JP5402103B2 - ガス透過度測定装置 - Google Patents
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請求項3記載の発明は、請求項1または2記載のガス透過度測定装置において、前記押し込み機構は、前記試料載置部に着脱可能に設けられた支持部材と、前記支持部材に設けられ前記張力付与用溝に対する前記張力付与用部材の押圧力を調整する調整部材を含んで構成されていることを特徴とする。
請求項4記載の発明は、請求項1乃至3に何れか1項記載のガス透過度測定装置において、前記張力付与用溝内に、前記張力付与用部材との気密性を保持する弾接可能なシール材が配置されていることを特徴とする。
請求項6記載の発明は、請求項5記載のガス透過度測定装置において、前記封止手段は、前記試料載置部の上面に配設され前記封止部材に弾接可能なシール材を含んで構成されることを特徴とする。
次に、本発明の実施の形態について図1乃至図6を参照して説明する。
本実施の形態では、本発明のガス透過度測定装置を、水蒸気透過度を測定するカップ法に適用した場合について説明する。なお、図に示す各部位の縮尺または比率は実際とは一致しない。また、本発明にかかるガス透過度測定装置は、図示する構造のものに限定されるものではない。
本実施の形態におけるガス透過度測定装置は、図1乃至図5に示すように、上端が開口され下端が閉塞された円筒状の容器1、容器1の開口5側端面にセットされたフィルム状試料2を密着させて容器1の内部を気密に封止する封止手段(符号7、9、10及び11等で示す部品による構成される)、フィルム状試料2を透過する気体または水蒸気などのガスを供給するガス供給手段(図示省略)、フィルム状試料2を透過したガスの重量を測定する測定手段(本実施の形態では、容器1内に投入された塩化カルシウム吸収剤3に相当する)、及びフィルム状試料2に、平面視した場合に容器1の中心から外側に向けて引っ張られる張力を与える張力付与手段(符号8、12、15及び17等で示す部品による構成される)を備える。
開口5寄りの試料載置部4の上面には、張力付与手段を構成する張力付与用溝8が開口5を囲むように開口5と同心円状に環状に延在形成されている。この張力付与用溝8は、張力付与用溝8の延在方向と直交する平面で切った断面形状が凹状の半円形を呈している。
また、張力付与用溝8内の底部には、張力付与用溝8との気密性を保持させるOリングなどの弾接可能なリング状のシール材6が張力付与用溝8の全長に亘り配設されている。さらに、試料載置部4の上面の周縁部寄りには、同様にして、開口5を覆うように載置されたフィルム状試料2との気密性を保持させるOリングなどの弾接可能なリング状のシール材7が開口5と同心円状に配設されている。
固定機構は、試料載置部4上にシール材7及びフィルム状試料2の箇所2aを挟んで重ね合わされた封止部材9と試料載置部4との積層方向の上下両面から挟持するコの字状の複数の固定具10と、この各固定具10の封止部材9に当接する固定片10aに螺合された固定ネジ11とから構成され、固定ネジ11を固定片10aに螺入して封止部材9を試料載置部4側へ押圧することにより、フィルム状試料2を試料載置部4に複数箇所(三箇所)で固定し、かつフィルム状試料2を試料載置部4の上面に密着させて容器1の内部を気密に封止するようになっている。
上記押し込み機構は、図4に示すように、開口5を中心に120°の角度で放射方向に延在する3つの支持片15aを有するY字状の支持部材15と、この支持部材15の中心部に螺合され張力付与用溝8に対する張力付与用部材12の押圧力を調整する調整ネジ17を含んで構成される。そして、3つの支持片15aの延在先端にそれぞれ直角に折り曲げて設けられた取付片15bは固定ネジ16によって試料載置部4に着脱可能に固定されている。
まず、図1(a)に示すように、容器1中には、試料フィルム2を透過した水蒸気を吸収し一定時間後の重量増加を測定するための塩化カルシウム吸収剤3を投入しておく。次いで、それぞれのリング状シール材6、7を図1(a)に示すように所定の場所にセットする。
次いで、中心に穴を有する円盤状の封止部材9と固定具10及び固定ネジ11を用いてフィルム状試料2を試料載置部4に固定する。この場合、外側のリング状シール材7が充分変形するよう、確実に固定する。また、フィルム状試料2を外側のリング状シール材7上に均等に固定するために、3つの固定具10は120°の等間隔で取り付けることが望ましい。なお、この間隔で固定した場合、側面から見ると一つの固定具しか表れないが、図では、固定状態を模式的に示すため、便宜上、2つの固定具を表示している。
次に、図5(a),(b)に示すように、張力付与用の支持部材15を試料載置部4の側面にネジ16で固定し、張力付与用部材12の凸条部13を支持部材15とネジ17により、試料載置部4の張力付与用溝8にフィルム状試料2ごと押し込み、固定する。この場合、内側のリング状シール材6が充分変形するよう、確実に固定する。これにより、フィルム状試料2には均等に張力が負荷される。
なお、本発明においては、リング状シール材6の内径から計算される透湿面積は、JIS Z 0208の規定値と同様に、25cm2以上であればよく、従って、リング状シール材6の内径としては約20mm以上であればよい。
透湿度(g/m2day)=240×m/(t・s)・・・・・・・・・・・・・・・(1)
ここに、s:透湿面積、t:試験を行った時間の合計(h)、m:試験を行った前後の増加質量(mg)である。
なお、手順もカップ法の場合と同じであるため、その説明は省略する。また、図7において、図5と同一の符号は図5と同一の部品を示している。
また、本実施の形態に示した機構を、水蒸気透過度を測定するカップ法の容器や酸素透過度を測定する試料セルに適用することにより、実際の使用状態に近い、試料に張力が働いた状態での水蒸気や酸素に対するバリア性を試験することが可能になる。
(実施例1)
本発明のカップ法として、開口直径を40mm、試料載置部の外周直径を110mm、高さ50mmのアルミ製の容器を作成した。試料載置部の上面には、内周径50mm,外周径70mmのリング状の張力付与用溝を設けた。張力付与用溝の断面形状は、直径20mmの半円形、深さを1.0mmとした。張力付与用溝の中心部に、直径60mm、断面直径3mmのOリングを張力付与用溝の表面に0.3mm露出するように設置した。また、張力付与用溝の外側に位置する試料載置部の上面に、直径90mm、断面直径3mmのOリングを張力付与用溝の表面に0.3mm露出するように設置した。次に、封止部材として、内周径が80mm、外周径が110mm、厚さが5mmのアルミ製の穴のあいた円盤を作成した。固定具としては、一つの面にネジ穴を開けたコの字型のものをアルミで作成した。張力付与用部材としては、直径が76mm、厚さが5mmの円盤形状の下面に、中心周径が60mmの半ドーナツ形の凸条部をアルミにより作成した。凸条部の断面形状は、直径が20mmの凸状の半円形を呈し、高さは2mmとした。さらに、この円盤に、中心から内半径が5mm、外半径が20mm、開口角が60度の扇型の窓穴を120度間隔で3つ形成した。張力付与用支持部材としては、幅が20mm、厚さが7mmの板が120度の等間隔で容器の外周方向に放射状に広がったY字型の部材を作成した。その先端部は、試料載置部の側面にネジにより固定できるように、90度曲げた形状とした。支持部材と、試料載置部の上面との間の間隔は6mmとした。張力付与用部材を押さえるには、ローレットネジを用いた。形成した張力付与用溝の形状、深さ、Oリングの直径より、試料の半径方向の引っ張り歪みは約0.8%とした。
そして、予め、引っ張りステージを用いて、フィルム状試料の引張試験を行い、酸化ケイ素膜の引張破壊歪みを測定したところ、破壊歪みは、約1%であった。従って、本実施例の引張破壊歪みに対する張力は、約80%である。
次に、この容器を、40℃90%RHの恒温恒湿環境に24時間放置した。その後塩化カルシウム吸収剤を取り出して重量測定をし、放置前後の重量変化から、水蒸気透過度を上記式(1)により求めた。
3回試験を行い、試料の透過度を測定した結果を図7に示す。
本発明の実施例1のカップ法と比べ、張力付与用溝の断面形状を、直径14mmの円形、深さは2.0mmとし、また、張力付与用部材の下面に形成する半ドーナツ形の凸条部の断面形状を、直径14mmの半円形、高さ3.0mmと変更した以外は、実施例1と同じ構成のものを製作した。形成した張力付与用溝の形状、深さ、Oリングの直径より、試料の半径方向の引張歪みは約1.6%とした。実施例1と同手順により、水蒸気透過度を測定した。
実施例1と同様に、3回試験を行い、試料の水蒸気透過度を測定した結果を図8に示す。
(比較例1)
本発明のカップ法ではなく、張力を負荷しない、一般的なカップを使い、実施例1と同じ条件で水蒸気透過度を測定した。
図8から明らかなように、張力を負荷しない、従来のカップ法により測定した水蒸気透過度が最も小さい値となった。一方、実施例1では、従来法よりも10〜20%透過度が高い値を示した。これは、張力によるPETフィルム自体の透過度の変化、または、酸化ケイ素に潜在するキズの開口の影響などが考えられる。実施例2では、ほぼPET単体と同レベルの高い透過度となった。これは、張力レベルが酸化ケイ素膜の破壊歪みを超えたため、薄膜にクラックが発生し、バリア性を失ったためと考えられる。
以上にように、本発明の水蒸気透過度測定装置によれば、実際の使用時に想定される、試料に張力が作用した場合の透過度を、簡便かつ確実に測定する事が出来ることが確認された。
Claims (6)
- 上端が開口されているとともに前記開口の周囲全周に外方へ環状で平板状に延在して設けられた試料載置部を有する容器と、
前記開口を覆うように前記試料載置部の上面に載置されたフィルム状試料を前記試料載置部の上面に密着させて前記容器の内部を気密に封止する封止手段と、
前記容器の内部とは反対側の前記フィルム状試料の外表面に気体または水蒸気を供給するガス供給手段と、
前記容器内に設けられ前記フィルム状試料を透過して前記容器内に侵入してくる前記気体または水蒸気の量を測定する測定手段とを備えるガス透過度測定装置において、
前記フィルム状試料に、平面視した場合に前記容器の中心から外側に向けて引っ張られる張力を与える張力付与手段が設けられ、
前記張力付与手段は、前記試料載置部の上面に前記開口を囲むように環状に延在形成された張力付与用溝と、前記張力付与用溝上に位置する前記フィルム状試料の箇所を前記張力付与用溝内に押し込んで前記フィルム状試料に前記張力を与える張力付与用部材と、前記張力付与用部材を前記張力付与用溝に押し込む押し込み機構を含んで構成されている、
ことを特徴とするガス透過度測定装置。 - 前記張力付与用溝の延在方向と直交する平面で切った断面形状は凹状の半円形を呈し、前記張力付与用部材は環状を呈し、
前記張力付与用部材が前記張力付与用溝に係合する部分は、延在方向と直交する平面で切った断面形状が凸状の半円形を呈する凸条部として形成されていることを特徴とする請求項1記載のガス透過度測定装置。 - 前記押し込み機構は、前記試料載置部に着脱可能に設けられた支持部材と、前記支持部材に設けられ前記張力付与用溝に対する前記張力付与用部材の押圧力を調整する調整部材を含んで構成されていることを特徴とする請求項1または2記載のガス透過度測定装置。
- 前記張力付与用溝内に、前記張力付与用部材との気密性を保持する弾接可能なシール材が配置されていることを特徴とする請求項1乃至3に何れか1項記載のガス透過度測定装置。
- 前記封止手段は、前記試料載置部上に載置された前記フィルム状試料の箇所の上に重ね合わされる封止部材と、前記封止部材を前記箇所を介して前記試料載置部に押圧して固定する固定機構を含んで構成されていることを特徴とする請求項1乃至4に何れか1項記載のガス透過度測定装置。
- 前記封止手段は、前記試料載置部の上面に配設され前記封止部材に弾接可能なシール材を含んで構成されることを特徴とする請求項5記載のガス透過度測定装置。
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