JP5395714B2 - 平版印刷版の製版方法、及び、平版印刷版 - Google Patents

平版印刷版の製版方法、及び、平版印刷版 Download PDF

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Description

本発明は、平版印刷版の製版方法、及び、平版印刷版に関する。
平版印刷版の製版工程においては、露光の後、不要な画像記録層を現像液などによって溶解除去する工程が必要であるが、環境及び安全上、より中性域に近い現像液での処理が望まれている。特に、近年、地球環境への配慮から湿式処理に伴って排出される廃液の処分が産業界全体の大きな関心事となっている。
一方、近年、画像情報をコンピュータで電子的に処理し、蓄積し、出力する、デジタル化技術が広く普及してきており、このようなデジタル化技術に対応した新しい画像出力方式が種々実用されている。これに伴い、レーザー光のような高収斂性の輻射線で平版印刷版原版を走査露光し、リスフィルムを介することなく、直接平版印刷版を製造するコンピュータ・トゥ・プレート(CTP)技術が注目されてきている。特許文献1及び2には、CTP用の平版印刷版原版が記載されている。
特開平11−218914号公報 特開2003−84430号公報
本発明の目的は、大量処理した際の現像カスの発生が抑制され、且つ、経時した平版印刷版原版を用いても安定に現像できる平版印刷版の製版方法、及び、前記製版方法により製版された平版印刷版を提供することである。
本発明の上記課題は以下の<1>〜<10>に記載の手段によって解決された。
<1>支持体上に、(成分A)(メタ)アクリロニトリルに由来する構成単位と、スチレンに由来する構成単位とを含むコポリマー、(成分B)水不溶性かつアルカリ可溶性の樹脂、及び、(成分C)赤外線吸収剤、を含有し、露光又は加熱によりアルカリ水溶液に対する溶解性が向上するポジ型記録層を設けた赤外線レーザー用ポジ型平版印刷版原版を画像露光する露光工程、並びに、ベタイン系界面活性剤を含有し、pHが8.5〜10.8のアルカリ水溶液を用いて現像する現像工程、をこの順で含むことを特徴とする平版印刷版の製版方法、
<2>前記アルカリ水溶液が、式<1>で表される化合物、及び/又は、式<2>で表される化合物を含む、<1>に記載の平版印刷版の製版方法、
Figure 0005395714
(式<1>中、R8はアルキル基を表し、R9及びR10はそれぞれ独立に、水素原子又はアルキル基を表し、R11はアルキレン基を表し、Aはカルボン酸イオン又はスルホン酸イオンを表す。式<2>中、R18、R19及びR20はそれぞれ独立に、水素原子又はアルキル基を表す。ただし、R18、R19及びR20の全てが、水素原子であることはない。)
<3>前記アルカリ水溶液が、炭酸イオンと炭酸水素イオンとの組み合わせを含む、<1>又は<2>に記載の平版印刷版の製版方法、
<4>前記現像工程が、現像、及び、ガム引きを一浴で行う工程である、<1>〜<3>のいずれか1つに記載の平版印刷版の製版方法、
<5>前記現像工程の前及び後のいずれにも水洗工程を施さない、<1>〜<4>のいずれか1つに記載の平版印刷版の製版方法、
<6>前記ポジ型記録層が、前記成分Aを含有する上層と、前記成分B及び前記成分Cを含有する下層とからなる層である、<1>〜<5>のいずれか1つに記載の平版印刷版の製版方法、
<7>前記上層がさらにアルカリ可溶性樹脂を含む、<1>〜<6>のいずれか1つに記載の平版印刷版の製版方法、
<8>前記成分Bが、N−置換マレイミドに由来する構成単位、(メタ)アクリルアミドに由来する構成単位、及び、(メタ)アクリル酸に由来する構成単位を含むコポリマーである、<1>〜<7>のいずれか1つに記載の平版印刷版の製版方法、
<9>前記成分Cが、シアニン色素である、<1>〜<8>のいずれか1つに記載の平版印刷版の製版方法、
<10><1>〜<9>いずれか1つに記載の平版印刷版の製版方法により製版されたことを特徴とする平版印刷版。
本発明により、大量処理した際の現像カスの発生が抑制され、且つ、経時した平版印刷版原版を用いても安定に現像できる平版印刷版の製版方法、及び、前記製版方法により製版された平版印刷版を提供することができた。
本発明の方法は、支持体上に、(成分A)アクリロニトリルに由来する構成単位と、スチレンに由来する構成単位とを含むコポリマー、(成分B)水不溶性かつアルカリ可溶性の樹脂、及び、(成分C)赤外線吸収剤、を含有し、露光又は加熱によりアルカリ水溶液に対する溶解性が向上するポジ型記録層を設けた赤外線レーザー用ポジ型平版印刷版原版を画像露光する露光工程、並びに、ベタイン系界面活性剤を含有し、pHが8.5〜10.8のアルカリ水溶液を用いて現像する現像工程、をこの順で含むことを特徴とする。なお、数値範囲を表す「A〜B」等は、「A以上B以下」と同義であり、以下同様とする。尚、本明細書において、「(メタ)アクリレート」等の記載は、「アクリレート及びメタアクリレート」等を意味し、以下同様とする。
以下、本発明の平版印刷版原版の各構成について説明した後、本発明の平版印刷版の製版方法について説明する。
I.赤外線レーザー用ポジ型平版印刷版原版
(ポジ型記録層)
本発明における赤外線レーザー用ポジ型平版印刷版原版(以下、「平版印刷版原版」ともいう。)は、支持体上に、(成分A)アクリロニトリルに由来する構成単位と、スチレンに由来する構成単位とを含むコポリマー、(成分B)水不溶性かつアルカリ可溶性の樹脂、及び、(成分C)赤外線吸収剤、を含有し、露光又は加熱によりアルカリ性の現像液に対する溶解性が向上するポジ型記録層(以下、単に「記録層」ともいう。)を設けた平版印刷版原版である。
前記記録層は、少なくとも前記成分Aを含有する上層と、少なくとも前記成分B及び前記成分Cを含有する下層とからなる層であることが好ましい。以下、上層、及び、下層に含まれる各成分について説明する。
(上層)
非露光部(すなわち画像部)において、上層は、下層を現像液から保護する。上層は画像形成前(すなわち画像露光される前)にはアルカリ性の現像液には不溶性である。しかしながら、上層の露光された領域は、熱露光(すなわち熱画像化)の後に現像液によって除去可能となる。いかなる理論又は説明にも拘束されないが、画像露光により、上層は現像液中により容易に溶解もしくは分散し、及び/又は、上層と下層との間の接着を弱めると信じられている。これにより、前記現像液が上層、及び、下層に浸透し、下層が溶解され、支持体の表面が現れる。以下、上層に含まれる成分について説明する。
(成分A)(メタ)アクリロニトリルに由来する構成単位と、スチレンに由来する構成単位とを含むコポリマー
本発明において、平版印刷版原版は、成分Aを含有するポジ型記録層を有する。ポジ型記録層が上層と下層とを有する場合には、成分Aは、上層に含まれることが好ましい。
成分Aは、水性のアルカリ性の現像液中に不溶性であってもよい。露光領域において上層に現像液が浸透し、これらの領域で下層を溶解又は分散させると、上層及び下層は除去されて現像液中に分散されると考えられる。
成分Aの構成単位となる、(メタ)アクリロニトリルとしては、現像カスの観点から、アクリロニトリルが好ましい。
スチレンに由来する構成単位となるスチレンとしては、スチレンモノマーのみでなく、少なくとも1つの置換基を有するスチレン誘導体を用いてもよい。ここでいう置換基として、ハロゲン原子(F原子、Cl原子、Br原子、I原子)、炭素数1〜10のアルキル基が挙げられる。
スチレン及びスチレン誘導体の具体例としては、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、p−クロロスチレン、p−エチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、3,4−ジクロロスチレン等のスチレンが挙げられ、中でもスチレンが好ましい。
成分Aには、他の成分としてスチレンやアクリロニトリル以外のモノマーを第3成分として共重合させてもよい。第3成分としてはアルカリ可溶性基含有エチレン性不飽和モノマーが好ましい。このようなエチレン性不飽和モノマーは、アクリル酸、メタクリル酸の他に、下式で表される化合物及びその混合物が含まれる。なお、各式中、Rは、水素原子又はメチル基を表す。また、各式中、フェニル基に結合する−OH、−SO2NH2、−COOHはフェニル基の任意の位置に結合する。
Figure 0005395714
本発明においては、第3成分としては、(メタ)アクリル酸が好ましく、メタクリル酸がより好ましい。
成分A中における、(メタ)アクリロニトリルに由来する構成単位が占める割合は、現像カスの観点から、10〜40モル%が好ましく、15〜35モル%がより好ましく、20〜30モル%がさらに好ましい。
成分A中における、スチレンに由来する構成単位が占める割合は、着肉性の観点から、55〜85モル%が好ましく、60〜80モル%がより好ましく、65〜75モル%がさらに好ましい。
成分A中における、前記第3成分に由来する構成単位が占める割合は、15モル%以下が好ましく、10モル%以下がより好ましく、6モル%以下がさらに好ましい。
成分Aの重量平均分子量は、1,000〜1,000,000が好ましく、3,000〜300,000がより好ましく、10,000〜50,000がさらに好ましい。
記録層中における成分Aの含有量は、記録層の揮発性成分を除いた固形分総重量に対して、5〜70重量%が好ましく、20〜55重量%がより好ましく、35〜45重量%がさらに好ましい。
上層中における成分Aの含有量は、上層の揮発性成分を除いた固形分総重量に対して、10〜80重量%が好ましく、40〜75重量%がより好ましく、60〜70重量%がさらに好ましい。
上層には、成分A以外の樹脂を配合してもよく、例えば、(メタ)アクリルポリマー及びコポリマー;ポリスチレン;スチレン/アクリルコポリマー;ポリエステル;ポリアミド;ポリウレア;ポリウレタン;ニトロセルロース;エポキシ樹脂;及びこれらの混合物を配合してもよい。
(アルカリ可溶性樹脂)
記録層は、成分B以外のアルカリ可溶性樹脂を含有することが好ましい。特に記録層が上層と下層とからなる重層の場合、上層がアルカリ可溶性樹脂を含有することがより好ましい。このようなアルカリ可溶性樹脂としては、アルカリ可溶性のポリウレタン樹脂、アルカリ可溶性フェノール樹脂、尿素結合を側鎖に有するアルカリ可溶性樹脂が挙げられる。
本発明に用いられるアルカリ可溶性のポリウレタン樹脂としては、ポリマー主鎖にカルボキシ基を有するものが好ましく、具体的には、式(I)で表されるジイソシアネート化合物と式(II)又は式(III)で表されるカルボキシ基を有するジオール化合物との反応生成物を基本骨格とするポリウレタン樹脂が挙げられる。
Figure 0005395714
式(I)中、R1は二価の炭化水素基を表す。R1としては、好ましくは、炭素数2〜10のアルキレン基、炭素数6〜30のアリーレン基が挙げられる。R1はイソシアネート基と反応しない他の官能基を置換していてもよい。
式(II)中、R2は水素原子又は炭化水素基を表す。R2としては、好ましくは、水素原子、炭素数1〜8個の無置換のアルキル基、炭素数6〜15個の無置換のアリール基が挙げられる。
式(II)、式(III)中、R3、R4、R5は、それぞれ独立に、単結合又は二価の連結基を表す。二価の連結基としては例えば、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素が挙げられ、好ましくは、炭素数1〜20個の無置換のアルキレン基、炭素数6〜15個の無置換のアリーレン基が挙げられ、さらに好ましいものとしては炭素数1〜8個の無置換のアルキレン基が挙げられる。
式(III)中、Arは三価の芳香族炭化水素を表し、好ましくは炭素数6〜15個の三価の芳香族炭化水素を示す。
なお、R1〜R5、及びArは前記イソシアネート基と反応しない置換基を有していてもよい。
式(I)で示されるジイソシアネート化合物の具体例としては、2,4−トリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネートの二量体、2,6−トリレンジイソシアネート、p−キシリレンジイソシアネート、メタキシリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、3,3’−ジメチルビフェニル−4,4’−ジイソシアネート等の如き芳香族ジイソシアネート化合物;ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート等の如き脂肪族ジイソシアネート化合物;イソホロンジイソシアネート、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、メチルシクロヘキサン−2,4(又は2,6)ジイソシアネート、1,3−(イソシアネートメチル)シクロヘキサン等の如き脂環族ジイソシアネート化合物;1,3−ブチレングリコール1モルとトリレンジイソシアネート2モルとの付加体等の如きジオールとジイソシアネートとの反応物であるジイソシアネート化合物等が挙げられる。中でも、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネートのような芳香族環を有するものが耐刷性の観点より好ましい。
また、式(II)又は式(III)で示されるカルボキシ基を有するジオール化合物の具体例としては、3,5−ジヒドロキシ安息香酸、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸、2,2−ビス(ヒドロキシエチル)プロピオン酸、2,2−ビス(3−ヒドロキシプロピルプロピオン酸、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)酢酸、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)酢酸、4,4−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン酸、酒石酸等が挙げられる。中でも、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸、2,2−ビス(ヒドロキシエチル)プロピオン酸がイソシアネートとの反応性の観点より好ましい。
前記ポリウレタン樹脂は上記ジイソシアネート化合物及びジオール化合物を非プロトン性溶媒中、それぞれの反応性に応じた活性を有する公知の触媒を添加し、加熱することにより合成することができる。
使用するジイソシアネート及びジオール化合物のモル比は、好ましくは0.8:1〜1.2:1であり、ポリマー末端にイソシアネート基が残存した場合、アルコール類又はアミン類等で処理することにより、最終的にイソシアネート基が残存しない形で合成される。
ポリウレタン樹脂の重量平均分子量は、好ましくは1,000以上であり、より好ましくは5,000〜10万の範囲である。これらのポリウレタン樹脂は2種以上を混合して用いてもよい。
アルカリ可溶性フェノール樹脂としては、例えば、アルカリ可溶性ノボラック樹脂が好適である。アルカリ可溶性ノボラック樹脂としては、例えば、フェノールホルムアルデヒドノボラック樹脂、m−クレゾールホルムアルデヒドノボラック樹脂、p−クレゾールホルムアルデヒドノボラック樹脂、m−/p−混合クレゾールホルムアルデヒドノボラック樹脂、フェノール/クレゾール(m−、p−、m−/p−の混合のいずれでもよい)混合ホルムアルデヒドノボラック樹脂等のアルカリ可溶性のノボラック樹脂を挙げることができる。また、t−ブチルフェノールホルムアルデヒド樹脂や、オクチルフェノールホルムアルデヒド樹脂等の炭素数3〜8のアルキル基を置換基として有するフェノールとホルムアルデヒドとの縮合物を併用してもよい。
アルカリ可溶性フェノール樹脂の重量平均分子量は、500〜20,000が好ましく、1,000〜10,000がより好ましく、2,000〜8,000がさらに好ましい。
尿素結合を側鎖に有するアルカリ可溶性樹脂としては、フェノール性水酸基を置換基とする尿素結合を有するアクリルモノマーの重合体が好ましく、例えば、式(IV)で表される化合物の重合体が好適に挙げられる。
Figure 0005395714
式(IV)において、Rは、水素原子又はアルキル基を表す。
Xは2価の連結基を表し、例えば、アルキレン基又はフェニレン基が挙げられる。Xとしては、アルキレン基が好ましく、直鎖又は分岐を有する炭素数1〜10のアルキレン基がより好ましく、炭素数1〜4のアルキレン基がさらに好ましい。
Yは、置換基を有してもよい2価の芳香族基を表し、例えば、置換基を有してもよいフェニレン基又はナフチレン基等が挙げられる。置換基としては、炭素数1〜3のアルキル基、及び、炭素数6〜20のアリール基が挙げられる。
現像ラチチュードの観点から、前記式(IV)で表される化合物に由来する構成単位の、アルカリ可溶性樹脂における含有量としては、アルカリ可溶性樹脂の全モノマー単位を100モル%として、10〜80モル%が好ましく、15〜70モル%がより好ましく、20〜60モル%が特に好ましい。
前記フェノール性水酸基を置換基とする尿素結合を有する単量体の重合体は、また、重合可能な不飽和結合を有し、かつ尿素結合を含まない化合物との共重合体であることが好ましく、前記共重合体は、尿素結合を含まない重合性単量体を、前記共重合体に含まれる総構成単位数を100モル%として、10〜80モル%用いて共重合させたものが好ましい。
このような単量体としては、N−フェニルマレイミド誘導体や側鎖にスルホンアミド基を有するアクリルモノマーが特に好ましい。上記N−フェニルマレイミド誘導体としては、N−フェニルマレイミド、N−2−メチルフェニルマレイミド、N−2,6−ジエチルフェニルマレイミド、N−2−クロロフェニルマレイミド、N−ヒドロキシフェニルマレイミド等が挙げられる。
側鎖にスルホンアミド基を有する(メタ)アクリルモノマーとしては、m−アミノスルホニルフェニル(メタ)アクリレート、N−(p−アミノスルホニルフェニル)(メタ)アクリルアミド、N−(p−アミノスルホニルフェニル)(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
尿素結合を側鎖に有するアルカリ可溶性樹脂の重量平均分子量としては、2,000以上が好ましく、3,000〜50万がより好ましい。
また、数平均分子量では、1,000以上が好ましく、2,000〜40万がより好ましい。
上層に含まれるアルカリ可溶性樹脂としては、アルカリ可溶性のポリウレタン樹脂、アルカリ可溶性フェノール樹脂が好ましく、アルカリ可溶性のポリウレタン樹脂がより好ましい。
記録層中における成分B以外のアルカリ可溶性樹脂の含有量は、記録層の揮発性成分を除いた固形分総重量に対して、40重量%以下が好ましく、10〜35重量%がより好ましく、15〜30重量%がさらに好ましい。
上層中における成分B以外のアルカリ可溶性樹脂の含有量は、上層の揮発性成分を除いた固形分総重量に対して、50重量%以下が好ましく、15〜45重量%がより好ましく、20〜40重量%がさらに好ましい。
(下層)
次に、記録層における下層について説明する。下層は、好ましくは、(成分B)水不溶性かつアルカリ可溶性の樹脂、及び、(成分C)赤外線吸収剤を含有する。下層は、前記上層と支持体との間に存在する。画像形成の後、下層は画像化領域において上層と共にアルカリ水溶液によって除去され、下にある支持体を露出する。下層は、現像液中におけるカス発生を回避するために、アルカリ水溶液に可溶性であることが好ましい。
(成分B)水不溶性かつアルカリ可溶性の樹脂
前記記録層は、(成分B)水不溶性かつアルカリ可溶性の樹脂を含有する。ここで、「水不溶性」とは、概樹脂をポジ型感光性平版印刷版の記録層に適用した際、現像液温25〜35℃、現像液pH6〜8、30秒間の条件で現像しても不溶であることを意味し、「アルカリ可溶性」とは、現像液温25℃〜35℃、現像液pH8.5〜10.8、60秒間の条件で現像すると溶解性を示すことを意味する。
記録層が上層と下層とからなる場合には、成分Bは上層及び下層のいずれに含まれていてもよく、下層のみに含まれていることが好ましい。
水不溶性かつアルカリ可溶性の樹脂としては、アルカリ可溶性アクリル樹脂、及び、前記アルカリ可溶性フェノール樹脂が挙げられ、アルカリ可溶性アクリル樹脂が好ましい。アルカリ可溶性アクリル樹脂としては、酸性基を有するエチレン性不飽和モノマーを1つ以上含むモノマー混合物を重合することによって生成した高分子が好適に用いられる。
酸性基を有するエチレン性不飽和モノマーとしては、成分Aにおける第3成分として共重合させ得るアルカリ可溶性基含有エチレン性不飽和モノマーが挙げられる。中でも(メタ)アクリル酸が好ましく、メタクリル酸がより好ましい。
現像性に優れることから、アルカリ可溶性を付与する酸性基を有するエチレン性不飽和モノマーの含有量は、成分B中に含まれる構成単位を100モル%として、1〜30モル%が好ましく、5〜25モル%がより好ましく、10〜20モル%がさらに好ましい。
酸性基を有するエチレン性不飽和モノマー以外の他の重合性モノマーとしては、アルキル(メタ)アクリレートや、脂肪族水酸基を有する(メタ)アクリル酸エステル類、(メタ)アクリルアミド、ビニルエステル類、スチレン類、N−ビニルピロリドン等の窒素原子含有モノマー、マレイミド類が挙げられる。これらの他の重合性モノマーのうち、好適に使用されるのは、(メタ)アクリル酸エステル類、(メタ)アクリルアミド類、マレイミド類、(メタ)アクリロニトリルであり、より好適には(メタ)アクリルアミド、マレイミド類である。
マレイミド類としては、N−置換マレイミドが好ましく、N−置換マレイミドとしては、例えば、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−n−プロピルマレイミド、N−i−プロピルマレイミド、N−n−ブチルマレイミド、N−t−ブチルマレイミド、N−n−ヘキシルマレイミド、N−シクロペンチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−1−ナフチルマレイミド等を挙げることができる。中でも、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミドが好ましく、N−フェニルマレイミドがより好ましい。前記N−置換マレイミドは、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
N−置換マレイミドに由来する構成単位の含有量は、成分B中に含まれる構成単位を100モル%として、75モル%以下が好ましく、45〜75モル%がより好ましく、50〜70モル%がさらに好ましい。
また、成分Bは、好ましくは(メタ)アクリルアミドに由来する構成単位を含み、(メタ)アクリルアミドに由来する構成単位の含有量は、成分B中に含まれる構成単位を100モル%として、40モル%以下が好ましく、10〜40モル%がより好ましく、20〜30モル%がさらに好ましい。
成分Bのアルカリ可溶性アクリル樹脂の重量平均分子量は、2,000以上が好ましく、10,000〜100,000がより好ましく、30,000〜60,000がさらに好ましい。
また、成分Bの数平均分子量は、500〜250,000が好ましい。
分散度(重量平均分子量/数平均分子量)が1.1〜10のものが好ましい。
記録層中における成分Bの含有量は、記録層の揮発性成分を除いた固形分総重量に対して、30〜60重量%が好ましく、35〜55重量%がより好ましく、40〜50重量%がさらに好ましい。
下層中における成分Bの含有量は、下層の揮発性成分を除いた固形分総重量に対して、20〜98重量%が好ましく、60〜98重量%がより好ましく、80〜98重量%がさらに好ましい。
(成分C)赤外線吸収剤
平版印刷版原版には、記録層に(成分C)赤外線吸収剤を添加する必要がある。記録層が重層の場合は下層に添加しておくことが必要であり、上層にも添加していてもよい。成分Cとしては、赤外線吸収剤として知られる種々の染料を用いることができる。
赤外線吸収剤としては、公知のものが利用でき、アゾ染料、金属錯塩アゾ染料、ピラゾロンアゾ染料、アントラキノン染料、フタロシアニン染料、カルボニウム染料、キノンイミン染料、メチン染料、シアニン染料などの染料が挙げられる。本発明において、これらの染料のうち赤外光、もしくは近赤外光を吸収するものが、赤外光もしくは近赤外光を発光するレーザーでの利用に適する点で好ましく、シアニン染料が特に好ましい。
そのような赤外光又は近赤外光を少なくとも吸収する染料としては、例えば、特開昭58−125246号、特開昭59−84356号、特開昭59−202829号、特開昭60−78787号等の各公報に記載されているシアニン染料、特開昭58−173696号、特開昭58−181690号、特開昭58−194595号等の各公報に記載されているメチン染料、特開昭58−112793号、特開昭58−224793号、特開昭59−48187号、特開昭59−73996号、特開昭60−52940号、特開昭60−63744号等の各公報に記載されているナフトキノン染料、特開昭58−112792号公報等に記載されているスクワリリウム色素、英国特許434,875号明細書記載のシアニン染料等を挙げることができる。
また、染料として米国特許第5,156,938号明細書記載の近赤外吸収増感剤も好適に用いられ、また、米国特許第3,881,924号明細書記載の置換されたアリールベンゾ(チオ)ピリリウム塩、特開昭57−142645号公報(米国特許第4,327,169号明細書)記載のトリメチンチアピリリウム塩、特開昭58−181051号、同58−220143号、同59−41363号、同59−84248号、同59−84249号、同59−146063号、同59−146061号の各公報に記載されているピリリウム系化合物、特開昭59−216146号公報記載のシアニン色素、米国特許第4,283,475号明細書に記載のペンタメチンチオピリリウム塩等や特公平5−13514号、同5−19702号公報に開示されているピリリウム化合物等が、市販品としては、エポリン社製のEpolight III−178、Epolight III−130、Epolight III−125等が特に好ましく用いられる。
また、染料として特に好ましい別の例として米国特許第4,756,993号明細書中に式(I)、(II)として記載されている近赤外吸収染料を挙げることができる。
中でも、シアニン染料が好ましく、特開2001−305722号公報の一般式(I)で示されたシアニン染料、特開2002−079772号の[0096]〜[0103]で示されている化合物を挙げることができる。特に好ましい染料は、以下のシアニン染料Aである。
Figure 0005395714
赤外線吸収剤の添加量としては、下層の全固形分に対し0.01〜50重量%、好ましくは0.1〜30重量%、特に好ましくは1.0〜30重量%の割合で添加することができる。
さらに、本発明に係る上層成分中には、本発明の効果を損なわない範囲で他の樹脂を併用することができる。上層自体は、特に非画像部領域(すなわち露光領域)において、現像液中で溶解または分散することを要するため、この特性を損なわない樹脂を選択する必要がある。
この観点から、併用可能な樹脂としては、アルカリ可溶性樹脂が挙げられる。中でも、例えば、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリアセタール樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリスチレン系樹脂等を好ましく挙げることができる。
また、混合する量としては、前記水不溶性かつアルカリ可溶性樹脂を100重量%として、50重量%以下であることが好ましい。
<その他の添加剤>
前記記録層の下層及び上層を形成するにあたっては、上記の必須成分の他、本発明の効果を損なわない限りにおいて、さらに必要に応じて、種々の添加剤を添加することができる。以下に挙げる添加剤は、下層のみに添加してもよいし、上層のみに添加してもよいし、両方の層に添加してもよい。
〔現像促進剤〕
前記上層及び/又は下層には、感度を向上させる目的で、酸無水物類、フェノール類、有機酸類を添加してもよい。
酸無水物類としては環状酸無水物が好ましく、具体的に環状酸無水物としては、米国特許第4,115,128号明細書に記載されている無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、3,6−エンドオキシテトラヒドロ無水フタル酸、テトラクロロ無水フタル酸、無水マレイン酸、クロロ無水マレイン酸、α−フェニル無水マレイン酸、無水コハク酸、無水ピロメリット酸などが使用できる。非環状の酸無水物としては、無水酢酸などが挙げられる。
フェノール類としては、ビスフェノールA、2,2’−ビスヒドロキシスルホン、p−ニトロフェノール、p−エトキシフェノール、2,4,4’−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン、4−ヒドロキシベンゾフェノン、4,4’,4”−トリヒドロキシトリフェニルメタン、4,4’,3”,4”−テトラヒドロキシ−3,5,3’,5’−テトラメチルトリフェニルメタンなどが挙げられる。
有機酸類としては、特開昭60−88942号公報、特開平2−96755号公報などに記載されており、具体的には、p−トルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルフィン酸、エチル硫酸、フェニルホスホン酸、フェニルホスフィン酸、リン酸フェニル、リン酸ジフェニル、安息香酸、イソフタル酸、アジピン酸、p−トルイル酸、3,4−ジメトキシ安息香酸、フタル酸、テレフタル酸、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸、エルカ酸、ラウリン酸、n−ウンデカン酸、アスコルビン酸などが挙げられる。
上記の酸無水物、フェノール類及び有機酸類の下層又は上層の全固形分に占める割合は、0.05〜20重量%が好ましく、0.1〜15重量%がより好ましく、0.1〜10重量%が特に好ましい。
〔界面活性剤〕
上層及び/又は下層には、塗布性を良化するため、また、現像条件に対する処理の安定性を広げるため、特開昭62−251740号公報や特開平3−208514号公報に記載されているような非イオン界面活性剤、特開昭59−121044号公報、特開平4−13149号公報に記載されているような両性界面活性剤、特開昭62−170950号公報、特開平11−288093号公報、特開2003−57820号公報に記載されているようなフッ素含有のモノマー共重合体を添加することができる。
非イオン界面活性剤の具体例としては、ソルビタントリステアレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタントリオレート、ステアリン酸モノグリセリド、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等が挙げられる。
両性活性剤の具体例としては、アルキルジ(アミノエチル)グリシン、アルキルポリアミノエチルグリシン塩酸塩、2−アルキル−N−カルボキシエチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインやN−テトラデシル−N,N−ベタイン型(例えば、商品名「アモーゲンK」:第一工業製薬(株)製)等が挙げられる。
界面活性剤の下層又は上層の全固形分に占める割合は、0.01〜15重量%が好ましく、0.1〜5重量%がより好ましく、0.05〜2.0重量%がさらに好ましい。
〔焼出し剤/着色剤〕
上層及び/又は下層には、露光による加熱後直ちに可視像を得るための焼出し剤や、画像着色剤としての染料や顔料を加えることができる。
焼出し剤としては、露光による加熱によって酸を放出する化合物(光酸放出剤)と塩を形成し得る有機染料の組み合わせを代表として挙げることができる。光酸放出剤としては、o−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸ハロゲニドや、オキサゾール系化合物としてトリアジン系化合物とトリハロメチル化合物とが挙げられる。
着色剤としては、前述の塩形成性有機染料以外に他の公知の染料を用いることができる。塩形成性有機染料を含めて、好適な染料として油溶性染料と塩基性染料を挙げることができる。具体的には、オイルイエロー#101、オイルイエロー#103、オイルピンク#312、オイルグリーンBG、オイルブルーBOS、オイルブルー#603、オイルブラックBY、オイルブラックBS、オイルブラックT−505(以上オリエント化学工業(株)製)、ビクトリアピュアブルー、クリスタルバイオレットラクトン、クリスタルバイオレット(CI42555)、メチルバイオレット(CI42535)、エチルバイオレット、ローダミンB(CI145170B)、マラカイトグリーン(CI42000)、メチレンブルー(CI52015)などを挙げることができる。また、特開昭62−293247号公報に記載されている染料が特に好ましく挙げられる。
これらの染料は、下層又は上層の全固形分に対し、0.01〜10重量%の割合で添加することが好ましく、0.1〜3重量%の割合で添加することがより好ましい。
〔可塑剤〕
上層及び/又は下層には、塗膜の柔軟性等を付与するために可塑剤を添加してもよい。例えば、ブチルフタリル、ポリエチレングリコール、クエン酸トリブチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘキシル、フタル酸ジオクチル、リン酸トリクレジル、リン酸トリブチル、リン酸トリオクチル、オレイン酸テトラヒドロフルフリル、アクリル酸又はメタクリル酸のオリゴマー及びポリマー等が用いられる。
これらの可塑剤は、下層又は上層の全固形分に対し、0.5〜10重量%の割合で添加することが好ましく、1.0〜5重量%の割合で添加することがより好ましい。
〔ワックス剤〕
上層には、キズに対する抵抗性を付与する目的で、表面の静摩擦係数を低下させる化合物を添加することもできる。具体的には、米国特許第6,117,913号明細書、特開2003−149799号公報、特開2003−302750号公報、又は、特開2004−12770号公報に記載されているような、長鎖アルキルカルボン酸のエステルを有する化合物などを挙げることができる。
添加量として好ましいのは、上層中に占める割合が0.1〜10重量%であることが好ましく、0.5〜5重量%であることがより好ましい。
<下層及び上層の形成>
平版印刷版原版における下層及び上層は、好ましくは前記各成分を溶剤に溶かして、適当な支持体上に塗布することにより形成することができる。
ここで使用する溶剤としては、エチレンジクロライド、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、2−メトキシエチルアセテート、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、ジメトキシエタン、乳酸メチル、乳酸エチル、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラメチルウレア、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、γ−ブチロラクトン、トルエン等を挙げることができるが、これに限定されるものではない。これらの溶剤は、単独又は混合して使用される。
なお、下層及び上層は、原則的に2つの層を分離して形成することが好ましい。2つの層を分離して形成する方法としては、例えば、下層に含まれる成分と、上層に含まれる成分との溶剤溶解性の差を利用する方法、又は、上層を塗布した後、急速に溶剤を乾燥、除去させる方法等が挙げられる。以下、これらの方法について詳述するが、2つの層を分離して塗布する方法はこれらに限定されるものではない。
下層に含まれる成分と上層に含まれる成分との溶剤溶解性の差を利用する方法としては、上層用塗布液を塗布する際に、下層に含まれる成分のいずれもが不溶な溶剤系を用いるものである。これにより、二層塗布を行っても、各層を明確に分離して塗膜にすることが可能になる。
例えば、上層用溶剤としては、上層成分であるアルカリ可溶性樹脂を溶解し、且つ、下層成分を溶解しない3−ペンタノン、プロピレングリコールモノメチルエーテル−2−アセテートを選択し、下層用溶剤には、下層成分を溶解するγ−ブチロラクトンを主成分とする溶剤系を選択し塗布・乾燥する。その後、アルカリ可溶性樹脂を主体とする上層を3−ペンタノン、プロピレングリコールモノメチルエーテル−2−アセテート等で溶解し、塗布・乾燥することにより二層化が可能になる。
2層目(上層)を塗布後に、極めて速く溶剤を乾燥させる方法としては、ウェブの走行方向に対してほぼ直角に設置したスリットノズルより高圧エアーを吹きつけることや、蒸気等の加熱媒体を内部に供給されたロール(加熱ロール)よりウェブの下面から伝導熱として熱エネルギーを与えること、あるいはそれらを組み合わせることにより達成できる。
また、新たな機能を付与するために、本発明の効果を充分に発揮する範囲において、積極的に上層及び下層の部分相溶を行う場合もある。そのような方法としては、上記溶剤溶解性の差を利用する方法、2層目を塗布後に極めて速く溶剤を乾燥させる方法いずれにおいても、その程度を調整することによって可能となる。
支持体上に塗布される下層/上層用塗布液中の、溶剤を除いた前記成分(添加剤を含む全固形分)の濃度は、1〜50重量%であることが好ましい。
塗布する方法としては、種々の方法を用いることができるが、例えば、バーコーター塗布、回転塗布、スプレー塗布、カーテン塗布、ディップ塗布、エアーナイフ塗布、ブレード塗布、ロール塗布等を挙げることができる。
特に、上層塗布時に下層へのダメージを防ぐため、上層塗布方法は、非接触式であることが好ましい。また、接触型ではあるが溶剤系塗布に一般的に用いられる方法としてバーコーター塗布を用いることも可能であるが、下層へのダメージを防止するために順転駆動で塗布することが好ましい。
平版印刷版原版の支持体上に塗布される下層成分の乾燥後の塗布量は、0.5〜4.0g/m2の範囲にあることが好ましく、0.6〜2.5g/m2の範囲にあることがより好ましい。0.5g/m2以上であると、耐刷性に優れ、4.0g/m2以下であると、画像再現性及び感度に優れる。
また、上層成分の乾燥後の塗布量は、0.05〜1.0g/m2の範囲にあることが好ましく、0.08〜0.7g/m2の範囲であることがより好ましい。0.05g/m2以上であると、現像ラチチュード、及び、耐傷性に優れ、1.0g/m2以下であると、感度に優れる。
下層及び上層を合わせた乾燥後の塗布量としては、0.6〜4.0g/m2の範囲にあることが好ましく、0.7〜2.5g/m2の範囲にあることがより好ましい。0.6g/m2以上であると、耐刷性に優れ、4.0g/m2以下であると、画像再現性及び感度に優れる。
<支持体>
支持体としては、必要な強度と耐久性を備えた寸度的に安定な板状物であれば特に制限はなく、例えば、紙、プラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等)がラミネートされた紙、金属板(例えば、アルミニウム、亜鉛、銅等)、プラスチックフィルム(例えば、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール等)、上記のごとき金属がラミネート若しくは蒸着された紙、又は、プラスチックフィルム等が挙げられる。
中でも、本発明においては、ポリエステルフィルム又はアルミニウム板が好ましく、その中でも寸度安定性がよく、比較的安価であるアルミニウム板は特に好ましい。好適なアルミニウム板は、純アルミニウム板及びアルミニウムを主成分とし、微量の異元素を含む合金板であり、さらにアルミニウムがラミネート又は蒸着されたプラスチックフィルムでもよい。アルミニウム合金に含まれる異元素には、ケイ素、鉄、マンガン、銅、マグネシウム、クロム、亜鉛、ビスマス、ニッケル、チタンなどがある。合金中の異元素の含有量は10重量%以下であることが好ましい。
本発明において特に好適なアルミニウムは、純アルミニウムであるが、完全に純粋なアルミニウムは精錬技術上製造が困難であるので、僅かに異元素を含有するものでもよい。
このように本発明に適用されるアルミニウム板は、その組成が特定されるものではなく、従来より公知公用の素材のアルミニウム板を適宜に利用することができる。本発明で用いられるアルミニウム板の厚みは、0.1〜0.6mmが好ましく、0.15〜0.4mmがより好ましく、0.2〜0.3mmが特に好ましい。
このようなアルミニウム板には、必要に応じて粗面化処理、陽極酸化処理などの表面処理を行ってもよい。以下、このような表面処理について簡単に説明する。
アルミニウム板を粗面化するに先立ち、所望により、表面の圧延油を除去するための例えば界面活性剤、有機溶剤又はアルカリ性水溶液などによる脱脂処理が行われる。アルミニウム板の表面の粗面化処理は、種々の方法により行われるが、例えば、機械的に粗面化する方法、電気化学的に表面を溶解粗面化する方法及び化学的に表面を選択溶解させる方法により行われる。機械的方法としては、ボール研磨法、ブラシ研磨法、ブラスト研磨法、バフ研磨法などの公知の方法を用いることができる。また、電気化学的な粗面化法としては塩酸又は硝酸電解液中で交流又は直流により行う方法がある。また、特開昭54−63902号公報に開示されているように両者を組み合わせた方法も利用することができる。
以上のように粗面化されたアルミニウム板は、必要に応じてアルカリエッチング処理及び中和処理された後、所望により表面の保水性や耐摩耗性を高めるために陽極酸化処理が施される。アルミニウム板の陽極酸化処理に用いられる電解質としては、多孔質酸化皮膜を形成する種々の電解質の使用が可能で、一般的には硫酸、リン酸、蓚酸、クロム酸あるいはそれらの混酸が用いられる。それらの電解質の濃度は電解質の種類によって適宜決められる。
陽極酸化の処理条件は用いる電解質により種々変わるので一概に特定し得ないが一般的には電解質の濃度が1〜80重量%溶液、液温は5〜70℃、電流密度5〜60A/dm2、電圧1〜100V、電解時間10秒〜5分の範囲であることが好ましい。陽極酸化皮膜の量は、1.0g/m2以上であることが好ましい。1.0g/m2以上であると、耐刷性に優れ、平版印刷版の非画像部に傷が付きにくく、印刷時に傷の部分にインキが付着するいわゆる「傷汚れ」を抑制することができる。
陽極酸化処理を施された後、アルミニウム表面は必要により親水化処理が施される。
本発明に使用される親水化処理としては、米国特許第2,714,066号、同第3,181,461号、同第3,280,734号及び同第3,902,734号の各明細書に開示されているようなアルカリ金属シリケート(例えばケイ酸ナトリウム水溶液)法がある。この方法においては、支持体がケイ酸ナトリウム水溶液で浸漬処理されるか又は電解処理される。他に特公昭36−22063号公報に開示されているフッ化ジルコン酸カリウム及び米国特許第3,276,868号、同第4,153,461号、同第4,689,272号の各明細書に開示されているようなポリビニルホスホン酸で処理する方法などが用いられる。
<下塗層>
平版印刷版原版には、必要に応じて支持体と記録層との間に下塗層を設けることができる。
下塗層成分としては種々の有機化合物が用いられ、例えば、カルボキシメチルセルロース、デキストリン、アラビアガム、2−アミノエチルホスホン酸などのアミノ基を有するホスホン酸類、フェニルホスホン酸、ナフチルホスホン酸、アルキルホスホン酸、グリセロホスホン酸、メチレンジホスホン酸及びエチレンジホスホン酸などの有機ホスホン酸、フェニルリン酸、ナフチルリン酸、アルキルリン酸及びグリセロリン酸などの有機リン酸、フェニルホスフィン酸、ナフチルホスフィン酸、アルキルホスフィン酸及びグリセロホスフィン酸などの有機ホスフィン酸、グリシンやβ−アラニンなどのアミノ酸類、及びトリエタノールアミンの塩酸塩などのヒドロキシ基を有するアミンの塩酸塩等から選ばれる。また、これら下塗層成分は、1種単独で用いても、2種以上混合して用いてもよい。
この有機下塗層は次のような方法で設けることができる。すなわち、水又はメタノール、エタノール、メチルエチルケトンなどの有機溶剤又はそれらの混合溶剤に上記の有機化合物を溶解させた溶液をアルミニウム板上に塗布、乾燥して設ける方法と、水又はメタノール、エタノール、メチルエチルケトンなどの有機溶剤若しくはそれらの混合溶剤に上記の有機化合物を溶解させた溶液に、アルミニウム板を浸漬して上記化合物を吸着させ、その後水などによって洗浄、乾燥して有機下塗層を設ける方法である。前者の方法では、上記の有機化合物の0.005〜10重量%の濃度の溶液を種々の方法で塗布できる。また後者の方法では、溶液の濃度は好ましくは0.01〜20重量%、より好ましくは0.05〜5重量%であり、浸漬温度は好ましくは20〜90℃、より好ましくは25〜50℃であり、浸漬時間は好ましくは0.1秒〜20分、より好ましくは2秒〜1分である。これに用いる溶液は、アンモニア、トリエチルアミン、水酸化カリウムなどの塩基性物質や、塩酸、リン酸などの酸性物質によりpH1〜12の範囲に調整することもできる。また、画像記録材料の調子再現性改良のために黄色染料を添加することもできる。
有機下塗層の被覆量は、2〜200mg/m2であることが好ましく、5〜100mg/m2であることがより好ましい。被覆量が上記範囲であると、十分な耐刷性能が得られる。上記のようにして作製された平版印刷版原版は、画像様に露光され、その後、現像処理を施される。
<バックコート層>
本発明の平版印刷版原版の支持体裏面には、必要に応じてバックコート層が設けられる。かかるバックコート層としては、特開平5−45885号公報記載の有機高分子化合物及び特開平6−35174号公報記載の有機又は無機金属化合物を加水分解及び重縮合させて得られる金属酸化物からなる被覆層が好ましく用いられる。これらの被覆層のうち、Si(OCH34、Si(OC254、Si(OC374、Si(OC494などのケイ素のアルコキシ化合物が安価で入手し易く、それから得られる金属酸化物の被覆層が耐現像液に優れており特に好ましい。
(平版印刷版の製版方法)
本発明の平版印刷版の製版方法は、前記赤外線レーザー用ポジ型平版印刷版原版を画像露光する露光工程、及び、現像液を用いて現像する現像工程、をこの順で含む。
<露光工程>
本発明の平版印刷版の製版方法は、前記赤外線レーザー用ポジ型平版印刷版原版を画像露光する露光工程を含む。
平版印刷版原版の画像露光に用いられる活性光線の光源としては、近赤外から赤外領域に発光波長を持つ光源が好ましく、固体レーザー、半導体レーザーが特に好ましい。中でも、本発明においては、波長750〜1,400nmの赤外線を放射する固体レーザー又は半導体レーザーにより画像露光されることが特に好ましい。
レーザーの出力は、100mW以上が好ましく、露光時間を短縮するため、マルチビームレーザーデバイスを用いることが好ましい。また、1画素あたりの露光時間は20μ秒以内であることが好ましい。
平版印刷版原版に照射されるエネルギーは、10〜300mJ/cm2であることが好ましい。上記範囲であると、硬化が十分に進行し、また、レーザーアブレーションを抑制し、画像の損傷を防ぐことができる。
本発明における露光は、光源の光ビームをオーバーラップさせて露光することができる。オーバーラップとは、副走査ピッチ幅がビーム径より小さいことをいう。オーバーラップは、例えば、ビーム径をビーム強度の半値幅(FWHM)で表したとき、FWHM/副走査ピッチ幅(オーバーラップ係数)で定量的に表現することができる。本発明ではこのオーバーラップ係数が、0.1以上であることが好ましい。
本発明に使用することができる露光装置の光源の走査方式は、特に限定はなく、円筒外面走査方式、円筒内面走査方式、平面走査方式などを用いることができる。また、光源のチャンネルは単チャンネルでもマルチチャンネルでもよいが、円筒外面方式の場合にはマルチチャンネルが好ましく用いられる。
<現像工程>
本発明の平版印刷版の製版方法は、両性界面活性剤を含有し、pHが8.5〜10.8のアルカリ水溶液(以下、「現像液」又は「処理液」ともいう。)を用いて現像する現像工程を含む。pH8.5を下回ると非画像部の現像性が低下し、pH10.8を上回ると空気中の炭酸ガスの影響により処理能力が低下する。現像液のpHは、9.0〜10.8が好ましく、9.5〜10.7がより好ましい。
現像液は、処理性を向上させるという観点から、両性界面活性剤を含む。また、界面活性剤は、水に対する安定な溶解性あるいは混濁性の観点から、HLB値が、6以上であることが好ましく、8以上であることがより好ましい。
両性界面活性剤には、界面活性剤の分野においてよく知られているように、アニオン性部位とカチオン性部位とを同一分子内に持つ化合物であり、アミノ酸系、ベタイン系、アミンオキシド系等の両性界面活性剤が含まれ、ベタイン系の両性界面活性剤が好ましい。
ベタイン系の界面活性剤としては、式<1>で表される化合物が、アミンオキシド系の界面活性剤としては、式<2>で表される化合物が好ましい。
Figure 0005395714
式<1>中、R8はアルキル基を表し、R9及びR10はそれぞれ独立に、水素原子又はアルキル基を表し、R11はアルキレン基を表し、Aはカルボン酸イオン又はスルホン酸イオンを表す。
式<2>中、R18、R19及びR20はそれぞれ独立に、水素原子又はアルキル基を表す。ただし、R18、R19及びR20の全てが、水素原子であることはない。
前記式<1>において、R8、R9又はR10におけるアルキル基、及び、R11におけるアルキレン基は、直鎖でも分枝鎖でもよく、また、鎖中に連結基を有していてもよく、さらに、置換基を有していてもよい。連結基としては、エステル結合、アミド結合、エーテル結合などのヘテロ原子を含むものが好ましい。また、置換基としては、ヒドロキシ基、エチレンオキサイド基、フェニル基、アミド基、ハロゲン原子などが好ましい。
また、R8、R9又はR10は互いに環状に連結していてもよい。環状に連結する形態としては、5員環又は6員環を形成するものが好ましく、特に環がヘテロ原子を含む複素環であることが好ましい。ヘテロ原子としては、酸素原子、窒素原子、硫黄原子が好ましい。特に、置換イミダゾール環、置換イミダゾリン環、置換イミダゾリジンなどのカチオン構造であることが好ましい。
式<1>で表される化合物において、R8〜R11の炭素数の総和は、8〜25であることが好ましく、11〜21であることがより好ましい。上記範囲であると、疎水部分が適度であり、水系の現像液への溶解性に優れる。
式<2>において、R18、R19又はR20で表されるアルキル基は、直鎖でも分枝鎖でもよく、また、鎖中に連結基を有していてもよく、さらに、置換基を有していてもよい。連結基としては、エステル結合、アミド結合、エーテル結合などのヘテロ原子を含むものが好ましい。また、置換基としては、ヒドロキシ基、エチレンオキサイド基、フェニル基、アミド基、ハロゲン原子などが好ましい。
式<2>で表される化合物において、R18〜R20の炭素数の総和は、8〜22であることが好ましく、10〜20であることがより好ましい。上記範囲であると、疎水部分が適度であり、水系の現像液への溶解性に優れる。
また、有機溶剤、例えば、アルコール等の溶解助剤を添加することにより、界面活性剤の水系の現像液への溶解性を上げることも可能である。
両性界面活性剤の総炭素数は、感光層に用いる材料、とりわけバインダーの性質により影響を受けることがある。親水度の高いバインダーの場合、総炭素数は比較的小さいものが好ましく、用いるバインダーの親水度の低い場合には、総炭素数が大きいものが好ましい傾向にある。
現像液に用いることができる両性界面活性剤の好ましい具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 0005395714
界面活性剤は、単独又は組み合わせて使用することができる。
界面活性剤の現像液中における含有量は、0.01〜10重量%が好ましく、0.01〜5重量%がより好ましい。
現像液のpHを、pH8.5〜10.8に保つ為には、炭酸イオン、炭酸水素イオンを添加することが好ましい。緩衝剤として炭酸イオン、炭酸水素イオンが存在することで、現像液を長期間使用してもpHの変動を抑制でき、pHの変動による現像性低下、現像カス発生等を抑制できる。炭酸イオン、炭酸水素イオンを現像液中に存在させるには、炭酸塩と炭酸水素塩を現像液に加えてもよいし、炭酸塩又は炭酸水素塩を加えた後にpHを調整することで、炭酸イオンと炭酸水素イオンとを発生させてもよい。炭酸塩及び炭酸水素塩は、特に限定されないが、アルカリ金属塩であることが好ましい。アルカリ金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウムが挙げられ、ナトリウムが特に好ましい。これらは単独でも、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
炭酸塩及び炭酸水素塩の総量は、現像液の全重量に対して、0.3〜20重量%が好ましく、0.5〜10重量%がより好ましく、1〜5重量%が特に好ましい。総量が0.3重量%以上であると現像性、処理能力が低下せず、20重量%以下であると沈殿や結晶を生成し難くなり、さらに現像液の廃液処理時、中和の際にゲル化し難くなり、廃液処理に支障をきたさない。
また、アルカリ濃度の微少な調整、非画像部感光層の溶解を補助する目的で、補足的に他のアルカリ剤、例えば有機アルカリ剤を併用してもよい。有機アルカリ剤としては、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノイソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、トリイソプロピルアミン、n−ブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、エチレンイミン、エチレンジアミン、ピリジン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド等を挙げることができる。これらの他のアルカリ剤は、単独又は2種以上を組み合わせて用いられる。
前記現像液は上記の他に、湿潤剤、防腐剤、キレート化合物、消泡剤、有機酸、有機溶剤、無機酸、無機塩などを含有することができる。ただし、水溶性高分子化合物を添加すると、特に現像液が疲労した際に版面がベトツキやすくなるため、添加しないことが好ましい。
他の界面活性剤としてはアニオン系、ノニオン系、カチオン系のいずれを含有してもよい。
アニオン系界面活性剤としては、脂肪酸塩類、アビエチン酸塩類、ヒドロキシアルカンスルホン酸塩類、アルカンスルホン酸塩類、ジアルキルスルホコハク酸塩類、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩類、分岐鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、アルキルフェノキシポリオキシエチレンプロピルスルホン酸塩類、ポリオキシエチレンアルキルスルホフェニルエーテル塩類、N−メチル−N−オレイルタウリンナトリウム類、N−アルキルスルホコハク酸モノアミド二ナトリウム塩類、石油スルホン酸塩類、硫酸エステル塩類、硫酸エステル塩類、燐酸エステル塩類、スチレン−無水マレイン酸共重合物の部分けん化物類、オレフィン−無水マレイン酸共重合物の部分けん化物類、ナフタレンスルホン酸塩ホルマリン縮合物類、芳香族スルホン酸塩類、芳香族置換ポリオキシエチレンスルホン酸塩類等が挙げられる。これらの中でもジアルキルスルホコハク酸塩類、アルキル硫酸エステル塩類及びアルキルナフタレンスルホン酸塩類が好ましく用いられる。
カチオン系界面活性剤としては、アルキルアミン塩類、第四級アンモニウム塩類、ポリオキシエチレンアルキルアミン塩類、ポリエチレンポリアミン誘導体が挙げられる。
ノニオン系界面活性剤としては、ポリエチレングリコール型の高級アルコールエチレンオキサイド付加物、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物、芳香族化合物のポリエチレングリコール付加物、脂肪酸エチレンオキサイド付加物、多価アルコール脂肪酸エステルエチレンオキサイド付加物、高級アルキルアミンエチレンオキサイド付加物、脂肪酸アミドエチレンオキサイド付加物、油脂のエチレンオキサイド付加物、ポリプロピレングリコールエチレンオキサイド付加物、ジメチルシロキサン−エチレンオキサイドブロックコポリマー、ジメチルシロキサン−(プロピレンオキサイド−エチレンオキサイド)ブロックコポリマー等や、多価アルコール型のグリセロールの脂肪酸エステル、ペンタエリスリトールの脂肪酸エステル、ソルビトール及びソルビタンの脂肪酸エステル、ショ糖の脂肪酸エステル、多価アルコールのアルキルエーテル、アルカノールアミン類の脂肪酸アミド等が挙げられる。
湿潤剤としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリエチレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ジグリセリン等が好適に用いられる。湿潤剤は単独で用いてもよいが、2種以上併用してもよい。湿潤剤は、現像剤の全重量に対し、0.1〜5重量%の量で使用されることが好ましい。
防腐剤としては、フェノール又はその誘導体、ホルマリン、イミダゾール誘導体、デヒドロ酢酸ナトリウム、4−イソチアゾリン−3−オン誘導体、ベンゾイソチアゾリン−3−オン、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、ベンズトリアゾール誘導体、アミジングアニジン誘導体、第四級アンモニウム塩類、ピリジン、キノリン、グアニジン等の誘導体、ダイアジン、トリアゾール誘導体、オキサゾール、オキサジン誘導体、ニトロブロモアルコール系の2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3ジオール、1,1−ジブロモ−1−ニトロ−2−エタノール、1,1−ジブロモ−1−ニトロ−2−プロパノール等が好ましく使用できる。種々のカビ、殺菌に対して効力のあるように2種以上の防腐剤を併用することが好ましい。防腐剤の添加量は、細菌、カビ、酵母等に対して、安定に効力を発揮する量であって、細菌、カビ、酵母の種類によっても異なるが、現像液の全重量に対して、0.01〜4重量%の範囲が好ましい。
キレート化合物としては、例えば、エチレンジアミンジサクシネート、エチレンジアミンテトラ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;ジエチレントリアミンペンタ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;トリエチレンテトラミンヘキサ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩、ヒドロキシエチルエチレンジアミントリ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;ニトリロトリ酢酸、そのナトリウム塩;1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;アミノトリ(メチレンホスホン酸)、そのカリウム塩、そのナトリウム塩などのような有機ホスホン酸類又はホスホノアルカントリカルボン酸類を挙げることができる。上記キレート剤のナトリウム塩、カリウム塩の代わりに有機アミンの塩も有効である。キレート剤は現像液組成中に安定に存在し、印刷性を阻害しないものが選ばれる。添加量は、現像液の全重量に対して、0.001〜1.0重量%が好適である。
消泡剤としては、一般的なシリコーン系の自己乳化タイプ、乳化タイプ、ノニオン系の化合物を使用することができ、HLB値が5以下の化合物であることが好ましい。シリコーン消泡剤が好ましい。その中で乳化分散型及び可溶化等がいずれも使用できる。消泡剤の含有量は、現像液の全重量に対して、0.001〜1.0重量%の範囲が好適である。
有機酸としては、クエン酸、酢酸、蓚酸、マロン酸、サリチル酸、カプリル酸、酒石酸、リンゴ酸、乳酸、レブリン酸、p−トルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸、フィチン酸、有機ホスホン酸などが挙げられる。有機酸は、そのアルカリ金属塩又はアンモニウム塩の形で用いることもできる。有機酸の含有量は、現像液の全重量に対して、0.01〜0.5重量%が好ましい。
有機溶剤としては、例えば、脂肪族炭化水素類(ヘキサン、ヘプタン、“アイソパーE、H、G”(エッソ化学(株)製)、ガソリン、若しくは、灯油等)、芳香族炭化水素類(トルエン、キシレン等)、又は、ハロゲン化炭化水素(メチレンジクロライド、エチレンジクロライド、トリクレン、モノクロルベンゼン等)や、極性溶剤が挙げられる。
極性溶剤としては、アルコール類(メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ベンジルアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、2−エトキシエタノール等)、ケトン類(メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等)、エステル類(酢酸エチル、乳酸メチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等)、その他(トリエチルフォスフェート、トリクレジルフォスフェート、N−フェニルエタノールアミン、N−フェニルジエタノールアミン等)等が挙げられる。
また、上記有機溶剤が水に不溶な場合は、界面活性剤等を用いて水に可溶化して使用することも可能である。現像液が有機溶剤を含有する場合は、安全性、引火性の観点から、溶剤の濃度は40重量%未満が好ましい。
無機酸及び無機塩としては、リン酸、メタリン酸、第一リン酸アンモニウム、第二リン酸アンモニウム、第一リン酸ナトリウム、第二リン酸ナトリウム、第一リン酸カリウム、第二リン酸カリウム、トリポリリン酸ナトリウム、ピロリン酸カリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、硝酸マグネシウム、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硝酸アンモニウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸アンモニウム、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸アンモニウム、硫酸水素ナトリウム、硫酸ニッケルなどが挙げられる。無機塩の含有量は、現像液の全重量に対し、0.01〜0.5重量%の量が好ましい。
現像の温度は、現像可能であれば特に制限はないが、60℃以下であることが好ましく、15〜40℃であることがより好ましい。自動現像機を用いる現像処理においては、処理量に応じて現像液が疲労してくることがあるので、補充液又は新鮮な現像液を用いて処理能力を回復させてもよい。現像及び現像後の処理の一例としては、アルカリ現像を行い、後水洗工程でアルカリを除去し、ガム引き工程でガム処理を行い、乾燥工程で乾燥する方法が例示できる。また、他の例としては、炭酸イオン、炭酸水素イオン及び界面活性剤を含有する水溶液を用いることにより、前水洗、現像及びガム引きを同時に行う方法が好ましく例示できる。よって、前水洗工程は特に行わなくともよく、一液を用いるだけで、さらには一浴で前水洗、現像及びガム引きを行ったのち、乾燥工程を行うことが好ましい。現像の後は、スクイズローラ等を用いて余剰の現像液を除去してから乾燥を行うことが好ましい。
現像工程は、擦り部材を備えた自動処理機により好適に実施することができる。自動処理機としては、例えば、画像露光後の平版印刷版原版を搬送しながら擦り処理を行う、特開平2−220061号公報、特開昭60−59351号公報に記載の自動処理機や、シリンダー上にセットされた画像露光後の平版印刷版原版を、シリンダーを回転させながら擦り処理を行う、米国特許5148746号、同5568768号、英国特許2297719号に記載の自動処理機等が挙げられる。中でも、擦り部材として、回転ブラシロールを用いる自動処理機が特に好ましい。
本発明に使用する回転ブラシロールは、画像部の傷つき難さ、さらには、平版印刷版原版の支持体における腰の強さ等を考慮して適宜選択することができる。回転ブラシロールとしては、ブラシ素材をプラスチック又は金属のロールに植え付けて形成された公知のものが使用できる。例えば、特開昭58−159533号公報、特開平3−100554号公報に記載のものや、実公昭62−167253号公報に記載されているような、ブラシ素材を列状に植え込んだ金属又はプラスチックの溝型材を芯となるプラスチック又は金属のロールに隙間なく放射状に巻き付けたブラシロールが使用できる。
ブラシ素材としては、プラスチック繊維(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系、ナイロン6.6、ナイロン6.10等のポリアミド系、ポリアクリロニトリル、ポリ(メタ)アクリル酸アルキル等のポリアクリル系、ポリプロピレン、ポリスチレン等のポリオレフィン系の合成繊維)を使用することができ、例えば、繊維の毛の直径は20〜400μm、毛の長さは5〜30mmのものが好適に使用できる。
回転ブラシロールの外径は30〜200mmが好ましく、版面を擦るブラシの先端の周速は0.1〜5m/secが好ましい。回転ブラシロールは、複数本用いることが好ましい。
回転ブラシロールの回転方向は、平版印刷版原版の搬送方向に対し、同一方向であっても、逆方向であってもよいが、2本以上の回転ブラシロールを使用する場合は、少なくとも1本の回転ブラシロールが同一方向に回転し、少なくとも1本の回転ブラシロールが逆方向に回転することが好ましい。これにより、非画像部の感光層の除去がさらに確実となる。さらに、回転ブラシロールをブラシロールの回転軸方向に揺動させることも効果的である。
現像工程の後、連続的又は不連続的に乾燥工程を設けることが好ましい。乾燥は熱風、赤外線、遠赤外線等によって行う。
本発明の平版印刷版の作製方法において好適に用いられる自動処理機の構造の1例を図1に模式的に示す。図1に示す自動処理機は、基本的に現像部6と乾燥部10からなり、平版印刷版原版4は現像槽20で、現像とガム引きとを行い、乾燥部10で乾燥される。
また、耐刷性等の向上を目的として、現像後の印刷版を非常に強い条件で加熱することもできる。加熱温度は、通常200〜500℃の範囲である。温度が低いと十分な画像強化作用が得られず、高すぎる場合には支持体の劣化、画像部の熱分解といった問題を生じる恐れがある。
このようにして得られた平版印刷版はオフセット印刷機に掛けられ、多数枚の印刷に好適に用いられる。
以下、本発明を実施例に従って説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されない。なお、特に断りのない限り、「部」は「重量部」を、「%」は「重量%」を意味する。
実施例で使用した素材を以下に示す。
(成分A)
・(a−1):スチレン/アクリロニトリル/メタクリル酸コポリマー(共重合比69mol%/25mol%/6mol%、重量平均分子量45,000)
・(a−2):スチレン/アクリロニトリルコポリマー(共重合比73.5mol%/26.5mol%、SAN32、バイエル社製)
(成分B)
・(b−1):N−フェニルマレイミド/メタクリル酸/メタクリルアミドコポリマー(共重合比60mol%/15mol%/25mol%、重量平均分子量=50,000)
・(b−2)スチレン/アクリロニトリル/メタクリル酸コポリマー(組成比69mol%/25mol%/6mol% 重量平均分子量45,000)
(成分C)
・(c−1):下記のシアニン染料A
Figure 0005395714
(アルカリ可溶性樹脂)
・イソシアネートとジオールとを1:1のモル比となるように重合させた下記ポリウレタン1(重量平均分子量36,000)
Figure 0005395714
・m,p−クレゾールノボラック1(m/p比=6/4、重量平均分子量4,500、未反応クレゾール0.8%含有)
(その他の成分)
・エチルヴァイオレット
・クリスタルヴァイオレット(保土ヶ谷化学(株)製)
・メガファックF−177(DIC(株)製、フッ素系界面活性剤)
(溶媒)
・3−ペンタノン
・プロピレングリコールモノメチルエーテルー2−アセテート
・γ−ブチロラクトン
・メチルエチルケトン
・1−メトキシ−2−プロパノール
・水
(実施例1)
<支持体の作製>
厚さ0.24mmのアルミニウム板(Si:0.06%、Fe:0.30%、Cu:0.014%、Mn:0.001%、Mg:0.001%、Zn:0.001%、Ti:0.03%を含有し、残部はAlと不可避不純物のアルミニウム合金)に対し以下に示す表面処理を連続的に行った。
60Hzの交流電圧を用いて連続的に電気化学的な粗面化処理を行った。このときの電解液は、硝酸10g/リットル水溶液(アルミニウムイオンを5g/リットル、アンモニウムイオンを0.007%含む。)、温度80℃であった。水洗後、アルミニウム板をカセイソーダ濃度26%、アルミニウムイオン濃度6.5%でスプレーによるエッチング処理を32℃で行い、アルミニウム板を0.20g/m2溶解し、スプレーによる水洗を行った。その後、温度60℃の硫酸濃度25%水溶液(アルミニウムイオンを0.5%含む。)で、スプレーによるデスマット処理を行い、スプレーによる水洗を行った。
二段給電電解処理法の陽極酸化装置を用いて陽極酸化処理を行った。電解部に供給した電解液としては、硫酸を用いた。その後、スプレーによる水洗を行った。最終的な酸化皮膜量は2.7g/m2であった。
陽極酸化処理により得られたアルミニウム支持体を温度30℃の3号ケイ酸ソーダの1%水溶液の処理槽中へ、10秒間、浸せきすることでアルカリ金属ケイ酸塩処理(シリケート処理)を行った。その後、スプレーによる水洗を行った。
上記のようにして得られたアルカリ金属ケイ酸塩処理後のアルミニウム支持体上に、下記組成の下塗液を塗布し、80℃で15秒間乾燥し、塗膜を形成させた。乾燥後の塗膜の被覆量は15mg/m2であった。
−下塗り液−
・β−アラニン 0.5部
・メタノール 95部
・水 5部
<記録層の形成>
上記により得られた支持体に、下記組成の下層用塗布液1を塗布量が1.5g/m2になるようバーコーターで塗布したのち、160℃で44秒間乾燥し、直ちに17〜20℃の冷風で支持体の温度が35℃になるまで冷却した。
−下層用塗布液1−
・水不溶性かつアルカリ可溶性樹脂(b)−1(N−フェニルマレイミド/メタクリル酸/メタクリルアミドコポリマー) 5.21部
・シアニン染料A 0.94部
・クリスタルヴァイオレット(保土ヶ谷化学(株)製) 0.08部
・メガファックF−177(DIC(株)製、フッ素系界面活性剤) 0.05部
・γ−ブチロラクトン 10部
・メチルエチルケトン 61部
・1−メトキシ−2−プロパノール 14部
・水 9.34部
その後、下記組成の上層用塗布液1を塗布量が0.5g/m2になるようバーコーター塗布したのち、130℃で40秒間乾燥し、さらに20〜26℃の風で徐冷し、実施例1の平版印刷版原版を作製した。
−上層用塗布液1−
・スチレン/アクリロニトリル/メタクリル酸コポリマー(組成比69mol%/25mol%/6mol%、重量平均分子量 45,000) 20部
・アルカリ可溶性樹脂:前記ポリウレタン1 10部
・エチルヴァイオレット 0.03部
・メガファックF−177(DIC(株)製、フッ素系界面活性剤) 0.05部
・3−ペンタノン 60部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルー2−アセテート 8部
(平版印刷版原版の製版及び評価)
得られた実施例1〜5の平版印刷版原版、及び、比較例1〜2の平版印刷版原版を用い、本発明の作製方法に係る露光工程及び現像工程により製版処理を行った後、以下に示す各評価を行った。各評価に適用した露光工程及び現像工程及び評価方法の詳細は、以下の通りである。評価結果を表1に示した。
1.大量製版した際の現像カス付着評価
(露光工程)
得られた実施例1の平版印刷版原版を、1,030mm×800mmサイズに裁断し、赤外線半導体レーザー(Creo社製Trendsetter3244VX:水冷式40W赤外線半導体レーザー搭載)にて、露光エネルギー150mJ/cm2でテストパターンを画像状に描き込みを行った。
(現像工程)
その後、下記組成の特定現像液Aを用い、図1に示す自動現像処理機(現像槽25L、版搬送速度100cm/min、ポリブチレンテレフタレート繊維(毛直径200μm、毛長17mm)を植え込んだ外径50mmのブラシロール1本が搬送方向と同一方向に毎分200回転(ブラシの先端の周速0.52m/sec)、乾燥温度80℃)にて現像処理を実施し、平版印刷版を得た。
(特定現像液Aの組成)
・水 796部
・炭酸ナトリウム 12.8部
・炭酸水素ナトリウム 7.0部
・グルコン酸ナトリウム 15.5部
・ソフタゾリンLPB−R(30%水溶液) 154.0部
・ソフタゾリンLAO(30%水溶液) 38.0部
・エチレンジアミンジサクシネート 6.7部
pH9.85
上記した露光処理及び現像処理を、100版/日で5日間連続して行った。その後、自動現像処理機を3日間停止した後、再起動させ、上記と同じ露光処理及び現像処理条件で露光処理及び現像処理を行った。再起動後の一枚目の平版印刷版に形成された非画像部の全域について、自動現像処理機の現像槽に発生した析出物に起因するカスの付着個数を目視で計数した。結果を表1に示す。
2.強制経時させた平版印刷版原版を用いた現像性評価
(露光工程)
得られた実施例1〜5の平版印刷版原版、及び、比較例1〜2の平版印刷版原版を、500mm×600mmに裁断し、各平版印刷版原版の間に保護用のはさみ紙を入れながら30枚積み重ねた積層体とした。その後、積層体の上下をポリエチレンラミネートしたボール紙で挟み、アルミクラフト紙で外気を遮断するように包装した。この包装品を40℃のサーモセルコ(楠本化成(株)製、FX224P型)に24時間入れた後に、Creo社製Trendsetterにて0W〜10Wまで、0.5W間隔でパワー露光した。
(現像工程)
その後、現像カス付着の評価と同様にして現像処理を行い平版印刷版を得た。
現像処理後の各平版印刷版について、ルーペを用いて目視で観察することで、何Wで非画像部が完全に露出するかを求めた。以後、完全に非画像部が露出する露光量をクリア感度と称する。このとき、40℃のサーモセルコに入れていない平版印刷版原版についても同様にしてクリア感度(W)を求め、サーモセルコに入れたものと、入れないものとのクリア感度差を求めた。
クリア感度差が小さい程、現像性に優れると評価する。結果を表1に示した。
(実施例2〜5、並びに、比較例1及び2)
上層用塗布液及び下層用塗布液を表1に記載の組成に変更した以外は、実施例1と同様にして実施例2〜5、並びに、比較例1及び2の平版印刷版原版を作製した。
Figure 0005395714
(実施例6及び7、並びに、比較例3及び4)
実施例1において使用した現像液Aを現像液B〜Eに変更した以外は、実施例1と同様にして評価した。評価結果を表2に示した。
Figure 0005395714
表2に記載された界面活性剤は、下記の通りである。
・ソフタゾリンLPB−R(30%):ラウリン酸アミドプロピルベタイン水溶液(川研ファインケミカル(株)製)
・ソフタゾリンLAO(30%):ラウラミドプロピルアミンオキシド水溶液(川研ファインケミカル(株)製)
・タケサーフ C−157−L:両性界面活性剤(前記W−2)の30重量%水溶液(竹本油脂(株)製)
表の結果から、本発明の平版印刷版の製版方法によると、弱アルカリ性の現像液による一浴処理にも拘らず現像槽中にカスを生じることがなく、処理性に優れており、また、さらに、現像処理後の置き版による耐刷性の低下が殆どない。
自動現像処理機の構造を示す説明図である。
4 平版印刷版原版
6 現像部
10 乾燥部
16 搬送ローラ
20 現像槽
22 搬送ローラ
24 ブラシローラ
26 スクイズローラ
28 バックアップローラ
36 ガイドローラ
38 串ローラ

Claims (9)

  1. 支持体上に、(成分A)(メタ)アクリロニトリルに由来する構成単位と、スチレンに由来する構成単位とを含むコポリマー、(成分B)水不溶性かつアルカリ可溶性の樹脂、及び、(成分C)赤外線吸収剤、を含有し、露光又は加熱によりアルカリ水溶液に対する溶解性が向上するポジ型記録層を設けた赤外線レーザー用ポジ型平版印刷版原版を画像露光する露光工程、並びに、
    両性界面活性剤を含有し、pHが8.5〜10.8のアルカリ水溶液を用いて現像する現像工程、をこの順で含むことを特徴とする
    平版印刷版の製版方法。
  2. 前記アルカリ水溶液が、両性界面活性剤として式<1>で表される化合物、及び/又は、式<2>で表される化合物を含む、請求項1に記載の平版印刷版の製版方法。
    Figure 0005395714
    (式<1>中、R8はアルキル基を表し、R9及びR10はそれぞれ独立に、水素原子又はアルキル基を表し、R11はアルキレン基を表し、Aはカルボン酸イオン又はスルホン酸イオンを表す。式<2>中、R18、R19及びR20はそれぞれ独立に、水素原子又はアルキル基を表す。ただし、R18、R19及びR20の全てが、水素原子であることはない。)
  3. 前記アルカリ水溶液が、炭酸イオンと炭酸水素イオンとの組み合わせを含む、請求項1又は2に記載の平版印刷版の製版方法。
  4. 前記現像工程が、現像、及び、ガム引きを一浴で行う工程である、請求項1〜3のいずれか1つに記載の平版印刷版の製版方法。
  5. 前記現像工程の前及び後のいずれにも水洗工程を施さない、請求項1〜4のいずれか1つに記載の平版印刷版の製版方法。
  6. 前記ポジ型記録層が、前記成分Aを含有する上層と、前記成分B及び前記成分Cを含有する下層とからなる層である、請求項1〜5のいずれか1つに記載の平版印刷版の製版方法。
  7. 前記上層がさらにアルカリ可溶性樹脂を含む、請求項1〜6のいずれか1つに記載の平版印刷版の製版方法。
  8. 前記成分Bが、N−置換マレイミドに由来する構成単位、(メタ)アクリルアミドに由来する構成単位、及び、(メタ)アクリル酸に由来する構成単位を含むコポリマーである、請求項1〜7のいずれか1つに記載の平版印刷版の製版方法。
  9. 前記成分Cが、シアニン色素である、請求項1〜8のいずれか1つに記載の平版印刷版の製版方法。
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