JP5402078B2 - 過給装置 - Google Patents
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Description
ターボチャージャは、その内部に回転する翼であるインペラを備えており、このインペラとはタービンインペラとコンプレッサインペラを意味する。ターボチャージャ内に導入された排気ガスの流動によりタービンインペラが回転することで、タービンインペラと一体的に連結されたコンプレッサインペラが回転する。回転するコンプレッサインペラは外部から導入された空気を圧縮し、ターボチャージャがこの圧縮された空気をエンジンに供給することで、エンジンの性能を向上させることができる。
例えば、大型で重いインペラを有するターボチャージャでは、多量の空気を供給できエンジンの高出力化が望めるが、インペラの重量のためターボラグは長くなる傾向にある。一方、小型で軽いインペラを有するターボチャージャでは、ターボラグを短縮できるが、供給できる空気量は少ない。
特許文献1に開示された過給装置は、エンジンの低回転域に対応する小型のターボチャージャと、エンジンの高回転域に対応する大型のターボチャージャとを有している。エンジンの低回転時には、小型ターボチャージャにのみ排気ガスを導入させ、エンジンの出力・トルク性能の向上と共に、ターボラグを短縮しエンジンのレスポンス性能を向上させている。エンジンの回転数が上昇すれば、排気ガスの流動を小型ターボチャージャから大型ターボチャージャへ切り換え、高いエンジン出力を確保する。上記切換は逐次行われ、エンジンの低回転域から高回転域までの広い範囲に亘り、エンジンの性能を向上させることができる。
本発明の過給装置は、エンジンから排出される排気ガスの流動方向で複数のターボチャージャが直列に配置され、複数のターボチャージャの動作が逐次切り換えられる過給装置であって、複数のターボチャージャにそれぞれ空気を導入させる導管と、導管に設けられ複数のターボチャージャに対する空気の流動を切り換えるバルブと、を有するという構成を採用する。
このような構成を採用する本発明では、空気が所定のターボチャージャに導入される前に、他のターボチャージャを通過しないことから、ターボラグが短縮され、且つ空気の流動抵抗が低くなる。
このような構成を採用する本発明では、複数のターボチャージャ間において、動作が切り換えられるときに生じる振動等を減少させることができる。
このような構成を採用する本発明では、ターボチャージャによって圧縮された空気がバルブの設置箇所から漏出することを防止する。
このような構成を採用する本発明では、少なくとも1つのターボチャージャによって圧縮された空気がエンジンに導入される前に、他のターボチャージャを通過しないことから、空気の流動抵抗が低くなる。
このような構成を採用する本発明では、ターボチャージャによって圧縮された空気が第2バルブの設置箇所から漏出することを防止する。
本発明によれば、エンジンの低回転時でのターボラグを短縮でき、且つターボチャージャに導入される空気の流動抵抗が低くなることから、過給装置の効率を向上させることができるという効果がある。
まず、本実施形態に係る過給装置Aが設けられた駆動系1の全体構成を、図1を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係る過給装置Aが設けられた駆動系1の全体構成を示す概略図である。
図1に示すように、駆動系1は、車両の外部から過給装置A及びエンジン3に空気を導入する給気部(導管)2と、空気と燃料との混合気体を燃焼させて駆動力を得るエンジン3と、給気部2から供給される空気を圧縮してエンジン3に供給する過給装置Aと、エンジン3から排出される排気ガスを流動させる排気部4とを有している。
第1ターボチャージャ5は、エンジン3から排出された排気ガスが導入される第1タービン51と、給気部2から供給された空気を圧縮する第1コンプレッサ52と、第1タービン51と第1コンプレッサ52とを互いに連結する第1軸受け部53とを有している。
第2ターボチャージャ6は、エンジン3から排出された排気ガスが導入される第2タービン61と、給気部2から供給された空気を圧縮する第2コンプレッサ62と、第2タービン61と第2コンプレッサ62とを互いに連結する第2軸受け部63とを有している。また、第2ターボチャージャ6は第1ターボチャージャ5と同様に、第2タービンインペラ64、第2コンプレッサインペラ65、及び第2インペラ軸66を有している。
第1給気管21の上流側は、車両の外部から導入した空気を濾過して粉塵等を除去する不図示のエアクリーナと接続されている。第1給気管21の下流側は分岐され、それぞれ第2給気管22及び第3給気管23に接続されている。
第2給気管22の上流側端部には切換バルブ27が設けられており、切換バルブ27は第2給気管22の上流側端部を完全に遮蔽することができる。第2給気管22の下流側は、第1コンプレッサ52における空気の導入口に接続されている。
第1コンプレッサ52における圧縮された空気の排出口には、第4給気管24が接続されている。第4給気管24の下流側は、エンジン3の排気マニホールド31に接続されている。
第6給気管(第2導管)26は、第2給気管22と第4給気管24との間に設けられ、第1コンプレッサ52をバイパスする流路となっている。第6給気管26と第2給気管22との接続部は、第5給気管25と第2給気管22との接続部に対向している。第6給気管26の上流側端部には、空気バイパスバルブ28が設けられている。空気バイパスバルブ28は、第6給気管26の上流側端部を完全に遮蔽することができる。
エンジン3の排気マニホールド33と第1タービン51における排気ガスの導入口とは、第1排気管41によって接続されている。第1タービン51における排気ガスの排出口と第2タービン61における排気ガスの導入口とは、第2排気管42によって接続されている。第2タービン61における排気ガスの排出口には、第3排気管43が接続され、第3排気管43の下流側は、不図示の排気ガス浄化装置や消音装置等に接続されている。
第4排気管44の上流側端部には第1排気バイパスバルブ46が設けられており、第1排気バイパスバルブ46は第4排気管44の上流側端部を完全に遮蔽することができる。第5排気管45の上流側端部には第2排気バイパスバルブ47が設けられており、第2排気バイパスバルブ47は第5排気管45の上流側端部を完全に遮蔽することができる。
図2は、本実施形態における切換バルブ27(空気バイパスバルブ28)の構成を示す概略図である。
切換バルブ27は、第2給気管22の上流側端部に設けられ、第2給気管22内を流動する空気の流量を調整するためのバルブである。
切換バルブ27は、第2給気管22内に形成される孔部22aに下流側から接触し、孔部22aを完全に遮蔽できる構造となっている。そのため、給気バルブ27の遮蔽時に下流側における空気の圧力が上流側より高くなった場合には、給気バルブ27は上流側に付勢されることで孔部22aに密着し、下流側から上流側への空気の漏出を防ぐことができる。
図3は、本実施形態におけるエンジン3が低回転域にある場合の空気及び排気ガスの流動を示す概略図である。図4は、本実施形態におけるエンジン3が高回転域にある場合の空気及び排気ガスの流動を示す概略図である。なお、図3及び図4において、白抜き矢印は空気の流動方向を、斜線入り矢印は排気ガスの流動方向を示している。
図3に示すように、エンジン3がアイドリング状態にあるときは、切換バルブ27及び第2排気バイパスバルブ47は開位置に変位しており、空気バイパスバルブ28及び第1排気バイパスバルブ46は閉位置に変位している。
前述の通り、第2タービンインペラ64は回転していないことから、第2コンプレッサインペラ65も回転しておらず、第2コンプレッサ62は第3給気管23内の空気を吸引しない。一方、第1タービンインペラ54が回転していることから、第1コンプレッサインペラも回転し、第1コンプレッサ52は第2給気管22内の空気を吸引する。
したがって、空気は第1給気管21から第2給気管22へ流入し、第1コンプレッサ52へ導入される。また、空気が第1コンプレッサ52へ導入される前に、第2コンプレッサ62を通過しないことから、空気の流動抵抗を低く抑えることができる。
なお、第2給気管22内における空気の圧力よりも第6給気管26内における空気の圧力が高いために、第6給気管26から第2給気管22への空気の漏出が発生しやすい状態にあるが、前述の通り空気バイパスバルブ28は逆止弁であるため、上記漏出を防ぐことができる。
以上で、エンジン3の回転数をアイドリング状態から低回転域に上昇させた場合の駆動系1の動作が終了する。
スロットル操作等によりエンジン3の回転数を上昇させ、高回転域に到達させる。エンジン3の回転数上昇と共に、駆動系1に設けられたバルブ27、28、46、47を漸次連続的に変位させる。
すなわち、図4に示すように、切換バルブ27及び第2排気バイパスバルブ47を開位置から閉位置に次第に変位させ、空気バイパスバルブ28及び第1排気バイパスバルブ46を閉位置から開位置に次第に変位させる。なお、これらバルブの変位動作は、所定の時間を掛けて漸次行われる。
また、第1排気バイパスバルブ46も開位置に次第に変位するため、第1排気管41内の排気ガスは第4排気管44に流動し、第1タービン51をバイパスして第2排気管42へ流動する。すなわち、排気ガスの運動エネルギーは第1タービンインペラ54を回転させるために使用されず、上記運動エネルギーは第2タービンインペラ64を回転させることに使用される。
また、空気バイパスバルブ28も開位置に次第に変位するため、第5給気管25内の圧縮された空気は第6給気管26に流動し、第1コンプレッサ52をバイパスして第4給気管24に導入される。このように、圧縮された空気が第1コンプレッサ52を通過しないことから、圧縮された空気の流動抵抗を低く抑えることができる。
以上で、エンジン3の回転数を低回転域から高回転域に上昇させた場合の駆動系1の動作が終了する。
本実施形態によれば、エンジン3の低回転時でのターボラグを短縮でき、且つ第1ターボチャージャ5に導入される空気の流動抵抗が低くなることから、過給装置Aの効率を向上させることができるという効果がある。
Claims (1)
- エンジンから排出される排気ガスの流動方向で複数のターボチャージャが直列に配置され、前記複数のターボチャージャの動作が逐次切り換えられる過給装置であって、
前記複数のターボチャージャにそれぞれ空気を導入させる第1導管と、
前記第1導管に設けられ前記複数のターボチャージャに対する空気の流動を切り換える逆止弁である第1バルブと、
少なくとも1つの前記ターボチャージャによって圧縮された空気を、他の前記ターボチャージャをバイパスさせて前記エンジンに導入させる第2導管と、
前記第2導管を遮蔽する逆止弁である第2バルブと、を有し、
前記第1バルブ及び前記第2バルブの一方を開位置から閉位置に変位させると同時に前記第1バルブ及び前記第2バルブの他方を閉位置から開位置に変位させる切り換えを漸次連続的に行うことを特徴とする過給装置。
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