JP 2009274529A JP 2009274529 A JP2009274529 A JP 2009274529A JP 5402584 B2 JP5402584 B2 JP 5402584B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
composite material
mass
parts
temperature
fiber reinforced
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2009274529A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2011116841A (ja
Inventor
法 葭原
辻井彰司
聡 名合
北村仁志
園田秀利
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyobo Co Ltd
Original Assignee
Toyobo Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyobo Co Ltd filed Critical Toyobo Co Ltd
Priority to JP2009274529A priority Critical patent/JP5402584B2/ja
Publication of JP2011116841A publication Critical patent/JP2011116841A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5402584B2 publication Critical patent/JP5402584B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Reinforced Plastic Materials (AREA)
  • Casting Or Compression Moulding Of Plastics Or The Like (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Description

本発明は、炭素長繊維とポリアミド樹脂からなる複合材料に関する。詳しくは、炭素長繊維とヘキサメチレンテレフタルアミド共重合体からなる複合材料に関する。更に詳しくは、スタンピング成形における成形品表面の結晶性と生産性が著しく改善された高耐熱性で比強度の高い構造材用複合材料に関する。
従来、電線被覆法を応用したガラス長繊維強化ポリアミド樹脂複合材料は知られていた(例えば、非特許文献1参照)。しかし、かかる従来技術は、ガラス繊維とポリアミド樹脂のコンパウンド材料を射出成形により成形品を得ていた。コンパウンド工程や射出成形工程でガラス繊維の折損が著しく、ガラス繊維の強度や弾性率への補強効果が低下し、構造材としての実用性能には不満足であった。
高強度・高剛性成形品を得るために、炭素繊維とポリアミド樹脂の複合材料も研究開発された。しかし、射出成形や押出成形工程で炭素繊維が折損し、その効果は要求に大幅に未達であった。また、強化繊維の折損を避けるために、成形時のせん断変形の小さい圧縮成形についても検討された。しかし、強化繊維が長くなると繊維のからみ合いが起こり、流動性が著しく低下して、大型成形品や細いリブやボス構造を有する成形品は、欠肉が起こり良好な成形品が得られなかった。
繊維の絡み合いが起こらないように、繊維のロービングを単繊維状に開繊した後、ポリアミド樹脂を含浸して、強化繊維とポリアミド樹脂からなる一軸のテープ状プリプレグを予備成形した後、加熱圧縮成形する方法も開示された(例えば、非特許文献2参照)。しかし、一般のポリアミド樹脂の場合、絶乾状態では、高い剛性や強度が得られるが、空気中の水分を吸湿しやすく、多湿状態では、剛性や強度が著しく低下して、目的とする構造材の要求には未達であった。
ポリアミド樹脂としては、吸湿率の低い、芳香族環を有するポリアミド樹脂の複合材料も、特開平05−005060(特許文献1)や特開2002−234999(特許文献2)のように開示された。しかし、芳香族環を有するポリアミド樹脂を成形した場合、分子が剛直なために、急冷された成形品の表層は、殆ど結晶化しえず、本来の耐熱性や剛性を有する成形品が得られなかった。また、成形品の表層の結晶化は、金型温度を高い温度にすれば、可能であることが示されたが、固化が遅く、また高温における剛性は低く、成形品を金型から取り出すときに変形し、脱型が困難で工業生産出来なかった。
また更に機械特性・導電性・成形性のよい炭素繊維強化樹脂についても特開2004−107626(特許文献3)などに開示された。しかし、オキシアルキレン基を有するジアミンとジカルボン酸の塩とアミノ酸、ラクタムおよび/またはジアミンとジカルボン酸塩を含む共重合体を炭素繊維に付着させることにより一般的な熱可塑性樹脂複合材との界面状態を改善した物性改良であり、結晶化速度が遅く成形生産性の低いことが重要な問題であるテレフタルアミド共重合体を母相とした炭素繊維強化材の成形性改善や結晶化促進による耐熱性改善には、無効であった。
また、繊維強化樹脂複合材料の製造に際して、高周波誘導加熱装置を用いて、含浸させながら熱プレス後、冷プレスすることで生産性を高める方法が、特開2008−254437(特許文献4)に開示されている。しかし、結晶性熱可塑性樹脂を母相とする複合材料では、樹脂の冷却固化よりも結晶化による固化が律速であることから、生産性を高める効果が小さく、また異常に急速冷却した場合、樹脂の結晶化の進行が不十分となり、強度や剛性、また耐熱性が十分得られないものであった。
平衡吸湿下でも高い剛性を有し、表層結晶化が可能であり生産性の高い、耐熱変形性を有する構造材用ポリアミド複合材料について、市場の高い開発要求があった。
特開平05−005060号公報 特開2002−234999号公報 特開2004−107626号公報 特開2008−254437号公報
Composites,July, 150 (1973) SPI(Society of Plastics Industry) 30th 11−C (1975)
本発明は、かかる従来技術の課題を背景になされたものである。すなわち、本発明の目的は、使用環境下の温度や湿度における強度や剛性が飛躍的に優れた比強度の高く構造材用複合材組成物を提供することにある。
本発明者らは鋭意検討した結果、以下に示す手段により、上記課題を解決できることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、以下の構成からなる。
1.重量平均繊維長30mm以上の炭素長繊維(A)100質量部に対して、ヘキサメチレンテレフタルアミド成分を50モル%以上含むヘキサメチレンテレフタルアミド共重合体(B)30〜250質量部、タルク、クレイ、周期表第1a属金属含有の有機化合物から選ばれた少なくとも一種以上の結晶核剤(C)0.01〜10質量部を含有することを特徴とする炭素長繊維強化ポリアミド複合材料。
2.さらに(D)成分として、周期表第2a属、周期表第3属、周期表第4属から選ばれた少なくとも1種以上の金属の高級脂肪酸塩(D)0.01〜5質量部を含有することを特徴とする1.に記載の炭素長繊維強化ポリアミド複合材料。
3.溶融状態からの降温結晶化温度が180〜270℃であることを特徴とする1.又は2.のいずれかに記載の炭素長繊維強化ポリアミド複合材料。
4.表面温度が160〜280℃の金型により成形するスタンピング成形用であることを特徴とする1.2.3.のいずれかに記載の炭素長繊維強化ポリアミド複合材料。
本発明により、強度や弾性率が飛躍的に高く、構造材の要求を満たす複合材料を工業的に提供することができる。本発明により得られた複合材組成物を成形して得られる成形品は、自動車のフレーム部品や機械器具の構造部材やスポーツ器具などに使用される。本発明により、高い強度や弾性率が得られる複合材組成物が提供される理由は、未だ明確でないが、テレフタルアミド共重合体の炭素繊維表面への濡れ性がよく接着強度が高いことと、ヘキサメチレンテレフタルミド共重合体の結晶性を飛躍的に高め、結晶化による収縮により、ヘキサメチレンテレフタルアミド共重合体が炭素繊維を強く抱きこむことが出来たことと、低吸水率性により、母相を形成するヘキサメチレンテレフタルアミド共重合体が平衡状態においても高い剛性と強度が維持されるため、母相の物性向上と炭素繊維界面の物性向上の相乗効果と考えられる。
以下、本発明を詳述する。
本発明には、重量平均繊維長が30mm以上、好ましくは33mm以上、更に好ましくは100mm以上の炭素長繊維や連続繊維が使用される。重量平均繊維長が30mm未満では、構造材としての強度が未達となり、好ましくない。機械物性上は連続繊維が好ましいが、成形時の金型内における流動性が必要なことからプリプレグとしてより短く切断されたものが使用される。炭素繊維としては、製造法に特に制限されないが、ポリアクリロニトル繊維やセルロース繊維などの繊維を空気中で200〜300℃にて処理した後、不活性ガス中で1000〜3000℃以上で焼成され炭化製造された引っ張り強度20t/cm以上、引っ張り弾性率200GPa以上の炭素繊維が好ましい。本発明に使用される単繊維径は、特に制限されないが、複合化の製造ライン工程から3〜25μmが好ましく、特に4〜15μm好ましい。3μm未満では、含浸や脱泡が難しく、25μmを超えると、比表面積が小さくなり、複合化の効果が小さくなり好ましくない。本発明に使用される炭素繊維は、空気や硝酸による湿式酸化、乾式酸化、ヒートクリーニング、ウイスカライジングなどによる接着性改良のための処理されたものが好ましい。また本発明の複合材料製造に使用される炭素繊維は、作業工程の取り扱い性から、100℃以下で軟化する集束剤により集束されていることが好ましい。集束フィラメント数には特に制限ないが、1000〜30000フィラメント、好ましくは、3000〜25000フィラメントが好ましい。本発明に使用される炭素繊維の集束剤は特に限定されないが、炭素繊維と母相のヘキサメチレンテレフタルアミド共重合体に高い接着力を有するウレタン系やエポキシ系集束剤が好ましい。
本発明には、炭素繊維(A)100質量部当り、ヘキサメチレンテレフタルアミド共重合体(B)30〜250質量部、好ましくは35〜200質量部、さらに好ましくは40〜150質量部複合される。30質量部未満では、炭素繊維へのポリアミド樹脂の含浸が困難であり、また250質量部を超えると、炭素繊維補強の効果が不十分となり、本発明の目的である構造部材としての要求を満たせず好ましくない。
本発明には、50モル%以上、好ましくは60モル%以上のヘキサメチレンテレフタルアミド共重合体が用いられる。50モル%未満のポリアミド共重合体は、結晶化速度が遅いことや、融点が低く耐熱性が低いことや剛性が低いことや吸水率が高いことから好ましくない。本発明に使用される共重合成分は特に限定されない。共重合されるジアミン成分としては、プロピレンジアミン、メタキシリレンジアミン、パラキシリレンジアミン、フェニレンジアミン、トルエンジアミン、テトラメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、2−メチルペンタメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミンなどが例示される。また、共重合されるジカルボン酸成分としては、スペリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン酸、アジピン酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、2−メチルテレフタル酸等が挙げられる。また6−アミノカプロン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸、p−アミノメチル安息香酸などのアミノ酸や、ε―カプロラクタム、ω―ラウロラクタムなどのラクタムなどが挙げられる。テレフタル酸アミド共重合体の例示としては、テレフタル酸・アジピン酸/ヘキサメチレンジアミン、テレフタル酸/ヘキサメチレンジアミン/εカプロラクタム、テレフタル酸・イソフタル酸/ヘキサメチレンジアミン、テレフタル酸/メタキシリレンジアミン・ヘキサメチレンジアミン、テレフタル酸/ヘキサメチレンジアミン/アミノカプロン酸などが挙げられる。
テレフタル酸アミド共重合体の分子量は特に限定されないが、25℃において測定した98質量%硫酸の0.05g/l濃度における相対粘度が1.8〜2.8の範囲にあるやや低分子量のものが、炭素繊維への含浸性から好ましい。
また、本発明のヘキサメチレンテレフタルアミド共重合体は、低温結晶化しにくく、成形材料として使用する場合、結晶核剤が必須である。結晶核剤が配合されていないと、溶融状態から固化される成形過程で結晶化せずに非晶状態でガラス転移温度を超えた温度では分子のフローがおこるから、荷重たわみ温度が低く、耐熱性が低く、本来の耐熱性を有せず高温下において使用できない。また、成形品がガラス転移温度以下にならないと脱型が難しいことから、生産性が極度に低くなる。本発明において使用される結晶核剤としては、タルク、クレイ、周期表第1a属金属の有機化合物から選ばれた1種以上の組み合わせである。これらの結晶核剤は、ヘキサメチレンテレフタルアミド共重合体の溶融状態から冷却固化するときに、結晶核剤として作用し、過冷却度が小さい状態から結晶の成長を促進し、球晶状結晶の数を増加して、そのサイズを微細化する。結晶核剤が配合されていないと、固化の過程で成形品コア部が徐冷される以外結晶化せず、結晶が光の波長サイズに到達せずに殆ど透明な成形品となる。タルクやクレイのような珪酸塩が結晶核剤として有効である。これらは、天然石を微細化したものや合成された珪酸塩でもよい。結晶核剤としては、これらの表面の結晶からエピタキシー状に成長することや表面と樹脂界面の自由エネルギーの低下の効果と推察される。表面積が大きい微細なほど好ましい。平均粒径としては、0.1〜20μmが好ましい。また、周期表1a属の有機化合物も有効な結晶核剤として作用する。特に、高級脂肪酸のNa塩、高級脂肪酸のK塩、高級脂肪酸のLi塩が有効である。高級脂肪酸としては、ステアリン酸、モンタン酸、ラウリル酸などが例示される。またアクリル酸やメタクリル酸とポリオレフィンの共重合体をケン化してえられるアイオノマー共重合体が例示される。
結晶核剤の配合量は特に限定されないが、ヘキサメチレンテレフタルアミド共重合体100質量部に対して、0.05〜20質量部、好ましくは0.01〜10質量部、さらに好ましくは0.06〜7質量部配合される。
結晶核剤の有効性は、示差走査熱量計(DSC)を使用して、ISO11357−3に準じて、溶融は、溶融状態である330℃から20℃/分で冷却した場合、結晶化発熱のピーク温度は180〜270℃が好ましい態様であり、200〜260℃にあることが更に好ましい態様である。このピーク温度は、結晶核剤の種類、分散状態による表面積、配合量に制御される。結晶化温度が高いと、溶融状態からの冷却過程における結晶化が速く進行し、早期に結晶化することにより、180℃以下好ましくは150℃以下まで冷却されれば脱型が可能であり、短時間で固化するので成形時間を短縮することが出来る。テレフタル酸アミド共重合体のガラス転移点の80℃以下の金型温度を使用した場合、分子の凍結固化は速く進行するがこの場合結晶化の程度は極めて低く、結晶化度が不十分のため使用時変形が起こりやすく本来の耐熱性を有しないので好ましくない。このように、本来の高い耐熱性を有する成形品が、高い生産性で成形できることが本発明の特徴である。
本発明においては、さらに高級脂肪酸の周期表第IIa属の金属塩が、炭素繊維100質量部に対して、0.05〜5質量部、特に0.1〜2質量部含有することがスタンピング成形性を改良するために好ましい態様である。0.05質量部未満では、スタンピング成形後の離型性が低く深絞り成形品では離型時に変形することや取り出し可能までの冷却時間が長く好ましくない。また、5質量部を超えると成形品表面の外観を損なうことがあり、好ましくない。高級脂肪酸としては、ステアリン酸、ラウリル酸、モンタン酸などが例示される。周期表第IIa属としては、マグネシュウム、カルシュウム、バリュウムが挙げられる。具体的な化合物としては、ステアリン酸マグネシュウム、ステアリン酸カルシュウム、モンタン酸カルシュウムが挙げられる。
また、本発明の複合材料の成形法は、スタンピング成形が適当な成形法である。従って、金型温度(金型表面温度)が150℃以下、好ましくは100℃以下の通常の射出成形法とは全く異なり、驚いたことに金型温度160〜280℃、好ましくは、180〜260℃の金型にて成形することが好ましい態様である。金型表面温度が160℃未満では、流動性が低く、流動末端やリブ部の充填不足になることがあり好ましくない。また、280℃を超えると、樹脂表面が酸化し、変色や劣化が起こり好ましくない。充填初期に160〜280℃という高温の金型を使用することにより、本発明の特徴を発揮することができる。より高温の金型において充填することで、充填時の材料温度か充填後の材料温度が、材料の結晶化温度より高くなり。成形品取り出しまでの冷却過程で、母相のヘキサメチレンテレフタルアミド共重合体が降温過程で最も結晶化速度が速くなる結晶化ピーク温度を経過することにより、ヘキサメチレンテレフタルアミド共重合体からなる成形品表面の結晶化が十分進行するため、耐熱変形性の高い成形品が得られるためと考察される。もし、ヘキサメチレンテレフタルアミド共重合体が非晶状態の場合や結晶化度が低い場合の成形品は、樹脂のガラス転移点である75℃を超えると変形や流動するので使用できない。
本発明により得られた成形品が、飛躍的に高い荷重たわみ温度や特に80℃を超える温度において高い曲げ強度や比強度が得られる理由は、炭素長繊維複合材料を成形して得られた成形品において、ヘキサメチレンテレフタルアミド共重合体が十分結晶化しており、そのガラス転移点を超えても結晶が物理的な架橋点の作用によるもので、架橋点が流動や変形を抑制し、高い弾性率を保持するためと考察される。本発明の複合材料を成形して得られた成形品の荷重たわみ温度は、好ましくは1.82MPaの荷重下で120℃〜280℃、さらに好ましくは、150℃〜270℃である。また、曲げ強さは、好ましくは400MPaを超える。
本発明の樹脂組成物には、上記の必須成分の他に物性改良・成形性改良、耐久性改良を目的として、滑剤、酸化防止剤、難燃剤、耐光剤、耐候剤などが配合できる。
本発明の複合材料の製造法は特に限定されない。例えば、ヘキサメチレンテレフタルアミド共重合体の融点以上に温度調節されたスクリュータイプ押出機のホッパーにヘキサメチレンテレフタルアミド共重合体と結晶核剤などを所定割合に予備混合して供給する。溶融樹脂をギアポンプの回転数にて計量して、樹脂の融点以上に温度調節された含浸用押出機の上流に供給する。一方、ロービング状の炭素繊維を拡張開繊し、含浸用押出機の下流に供給する。下流先端に開口部を絞ったスリットダイを備えた含浸用押出機中で樹脂圧により、炭素繊維ロービングに樹脂を含浸・脱泡する。下流開口部から吐出されたテープ状の炭素繊維とヘキサメチレンテレフタルアミド共重合体からなる複合材料を冷却してかせに巻き取る。さらに、このテープ状複合材料を30mm以上にカットすることや、テープ状複合材料をカットせずに織物状に織って成形用に提供される。また、樹脂の融点以上に温度調節されたスクリュータイプ押出機の上流ホッパーにヘキサメチレンテレフタルアミド共重合体と結晶核剤などを所定割合に予備混合して供給する。下流の出口ダイにロービング状炭素繊維を供給して、繊維の送り速度と樹脂の吐出量を調節して、所定の繊維含有率からなるストランド状の炭素繊維の樹脂被覆材を得る。このストランドを冷却してかせに巻き取る。このストランドを30mm以上にカットするか、織物状に織って成形用に提供される方法などが上げられる。
本発明の複合材は、赤外線加熱や高周波加熱して、樹脂を加熱溶融して、圧縮成形機の好ましくは、ヘキサメチレンテレフタルアミド共重合体の結晶化温度より高い160〜280℃金型に供給して、賦形冷却後脱型して構造材の部品が成形される。
本発明の複合材から得られた成形部品は、自動車のフレーム、バンパーフェースバーサポート材、シャシーシェル、座席フレーム、サスペンジョン支持部、サンルーフフレーム、バンパービーム、2輪車のフレーム、農機具のフレーム、OA機器のフレーム、機械部品など高い強度と剛性の必要な部品に利用される。
以下に実施例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
(測定方法)
(1)炭素繊維の重量平均繊維長
複合材料または複合成形品の微小片を、2枚のスライドグラス板間で溶融し、厚さ0.05mm程度のフイルム状とする。マイクロスコープ(キーエンス社製)を使用して、透過光により倍率100倍にて限定視野内に各繊維の重心(長さの中心)が存在する繊維の長さを、100本〜200本を測定して、0.1mm間隔のヒストグラムを作成する。クラスの中央値(Xi)と頻度(fi)から次式により求めた。
X=ΣfiXi/ΣfiXi
(2) 相対粘度
JIS K6920−2:2000に準じて、25℃の恒温水槽中で、ポリアミド樹脂の98%硫酸の0.1%溶液について、オストワルド粘度計を使用して、溶液の落下秒数と溶媒の落下秒数から求めた。
(実施例 1〜20)
ヘキサメチレンテレフタルアミド共重合体、結晶核剤、離型剤を表1に示した質量部に配合して、265℃に温度調節されたスクリュー式押し出し機のホッパーに投入した。また表1にし示した炭素繊維のロービングを100質量部になる速度で拡張開繊して押出機のダイヘッドに供給した。幅10mm・高さ0.2mmのダイから含浸被覆されたテープ状プリプレグを水槽に浸漬して固化した後、枷に巻き取った。
成形性や物性評価は次のように行った。
(1)離型性
テープ状プリプレグを100mmにカットして15枚重ねて、IRヒータにより、240℃に予熱した後、温度120〜260℃のある温度に温度調節された12X150X3mmの金型にセットして、5分間30MPa圧縮保持した。金型を圧縮成形機から取り出した。1〜30分のある時間放冷後、金型を開き、成形品の離型性を評価した。判断基準は、次のようにした。○:成形品が変形することなく取り出せる。△:成形品がやや変形するが取り出せる。×:成形品に突き出しピンが刺さり離型できない。
(2)荷重たわみ温度
上述の成形品を、デシケータ中で23℃にて48時間保管後、東洋精機社製HDT&VSPT TESTERを使用して、ISO75−2に準じて、フラットワイズにて、1.82MPa荷重下の荷重たわみ温度を測定した。
(3)降温結晶化温度
上述の試験の表層から試料10mgをDSC用サンプル容器に採取し、SEIKO INSTRUMENTS製SSC5200型DSCを使用して、ISO11357−3に準拠し、窒素40ml/min流動下で270℃から10℃/minで降温し、発熱がピークを示す温度を測定した。
(3)曲げ特性
また、得られた成形品を、デシケータ中で23℃にて48時間保管後、ISO178に準拠した3点曲げ試験機(オリエンテック社製テンシロン4L型)を使用して、スパン長120mm、クロスヘッド速度1mm/minによる曲げ強度、及び15×20×3mmの試験片を使用してISO14130に準じて、スパン長10mm・クロスヘッド速度1mm/minとして層間せん断強度を測定した。
本発明の目的のひとつである軽量性は、圧縮成形して得られた成形品をアルキメデスの原理により比重を測定し、曲げ強度の比強度により評価した。
(比較例1〜7)
ポリアミド樹脂、結晶核剤、離型剤の種類や配合比を表2に示したように変更した以外は、実施例と全く同様にプリプレグを作製した後、テストピースを成形した。得られた試験片について,実施例と全く同様に曲げ強度と層間せん断強度を測定した。得られた試験データを表2に合わせて示した。
実験に使用した原料と記号
PA6T/6:PA 6T/6(東洋紡績製、TY502NZ、相対粘度2.5)
PA6T/66:PA 6T/66(東洋紡績製試作品、 PA6T/66=65/35(モル比)、相対粘度2.4)
PA6T/6I:PA 6T/6I(東洋紡績製試作品、PA6T/6I=40/60(モル比、相対粘度2.6)
T842:PA6 (東洋紡績製、 T842,相対粘度2.2)
炭素繊維:帝人社製東邦テナックス IMS40(単繊維径6.4μm、6000フィラメント)
MW5000:タルク (林化成製、ミクロンホワイト)平均粒径 4μm
ASP200:クレイ(林化成製、カオリンASP200)平均粒径 0.5μm
1707:Na塩アイオノマー(三井化学製、ハイミラン)
SiO:シリカ(林化成製、ハイシレックス)平均粒径15μm)
St−Mg:ステアリン酸マグネシュウム(淡南化学製)
CAV102:モンタン酸カルシュウム塩(クラリアント製)
St−Al:ステアリン酸アルミニュウム(ナカライテスク製)
St−Zn:ステアリン酸亜鉛(ナカライテスク製)
St−A:ステアリン酸(ナカライテスク製)
Figure 0005402584
Figure 0005402584
本発明により、生産性に優れ、強度や剛性や耐熱変形性に優れたスタンピング成形品を得ることが可能となり、プリプレグ製造法や成形法も非常に容易であることからも、構造部材やハウジングの樹脂化が可能となり、軽量化や省エネルギーの面から産業界に大きく寄与することが期待される。

Claims (4)

  1. 重量平均繊維長30mm以上の炭素長繊維(A)100質量部に対して、ヘキサメチレンテレフタルアミド成分を50モル%以上含むヘキサメチレンテレフタルアミド共重合体(B)30〜250質量部、タルク、クレイ、周期表第1a属金属含有の有機化合物から選ばれた少なくとも一種以上の結晶核剤(C)0.01〜10質量部を含有することを特徴とする炭素長繊維強化ポリアミド複合材料。
  2. さらに(D)成分として、周期表第2a属、周期表第3属、周期表第4属から選ばれた少なくとも1種以上の金属の高級脂肪酸塩(D)0.01〜5質量部を含有することを特徴とする請求項1に記載の炭素長繊維強化ポリアミド複合材料。
  3. 溶融状態からの降温結晶化温度が180〜270℃であることを特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載の炭素長繊維強化ポリアミド複合材料。
  4. 表面温度が160〜280℃の金型により成形するスタンピング成形用であることを特徴とする請求項1、請求項2、請求項3のいずれかに記載の炭素長繊維強化ポリアミド複合材料。
JP2009274529A 2009-12-02 2009-12-02 炭素長繊維強化ポリアミド複合材料 Active JP5402584B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009274529A JP5402584B2 (ja) 2009-12-02 2009-12-02 炭素長繊維強化ポリアミド複合材料

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009274529A JP5402584B2 (ja) 2009-12-02 2009-12-02 炭素長繊維強化ポリアミド複合材料

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2011116841A JP2011116841A (ja) 2011-06-16
JP5402584B2 true JP5402584B2 (ja) 2014-01-29

Family

ID=44282548

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2009274529A Active JP5402584B2 (ja) 2009-12-02 2009-12-02 炭素長繊維強化ポリアミド複合材料

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5402584B2 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2013071474A1 (en) * 2011-11-14 2013-05-23 Honeywell International Inc. Polyamide composition for low temperature applications
JP2018145292A (ja) * 2017-03-06 2018-09-20 三井化学株式会社 ポリアミド樹脂組成物及びその成形品
JP7176236B2 (ja) * 2018-06-07 2022-11-22 東洋紡株式会社 熱可塑性プリプレグシート
CN117819908B (zh) * 2023-12-27 2024-09-24 中煤科工开采研究院有限公司 一种基于分子取向诱导结晶的纳米改性复合注浆材料及其制备方法和应用

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS61254662A (ja) * 1985-05-07 1986-11-12 Seiko Epson Corp 樹脂組成物
JP3314826B2 (ja) * 1993-07-02 2002-08-19 東洋紡績株式会社 熱可塑性コンポジット用シート
JPH07179753A (ja) * 1993-12-24 1995-07-18 Calp Corp 複合樹脂組成物
JP3525607B2 (ja) * 1996-02-15 2004-05-10 東レ株式会社 ポリアミド樹脂組成物
JP2007154128A (ja) * 2005-12-08 2007-06-21 Asahi Kasei Chemicals Corp ポリアミド−ポリフェニレンエーテル樹脂組成物

Also Published As

Publication number Publication date
JP2011116841A (ja) 2011-06-16

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5509756B2 (ja) 炭素長繊維強化ポリアミド複合材料
JP5987335B2 (ja) 炭素長繊維強化ポリアミド樹脂プレプリグ及び成形品
JP5667168B2 (ja) オーバーモールド成形ポリアミド複合構造およびその製造方法
JP5712464B2 (ja) 炭素長繊維強化複合材料
JP5402584B2 (ja) 炭素長繊維強化ポリアミド複合材料
JP6146063B2 (ja) 圧縮成形用炭素長繊維強化ポリアミド複合材料
JP5564839B2 (ja) スタンピング成形品
JP2013543803A (ja) 改善された熱老化および中間層結合強度を有する複合材構造
US20120238164A1 (en) Composite polyamide article
JP2010150371A (ja) 炭素長繊維強化ポリプロピレン系複合材料
WO2005092814A1 (ja) チョップドストランドの製造方法
JP5471338B2 (ja) 炭素長繊維強化ポリアミド複合材料
JP2021507981A (ja) 半結晶性コポリアミド及びフラットガラス繊維を含むポリアミド製剤
JP2016079337A (ja) 炭素繊維強化プラスチックおよびその製造方法
JP5668310B2 (ja) ハイブリッド炭素繊維強化熱可塑性樹脂複合材料
JP5789933B2 (ja) 繊維強化熱可塑性樹脂シートの圧縮成形方法
KR101602814B1 (ko) 고인장강도용 유리 섬유 강화 폴리아마이드66 수지 조성물 및 이의 제조방법
JP2009051885A (ja) 長繊維強化ポリアミド樹脂組成物
JP6031884B2 (ja) 長繊維強化ポリアミド樹脂成形品
JP5891657B2 (ja) 炭素長繊維強化ポリプロピレン成形品
JP7388435B2 (ja) 成形品の製造方法
JP6146062B2 (ja) 圧縮成形用炭素長繊維強化ポリアミド複合材料
JP5850298B2 (ja) 炭素長繊維強化ポリアミド樹脂複合材料
CN112203829A (zh) 三维打印机用材料
JP6160095B2 (ja) 炭素繊維強化熱可塑性樹脂プリプレグシートまたは成形品

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20121105

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20130918

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20131001

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20131014

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 5402584

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350