[第1の実施形態]
以下、図3(A)〜(E)を参照しながら、本発明の発明者が行ったMOCVD法による強誘電体キャパシタの作製実験を、本発明の第1の実施形態による強電体キャパシタの製造工程として、説明する。
図3(A)を参照するに、図示しないシリコン基板を覆うシリコン酸化膜41上には、(002)配向を有するTi膜42が配向制御膜としてスパッタ法により形成されており、前記配向制御膜42上には、TiAlN膜43が、導電性酸素拡散バリア膜として、反応性スパッタ法により形成されている。なお前記シリコン酸化膜41は、その表面にAl2O3膜を担持していてもよい。
例えば前記Ti膜42は、DCスパッタ装置中において被処理基板とターゲット間の距離を60mmに設定し、圧力が0.15PaのAr雰囲気中、20℃の基板温度で2.6kWのスパッタパワーを5秒間供給することにより形成される。また前記TiAlN膜43は、同じDCスパッタ装置中、TiおよびAlの合金ターゲットを使い、圧力が253.3PaのAr/N2雰囲気中、Arガスを40sccm、窒素ガスを10sccmの流量で供給しながら400℃の基板温度で、1.0kWのスパッタパワーを供給することにより、100nmの膜厚に形成される。
前記Ti膜42は、成膜後、一度窒化させるのが好ましい。Ti膜42をこのように窒化させることにより、後で行われる強誘電体膜の回復熱処理の際に、膜側面からのTiの酸化を抑制することができる。例えばかかる窒化処理を窒素雰囲気中、温度が650℃の急速熱処理で60秒間行うことにより、前記(002)配向を有するTi膜42から(111)配向のTiN下地導電膜42Nが得られる。
次に図3(B)の工程において、前記TiAlN膜43上に、厚さが約100nmのIr膜よりなる下部電極膜45が、例えば圧力が0.2PaのAr雰囲気中、550℃の基板温度で0.5kWのスパッタパワーを投入するスパッタ法により形成される。このようにして形成されたIr下部電極膜45は(111)配向を有する。
さらに図3(B)の構造は、Ar雰囲気中、650℃の温度で60秒間の急速熱処理を行われ、前記Ir膜45の結晶性が改善され、さらに前記Ir膜45とその下のTiAlN膜との間の密着性が改善される。
次に図3(C)の工程において、前記下部電極45上に、MOCVD法により、第1のPZT膜46がシード層として、約1〜10nm、好ましくは5nm程度の膜厚に形成される。
図4は、図3(C)の工程で使われるダウンフロー型のMOCVD装置1の概略的構成を示す。
図4を参照するに、MOCVD装置1はポンプ2Aを含む排気ライン2により排気される処理容器1Aを含み、前記処理容器1A中には前記図3(B)の状態の基板41を被処理基板Wとして保持する基板保持台1Bが設けられている。前記基板保持台1Bは、図示はしないがその上の被処理基板Wを加熱する加熱手段を含んでいる。
さらに前記処理容器1A中には前記基板保持台1B上の被処理基板Wに対面してシャワーヘッド1Cが設けられ、前記シャワーヘッド1Cには、酸素ガスとPZTの各構成元素を含む原料ガスが供給され、前記各種原料ガスを前記処理容器中に放出することにより、前記PZT膜46の成膜がなされる。
また前記図4のMOCVD装置1では、Pb,Zr,Tiの有機金属原料を有機溶媒中に溶解された液体状態で供給され、これを気化してそれぞれの気相原料を形成し、形成された気相原料をArキャリアガスとともに前記シャワーヘッド1Cにライン4を介して供給する気化器3が設けられている。また前記気化器3での気相原料の発生を安定化するため、前記ライン4には切換バルブ4Aが設けられ、前記処理容器1Aに前記気相原料を供給しない場合には、前記気相原料は前記切換バルブ4Aからプリフローライン4Bを介して前記排気ライン2に捨てられる。
より具体的には、Pbの原料としてPb(DPM)2を使い、Zrの原料としてZr(dmhd)4を使い、Tiの原料としてTi(O−iPr)2(DPM)2やTi(O−iPr)2(DMHD)2を使い、これらの原料を酢酸ブチルやTHF(テトラヒドロフラン)などの溶媒により、いずれも0.1〜0.3mol/lの濃度に溶解し、Pb,Zr,Tiの液体原料を形成する。
さらに、このようにして形成した液体原料は、気化器3にて気化されてPb,Zr,Tiの気相原料が形成され、これらがArキャリアガスおよび酸素ガスとともに前記シャワーヘッド1Cを介して前記処理容器1Aに供給され、前記PZT膜46の成膜がなされる。
その際、本実施形態では、最初に前記処理容器1A中に被処理基板W、すなわち図3(B)の状態のシリコン基板41を導入し、酸素ガスだけを533Paの圧力下、2000SCCMの流量で導入し、前記被処理基板Wの温度を所定の成膜温度、例えば約620℃の温度まで昇温させる。
この間は、前記各気相原料は前記バルブ4Aから前記プリフローライン4Bを介して排気ライン2へと捨てられているが、その後、前記バルブ4Aが切り替えられ、それまでプリフローライン4Bを介して排気ライン2へと捨てていた前記Pb,Zr,Tiの各気相原料を前記シャワーヘッド1Cへと供給し、前記処理容器1Aに導入する。これにより、前記処理容器1A中において前記被処理基板W上に、前記PZT膜46が、533Paの圧力下、620℃の温度で成膜される。
その際、図3(C)の工程では、前記処理容器1A中に供給される酸素ガス流量を、成膜前の2000SCCMから625SCCMまで減少させ、前記PZT膜46の成膜を、低い酸素分圧において行う。またその際に、本実施形態では後で詳細に説明するように、前記PZT膜46の成膜速度を約0.5Å/秒以下に設定する。
図4のMOCVD装置1の構成は公知であり、さらなる説明は省略する。
次に、図3(D)の工程において、前記第1の強誘電体膜46上に第2の強誘電体膜47が、前記図4のMOCVD装置1を使ったMOCVD法により、533Paの圧力下、620℃の成膜温度で、ただし酸素ガス流量を2000SCCMに増加して形成される。また図3(D)の工程では、前記PZT膜47の成膜速度には制限がなく、前記PZT膜47は例えば1Å/秒以上の成膜速度で、80nm以上、例えば95nm程度の膜厚に形成することができる。前記PZT膜47は、その下のシード層、すなわち前記PZT膜46の配向を受け継ぎ、同じ配向で成長する。すなわち、PZT膜46が(111)配向していた場合、PZT膜47も(111)配向を有する。
次に図3(E)の工程において、前記PZT膜47上に、PZTとの間に良好な界面を形成するIrOxを使って、上部電極48が、スパッタ法により形成される。本実施形態では前記上部電極48として触媒作用にあるPtの使用を避けており、これにより活性化された水素によるPZT膜46,47の還元が抑制される。
より具体的に説明すると、前記図3(D)の工程の後、前記PZT膜47上には、最初に厚さが50nmのIrOx膜がスパッタ法により、例えば300℃の基板温度でArガスおよび酸素ガスを、それぞれ120sccmおよび80sccmの流量で供給し、1〜2kWのスパッタパワーを投入することで、例えば50nmの膜厚に、また成膜時点ですでに結晶化した状態で、形成される。
次にこのようにして形成されたIrOx膜は、酸素ガスを20sccm,Arガスを2000sccmの流量で供給しながら725℃の温度で60秒間急速熱処理され、完全に結晶化される。またこの急速熱処理により、前記PZT膜46,47中に上部電極48の形成に伴って生じた酸素欠損が補償される。
次に、このようにして形成された第1の酸化イリジウム膜(前記IrOx膜)上に、第2の酸化イリジウム膜(IrOy膜)がスパッタ法により、0.8PaのAr雰囲気中、1.0kWのスパッタパワーで100〜300nm、例えば200nmの厚さに形成される。このようにして形成された前記第2の酸化イリジウム膜は、IrO2の化学量論組成に近い組成を有し(x<y≦2)、水素あるいは水に対してIrやPtのような触媒作用を生じることがなく、図3(E)の構造上に多層配線構造を形成した場合にも、PZT膜46,47が、水分を含む層間絶縁膜から放出される水素により還元されてしまう問題が抑制され、強誘電体キャパシタの水素耐性が向上する。
前記上部電極48をこのように二層構造とすることにより、前記下層のIrOx膜とその下のPZT膜47との間に優れた密着性が確保され、前記上層のIrOy膜により、上に述べたように強誘電体キャパシタの水素耐性が向上する。
なお本実施形態において前記上部電極48として、IrOxの代りにIr,Ru,Rh,Re,Os,Pd、あるいはこれらの酸化物、さらにSrRuO3などの導電性酸化物を使うことも可能である。また前記上部電極48を、これらの金属または導電性酸化物層の積層構造とすることも可能である。
本実施例では、さらに前記上部電極48の表面部分に、図示は省略するがIr膜を形成してもよい。これにより、前記上部電極48を介したH2Oの強誘電体膜46,47への侵入が抑制され、また配線パターンとのコンタクト特性が向上する。
図5は、前記図3(C)の工程において、前記PZT膜46の成膜を、0.2Å/秒から1.5Å/秒の範囲の様々な成膜速度で行った場合の、図3(D)の工程で最終的に得られるPZT膜47の(222)配向率を求めた結果を示す。また以下の表1は、前記図5の実験で、PZT膜46および47の成膜に使われた成膜レシピの例を示す。当然のことながら、(222)配向率は(111)配向率と読み替えることができる。なお、図5の配向率は、PZT膜上にPZT膜47を形成した後、X線回折のθ−2θ法でPZT膜47の(001)/(100),(101)/(110)、および(222)面に対応するX線回折ピーク強度を測定し、(222)強度/{(001)/(100)強度+(101)/(110)強度+(222)強度}×100%、に従って計算した値であり、値が大きいほど、強い(111)配向が生じていることを意味する。
なお前記表1において、酢酸ブチル、Pb(DPM)
2,Zr(dmhd)
4,Ti(O−iPr)
2(DPM)
2の流量は、図4の気化器3に供給される液体原料の流量で示している。また前記表1のレシピにおいて、有機溶媒として酢酸ブチルの他にTHF(テトラヒドロフラン)を使うことも可能である。
図5を参照するに、前記PZT膜46の成膜を、例えば1Å/秒未満の成膜速度で行った場合、最終的に得られるPZT膜47の(222)配向率は88%前後の値から増加し始めるが、約0.7Å/秒の成膜速度で90%を超え、0.5Å/秒未満の成膜速度では96%に達し、0.2Å/秒の成膜速度で99%に達することがわかる。
図6は、このようにして得られたPZT膜47の表面モフォロジおよび断面を示すSEM像である。ただし図6の例では、前記図3(C)の工程で前記PZT膜46の成膜を0.5Å/秒の成膜速度で行っている。
図6を参照するに、先の図2のSEM像と比較すると、PZT膜47表面の突起構造が大幅に減少しており、先の図2の考察を勘案すると、PZT膜47中における非(111)配向領域が大幅に減少しているものと考えられる。なお前記図2の試料は、図3(C)の工程において前記PZT膜46の成膜を、前記表1において成膜速度を1.5Å/秒に設定したレシピを使って行った場合に対応する。
図7は、このようにして得られたPZT膜47の(222)配向率と成膜枚数の関係を示す。
図7を参照するに、上記本発明の比較例では、(222)配向率は90%前後で±1%程度のばらつきを示すのに対し、本発明において前記PZT膜46の成膜を0.2Å/秒の成膜速度で行った場合、(222)配向率は99%前後で、ばらつきも±0.5%程度に減少するのがわかる。
上記の知見を踏まえ、本発明の発明者は、PZT膜46の成膜速度がその上に成膜されるPZT膜47の(111)配向に影響する理由について検討を行った。
図8は、前記図3(D)の構造における、Ir下部電極43からPZT膜47までの断面に沿ったIrの分布プロファイルを示す。また図9は、同じ断面におけるIrの分布をEDX(energy dispersion X-ray)分析により求めた結果を示す。図9はカラー図なので、以下では主に図8のプロファイル図について説明する。
図8を参照するに、前記PZT膜46上に形成されたPZT膜47中にはほとんどIrが含まれていないのに対し、前記Ir電極膜45上に形成されたPZT膜46には、多量のIrが取り込まれていることがわかる。
このようなPZT膜46中へのIrの取り込みは、その下のIr下部電極45をIr供給源として生じていることは明らかであるが、これは、前記PZT膜46の成膜が、前記表1のレシピからわかるように比較的酸素流量の少ない、従って酸素分圧の低い条件で行われたことによるものと考えられる。
さらに本発明の発明者が、PZT膜46中のIr量とPZT膜46の成膜速度の関係を調べたところ、興味深い結果が得られた。
図10は、前記PZT膜46中のIr量とPZT膜46の成膜速度の関係を示す。ただし図10中、PZT膜46中のIr量(%)は、PZT膜中の金属元素Pb,Zr,Ti、Irの総量に対して規格化してある。
図10を参照するに、成膜速度が1Å/秒以上の場合、PZT膜46中へのIrの取り込みはほとんど生じないが、成膜速度が1Å/秒を切るとIrの取り込みが増加し始め、0.5Å/秒以下になると急速に立ち上がることがわかる。
そこで、先に図5で説明した、PZT膜46の成膜速度とPZT膜47の(222)配向率との関係を勘案すると、PZT膜47の(222)配向率、従って(111)配向率は、その下のPZT膜46中におけるIrの取り込み量により支配されていることが推論される。本実施形態では、前記PZT膜はIrを、図11のようにPb,Zr,Ti、Irの総量に対して規格化した値で、1−50%の範囲で含むのが好ましい。
そこで本発明の発明者は、PZT膜46中におけるIrがその(111)配向、従ってその上のPZT膜47の(111)配向を支配する機構について結晶化学的な検討を行った。
図11は、ABO3組成を有するペロブスカイトの結晶構造を示す。
一般にABO3組成を有する化合物がペロブスカイト型の結晶構造をとるかどうかは、式1
で定義されるトレランスファクターtにより決定され、tの値が0.75以上で1.1以下の場合に、前記化合物はペロブスカイト構造をとり、tの値が0.75未満では別の結晶構造(イルメナイト構造)をとると言われている。なお上記式1において、rAはペロブスカイトのA席を占有する陽イオンのイオン半径を、rBはペロブスカイトのB席を占有する陽イオンのイオン半径を、さらにrOは酸素のイオン半径を示す。前記トレランスファクターtが1の場合には、理想的なペロブスカイト構造となる。
以下に、Shannonのイオン半径を、A席を占有する、あるいはその可能性のある陽イオンPb2+,La3+およびIr3+、およびB席を占有する、あるいはその可能性のある陽イオンZr4+,Ti4+,Ir4+についてまとめて示す。
そこで、Ir
3+がペロブスカイトのA席に入り、化合物Ir(Zr
0.45Ti
0.55)O
3を形成する場合を考えると、前記tファクターは、r
Aが0.68Å、r
Bが0.66Å、r
Oが1.4Åであることから0.714となり、ペロブスカイト構造を保つことができないことがわかる。
これに対し、Ir4+がペロブスカイトのB席に入り、化合物PbIrO3を形成する場合を考えると、前記tファクターは、rAが1.49Å、rBが0.63Å、rOが1.4Åであることから1.007となり、理想に近いペロブスカイト構造を保つことができることがわかる。
図12は、B席にIr4+を3%ドープされたPZT膜の(002)面および(200)面の回折ピークを、このようなIrのドープをされないPZT膜の回折ピークと比較して示す図である。なお、図12のIr4+を3%ドープされたPZT膜とは、前記図10のIr/(Pb+Zr+Ti)比が3%の試料、表1における成膜速度が0.2Å/秒の試料を指す。
図12を参照するに、PZT(200)面のピーク位置はドープされた場合とされない場合でほとんど変化していないのに対し、(002)面のピーク位置は、ドープされた場合に高角度側にシフトしており、これは実際にもIrが、前記PZT膜を構成するペロブスカイトのB席に入っていることを示している。
以下の表3は、このようにB席にIrを3%ドープしたPZT膜の格子定数を、Irドープを行わなかった場合のPZT膜の格子定数と比較して示す。
表3を参照委するに、Irを含まないPZT膜(non-doped)に比べIrを含むPZT膜は軸率(c/a比)が1により近くなっており(c/a=1.03)、PZT膜を構成するPZTは正方晶系ながら、より立方晶系に近づいていることがわかる。
図13(A)は、正方晶系の単位格子中における(111)面を示す。
周知のように、(111)面は、単位格子の(100)面、(010)面および(001)面と、それぞれの面の対角線で交差する面であり、単位格子内において前記対角線により、三角形を形成する。なお図13(A)中、aはa軸およびb軸方向の格子定数を、cはc軸方向の格子定数を示す。
そこで、仮に単位格子が立方晶系のものである場合(a=c)、前記(111)面は単位格子中において正三角形を形成し、このような(111)面を主面とする仮想的な立方晶系のPZT膜では、図13(B)に示すようにその表面が、正三角形の(111)面により、隙間なく、換言すると欠陥を生じることなく、敷き詰められた状態となる。すなわち、仮にPZT膜が立方晶系のものであった場合には、(111)面を主面とする膜が成長しやすいと考えられる。
ところが、単位格子の対称性が立方晶系から正方晶系へと大きくはずれた場合(例えば)a≪c)、単位格子内において(111)面は、図13(C)に示すようにもはや正三角形は形成せず、そこで仮にこのようなPZT材料により(111)面を主面とする膜を成膜しようとすると、隣接する単位格子が連続することができず、欠陥が生じてしまう。このような場合には、(111)面を主面とする膜の成膜は困難であると考えられる。
先の表3の結果を見ると、PZT膜中にIrが含まれることにより、PZTの結晶系は正方晶系ではあるものの、より立方晶系に近づいており、このため、先に図5で説明したように、PZT膜46中にIrが含まれることにより、まずPZT膜46が(111)配向し、その上に成膜されるPZT膜47が、PZT膜46の(111)配向を引き継いで(111)配向しているものと理解される。
また、先に図10で説明した、PZT膜46中のIr量が、PZT膜46の成膜速度が遅い場合に増大する現象は、PZT膜46の成膜が遅い場合、成膜に時間がかかるため、その下のIr電極膜45からのPZT膜46へのIrの拡散が促進されているものと考えられる。
以上を勘案すると、前記PZT膜46に導入されてその(111)配向率、従ってその上に成膜されるPZT膜47の(111)配向率をも向上させる元素は、Irには限定されるものではなく、B席に入ってもペロブスカイト構造が維持でき、かつB席に入った場合にPZT膜の軸率c/aを1に近づけることができる元素であればよく、例えば以下の表4に示すように、Pt,Ru,Rh,Re,Os,Pdなどの貴金属を使うことができる。
ただし表4においてPZT(ZrTi=45/55)は、Zr/Ti比が45/55で、Irや上記Pt,Ru,Rh,Re,Os,Pdなどの貴金属元素によりドープされていないPZT膜を示し、ZrTiのB席イオン半径は、B席におけるZrとTiの平均イオン半径を表している。これらのいずれの元素でも、tファクターは1.1以下であり、B席に入った場合、ペロブスカイト構造が維持されることがわかる。
[変形例]
以上の説明では、前記PZT膜46へのIrの導入は下部電極からの拡散によりなされたが、上記のPZT膜46中におけるIrの作用を勘案すると、Irを含め、これらの元素は、他の方法、例えばイオン注入や成膜時にこれらの元素の原料ガスを添加したMOCVD法などにより形成してもよいことがわかる。
例えば第1のPZT膜46を形成する前記図3(C)の工程で、前記表1のレシピを、前記Pb,ZrおよびTiのそれぞれの液体原料に加えて、Irの液体原料、例えばIr(C5H4C2H5)(C8H12)を供給するように変更することができる。
このようにしてIrをドープしたPZT膜46を成膜した後、その上に第2のPZT膜47をより大きな、例えば1〜2Å/秒の成膜速度で、前記表1のレシピに従って成膜する。
このような方法によっても、PZT膜46中にIrが取り込まれることから、図5〜7で説明したのと同様に、PZT膜46、従ってその上のPZT膜47において強い(111)配向を実現することができる。
[第2の実施形態]
以下、本発明の第2の実施形態による強誘電体メモリの製造工程を、図14A〜14Vを参照しながら説明する。
図14Aを参照するに、シリコン基板61中には素子領域61Aとしてn型ウェルが形成されており、前記素子領域61A上には、ポリシリコンゲート電極63Aを有する第1のMOSトランジスタとポリシリコンゲート電極63Bを有する第2のMOSトランジスタが、それぞれゲート絶縁膜62Aおよび62Bを介して形成されている。
さらに前記シリコン基板61中には、前記ゲート電極63Aの両側壁面に対応してp−型のLDD領域61a,61bが形成されており、また前記ゲート電極13Bの両側壁面に対応してp−型のLDD領域61c,61dが形成されている。ここで前記第1および第2のMOSトランジスタは前記素子領域61A中に共通に形成されているため、同一のp−型拡散領域が、前記LDD領域61bとLDD領域61cとして共用されている。
前記ポリシリコンゲート電極63A上には、シリサイド層64Aが、またポリシリコンゲート電極63B上にはシリサイド層64Bが、それぞれ形成されており、さらに前記ポリシリコンゲート電極63Aの両側壁面および前記ポリシリコンゲート電極63Bの両側壁面上には、それぞれの側壁絶縁膜が形成されている。
さらに前記シリコン基板61中には、前記ゲート電極63Aのそれぞれの側壁絶縁膜の外側に、p+型の拡散領域61eおよび61fが形成されており、また前記ゲート電極63Bのそれぞれの側壁絶縁膜の外側には、p+型の拡散領域61gおよび61hが形成されている。ただし、前記拡散領域61fと61gは、同一のp+型拡散領域より構成されている。
さらに前記シリコン基板61上には、前記シリサイド層64Aおよび側壁絶縁膜を含めて前記ゲート電極63Aを覆うように、また前記シリサイド層64Bおよび側壁絶縁膜を含めて前記ゲート電極63Bを覆うように、SiON膜65が例えば200nmの厚さに形成されており、前記SiON膜65上にはSiO2よりなる層間絶縁膜66が、TEOSを原料としたプラズマCVD法により、例えば1000nmの厚さに形成されている。さらに前記層間絶縁膜66はCMP法により平坦化され、さらに前記層間絶縁膜66中に、前記拡散領域61e,61f(従って拡散領域61g),61hをそれぞれ露出するようにコンタクトホール66A,66B,66Cが形成される。前記コンタクトホール66A,66B,66Cには、厚さが30nmのTi膜と厚さが20nmのTiN膜を積層した密着層67a,67b,67cを介して、W(タングステン)よりなるビアプラグ67A,67B,67Cが形成される。
さらに図14Aの構造では前記層間絶縁膜66上に、厚さが例えば130nmの別のSiON膜67を介してシリコン酸化膜よりなる次の層間絶縁膜68が、前記層間絶縁膜66と同様にしてTEOSを原料とするプラズマCVD法により、例えば300nmの厚さに形成されている。ここで前記SiON膜67に代わりにSiN膜あるいはAl2O3膜を使うことも可能である。
次に図14Bの工程において前記層間絶縁膜68中に、前記ビアプラグ67A,67Cを露出するビアホール68A,68Cがそれぞれ形成され、前記ビアホール68Aにはタングステンよりなり前記ビアプラグ67Aとコンタクトするように、ビアプラグ69Aが、前記密着層67aと同様なTi膜とTiN膜を積層した密着層69aを介して形成される。また前記ビアホール68Cにはタングステンよりなり前記ビアプラグ67Cとコンタクトするようにビアプラグ69Cが、前記密着層67cと同様なTi膜とTiN膜を積層した密着層69cを介して形成される。
次に図14Cの工程において、前記層間絶縁膜68の表面をNH3プラズマで処理し、NH基を前記層間絶縁膜68表面の酸素原子に結合させ、次いでTi膜70がスパッタ法により、前記層間絶縁膜68上に前記ビアプラグ69A,69Bを覆うように、例えば先の図3(A)のTi膜42と同様な条件で、例えば20nmの厚さに形成される。前記層間絶縁膜68の表面をこのようにNH3プラズマで処理しておくことにより、前記層間絶縁膜68表面の酸素原子はNH基により終端され、Ti原子と優先的に結合してその配向を規制することがないため、前記Ti膜70は理想的な(002)配向を有する。
さらに図14Cでは、前記Ti膜70を窒素雰囲気中、650℃の温度で急速熱処理し、(111)配向のTiN膜70に変換する。
次に図14Dの工程において、前記TiN膜70上にTiAlN膜71を、酸素拡散バリアとして、前記図3(A)のTiAlN膜43と同様な条件で形成し、さらに図14Eの工程で、前記TiAlN膜71上に前記図3(B)の下部電極45と同様に、厚さが約100nmのIr膜がスパッタ法により積層され、下部電極層73が形成される。
次に前記図14Fの工程において、前記図14EのIr下部電極73上に、前記図3(C)の工程と同様にして第1のPZT膜74AがMOCVD法により、533Paの圧力下、620℃の成膜温度で、前記表1のレシピに従って、0.5Å/秒以下の成膜速度で、1〜50nmの膜厚に堆積される。
さらに図14Gの工程において、前記第1のPZT膜74A上に第2のPZT膜74Bが、前記図3(D)のPZT膜47と同様にMOCVD法により、533Paの圧力下、620℃の成膜温度で、前記表1のレシピに従って、1Å/秒以上、例えば約2Å/秒の成膜速度で、例えば80nmの膜厚に形成される。
先にも説明したように、このようにして形成されたPZT膜74AはIrを含むため、強い(111)配向を示し、そのため、その上に形成されたPZT膜74Bも前記PZT膜74Aの強い(111)配向を継承する。
なお、先にも説明したように、前記下部電極層73はIr以外に、Pt,Ru,Rh,Re,Osなどの貴金属より形成されてもよく、その場合には、前記第1のPZT膜74A中には、前記下部電極膜73を構成する金属元素が含まれる。
次に図14Hの工程において、前記PZT膜74B上に、酸化イリジウムよりなる上部電極76を形成する。
より具体的には、最初に前記PZT膜74B上に厚さが50nmで非化学量論組成IrOx膜を有する第1の酸化イリジウム膜を、成膜の時点で結晶化するように、スパッタ法により形成する。たとえば、前記第1の酸化イリジウム膜の成膜は、300℃の成膜温度でArガスおよび酸素ガスをそれぞれ100SCCMの流量で供給しながら、Irターゲットを1〜2kWのパワーでスパッタすることにより実行される。前記第1の酸化イリジウム膜を非化学量論組成に形成することにより、その下のPZT膜74B中の過剰なPbが前記第1の酸化イリジウム膜中に吸収され、PZT膜74Bと上部電極76との界面での剥離の問題が解消される。
さらに図14Hの工程では、このようにして得られた第1の酸化イリジウム膜を、酸素ガスを20SCCMの流量で供給し、Arガスを2000SCCMの流量で供給した雰囲気中において、725℃の温度で60秒間急速熱処理し、前記第1の酸化イリジウム膜のプラズマダメージを回復させる。また同時に、前記PZT膜74A,74Bの酸素欠損が補償され、同時にPZT膜74A,74Bが完全に結晶化する。
さらに前記図14Hの工程では、このようにして形成された非化学量論組成の第1の酸化イリジウム膜上に第2の酸化イリジウム膜を、0.8Paの圧力下、1.0kWのパワーでスパッタすることにより、100〜300nmの膜厚を有するように、また前記第1の酸化イリジウム膜よりも化学量論組成に近い組成を有するように形成される。これにより、前記PZT膜74A,74BがIrの触媒作用により発生する水素ラジカルにより還元される問題が軽減され、形成される強誘電体キャパシタの水素耐性が向上する。なお、前記上部電極76としては、酸化イリジウムの代わりに、Ir,Ru,Rh,Re,Os,Pd、あるいはこれらの導電性酸化物、あるいはSrRuO3などの導電性酸化物、あるいはこれらの積層体を使うことが可能である。また
さらに図14Hの上部電極76では、図示はしないが前記第2の酸化イリジウム膜上に、水素バリア膜および導電性向上膜として、Ir膜が、スパッタ法により、Ar雰囲気中、1Paの圧力下、1.0kWのパワーで50〜100nmの膜厚に堆積されている。前記水素バリア膜としては、Ir膜の他にRu膜、Rh膜、Pd膜などを使うことも可能である。
次に、図14Hの工程の後、基板背面洗浄を行い、さらに図14Iの工程において、前記上部電極76上に、TiAlN膜77とシリコン酸化膜78が、それぞれ反応性スパッタ法およびTEOS原料を使ったプラズマCVD法により、ハードマスク層として形成される。
さらに図14Jの工程で前記シリコン酸化膜78がパターニングされ、所望の強誘電体キャパシタC1,C2に対応したハードマスクパターン78A,78Cが形成される。
さらに次の図14Kの工程において、前記ハードマスクパターン78A,78Bをマスクに、その下のTiAlN膜77,上部電極層76,PZT膜74,75、下部電極層73、およびAl2O3膜が、前記TiAlN膜71が露出するまで、HBr,O2,ArおよびC4F8を使ったドライエッチングによりパターニングされ、前記ハードマスクパターン78Aの下に前記強誘電体キャパシタC1に対応して、下部電極層73,PZT膜74A,74B,上部電極層76およびTiAlNマスクパターン77Aを積層した構造が、また前記ハードマスクパターン76Cの下に前記強誘電体キャパシタC2に対応して、下部電極パターン層73,PZT膜74A,74B,上部電極層76およびTiAlNマスクパターン77Cを積層した構造が得られる。
次に図14Lの工程で、前記ハードマスクパターン78A,78Cがドライエッチングまたはウェットエッチングにより除去され、図14Mの工程において前記強誘電体キャパシタC1,C2をマスクに、前記層間絶縁膜68上のTiN膜70およびその上のTiAlN膜71がドライエッチングにより除去され、前記キャパシタC1、C2の各々において、前記下部電極層73の下に、TiNパターン70AおよびTiAlNパターン71Aを積層した構造が形成される。
さらに図14Nの工程で、前記図14Mの工程で露出した前記層間絶縁膜68上に、前記強誘電体キャパシタC1およびC2の側壁面および上面を連続して覆うように非常に薄い、膜厚が20nm以下のAl2O3膜79が、水素バリア膜としてスパッタ法あるいはALD法により形成され、次いで図14Oの工程で、酸素雰囲気中、550〜750℃、例えば650℃で熱処理を行うことにより、前記強誘電体キャパシタC1,C2中のPZT膜74A,74Bにおいて、図14Mのドライエッチング工程などで生じたダメージを回復させる。
さらに図14Pの工程において前記図14OのAl2O3膜79上に次のAl2O3膜80がMOCVD法により例えば20nmの膜厚に、やはり水素バリア膜として形成され、さらに図14Qの工程において、このようにして形成されたAl2O3水素バリア膜79,80を覆うように、シリコン酸化膜よりなる層間絶縁膜81が、TEOSと酸素とヘリウムの混合ガスを原料としたプラズマCVD法により1500nmの膜厚に形成される。図14Qの工程では、このようにして形成された層間絶縁膜81の表面をCMP法により平坦化した後、N2Oまたは窒素ガスを用いたプラズマ中で熱処理し、前記層間絶縁膜81中の水分を除去する。さらに図14Qの工程では、前記層間絶縁膜81上にAl2O3膜82が水素バリア膜として、スパッタまたはMOCVD法により20〜100nmの厚さに形成される。図14Qの工程では前記層間絶縁膜81は、CMP法による平坦化工程の結果、例えば700nmの膜厚を有する。
次に図14Rの工程において前記水素バリア膜82上には、シリコン酸化膜よりなる層間絶縁膜83が、TEOS原料のプラズマCVD法により300〜500nmの膜厚に形成され、図14Sの工程において、前記層間絶縁膜83中に前記強誘電体キャパシタC1の上部電極76Aを露出するビアホール83Aおよび前記強誘電体キャパシタC2の上部電極76Cを露出するビアホール83Cが形成される。
さらに図14Sの工程では、このようにして形成されたビアホール83Aおよび83Cを介して酸化雰囲気中で熱処理を行い、前記PZT膜74A,75A,および74C,75Cに、かかるビアホール形成工程に伴って生じた酸素欠損を補償する。
次いで前記ビアホール83A,83Cの底面および内壁面を、TiNの単層膜よりなるバリアメタル膜84a,84cによりそれぞれ覆い、さらに前記ビアホール83Aをタングステンプラグ84Aにより、また前記ビアホール83Cをタングステンプラグ84Cにより充填する。
さらに前記タングステンプラグ84A,84Cの形成の後、前記層間絶縁膜83中に前記ビアプラグ67Bを露出するビアホール83Bを形成し、これをタングステンビアプラグ84Bで充填する。なお前記タングステンビアプラグ84Bは通常のように、Ti/TiN積層構造の密着膜84bを伴っている。
さらに図14Tの工程において、前記層間絶縁膜83上に、前記ビアプラグ84Aに対応してAlCu合金よりなる配線パターン85Aが、Ti/TiN積層構造の密着膜85a,85dに挟持された形で、前記ビアプラグ84Bに対応してAlCu合金よりなる配線パターン85Bが、Ti/TiN積層構造の密着膜85b,85eに挟持された形で、さらに前記ビアプラグ85Cに対応してAlCu合金よりなる配線パターン85Cが、Ti/TiN積層構造の密着膜85c,85fに挟持された形で、形成される。
また前記図14Tの構造上に、必要に応じてさらなる配線層が形成される。
このようにして形成された強誘電体メモリでは、強誘電体キャパシタC1,C2の各々において、前記第1のPZT膜74Aが、その上の第2のPZT膜74Bを成膜する際の成膜速度よりも遅い成膜速度で成膜されるため、前記第1のPZT膜74Aはその下の下部電極73を構成するIrなどの金属元素を含み、強い(111)配向を示す。このため、かかる(111)配向を有するPZT膜74A上に形成され、強誘電体キャパシタC1,C2において強誘電体膜の主要部をなすPZT膜74Bも、前記PZT膜74Aの(111)配向を引継ぎ、強誘電体キャパシタC1,C2は優れた電気特性を示す。また、先に図6で説明したように、PZT膜74A,74Bの表面モフォロジが向上する。
先にも述べたように、前記第1のPZT膜74Aに含まれる金属元素はIrに限定されることはなく、ペロブスカイト構造のB席に入り正方晶系のPZT単位格子をより立方晶系に近づけるようなイオン半径を有するRu、Rh,Re,Os,Pdなどを使うことも可能である。
またその際、前記PZT膜74Aへのこれら金属元素の導入は、下部電極からの拡散に限定されるものではなく、例えばイオン注入や、前記第1の実施形態の変形例で説明したように、成膜時にIr原料を同時に供給することで導入することも可能である。
なお本実施形態において強誘電体膜74A,74BはPZT膜としたが、Laを含むPLZT膜であってもよい。
さらに前記強誘電体膜74A,74BはPZT膜に限定されることはなく、Pbを含むABO3型ペロブスカイト構造を有する強誘電体膜より構成されていればよく、例えば前記A席を占有する金属元素として、Bi,Pb,Ba,Sr,Ca,Na,K、および希土類元素などを含み、前記B席を占有する金属元素として、Ti,Zr,Nb,Ta,W,Mn,Fe,Co,Crなどを含むものであってもよい。
また前記導電性酸素バリア膜71はTiAlN膜に限定されるものではなく、Ir膜あるいはRu膜を使うことも可能である。
さらに前記配向制御膜70はTi膜あるいはTiN膜に限定されるものではなく、Pt膜、Ir膜、Re膜、Ru膜、Pd膜、Os膜、あるいはこれらの膜を構成する元素の合金より構成することも可能である。また前記配向制御膜70としては、Ti,Al,Ir,Pt,Ru,Pd,Os,Rh,PtOx,IrOx,RuOx,PdOxのいずれかよりなる単層膜または積層膜を使うことが可能である。
(付記1)
貴金属を含む下部電極を形成する工程と、
前記下部電極上に、第1の速度で第1の強誘電体層を形成する工程と、
前記第1の強誘電体層上に、前記第1の速度より速い速度で第2の強誘電体層を形成する工程と、
前記第2の強誘電体層上に上部電極を形成する工程と、
を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
(付記2)
前記第1の速度は、0.5Å/sec以下であることを特徴とするふき1に記載の半導体装置の製造方法。
(付記3)
前記第1の強誘電体層を形成する工程は、前記第2の強誘電体層を形成する工程より酸素分圧を低くした条件で行われることを特徴とする付記1又は2に記載の半導体装置の製造方法。
(付記4)
前記第1の強誘電体層は、前記第2の強誘電体層よりも膜厚が小さいことを特徴とする付記1〜3のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
(付記5)
前記第1の強誘電体層を形成する工程、及び前記第2の強誘電体層を形成する工程は、MOCVD法により行われることを特徴とする付記1〜4のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
(付記6)
前記第1の強誘電体層は、前記下部電極に含まれる前記貴金属が含まれていることを特徴とする付記1〜5のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
(付記7)
貴金属を含む下部電極を形成する工程と、
前記下部電極上に、1%以上の貴金属を含む第1の強誘電体層を形成する工程と、
前記第1の強誘電体層上に第2の強誘電体層を形成する工程と、
前記第2の強誘電体層上に上部電極を形成する工程と、
を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
(付記8)
貴金属を含む下部電極と、
前記下部電極上に形成され、1%以上の前記貴金属を含む第1の強誘電体層と、
前記第1の強誘電体層上に形成された第2の強誘電体層と、
前記第2の強誘電体層上に形成された上部電極と
を含むことを特徴とする半導体装置。
(付記9)
前記第1の強誘電体層は、前記第2の強誘電体層よりも酸素量が少ないことを特徴とする付記7に記載の半導体装置。
(付記10)
前記第1の強誘電体層は、前記第2の強誘電体層よりも膜厚が小さいことを特徴とする付記8又は9に記載の半導体装置。
以上、本発明を好ましい実施形態について説明したが、本発明はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した要旨内において様々な変形・変更が可能である。