以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
(実施形態)
まず、本発明の一実施形態によるエンジン制御装置1が用いられる作業機械の構成について説明する。
本実施形態によるエンジン制御装置1は、例えばクレーン等の作業機械に用いられている。クレーンは、図略の下部本体と、その下部本体上に縦軸回りに旋回自在に搭載された図略の上部旋回体と、その上部旋回体に起伏自在となるように設けられた図略の起伏部材とを備えており、起伏部材の先端から主巻ロープを介して吊り下げられる図略の主巻フック装置とその起伏部材の先端から補巻ロープを介して吊り下げられる図略の補巻フック装置とによってそれぞれ吊荷の吊り作業を行うものである。
そして、エンジン制御装置1が用いられる作業機械は、図1に示すような構成を備えている。具体的には、この作業機械は、エンジン2と、油圧ポンプ4と、第1作業装置6と、第2作業装置8と、アクセル装置10と、第1作業用操作装置12と、第2作業用操作装置14と、制御弁16とを備えている。
エンジン2は、駆動することによって動力を発する。このエンジン2は、油圧ポンプ4と接続された駆動軸2aを備えており、当該駆動軸2aを介して油圧ポンプ4へ動力を供給する。
油圧ポンプ4は、エンジン2から動力が供給されることによって作動し、圧油を吐出する。この油圧ポンプ4は、制御弁16と供給路18を介して接続された吐出口4aを有しており、その吐出口4aから供給路18を通じて制御弁16へ圧油を供給する。油圧ポンプ4の回転数は、エンジン2の回転数の増減に応じて増減する。また、油圧ポンプ4が吐出する圧油の流量は、当該油圧ポンプ4の回転数の増減に応じて増減する。
第1作業装置6及び第2作業装置8は、本発明の作業装置の概念に含まれるものである。この各作業装置6,8は、エンジン2の動力を間接的に利用してそれぞれ所定の動作を行う。すなわち、各作業装置6,8には、エンジン2の動力が油圧ポンプ4から供給される油圧に変換されて供給され、それによって各作業装置6,8は所定の動作を行う。各作業装置6,8としては、例えば、起伏部材を起伏させるための起伏装置、クレーンの上部旋回体を旋回させるための旋回装置、主巻フック装置の巻き上げ又は巻き下げのために主巻ロープの巻き取り又は繰り出しを行う主巻ウィンチ、補巻フック装置の巻き上げ又は巻き下げのために補巻ロープの巻き取り又は繰り出しを行う補巻ウィンチ等のうちいずれかが挙げられる。第1作業装置6と第2作業装置8は、それぞれ異なった動作(作業)を行う装置である。
第1作業装置6は、第1作動部6aと、その第1作動部6aを駆動する第1アクチュエータ6bとを有しており、第2作業装置8は、第2作動部8aと、その第2作動部8aを駆動する第2アクチュエータ8bとを有している。
各作動部6a,8aは、各アクチュエータ6b,8bによって駆動されて所定の動作を行うものである。例えば、作動部6a(8a)は、作業装置6(8)が前記旋回装置である場合には上部旋回体に相当し、作業装置6(8)がフック装置の巻き上げ/巻き下げを行うウィンチである場合にはそのウィンチのドラムに相当する。
各アクチュエータ6b,8bは、それぞれ油圧モータからなり、前記油圧ポンプ4から吐出される圧油によって駆動される。具体的には、第1アクチュエータ6bは、圧油が供給される2つの供給口6c,6dを有しており、その一方の供給口6cは油路19aを介して制御弁16と接続され、もう一方の供給口6dは油路19bを介して制御弁16と接続されている。第1アクチュエータ6bには、油圧ポンプ4から供給路18を通じて制御弁16へ供給された圧油がその制御弁16から油路19a又は19bを通じて供給される。第1アクチュエータ6bは、その一方の供給口6cに圧油が供給された場合と他方の供給口6dに圧油が供給された場合とで互いに反対の回転方向に作動し、それに応じて第1作動部6aを互いに反対の動作方向へ駆動する。そして、第1アクチュエータ6bは、その供給される圧油の流量に応じた回転数で作動し、その回転数に応じた速度で第1作動部6aを駆動する。また、第2アクチュエータ8bは、圧油が供給される2つの供給口8c,8dを有しており、その一方の供給口8cは油路20aを介して制御弁16と接続され、もう一方の供給口8dは油路20bを介して制御弁16と接続されている。第2アクチュエータ8bには、第1アクチュエータ6bと同様に圧油が制御弁16から油路20a又は20bを通じて供給され、それに応じて、当該第2アクチュエータ8bは、第1アクチュエータ6bと同様に作動して第2作動部8aを駆動する。
アクセル装置10は、エンジン2の回転数を変化させるために用いられるものである。このアクセル装置10は、アクセルペダル10aと、アクセル装置本体10bとを有する。アクセルペダル10aは、エンジン2の回転数を変化させるときにオペレータによって足で操作される。このアクセルペダル10aは、本発明のアクセル部の概念に含まれる。アクセル装置本体10bは、アクセルペダル10aが上下動可能となるようにそのアクセルペダル10aを支持しており、アクセルペダル10aの踏み込み量(操作量)を示すアクセル指示信号をエンジン制御装置1の後述する制御部32へ出力する。
第1作業用操作装置12は、第1作業装置6を操作するために用いられるものである。この第1作業用操作装置12は、第1操作レバー12aと、第1操作装置本体12bとを有する。第1操作レバー12aは、第1作業装置6を作動させるときにオペレータによって手で操作される。第1操作装置本体12bは、第1操作レバー12aがその基端部を支点として中立位置から一方側とその反対側である他方側とに傾倒可能となるようにその第1操作レバー12aを支持している。第1操作装置本体12bは、第1操作レバー12aの中立位置からの操作方向(傾倒方向)とその中立位置からの操作量(傾倒量)とを示す操作指示信号を制御弁16及び後述する制御部32へ出力する。
第2作業用操作装置14は、第2作業装置8を操作するために用いられるものである。この第2作業用操作装置14は、第2操作レバー14aと、第2操作装置本体14bとを有する。第2操作レバー14aは、第2作業装置8を作動させるときにオペレータによって手で操作される。第2操作装置本体14bは、第2操作レバー14aがその基端部を支点として中立位置から一方側とその反対側である他方側とに傾倒可能となるようにその第2操作レバー14aを支持している。第2操作装置本体14bは、第2操作レバー14aの中立位置からの操作方向(傾倒方向)とその中立位置からの操作量(傾倒量)とを示す操作指示信号を制御弁16及び後述する制御部32へ出力する。
制御弁16は、前記第1操作レバー12aの操作に応じて第1アクチュエータ6bの2つの供給口6c,6dのうち第1操作レバー12aの操作方向に対応する方の供給口に圧油を供給するとともにその供給する圧油の流量を第1操作レバー12aの操作量に応じて制御する。また、制御弁16は、前記第2操作レバー14aの操作に応じて第2アクチュエータ8bの2つの供給口8c,8dのうち第2操作レバー14aの操作方向に対応する方の供給口に圧油を供給するとともにその供給する圧油の流量を第2操作レバー14aの操作量に応じて制御する。
具体的には、制御弁16は、油圧ポンプ4の吐出口4aに繋がる前記供給路18と、前記各アクチュエータ6b,8bに繋がる油路19a,19b,20a,20bとの間に設けられている。制御弁16は、第1操作装置本体12bから出力される操作指示信号を受けて、その操作指示信号によって示される第1操作レバー12aの操作方向に応じた油路19a又は19bを通じて第1アクチュエータ6bの対応する供給口6c又は6dへその操作指示信号によって示される第1操作レバー12aの操作量に応じた流量の圧油を流す。また、制御弁16は、第2操作装置本体14bから出力される操作指示信号を受けて、その操作指示信号によって示される第2操作レバー14aの操作方向に応じた油路20a又は20bを通じて第2アクチュエータ8bの対応する供給口8c又は8dへその操作指示信号によって示される第2操作レバー14aの操作量に応じた流量の圧油を流す。
このような制御弁16の機能により、第1アクチュエータ6bが第1操作レバー12aの操作方向に応じた回転方向にその第1操作レバー12aの操作量に応じた速度で駆動され、それに伴って第1作動部6aが第1操作レバー12aの操作方向に応じた方向に第1操作レバー12aの操作量に応じた速度で駆動される。また、第2アクチュエータ8bが第2操作レバー14aの操作方向に応じた回転方向にその第2操作レバー14aの操作量に応じた速度で駆動され、それに伴って第2作動部8aが第2操作レバー14aの操作方向に応じた方向に第2操作レバー14aの操作量に応じた速度で駆動される。
本実施形態によるエンジン制御装置1は、以上のような構成の作業機械に用いられており、前記エンジン2の回転数を制御する。次に、このエンジン制御装置1の具体的な構成について説明する。
エンジン制御装置1は、図1に示すように、ガバナ30と、制御部32とを備えている。
ガバナ30は、エンジン2に付設されている。このガバナ30は、エンジン2の回転数を実際に変化させて制御するものである。
制御部32は、エンジン2の回転数が前記各操作レバー12a,14aの操作量に応じた回転数のうち高い方の回転数と前記アクセルペダル10aの操作量に応じた回転数とのうち低い方の回転数となるようにガバナ30にエンジン2の回転数を制御させる。
具体的には、この制御部32は、第1操作レバー12aの操作量に応じたエンジン回転数設定値EN1(1)及び第2操作レバー14aの操作量に応じたエンジン回転数設定値EN1(2)の算出と、それら算出したエンジン回転数設定値EN1(1),EN1(2)のうちの高位選択と、アクセルペダル10aの操作量に応じたエンジン回転数設定値EN2の算出と、前記高位選択したエンジン回転数設定値EN1(1)又はEN1(2)と前記算出したエンジン回転数設定値EN2とのうちの低位選択と、その低位選択した回転数設定値に応じたガバナ30によるエンジン回転数の調節動作の制御とを行う。なお、エンジン回転数設定値は、エンジン2の回転数を特定するための値であり、本発明の回転数制御目標値の概念に含まれる。
制御部32は、前記エンジン回転数設定値EN1(1),EN1(2)を算出する際、前記各操作装置本体12b,14bから出力される操作指示信号を受けてそれらの値を算出する。具体的には、制御部32は、第1操作装置本体12bから出力される操作指示信号を受けてその信号が示す第1操作レバー12aの操作量に応じたエンジン回転数設定値EN1(1)を操作回転数相関関数に基づいて算出し、第2操作装置本体14bから出力される操作指示信号を受けてその信号が示す第2操作レバー14aの操作量に応じたエンジン回転数設定値EN1(2)を操作回転数相関関数に基づいて算出する。前記操作回転数相関関数(図2参照)は、エンジン回転数設定値と操作レバーの操作量Lとの関係を規定する関数である。この操作回転数相関関数は、操作レバーの操作量Lの増減に応じてエンジン回転数設定値が増減する領域を含んでいる。詳しくは、操作回転数相関関数のうち操作レバーの操作量Lが0の点から少し増加した点までの区間では、エンジン回転数設定値はエンジン2の最低回転数Eminよりも少し大きい一定の値であり、操作レバーの操作量Lが最大となる点からその少し手前までの区間では、エンジン回転数設定値はエンジン2の最高回転数Emaxに等しい一定の値であり、それら両区間の間に位置する区間では、エンジン回転数設定値は操作レバーの操作量Lの増加に従って直線的に漸次増加する。
また、制御部32は、上記のように算出したエンジン回転数設定値EN1(1),EN1(2)から高位選択することによりそれらの値のうちの最大値を選択し、その最大値を操作レバー側回転数設定値EN1として導出する。この操作レバー側回転数設定値EN1は、本発明の操作回転数制御目標値の概念に含まれる。
また、制御部32は、アクセルペダル10aの操作量に応じたエンジン回転数設定値を算出する際、アクセル装置本体10bから出力されるアクセル指示信号を受けてその設定値を算出する。具体的には、制御部32は、アクセル装置本体10bから出力されるアクセル指示信号を受けてその信号が示すアクセルペダル10aの操作量に応じたエンジン回転数設定値をアクセル回転数相関関数に基づいてアクセル側回転数設定値EN2として算出する。なお、アクセル側回転数設定値EN2は、本発明のアクセル回転数制御目標値の概念に含まれる。また、前記アクセル回転数相関関数(図3参照)は、エンジン回転数設定値とアクセルペダル10aの操作量との関係を規定する関数である。このアクセル回転数相関関数は、アクセルペダル10aの操作量ACの増減に応じてエンジン回転数設定値が増減する領域を含んでいる。詳しくは、アクセル回転数相関関数のうちアクセルペダル10aの操作量ACが0の点から少し増加した点までの区間では、エンジン回転数設定値はエンジン2の最低回転数Eminに等しい一定の値であり、アクセルペダル10aの操作量ACが最大となる点からその少し手前までの区間では、エンジン回転数設定値はエンジン2の最高回転数Emaxに等しい一定の値であり、それら両区間の間に位置する区間では、エンジン回転数設定値はアクセルペダル10aの操作量ACの増加に従って直線的に漸次増加する。
また、制御部32は、上記のように算出した操作レバー側回転数設定値EN1とアクセル側回転数設定値EN2との低位選択を行うことにより、それらの値のうち低い方の値をエンジン回転数目標値ENとして導出する。
また、制御部32は、エンジン2の回転数がこの導出したエンジン回転数目標値ENによって特定される回転数となるようにガバナ30にエンジン2の回転数を制御させる。この際、制御部32は、エンジン回転数目標値ENをアクセル信号ASに変換し、そのアクセル信号ASをガバナ30へ送ることによってガバナ30にエンジン2の回転数を制御させる。
具体的には、制御部32は、エンジン回転数設定値とアクセル信号ASの値との相関関係を規定するアクセル信号相関関数(図4参照)に基づいて前記エンジン回転数目標値ENに応じたアクセル信号ASの値を算出する。なお、アクセル信号ASは、エンジン2の回転数を調節するガバナ30の作動を制御するための制御信号である。制御部32によって算出されるアクセル信号ASの値と前記大きく操作された方の操作レバーの操作量L及びアクセルペダル10aの操作量ACとの相関関係は、図5に示されるような関係となる。すなわち、当該図5に示す関係では、アクセルペダル10aの操作量ACが最大値から最小値へ低下するにつれて、アクセル信号ASの値も全体的に漸次低下する。また、アクセルペダル10aの操作量ACが最大のときには、前記大きく操作された方の操作レバーの操作量が最大値及びその近傍のときにアクセル信号ASの値が最大値ASmaxとなり、アクセルペダル10aの操作量ACが最小のときには、前記大きく操作された方の操作レバーの操作量が最小値及びその近傍のときにアクセル信号ASの値が最小値ASminとなる。また、アクセルペダル10aの操作量ACが最大値から最小値へ低下するにつれて、前記大きく操作された方の操作レバーの操作量の増減に応じてアクセル信号ASの値が増減する区間の傾き(操作レバーの操作量に対するアクセル信号ASの値の変化率)が漸次減少する。
ガバナ30は、制御部32から受け取る上記のようなアクセル信号ASの値の大きさに応じてエンジン2の回転数を変化させ、結果的にエンジン2の回転数がそのアクセル信号ASの変換元である前記エンジン回転数目標値ENによって特定される回転数となるように当該エンジン2の回転数を制御する。このガバナ30によって制御されるエンジン2の回転数(エンジン回転数E)は、操作レバーの操作量Lとアクセルペダル10aの操作量ACとに対して図6〜図8に示すような関係となる。
具体的には、アクセルペダル10aの操作量が最大である場合には、操作レバー12a,14aのうち大きく操作された方の操作レバーの操作量が最大であれば、操作レバー側回転数設定値EN1とアクセル側回転数設定値EN2は共にエンジン2の最高回転数Emaxとなり、その大きく操作された方の操作レバーの操作量が最大値よりも小さければ、操作レバー側回転数設定値EN1はアクセル側回転数設定値EN2=Emaxよりも低い値となる。その結果、エンジン回転数目標値ENとしては、操作レバー側回転数設定値EN1を用いることができ、当該アクセルペダル10aの操作量が最大の場合には、前記大きく操作された方の操作レバーの操作量とガバナ30によって設定されるエンジン2の回転数Eとの相関関係(図6参照)は、図2に示した操作回転数相関関数と同様の関係となる。
また、アクセルペダル10aの操作量がその最大値よりも低く、前記アクセル回転数相関関数においてエンジン回転数設定値がアクセルペダル10aの操作量ACの増減に応じて増減する区間内にある場合には、そのアクセルペダル10aの操作量に応じたアクセル側回転数設定値EN2がエンジン回転数目標値ENの最大値となる。このため、前記大きく操作された方の操作レバーの操作量とガバナ30によって設定されるエンジン2の回転数Eとの相関関係は、図7に示すような関係となる。
また、アクセルペダル10aの操作量が最小である場合には、その最小の操作量に応じたエンジン回転数設定値(アクセル側回転数設定値EN2)は、図3に示すようにエンジン2の最低回転数となり、前記大きい方の操作レバーの操作量に応じたエンジン回転数設定値(操作レバー側回転数設定値EN1)の最低値(図2参照)よりも低い値となる。その結果、エンジン回転数目標値ENは、操作レバーの操作量にかかわらず、アクセルペダル10aの最小の操作量に応じたアクセル側回転数設定値EN2に固定され、前記大きく操作された方の操作レバーの操作量とガバナ30によって設定されるエンジン2の回転数Eとの相関関係は、図8に示すような関係となる。
次に、操作レバー12a,14aとアクセルペダル10aが同時に操作された場合に本実施形態のエンジン制御装置1が行うエンジン回転数制御のプロセスについて説明する。本実施形態のエンジン制御装置1によるエンジン回転数制御のプロセスは、図9に示されている。
まず、オペレータにより各操作レバー12a,14aの操作とアクセルペダル10aの操作とが同時に行われ、それに応じて各操作装置本体12b,14bから操作指示信号が出力されるとともにアクセル装置本体10bからアクセル指示信号が出力される。
制御部32は、第1操作装置本体12bから出力される操作指示信号を受けてその信号が示す第1操作レバー12aの操作量L(1)を検出し、第2操作装置本体14bから出力される操作指示信号を受けてその信号が示す第2操作レバー14aの操作量L(2)を検出する(ステップS2)。
次に、制御部32は、検出した第1操作レバー12aの操作量L(1)に応じたエンジン回転数設定値EN1(1)を操作回転数相関関数に基づいて算出し(ステップS4)、検出した第2操作レバー12aの操作量L(2)に応じたエンジン回転数設定値EN1(2)を操作回転数相関関数に基づいて算出する(ステップS6)。
その後、制御部32は、エンジン回転数設定値EN1(1),EN1(2)のうちの高位選択によりそれらの回転数設定値EN1(1),EN1(2)のうちの最大値を操作レバー側回転数設定値EN1として導出する(ステップS8)。
一方、制御部32は、上記各ステップと並行してアクセル側回転数設定値EN2の算出プロセスを行う。
具体的には、制御部32は、アクセル装置本体10bから出力されるアクセル指示信号を受けてその信号が示すアクセルペダル10aの操作量ACを検出する(ステップS10)。
その後、制御部32は、検出したアクセルペダル10aの操作量ACに応じたエンジン回転数設定値をアクセル回転数相関関数に基づいてアクセル側回転数設定値EN2として算出する(ステップS12)。
そして、制御部32は、操作レバー側回転数設定値EN1とアクセル側回転数設定値EN2との低位選択を行い、その低位選択した回転数設定値をエンジン回転数目標値ENとして導出する(ステップS14)。
その後、制御部32は、エンジン回転数目標値ENに対応する前記アクセル信号ASの値を前記アクセル信号相関関数に基づいて導出し、その導出したアクセル信号ASをガバナ30に出力する(ステップS16)。
最後に、ガバナ30が、アクセル信号ASに基づいてエンジン2の回転数が当該アクセル信号ASに対応するエンジン回転数目標値ENとなるようにエンジン2の回転数を制御する(ステップS18)。
以上説明したように、本実施形態によるエンジン制御装置1では、制御部32が、第1操作レバー12aの操作量に応じたエンジン回転数設定値EN1(1)と第2操作レバー14aの操作量に応じたエンジン回転数設定値EN1(2)との高位選択により導出した操作レバー側回転数設定値EN1と、アクセル側回転数設定値EN2との低位選択を行い、エンジン2の回転数がその低位選択した回転数設定値によって特定される回転数となるようにガバナ30にエンジン2の回転数を制御させるため、操作レバー12a,14aとアクセルペダル10aが同時に操作された場合でも調節すべきエンジン2の回転数を決定してその回転数にエンジン2の回転数を変化させることができる。
また、本実施形態では、制御部32が操作レバー側回転数設定値EN1とアクセル側回転数設定値EN2とのうち低位選択した回転数設定値に応じてガバナ30にエンジン2の回転数を制御させるため、操作レバー12a又は14aの操作量に応じた操作レバー側回転数設定値EN1がアクセルペダル10aの操作量に応じたアクセル側回転数設定値よりも低い場合には、エンジン2の回転数はその操作レバー12a又は14aの操作量に応じた回転数とされる。このため、操作レバー12a,14aの操作量が小さいにもかかわらずアクセルペダル10aの操作量の増大に応じてエンジン回転数が不必要に高くなることがなくなり、燃費を向上することができる。
また、本実施形態では、制御部32が操作レバー側回転数設定値EN1とアクセル側回転数設定値EN2とのうち低位選択した回転数制御目標値に応じてガバナ30にエンジン2の回転数を制御させるため、アクセルペダル10aの操作量に応じたアクセル側回転数設定値EN2が操作レバー側回転数設定値よりも低い範囲では、そのアクセルペダル10aの操作に応じたエンジン回転数の制御が行われる。このため、作業装置6,8の操作中に操作レバー12a,14aを大きく操作している場合には、アクセルペダル10aの操作に応じたエンジン回転数の制御を行うことが可能となる。
また、本実施形態では、制御部32が、操作レバー12a,14aの各操作量に応じたエンジン回転数設定値EN1(1),EN1(2)のうちの高位選択によりそれらの回転数設定値のうちの最大値を操作レバー側回転数設定値EN1として導出する。このため、両操作レバー12a,14aのうちのいずれかが大きく操作された場合において、その大きく操作された操作レバー12a又は14aの操作量に応じたエンジン回転数設定値がアクセル側回転数設定値EN2よりも低ければ、その大きく操作された操作レバー12a又は14aの操作量に応じてエンジン2の回転数が制御される。操作レバー12a又は14aが大きく操作されるときは、一般的にその操作によって作動する作業装置6又は8に速い動作が求められるが、本実施形態のように、大きく操作された操作レバー12a又は14aの操作量に応じてエンジン2の回転数が制御されれば、その操作レバーの操作に従う作業装置6又は8の動作速度を満足することが可能な回転数にエンジン2の回転数を制御することができる。
(第1参考例)
次に、本発明の第1参考例による作業機械のエンジン制御装置1の構成について説明する。
この第1参考例によるエンジン制御装置1は、上記実施形態で説明した作業機械と同様の作業機械に用いられる。この第1参考例のエンジン制御装置1は、制御部32を除いて上記実施形態のエンジン制御装置1と同様に構成されている。この第1参考例では、制御部32は、各操作レバー12a,14aの操作量に応じたエンジン回転数設定値EN1(1),EN1(2)のうちの高位選択によって操作レバー側回転数設定値EN1を導出する代わりに、操作レバー12a,14aの操作量のうちの最大の操作量を選択し、その選択した最大の操作量に応じたエンジン回転数設定値を操作レバー側回転数設定値EN1として導出する。
具体的には、制御部32は、第1操作装置本体12bと第2操作装置本体14bからそれぞれ出力される操作指示信号を受けてその各操作指示信号が示す第1操作レバー12aの操作量と第2操作レバー14aの操作量とのうち最大の操作量を選択する。また、制御部32は、選択した操作レバーの最大の操作量に応じたエンジン回転数設定値を操作回転数相関関数に基づいて操作レバー側回転数設定値EN1として算出する。この際、制御部32が用いる操作回転数相関関数は、上記実施形態で制御部32が用いる操作回転数相関関数と同様のものである。
この第1参考例によるエンジン制御装置1の上記以外の構成は、上記実施形態によるエンジン制御装置1の構成と同様である。
次に、アクセルペダル10aと操作レバー12a,14aが同時に操作された場合に当該第1参考例のエンジン制御装置1が行うエンジン回転数制御のプロセスについて説明する。この第1参考例のエンジン制御装置1によるエンジン回転数制御のプロセスは、図10に示されている。
このエンジン回転数の制御プロセスでは、まず、制御部32が、上記実施形態におけるエンジン回転数制御の場合と同様に第1操作レバー12aの操作量L(1)及び第2操作レバー14aの操作量L(2)を検出する(ステップS2)。
次に、制御部32は、検出した操作レバー12a,14aの操作量L(1),L(2)のうちの最大値L(max)を選択する(ステップS22)。
その後、制御部32は、その選択した操作レバーの操作量の最大値L(max)に応じたエンジン回転数設定値を前記操作回転数相関関数に基づいて操作レバー側回転数設定値EN1として算出する(ステップS24)。
一方、制御部32は、上記ステップS2,S22,S24と並行して、上記実施形態と同様のアクセルペダル10aの操作量ACの検出(ステップS10)及びその操作量ACに応じたエンジン回転数設定値であるアクセル側回転数設定値EN2の算出(ステップS12)を行う。
この後、上記実施形態と同様のプロセス(ステップS14,S16,S18)が行われ、ガバナ30がエンジン回転数を制御する。
以上説明したように、この第1参考例では、制御部32が、操作レバー12a,14aの各操作量L(1),L(2)のうちの最大値L(max)に応じて操作レバー側回転数設定値EN1を算出するため、その最大値L(max)に応じた操作レバー側回転数設定値EN1がアクセル側回転数設定値EN2よりも低ければ、操作レバー12a,14aのうち大きく操作された方の操作量に応じてエンジン2の回転数が制御される。その結果、上記実施形態と同様、操作レバー12a,14aのうち最も大きく操作された操作レバーの操作に従う作業装置6又は8の動作速度を満足することが可能な回転数にエンジン2の回転数を調節することができる。
この第1参考例による上記以外の効果は、上記実施形態による効果と同様である。
(第2参考例)
次に、本発明の第2参考例による作業機械のエンジン制御装置1の構成について説明する。
この第2参考例によるエンジン制御装置1が用いられる作業機械の構成は、上記実施形態によるエンジン制御装置1が用いられる作業機械の構成と同様である。
この第2参考例のエンジン制御装置1は、制御部32が第1操作レバー12aの操作量とアクセルペダル10aの操作量の両方に応じたエンジン回転数設定値EN(1)を算出するとともに第2操作レバー14aの操作量とアクセルペダル10aの操作量の両方に応じたエンジン回転数設定値EN(2)を算出し、それらの算出した回転数設定値EN(1),EN(2)のうちの最大値をエンジン回転数目標値ENとする点において、上記実施形態のエンジン制御装置1と異なる。
具体的には、この第2参考例のエンジン制御装置1では、制御部32は、第1操作装置本体12bから出力される操作指示信号を受けてその信号が示す第1操作レバー12aの操作量と前記アクセル指示信号が示すアクセルペダル10aの操作量とに応じたエンジン回転数設定値EN(1)を主相関関数に基づいて算出するとともに、第2操作装置本体14bから出力される操作指示信号を受けてその信号が示す第2操作レバー14aの操作量と前記アクセル指示信号が示すアクセルペダル10aの操作量とに応じたエンジン回転数設定値EN(2)を主相関関数に基づいて算出する。そして、制御部32は、算出したエンジン回転数設定値EN(1),EN(2)のうちの最大値をエンジン回転数目標値ENとして導出する。なお、このエンジン回転数目標値は、本発明の指令回転数制御目標値の概念に含まれる。
前記主相関関数(図11参照)は、エンジンの回転数を特定するためのエンジン回転数設定値と操作レバー12a,14aの操作量とアクセルペダル10aの操作量との相互の関係を規定する関数である。この主相関関数は、操作レバーの操作量Lの増減に従ってエンジン回転数設定値が増減する領域及びアクセルペダル10aの操作量ACの増減に従ってエンジン回転数設定値が増減する領域を含んでいる。
詳しくは、この主相関関数では、アクセルペダル10aの操作量ACがどのような値であっても、操作レバーの操作量Lが0の点から少し増加した点までの区間と操作レバーの操作量Lが最大となる点からその少し手前の点までの区間では、エンジン回転数設定値は一定の値となり、それら両区間の間に位置する区間では、エンジン回転数設定値は操作レバーの操作量Lの増減に応じて増減する。そして、このエンジン回転数設定値が操作レバーの操作量Lの増減に応じて増減する区間では、エンジン回転数設定値は操作レバーの操作量Lの増加に従って直線的に漸次増加し、その区間における操作レバーの操作量Lの増加に対するエンジン回転数設定値の増加率(当該区間の主相関関数の傾き)は、アクセルペダル10aの操作量ACの減少に従って低下する。また、アクセルペダル10aの操作量ACが最大である場合には、操作レバーの操作量Lが最大値及びその近傍のときにエンジン回転数設定値は最大値(エンジン2の最高回転数Emaxに等しい値)となり、アクセルペダル10aの操作量ACが最小のときには、操作レバーの操作量Lが最小値及びその近傍のときにエンジン回転数設定値は最小値(エンジン2の最低回転数Eminに等しい値)となる。
また、図12には、操作レバーの操作量Lを最大とした場合における主相関関数が示されており、図13には、操作レバーの操作量Lを最小とした場合における主相関関数が示されている。これらの図から判るように、主相関関数は、アクセルペダル10aの操作量ACが0の点から少し増加した点までの区間とアクセルペダル10aの操作量ACが最大となる点からその少し手前までの区間では、エンジン回転数設定値は一定の値となり、それら両区間の間に位置する区間では、エンジン回転数設定値はアクセルペダル10aの操作量ACの増減に応じて増減する。そして、このエンジン回転数設定値がアクセルペダル10aの操作量ACの増減に応じて増減する区間では、エンジン回転数設定値はアクセルペダル10aの操作量ACの増加に従って直線的に漸次増加し、その区間におけるアクセルペダル10aの操作量ACの増加に対するエンジン回転数設定値の増加率(当該区間の主相関関数の傾き)は、操作レバーの操作量Lの減少に従って低下する。
制御部32は、以上のような主相関関数において上記の操作指示信号から検出した操作レバーの操作量Lとアクセル指示信号から検出したアクセルペダル10aの操作量ACとに対応する点のエンジン回転数設定値を導出する。
この第2参考例によるエンジン制御装置1の上記以外の構成は、上記実施形態によるエンジン制御装置1の構成と同様である。
次に、アクセルペダル10aと操作レバー12a,14aが同時に操作された場合に当該第2参考例のエンジン制御装置1が行うエンジン回転数制御のプロセスについて説明する。この第2参考例のエンジン制御装置1によるエンジン回転数制御のプロセスは、図14に示されている。
このエンジン回転数の制御プロセスでは、まず、制御部32が、第1操作装置本体12bから出力される操作指示信号を受けて第1操作レバー12aの操作量L(1)を検出し、第2操作装置本体14bから出力される操作指示信号を受けて第2操作レバー14aの操作量L(2)を検出し、アクセル装置本体10bから出力されるアクセル指示信号を受けてアクセルペダル10aの操作量ACを検出する(ステップS32)。
次に、制御部32は、第1操作レバー12aの操作量L(1)とアクセルペダル10aの操作量ACとに応じたエンジン回転数設定値EN(1)を前記主相関関数に基づいて算出する(ステップS34)。
次に、制御部32は、第2操作レバー14aの操作量L(2)とアクセルペダル10aの操作量ACとに応じたエンジン回転数設定値EN(2)を前記主相関関数に基づいて算出する(ステップS36)。
その後、制御部32は、エンジン回転数設定値EN(1),EN(2)のうちの高位選択によりそれらの回転数設定値EN(1),EN(2)のうちの最大値をエンジン回転数目標値ENとして導出する(ステップS38)。
この後、ステップS40,S42として、上記実施形態におけるステップS16,S18と同様のプロセスが行われ、ガバナ30がエンジン2の回転数を制御する。
以上説明したように、この第2参考例では、制御部32が、第1操作レバー12aの操作量とアクセルペダル10aの操作量の両方に応じたエンジン回転数設定値EN(1)を主相関関数に基づいて算出するとともに第2操作レバー14aの操作量とアクセルペダル10aの操作量の両方に応じたエンジン回転数設定値EN(2)を主相関関数に基づいて算出し、それらの算出したエンジン回転数設定値EN(1),EN(2)のうちの最大値をエンジン回転数目標値ENとして導出するため、操作レバー12a,14aとアクセルペダル10aが同時に操作された場合でも調節すべきエンジン2の回転数を決定してその回転数にエンジン2の回転数を変化させることができる。
また、この第2参考例では、制御部32が、操作レバーの操作量Lの増減に従ってエンジン回転数設定値が増減する領域を含む主相関関数に基づいて前記エンジン回転数設定値EN(1),EN(2)を算出するとともにそのエンジン回転数設定値EN(1),EN(2)のうちの最大値をエンジン回転数目標値ENとして導出し、そのエンジン回転数目標値ENに応じてガバナ30にエンジン2の回転数を制御させるため、アクセルペダル10aの操作量にかかわらず、エンジン2の回転数を操作レバー12a又は14aの操作量の増減が反映された回転数に調節することができる。このため、アクセルペダル10aの操作量が大きい場合でも、操作レバー12a,14aの操作量が減少すれば、それに応じてエンジン回転数が低下し、その結果、燃費を向上することができる。
また、この第2参考例では、制御部32が、アクセルペダル10aの操作量の増減に従ってエンジン回転数設定値が増減する領域を含む主相関関数に基づいて前記エンジン回転数設定値EN(1),EN(2)を算出するとともにそのエンジン回転数設定値EN(1),EN(2)のうちの最大値をエンジン回転数目標値ENとして導出し、そのエンジン回転数目標値ENに応じてガバナ30にエンジン2の回転数を制御させるため、操作レバー12a,14aの操作量にかかわらず、エンジン2の回転数をアクセルペダル10aの操作量の増減が反映された回転数に調節することができる。このため、作業装置6,8の操作中にアクセルペダル10aの操作に応じたエンジン回転数の制御を行うことができる。
また、この第2参考例では、制御部32が、第1操作レバー12aの操作量とアクセルペダル10aの操作量とに応じたエンジン回転数設定値EN(1)と第2操作レバー14aの操作量とアクセルペダル10aの操作量とに応じたエンジン回転数設定値EN(2)とのうちの最大値をエンジン回転数目標値ENとして導出する。このため、両操作レバー12a,14aのうちのいずれかが大きく操作された場合に、その大きく操作された操作レバーの操作量が反映された回転数にエンジン2の回転数が調節される。その結果、操作レバー12a,14aのうち最も大きく操作された操作レバーの操作に従う作業装置6又は8の動作速度を満足することが可能な回転数にエンジン2の回転数を制御することができる。
(第3参考例)
次に、本発明の第3参考例による作業機械のエンジン制御装置1の構成について説明する。
この第3参考例のエンジン制御装置1は、上記第2参考例のエンジン制御装置1が用いられる作業機械と同様の作業機械に用いられる。この第3参考例のエンジン制御装置1では、制御部32は、第1操作レバー12aの操作量及びアクセルペダル10aの操作量に応じたエンジン回転数設定値EN(1)と第2操作レバー14aの操作量及びアクセルペダル10aの操作量に応じたエンジン回転数設定値EN(2)とのうちの最大値を選択することによってエンジン回転数目標値ENを導出する代わりに、操作レバー12a,14aの操作量のうちの最大の操作量を選択してその最大の操作量とアクセルペダル10aの操作量とに応じたエンジン回転数設定値をエンジン回転数目標値ENとして算出する。
具体的には、制御部32は、第1操作装置本体12bと第2操作装置本体14bからそれぞれ出力される操作指示信号を受けてその各操作指示信号が示す第1操作レバー12aの操作量と第2操作レバー14aの操作量とのうち最大の操作量を選択する。また、制御部32は、操作レバーの最大の操作量と、アクセル装置本体10bから出力されたアクセル指示信号が示すアクセルペダル10aの操作量とに応じたエンジン回転数を主相関関数に基づいて算出し、その算出したエンジン回転数設定値をエンジン回転数目標値ENとする。なお、この際、制御部32が用いる主相関関数は、上記第2参考例で制御部32が用いる主相関関数と同様のものである。
この第3参考例によるエンジン制御装置1の上記以外の構成は、上記第2参考例によるエンジン制御装置1の構成と同様である。
次に、アクセルペダル10aと操作レバー12a,14aが同時に操作された場合に当該第3参考例のエンジン制御装置1が行うエンジン回転数制御のプロセスについて説明する。この第3参考例のエンジン制御装置1によるエンジン回転数制御のプロセスは、図15に示されている。
このエンジン回転数の制御プロセスでは、まず、制御部32が、上記第2参考例におけるエンジン回転数制御の場合と同様に第1操作レバー12aの操作量L(1)、第2操作レバー14aの操作量L(2)及びアクセルペダル10aの操作量ACを検出する(ステップS32)。
次に、制御部32は、検出した第1操作レバー12aの操作量L(1)と第2操作レバー14aの操作量L(2)のうちの最大値L(max)を選択する(ステップS44)。
その後、制御部32は、その選択した操作レバーの最大値L(max)とアクセルペダル10aの操作量ACとに応じたエンジン回転数設定値を前記主相関関数に基づいてエンジン回転数目標値ENとして算出する(ステップS46)。
この後、上記第2参考例と同様のプロセス(ステップS40,S42)が行われ、ガバナ30がエンジン2の回転数を制御する。
以上説明したように、この第3参考例では、制御部32が、操作レバー12a,14aの各操作量L(1),L(2)のうちの最大値L(max)とアクセルペダル10aの操作量ACとに応じてエンジン回転数目標値ENを算出するため、両操作レバー12a,14aのうちのいずれかが大きく操作された場合に、その大きく操作された操作レバーの操作量が反映された回転数にエンジン2の回転数が調節される。その結果、上記第2参考例と同様、操作レバー12a,14aのうち最も大きく操作された操作レバーの操作に従う作業装置6又は8の動作速度を満足することが可能な回転数にエンジン2の回転数を調節することができる。
この第3参考例による上記以外の効果は、上記第2参考例による効果と同様である。
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれる。
例えば、エンジン制御装置1は、図16に示すように、ガバナ30及び制御部32に加えてモード切換装置34を備えていてもよい。このモード切換装置34は、制御部32によるエンジン2の回転数制御のモードの切り換えを指示するためのものである。
具体的には、モード切換装置34は、アクセルペダル10aの操作と操作レバー12a,14aの操作の両方に応じたエンジン2の回転数制御を行うことを制御部32に指示する両操作回転数制御モードと、アクセルペダル10aの操作のみに基づいたエンジン2の回転数制御を行うことを制御部32に指示するアクセル回転数制御モードとに切り換わる。このモード切換装置34は、図略のスイッチを備えており、オペレータがこのスイッチを操作することによって当該モード切換装置34の状態を前記両操作回転数制御モードと前記アクセル回転数制御モードとの間で切り換えることができる。モード切換装置34は、そのモードに応じて異なる信号を制御部32へ送り、制御部32は、当該モード切換装置34から受け取った信号が示すモードに応じたエンジン回転数の制御を行う。
詳しくは、上記実施形態及び上記第1参考例のエンジン制御装置1にモード切換装置34を設ける場合には、制御部32は、モード切換装置34が前記両操作回転数制御モードにあり、そのことを示す信号をモード切換装置34から受け取ることに応じて、上記実施形態及び上記第1参考例の場合と同様に操作レバー側回転数設定値の算出、アクセル側回転数設定値の算出及びそれらの回転数設定値のうちの低位選択によるエンジン回転数目標値の導出を行い、エンジン2の回転数が導出したエンジン回転数目標値によって特定される回転数となるようにガバナ30にエンジン2の回転数を制御させる。一方、制御部32は、モード切換装置34が前記アクセル回転数制御モードにあり、そのことを示す信号をモード切換装置34から受け取った場合には、前記アクセル側回転数設定値の算出を行い、エンジン2の回転数がその算出したアクセル側回転数設定値によって特定される回転数となるようにガバナ30にエンジン2の回転数を制御させる。
また、上記第2及び第3参考例のエンジン制御装置1にモード切換装置34を設ける場合には、制御部32は、モード切換装置34が前記両操作回転数制御モードにあり、そのことを示す信号をモード切換装置34から受け取ることに応じて、その各参考例の場合と同様に操作レバー12a,14aの操作量とアクセルペダル10aの操作量の両方に応じたエンジン回転数目標値の算出を行い、エンジン2の回転数が算出したエンジン回転数目標値によって特定される回転数となるようにガバナ30にエンジン2の回転数を制御させる。一方、制御部32は、モード切換装置34が前記アクセル回転数制御モードにあり、そのことを示す信号をモード切換装置34から受け取った場合には、エンジン回転数設定値とアクセルペダル10aの操作量との関係のみを規定する副相関関数に基づいてアクセルペダル10aの操作量のみに応じたエンジン回転数設定値を算出し、エンジン2の回転数がその算出したエンジン回転数設定値によって特定される回転数となるようにガバナ30にエンジン2の回転数を制御させる。なお、副相関関数は、図3に示したアクセル回転数相関関数と同様のものである。
以上のように上記実施形態及び上記各参考例のエンジン制御装置1にモード切換装置34を設け、そのモード切換装置34をアクセル回転数制御モードにした場合には、エンジン2の回転数Eは、図17に示すようにアクセルペダル10aの操作量の増減に従って増減し、操作レバー12a,14aの操作量Lに無関係で、かつ、アクセルペダル10aの操作量に応じた所定の値となる。
上記実施形態及び上記第1参考例のエンジン制御装置1にモード切換装置34を設けた場合には、モード切換装置34を両操作回転数制御モードとすれば、アクセルペダル10aと操作レバー12a,14aとのうち操作量の小さい方の操作に応じてエンジン2の回転数を制御することができ、モード切換装置34をアクセル回転数制御モードとすれば、アクセルペダル10aの操作のみに応じてエンジン2の回転数を制御することができる。また、上記第2及び第3参考例のエンジン制御装置1にモード切換装置34を設けた場合には、モード切換装置34を両操作回転数制御モードとすれば、アクセルペダル10aと操作レバー12a又は14aの操作に応じてエンジン2の回転数を制御することができ、モード切換装置34をアクセル回転数制御モードとすれば、アクセルペダル10aの操作のみに応じてエンジン2の回転数を制御することができる。従って、上記実施形態及び上記各参考例において、上記エンジン回転数の制御方式のうちオペレータが望む方式を選択することができる。
また、前記主相関関数において、アクセルペダル10aの操作量が最小である場合には、エンジン回転数設定値は、操作レバー12a又は14aの操作量Lにかかわらず、エンジン2の最低回転数Eminに等しい最低値で一定であってもよい(図18参照)。
また、前記主相関関数において、操作レバー12a又は14aの操作量Lの増減に応じてエンジン回転数設定値が増減する領域では、操作レバーの操作量が増加するに従ってエンジン回転数設定値が曲線的に漸次増加するようになっていてもよい(図19参照)。
また、上記実施形態及び上記各参考例において、エンジン回転数目標値ENを求めてからその目標値ENをアクセル信号ASに換算するのではなく、上記エンジン回転数設定値を算出するための各関数のうちのエンジン回転数設定値を上記アクセル信号相関関数に基づいて予めアクセル信号ASの値に変換した関数を作成しておき、その各関数に基づいて操作レバー12a,14aの操作量に応じたアクセル信号ASの値や、アクセルペダル10aの操作量に応じたアクセル信号ASの値、操作レバー12a,14aの操作量とアクセルペダル10aの操作量とに応じたアクセル信号ASの値をそれぞれ算出してもよい。
この場合には、アクセル信号ASの値が本発明の回転数制御目標値の概念に含まれる。また、各操作レバー12a,14aの操作量に応じたアクセル信号ASの値のうちの最大値又は各操作レバー12a,14aの操作量のうちの最大値に応じたアクセル信号ASが本発明の操作回転数制御目標値の概念に含まれ、アクセルペダル10aの操作量に応じたアクセル信号ASの値が本発明のアクセル回転数制御目標値の概念に含まれる。また、各操作レバー12a,14aの操作量とアクセルペダル10aの操作量とに応じたアクセル信号ASの値のうちの最大値又は各操作レバー12a,14aの操作量のうちの最大値とアクセルペダル10aの操作量とに応じたアクセル信号ASの値が本発明の指令回転数制御目標値の概念に含まれる。また、前記操作回転数相関関数のうちのエンジン回転数設定値をアクセル信号ASの値に変換した関数は、本発明の操作回転数相関関数の概念に含まれ、前記アクセル回転数相関関数のうちのエンジン回転数設定値をアクセル信号ASの値に変換した関数は、本発明のアクセル回転数相関関数の概念に含まれる。また、前記主相関関数のうちのエンジン回転数設定値をアクセル信号ASの値に変換した関数は、本発明の主相関関数の概念に含まれ、前記副相関関数のうちのエンジン回転数設定値をアクセル信号ASの値に変換した関数は、本発明の副相関関数の概念に含まれる。
また、上記実施形態において、制御部32が第1操作レバー12aの操作量L(1)に応じたエンジン回転数設定値EN1(1)を算出するために用いる操作回転数相関関数と、制御部32が第2操作レバー14aの操作量L(2)に応じたエンジン回転数設定値EN1(2)を算出するために用いる操作回転数相関関数とは、各操作レバー12a,14aによって操作される各作業装置6,8の動作特性に応じた操作回転数相関関数を用いる。
また、上記第2参考例において、制御部32が第1操作レバー12aの操作量L(1)とアクセルペダル10aの操作量ACとに応じたエンジン回転数設定値EN(1)を算出するために用いる主相関関数と、制御部32が第2操作レバー14aの操作量L(2)とアクセルペダル10aの操作量ACとに応じたエンジン回転数設定値EN(2)を算出するために用いる主相関関数とは、必ずしも同じものでなくてもよく、各操作レバー12a,14aによって操作される各作業装置6,8の動作特性に応じた主相関関数を用いてもよい。
また、本発明のエンジン制御装置は、クレーン以外の様々な作業機械に用いることが可能である。例えば、油圧ショベル等の作業機械に本発明のエンジン制御装置を用いることができる。当該エンジン制御装置を油圧ショベルに用いる場合には、作業装置としてはアタッチメントやバックホウが挙げられる。また、作業装置のアクチュエータは、油圧モータに限定されない。作業装置がアタッチメント又はバックホウである場合には、そのアクチュエータとして油圧シリンダが挙げられる。
また、本発明のアクセル部としては、前記アクセルペダル10aに限定されず、それ以外の形態のものであってもよい。
また、別の参考例として、単一の作業装置及び単一の操作レバー(作業用操作装置)が設けられていてもよい。この場合には、制御部32は、上記のような各操作レバーの操作量に応じたエンジン回転数設定値のうちの最大値の選択又は各操作レバーの操作量のうちの最大値の選択を行わずに、単一の操作レバーの操作量に応じて操作回転数制御目標値の算出を行えばよい。また、本発明の対象となる作業装置及び操作レバーとして3つ以上の作業装置及び3つ以上の操作レバー(作業用操作装置)が設けられていてもよい。この場合には、制御部32は、それらの操作レバーの操作量に応じた各エンジン回転数設定値のうちの最大値の選択又はそれらの操作レバーの操作量のうちの最大値の選択を行って、選択した最大値を操作レバー側回転数制御目標値とすればよい。