JP5401347B2 - マスタシリンダ - Google Patents

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本発明は、マスタシリンダに関する。
マスタシリンダにおいて、ピストンとシリンダ本体との隙間をカップシールでシールするものがある。このようなマスタシリンダでは、液圧上昇時に、カップシールが、その背面にあるシリンダ本体の環状壁とピストンとの隙間(ピストンクリアランス)に喰い込むことがある。すると、カップシールのこの喰い込んだ部分の表面状態が局所的な引っ張り変形状態となり、この状態で、制動が解除されてピストンが後退移動することにより、ピストンからの摩擦力がカップシールにさらに引っ張り方向に加わると、カップシールの一部が離脱してしまう、いわゆる喰われ現象を生じることがある。この喰われ現象を抑制するため、カップシールの背後に設けられた環状壁のピストン側(シリンダ本体内周側)の角部をR面取りする技術がある(例えば、特許文献1参照)。
特開2008−273413号公報
しかしながら、例えば、マスタシリンダとホイールシリンダとの間に設けられた車両姿勢制御装置の作動等で、マスタシリンダの圧力室内が高圧となることがあり、このような状態でピストンが後退移動したときに、上記技術では、カップシールの喰われ現象を抑制できない可能性があった。
したがって、本発明は、カップシールの喰われ現象を抑制できるマスタシリンダの提供を目的とする。
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、カップシールに、ピストンとシリンダ本体の環状壁の面取り部との間に圧縮挿入される環状の突起部が突設されてなる。
請求項1に係る発明によれば、カップシールの喰われ現象を抑制することができる。
本発明に係る第1実施形態のマスタシリンダを示す断面図である。 本発明に係る第1実施形態のマスタシリンダのカップシールを示す斜視図である。 本発明に係る第1実施形態のマスタシリンダのカップシールを示す断面斜視図である。 本発明に係る第1実施形態のマスタシリンダの要部を示す部分拡大断面図である。 本発明に係る第1実施形態のマスタシリンダの自由状態にあるカップシールを示す部分拡大断面図である。 本発明に係る第1実施形態のマスタシリンダの要部を示す部分拡大断面図であって、(a)は圧力室が大気圧の状態、(b)は圧力室が中間液圧の状態、(c)は圧力室が最高液圧の状態をそれぞれ示すものである。 本発明に係る第2実施形態のマスタシリンダの要部を示す部分拡大断面図である。 本発明に係る第2実施形態のマスタシリンダの自由状態にあるカップシールを示す部分拡大断面図である。 本発明に係る第2実施形態のマスタシリンダのシリンダ本体とピストンとの隙間を示す部分拡大断面図である。
本発明に係る第1実施形態のマスタシリンダを図1〜図6を参照して説明する。
図1中符号11は、図示せぬブレーキブースタを介して導入されるブレーキペダルの操作量に応じた力でブレーキ液圧を発生させる第1実施形態のマスタシリンダを示している。このマスタシリンダ11には、重力方向上側にブレーキ液を給排するリザーバ12が取り付けられている。なお、本実施形態においては、マスタシリンダ11に直接リザーバ12を取り付けているが、マスタシリンダ11から離間した位置にリザーバを配して配管で接続するようにしても良い。
マスタシリンダ11は、底部13と筒部14とを有する有底筒状に一つの素材から加工されて形成されるとともに横方向に沿う姿勢で車両に配置されるシリンダ本体15を有している。このシリンダ本体15の開口部16側には、摺動可能に挿入されるプライマリピストン(ピストン)18が設けられている。また、このプライマリピストン18よりもシリンダ本体15の底部13側には、シリンダ本体15に摺動可能に挿入されるセカンダリピストン(ピストン)19が設けられている。プライマリピストン18およびセカンダリピストン19は、シリンダ本体15の筒部14の軸線(以下、シリンダ軸と称す)に直交する断面が円形状の摺動内径部20に摺動可能に案内される。プライマリピストン18及びセカンダリピストン19は、それぞれ底面を有する内周孔18a,19aが形成されており、マスタシリンダ11は、いわゆるプランジャ型のものとなっている。このように、本実施形態におけるマスタシリンダ11は、2つのピストンを有するタンデムタイプのものとなっている。なお、本発明は、上記タンデムタイプのマスタシリンダへの適用に限られるものではなく、プランジャ型のマスタシリンダであれば、シリンダ本体に1つのピストンを配したシングルタイプのマスタシリンダや、3つ以上のピストンを有するマスタシリンダ等のいかなるマスタシリンダにも適用できるものである。
シリンダ本体15には、筒部14の径方向(以下、シリンダ径方向と称す)外側に突出する取付台部22が筒部14の円周方向(以下、シリンダ円周方向と称す)における所定位置に一体に形成されている。この取付台部22には、リザーバ12を取り付けるための取付穴24,25が形成されている。なお、本実施形態においては、取付穴24,25は、互いにシリンダ円周方向における位置を一致させた状態でシリンダ軸方向における位置をずらして形成されている。
シリンダ本体15の筒部14の取付台部22側には、ブレーキ液を図示せぬブレーキ装置に供給するための図示せぬブレーキ配管が取り付けられるセカンダリ吐出路26およびプライマリ吐出路27が形成されている。なお、本実施形態においては、これらセカンダリ吐出路26およびプライマリ吐出路27は、互いにシリンダ円周方向における位置を一致させた状態でシリンダ軸方向における位置をずらして形成されている。
シリンダ本体15の摺動内径部20には、シリンダ軸方向における位置をずらして複数具体的には4カ所のシール溝30、シール溝31、シール溝32およびシール溝33が底部13側から順に形成されている。これらシール溝30〜33は、シリンダ円周方向に環状をなしてシリンダ径方向外側に凹む形状をなしている。
最も底部13側にあるシール溝30は、底部13側の取付穴24の近傍に形成されており、このシール溝30内に円環状のカップシール35が配置され保持されている。
シリンダ本体15におけるシール溝30よりも開口部16側には、底部13側の取付穴24から穿設される連通穴36を筒部14内に開口させるように、筒部14の摺動内径部20からシリンダ径方向外側に凹む環状の開口溝37が形成されている。ここで、この開口溝37と連通穴36とが、シリンダ本体15とリザーバ12とを連通可能に結ぶとともにリザーバ12に常時連通するセカンダリ補給路38を主に構成している。
シリンダ本体15の摺動内径部20には、シリンダ円周方向における取付台部22側に、シール溝30内に開口するとともにシール溝30からシリンダ軸方向に直線状に底部13側に向け若干延出する連通溝41が、シリンダ径方向外側に凹むように形成されている。この連通溝41は、底部13とシール溝30との間であって底部13の近傍となる位置に形成されたセカンダリ吐出路26とシール溝30とを後述のセカンダリ圧力室68を介して連通させるものである。
シリンダ本体15には、シリンダ軸線方向における上記開口溝37のシール溝30に対し反対側つまり開口部16側に、上記シール溝31が形成されており、このシール溝31内に、円環状の区画シール42が配置され保持されている。
シリンダ本体15のシール溝31よりも開口部16側であって開口部16側の取付穴25の近傍に、上記したシール溝32が形成されており、このシール溝32内に円環状のカップシール45が配置され保持されている。
シリンダ本体15におけるこのシール溝32の開口部16側には、開口部16側の取付穴25から穿設される連通穴46を筒部14内に開口させるように、筒部14の摺動内径部20からシリンダ径方向外側に凹む環状の開口溝47が形成されている。ここで、この開口溝47と連通穴46とが、シリンダ本体15とリザーバ12とを連通可能に結ぶとともにリザーバ12に常時連通するプライマリ補給路48を主に構成している。
シリンダ本体15の摺動内径部20のシール溝32の底部13側には、シリンダ円周方向における取付台部22側に、シール溝32に開口するとともにシール溝32からシリンダ軸方向に直線状に底部13側に向け若干延出する連通溝51が、シリンダ径方向外側に凹むように形成されている。この連通溝51は、シール溝31の近傍となる位置に形成されたプライマリ吐出路27とシール溝32とを後述するプライマリ圧力室85を介して連通させるものである。
シリンダ本体15における上記開口溝47のシール溝32に対し反対側つまり開口部16側にシール溝33が形成されており、このシール溝33内に円環状の区画シール52が配置され保持されている。
シリンダ本体15の底部13側に嵌合されるセカンダリピストン19は、円筒部55と、円筒部55の軸線方向における一側に形成された底部56とを有する有底円筒状をなしている。上記内周孔19aは、これら円筒部55と底部56とにより形成されている。セカンダリピストン19は、円筒部55をシリンダ本体15の底部13側に配置した状態で、シリンダ本体15の摺動内径部20に設けられたカップシール35および区画シール42のそれぞれの内周に摺動可能に嵌合されている。また、円筒部55の底部56に対し反対側の端部の外周側には、他の部分よりも外径寸法が若干小さい環状の段部59が形成されている。この段部59には、その底部56側にシリンダ径方向に貫通するポート60が複数放射状に形成されている。
セカンダリピストン19とシリンダ本体15の底部13との間には、図示せぬブレーキペダル側(図1における右側)から入力がない初期状態でこれらの間隔を決めるセカンダリピストンスプリング62を含む間隔調整部63が設けられている。この間隔調整部63は、シリンダ本体15の底部13に当接する係止部材64と、セカンダリピストン19の底部56に当接する係止部材65と、係止部材64に一端部が固定されるとともに係止部材65を所定範囲内でのみ摺動自在に支持する軸部材66とを有している。上記セカンダリピストンスプリング62は、両側の係止部材64,65間に介装されている。
ここで、シリンダ本体15の底部13および筒部14の底部13側とセカンダリピストン19とで囲まれて形成される部分が、セカンダリ吐出路26に液圧を供給するセカンダリ圧力室(圧力室)68となっている。このセカンダリ圧力室68は、セカンダリピストン19がポート60を開口溝37に開口させる位置にあるとき、セカンダリ補給路38に連通するようになっている。
一方、シリンダ本体15の底部13側のシール溝30に設けられたカップシール35は、内周がセカンダリピストン19の外周に摺接することになっている。このカップシール35により、セカンダリピストン19がポート60をカップシール35よりも底部13側に位置させた状態では、セカンダリ補給路38とセカンダリ圧力室68との間を密封可能、つまり、セカンダリ圧力室68と、セカンダリ補給路38およびリザーバ12との連通を遮断可能となっている。この状態で、セカンダリピストン19が、シリンダ本体15の摺動内径部20およびシリンダ本体15に保持されたカップシール35および区画シール42の内周で摺動することによって、セカンダリ圧力室68内のブレーキ液を加圧してセカンダリ吐出路26からブレーキ装置に供給することになる。なお、上述のセカンダリピストン19がポート60を開口溝37に開口させる位置にあるときには、カップシール35の基部90の内周側が上記セカンダリピストン19の段部59内で段部59に接触しない位置に配されるようになっている。そして、セカンダリピストン19がシリンダ本体15の底部13側へ移動してカップシール35の基部90の内周側が段部59に当接することで、セカンダリ圧力室68とリザーバ12との連通が遮断されるようになっている。このようなっていることで、ピストンが移動し始めてから圧力室の圧力が発生するまでの、いわゆる無効ストロークの短縮化を図ることができる。
シリンダ本体15の開口部16側に嵌合されるプライマリピストン18は、第1円筒部71と、第1円筒部71の軸線方向における一側に形成された底部72と、底部72の第1円筒部71に対し反対側に形成された第2円筒部73とを有する形状をなしている。上記内周孔18aは、これらのうちの第1円筒部71と底部72とにより形成されている。プライマリピストン18は、第1円筒部71をシリンダ本体15内のセカンダリピストン19側に配置した状態で、シリンダ本体15の摺動内径部20に設けられたカップシール45および区画シール52のそれぞれの内周に摺動可能に嵌合されている。ここで、第2円筒部73の内側には図示せぬブレーキブースタの出力軸が挿入され、この出力軸によって底部72が押圧されることになる。
第1円筒部71の底部72に対し反対側の端部の外周側は、他の部分よりも外径寸法が若干小さい環状の凹部75が形成されている。さらに、第1円筒部71の凹部75には、その底部72側に径方向に貫通するポート76が複数放射状に形成されている。
セカンダリピストン19とプライマリピストン18との間には、図示せぬブレーキペダル側(図1における右側)から入力がない初期状態でこれらの間隔を決めるプライマリピストンスプリング78を含む間隔調整部79が設けられている。この間隔調整部79は、セカンダリピストン19の底部56に当接する係止部材81と、プライマリピストン18の底部72に当接する係止部材82と、係止部材82に一端部が固定されるとともに係止部材81を所定範囲内でのみ摺動自在に支持する軸部材83とを有している。上記プライマリピストンスプリング78は、両側の係止部材81,82間に介装されている。
ここで、シリンダ本体15の筒部14の開口部16側とプライマリピストン18とセカンダリピストン19とで囲まれて形成される部分が、プライマリ吐出路27に液圧を供給するプライマリ圧力室(圧力室)85となっている。このプライマリ圧力室85は、プライマリピストン18がポート76を開口溝47に開口させる位置にあるとき、プライマリ補給路48に連通するようになっている。
一方、シリンダ本体15のシール溝32に設けられたカップシール45は、内周がプライマリピストン18の外周に摺接することになっている。このカップシール45により、プライマリピストン18がポート76をカップシール45よりも底部13側に位置させた状態では、プライマリ補給路48とプライマリ圧力室85との間を密封可能、つまり、プライマリ圧力室85と、プライマリ補給路48およびリザーバ12との連通を遮断可能となっている。この状態で、プライマリピストン18が、シリンダ本体15の摺動内径部20およびシリンダ本体15に保持されたカップシール45および区画シール52の内周で摺動することによって、プライマリ圧力室85内のブレーキ液を加圧してプライマリ吐出路27からブレーキ装置に供給することになる。なお、上述のプライマリピストン18がポート76を開口溝47に開口させる位置にあるとき(非制動状態時)には、カップシール45の基部90の内周側が上記プライマリピストン18の凹部75内で凹部75に接触しない位置に配されるようになっている。そして、プライマリピストン18がシリンダ本体15の底部13側へ移動してカップシール45の基部90の内周側が凹部75に当接することで、プライマリ圧力室85とリザーバ12との連通が遮断されるようになっている。このようなっていることで、ピストンが移動し始めてから圧力室の圧力が発生するまでの、いわゆる無効ストロークの短縮化を図ることができる。
ここで、図1に示されるシリンダ本体15のシール溝30の近傍部分、カップシール35およびセカンダリピストン19のカップシール35の摺接部分とからなるセカンダリ側のシール構造部SSと、シリンダ本体15のシール溝32の近傍部分、カップシール45およびプライマリピストン18のカップシール45の摺接部分とからなるプライマリ側のシール構造部SPとは、同様の構造となっており、以下においては、これらの詳細を、セカンダリ側のシール構造部SSを例にとり説明する。
カップシール35は、図2に示すように、円環状の基部90と、基部90の内周側から基部90の軸線方向にほぼ沿って一側に延出する円環状の内周リップ部91と、基部90の外周側から内周リップ部91と同側に延出する円環状の外周リップ部92とを有しており、図3に示すように、その中心線を含む断面の片側形状がC字状をなしている。
シール溝30は、図4に示すように、最もシリンダ径方向外側にあってシリンダ軸方向に沿う円筒状の溝底部30aと、溝底部30aのシリンダ底部13側(図4における左側)の端縁部の位置でシリンダ軸方向に直交する環状壁30bと、溝底部30aのシリンダ開口部16側(図4における右側)の端縁部の位置でシリンダ軸方向に直交する環状壁30cとを有している。これら溝底部30aおよび環状壁30b,30cは、シリンダ本体15に一体的に形成されている。
カップシール35は、内周リップ部91において、セカンダリピストン19の外周面に摺接することになり、外周リップ部92において、シリンダ本体15と一体的に構成されるシール溝30の溝底部30aに当接する。さらに、基部90において、その背後にあってシリンダ本体15と一体的に構成されるシール溝30の環状壁30cに当接する。
そして、環状壁30cと、シリンダ軸方向で環状壁30cと隣り合ってセカンダリピストン19に対向する径方向内側のシリンダ壁95との間に、シリンダ本体15の径方向断面(中心線を含んで径方向に沿う切断面による断面。以下同。)が曲線状、具体的には円弧状の面取り部96が全周にわたって形成されている。ここで、面取り部96およびシリンダ壁95とセカンダリピストン19の外周面との間には、環状の隙間98が形成されている。この隙間98は、VDCによるセカンダリ吐出路26側からのポンプアップ時に、リザーバ12側のブレーキ液を開口溝37からこの隙間98、さらには変形して開状態となるカップシール35およびシール溝30の隙間を介してセカンダリ圧力室68に流すために形成されている。
そして、第1実施形態においては、カップシール35に、基部90の径方向における内周リップ部91側かつ軸方向におけるリップ部91,92とは反対側の角部(つまり基部90の背面90aの内径側の角部)に、環状の突起部100が一体に突設されている。この突起部100は、カップシール35が図5に示す自由状態にあるときに、その径方向断面が基部90から軸方向に離れるほど径方向幅が狭くなる曲線状をなしており、具体的には半円状をなしている。
カップシール35は、シリンダ本体15のシール溝30に配置され且つ内側にセカンダリピストン19が挿入された図4に示す取付状態にあって、基部90が背面90aにおいて環状壁30cに接触する状態で、この突起部100が、隙間98のうちのセカンダリピストン19の外周面と面取り部96との間部分に入り込む。ここで、突起部100は、取付状態にあるとき、セカンダリピストン19およびシリンダ本体15で押されることによって体積が、自由状態にあるときの体積よりも小さくなるように、セカンダリピストン19の外周面と面取り部96との間部分の体積および形状に対応して体積および形状が設定されている。これにより、突起部100は、隙間98のうちのセカンダリピストン19と面取り部96との間部分に圧縮状態となるように挿入される。
より具体的に、カップシール35が図5に示す自由状態にあるときの突起部100の径方向断面は、基部90の背面90aの突起部100を除く部分との境界部分が内周リップ部91とは反対側に中心を有する半径R1の曲線となっており、この境界部分を除く部分が内周リップ部91側に中心を有する半径R2の曲線となっている。そして、面取り部96の半径をrとし、隙間98のクリアランスをδとすると、以下の条件を満たすように設定される。
R1=r、且つ、R2>2δ
ここで、2δは、セカンダリピストン19がシリンダ本体15の径方向片側に偏ったときに生じる最大隙間量であり、シリンダ本体15の摺動内径部20の径から、セカンダリピストン19の外径を減算した値である。
以上に述べた第1実施形態のマスタシリンダ11によれば、シリンダ本体15に保持されてその内周にセカンダリピストン19を摺動させるカップシール35に、セカンダリピストン19と、カップシール35の背後の環状壁30cとシリンダ壁95との間に設けられた曲線状の面取り部96との間に圧縮挿入される環状の突起部100が突設されているため、従来カップシールで発生していた引っ張り応力を低減でき、カップシール35に生じる喰われ現象等の損傷を防止できる。よって、マスタシリンダ11と図示略のホイールシリンダとの間に車両姿勢制御装置等の大きな流路絞り機器を設けた場合でも、カップシール35に生じる喰われ現象等の損傷を回避でき、シール性の信頼性向上を図れる。また、マスタシリンダ11のセカンダリ圧力室68内へのカップシール35の喰われ片の混入を防止できるため、カップシール35のシール面の喰われ片付着や固着によるシール性能の低下や摺動抵抗増加等を回避でき、マスタシリンダ11の信頼性および応答性の向上を図ることができる。なお、図6に示すように、制動行程における(a)の制動初期の液圧負荷直後から(b)の制動中期、(c)の最高液圧発生時まで、常に突起部100が圧縮状態を維持して隙間98のうちのセカンダリピストン19と面取り部96との間部分に挿入されるように、つまり常に圧縮応力しか働かない状態を維持するように突起部100を設定することが好ましい。
なお、以上においては、セカンダリ側のシール構造部SSについて説明したが、上述したようにプライマリ側のシール構造部SPも同様の構造となっているため、同様の効果を奏することができる。
本発明に係る第2実施形態のマスタシリンダを主に図7〜図9を参照して第1実施形態との相違部分を中心に説明する。なお、第1実施形態と同様の部分には同一の符号を付しその説明は略す。
第2実施形態においては、セカンダリ側のシール構造部SSのカップシール35およびプライマリ側のシール構造部SPのカップシール45が第1実施形態と相違している。なお、第2実施形態においても、セカンダリ側のシール構造部SSと、プライマリ側のシール構造部SPとは、同様の構造となっているため、以下においては、これらの詳細を、セカンダリ側のシール構造部SSを例にとり説明する。
第2実施形態においても、図7に示すように、カップシール35に、基部90の径方向における内周リップ部91側かつ軸方向におけるリップ部91,92とは反対側の角部(つまり基部90の背面90aの内径側の角部)に、環状の突起部110が一体に突設されている。この突起部110は、カップシール35が図8に示す自由状態にあるときに、その径方向断面が基部90から軸方向に離れるほど径方向幅が狭くなる略V字状をなしている。
カップシール35は、図7に示すようにシリンダ本体15のシール溝30に配置され且つ内側にセカンダリピストン19が挿入された取付状態にあって、基部90が背面90aにおいて環状壁30cに接触する状態で、この突起部110が、隙間98のうちのセカンダリピストン19の外周面と面取り部96との間部分に入り込むようになっている。ここで、突起部110は、取付状態にあるとき、セカンダリピストン19およびシリンダ本体15で押されることによって体積が、自由状態にあるときの体積よりも小さくなるように、セカンダリピストン19の外周面と面取り部96との間の体積および形状に対応して体積および形状が設定されている。これにより、突起部110も、セカンダリピストン19と面取り部96との間に圧縮状態となるように挿入される。
より具体的に、図8に示すようにカップシール35が自由状態にあるときの突起部110の径方向断面は、基部90の背面90aの突起部110を除く部分と突起部110との境界点であるa点から内周リップ部91とは反対側に中心を有する半径Rの曲線で突出してb点に達し、このb点を頂点とするように、カップシール35の軸方向の内周リップ部91側かつ内周側に直線状に斜めに延出して内周端のc点に達する形状となっている。そして、a点もしくはc点のうちb点に近い方の点とb点との軸方向距離をLとし、突起部110の体積a〜b〜c〜aをvとし、面取り部96の半径をrとし、環状壁30cと面取り部96との境界点である図9に示すA点から隙間98の軸方向距離Lまでの体積A〜B〜C〜D〜AをVLとし、A点から隙間98の軸方向距離rまでの体積A〜B〜E〜F〜AをVrとすると、以下の条件を満たすように突起部110が設定されている。
R≦r 且つ VL≦v≦Vr
以上に述べた第2実施形態によれば、突起部110が、隙間98のうちのセカンダリピストン19の外周面と面取り部96との間部分に確実に圧縮挿入されることになるため、カップシール35で発生していた引っ張り応力をさらに低減でき、カップシール35に生じる喰われ現象等の損傷をさらに防止できる。
なお、第2実施形態においても、セカンダリ側のシール構造部SSについて説明したが、上述したようにプライマリ側のシール構造部SPも同様の構造となっているため、同様の効果を奏することができる。
また、上記第1,2実施形態においては、カップシール35、45に突起部100、110を設けることにより、圧力室68,85とリザーバ12との連通の遮断を早期に行なうことができ、無効ストロークをさらに短縮化することが可能となっている。
なお、上記第1,2実施形態においては、カップシール35、45を断面C字状のカップシールに突起部100、110を設けて説明したが、カップシール35、45の形状は、特願2004−347341号公報に示されるような断面E字状のカップシールに突起部100、110を設けるようにしてもよい。
11 マスタシリンダ
15 シリンダ本体
18 プライマリピストン(ピストン)
19 セカンダリピストン(ピストン)
30c 環状壁
35,45 カップシール
68 セカンダリ圧力室(圧力室)
85 プライマリ圧力室(圧力室)
96 面取り部
100,110 突起部

Claims (1)

  1. シリンダ本体に保持されるカップシールの内周で摺動するピストンと、
    前記シリンダ本体における前記カップシールの背後に設けられ前記シリンダ本体と一体的に構成される環状壁と、
    該環状壁と前記ピストンが対向するシリンダ壁との間に設けられ前記シリンダ本体の径方向断面が曲線状の面取り部とを有して、
    前記ピストンと前記シリンダ本体とで形成される圧力室内のブレーキ液を加圧するマスタシリンダにおいて、
    前記カップシールには、前記ピストンと前記面取り部との間に圧縮挿入される環状の突起部が突設されてなることを特徴とするマスタシリンダ。
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