JP5399184B2 - 光情報記録媒体およびスパッタリングターゲット - Google Patents

光情報記録媒体およびスパッタリングターゲット Download PDF

Info

Publication number
JP5399184B2
JP5399184B2 JP2009217352A JP2009217352A JP5399184B2 JP 5399184 B2 JP5399184 B2 JP 5399184B2 JP 2009217352 A JP2009217352 A JP 2009217352A JP 2009217352 A JP2009217352 A JP 2009217352A JP 5399184 B2 JP5399184 B2 JP 5399184B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
recording layer
optical information
recording medium
layer
information recording
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2009217352A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2011065731A (ja
Inventor
裕基 田内
陽子 志田
剛 三木
康宏 曽根
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kobe Steel Ltd
Sony Corp
Original Assignee
Kobe Steel Ltd
Sony Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Priority to JP2009217352A priority Critical patent/JP5399184B2/ja
Application filed by Kobe Steel Ltd, Sony Corp filed Critical Kobe Steel Ltd
Priority to US13/496,661 priority patent/US8597757B2/en
Priority to CN201610230364.8A priority patent/CN105931654B/zh
Priority to PCT/JP2010/066099 priority patent/WO2011034153A1/ja
Priority to CN2010800406833A priority patent/CN102640219A/zh
Priority to EP10817266.9A priority patent/EP2479751B1/en
Priority to KR1020127006899A priority patent/KR20120057629A/ko
Priority to TW099131634A priority patent/TWI457922B/zh
Publication of JP2011065731A publication Critical patent/JP2011065731A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5399184B2 publication Critical patent/JP5399184B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Description

本発明は、光情報記録媒体、および該光情報記録媒体の記録層形成に有用なスパッタリングターゲットに関するものである。
光情報記録媒体(光ディスク)は、CD、DVD、BDといった光ディスクに代表され、記録再生方式により、再生専用型、追記型および書換え型の3種類に大別される。このうち追記型の光ディスクの記録方式は、主に、記録層を相変化させる相変化方式、複数の記録層を反応させる層間反応方式、記録層を構成する化合物を分解させる方式、記録層に孔やピットなどの記録マークを局所的に形成させる孔開け方式に大別される。
前記相変化方式では、記録層の結晶化による光学特性の変化を利用した材料が、記録層の材料として提案されている。例えば特許文献1では、Te−O−M(Mは金属元素、半金属元素及び半導体元素から選ばれる少なくとも1種の元素)を含む記録層が提案され、特許文献2ではSbおよびTeを含む記録層が提案されている。
前記層間反応方式の光情報記録媒体の記録層としては、例えば特許文献3に、第一記録層をIn−O−(Ni、Mn、Mo)を含む合金からなるものとし、かつ第二記録層をSe及び/又はTe元素、O(酸素)、及びTi、Pd、Zrの中から選ばれた一つの元素を含む合金からなるものとした記録層が提案されている。また特許文献4では、第一記録層:In主成分とする金属、第二記録層:5B族または6B族に属する少なくとも1種類の元素を含む、酸化物以外の金属あるいは非金属を積層して、加熱による反応または合金化により記録を行うことが提案されている。
前記記録層を構成する化合物を分解する方式の記録層として、例えば特許文献5には、窒化物を主成分とした記録層が示されており、該窒化物を加熱により分解することで記録を行う材料や、有機色素材料が検討されている。
前記孔開け方式の記録層としては、低融点金属材料からなるものが検討されている。例えば特許文献6では、Sn合金に3B族、4B族、5B族の元素を添加した合金からなるものが提案されている。また特許文献7では、Niおよび/またはCoを1〜50原子%の範囲で含有するSn基合金からなる記録層が提案されている。更に特許文献8には、Coを20〜65原子%含有するIn合金、さらにこれにSn、Bi、Ge、Siから選ばれる1種類以上の元素を19原子%以下含有するIn合金からなる記録層が示されている。
特開2005−135568号公報 特開2003−331461号公報 特開2003−326848号公報 特許第3499724号公報 国際公開第2003/101750パンフレット 特開2002−225433号公報 特開2007−196683号公報 特許第4110194号公報
光情報記録媒体に求められる要求特性として、主に、再生に十分な反射率を有することや、実用的な記録レーザーパワーで記録が可能なこと(高記録感度を有すること)、記録信号が再生に十分な信号振幅を有すること(高変調度であること)、信号強度が高いこと(高C/N比であること)などが求められる。
しかし、従来技術として開示されている記録材料は、これらの要求特性を記録材料単体で満たすことが難しく、前記相変化方式では、記録層単独での反射率が低いため、光ディスク状態での反射率を高めるべく反射膜が必要であり、かつ変調度を増加させるため、記録層の上下にZnS−SiOなどの誘電体層を設ける必要もあるため、光ディスクを構成する層数が多くなる。また、前記層間反応方式でも複数の記録層が必要であることから、光ディスクを構成する層数が多くなる。このため膜層数が多くなり生産性が低下するという課題がある。これに対し前記孔開け方式は、記録層自体の反射率が高く、且つ、大きな変調度も確保できるため、光ディスクを構成する層の数を低減できるが、より高い記録感度を達成するにあたっては、更なる検討が必要である。また、上記記録層の耐久性(特には、高温高湿に対する耐久性)も要求される。
本発明はこの様な事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、記録層の耐久性(特には、高温高湿に対する耐久性)に優れた光情報記録媒体、および該記録層の形成に有用なスパッタリングターゲットを提供することにある。
本発明に係る光情報記録媒体とは、レーザー光の照射により記録が行われる記録層と、該記録層に隣接して形成される誘電体層とを備えた光情報記録媒体であって、前記記録層は、酸素1molに対する酸化物の標準生成自由エネルギーの絶対値がPdよりも大きい金属(以下、X金属という)の酸化物と、酸化Pdとを含み、該酸化Pdが一酸化Pdと二酸化Pdを含むものであり、かつ、記録層に含まれるX金属原子とPd原子の合計に対するPd原子の比率が4〜85原子%であるところに特徴を有する。
前記記録層に含まれるX金属は、Sn、Zn、Bi、Ge、Co、W、CuおよびAlよりなる群から選択される1種以上であることが好ましい。
前記記録層に含まれる一酸化Pdと二酸化Pdの合計に対する二酸化Pdの比率は、5〜70モル%であることが好ましい。
前記誘電体層は、酸化物(より好ましくはIn、Zn、Sn、Al、Si、Ge、Ti、Ga、Ta、Nb、Hf、Zr、Cr、BiおよびMgよりなる群から選択される1種以上の元素の酸化物)、窒化物(より好ましくはSi、GeおよびTiよりなる群から選択される1種以上の元素の窒化物)、硫化物(より好ましくはZn硫化物)、炭化物(より好ましくはSi、TiおよびWよりなる群から選択される1種以上の元素の炭化物)、またはその混合物からなるものが好ましい。
前記誘電体層の膜厚は2〜40nmであることが好ましい。
前記記録層の膜厚は5〜100nmであることが好ましい。
本発明の光情報記録媒体は、前記記録層におけるレーザー光の照射された部分に、気泡が生成し、体積変化することにより記録が行われる記録方式の光情報記録媒体に適している。
更に本発明には、上記光情報記録媒体の記録層形成用スパッタリングターゲットであって、X金属の酸化物とPdを含み、かつ、スパッタリングターゲットに含まれるX金属原子とPd原子の合計に対するPd原子の比率が4〜85原子%であるところに特徴を有するスパッタリングターゲットも含まれる。また本発明には、上記記録層形成用の別のスパッタリングターゲットであって、X金属原子とPd原子の合計に対するPd原子の比率で4〜85原子%のPdを含む、X金属を基とする合金からなるところに特徴を有するスパッタリングターゲットも含まれる。
前記スパッタリングターゲットにおいて、X金属は、Sn、Zn、Bi、Ge、Co、W、CuおよびAlよりなる群から選択される1種以上であることが好ましい。
本発明によれば、記録層の耐久性に優れた光情報記録媒体(特には、追記型光情報記録媒体)を提供することができる。また、本発明によれば、上記記録層の形成に有用なスパッタリングターゲットを提供することができる。
本発明者らは、従来の記録層よりも、記録層の耐久性に優れた光情報記録媒体を実現すべく鋭意研究を行った。その結果、光情報記録媒体における記録層を、従来の記録層とは異なり、酸素1molに対する酸化物の標準生成自由エネルギーの絶対値がPdよりも大きい金属(X金属)の酸化物と、酸化Pdとを含み、該酸化Pdが一酸化Pdと二酸化Pdを含む記録層とすれば、該記録層にレーザーが照射したときに、前記酸化Pdが、レーザー照射により加熱され、分解して酸素を放出し、レーザーが照射された部分に気泡が生成されて不可逆的な記録を行うことができ、かつ、この記録方式が従来よりも記録感度を格段に高めうる方式であること、また、誘電体層を上記記録層に隣接して形成すれば、この記録層の耐久性を格段に高めうることを見出した。
上記記録層による記録方式では、レーザー照射前の記録層の構造はアモルファスであり、レーザー照射後もアモルファスである点で、アモルファスがレーザー照射により結晶に変化することを利用した相変化方式と相違する。
本発明にかかる記録層が記録感度に優れている理由として、レーザー照射により気泡が発生した部分では、気泡の発生していない部分と比べて透過率が増加(即ち、反射率が低下)することで、変調度を大きくすることができたことが考えられる。
また、上記の通り酸化Pdを含有させることにより、酸化Pdを含まない場合に比べて屈折率を大きくすることができ、高い反射率を得ることができる。更には、膜の光吸収率を大きくすることができるため、信号記録のためのレーザーのエネルギーを効率的に熱に変えることができ、結果として、実用的な記録レーザーパワーで上記酸化Pdの分解が促進されて、記録感度を十分に向上させることができる。
これらの効果を十分発現させるには、記録層に含まれる、酸素1molに対する酸化物の標準生成自由エネルギーの絶対値がPdよりも大きい金属原子とPd原子との合計に対する、Pd原子の比率(以下「Pd量」ということがある)を4原子%以上とする必要がある。Pd量が4原子%を下回ると、レーザー照射時に分解する酸化Pdが少ないため、放出される酸素量が十分でなく生成する気泡が少なくなり、結果として信号強度が小さくなる。また記録層の光吸収率も小さくなるため、記録に必要なレーザーパワーが大きくなり好ましくない。前記Pd量は、好ましくは8原子%以上、より好ましくは10原子%以上である。一方、前記Pd量が85原子%を超えると、変調度が小さくなるため、本発明ではPd量の上限を85原子%とした。前記Pd量の上限は、好ましくは50原子%、より好ましくは45原子%である。
ところで、記録層が2層以上存在する多層光ディスクでは、レーザー入射面から最も遠い記録層以外は透過率が要求されるが、この透過率は、Pd量の低減により高めることができる。よって、ある程度の透過率が必要とされる記録層は、Pd量を4〜30原子%の範囲内とすることが好ましい。一方、一層ディスクや多層ディスクの一番下の層(レーザー入射面から最も遠い記録層)は、ある程度の反射率が必要とされることから、Pd量は30〜85原子%とすることが好ましい。
上記酸化Pdが、特に一酸化Pdと二酸化Pdを含むものとすれば、記録感度をより十分に向上させることができる。その理由として、一酸化Pdよりも不安定な二酸化Pdが、レーザー照射により容易に分解して酸素を放出すること、および、二酸化Pdに比べて安定な一酸化Pd中に二酸化Pdを存在させることで、この二酸化Pdの自然分解が抑制されて、安定な記録層が得られることが考えられる。
上記二酸化Pdの分解による酸素放出量を高めて、記録感度の向上を図るには、前記一酸化Pdと二酸化Pdの合計に対する二酸化Pdの比率を、5モル%以上とすることが好ましい。一方、一酸化Pdに対して二酸化Pdが多過ぎると、二酸化Pdは安定的に存在することができず、記録層の作製が困難となるため、前記一酸化Pdと二酸化Pdの合計に対する二酸化Pdの比率は70モル%以下とすることが好ましい。より好ましくは60モル%以下である。
本発明の光情報記録媒体における記録層は、上記酸化Pdと共に、酸素1molに対する酸化物の標準生成自由エネルギーの絶対値がPdよりも大きい金属(X金属)の酸化物を含むものである。この様に、酸化Pdよりも安定な金属酸化物を酸化Pdと共に含有させることによって、該酸化Pdが分解したときの酸素放出による形態変化を明瞭かつ大きくすることができ、記録感度の向上を得ることができる。
前記酸素1molに対する酸化物の標準生成自由エネルギーの絶対値が、Pdよりも大きい金属(X金属)としては、Sn、Zn、Bi、Ge、Co、W、Cu、Alが挙げられる(室温における酸素1molに対する酸化物の標準生成自由エネルギーは、Pdが約−150kJ/molであるのに対し、Sn、Zn、Bi、Ge、Co、W、Cu、Alが、それぞれ−520、−640、−330、−420、−420、−500、−270、−1050kJ/molである)。ここで、酸素1molに対する酸化物の標準生成自由エネルギーとは、
例えばAlの場合、
4/3Al+O=2/3Al
の反応における値であり、Znの場合、
2Zn+O=2ZnO
で表される反応における値である。
本発明にかかる記録層は、上記の通りX金属の酸化物を含むものであり、好ましくはX金属の酸化物を50モル%以上含むものである。尚、本発明にかかる記録層には、前記X金属の酸化物と、前記酸化Pdとを含む他、作製時に不可避的に混入する不可避不純物が含まれ得る。更に、吸収率の向上や屈折率の制御を目的として、Nb、Ti、Si、Taを、酸化物または金属の状態で合計約30原子%以下の範囲内で含んでいてもよい。
記録層の膜厚は、記録層の上下に金属化合物層や金属層等の他の層を挿入するなど、光情報記録媒体の構造にもよるが、例えば5〜100nmとすることが好ましい。記録層の膜厚が5nmより小さいと、記録による十分な反射率変化が得られにくいからである。より好ましくは10nm以上、更に好ましくは20nm以上、特に好ましくは25nm以上である。一方、記録層の膜厚が100nmより大きいと、膜の形成に時間がかかり、生産性が低下すると共に、記録に必要なレーザーパワーが大きくなる。より好ましくは70nm以下、更に好ましくは60nm以下である。
本発明にかかる記録層は、上記の通り、酸化Pd(例えば、PdO、PdO、PdO等)を含むものであるが、この様な形態の記録層を得るには、スパッタリング法で記録層を形成することが好ましい。スパッタリング法によれば、ディスク面内での膜厚分布均一性も確保できるため好ましい。
上記酸化Pdを含む記録層をスパッタリング法で形成するには、スパッタリング条件として、特に、Ar(アルゴン)流量に対する酸素流量の比を0.5〜10.0とすることが好ましい。スパッタリング法におけるその他の条件は特に限定されず、汎用される方法を採用することができ、ガス圧を例えば0.1〜1.0Paの範囲、スパッタ電力を例えば0.5〜20W/cmの範囲に制御すれば良い。
前記スパッタリング法で用いるスパッタリングターゲット(以下、単に「ターゲット」ということがある)としては、
(A)X金属(好ましくは、Sn、Zn、Bi、Ge、Co、W、CuおよびAlよりなる群から選択される1種以上)の酸化物(具体的には、例えばX金属の酸化物を50モル%以上含む)と、Pd(例えば酸化Pdおよび/または金属Pd)とを含み、かつ、スパッタリングターゲットに含まれるX金属原子とPd原子の合計に対するPd原子の比率が4〜85原子%である点に特徴を有するスパッタリングターゲットや、
(B)X金属(好ましくは、Sn、Zn、Bi、Ge、Co、W、CuおよびAlよりなる群から選択される1種以上)原子とPd原子の合計に対するPd原子の比率で4〜85原子%のPd(例えば金属Pd)を含む合金からなる点に特徴を有するスパッタリングターゲットを用いることが挙げられる。また、
(C)X金属ターゲット(純X金属ターゲット)と金属Pdターゲット(純Pd金属ターゲット)を用い、これらを同時放電させて多元スパッタリングを行うことが挙げられる。
なお、上記(A)のスパッタリングターゲットとして、特に、X金属の酸化物と金属Pdの粉末を混合し、焼結させたものを用いることが、生産性や形成された薄膜の組成の面内均一性や厚み制御の点で好ましい。上記スパッタリングターゲットの製造に当たり、微量ながら不純物としてスパッタリングターゲット中に混入することがある。しかし、本発明のスパッタリングターゲットの成分組成は、それら不可避に混入してくる微量成分まで規定するものではなく、本発明の上記特性が阻害されない限り、それら不可避不純物の微量混入は許容される。
本発明の光情報記録媒体は、上記記録層を備えていると共に、該記録層に隣接して形成される下記の誘電体層を備えた点に特徴を有している。
本発明の光情報記録媒体は、上記優れた特性を示す記録層を有しているが、高温高湿環境下においても上記優れた特性を維持、即ち、優れた耐久性を確保することも必要である。そこで本発明では、記録層に隣接して誘電体層を形成する。上記環境下においては、レーザー照射していない(即ち、記録を行っていない)部分の酸化Pdが徐々に還元して酸素を放出し、その結果、光学特性が変化し反射率の低下となって現れることが、耐久性の低下の原因として考えられる。しかし誘電体層を記録層に隣接して形成することで、記録層における酸化Pd(特には二酸化Pd)の不要な分解を抑制して安定的に保持することができるものと思われる。
上記「記録層に隣接して誘電体層を形成」の態様には、例えば、基板と記録層との間であって記録層に隣接して形成する場合、および/または、記録層と後述する光透過層との間であって記録層に隣接して形成する場合が挙げられる。
上記誘電体層は、酸素バリア層として働くことによっても耐久性を向上させる。記録層中の酸素の逃散を防止することで、反射率の変化(特には反射率の低下)を防止でき、記録層として必要な反射率を確保することができる。
更に誘電体層を形成することで記録特性を向上させることもできる。これは、誘電体層により入射したレーザーの熱拡散が最適に制御されて、記録部分における泡が大きくなりすぎたり、酸化Pdの分解が進みすぎて泡が潰れるといったことが防止され、泡の形状を最適化できるためと考えられる。
前記誘電体層の素材としては、酸化物、窒化物、硫化物、炭化物、フッ化物またはその混合物が挙げられ、前記酸化物としては、In、Zn、Sn、Al、Si、Ge、Ti、Ga、Ta、Nb、Hf、Zr、Cr、BiおよびMgよりなる群から選択される1種以上の元素の酸化物が挙げられる。前記窒化物としては、In、Sn、Ge、Cr、Si、Al、Nb、Mo、Ti、W、TaおよびZnよりなる群から選択される1種以上の元素の窒化物(好ましくはSi、GeおよびTiよりなる群から選ばれる1種以上の元素の窒化物)が挙げられ、前記硫化物としてはZn硫化物が挙げられる。前記炭化物としては、In、Sn、Ge、Cr、Si、Al、Ti、Zr、TaおよびWよりなる群から選択される1種以上の元素の炭化物(好ましくはSi、TiおよびWよりなる群から選択される1種以上の元素の炭化物)、前記フッ化物としては、Si、Al、Mg、CaおよびLaよりなる群から選択される1種以上の元素のフッ化物が挙げられる。これらの混合物としては、ZnS−SiO等が挙げられる。このうちより好ましいのは、In、Zn、Sn、Al、Si、Ti、Mgのいずれか1種以上を含む上記化合物(酸化物等)またはその混合物であり、更に好ましくはIn、Zn、Sn、Alのいずれか1種以上を含む上記化合物またはその混合物である。
誘電体層の膜厚は、2〜40nmとすることが好ましい。2nm未満では上記誘電体層の効果(特には、酸素バリアとしての効果)が十分発揮され難いためである。より好ましくは3nm以上である。一方、誘電体層の膜厚が厚すぎると、レーザー照射による記録層の変化(気泡の生成)が生じ難くなり、記録特性の低下をもたらすため好ましくない。よって誘電体層の膜厚は、40nm以下とすることが好ましく、より好ましくは35nm以下である。
本発明は、前記誘電体層の形成方法についてまで規定するものではないが、前記記録層と同じくスパッタリング法で形成することが好ましい。
前記誘電体層をスパッタリング法で形成するにあたっては、スパッタリング条件として、Ar流量を、例えば10〜100sccmの範囲とし、下記の通り金属ターゲットを用いる場合には、酸化物層形成時の酸素流量を、例えば5〜60sccmの範囲、窒化物層形成時の窒素流量を、例えば5〜80sccmの範囲とすることが挙げられる。また、ガス圧を例えば0.1〜1.0Paの範囲、スパッタ電力を例えば0.5〜50W/cmの範囲とすることが挙げられる。
前記誘電体層の形成に用いるスパッタリングターゲットとしては、上記化合物(酸化物、窒化物、硫化物、炭化物、フッ化物)からなるターゲットの他、該化合物における酸素、窒素、硫黄、炭素、フッ素以外の構成元素を含む金属ターゲット(純金属や合金からなるターゲット)を用いることができる。
本発明の光情報記録媒体は、上記記録層および誘電体層以外の構成は特に限定されず、光情報記録媒体の分野に公知の構成を採用することができる。
光情報記録媒体(光ディスク)として、その構造が、レーザーのガイド用の溝が刻まれた基板上に記録層や誘電体層が積層され、更にその上に光透過層を積層したものが挙げられる。
例えば、前記基板の素材としては、ポリカーボネート樹脂、ノルボルネン系樹脂、環状オレフィン系共重合体、非晶質ポリオレフィンなどが挙げられる。また、前記光透過層としては、ポリカーボネートや紫外線硬化樹脂を用いることができる。光透過層の材質としては記録再生を行うレーザーに対して高い透過率を持ち、光吸収率が小さいことが好ましい。前記基板の厚さは、例えば0.5〜1.2mmとすることが挙げられる。また前記光透過層の厚さは、例えば0.1〜1.2mmとすることが挙げられる。
本発明の記録層は、記録層単独で優れた記録特性を示すものであるが、必要に応じて光ディスクとしての反射率をより高めるべく、基板と記録層との間に光学調整層を設けてもよい。前記光学調整層の素材としては、Ag、Au、Cu、Al、Ni、Cr、Ti等やそれらの合金などが例示される。
なお、上記では、記録層および光透過層がそれぞれ1層ずつ形成された1層光ディスクを示しているが、これに限定されず、記録層および光透過層が複数積層された2層以上の光ディスクであってもよい。
前記2層以上の光ディスクの場合、記録層と必要に応じて積層される光学調整層や誘電体層からなる記録層群と、別の記録層群との間に、例えば紫外線硬化樹脂等からなる透明中間層を有していてもよい。
本発明の特徴は、前述した記録層を採用すると共に、この記録層に隣接して誘電体層を形成する点にあり、記録層や誘電体層以外の基板や光透過層、更には、光学調整層や透明中間層などの形成方法については特に限定されず、通常行われている方法で形成して、光情報記録媒体を製造すればよい。
光情報記録媒体としてCD、DVD、またはBDが挙げられ、例えば波長が約380nmから450nm、好ましくは約405nmの青色レーザー光を記録層に照射し、データの記録および再生を行うことが可能なBD−Rが具体例として挙げられる。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、下記実施例は本発明を制限するものではなく、前・後記の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加えて実施することも可能であり、それらは本発明の技術的範囲に包含される。
(1)光ディスクの作製
ディスク基板として、ポリカーボネート基板(厚さ:1.1mm、直径:120mm、トラックピッチ:0.32μm、溝深さ:25nm)を用いた。そして、No.4〜10については、DCマグネトロンスパッタリング法により、酸化物ターゲットまたは純金属ターゲットを用い、表1に示す成分・膜厚の誘電体層(下)を形成した。この誘電体層(下)形成のためのスパッタリング条件は、Ar流量:10〜30sccm、酸素流量(ターゲットとして純金属ターゲットを用いる場合):0〜10sccm、ガス圧:0.2〜0.4Pa、DCスパッタリングパワー:100〜400W、基板温度:室温とした。
次いで記録層を形成した。詳細には、前記基板上[No.4〜10については誘電体層(下)上]に、DCマグネトロンスパッタリング法により、記録層をそれぞれ形成した。記録層の膜厚は40nmとした。スパッタリングは、純X元素金属(Zn、W、Sn、Cu)ターゲット、純Pd金属ターゲットの2つのターゲットの同時放電による多元スパッタリングを行った。上記記録層形成のためのスパッタリング条件は、Ar流量:10sccm、酸素流量:15sccm、ガス圧:0.4Pa、DCスパッタリングパワー:100〜200W、基板温度:室温とした。
次に、表1のNo.3、5〜13について、酸化物ターゲットまたは純金属ターゲットを用い、上記誘電体層(下)と同様にして、表1に示す成分・膜厚の誘電体層(上)を形成した。
次いで、No.1、2、4については記録層の上に、またNo.3、5〜13については誘電体層(上)の上に、紫外線硬化性樹脂(日本化薬社製「BRD−864」)をスピンコートした後、紫外線を照射して膜厚約0.1mmの光透過層を成膜し、光ディスクを得た。
尚、記録層が酸化Inと酸化Pdを含むものであって、該酸化Pdが一酸化Pdと二酸化Pdを含むものであることを別途確認した。
(2)光ディスクの評価
作製した光ディスクの耐久性について下記の通り評価した。
光ディスク評価装置(パルステック工業社製「ODU−1000」、記録レーザー波長:405nm、NA(開口数):0.85)にて、レーザーをトラック上に照射し、光ディスクにおける未記録部分のレーザー光の戻り光強度から換算して、波長:405nmでの反射率(初期反射率)を求めた。
また、温度80℃、相対湿度85%の大気雰囲気中で96時間保持する加速環境試験(恒温恒湿試験)を行って、試験後の反射率を上記と同様にして測定した。これらの結果を表1に併記する。
Figure 0005399184
表1より、誘電体層を記録層に隣接して形成することにより、誘電体層を形成しない場合よりも反射率の変化を十分小さくすることができ、耐久性に優れた光情報記録媒体を実現できることがわかる。

Claims (10)

  1. レーザー光の照射により記録が行われる記録層と、該記録層に隣接して形成される誘電体層とを備えた光情報記録媒体であって、
    前記記録層は、酸素1molに対する酸化物の標準生成自由エネルギーの絶対値がPdよりも大きい金属(以下、X金属という)である、Sn、Zn、Bi、Ge、Co、W、CuおよびAlよりなる群から選択される1種以上の元素の酸化物と、酸化Pdと、不可避不純物からなり、該酸化Pdが一酸化Pdと二酸化Pdを含むものであり、かつ、記録層に含まれるX金属原子とPd原子の合計に対するPd原子の比率が4〜85原子%であることを特徴とする光情報記録媒体。
  2. レーザー光の照射により記録が行われる記録層と、該記録層に隣接して形成される誘電体層とを備えた光情報記録媒体であって、
    前記記録層は、酸素1molに対する酸化物の標準生成自由エネルギーの絶対値がPdよりも大きい金属(以下、X金属という)である、Sn、Zn、Bi、Ge、Co、W、CuおよびAlよりなる群から選択される1種以上の元素の酸化物と、酸化Pdと、Nb、Ti、Si、およびTaよりなる群から選択される1種以上の元素を酸化物または金属の状態で合計30原子%以下と、不可避不純物からなり、該酸化Pdが一酸化Pdと二酸化Pdを含むものであり、かつ、記録層に含まれるX金属原子とPd原子の合計に対するPd原子の比率が4〜85原子%であることを特徴とする光情報記録媒体。
  3. 前記記録層に含まれる一酸化Pdと二酸化Pdの合計に対する二酸化Pdの比率が、5〜70モル%である請求項1または2に記載の光情報記録媒体。
  4. 前記誘電体層が、酸化物、窒化物、硫化物、炭化物、またはその混合物からなる請求項1〜3のいずれかに記載の光情報記録媒体。
  5. 前記誘電体層を構成する、前記酸化物はIn、Zn、Sn、Al、Si、Ge、Ti、Ga、Ta、Nb、Hf、Zr、Cr、BiおよびMgよりなる群から選択される1種以上の元素の酸化物であり、前記窒化物はSi、GeおよびTiよりなる群から選択される1種以上の元素の窒化物であり、前記硫化物はZn硫化物であり、前記炭化物はSi、TiおよびWよりなる群から選択される1種以上の元素の炭化物である請求項4に記載の光情報記録媒体。
  6. 前記誘電体層の膜厚が2〜40nmである請求項1〜5のいずれかに記載の光情報記録媒体。
  7. 前記記録層の膜厚が5〜100nmである請求項1〜6のいずれかに記載の光情報記録媒体。
  8. 前記記録層におけるレーザー光の照射された部分に、気泡が生成し、体積変化することにより記録が行われる請求項1〜7のいずれかに記載の光情報記録媒体。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載の光情報記録媒体の記録層形成用スパッタリングターゲットであって、
    X金属であるSn、Zn、Bi、Ge、Co、W、CuおよびAlよりなる群から選択される1種以上の元素の酸化物とPdを含み、かつ、スパッタリングターゲットに含まれるX金属原子とPd原子の合計に対するPd原子の比率が4〜85原子%であることを特徴とするスパッタリングターゲット。
  10. 請求項1〜8のいずれかに記載の光情報記録媒体の記録層形成用スパッタリングターゲットであって、
    Sn、Zn、Bi、Ge、Co、W、CuおよびAlよりなる群から選択される1種以上のX金属原子とPd原子の合計に対するPd原子の比率で4〜85原子%のPdを含む合金からなることを特徴とするスパッタリングターゲット。
JP2009217352A 2009-09-18 2009-09-18 光情報記録媒体およびスパッタリングターゲット Expired - Fee Related JP5399184B2 (ja)

Priority Applications (8)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009217352A JP5399184B2 (ja) 2009-09-18 2009-09-18 光情報記録媒体およびスパッタリングターゲット
CN201610230364.8A CN105931654B (zh) 2009-09-18 2010-09-16 光信息记录介质用记录层、光信息记录介质及溅射靶
PCT/JP2010/066099 WO2011034153A1 (ja) 2009-09-18 2010-09-16 光情報記録媒体用記録層、光情報記録媒体およびスパッタリングターゲット
CN2010800406833A CN102640219A (zh) 2009-09-18 2010-09-16 光信息记录介质用记录层、光信息记录介质及溅射靶
US13/496,661 US8597757B2 (en) 2009-09-18 2010-09-16 Recording layer for optical information recording medium, optical information recording medium, and sputtering target
EP10817266.9A EP2479751B1 (en) 2009-09-18 2010-09-16 Recording layer for optical information recording medium, optical information recording medium, and sputtering target
KR1020127006899A KR20120057629A (ko) 2009-09-18 2010-09-16 광 정보 기록 매체용 기록층, 광 정보 기록 매체 및 스퍼터링 타깃
TW099131634A TWI457922B (zh) 2009-09-18 2010-09-17 A recording layer for optical information recording media, an optical information recording medium, and a sputtering target

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009217352A JP5399184B2 (ja) 2009-09-18 2009-09-18 光情報記録媒体およびスパッタリングターゲット

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2011065731A JP2011065731A (ja) 2011-03-31
JP5399184B2 true JP5399184B2 (ja) 2014-01-29

Family

ID=43951808

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2009217352A Expired - Fee Related JP5399184B2 (ja) 2009-09-18 2009-09-18 光情報記録媒体およびスパッタリングターゲット

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5399184B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5935234B2 (ja) * 2011-02-03 2016-06-15 ソニー株式会社 光情報記録媒体

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4969625B2 (ja) * 2008-11-12 2012-07-04 株式会社神戸製鋼所 光情報記録媒体
JP2010218636A (ja) * 2009-03-17 2010-09-30 Sony Corp 光記録媒体の製造方法、光記録媒体
JP2011084804A (ja) * 2009-09-18 2011-04-28 Kobelco Kaken:Kk 金属酸化物−金属複合スパッタリングターゲット

Also Published As

Publication number Publication date
JP2011065731A (ja) 2011-03-31

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4969624B2 (ja) 光情報記録媒体
WO2011034153A1 (ja) 光情報記録媒体用記録層、光情報記録媒体およびスパッタリングターゲット
JP5346915B2 (ja) 光情報記録媒体用記録層、及び光情報記録媒体
JP5399836B2 (ja) 光情報記録媒体用記録層、光情報記録媒体およびスパッタリングターゲット
JP2007230207A (ja) 光情報記録媒体用記録層および光情報記録媒体、並びにスパッタリング・ターゲット
WO2010055865A1 (ja) 光情報記録媒体用記録層、光情報記録媒体およびスパッタリングターゲット
JP5276557B2 (ja) 光情報記録媒体用記録層および光情報記録媒体
JP5399184B2 (ja) 光情報記録媒体およびスパッタリングターゲット
JP2007293983A (ja) 光情報記録媒体
JP4110194B1 (ja) 光情報記録媒体
JP4678062B2 (ja) 光メディア、およびその製造方法
JP2005339761A (ja) 光記録媒体
JP6781679B2 (ja) 記録層、光情報記録媒体及びスパッタリングターゲット
JP7130447B2 (ja) 光情報記録媒体用記録層、光情報記録媒体、及びスパッタリングターゲット
WO2021117470A1 (ja) 光情報記録媒体用記録層、光情報記録媒体、及びスパッタリングターゲット
JP2012020530A (ja) 光情報記録媒体用記録層、光情報記録媒体、およびスパッタリングターゲット
JP2009301623A (ja) 追記型光記録媒体
JP2011044225A (ja) 光メディアの反射層用スパッタリングターゲット、及び、その製造方法
JP2009196312A (ja) 光情報記録媒体用記録層、および光情報記録媒体、ならびに光情報記録媒体の記録層形成用スパッタリングターゲット
JP2009199700A (ja) 光情報記録媒体の製造方法
JP2009143184A (ja) 光情報記録媒体用記録層および光情報記録媒体

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20110930

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20130528

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20130729

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20131015

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20131023

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5399184

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees