JP5394627B2 - 微細構造体の作製方法および微細構造体 - Google Patents

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Description

本発明は、増強電場を発生させる微細金属体を有する微細構造体の作製方法およびこの作製方法によって作製された微細構造体に関するものである。
ラマン分光法は、物質に単波長光を照射して得られる散乱光を分光し、ラマン散乱光のスペクトル(ラマンスペクトル)を得る方法であり、物質の同定等に利用されている。このラマン散乱光は微弱な光であるため、ナノオーダーの金属の微細構造(以下、金属ナノ構造という)に起因する局在プラズモン共鳴(プラズモン効果)を利用して、このラマン散乱光を増強させる表面増強ラマン散乱(SERS)効果を発現させる方法が提案されている。
また、10nm以下で近接した金属微粒子の間隙や、金属微粒子の凝集体の空隙には、近接効果によって、プラズモン効果による増強電場がより強められることが知られている。この間隙や空隙に物質を配置することによりSERS効果を得ることができる。
特許文献1には、このような金属ナノ構造を有する微細構造体として、基材の表層に複数の微細孔を1μm以下の間隔で形成し、この各微細孔にメッキ処理により金属を充填して、基材の表面から突出して微細孔の孔径よりも大きい頭部を形成し、この頭部同士の隙間が10nm以下になるまでメッキ処理を行うことにより作製され、近接効果により増強電場を得る微細構造体が記載されている。
一方、近接効果を利用せずにプラズモン効果による増強電場をより高める方法として、先端が先鋭化された金属ナノ構造を作製し、その先鋭化された先端に電場を集中させるアンテナ効果を利用する方法が知られている。
特許文献2には、このような、先端が先鋭化された構造として、基体上に複数の突起が近接して配列し、該突起の表面が金属膜で被覆されていることを特徴とする表面増強ラマン分光分析用治具が記載されている。特許文献2には、酸化亜鉛の針状結晶を基板上に作製し、その針状結晶に金属の被覆を形成して、表面増強ラマン分光分析用治具を作製することが記載されている。
特開2005−172569号公報 特開平6−342946号公報
ところで、特許文献1のように、近接効果を利用する場合、微細構造体によって形成された10nm以下の間隙(空隙)に測定対象物質を配置する必要がある。測定対象物質のサイズが間隙よりも大きい場合、測定対象物質が間隙に入らないため、SERS効果を好適に得ることができず、十分にラマン信号を得ることが出来ない。すなわち、近接効果を利用する場合には、測定対象物質のサイズに制限があった。
一方、アンテナ効果を利用する場合には、先端が先鋭化された構造を作製する必要があるが、ナノオーダーで先端が先鋭化された金属ナノ構造を作製することは非常に困難であった。
ここで、特許文献2に記載される方法は、酸化亜鉛の針状結晶を基板上に作製し、その針状結晶に金属の被覆を形成するというものであり、酸化亜鉛針状結晶の表面に金属を被覆したとしても、先端部に均一な金属の被覆膜を形成することは容易ではなく、やはり、先端が先鋭化された金属ナノ構造を作製するのは困難であるという問題があった。
本発明の目的は、上記従来技術の問題点を解決し、先鋭化された先端部のアンテナ効果により増強電場を発生させる金属ナノ構造を有する新規な微細構造体の作製方法、およびこの作製方法によって作製された微細構造体を提供することにある。
本発明の目的を達成するために、本発明の第1の態様は、増強電場を発生させる微細金属体を有する微細構造体の作製方法であって、基材の表面において開口し、内径が深さ方向によって異なり、かつ、先端部分でより細く、突出する凹部を有する微細孔を前記基材に形成する微細孔形成工程と、前記微細孔内に金属を充填して、前記突出する凹部に充填された前記金属からなる突起を先端部分に有する微細金属体を形成する金属充填工程と、前記微細金属体の先端部分の側から前記基材の少なくとも一部を除去し、前記微細金属体の先端部分の前記突起を少なくとも露出させる露出工程とを有する微細構造体の作製方法を提供するものである。
本発明の第1の態様において、前記微細孔形成工程は、陽極酸化、電子線リソグラフィ、ナノインプリント、および近接場光リソグラフィのうちの少なくとも1つの方法を用いて行うことが好ましい。
また、前記金属充填工程は、電解メッキ処理、無電解メッキ処理、ならびに、蒸着法およびスパッタ法のいずれかと熱溶解処理との組み合わせによる処理のうちのいずれか1つを用いて行うことが好ましい。
また、前記露出工程は、ウェットエッチングまたはドライエッチングにより行うことが好ましい。
ここで、前記微細孔形成工程は、陽極酸化処理を用いて、微細孔の前記突出する凹部が複数に分岐するより細い枝分れ形状である前記微細孔を形成する工程であることが好ましい。
また、前記微細孔形成工程は、前記陽極酸化処理により、微細孔に、略同一内径の部分を形成し、次いで、前記陽極酸化処理における印加電圧を断続的に減少させる電流回復処理により、略同一内径の部分に続く先端部分に、前記複数に分岐するより細い枝分れ形状を持つ分岐凹部を形成し、前記微細孔を形成する工程であることがより好ましい。
また、前記金属充填工程は、前記電解メッキ処理により、前記微細孔の前記先端部分の前記突出する凹部から前記金属体を成長させる工程であることが好ましい。
さらに、前記金属充填工程と前記露出工程との間に、前記基材の前記表面側に基板を配設する工程を有することが好ましい。
一方、前記微細孔形成工程は、微細孔の内径が、前記先端部分の前記突出する凹部も含め、前記基材の前記表面から前記深さ方向に向かって細くなるように、前記微細孔を形成する工程であることが好ましい。
また、前記微細孔が、略一定のテーパ角を有するテーパ形状であることが好ましい。
さらに、前記金属充填工程と前記露出工程との間に、前記基材の前記表面側に、基板を配設する工程を有し、前記露出工程は、前記基材を全て除去する工程であることが好ましい。
また、本発明の第2の態様の第1の形態は、基板と、前記基板に配設され、高さ方向に延びる柱状部、および前記柱状部に続く先端部分に複数に分岐するより細い枝分れ形状を持つ分岐突起部を備え、増強電場を発生させる微細金属体とを有することを特徴とする微細構造体を提供するものである。
本発明の第2の態様の第1の形態において、さらに、少なくとも微細金属体の先端部分の複数の前記分岐突起部を除く、前記微細金属体の前記柱状部によって埋められた微細孔を持つ基材を有することが好ましい。
また、本発明の第2の態様の第2の形態は、基板と、前記基板に配設され、前記基板側の基端から先端部分に向かって外径が細くなり、前記先端部分が先鋭なテーパ形状の突起を持ち、増強電場を発生させる微細金属体とを有することを特徴とする微細構造体を提供するものである。
ここで、本発明の第2の態様の第2の形態において、さらに、少なくとも微細金属体の先端部分の前記テーパ形状の突起を除く、前記微細金属体の前記基板側の基端から前記先端部分に向かって外径が細くなる部分によって埋められた微細孔を持つ基材を有することが好ましい。
なお、本発明の第2の態様において、前記微細金属体を複数有し、当該複数の微細金属体が、前記基板に均一に配設されていることが好ましい。
本発明の第1の態様の微細構造体の作製方法によれば、基材に、基材の表面において開口し、内径が深さ方向によって異なり、かつ、先端部分でより細く、突出する凹部を有する微細孔を形成し、次いで、微細孔内に金属を充填して、先端部分でより細く突出する凹部に充填された金属からなる突起を先端部分に有する微細金属体を形成し、次いで、微細金属体の先端部分の側から基材の少なくとも一部を除去して、微細金属体の先端部分の突起を少なくとも露出させることにより、増強電場を発生させる微細構造体を作製することができる。
また、本発明の第2の態様の第1の形態によれば、基板上に配設された微細金属体が、高さ方向に延びる柱状部およびこの柱状部に続く先端部分に複数に分岐する柱状部より細い枝分れ形状を持つ分岐突起部を備えることにより、アンテナ効果を利用して増強電場を発生させることができる微細構造体を提供することができる。
また、本発明の第2の態様の第2の形態によれば、基板上に配設された微細金属体が、基板側の基端から先端部分に向かって外径が細くなり、先端部分が先鋭なテーパ形状の突起を持つことにより、アンテナ効果を利用して増強電場を発生させることができる微細構造体を提供することができる。
また、本発明の第2の態様の第1および第2の形態の微細構造体によれば、アンテナ効果によってより細い突起、例えば、先鋭化された先端の周辺領域に増強電場を発生させるため、増強電場の発生領域に配置する物質に関してサイズの制約がなく、近接効果を利用した微細構造体では、増強電場の発生領域内に配置するのが困難であった、例えば、10nmを超えるような大サイズの物質であっても、増強電場の発生領域内に容易に配置できる。
以下に、本発明に係る微細構造体の作製方法およびこの作製方法によって作製された微細構造体を、添付の図面に示す好適実施形態に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明に係る微細構造体の一実施形態を模式的に示す斜視図である。また、図2は、本発明に係る微細構造体の作製方法の一実施形態として、図1に示す微細構造体の作製工程を示す工程図である。
図1に示す微細構造体10は、基板22と、基板22上に配設され、その表面で開口し規則的に配列された複数の微細孔14aが形成された誘電体基材12bと、柱状部18および柱状部18から延設された複数に分岐するより細い枝分れ形状を持つ分岐突起部20を備える複数の微細金属体16とを有する。
微細構造体10は、微細金属体16の先端に延設された分岐突起部20を有することにより、アンテナ効果を利用して増強電場を発生させることができる。
本実施形態において、誘電体基材12bは、アルミナ(Al)を主成分とする誘電体の板状部材である。誘電体基材12bは、後述する陽極酸化処理により、アルミニウム(Al)を主成分とする被陽極酸化金属基材12a(図2(A)参照)を酸化して得られたものである(図2(B)参照)。
誘電体基材12bには、複数の微細孔14aが略均一に配列されて形成されている。本実施形態において、複数の微細孔14aは、被陽極酸化金属基材12aに陽極酸化処理を施すことにより形成される。
ここで、隣接する微細孔14a同士のピッチや、微細孔14aの孔径は、特に制限的ではなく、陽極酸化処理によって、隣接する微細孔14a間のピッチ、各微細孔14aの形状、および微細孔14aの径が、略均一となるように制御可能な範囲であればよく、一例として、隣接する微細孔14a同士のピッチが、10〜500nmであり、微細孔14aの孔径が、5〜400nmである。
ここで、本実施形態では、誘電体基材12bは、アルミナを主成分とするとしたが、これに制限されず、陽極酸化処理可能な金属を被陽極酸化金属基材12a(図2参照)として、陽極酸化処理により酸化された金属酸化物であり、被陽極酸化物金属基材12aとしては、陽極酸化可能な金属であれば、任意の金属が使用できる。Al以外では、例えば、Ti、Ta、Hf、Zr、Si、In、Zn等が挙げられ、これら金属(Alを含む)の2種以上を含むものであってもよい。
微細金属体16は、微細孔14aの内部に充填された柱状部18と、この柱状部18の先端から延設された分岐突起部20とを備える。
柱状部18は、微細孔14aと同一の径を有する柱状の金属部材であり、基板22側を基端として、誘電体基材12bの開口部まで延設されている。
柱状部12の先端から分岐突起部20が延設されている。分岐突起部20は、柱状部18よりも細い外径を有し、柱状部18の先端から1以上に分岐した枝分れ形状の突起を有する。なお、枝分れ形状の突起は、柱状部18の先端から分岐した先で、さらに複数に分岐している形状の突起を含む。
分岐突起部20では、柱状部18の先端から枝分れした枝分れ形状の突起は、それぞれ、基本的に異なる方向に向かって延設され、枝分れ形状の突起の各先端は、それぞれ、基本的に異なる方向を向いている。なお、本実施形態において、枝分れ形状の突起の各先端のうち、同一方向を向いているものが存在する場合があることは言うまでもない。
このように、微細金属体16は、柱状部18よりも細い径を有し、複数に分岐した枝状の突起を有する分岐突起部20を有し、先端部が先鋭化されている。これにより、先鋭化された先端、すなわち分岐突起部20における局在プラズモン共鳴現象により分岐突起部20に電場が集中し、分岐突起部20の周辺に増強電場が発生する(アンテナ効果)。
分岐突起部20における枝状の突起の径は、電場増強効果を好適に得ることができる値であれば特に制限はなく、微細金属体16に用いる金属や、所望する増強電場の強度等に応じて適宜成形すればよい。なお、分岐突起部20は、その形状がより先鋭であるのが好ましい。
微細金属体16としては、局在プラズモン共鳴現象を生じる金属であればどのようなものでもよいが、局在プラズモン共鳴現象を発生しやすい金属としては、Au、Ag、Cu、Pt、Ni、Ti、Al等が挙げられ、電場増強効果が高いAu、Ag等が特に好ましい。
基板22は、誘電体基材12bおよび複数の微細金属体16を支持する基板である。基板22としては、特に制限はなく、微細構造体10の作製プロセスや、用途に応じて適宜選択すればよい。たとえば、微細構造体10の作製工程にエッチング工程が含まれる場合には、エッチング耐性を有するものであるのが好ましく、また、微細構造体10をラマン分光測定に用いる場合に測定結果に影響を与えることがないものであるのが好ましい。
基板としては、例えば、シリコン、ガラス、ステンレス(SUS)、イットリウム安定化ジルコニア(YSZ)、サファイヤ、およびシリコンカーバイド等が挙げられる。
本実施形形態の微細構造体10によれば、柱状部18の先端から延設され、この柱状部よりも細い分岐突起部20を有することにより、微細金属体16の先端が先鋭化されている。この先鋭化された先端を形成する分岐突起部20に電場が集中する、アンテナ効果により、分岐突起部20の周辺領域に増強電場を発生させることができる。
ところで、増強電場を発生させる微細構造体をラマン散乱分光測定装置に用いる場合、SERS効果を得るためには、増強電場発生領域に測定対象物質を配置する必要がある。上述したように、近接効果を利用した微細構造体では、10nmを超えるような大サイズの物質を増強電場発生領域内に配置するのが困難であった。これ比して、本実施形態の微細構造体10によれば、分岐突起部20の周辺領域に増強電場を発生させるため、分岐突起部20上に測定対象物質を配置することで、増強電場発生領域内に配置することができる。例えば、10nmを超えるサイズの物質であっても、増強電場発生領域内に配置できる。すなわち、本実施形態の微細構造体10では、増強電場発生領域に配置する物質に関して、サイズの制約を受けることがない点が好ましい。
また、分岐突起部20が、柱状部18の先端から、複数の方向に向かって延設されており、枝分れしたそれぞれの先鋭化された枝状の突起において増強電場を発生させることができるため、増強電場発生領域を基材12の面方向に拡大することができる。
また、微細金属体16が、略均一に配置されているため、増強電場発生領域を基材12の面方向に略均一に配置することができる。
また、微細構造体10では、先端が枝状の突起として先鋭化された微細金属体16が規則的に配置されているために、単純な金属微粒子分散による金属ナノ構造、島状構造による金属ナノ構造、および、金属粗面等の、面方向に不均一な形状を有する微細構造体よりも、高く安定した電場増強効果を得ることができる。
以下、図2(A)〜(G)を参照して、本発明の微細構造体の作製方法の一実施形態である、微細構造体10の作製方法を説明する。なお、図2は、微細構造体の作製方法を模式的に示した断面図あり、微細構造体10、および本実施形態の作製方法の各工程における中間構造体の一部を示す。
図2(A)に示すように、基材として、被陽極酸化金属基材12aを用意する。本実施形態では、被陽極酸化金属基材12aとしてAlを主成分とするものを用いる。ここで、本実施形態では、被陽極酸化金属基材12aの主成分とは、被陽極酸化金属基材12aを構成する成分の90%以上を占める成分をいう。
次に、被陽極酸化金属基材12aに陽極酸化処理を施し、図2(B)に示すように、複数の微細孔14aが開口された誘電体基材12bを形成する。
陽極酸化処理は、例えば、被陽極酸化金属基材12aを陽極とし、カーボンやアルミニウム等を陰極(対向電極)として、これらを陽極酸化用電解液に浸漬させ、陽極と陰極の間に電圧を印加することで実施できる。電解液としては制限されず、硫酸、リン酸、クロム酸、シュウ酸、スルファミン酸、ベンゼンスルホン酸、アミドスルホン酸等の酸を、1種又は2種以上含む酸性電解液が好ましく用いられる。
被陽極酸化金属基材12aを陽極酸化すると、表面12s(図示上面)から略垂直方向に酸化反応が進行し、アルミナを主成分とする誘電体基材12bが生成される。
陽極酸化により生成される誘電体基材12bは、平面視略正六角形状(図1参照)の微細柱状体24が隣接して配列した構造を有するものとなる。各微細柱状体24の略中心部には、誘電体基材12bの表面から深さ方向に、略同一の内径を持つ微細孔14aが開孔される。ここで、略同一の内径を持つ微細孔14aは、図1に示す微細構造体10の微細金属体16の柱状部18を形成するためのものである。
また、基材12の非陽極酸化部分である被陽極酸化金属基材12aと、誘電体基材12bとの界面であり、各微細柱状体24の底面は、丸みを帯びた形状となる。陽極酸化により生成されるアルミナ層の構造は、益田秀樹、「陽極酸化法によるメソポーラスアルミナの調製と機能材料としての応用」、材料技術Vol.15,No.10、1997年、p.34等に記載されている。
本実施形態では、陽極酸化処理の条件は、均一に配列された微細孔14aが複数開口された誘電体基材12b(メソポーラスアルミナ)を形成することができる条件であればよく、電解液としてシュウ酸を用いる場合、好適な条件としては、例えば、電解液濃度0.5M、液温15℃、印加電圧40Vである。
また、陽極酸化処理の電解時間を変えることで、任意の層厚の誘電体基材12bを生成できる。本実施形態では、少なくとも、被陽極酸化金属基材12aが残存するように、電解時間を設定する。
また、陽極酸化処理において、互いに隣接する微細孔14a同士のピッチは、10〜500nmの範囲で、また、微細孔14aの孔径は、5〜400nmの範囲でそれぞれ制御可能である。特開2001−9800号公報や特開2001−138300号公報には、微細孔の形成位置や孔径を制御する方法が開示されている。これらの方法を用いることにより、上記範囲内において任意の孔径を有する微細孔を、略規則的に配列形成することができる。
次いで、電流回復処理を施し、図2(C)に示すように、微細孔14aの先端から、複数に分岐する、微細孔14aより細い枝分れ形状を持つ分岐凹部14bを形成する。
本実施形態において、電流回復処理とは、上述の陽極酸化処理における印加電圧を断続的に減少させて、被陽極酸化金属基材12aに陽極酸化処理を施すものである。
具体的には、上述の陽極酸化処理により一定電圧を印加して微細孔14aを形成した後に、その印加電圧よりも低い電圧を印加すると、電流値が減少する。電圧を印加し続けると、微細孔14aの先端から、微細孔14aよりも内径が細い凹部が形成され、徐々に、電流値が増大する。
電流地の増大が緩やかになるか、あるいは電流値が一定になったら、印加していた電圧よりもさらに低い電圧を印加して、さらに細い凹部を形成する。電圧を印加し続け、電流地の増大が緩やかになる、あるいは電流値が一定になったら、再び、印加電圧を減少させる。
このように、陽極酸化処理において、断続的に印加電圧を減少させる電流回復処理を行うことにより、先端に向かって徐々に細くなる枝分れ形状の凹部を持つ分岐凹部14bを形成することができる。
このようにして形成された、分岐凹部14bは、上述の微細金属体16の分岐突起部20を形成するためのテンプレートとなる微細な空隙(凹部)である。分岐凹部14bは、微細孔14aよりも細い径を有する凹部であり、微細孔14aの先端(底面)から1以上に分岐した枝分れ形状の凹部を有する。分岐凹部14bの枝分れ形状の凹部は、微細孔14aの先端から分岐した先で、さらに複数に分岐している形状の凹部をも含む。分岐凹部14bは、基本的に異なる方向に向かって形成され、枝分れ形状の凹部の各先端は、基本的に互いに異なる方向を向いている。なお、本実施形態において、枝分れ形状の凹部の各先端のうち、同一方向を向いているものが存在する場合があることは言うまでもない。
枝分れ形状を有する分岐凹部14bの内径は、分岐突起部20の枝状の突起の外径と略同様であり、200nm以下の範囲であることが好ましい。
なお、電流回復処理は、陽極酸化処理において、印加していた電圧よりも低い電圧を、電流値の増大が緩やかになる、あるいは、電流値が一定になるまで印加するステップを繰り返し行う処理である。上記ステップの繰り返し回数や、各ステップにおける印加電圧等は、被陽極酸化金属基材の材質や、電解液の種類、電解液の濃度および温度等の陽極酸化の条件や、形成する微細孔14aの形状に応じて適宜設定すればよい。
例えば、被陽極酸化金属基材としてアルミニウムを、電解液としてシュウ酸を使用することができ、この場合の電流回復処理の条件は、佐藤敏彦、「アルマイト理論 百問百答―アルマイト技術の理論的裏付け―」に記載されている。
次に、電解メッキ処理を施し、図2(D)に示すように、複数の微細孔14aおよび分岐凹部14bのそれぞれの内部に、金属を充填して、各微細孔14aおよび分岐凹部14bのそれぞれに微細金属体16を形成する。
本実施形態では、電解メッキ処理は、基材12の被陽極酸化金属基材12aを電極として行うため、電場が強い分岐凹部14bから優先的に析出させることができる。電解メッキ処理を継続して行うことにより、分岐凹部14bに金属が充填され、微細金属体16の分岐突起部20が形成される。次いで、微細孔14aに金属が充填され、微細金属体16の柱状部18が形成される。このようにして、微細孔14aおよび分岐凹部14bの内部に金属が充填されて微細金属体16が形成される。
次に、図2(E)に示すように、微細金属体16が形成された基材12を、表面12s側を下方にして基板22に配設する。基材12を基板22に固定するために接着剤を使用することができる。使用する接着剤は、後述する、基材12の一部を除去するウェットエッチング工程で用いられる処理液に対して、耐性を有するものであればよく、例えば、公知の各種の樹脂系接着剤を使用することができる。
次に、図2(F)に示すように、基材12の被陽極酸化金属基材12aを除去する。本工程は、被陽極酸化金属基材12aを除去可能な方法であればよく、ウェットエッチングやドライエッチングを用いることができる。本実施形態では、例えば、ウェットエッチングによりAlの被陽極酸化金属基材12aを除去する。
次に、図2(G)に示すように、基材12の誘電体基材12bの少なくとも一部を、微細金属体16の先端側から除去して、微細金属体16の分岐突起部20を露出させる。本工程は、微細金属体16の分岐突起部20を除去せず、誘電体基材12bのみを除去可能な方法であればよく、例えば、ウェットエッチングやドライエッチング等により誘電体基材12bのみを選択的に除去すればよい。
図2(F)、図2(G)に示すように、微細金属体16の分岐突起部20が形成された側(先端側)から、基材12の一部を除去して、分岐突起部20を露出させることで、微細構造体10を作製する。
本実施形態の微細構造体10の製造方法によれば、基材12に、その先端が先鋭化された枝状の凹部をもつ微細孔を複数形成し、次いで、これらの複数の微細孔内に金属を充填して、その先端が先鋭化された枝状の突起を持つ微細金属体16を複数形成し、次いで、微細孔の深さ方向の微細金属体16の先端側から基材12の少なくとも一部を除去して、少なくとも微細金属体16の先鋭化された枝状の突起を露出させることにより、増強電場を発生させる微細構造体10を作製することができる。
特に、本実施形態では、陽極酸化処理により微細孔14aを形成した後に、電流回復処理を施すことにより、先端が先鋭化された分岐凹部14bを形成することができ、この分岐凹部14bに金属を充填することにより、先端が先鋭化された分岐突起部20を有する微細金属体16を形成できる。すなわち、本実施形態によれば、先端が先鋭化された分岐突起部20を有する新規な微細構造体10を作製することができる。
また、本実施形態では、被陽極酸化金属基材12aを電極として、電解メッキ処理により、微細孔14aおよび分岐凹部14bへの金属の充填を行うことにより、電場が強い分岐凹部14bから優先的に析出させることができ、分岐凹部14bのそれぞれに確実に金属を充填することができ、メッキ処理によるムラがなく、基材12の面方向に略均一に分岐突起部20を形成することができる。
また、微細金属体16の分岐突起部20が形成された側(先端側)から、基材12の一部を除去して、分岐凹部14bをテンプレートとして略均一に形成された分岐突起部20を露出させることにより、基材12の面方向に略均一に分岐突起部20が配置された微細構造体を作製することができる。
また、本実施形態では、陽極酸化処理および電流回復処理により、大面積の基材12でも容易に微細孔14aおよび分岐凹部14bを形成することができ、これにより、複数の微細金属体16を容易に形成することができる。すなわち、本実施形態によれば、本発明の新規な微細構造体10を、大面積に、容易に作製することができる。
ここで、本実施形態では、金属を充填して微細金属体を形成する工程は、電解メッキ処理で行うとしたが、本発明はこれに限定されず、例えば、無電解メッキ処理で金属を充填してもよい。また、スパッタ法または蒸着法により、微細孔14aおよび分岐凹部14bの内部に金属を充填した後に、加熱処理により金属を熱溶解させて微細金属体16を形成してもよい。
また、本実施形態では、先端が先鋭化された微細金属体16を形成するためのテンプレートである、微細孔14aおよび分岐凹部14bを、被陽極酸化金属基材に陽極酸化処理および電流回復処理により形成したが、本発明はこれに限定されず、電子線(EB)リソグラフィ、近接場光リソグラフィ、ナノインプリント等の微細構造を作製可能な方法を利用してもよい。
例えば、エッチングにより、深さ方向に延びる柱状の微細孔を形成し、次いで、電子線(EB)リソグラフィ、近接場光リソグラフィ等の微細加工技術を利用して、この微細孔の底部に、この柱状の微細孔よりも小さい内孔径の凹部(空隙)を深さ方向に複数形成する。このようにして形成された上記凹部および微細孔に金属を充填することにより、柱状部と、この柱状部の先端に柱状部よりも径が小さく、柱状部の延在方向に枝分れ形状に伸びた複数の突起を持つ分岐突起部とを有し、したがって、先端が先鋭化されている微細金属体を複数形成することができる。また、ナノインプリントにより、樹脂等の材料を用いて、先端に枝状の凹部を持つ微細孔と同様の形状を有するテンプレートを作製することができる。
なお、本実施形態では、先端に枝状の凹部を持つ微細孔を基材に形成するのに陽極酸化処理を用いたが、陽極酸化処理以外の方法を用いる場合は、基材の材料は、上記の陽極酸化可能な金属に限定されず、使用する方法に応じて微細加工が可能な材料であり、かつ、ドライエッチングやウェットエッチング等により除去可能な材料であればよい。
以下、本発明に係る微細構造体の他の実施形態について説明する。
図3は、本実施形態の微細構造体100を模式的に示す断面図である。また、図4は、本発明に係る微細構造体の作製方法の他の実施形態として、図3に示す微細構造体の作製工程を示す工程図である。
図3に示す微細構造体100は、基板122と、基板122上に配設され、規則的に配列された複数の微細孔114bが形成された誘電体基材112bと、複数の微細金属体116とを有する。本実施形態の微細構造体100は、テーパ状の微細孔114bを有し、その微細孔114b内部にテーパ状の微細金属体116が形成されており、テーパ状の微細金属体116の先鋭化された先端(先端突起120)におけるアンテナ効果を利用して増強電場を発生させること以外は、微細構造体10と同様であるので、以下、異なる点について重点的に説明する。
本実施形態において、誘電体基材112bは、誘電体基材12b同様に、陽極酸化処理により、被陽極酸化金属基材112a(図4(B)参照)を陽極酸化して得られた誘電体の板状部材である。誘電体基材112bには、複数のテーパ形状の微細孔114bが略均一に配列されて形成されている。微細孔114bは、略一定のテーパ角のテーパ形状を有する。
本実施形態において、複数の微細孔114bは、金属の基材112aに陽極酸化処理を施した後、ドライエッチングを施すことにより形成される。この点については後述する。
微細金属体116は、微細孔114bと同じテーパ角で、基板122を基端として先端に向かって径が減少する先鋭なテーパ形状を有し、その先鋭化されたテーパ形状の先端突起120は、誘電体基材112bから突出している。このように、微細金属体116は、先端突起120が先鋭化されたテーパ形状を有することにより、先端突起120における局在プラズモン共鳴現象により先端突起120に電場が集中し、先端突起120の周辺に増強電場が発生する(アンテナ効果)。
基板122は、基材112bおよび複数の微細金属体116を支持する基板である。基板122は、基本的に基板22と同様のものを用いることができる。基板122も、基板22と同様に、特に制限はなく、微細構造体100の作製プロセスや、用途に応じて適宜選択すればよい。
本実施形形態の微細構造体100によれば、基板122を基端として先端に向かって径が減少するテーパ形状により、微細金属体116の先端が先鋭化されている。この先鋭化された先端突起120に電場が集中するアンテナ効果により、先端突起120の周辺領域に増強電場を発生させることができる。
また、先端突起120の周辺領域に増強電場が発生するため、先端突起120上に測定対象物質を配置することで、増強電場発生領域内に配置することができ、微細構造体10と同様に、例えば、10nmを超えるような大サイズの物質であっても、増強電場発生領域内に容易に配置できる。
以下、本発明の微細構造体の作製方法の一実施形態の微細構造体100の作製方法を説明する。本実施形態の微細構造体100の作製方法では、図2に示す微細構造体10の作製方法と異なり、基材112に、先端が先鋭化した所定のテーパ形状の微細孔114bを形成し、このテーパ形状の微細孔114bをテンプレートとして、微細金属体116を形成する。以下、図4(A)〜(G)を参照して、テーパ形状の微細孔114bの形成方法の一例を説明するとともに、微細構造体100の作製方法を説明する。
まず、図4(A)に示すように、基材として、被陽極酸化金属基材112aを用意する。
次に、被陽極酸化金属基材112aに陽極酸化処理を施し、図4(B)に示すように、複数の微細孔114aが開口された誘電体基材112bを形成する。本実施形態においても、被陽極酸化金属基材112aを陽極酸化すると、表面112s(図示上面)から略垂直方向に酸化反応が進行して、誘電体基材112bが生成される。陽極酸化により生成される誘電体基材112bは、微細構造体10と同様に、平面視略正六角形状(図1参照)の微細柱状体124が隣接して配列した構造を有するものとなる。各微細柱状体124の略中心部には、誘電体基材112bの表面から深さ方向に、略同一径の微細孔114aが開孔されている。
次いで、この微細孔114aをドライエッチングにより成形して、図4(C)に示すように、深さ方向に略一定のテーパ角で孔径が減少する、テーパ形状の微細孔114bを形成する。このようにして形成された、テーパ形状の微細孔114bは、その先端が先鋭化されたテーパ形状を有し、上述の先鋭化された先端突起120を持つ微細金属体116を形成するためのテンプレートとなる。
次に、基材112の被陽極酸化金属基材112aを電極として電解メッキ処理を施し、図4(D)に示すように、複数のテーパ形状の微細孔114bのそれぞれの内部に、金属を充填して微細金属体116を形成する。本実施形態においても、微細孔114bの先端から優先的に析出させることができ、先鋭化された先端突起120を持つテーパ形状の微細金属体116が形成される。
次に、図4(E)に示すように、微細金属体116が形成された基材112を、表面112s側を下方にして、基板122に接着剤を用いて固定する。
次に、図4(F)に示すように、基材112の被陽極酸化金属基材112aを除去し、次に、図4(G)に示すように、基材112の誘電体基材112bの少なくとも一部を、微細金属体116の先端側から除去して、微細金属体116の先端突起120を露出させる。
このようにして、微細構造体100は作製される。
本実施形態の微細構造体100の製造方法によれば、基材112に、その先端がテーパ形状(針状)に先鋭化されたテーパ形状の微細孔を複数形成し、次いで、この微細孔内に金属を充填して、先鋭化された先端突起120をもつ微細金属体116を複数形成し、次いで、微細孔の深さ方向の下方にあたる微細金属体の先端側から基材112の少なくとも一部を除去して、少なくとも微細金属体116の先鋭化された先端突起120を露出させることにより、増強電場を発生させる微細構造体100を作製することができる。
特に、本実施形態では、テーパ状の微細孔114bを形成するための微細孔114aを陽極酸化処理により形成することにより、微細孔114aが等間隔に配列させることができる。これにより、テーパ状の微細孔114bおよびこれをテンプレートとして形成される微細金属体116も等間隔に配列させることができる。
また、本実施形態においても、被陽極酸化金属基材112aを電極として電解メッキ処理を行うため、テーパ形状の微細孔114bのそれぞれに確実に金属を充填することができ、メッキ処理によるムラがなく、各微細孔114b間で略均一な先端突起120を形成することができる。
また、微細金属体116の先端突起120の側から、基材112の一部を除去して、略均一に形成された先端突起120を露出させることにより、基材112の面方向に略均一に微細金属体116の先端突起120が配置された、面内均一性が高い微細構造体を作製することができる。
ここで、本実施形態では、陽極酸化処理を用いて、深さ方向に略均一な孔径の微細孔114aを形成した後に、この微細孔114aを下穴として、ドライエッチングによりテーパ形状の微細孔114bを形成したが、本発明はこれに限定されない。例えば、陽極酸化と孔径拡大処理を繰り返して当該構造を作製する方法が、特開2005−156695号公報に開示されている。
なお、上記実施形態では、露出工程において、微細金属体の先鋭化された先端(図1の分岐突起部20、図3のテーパ形状の先端突起120)が露出するように、基材(誘電体基材)の一部を除去したが、本発明はこれに限定されず、基板と基板上に配設された複数の微細金属体のみを残して、基材を全て除去してもよい。例えば、図5に示すように、微細構造体100の誘電体基材112bを全て除去して、基板122と、基板122上に配設された複数の微細金属体116を有する微細構造体110としてもよい。この場合、基板122と誘電体基材112bを接着する工程(図4(E)参照)を行う際に、表面112sを研磨する等により、表面112sと微細金属体116の基端面とを同一面とし、微細金属体116を基板122上に確実に固定する必要がある。
なお、上記実施形態では、基板上に、複数の微細金属体が形成された基材を配設しているが、本発明はこれに限定されず、微細金属体のテンプレートとなる基材が、微細構造体の自重に対して十分な強度を有するものであれば、基板は必ずしも必要ではなく、基板を除く、基材と基材の内部に形成された微細金属体とを微細構造体としてもよい。
本発明に係る微細構造体は、ラマン分光測定におけるラマン分光用デバイスとして好適に用いることができる。本発明の微細構造体の複数の微細金属体の先端に測定対象物質を配置し、光照射手段からこの微細構造体に特定波長の光を照射し、発生した散乱光を分光手段で分光してラマン散乱光のスペクトル(ラマンスペクトル)を得る。このように、本発明の微細構造体をラマン分光用デバイスとして使用すれば、微細金属体の先鋭化され先端周辺に発生する増強電場により、好適にSERS効果を得ることができ、高精度のラマン分光測定を実施できる。
以上、本発明に係る微細構造体の製造方法およびこの製造方法により製造された微細構造体について詳細に説明したが、本発明は上記実施態様に限定はされず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変更をしてもよいのはもちろんである。
[実施例]
図1に示す微細構造体10を、図2に示す微細構造体の作製方法により作製した。
本実施例では、被陽極酸化金属基材としてアルミニウム(Al)を用いた。このアルミニウムの被陽極酸化基材に陽極酸化処理を行った。本実施例では、陽極酸化処理の条件は、電解液としてシュウ酸を用い、電解液濃度0.5M、液温15℃、印加電圧40Vとした。
次に、電流回復処理を行った。電流回復処理の条件は、5Vづつ降下させるステップを35V〜15Vまで行った。この電流回復処理において、電流値が回復する様子を示す電流値の測定結果を図6のグラフに示す。
次に、電解メッキ処理を行って、微細孔内に金(Au)を充填して、微細金属体を形成した。電解メッキ処理の条件は、塩化金酸4水和物の水溶液をメッキ液としてAC11Vにてメッキを実施した。
図7に、このようにして形成された微細金属体のSEM像を示す。なお、図7に示すSEM像は、図2に示す微細構造体の作製工程における、図2(D)に示す状態におけるSEM像である。
図7に示すSEM像から、微細金属体は、略同一径の柱状部と、柱状部の先端から延設されている枝分れ形状の分岐突起部とを有するものであることが示された。すなわち、本発明の微細構造体の作製方法により、枝分れ形状の分岐突起部を有し、これによって先端が先鋭化された微細金属体を形成できることが示された。
本発明に係る微細構造体の一実施形態を模式的に示す斜視断面図である。 本発明に係る微細構造体の作製方法の一実施形態を模式的に示す工程図である。 本発明に係る微細構造体の他の実施形態を模式的に示す断面図である。 本発明に係る微細構造体の作製方法の一実施形態を模式的に示す工程図である。 図3に示す微細構造体の変形例を示す断面図である。 電流回復処理における電流値の測定結果を示すグラフである。 図2に示す微細構造体の作製方法で作製された微細金属体のSEM像である。
符号の説明
10、100、110 微細構造体
12 基材
12a、112a 被陽極酸化金属基材
12b、112b 誘電体基材
12s、112s 表面
14a、114a 微細孔
14b 分岐凹部
16、116 微細金属体
18 柱状部
20 分岐突起部
22、122 基板
24、124 各微細柱状体
114b テーパ形状の微細孔
120 先端突起

Claims (13)

  1. 増強電場を発生させる複数の微細金属体を有する微細構造体の作製方法であって、
    基材の表面において開口し、内径が開口している前記基材の前記表面側より深さ方向における、少なくとも先端部分でより細く、突出する凹部を有する複数の微細孔を陽極酸化処理で前記基材に形成する微細孔形成工程と、
    前記複数の微細孔内に金属を充填して、前記突出する凹部に充填された前記金属からなる突起を先端部分に有する複数の微細金属体を形成する金属充填工程と、
    前記複数の微細金属体の先端部分の側から前記基材の少なくとも一部を除去し、前記複数の微細金属体の先端部分の前記突起を少なくとも露出させる露出工程とを有し、
    さらに、前記金属充填工程と前記露出工程との間に、前記基材の前記表面側に、前記基材および前記複数の微細金属体を支持する、前記金属および前記基材とは異なる材料製の基板を接着剤で接着する接着工程を有し、
    前記接着工程は、互いに分離された前記微細金属体を前記基板に接着することを特徴とする微細構造体の作製方法。
  2. 前記微細孔形成工程は、陽極酸化処理を用いて、微細孔の前記突出する凹部が複数に分岐するより細い枝分れ形状である前記微細孔を形成する工程である請求項1に記載の微細構造体の作製方法。
  3. 前記微細孔形成工程は、前記陽極酸化処理により、微細孔に、略同一内径の部分を形成し、次いで、前記陽極酸化処理における印加電圧を断続的に減少させる電流回復処理により、略同一内径の部分に続く先端部分に、前記複数に分岐するより細い枝分れ形状を持つ分岐凹部を形成し、前記微細孔を形成する工程である請求項に記載の微細構造体の作製方法。
  4. 前記金属充填工程は、電解メッキ処理、無電解メッキ処理、ならびに、蒸着法およびスパッタ法のいずれかと熱溶解処理との組み合わせによる処理のうちのいずれか1つを用いて行う請求項1〜3のいずれかに記載の微細構造体の作製方法。
  5. 前記金属充填工程は、前記微細孔内のみに前記金属を充填して、前記微細金属体を互いに分離した状態で形成する請求項1〜4のいずれかに記載の微細構造体の作製方法。
  6. 前記露出工程は、ウェットエッチングまたはドライエッチングにより行う請求項1〜のいずれかに記載の微細構造体の作製方法。
  7. 記露出工程は、前記基材を全て除去する工程である請求項1〜6のいずれかにに記載の微細構造体の作製方法。
  8. 前記露出工程は、前記微細金属体の先端部分の前記突起のみを露出させる請求項1〜6のいずれかに記載の微細構造体の作製方法。
  9. 基板と、
    前記基板に接着剤によって接着され、高さ方向に延びる柱状部、および前記柱状部に続く先端部分に複数に分岐するより細い枝分れ形状を持つ分岐突起部を備え、増強電場を発生させる複数の微細金属体とを有し、
    互いに分離された前記複数の微細金属体は、その前記柱状部の基端が前記基板に接着されて、前記基板に支持され、
    前記基板は、前記微細金属体とは異なる材料製であることを特徴とする微細構造体。
  10. さらに、少なくとも微細金属体の先端部分の複数の前記分岐突起部を除く、互いに分離された前記複数の微細金属体の前記柱状部によって埋められた複数の微細孔を持つ基材を有し、
    前記基材は、前記柱状部の基端側で、前記基板に前記接着剤によって接着されており、
    前記微細金属体の少なくとも前記複数の分岐突起部は、前記基材の表面から露出しており、
    前記基板は、前記基材とは異なる材料製である請求項に記載の微細構造体。
  11. 基板と、
    前記基板に接着剤によって接着され、前記基板側の基端から先端部分に向かって外径が細くなり、前記先端部分が先鋭なテーパ形状の突起を持ち、増強電場を発生させる複数の微細金属体とを有し、
    前記複数の微細金属体は、互いに分離されて、
    互いに分離された前記複数の微細金属体は、その前記基端が前記基板に接着されて、前記基板に支持され、
    前記基板は、前記微細金属体とは異なる材料製であることを特徴とする微細構造体。
  12. さらに、少なくとも微細金属体の先端部分の前記テーパ形状の突起を除く、互いに分離された前記複数の微細金属体の前記基板側の基端から前記先端部分に向かって外径が細くなる部分によって埋められた微細孔を持つ基材を有し、
    前記基材は、前記複数の微細金属体の前記基板側の基端で、前記基板に前記接着剤によって接着されており、
    前記微細金属体の少なくとも前記テーパ形状の突起は、前記基材の表面から露出しており、
    前記基板は、前記基材とは異なる材料製である請求項11に記載の微細構造体。
  13. 記複数の微細金属体が、前記基板に均一に配設されている請求項12のいずれかに記載の微細構造体。
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