JP5393285B2 - 電動機の結線構造および結線方法 - Google Patents

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Description

本発明は、電動機に外部から多相交流電流を供給する複数の給電ケーブルを繋ぐための電動機の結線構造および結線方法に関する。
車両の駆動輪内に取り付けられた電動機に対し、複数の給電ケーブルを繋ぐためのケーブルの配索方法に関する従来技術があった(例えば、特許文献1参照)。この従来技術によれば、車両のアッパアームから下降した複数の給電ケーブルを、電動機のモータハウジング外周に形成された配線ボックス(以下、端子台という)に取り込んで保持している。
特許文献1において、端子台内部の詳細には言及されていないが、給電ケーブルの端部に形成されたターミナルと電動機のステータコイルの端子とを、端子台に対しボルトにより共締めして導通させることが考えられる。
ところで、車両の他部材との干渉を避けるために、ケーブルの配索に関しては様々な拘束条件があり、電動機にケーブルを取り回す場合、ケーブルの電動機への接近方向が限定される場合が多かった。このため、電動機に近づいた複数の給電ケーブルの端部を、端子台に保持させる場合の各ケーブルの並びも、所定の方向への配列に限定される場合が多かった。
一方、電動機の側からすれば、ステータコイルが円周状に並んでいるため、ケーブルと接続されるステータコイルの複数の端子は、上述した端子台に保持される給電ケーブルの端部の配列とは異なった方向への配列にならざるを得なかった。このように、給電ケーブルの端部とステータコイルの端子との間で、それぞれの配列方向が異なることに対しては、端子台上において、適宜、バスバー等を用いて接続を行い対処してきた。
特開2005−271909号公報
上述したように従来技術において、保持された給電ケーブルのターミナルと電動機のコイル端子とが、端子台上において、ボルトにより共締めされて導通されている場合、端子台に対し曲げ、剪断といった荷重が働き、受ける荷重に対して端子台の破損、変形を低減するためには、端子台自体を大型化しなければならないという問題があった。
また、ターミナルとコイルの端子とが、端子台上において、適宜、バスバー等を介して接続されている場合には、バスバーとターミナルおよびコイルの端子とを接続するためのボルト等を収容するために端子台がさらに大型化するとともに、部品点数の増大に伴って、コスト高となるという問題もあった。
この問題は、電動機に大電流を供給するために、各部材の導電面積を増大させた場合に、いっそう顕著となっていた。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、小型で低コストの電動機の結線構造および結線方法を提供することにある。
上述した課題を解決するために、請求項1に係る電動機の結線構造の発明の構成上の特徴は、モータハウジング上に形成され、各相の給電ケーブルの端部をロータの回転軸方向となる配列に取り付けるケーブル保持部と、ステータコイルに接続され、ステータに設けられた固定部上において、ステータの周方向に配列された各相のコイル端子と、複数の給電ケーブルの端部から突出するとともに、モータハウジングの外方からモータハウジングに設けられた端子窓に挿入された後、コイル端子と重ね合わせられた各相のターミナルと、各々のターミナルおよびコイル端子に挿通させた後に、固定部に螺合された複数の締付ボルトとを備え、締付ボルトにより、ターミナルとコイル端子とを固定部に共締めすることにより、ターミナルとコイル端子とを導通させており、複数のターミナルのうちの少なくとも一つは、給電ケーブルの端部とコイル端子との間を接続するように、3次元的に屈曲していることである。
尚、本発明における給電ケーブルの端部の配列には、ロータの回転軸方向とほぼ同方向に並べられたものも含み、複数のコイル端子の配列には、ほぼステータの周方向に並べられたものも含んでいる。
請求項2に係る発明の構成上の特徴は、請求項1の電動機の結線構造において、端子窓には、絶縁材料にて形成された基台が挿入され、基台に対してターミナルを貫通させ、コイル端子に重ね合わせた後に、ターミナルおよびコイル端子に挿通させた締付ボルトを固定部に螺合させて、ターミナルとコイル端子とを導通させ、少なくとも屈曲したターミナルは、基台上においてガイドされていることである。
請求項3に係る発明の構成上の特徴は、請求項2の電動機の結線構造において、基台上には、隣り合ったターミナル同士を絶縁するための壁部が立設されたことである。
請求項4に係る電動機の結線方法の発明の構成上の特徴は、モータハウジング上に各相の給電ケーブルの端部をロータの回転軸方向に配列するケーブル保持部を設けるとともに、内外を連通する端子窓を形成し、ステータコイルに接続された各相のコイル端子を、ステータに形成した固定部上において、ステータの周方向に配列し、各相のターミナルを端子窓に挿入した後、コイル端子と重ね合わせ、複数の締付ボルトを各々のターミナルおよびコイル端子に挿通させた後に、固定部に螺合させて、ターミナルとコイル端子とを導通させており、複数のターミナルのうちの少なくとも一つは、給電ケーブルの端部とコイル端子との間を接続するように、3次元的に屈曲していることである。
請求項1に係る電動機の結線構造によれば、締付ボルトにより、モータハウジングを貫通させたターミナルとコイル端子とをステータに形成した固定部に共締めして、ターミナルとコイル端子とを導通させており、複数のターミナルのうちの少なくとも一つは、給電ケーブルの端部とコイル端子との間を接続するように3次元的に屈曲していることにより、複数の給電ケーブルの端部とステータコイルの端子との間で、それぞれの配列方向が異なっていても、屈曲したターミナルによって、給電ケーブルの端部とコイル端子との間を接続することができ、バスバーおよびそれらを接続するボルト等を使用せず、小型で低コストの結線構造にすることができる。
また、モータハウジングを貫通したターミナルとコイル端子とをステータに形成した固定部に共締めしているため、必ずしも端子台を使用する必要がない。また、端子台を使用した場合に、ターミナルとコイル端子との間の導電性を向上させるように、締付ボルトの締め付けを増大させても、端子台に無理な荷重が働くことを防止することができる。
また、結線構造をステータの外方に形成することができるため、ターミナルやコイル端子がスペース上の制約を受けることが少なく、その導通面積を増大させて、導電性を向上させることができる。
また、電動機は車両の駆動輪内に取り付けられ、ケーブル保持部には、複数の給電ケーブルの端部がロータの回転軸方向に並べられ、固定部上には、複数のコイル端子がステータの周方向に並べられていることにより、狭小な駆動輪内において、他部材との干渉を避けて車体から下降する給電ケーブルを、電動機へ容易に接続することができる。
請求項2に係る電動機の結線構造によれば、絶縁性を有した基台に対してターミナルを貫通させ、ターミナルおよびコイル端子に挿通させた締付ボルトを固定部に螺合させて、ターミナルとコイル端子とを導通させ、屈曲したターミナルが基台上においてガイドされていることにより、ターミナルが強固に支持されて、その破損等を防ぐことができる。
また、締付ボルトを固定部に螺合させて、ターミナルとコイル端子とを導通させているため、基台に無理な荷重が働くことがなく、基台の破損等を防ぐことができる。
請求項3に係る電動機の結線構造によれば、基台上には、隣り合ったターミナル同士を絶縁するための壁部が立設されたことにより、隣り合ったターミナルやコイル端子同士の絶縁性を向上させることができ、ステータコイルに対して大電流を供給することができる。
請求項4に係る電動機の結線方法によれば、締付ボルトにより、モータハウジングを貫通させたターミナルとコイル端子とをステータに形成した固定部に共締めして、ターミナルとコイル端子とを導通させており、複数のターミナルのうちの少なくとも一つは、給電ケーブルの端部とコイル端子との間を接続するように3次元的に屈曲していることにより、複数の給電ケーブルの端部とステータコイルの端子との間で、それぞれの配列方向が異なっていても、屈曲したターミナルによって、給電ケーブルの端部とコイル端子との間を接続することができ、バスバーおよびそれらを接続するボルト等を使用せず結線構造を小型化でき、低コストの結線方法にすることができる。
また、ターミナルとコイル端子とをステータに形成した固定部に共締めしているため、必ずしも端子台を使用する必要がなく、ターミナルとコイル端子との間の導電性を向上させるように、締付ボルトの締め付けを増大させても、端子台に無理な荷重が働くことを防止することができる。
また、結線構造をステータの外方に形成することができるため、ターミナルやコイル端子がスペース上の制約を受けることが少なく、ターミナルやコイル端子の導通面積を増大させて、導電性を向上させることができる。
また、電動機は車両の駆動輪内に取り付けられ、ケーブル保持部には、複数の給電ケーブルの端部がロータの回転軸方向に並べられ、固定部上には、複数のコイル端子がステータの周方向に並べられていることにより、狭小な駆動輪内において、他部材との干渉を避けて車体から下降する給電ケーブルを、電動機へ容易に接続することができる。

本発明の一実施形態によるインホイールモータが取り付けられた前輪を示した図 図1におけるA−A断面図 図2のB部拡大図 ステータにターミナルを接続する前の状態を示した外観斜視図 ステータにケーブルを接続した状態を示した斜視図 端子台をモータハウジングの外方側から見た場合の斜視図 端子台をステータ側から見た場合の斜視図 図6におけるC−C断面図
図1乃至図8に基づき、本発明の一実施形態によるインホイールモータ1(本発明の電動機に該当する)と電力供給用配線6との結線構造について説明する。尚、図1における手前側または図2における左方が車両の前方に該当するが、本発明による実施形態は、特にこの方向に限られるものではない。また、図1および図2における上下方向は、車両の上下方向にほぼ一致している。また、図1に示した前輪8において、タイヤは図示されていない。
図1に示すように、インホイールモータ1は、車両の前輪8(本発明の駆動輪に該当する)内に取り付けられている。インホイールモータ1は、その上部において、車両の操舵力が導入されるナックルアーム48と連結されている。ナックルアーム48は、インホイールモータ1とともに前輪8を支承している。また、インホイールモータ1は、その下方部において、フロントサスペンションを構成するロアアーム7と連結されている。
図1におけるインホイールモータ1の左方には、インホイールモータ1の図示しない減速機構と接続され、前輪8を構成するディスクロータ81が設けられている。ディスクロータ81の左方には、ディスクホイール82が取り付けられ、ディスクホイール82はインホイールモータ1およびディスクロータ81を覆っている。ディスクホイール82には図示しないタイヤが装着され、これにより、車両の前輪8が形成されている。
ナックルアーム48の上端には、アッパボールジョイント481が形成されており、ナックルアーム48はアッパボールジョイント481を介して、フロントサスペンションのアッパアーム(図示せず)と連結されている。一方、ロアアーム7の端部には、ロアボールジョイント71が形成されている。車両のステアリングホイールが操作されることにより、インホイールモータ1は、ナックルアーム48、ディスクロータ81およびディスクホイール82とともに、アッパボールジョイント481およびロアボールジョイント71を中心に、ほぼ水平方向に回動する。
インホイールモータ1は通常の3相同期モータで、図2に示すように、ステータ2と、ステータ2の内周側に僅かな隙間を保持して配置され、ステータ2に対して回転可能に設けられ、その回転軸が前輪8の回転軸と同心上に配置されたロータ3と、略円筒形を呈しており、ステータ2およびロータ3を内蔵したモータハウジング4とを備えている。モータハウジング4は、上述したナックルアーム48と接続されている。
ステータ2は、回転磁界を形成するために、ステータハウジング21の内周側に円周状に保持された複数のステータコイル22を備えている。ステータコイル22は、電力供給用配線6により図示しないインバータと接続され、さらにインバータは車両の高圧バッテリー(図示せず)と接続されている。これにより、高圧バッテリーからステータコイル22へ電力が供給され、インホイールモータ1のロータ3が回転される。ロータ3の回転は減速機構によって減速された後、ディスクロータ81を介してディスクホイール82に伝達され、図1に示した回転軸Xを中心に前輪8を駆動する。
次に、インホイールモータ1と電力供給用配線6との結線構造について詳述する。ステータ2に含まれる各々のステータコイル22は絶縁性樹脂材料にて覆われており、絶縁性樹脂材料は、ステータ2の外周面上の1か所において外方へ突出し、端子取付部23(本発明の固定部に該当する)を形成している(図2示)。端子取付部23は、後述する端子台51の底面に形成された窓挿入部512と対向可能なように、略直方体形状に形成されている。
モータハウジング4の外壁には、内外を連通する端子台挿入孔41(本発明の端子窓に該当する)が貫通しており、端子取付部23は、モータハウジング4の内方から端子台挿入孔41を臨むように形成されている。端子台挿入孔41は、端子台51の窓挿入部512が挿入可能なように、ほぼ長四角形状に形成されている。
端子台挿入孔41側に位置する端子取付部23の端面(図2における左端面)には、3個の螺子収容孔231が形成されている。各螺子収容孔231は軸心が互いに平行になるように形成され、いずれも図2において水平方向に延びている。螺子収容孔231は、端子取付部23上において、ステータ2の周方向とほぼ一致するように、鉛直方向に一直線上に並ぶように配置されている。それぞれの螺子収容孔231は端子取付部23を貫通しておらず、袋状に形成されている。
端子取付部23には、3個の金属製の取付ナット232がインサート成形により設けられている。それぞれの取付ナット232は、螺子収容孔231を取り囲むように設けられ、内周面に形成された雌螺子部が、螺子収容孔231から内方に突出している(図3示)。
端子取付部23の端面と各々の取付ナット232との間には、段付部233が形成されている。段付部233は、端子取付部23の端面が真円状に掘り下げられたように形成されており、それぞれの段付部233内には、ステータコイル22に接続されたコイル端子22a、22b、22cが配置されている(図3および図4示)。コイル端子22a〜22cは、ステータコイル22に3相交流電流を供給するためのもので、導電性を有する金属板を成形することにより形成され、それぞれ所定数のステータコイル22と接続されている。それぞれのコイル端子22a〜22cには、各々の螺子収容孔231と一致する位置に、挿通孔が形成されている。
図2において最上部に設けられたコイル端子22aは、V相用コイル端子である(以下、V相用コイル端子22aという)。また、中央に設けられたコイル端子22bは、W相用コイル端子である(以下、W相用コイル端子22bという)。さらに、最下部に設けられたコイル端子22cは、U相用コイル端子である(以下、U相用コイル端子22cという)。尚、以下、V相用コイル端子22a、W相用コイル端子22bおよびU相用コイル端子22cを総称する場合、コイル端子22a〜22cという。
一方、モータハウジング4には、上述した端子台挿入孔41の四方を取り囲むように、遮断壁42が形成されている(図1示)。遮断壁42はモータハウジング4と一体に形成され、モータハウジング4の外周面から外方に突出している。遮断壁42のうち、上方に形成されたケーブル取付部421(本発明のケーブル保持部に該当する)には、3個の取付孔422が形成されている(図2において、1つのみ示す)。各々の取付孔422には、電力供給用配線6を形成する各ケーブル61a、61b、61c(本発明の給電ケーブルに該当する)の端部がそれぞれ一つずつ嵌合し固定される。
複数のケーブル61a〜61cは、上述したコイル端子22a〜22cに、外部から3相交流電流を供給するためのもので、図1に示すように、各ケーブル61a〜61cの端部は、インホイールモータ1のロータ3の回転軸方向と、ほぼ同方向に並べられている。図1において中央に設けられたケーブル61aは、V相用ケーブルである(以下、V相用ケーブル61aという)。また、左側に設けられたケーブル61bは、W相用ケーブルである(以下、W相用ケーブル61bという)。さらに、右側に設けられたケーブル61cは、U相用ケーブルである(以下、U相用ケーブル61cという)。尚、以下、V相用ケーブル61a、W相用ケーブル61bおよびU相用ケーブル61cを総称する場合、ケーブル61a〜61cという。
図1に示すように、各ケーブル61a〜61cは、前輪8を操舵した時に他の部材に干渉しないように、ナックルアーム48の第1クランプ482および第2クランプ483において保持されることにより、ナックルアーム48に沿って下降している。
以下、ケーブル61a〜61cの遮断壁42への取付方法について、図2に基づいてV相用ケーブル61aを例にして説明するが、W相用ケーブル61bおよびU相用ケーブル61cについても同様である。
V相用ケーブル61aの端部には、内部に芯線が貫通したプラグ62aが形成されている。プラグ62aの先端部からは、導電性の金属板を成形して形成され、芯線と接続されたV相用ターミナル63aが突出している。V相用ターミナル63aは、V相用ケーブル61aの端部とV相用コイル端子22aとの間を接続するように、その端部間が2次元的に屈曲して形成されている(図5示)。
また、W相用ターミナル63bおよびU相用ターミナル63cも、V相用ターミナル63aと同様に、それぞれW相用ケーブル61bおよびU相用ケーブル61cの端部から突出している。また、W相用ターミナル63bおよびU相用ターミナル63cも、W相用ケーブル61bの端部とW相用コイル端子22bとの間およびU相用ケーブル61cの端部とU相用コイル端子22cとの間を接続するように、それぞれその端部間が3次元的に屈曲して形成されている(図5示)。尚、以下、V相用ターミナル63a、W相用ターミナル63bおよびU相用ターミナル63cを総称する場合は、ターミナル63a〜63cという。
プラグ62aの側面には、円環状の取付溝が形成されている。ケーブル取付部421の上面には、取付プレート43がプレート螺子44により固定されている。プラグ62aは、取付プレート43およびケーブル取付部421に挿入され、上述した取付溝に取付プレート43が嵌合することにより、プラグ62aはケーブル取付部421に固定される。
また、プラグ62aの側面には、リング状のシール溝62a1が形成されており、シール溝62a1にはOリング64が装着されている。ケーブル取付部421にプラグ62aを挿入することにより、Oリング64が取付孔422の内周面と当接し、外部から遮断壁42内への水入りを防止している。
遮断壁42の端面(図2における左端面)には、複数の固定螺子45により閉止プレート46が取り付けられる。閉止プレート46と遮断壁42の端面との間には、ガスケット47が介装されている。これにより、遮断壁42内は、外部から液密的に遮断されている。尚、図1は、モータハウジング4に閉止プレート46が取り付けられていない状態を示している。
次に、本発明の中心となる接続構造体5について説明する。モータハウジング4には、遮断壁42内に位置するように、接続構造体5を構成する端子台51(本発明の基台に該当する)が取り付けられている(図1示)。端子台51は絶縁性を有した合成樹脂材料にて一体に形成され、図6乃至図8に示すように、本体部511と、本体部511の下面に形成された窓挿入部512とを備えている。
図6乃至図8に示すように、端子台51の本体部511には取付孔513が貫通している。取付孔513に挿通させた取付ボルト52を、モータハウジング4の外壁に締め付けることにより、端子台51は、モータハウジング4の遮断壁42内に固定される(図1示)。
図2に示すように、本体部511には、端子取付部23に形成された螺子収容孔231の位置と一致するように、3個のターミナル挿入孔514a、514b、514cが形成されている。3個のターミナル挿入孔514a、514b、514cは、本体部511の図1における左右ほぼ中央部において、鉛直方向に並んでいる。
図2において、最上部に位置するターミナル挿入孔514aは、V相用ターミナル挿入孔である(以下、V相用ターミナル挿入孔514aという)。また、中央に位置するターミナル挿入孔514bは、W相用ターミナル挿入孔である(以下、W相用ターミナル挿入孔514bという)。さらに、最下部に位置するターミナル挿入孔514cは、U相用ターミナル挿入孔514cである(以下、U相用ターミナル挿入孔514cという)。ターミナル挿入孔514a〜514cは、本体部511および窓挿入部512を貫通している(図8示)。以下、V相用ターミナル挿入孔514a、W相用ターミナル挿入孔514bおよびU相用ターミナル挿入孔514cを総称する場合、ターミナル挿入孔514a〜514cという。
図2に示すように、V相用ターミナル挿入孔514a内には、V相用ターミナル63aが貫通している。また、W相用ターミナル挿入孔514b内には、W相用ターミナル63bが貫通している。さらに、U相用ターミナル挿入孔514c内には、U相用ターミナル63cが貫通している。
一方、端子台51の窓挿入部512は、周囲を縦壁515により囲まれた略長四角形状を呈している。また、対向した縦壁515間には、取り付けられたターミナル63a〜63c同士を互いに仕切るように、一対の仕切り板516が形成されている(図7示)。窓挿入部512は、上述したモータハウジング4の端子台挿入孔41に挿入されると、窓挿入部512はステータ2の端子取付部23と対向する。
この時、縦壁515および仕切り板516によって、各コイル端子22a〜22cおよびモータハウジング4は互いに遮断されている。これにより、コイル端子22a〜22cおよびモータハウジング4間において、空間距離、沿面距離が確保され、相互の絶縁が確実に行われる。
V相用ターミナル63aはV相用ターミナル挿入孔514a内に挿入された後、V相用コイル端子22aに上方から重ね合わせられる。この状態において、ターミナル固定ボルト56(本発明の締付ボルトに該当する)を、V相用ターミナル63aの貫通孔およびV相用コイル端子22aの挿通孔に挿通させた後、端子取付部23の取付ナット232に螺合させる。ターミナル固定ボルト56の締め付けにより、V相用ターミナル63aとV相用コイル端子22aは、端子取付部23に共締めされる(図3示)。これにより、V相用ターミナル63aとV相用コイル端子22aとが互いに導通する。
同様に、W相用ターミナル63bおよびU相用ターミナル63cも、W相用ターミナル挿入孔514bおよびUW相用ターミナル挿入孔514c内に挿入された後、W相用コイル端子22bおよびU相用コイル端子22cにそれぞれ上方から重ね合わせられる(図5示)。この状態において、ターミナル固定ボルト56を、W相用ターミナル63bおよびU相用ターミナル63cの貫通孔およびW相用コイル端子22bおよびU相用コイル端子22cの挿通孔に挿通させた後、端子取付部23の取付ナット232に螺合させる。
ターミナル固定ボルト56の締め付けにより、W相用ターミナル63bとW相用コイル端子22bは、端子取付部23に共締めされる。これにより、W相用ターミナル63bとW相用コイル端子22bとが互いに導通する。また、U相用ターミナル63cとU相用コイル端子22cも端子取付部23に共締めされ、互いに導通する。
上述したように、各ケーブル61a〜61cは、インバータからナックルアーム48に沿って下降し、その端部がモータハウジング4上において、ロータ3の回転軸方向とほぼ一致する方向(車両の幅方向)に並べられて取り付けられている。2次元的あるいは3次元的に屈曲した各ターミナル63a〜63cにより、これらの接続先を並び変えることができるため、各コイル端子22a〜22cを端子取付部23に対し、ほぼステータ2の周方向(車両の鉛直方向)に固定している。
尚、上述した端子台51、取付ボルト52、ターミナル固定ボルト56により、接続構造体5が形成されている。
図6に示すように、端子台51の本体部511上には、隣り合ったターミナル63a〜63cおよびモータハウジング4等同士を遮断するために、仕切り壁519(本発明の壁部に該当する)が立設されている。これにより、ターミナル63a〜63cおよびモータハウジング4間において、空間距離、沿面距離が確保され、相互の絶縁が確実に行われる。
また、本体部511には、仕切り壁519により、ターミナル63a〜63cの形状に倣った空間が形成されている(図6示)。これによって、ターミナル63a〜63cは端子台51上においてガイドされ、車両の振動等によってもがたつかないように形成されている。
本実施形態によれば、ターミナル固定ボルト56により、モータハウジング4を貫通させたターミナル63a〜63cとコイル端子22a〜22cとをステータ2に形成した端子取付部23に共締めして、ターミナル63a〜63cとコイル端子22a〜22cとを導通させており、ターミナル63a〜63cは、ケーブル61a〜61cの端部とコイル端子22a〜22cとの間を接続するように屈曲している。
これにより、複数のケーブル61a〜61cの端部とステータコイル2の端子22a〜22cとの間で、それぞれの配列方向が異なっていても、屈曲したターミナル63a〜63cによって、ケーブル61a〜61cの端部とコイル端子22a〜22cとの間を接続することができ、バスバーおよびそれらを接続するボルト等を使用せず、小型で低コストの結線構造にすることができる。
また、複数のケーブル61a〜61cの配列方向と、複数のコイル端子22a〜22cが並ぶ方向とを異ならせることができ、ケーブル61a〜61cの配索に自由度が生まれる。
また、モータハウジング4を貫通したターミナル63a〜63cとコイル端子22a〜22cとをステータ2に形成した端子取付部23に共締めしているため、必ずしも端子台51を使用する必要がない。また、端子台51を使用した場合に、ターミナル63a〜63cとコイル端子22a〜22cとの間の導電性を向上させるように、ターミナル固定ボルト56の締め付けを増大させても、端子台51に無理な荷重が働くことを防止することができる。
また、結線構造をステータ2の外方に形成することができるため、ターミナル63a〜63cやコイル端子22a〜22cがスペース上の制約を受けることが少なく、その導通面積を増大させて、導電性を向上させることができる。
また、モータハウジング4内にステータ2を組み込んだ後に、ロータ3を組み込むことが可能なため、組付け性のよいインホイールモータ1にすることができる。
また、インホイールモータ1は車両の駆動輪である前輪8内に取り付けられ、ケーブル取付部421には、複数のケーブル61a〜61cの端部が、ほぼロータ3の回転軸方向に並べられ、端子取付部23上には、複数のコイル端子22a〜22cがステータ2の周方向に並べられていることにより、狭小な前輪8内において、他部材との干渉を避けてナックルアーム48に沿って下降するケーブル61a〜61cを、インホイールモータ1へ容易に接続することができる。
また、各々のターミナル63a〜63cが、端子台51上において、仕切り壁519によってガイドされていることにより、屈曲したターミナル63a〜63cが強固に支持されて、振動等によるその破損を防ぐことができる。
また、端子台51の本体部511上に仕切り壁519を形成し、窓挿入部512に縦壁515および一対の仕切り板516が形成されたことにより、隣り合ったターミナル63a〜63cやコイル端子22a〜22c同士の絶縁性を向上させることができ、ステータコイル22a〜22cに対して大電流を供給することができる。
<他の実施形態>
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、次のように変形または拡張することができる。
本発明を適用可能な電動機は同期モータに限られず、あらゆる電動モータにおいて実施可能である。
また、本発明を適用可能な電動機は、車輪のディスクホイール内に内蔵されるインホイールモータに限られず、その他の車両用モータ、家庭電器用モータ、産業用モータにも使用可能である。
端子取付部23と各コイル端子22a〜22cとの間に、ターミナル63a〜63cを介装した状態で、コイル端子22a〜22c、ターミナル63a〜63cの順にターミナル固定ボルト56を貫通させ、端子取付部23に螺合させることもできる。
ケーブル取付部421は、モータハウジング4上に別体に設けてもよい。
図面中、1はインホイールモータ(電動機)、2はステータ、3はロータ、4はモータハウジング、8は前輪(駆動輪)、22はステータコイル、22aはV相用コイル端子(コイル端子)、22bはW相用コイル端子(コイル端子)、22cはU相用コイル端子(コイル端子)、23は端子取付部(固定部)、41は端子台挿入孔(端子窓)、51は端子台(基台)、56はターミナル固定ボルト(締付ボルト)、61aはV相用ケーブル(給電ケーブル)、61bはW相用ケーブル(給電ケーブル)、61cはU相用ケーブル(給電ケーブル)、63aはV相用ターミナル、63bはW相用ターミナル、63cはU相用ターミナル、421はケーブル取付部(ケーブル保持部)、519は仕切り壁(壁部)を示している。

Claims (4)

  1. ステータコイルを有するステータと、
    前記ステータの内周側に配置され、前記ステータに対して回転可能に設けられたロータと、
    前記ステータおよび前記ロータを内蔵したモータハウジングと、
    を備え
    車両の駆動輪内に取り付けられ、前記ロータの回転力が前記駆動輪に伝達される電動機に、外部から多相交流電流を供給する複数の給電ケーブルを繋ぐための電動機の結線構造において、
    前記モータハウジング上に形成され、各相の前記給電ケーブルの端部を前記ロータの回転軸方向となる配列に取り付けるケーブル保持部と、
    前記モータハウジングに設けられ、内外を連通する端子窓と、
    前記モータハウジングの内方から前記端子窓を臨むように、前記ステータに形成された固定部と、
    前記ステータコイルに接続され、前記固定部上において、前記ステータの周方向に配列された各相のコイル端子と、
    複数の前記給電ケーブルの端部から突出するとともに、前記モータハウジングの外方から前記端子窓に挿入された後、前記コイル端子と重ね合わせられた各相のターミナルと、
    各々の前記ターミナルおよび前記コイル端子に挿通させた後に、前記固定部に螺合された複数の締付ボルトと、
    を備え、
    前記締付ボルトにより、前記ターミナルと前記コイル端子とを前記固定部に共締めすることにより、前記ターミナルと前記コイル端子とを導通させており、
    複数の前記ターミナルのうちの少なくとも一つは、前記給電ケーブルの端部と前記コイル端子との間を接続するように、3次元的に屈曲していることを特徴とする電動機の結線構造。
  2. 前記端子窓には、絶縁材料にて形成された基台が挿入され、
    前記基台に対して前記ターミナルを貫通させ、前記コイル端子に重ね合わせた後に、前記ターミナルおよび前記コイル端子に挿通させた前記締付ボルトを前記固定部に螺合させて、前記ターミナルと前記コイル端子とを導通させ、
    少なくとも屈曲した前記ターミナルは、前記基台上においてガイドされていることを特徴とする請求項1記載の電動機の結線構造。
  3. 前記基台上には、隣り合った前記ターミナル同士を絶縁するための壁部が立設されたことを特徴とする請求項2記載の電動機の結線構造。
  4. ステータコイルを有するステータと、
    前記ステータの内周側に配置され、前記ステータに対して回転可能に設けられたロータと、
    前記ステータおよび前記ロータを内蔵したモータハウジングと、
    を備え、
    車両の駆動輪内に取り付けられ、前記ロータの回転力が前記駆動輪に伝達される電動機に、外部から多相交流電流を供給する複数の給電ケーブルを繋ぐための電動機の結線方法において、
    前記モータハウジング上において、各相の前記給電ケーブルの端部を前記ロータの回転軸方向に配列するケーブル保持部を設けるとともに、内外を連通する端子窓を形成し、
    前記ステータには、内方から前記端子窓を臨むように固定部を設け、
    前記ステータコイルに接続された各相のコイル端子を、前記固定部上において、前記ステータの周方向に配列し、
    複数の前記給電ケーブルの端部から突出した各相のターミナルを、前記モータハウジングの外方から前記端子窓に挿入した後、複数の前記コイル端子と重ね合わせ、
    複数の締付ボルトを、各々の前記ターミナルおよび前記コイル端子に挿通させた後に、前記固定部に螺合させることにより、
    前記ターミナルと前記コイル端子とを前記固定部に共締めして、前記ターミナルと前記コイル端子とを導通させており、
    複数の前記ターミナルのうちの少なくとも一つは、前記給電ケーブルの端部と前記コイル端子との間を接続するように、3次元的に屈曲していることを特徴とする電動機の結線方法。
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