以下、車両外部の電源から蓄電装置を充電する本発明によるプラグイン車両の制御装置、及び制御方法を説明する。
図1に示すように、車両外部の電源から車両に搭載された複数の高圧の蓄電装置151,152,153を直接充電することが可能なプラグイン車の一例であるハイブリッド車1(以下、「プラグインハイブリッド車」と記す。)には、システム制御部として機能し、車両の動力を統括制御するプラグインハイブリッドビークルECU(以下、「PIHV−ECU」と記す。)10、車両外部の電源から供給される電力によって蓄電装置151,152,153を充電制御する充電器として機能する充電ECU(以下、「CHG−ECU」と記す。)20を備えている。
さらに、プラグインハイブリッド車1は、低圧(例えば、DC12V)のバッテリ(以下、「補機バッテリ」と記す。)と、動力源としてエンジン、第1MG(Motor Generator)、走行モータとしての第2MG(Motor Generator)を備え、エンジンを制御するエンジンECU(以下、「ENG−ECU」と記す。)40、第1MG及び第2MGを制御するモータECU(以下、「MG−ECU」と記す。)30、各種の情報を運転席前部のパネル(表示部)に表示するメータECUの他、盗難防止機能を実現する防盗ECU、スマートキーで車両のロックまたはロック解除を制御するスマートECU等の電子制御装置(Electric-Control-Unit;以下、「ECU」と記す。)が搭載されている。
各ECUは、単一または複数のCPUと、CPUで実行されるプログラムが格納されたROMと、制御情報が格納されCPUのワーキングエリアとして使用されるRAMと、入出力回路と、必要に応じて不揮発性メモリとを備え、バス型ネットワークであるCAN(Controller Area Network)用のインタフェース回路(以下、「CAN−I/F」と記す。)等を備え、各ECUは、CAN−I/Fを介してCAN通信線で接続され、ECU間で必要な各種の制御情報がCANを介して授受される。
また、各ECUには、低圧のバッテリである補機バッテリから供給されるDC12Vの直流電圧から所定レベルの制御電圧(例えば、DC5V)を生成するDCレギュレータが搭載され、DCレギュレータの出力電圧がCPU等の制御回路に供給される。
PIHV−ECU10は、補機バッテリと各ECUとが接続される給電線に備えた電源リレーがオフの状態で、車両システムの電源スイッチであるイグニッションスイッチIGSWがオン操作されたことを検出すると、電源リレーをオンにして補機バッテリから各ECUへの制御用電力の給電を開始して各ECUが起動し、夫々所期の制御動作が実行される。
また、PIHV−ECU10は、電源リレーがオンの状態で、イグニッションスイッチIGSWがオフ操作されたことを検出すると、CANバスを介して他のECUにイグニッションスイッチIGSWがオフされたことを送信して、各ECUのシャットダウン処理を促す。
尚、イグニッションスイッチIGSWは、プッシュ式などのモーメンタリスイッチまたはオルタネートスイッチの何れの型式のスイッチであってもよく、モーメンタリスイッチを用いる場合には、PIHV−ECU10が現在の状態をフラグデータとしてRAMに保持し、そのスイッチの操作エッジでオンされたのかオフされたのかをフラグデータに基づいて判断すればよい。また、従来のキーシリンダにキーを挿入して回転操作する機械接点式のスイッチであってもよい。
PIHV−ECU10は、CANバスを介して各ECUのシャットダウン処理の終了を認識し、且つ、電源リレーをオフして給電を停止して待機状態に移行する。待機状態とは、PIHV−ECU10がストップ命令またはホールト命令を実行し、CPUの消費電力が低減された状態をいう。
シャットダウン処理とは、イグニッションスイッチIGSWのオフに伴って、駆動中の各種のアクチュエータの停止処理や、ワーキングエリアに記憶された制御データの不揮発性メモリへの退避処理等をいい、例えばENG−ECU40であれば、エンジンの停止処理、空燃比等の各種の学習データを含むエンジン制御用のデータの不揮発性メモリへの退避処理をいう。PIHV−ECU10を含むECUの一部には、補機バッテリから常時給電されるデータ保持用のSRAM、または補機バッテリからの給電が停止した場合でもデータの消失を回避するための不揮発性メモリがバックアップ用メモリとして搭載されているのである。
イグニッションスイッチIGSWがオン操作されると、PIHV−ECU10は電源リレーをオンして、車両の走行制御が可能な状態となる。
プラグインハイブリッド車1は、エンジン及び第2MGの少なくとも一方からの駆動力によって走行可能なように、エンジン、第1MG及び第2MGが動力分割機構に連結されている。
第1MG及び第2MGは交流回転電機で構成され、例えば、U相コイル、V相コイル及びW相コイルを備える三相交流同期回転機が用いられる。
動力分割機構は、サンギヤと、ピニオンギヤと、キャリアと、リングギヤとを含み、ピニオンギヤがサンギヤ及びリングギヤと係合する遊星歯車機構で構成されている。
ピニオンギヤを自転可能に支持するキャリアがエンジンのクランクシャフトに連結され、サンギヤが第1MGの回転軸に連結され、リングギヤが第2MGの回転軸及び減速機に連結され、エンジン、第1MG、及び第2MGとの間で動力が分配されている。
車両に搭載された充放電可能な直流電源である蓄電装置151,152,153はシステムメインリレーSMR1,SMR2,SMR3を介して昇降圧コンバータに接続され、昇降圧コンバータの出力電圧が第1インバータ及び第2インバータで交流電圧に変換された後に、第1MG及び第2MGに印加されるように構成されている。
つまり、図2に示すように、各蓄電装置151,152,153は、それぞれシステムメインリレーSMR1,SMR2,SMR3を介して、上述したMG、インバータ及び昇降圧コンバータで構成されるモータ駆動回路200に接続されているのである。
第1インバータは、昇降圧コンバータから供給される直流電力を交流電力に変換して第1MGへ供給し、或は、第1MGにより発電された交流電力を直流電力に変換してコンバータへ供給する。
第2インバータは、昇降圧コンバータから供給される直流電力を交流電力に変換して第2MGへ供給し、或は、第2MGにより発電された交流電力を直流電力に変換して昇降圧コンバータへ供給する。
PIHV−ECU10は、蓄電装置151,152,153の各充電状態(以下、「SOC(State Of Charge)と記す。」)を監視し、SOCが所定範囲内にあるときに、MG−ECU30を介して、蓄電装置151,152,153の何れかに蓄えられた電力または第1MGにより発電された電力の少なくとも一方を用いて第2MGを駆動し、エンジンの動力をアシストする。第2MGの駆動力は、減速機を介して駆動輪に伝達される。
PIHV−ECU10は、例えば、蓄電装置151,152,153の何れかのSOCが予め定められた値よりも低いと判定すると、ENG−ECU40を介してエンジンを始動し、モータ駆動回路からの発電電力を予め定められた値よりも低いSOCとなった蓄電装置151,152,153に蓄えるように制御する。
さらにPIHV−EUC10は、蓄電装置151,152,153のSOCが予め定められた値よりも高いと判定すると、ENG−ECU40を介してエンジンを停止し、MG−ECU30を介して、予め定められた値よりも高いSOCとなった蓄電装置151,152,153に蓄えられた電力を用いて第2MGを駆動する。
即ち、PIHV−ECU10は、イグニッションスイッチIGSWがオン操作されて各ECUが起動すると、システムメインリレーSMR1,SMR2,SMR3をオンにし、オンにしたシステムメインリレーSMR1,SMR2,SMR3が接続された蓄電装置151,152,153で蓄えられた電力をモータ駆動回路に供給する、またはモータ駆動回路の発電電力を蓄電装置151,152,153に供給するのである。
尚、予め定められた値を逸脱するSOCとなった蓄電装置151,152,153から充放電を実行するように説明したが、特定の蓄電装置を優先的に充放電するのでもよい。例えば、蓄電装置151から優先的に充放電を実行するように構成してもよい。
MG−ECU30は、PIHV−ECU10からの制御指令に基づいて、モータ走行時には昇降圧コンバータを制御して、蓄電装置151,152,153の出力電圧を所定レベルに昇圧し、第2インバータを制御して第2MGを駆動する。
また、MG−ECU30は、マイクロコンピュータ11からの制御指令に基づいて、充電時には第1インバータを制御して、第1MGからの発電電力を直流電力に変換し、昇降圧コンバータで降圧して蓄電装置151,152,153を充電する。
一方、車両の制動時等に、PIHV−ECU10は、減速機を介して駆動輪により駆動される第2MGを発電機として制御し、第2MGにより発電された電力を蓄電装置151,152,153に蓄えるようにMG−ECU30に制御指令を発する。つまり、第2MGは、制動エネルギーを電力に変換する回生ブレーキとして用いられる。
つまり、PIHV−ECU10は、蓄電装置151,152,153の何れかから出力される負荷電流と電圧、及び蓄電装置151,152,153の温度をモニタして、蓄電装置151,152,153のSOCを制御に関する情報の一つとして管理して、記憶部(RAM)に記憶し、車両の要求トルクと蓄電装置151,152,153のSOC等に基づいて、エンジン、第1MG及び第2MGを制御する。
蓄電装置151,152,153は、例えば、ニッケル水素やリチウムイオンなどの二次電池で構成されている。蓄電装置151,152,153の出力電圧は、例えば300V前後に設定されている。
蓄電装置151,152,153は、モータ駆動回路で発電される電力に加えて、車両外部の電源から供給される電力により充電可能に構成されている。
図1に示すように、車両外部の電源から蓄電装置151,152,153へ充電電力を供給するための充電ケーブル300を接続する充電インレット270(以下、「インレット」と記す。)を備えている。
充電ケーブル300は、例えば、一端側に、家屋に設けられた電源コンセント等の外部電源と接続するプラグ320を備え、他端側に車両に備えたインレット270と接続するコネクタ330を備え、車両外部の電源と車両を接続する。
車両外部の電源に充電ケーブル300を介して接続されるCHG−ECU20は、交流電力を所定の直流電力に変換する電力変換部を備え、電力変換部には、交流電圧を整流する電流回路と平滑コンデンサを備え、平滑された直流電圧を所定の直流電圧に変換するDC/DCコンバータを備えている。
CHG−ECU20は、PIHV−ECU10から出力される蓄電装置151,152,153への充電を許可する充電指令信号である充電開始指令、または、外部電源から電力線100を介して印加された交流電圧を検知することによって起動するように構成されている。
また、CHG−ECU20は、外部電源から電力線100を介して、所定レベル(例えば、100V)の電圧が印加されたことを検知すると、PIHV−ECU10に対してシステムメインリレーSMR1,SMR2,SMR3の何れかをオンにする要求信号である導通要求信号REQを出力する。
CHG−ECU20は、PIHV−ECU10からの制御指令に基づいて、DC/DCコンバータを制御して蓄電装置151,152,153への充電電圧が所定の充電電力になるように調整して充電する。
充電ケーブル300は、一端側に外部電源、例えば家屋に設けられた電源コンセントと接続するプラグ320が設けられ、他端側に充電インレット270と接続するコネクタ330を備えている。
図2に示すように、充電ケーブル300には、車両外部の電源から車両に搭載された蓄電装置151,152,153に電力を供給する電力ケーブル310と、車両外部の電源と電力ケーブル310を導通または遮断する給電用のリレー361が組み込まれたCCID(Charging Circuit Interrupt Device)360とを備え、CCID360には、外部電源から車両に給電可能な定格電流に対応するパルス信号(以下、「コントロールパイロット信号」または「CPLT信号」と記す。)を生成する信号生成部が設けられている。
CPLT信号のデューティ比は、外部電源から充電ケーブル300を介して車両へ供給可能な電流容量に基づいて設定される値で、充電ケーブル毎に予め設定されている。例えば、電流容量が12Aの場合には20%、電流容量が24Aの場合には40%に設定されている。
さらに、CCID360には、外部電源から供給される交流電力を直流電力に変換して、一定の電圧を出力するレギュレータなどで構成された電源回路363が備えられ、電源回路363で変換された電力によって給電されて動作するCPU362,ROM,RAM及び、コントロールパイロット信号を生成する発振部とコントロールパイロット信号の信号レベルを検出する電圧検知部等を備えている。
コネクタ330には、一端が接地されたスイッチSW3が抵抗R3と直列接続された充電ケーブル接続検知回路(以下、「接続判定回路」と記す。)331が組み込まれ、接続判定回路331の出力がケーブル接続信号PISWとしてPIHV−ECU10に入力されている。
コネクタ330が充電インレット270に挿入されると、スイッチSW3が閉じて、PIHV−ECU10は、ケーブル接続信号PISWが入力端子IP2に入力されることにより、コネクタ330が挿入された、つまり、充電ケーブル300が車両に接続されたと判定する。
マイクロコンピュータ11の割込端子INT2には、CPLT信号のエッジであるIGP信号と、CHG−ECU20から出力される導通要求信号REQとが入力されたOR回路15の出力端子からの信号が入力されるように構成されている。
CCID360からのCPLT信号は、PIHV−ECU10の回路基板で、抵抗R10によってプルダウンされている。充電ケーブル300が車両に接続されていない状態では、Lレベルの信号が入力され、充電ケーブル300が車両に接続されると、Hレベルの信号が入力される。CHG−ECU20からの出力信号である導通要求信号REQが入力される場合には、Hレベルで入力される。
従って、OR回路15の何れかの入力端子にHレベルの信号が入力されると、マイクロコンピュータ11の割込端子INT2にはHレベルの信号が入力されて、マイクロコンピュータ11は待機状態から復帰する。
マイクロコンピュータ11は、起動するとともに、入力端子IP1にCPLT信号が入力されていることを確認する。CPLT信号が入力されていない場合には、入力端子IP3に導通要求信号REQが入力されていることを確認する。
マイクロコンピュータ11の割込端子INT2にCPLT信号のエッジであるIGP信号が入力されると、マイクロコンピュータ11は、出力端子OP4からの出力信号により電源リレーをオンにして、入力端子IP1にCPLT信号が入力されていることを確認し、CHG−ECU20に蓄電装置151,152,153への充電を許可する充電指令信号である充電開始指令を出力して、CHG−ECU20を制御して蓄電装置151,152,153の充電制御を開始する。
充電用インレット270から入力されるCPLT信号の信号レベルを低下させる抵抗R1とスイッチSW1でなる第一降圧回路と、抵抗R2とスイッチSW2でなる第二降圧回路を備え、CPLT信号の信号レベルを検出するとともに、当該信号レベルを二段階に変化させるように構成されている。
CPLT信号がマイクロコンピュータ10aのA/D変換入力端子IP1に入力されると、マイクロコンピュータ10aは、デューティ比を検出し、充電ケーブル300の電流容量、処理実行タイミングを認識する。
マイクロコンピュータ11が待機状態に移行している場合に、時刻t0で外部電源のコンセントにプラグ320が接続され、時刻t1で充電ケーブル300が充電用インレット270に装着されると、信号生成部から所定レベルの直流電圧V1(例えば、+12V)を示すCPLT信号が出力される。
CPLT信号の立ち上がりエッジがマイクロコンピュータ11の割込端子INT2に入力されると、マイクロコンピュータ11は待機状態から通常の動作状態に復帰して、電源リレーをオンして充電制御を開始する。
続いて、マイクロコンピュータ11は、A/D変換入力端子IP1に直流電圧V1のCPLT信号の入力を検出すると、時刻t2で、第二降圧回路のスイッチSW2をオンしてCPLT信号の電圧レベルをV1からV2(例えば、+9V)に降圧する。
入力端子IP1にCPLT信号が入力されている場合には、CCID360に備えた給電用のリレー361がオンされて充電ケーブル300からの電圧がCHG−ECU20に印加されるまで、CHG−ECU20から導通要求信号REQは出力されないため、マイクロコンピュータ11が復帰した直後には、入力端子IP3に信号の入力はないのである。
信号生成部は、CPLT信号がV1からV2に低下したことを電圧検知部により検出すると、時刻t3で、発振部から所定のデューティサイクルで所定周波数(例えば1KHz)のパルス信号を生成して出力するように制御する。当該パルス信号の信号レベルは±V1であるが、上限レベルは第二降圧回路により降圧されている。
マイクロコンピュータ11は、CPLT信号のデューティサイクルを検出して当該充電ケーブル300の電流容量を認識すると、時刻t4で、さらに第一降圧回路のスイッチSW1をオンして、CPLT信号の電圧レベルをV2からV3(例えば、+6V)に降圧する。
信号生成部は、CPLT信号の信号レベルがV2からV3に低下したことを検出すると、給電用のリレー361を閉じて車両側に電力ケーブル310から交流電力を供給する。
マイクロコンピュータ11は、充電ケーブル300の電流容量に基づいて蓄電装置151,152,153の何れかのSOCを目標SOCまで充電するための充電電圧を設定し、出力端子OP6からCHG−ECU20に充電指令信号を出力する。
CHG−ECU20は充電指令信号が入力されると起動し、電力ケーブル310からの電圧が印加されたことを検知するとマイクロコンピュータ11の入力端子IP3、及びOR回路15の一対の入力端子の一方に導通要求信号REQを出力するとともに、電力変換部から所定の充電電圧が出力されるように制御して蓄電装置151,152,153に充電電力を供給する。
マイクロコンピュータ11は、蓄電装置151,152,153の充電電流と電圧と温度をモニタして蓄電装置151,152,153のSOCを算出し、時刻t5で目標とするSOCに達すると充電が終了したと判定し、CHG−ECU20に充電制御が終了することを示す充電終了指令を出力するとともに、第一降圧回路のスイッチSW1をオフにし、電圧レベルをV3からV2に昇圧する。
信号生成部は、CPLT信号がV3からV2に上昇したことを検出すると、給電用のリレー361を開放して電力ケーブル310を介した車両側への交流電力の供給を停止する。
CHG−ECU20は、マイクロコンピュータ11からの充電終了信号を受信すると、入力端子IP3、及びOR回路15の入力端子に出力していた導通要求信号REQを停止する。
マイクロコンピュータ11は、時刻t6で、第二降圧回路のスイッチSW2をオフして、CPLT信号のレベルを当初のV1に戻し、CHG−ECU20にシャットダウン処理を促して、CHG−ECU20のシャットダウン処理が完了すると電源リレーをオフにし、その後待機状態に戻る。
尚、マイクロコンピュータ11は、ケーブル接続信号PISWをモニタしており、充電制御中に充電ケーブル300が離脱されたことをケーブル接続信号PISWの入力が停止することにより検知すると、上述した時刻t5以降の充電終了処理を実行する。
上述した処理フローは、接続判定回路331が組み込まれた充電ケーブル300が接続されている場合についての説明であるが、図4及び図5で示すような接続判定回路331が組み込まれていない充電ケーブル300が接続されている場合には、ケーブル接続信号PISWによって充電ケーブル300の車両への接続は検知できない。
そのため本発明では、ケーブル接続信号PISWが出力されない充電ケーブル300が使用される場合であっても、充電ケーブル300の車両への接続状態を判定するために、充電ケーブル300と接続される電力線100に流れる電流を検知する電流検知部101と、電力線100に車両外部の電源からモニタ電流を流すスイッチ回路SW4とを備え、PIHV−ECU10は、スイッチ回路SW4の導通状態または遮断状態の何れかで電流検知部101により電流が検知されると、車両に充電ケーブル300が接続されていると判定するように構成されている。
スイッチ回路SW4はトランジスタと抵抗を備え、電力線100の一端にコレクタが接続され、PIHV−ECU10に備えたマイクロコンピュータ11の出力端子OP3がベースに接続され、マイクロコンピュータ11の出力端子OP3から所定レベル(例えば、0.6V)以上の信号が出力されることによってスイッチ回路SW4が導通されるように構成されている。
尚、スイッチ回路SW4が「導通状態」とはスイッチ回路SW4が「オン状態」であることを意味し、スイッチ回路SW4が「遮断状態」とは、スイッチ回路SW4が「オフ状態」であることを意味する。
外部電源のコンセントにプラグ320が接続された状態で、充電ケーブル300が充電用インレット270に装着されると、CCID360に給電用のリレー361(図2参照)が備えられていないために、外部電源から交流電力がCHG−ECU20に供給され、CHG−ECU20は所定レベル(例えば、100V)の電圧が入力端子に印加されたことを、充電ケーブル300からCHG−ECU20に印加される電圧を検知する電圧センサを介して検知すると起動して、PIHV−ECU10の割込端子INT2に導通要求信号REQを出力して、PIHV−ECU10を待機状態から復帰させる。このとき、CHG−ECU20は、PIHV−ECU10の入力端子IP3にも同時に導通要求信号REQを出力している。
PIHV−ECU10は、蓄電装置151,152,153と走行モータの間に設けられたシステムメインリレーSMR1,SMR2,SMR3の導通要求信号REQが入力された場合に、電流検知部101により電流が検知されるか否かを判定し、電流が検知されない場合にスイッチ回路SW4を導通させて電流検知部101により電流が検知されるか否かを判定し、何れかで電流が検知されると、車両に充電ケーブル300が接続されていると判定する充電ケーブル接続判定処理を実行する。
このようにして、接続判定回路331が組み込まれていない充電ケーブル300であっても、PIHV−ECU10は、電流検知部101により外部電源からの電流が検知されると、蓄電装置151,152,153の充電中であって充電ケーブル300が車両に接続されていると判定し、電流検知部101により電流が検知されない場合にはスイッチ回路SW4を導通させて電流が検知されると、充電中ではないが充電ケーブル300が接続されていると判定する。
PIHV−ECU10は、接続判定回路331の有無にかかわらず、充電ケーブル300の車両への接続状態を判定する充電ケーブル接続判定処理を実行するのである。
さらに、PIHV−EUC10は、充電ケーブル300の車両への接続状態に応じて、通常走行モード、走行禁止モードの各走行モードを備え、RAMに記憶された各走行モードに対応した走行モードフラグ(走行禁止フラグ)の状態に基づいて、対応する走行制御を実行する。
PIHV−ECU10は、充電ケーブル接続判定処理の実行結果に基づいて車両の走行制御を管理し、充電ケーブル300が車両に接続されていないと判定すると、走行禁止フラグをリセットして通常走行モードで車両を制御し、充電ケーブル300が車両に接続されていると判定すれば、走行禁止フラグをセットして走行を禁止するように制御する。
PIHV−EUC10は、走行禁止フラグがセットされている場合には、システムメインリレーSMR1,SMR2,SMR3の全てをオフにして安全のため走行を禁止し、走行禁止フラグがリセットされている場合には、システムメインリレーSMR1,SMR2,SMR3の何れかをオンにして車両の発進に備えるのである。
例えば、PIHV−ECU10は、車両の発進時に充電ケーブル接続判定処理を実行することにより車両の走行モードを制御し、充電ケーブル300の引きずりなどを防止して車両の発進に備える。
尚、PIHV−ECU10は、シフトレバーの操作位置を検知する位置検知部により、Dレンジ、またはRレンジ等の車両の走行可能な状態に設定されたことを検知した場合、または、アクセルペダルの操作量を検知するアクセルポジションセンサにより、アクセルペダルが操作されたことを検知した場合の何れかの時点、さらに、シフトレバーの操作位置が車両の走行可能な状態に設定されたことを検知し、且つ、アクセルペダルが操作されたことを検知した時点を、車両の発進時であると判断する。
PIHV−ECU10は、充電ケーブル接続判定処理の実行結果に基づいて決定される走行モードを、CANを介してメータECUに出力する。例えば、走行禁止モードであることが出力された場合には、メータECUは充電ケーブル300を離脱するように促す視覚情報を表示部に表示する。
つまり、PIHV−ECU10は、充電ケーブル接続判定処理により車両に充電ケーブル300が接続されていると判定すると、システムメインリレーSMR1,SMR2,SMR3を遮断状態に保つ走行禁止処理を実行し、充電ケーブル接続判定処理により車両から充電ケーブル300が離脱されていると判定すると、システムメインリレーSMR1,SMR2,SMR3を導通状態に保つ走行許容処理を実行し、加えて走行禁止処理を実行すると、車両から充電ケーブルを離脱させる旨の報知処理を実行するのである。
尚、報知処理では、視覚情報を表示するだけでなく、例えば、音声合成回路を備えて音声情報として報知しても良いし、警笛などの音響情報によって報知されるのであってもよく、また、運転席前部のパネルを表示部として説明したが、例えば、ヘッドライトを点滅させるのであってもよく、車両に充電ケーブル300が接続されている、つまり車両の状態が通常の走行状態と異なる旨を報知可能な手段であれば、特に限定されるものではない。
図2、図5及び図6に基づいて、PIHV−ECU10により実行される充電ケーブル接続判定処理及び報知処理について説明すると、イグニッションスイッチIGSWがオンされると(SA1,Y)、PIHV−ECU10は、ケーブル接続信号PISWが入力されていなければ(SA2,N)、充電ケーブル300が離脱されている、または接続判定回路331を備えない充電ケーブル300が接続されて充電中であるかを判定するために、電流検知部101により電力線100に導通する電流を検知する(SA3)。ステップSA1でイグニッションスイッチIGSWがオンにされなければ、イグニッションスイッチIGSWのオンを継続して監視する。
ステップSA3で、電流検知部101により電力線100に電流が検知されなければ、スイッチ回路SW4をオンにして(SA4)、充電ケーブル300が離脱されている、または接続判定回路331を備えない充電ケーブル300が接続されているかを判定するために、電流検知部101により電力線100に導通する電流が検知されるか否かを判定する(SA5)。
尚、ステップSA3で、スイッチ回路SW4が遮断状態で電流検知部101により電流が検知して接続判定回路331を備えない充電ケーブル300が接続されているかを判定できるのは、何れかの蓄電装置151,152,153の充電制御を実行中で電力線100に交流電流が供給されているからであり、電流検知に代わって、例えば、PIHV−ECU10が充電制御中を示すためにセットしているフラグの状態に基づいて、または、CHG−ECU20から入力される導通要求信号REQの状態に基づいて、充電ケーブル300の車両への接続状態を判定してもよい。
ステップSA5で、電流検知部101により電力線100に電流が検知されなければ、PIHV−ECU10は、充電ケーブル300が離脱されていると判定して(SA6)、車両の走行が可能なようにシステムメインリレーSMR1,SMR2,SMR3の何れかをオン状態に保つ走行許容処理を実行するとともに(SA7)、走行禁止フラグをリセットして車両の走行モードを通常走行モードに設定してRAMに記憶し(SA8)、通常走行モードであることをメータECUに出力して、通常走行モード時の表示処理を実行する(SA9)。
通常走行モードの状態で、イグニッションスイッチIGSWがオフされると(SA10,Y)、PIHV−ECU10は、全てのシステムメインリレーSMR1,SMR2,SMR3をオフにして、各ECUのシャットダウン処理を促し、待機状態に戻る(SA11)。ステップSA10でイグニッションスイッチIGSWがオフにされなければ、イグニッションスイッチIGSWのオフを継続して監視する。
ステップSA2でケーブル接続信号PISWの入力がある場合、ステップSA3で電流検知部によりスイッチ回路SW4を遮断状態で電流を検知した場合、及びステップSA5でスイッチ回路SW4を導通状態で電流を検知した場合には、何れの場合においても充電ケーブル300が車両に接続されていると判定され(SA12)、車両の安全のためにシステムメインリレーSMR1,SMR2,SMR3を遮断状態に保つ走行禁止処理を実行するとともに(SA13)、走行禁止フラグをセットして、車両の走行モードを走行禁止モードに設定してRAMに記憶し(SA14)、走行禁止モードであることをメータECUに出力して、車両から充電ケーブル300を離脱させるように促すように報知処理を実行する(SA15)。
次に、図2、図5及び図7に基づいて車両のシステムが起動していない場合の充電制御について説明すると、イグニッションスイッチIGSWがオフの状態で(SB1,Y)、PIHV−ECU10は、CPLT信号のエッジであるIGP信号、若しくはCHG−ECU20からの導通要求信号REQの何れかがOR回路15の入力端子に入力され、OR回路15の出力信号が割込端子INT2に入力されることで待機状態から復帰する(SB2,Y)。割込端子INT2に信号が入力されない場合には、PIHV−ECU10は、待機状態から復帰することはない。ステップSB2でOR回路15の出力信号(割込信号)の入力が検知されなければ、割込信号の入力を継続して監視する。
PIHV−ECU10は通常の動作状態に復帰すると、入力端子IP1、IP3の入力端子に入力される信号を確認して、CHG−ECU20からPIHV−ECU10に導通要求信号REQが出力されている場合には、接続判定回路331が組み込まれていない充電ケーブル300が接続されていると判定し(SB3,Y)、PIHV−ECU10は、充電指令信号による充電開始指令をCHG−ECU20に出力して、蓄電装置151,152,153の何れかに介装されたシステムメインリレーSMR1,SMR2,SMR3をオンして充電制御を開始する(SB4)。
通常の動作状態に復帰した場合に、入力端子IP3に導通要求信号REQが入力されているのは、接続判定回路331が組み込まれていない充電ケーブル300が接続されている場合であり、抵抗R10によりプルダウンされてLレベルとなっているために、入力端子IP1にCPLT信号は入力されない。
このようにして、マイクロコンピュータ11は、起動要因となった割込端子INT2への信号を識別するように構成されているのである。
PIHV−ECU10は、充電中の蓄電装置のSOCが目標SOCになるまで充電制御を実行し、充電が完了すると(SB5,Y)、CHG−ECU20に充電終了指令を出力して、全てのシステムメインリレーSMR1,SMR2,SMR3をオフして蓄電装置151,152,153の充電制御を終了し、CHG−ECU20は、充電終了指令が入力されるとPIHV−ECU10に出力していた導通要求信号REQを停止する(SB6)。ステップSB5で蓄電装置の充電が完了していなければ、PIHV−ECU10は、目標SOCになるまで充電制御を継続する。
また、ステップSB3で、PIHV−ECU10は、CHG−ECU20から入力端子IP3に導通要求信号REQが入力されず、入力端子IP1にCPLT信号の入力を検知すれば、接続判定回路331が組み込まれた充電ケーブル300が接続されていると判定し(SB7,Y)、入力されるCPLT信号のデューティ比から充電ケーブル300の充電容量を確認する。ステップSB7でCPLT信号の入力が確認できなければ、充電ケーブル300が接続されていないと判定されるので、充電開始要求を継続して監視する。
充電ケーブル300の充電容量を確認すると(SB8,Y)、CHG−ECU20に充電開始指令を出力して、蓄電装置151,152,153の何れかに介装されたシステムメインリレーSMR1,SMR2,SMR3をオンして充電制御を開始する(SB9)。ステップSB8で充電ケーブル300の充電容量の確認が完了していなければ、継続して充電容量を確認する。
PIHV−ECU10は、充電中の蓄電装置のSOCが目標SOCになるまで充電制御を実行し、充電が完了すると(SB10,Y)、CHG−ECU20に充電終了指令を出力して、全てのシステムメインリレーSMR1,SMR2,SMR3をオフして蓄電装置151,152,153の充電制御を終了し、CHG−ECU20は、充電終了指令が入力されるとPIHV−ECU10に出力していた導通要求信号REQを停止する(SB11)。ステップSB10で蓄電装置の充電が完了していなければ、目標SOCになるまで充電制御を継続する。
CCID360(図2参照)が充電ケーブル300に備えられていないため、充電ケーブル毎に予め設定された充電ケーブル300を介して供給可能な電流容量が不明である場合には、電流容量の最小値(例えば、12A)を充電電流に設定して充電制御を実行する。
上述したPIHV−ECU10は、単一のマイクロコンピュータが組み込まれて構成された場合を説明したが、PIHV−ECU10に複数のマイクロコンピュータを組み込んでもよい。例えば、補機バッテリから常時給電される第一のマイクロコンピュータと、第一のマイクロコンピュータにより制御される電源リレーを介して補機バッテリの電力が給電され、車両のシステムを制御する第二のマイクロコンピュータを備え、二つのマイクロコンピュータがローカルの通信ラインで接続される構成でもよい。
つまり、第一のマイクロコンピュータは、ケーブル接続信号PISW、若しくはCHG−ECU20からの導通要求信号REQの検出により待機状態から復帰し、電源リレーを制御して給電することで、第二のマイクロコンピュータを起動するとともに、充電可能であることを上述の通信ラインを介して報知する。
第二のマイクロコンピュータは、入力端子に入力される信号から接続判定回路が組み込まれた充電ケーブルであるか否かを判定して、充電可能であることを検知すると、上述処理と同様にCPLT信号をモニタして充電処理を制御し、充電が完了すれば第二のマイクロコンピュータに充電が完了したことを通信ラインを介して報知し、各ECUと自身のシャットダウン処理を行い、第一のマイクロコンピュータは第二のマイクロコンピュータのシャットダウン処理が完了すれば、電源リレーをオフし、待機状態に移行する。
イグニッションスイッチがオンされた場合には、第一のマイクロコンピュータが、充電ケーブル接続判定処理を実行するように構成すればよい。
このように構成すれば、待機中の消費電力を一層低減できる。
上述したように、PIHV−ECU10は、車両外部の電源に充電ケーブル300を介して接続される充電器に、蓄電装置151,152,153への充電を許可する充電指令信号を出力するプラグイン車両の制御方法であって、蓄電装置151,152,153から走行モータへ給電するシステムメインリレーSMR1,SMR2、SMR3の導通要求信号REQが発生すると、充電ケーブル300と接続される電力線310に備えた電流検知部を介して電力線に電流が流れているか否かを判定し、電流が流れていないと判定すると、電力線に車両外部の電源からモニタ電流を流すスイッチ回路を導通させて、電流検知部を介して電力線に電流が流れているか否かを判定し、何れかの判定により電力線に電流が流れていると判定すると、車両に充電ケーブル300が接続されていると判定し、システムメインリレーSMR1,SMR2,SMR3の遮断状態を維持するプラグイン車両の制御方法を実行する。
上述では、充電ケーブル300と接続される電力線100に流れる電流を検知する電流検知部101と、電力線100に車両外部の電源からモニタ電流を流すスイッチ回路SW4を備え、PIHV−ECU10により充電ケーブル接続判定処理が実行されるように説明したが、電力線100に印加された電圧を検知する電圧検知部を備えて充電ケーブル接続判定処理を実行するように構成してもよいし、また、CHG−ECU20によって電力線100の電圧の印加状態を監視して、PIHV−ECU10に通知することで充電ケーブル接続判定処理を実行するように構成してもよい。
例えば、電力線100に電圧検知部を備えた場合には、電圧検知部により検知される電圧をPIHV−ECU10でモニタして、印加電圧が検知されると充電ケーブル300が車両に接続されていると判定し、印加電圧が検知されない場合には、充電ケーブル300が車両から離脱されていると判定することができる。
CHG−ECU20により電力線100の印加電圧を監視する場合には、CHG−ECU20の入力端子に電圧が印加されていれば、充電ケーブル300が車両に接続されていると判定し、入力端子に電圧が印加されていなければ、車両から充電ケーブル300が離脱されていると判定し、新たに設けた入力端子を介してPIHV−ECU10に判定結果を通知することによって、PIHV−ECU10は充電ケーブル接続判定処理を実行することができる。
このように構成することにより、電流検知部101及びスイッチ回路SW4を備えなくても、充電ケーブル接続判定処理を実行するように構成することができる。
また、上述した説明の何れにおいても、PIHV−ECU10により充電ケーブル接続判定処理が実行されるように説明したが、CHG−ECU20によって充電ケーブル接続判定処理が実行されるように構成してもよいし、充電ケーブル300の接続状態を監視するECUを別途設けるように構成してもよい。
以上説明した通り、本発明によれば、ケーブル接続信号PISWが出力されない充電ケーブル300が使用された場合であっても、充電ケーブル300の接続状態を判定することができるようになるのである。
上述した実施形態では、いずれも動力分割機構によりエンジンの動力を分割して駆動輪と第1MGとに伝達可能なシリーズ/パラレル型のハイブリッド車について説明したが、本発明は、その他の形式のハイブリッド車にも適用可能である。
例えば、第1MGを駆動するためにのみエンジンを用い、第2MGのみで車両の駆動力を発生する、所謂シリーズ型のハイブリッド車や、エンジンで生成した運動エネルギーのうち回生エネルギーのみが電気エネルギーとして回収されるハイブリッド車や、エンジンを主動力として必要に応じてモータがアシストするモータアシスト型のハイブリッド車等にも、本発明は適用可能である。
さらに、エンジンを備えずに電力で走行するモータのみを備えた電気自動車や、燃料電池を搭載した車両であっても、さらに蓄電装置を備えている燃料電池車であっても、プラグイン車両であれば本発明を適用することができる。
上述の実施形態は何れも一具体例であり、各部の具体的な回路構成、制御構成は、本発明の作用効果を奏する範囲で適宜変更設計可能である。