JP5394795B2 - 電子写真現像剤用キャリア芯材および電子写真現像剤用キャリア並びに電子写真現像剤 - Google Patents

電子写真現像剤用キャリア芯材および電子写真現像剤用キャリア並びに電子写真現像剤 Download PDF

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Description

本発明は、二成分系電子写真用現像剤において、トナーと混合されて使用される二成分系電子写真現像剤用キャリアに関する。
近年、電子写真方式を用いた複写機、プリンター等の装置が広く普及するに従い、その用途も多岐にわたっている。そして、市場において、当該電子写真に関しては高画質化の要求が高まっている。
電子写真現像法としての二成分系現像では、キャリアは磁気ブラシを形成することによりトナーの搬送を行うだけでなく、トナーとの摩擦帯電より所望の電荷をトナーに与える役割を持つ。このような特徴を満たす材料として、表面を樹脂コートしたフェライト、マグネタイトなどの磁性粉末が好適に使用されている。
上記の現像時の異常現象として、たとえば磁気ブラシを形成するキャリアが現像中に飛散し、現像媒体へ転写される現象、すなわちキャリア付着があげられる。キャリア付着の抑制手段としては、磁化の高いキャリア芯材を用いる方法が提案されている。たとえば特許文献1に見られるような磁場1000Oeにおける磁化が67emu/g〜88emu/g、および飛散物と本体との磁化の差が10emu/g以下に規定されたキャリア芯材を用いることにより、磁気ブラシの保持力を向上させる方法が開示されている。
一方で、電子写真現像において高品位の画像特性を安定して実現するためには、磁性キャリアが高い絶縁性を有していることが要求される。たとえば、特許文献2に見られるように、印加電圧100Vにおける電気抵抗率が107Ω・cm以上1014Ω・cm以下であるキャリア芯材を使用することにより、線再現性に優れるなど高品位の画像特性が安定して得られ、高電圧を印加した場合でもキャリアのブレークダウンが防止できる。キャリア芯材の高絶縁性化は、焼成後の粉末を酸化処理すること等によって付与することができることが報告されている。
特開2002−296846号公報 特許3347193
上記の事項に見られるように、電子写真現像法における画質特性の向上には、現像剤用キャリア芯材の磁気特性、絶縁性が重要な特性となる。
しかしながら、これまでの技術に見られるようなキャリア芯材の製造方法では、芯材の磁気特性と絶縁性はトレードオフの関係にあり、両者を満足する水準の芯材を再現性良く生産することは困難であった。
すなわち、先行文献に見られるキャリア芯材の製造方法は、マグネタイトまたはフェライト粒子を合成した後に大気中などで酸化処理により磁性相を一部分解し、絶縁層を形成することによって高抵抗化を行っているが、これは同時に磁性相の減少を伴う。このため、芯材の磁気特性と絶縁性はトレードオフの関係にあり、高磁力かつ高抵抗の芯材を得ることが困難であった。
本発明は上記の状況を鑑みなされたものであり、高磁力かつ絶縁性に優れたキャリア芯材を提供する事を目的としたものである。本発明者らはキャリア芯材の製造条件について詳細な検討を行い、磁性相の結晶構造の最適化を行った。そして、本発明者らは目的とする結晶構造を得るために芯材の熱処理条件および熱処理前材料の結晶性の調整を行うことにより上記のトレードオフの改善を行うことが可能であることを確認し本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
スピネル構造AB24(但し、A、Bはともに鉄元素(Fe))を有し、Bサイトに位置する元素のサイト占有率が83%以上94%以下である、電子写真現像剤用キャリア芯材である。
さらに本発明の電子写真現像剤用キャリア芯材は、比表面積が0.1m2/g以下である。
さらに本発明の電子写真現像剤用キャリア芯材は、平均粒径が10μm〜100μmである。
さらに本発明の電子写真現像剤用キャリア芯材は、外部磁場1000Oeにおける磁化が60emu/g以上であり、かつ印加電圧1000Vにおける抵抗率が、1×108Ω・cm以上である。
さらに本発明は、比表面積が0.1m2/g以下の磁性粒子を酸素濃度10000ppm以下の雰囲気下で200℃〜500℃で熱処理することを特徴とする電子写真現像剤用キャリア芯材の製造方法でもある。
また、本発明は上記電子写真現像剤用のキャリア芯材を樹脂コートすることにより得られる、電子写真現像剤用キャリアを提供する。
また、本発明は上記電子写真現像剤用キャリアとトナーを混合した電子写真現像剤をも提供する。
本発明に関するキャリア芯材は、高い磁化と高い絶縁性を有するので、現像剤用キャリアとして用いることにより、複写機、プリンター等の電子写真現像において、電気的あるいは磁気的な要因により発生する画質異常を低減し、長期にわたり安定した画像を得ることが可能である。
実施例1から3及び比較例1〜5に関するキャリア芯材のXRDパターンを示す図である。 実施例1から3及び比較例1〜5に関するキャリア芯材の絶縁性と磁化の関係を示すグラフである。
以下、本発明について、電子写真現像剤用キャリア芯材、電子写真現像剤用キャリア芯材の製造方法、電子写真現像剤用キャリア、電子写真現像剤、の順で説明する。
<構造>
本発明に関するキャリア芯材はスピネル構造AB24(但し、A、Bは鉄(Fe)元素)を有し、かつBサイトに位置する元素のサイト占有率が83%以上94%以下であることが好ましい。上記の結晶構造を持つとき、後述のように磁気特性および絶縁性の両者に優れたキャリア芯材を得ることが可能である。
本発明でいうスピネル構造AB24とは、スピネル(尖晶石)MgAl24と同一の結晶構造を意味し、Mg原子の位置をAサイト、Al原子の位置をBサイトと呼ぶ。尚、このAサイトおよびBサイトに位置する元素が鉄(Fe)であり、かつその占有率が100%である物質は、一般的なマグネタイトFe34であり、Bサイトのサイト占有率が83%である場合はγ−Fe23であらわされる磁性物質である。
したがって、結晶構造因子が上記範囲を満たす物質はマグネタイトとγ−Fe23との中間に位置する構造を有し、磁気特性は維持される一方で、マグネタイトと比較して構造中の2価鉄と3価鉄の比率(Fe2+/Fe3+)が減少することにより、両者間での電子の授受に起因する電導機構が抑制され、絶縁性が向上していると考えられる。
<粒径>
本発明に関するキャリア芯材は、平均粒径10μm以上100μm以下であることが好ましい。キャリア芯材の粒径が10μmより小さいとキャリア粒子ひとつひとつの磁化が小さくなるため、キャリア付着現象を抑制することが困難となり好ましくない。また粒径が100μmよりも大きいと所望の画質特性を得にくく、好ましくない。
<磁気特性>
本発明に関するキャリア芯材となる物質は、外部磁場1000Oeにおける磁化であるσ1000の値が60emu/g以上であることが好ましい。芯材の磁化が上記の範囲を満たすとき、現像機内で磁気ブラシを構成した際のキャリア同士の保持力が強く、キャリア付着現象を生じにくくなるためである。
<絶縁性>
本発明に関するキャリア芯材は、印加電圧1000Vにおける抵抗率が、1×108Ω・cm以上であること好ましい。このように高い絶縁性を有するキャリア芯材は、良好な線再現性を得ることが可能であり、加えて長期の使用によりコート膜の磨耗や剥離が生じてもキャリアの絶縁性が維持されるため、長期にわたり安定した画質を得ることが可能である。
<キャリア芯材の製造方法>
次に、キャリア芯材の製造方法について、原料、造粒工程、焼成工程、熱処理工程の順に説明する。
<原料>
本発明に係る磁性キャリア芯材の原料は、金属鉄のFeまたはその酸化物であるFe23、Fe34、FeOなど用いる事ができる。
<造粒工程>
[スラリー化〕
上記の原料を所定の混合比となるよう秤量した後、これらを媒体液中で混合撹拌することによってスラリー化する(スラリー化工程)。当該スラリー化前に、必要に応じて、原材料に乾式粉砕処理を加えてもよい。また、スラリーの固形分濃度は70〜90質量%になるように、原料粉と媒体液の混合比を設定するのが望ましい。固形分の濃度が低い場合は、造粒物の密度が十分ではなく、焼成後の粒子の表面積が高くなり、後に説明するような不具合が生じる。また、固形分濃度が高い場合はスラリー化できない。媒体液は、水にバインダー、分散剤等を添加したものを用いる。なお、混合攪拌して得られたスラリーに対し、さらに湿式粉砕処理を施すことが好ましい。
〔造粒〕
造粒は、上記スラリーを噴霧乾燥し、粒子化する工程である。噴霧乾燥のための装置としては、一般的なスプレードライヤーを用いればよい。噴霧乾燥時の雰囲気温度は100〜300℃程度とすればよい。これにより、概ね、粒子径が10〜200μmの造粒粉を得ることができる(造粒工程)。得られた造粒粉は製品最終粒径を考慮し、振動ふるい等を用いて、粗大粒子や微粉を除去することにより粒度調整することが望ましい。
<焼成工程>
次に、造粒粉を加熱した炉に投入して焼成する。焼成工程によって造粒粉は、目的とする構造であるスピネル構造AB24に変化する。また、本発明に関する製造方法の特徴として、この焼成工程の結果得られる焼成物の比表面積を0.1m2/g以下に焼き上げることが重要である。焼成物の比表面積が低いということは、粒子表面に空孔が少ないことだけでなく結晶構造が強固であることを意味し、後に示す熱処理工程において分解反応を生ずることなく目的とするキャリア芯材を得ることを可能にする条件となる。
焼成温度は、十分な生産性を確保できる反応速度を得るために900℃以上の温度であることが望ましい。一方、1500℃以上の温度では、粒子同士の過剰焼結が起こり、粉体の形態で焼成物を得ることが難しくなる。従って、焼成温度は900〜1500℃の範囲にあることが好ましく、1200℃〜1300℃で焼成することがより好ましい。1200℃〜1300℃で焼成すると焼成物の比表面積が下がるからである。
得られた焼成物は、この段階で粒度調整することが望ましい。例えば、焼成物をハンマーミル等で解粒し、振動篩などで分級を行うことにより、所望の粒径を持った粒子を得ることができる。
<熱処理工程>
得られた粒子を、所定の雰囲気下で熱処理を行う。当該熱処理は、雰囲気制御が可能な加熱炉を用いることが好ましい。熱処理条件は、酸素濃度10000ppm以下かつ200〜500℃の範囲で行うことが好ましい。熱処理条件が上記範囲外では、熱処理による構造の変化が得られないか、急激な酸化分解により不純物となるヘマタイト(Fe23)が生成し、所望の絶縁性、磁気特性を有するキャリア芯材を製造することができない。処理時間は、構造が変化するのに十分な時間をとればよく、好ましくは5時間以上である。
また、前述のとおり被処理物である粒子の比表面積は0.1m2/g以下である必要がある。比表面積が高い場合、構造の変化よりも先に酸化分解反応が生じてしまうため、いかなる熱処理条件においても所望の絶縁性、磁気特性を有するキャリア芯材を得ることはできない。以上の工程によって本発明の電子写真現像剤用キャリア芯材を得ることができる。
<電子写真現像剤用キャリア>
本発明に係る電子写真現像剤用キャリア芯材をシリコーン系樹脂等で被覆し、帯電性の付与および耐久性を向上させることで電子写真現像剤用キャリアを得ることが出来る。当該シリコーン系樹脂等の被覆方法は、公知の手法を用いることができる。例えば、トルエン等の溶剤でシリコーン樹脂を分散させ、これを電子写真現像用キャリア芯材に流動コーティング装置などを用いてスプレーコートし、100℃乃至300℃で10分乃至60分程度の熱処理を行うことで、樹脂で被覆された電子写真現像用キャリアを得ることができる。
<電子写真現像剤>
本発明に係る電子写真現像剤用キャリアと適宜なトナーとを混合することで、本発明に係る電子写真現像剤を得ることが出来る。
次に本発明の実施例を示すにあたり、各物性値の測定方法について記述する。
<結晶構造>
キャリア芯材の結晶構造はXRD回折の結果により求めた。キャリア芯材をメノウ乳鉢で粉砕した後、RIGAKU製、ULTIMA IVを用いてXRDパターンを得た。XRD発生源はCu管球を使用し、印可電圧40kV、電流値40mAでX線を発生させた。測定条件は測定範囲15°〜100°(2θ)、操作速度0.1°/min、ステップ幅は0.02°、積算回数5回であった。
得られたXRDパターンに対してリートベルト解析を行い芯材の結晶構造を決定した。解析に使用したプログラムは、「RIETAN−2000」である。
<磁気特性>
キャリア芯材の磁気特性は、VSM(東英工業株式会社製、VSM−P7)を用いて磁化の測定を行い、外部磁場1000Oeにおける磁化σ1000(emu/g)を得た。
<抵抗率の測定>
キャリア芯材の、絶縁性は以下の方法で測定した。電極として表面を電解研磨した板厚2mmの真鍮板2枚を電極間距離が2mmとなるように配置し、2枚の電極板の間の空隙に被測定粉体200mgを装入したのち、それぞれの電極板の背後に断面積240mm2の磁石を配置して電極間に被測定粉体のブリッジを形成させた状態で電極間に1000Vの直流電圧を印加し、被測定粉体を流れる電流値を4端子法により測定した。その電流値と、電極間距離(2mm)および断面積(240mm2)から、被測定粉体の抵抗率を算出した。なお、使用する磁石は粉体がブリッジを形成できさえすれば、特に限定されるものではない。後述する実施例では表面磁束密度が1500ガウスの永久磁石(フェライト磁石)を使用した。
<比表面積>
粉末の比表面積は、マウンテック社製、「Macsorb(Model:1208)」を用い、BET法により求めた。吸着ガスは窒素、キャリアガスはヘリウムを用いた。
(実施例1)
ヘマタイトFe23(平均粒径:0.6μm)10kgを純水3.0kg中に分散し、分散剤としてポリカルボン酸アンモニウム系分散剤を60g添加して混合物とした。当該混合物を湿式ボールミル(メディア径2mm)により粉砕処理し、固形分濃度77%となるFe23のスラリーを得た。このスラリーをスプレードライヤーにて約130℃の熱風中に噴霧し、粒径10〜100μmの乾燥造粒粉を得た。尚、このとき、粒径が100μmを超えるような造粒粉は、篩により除去した。
この造粒粉を、電気炉に投入して窒素ガスフロー中にて1200℃で3時間焼成した。得られた焼成品を粉砕処理したのち、篩を用いて分級することにより、粒径50μmの磁性粉末を得た。得られた焼成物の比表面積は0.04m2/gであった。
この焼成物を、酸素濃度1000ppmの雰囲気に調整した電気炉内にて400℃で5時間熱処理を行い、実施例1に関するキャリア芯材を得た。
(実施例2)
実施例1において、熱処理時の酸素濃度を1000ppm、処理温度を450℃とする以外は同様にして処理を行い、実施例2に関するキャリア芯材を得た。
(実施例3)
実施例1において、熱処理時の酸素濃度を5000ppm、処理温度を400℃とする以外は同様にして処理を行い、実施例3に関するキャリア芯材を得た。
(比較例1)
実施例1において、焼成後の熱処理を行わないこと以外は同様にして処理を行い、比較例1に関するキャリア芯材を得た。
(比較例2)
実施例1において、熱処理時の酸素濃度を1000ppm、処理温度を600℃とする以外は同様にして処理を行い、比較例2に関するキャリア芯材を得た。
(比較例3)
実施例1において、熱処理時の酸素濃度を21%すなわち大気中で、処理温度を400℃とする以外は同様にして処理を行い、比較例3に関するキャリア芯材を得た。
(比較例4)
ヘマタイトFe23(平均粒径:0.6μm)10kgを純水6.0kg中に分散し、分散剤としてポリカルボン酸アンモニウム系分散剤を60g添加して混合物とした。当該混合物を湿式ボールミル(メディア径2mm)により粉砕処理し、固形分濃度62.5%となるFe23のスラリーを得た。このスラリーをスプレードライヤーにて約130℃の熱風中に噴霧し、粒径10〜100μmの乾燥造粒粉を得た。尚、このとき、粒径が100μmを超えるような造粒粉は、篩により除去した。このスラリーをスプレードライヤーにて約130℃の熱風中に噴霧し、粒径10〜100μmの乾燥造粒粉を得た。尚、このとき、粒径が100μmを超えるような造粒粉は、篩により除去した。
この造粒粉を、電気炉に投入して窒素ガスフロー中にて1000℃で3時間焼成した。得られた焼成品を粉砕処理したのち、篩を用いて分級することにより、粒径50μmの磁性粉末を得た。得られた焼成物の比表面積は0.24m2/gであった。この焼成物を、酸素濃度1000ppmの雰囲気に調整した電気炉内にて500℃で5時間熱処理を行い、比較例4に関するキャリア芯材を得た。
すなわち、比較例4は実施例1と比べ、スラリーの固形分比率が低く、焼成温度が低く、熱処理温度が高い条件で製造されたキャリア芯材である。
(比較例5)
比較例4において、熱処理時の酸素濃度を1000ppm、処理温度を400℃とする以外は同様にして処理を行い、比較例5に関するキャリア芯材を得た。酸素濃度と処理温度は実施例1と同じであるので、比較例5は実施例1と比較し、スラリーの固形分比率が低く、焼成温度が低い条件で製造されたキャリア芯材である。
実施例1から3、及び比較例1から5に関するキャリア芯材のXRD回折パターンを図1に示す。実施例1から3および比較例1のピークはすべてスピネル構造のものと一致し、単相であることが確認された。比較例2から5においては、図1中の(●)で示すピークが発生し、主成分であるスピネル構造以外の不純物の存在が確認された。この不純物は化学式Fe23で表されるヘマタイトであった。
さらに回折パターンから主成分に対して構造解析を実施した結果および磁気特性と絶縁性の測定結果を表1に示す。いずれの解析結果においても、1.0<S値<1.3を満たし良好なフィッテングが得られている。また実施例1から3の構造においては比較例と比較してBサイト原子のサイト占有率の低下が確認された。
Figure 0005394795
実施例1から3はいずれも外部磁場1000Oeにおける磁化であるσ1000が63emu/g以上、印加磁場1000Vにおける抵抗率が108Ω・cm以上の非常に高い特性を両立させていた。一方、比較例は比較例1のσ1000は実施例並みであったが、抵抗率は106Ω・cm以下と低くかった。他の比較例も抵抗率で高い値を示すもの(比較例2、3、4)はあったが、σ1000が60emu/g以下と低かった。
実施例と比較例の構造的な違いは、すでに説明したように、ヘマタイト相の無いスピネル単相である点と、Bサイト原子のサイト占有率がγ−Fe23にならない程度に低いという点である。
(実施例および比較例のまとめ)
実施例および比較例に関するキャリア芯材の磁化σ1000(emu/g)と抵抗率ρ(Ω・cm)の関係を図2に示す。横軸は磁化σ1000であり、縦軸は抵抗率ρである。図2より、磁化と絶縁性の間にはトレードオフ(反比例)の関係が存在し、比較例においては抵抗率を1.0×108以上とする場合には磁化が59emu/g以下となる。このような低磁化の芯材を使用した際には前述のように現像過程においてキャリアの飛散などの異常現象を生じやすく、現像剤用キャリア芯材としては不適切である。逆に磁化60emu/g以上とする場合には絶縁性が不足し、キャリアの耐久性が悪化する。
このようなトレードオフが生じる原因は、従来技術における高抵抗化処理(酸化処理)が、不純物としてヘマタイトを析出させることにより絶縁性を高めていることに由来する。これに対し、実施例に関するキャリア芯材は磁化および絶縁性の両者に関して高い水準を満たし、現像剤用キャリア芯材として好ましい特性を示した。
次に、実施例に関するキャリア芯材が優れた磁気特性および絶縁性を示す要因について述べる。表1にみられるように、実施例1および2に関するキャリア芯材の結晶構造はAB24であらわされるスピネル構造単相となっているものの、Bサイトに位置する元素に比較的大きな欠損を生じていることがわかる。この構造は、熱処理を行わない比較例1や従来技術において酸化処理と呼ばれる熱処理によって得られた比較例3など通常のマグネタイト芯材とは異なる構造を有している。
本発明者らの検討の結果、このように特殊な結晶構造を有している場合において、磁気特性および絶縁性に優れたキャリア芯材が得られることが確かめられた。
また、実施例1から3と比較例4、5の違いは、熱処理前における処理物の表面積の違いであるが、本発明者らの検討の結果、表面積の高い粒子を用いた場合には、いかなる条件においても磁気特性、絶縁性の両者において優れた特性をもつ芯材は得られなかった。この原因は、処理物の表面積が高い場合には、粒子表面に空孔が多いために酸化反応の速度が速く、更に結晶構造が変化しやすいため、目的とする構造が生成するよりも早く分解反応が起き、ヘマタイトFe23が発生してしまうからであると考えられる。
尚、表1には熱処理後の芯材の比表面積も合わせて記載してある。熱処理後の比表面積は熱処理前と比較して増加する傾向にあるが、その差は僅かであり大きな変化は見られていない。
上記の結果より、製造条件の調整により結晶構造を最適化した、本発明に関するキャリア芯材は、従来技術と比較して絶縁性と磁化の両者において高い水準を得られることが確かめられた。

Claims (7)

  1. スピネル構造AB(但し、A、Bはともに鉄元素(Fe))を有し、Bサイトに位置する元素のサイト占有率が83%以上94%以下である、電子写真現像剤用キャリア芯材。
  2. 比表面積が0.1m/g以下である、請求項1に記載された電子写真現像剤用キャリア芯材。
  3. 平均粒径が10μm〜100μmである、請求項1または2のいずれかに記載された電子写真現像剤用キャリア芯材。
  4. 外部磁場1000Oeにおける磁化が60emu/g以上であり、かつ印加電圧1000Vにおける抵抗率が、1×10Ω・cm以上である請求項1乃至3のいずれか1の請求項に記載された電子写真現像剤用キャリア芯材。
  5. 請求項1乃至4のいずれか1項に記載された電子写真現像剤用キャリア芯材を樹脂コートした電子写真現像剤用キャリア。
  6. 請求項5に記載された電子写真現像剤用キャリアとトナーからなる電子写真現像剤。
  7. ヘマタイトをスラリーにする工程と、
    前記スラリーを熱風中に噴霧して乾燥造粒粉を得る工程と、
    前記乾燥造粒粉を焼成する工程と、
    前記焼成した乾燥造粒粉を所定条件で熱処理する工程を含み、
    前記所定条件は、酸素濃度が10000ppm以下であり、温度が200℃〜500℃である電子写真現像剤用キャリア芯材の製造方法。
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