JP5392307B2 - 電動パワーステアリング装置 - Google Patents
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Description
すなわち、異常時モータ指令値算出手段で算出した異常時相電流指令値の符号が反転する電気角を跨ぐ加速領域で、意図的にモータの回転を操舵方向へ加速するので、当該加速領域でのブレーキトルクの発生を防止することにより、モータトルクが低下する不安定出力角度領域をモータ慣性力により効率的に飛び越えることができ、操舵フィーリングを向上させることができる。
前記操舵トルク及び前記3相電動モータで発生する操舵補助トルクの和と外力との釣合い時に、前記異常時相電流指令値を低下させる電流指令値補正手段を備えている。
さらにまた、本発明に係る電動パワーステアリング装置の第4の態様は、前記電流指令値補正手段が、前記操舵トルク及び前記3相電動モータで発生する操舵補助トルクの和と外力との釣合い時に、前記異常時相電流指令値を低下させた後、前記外力によって当該3相電動モータの電気角が戻されて操舵補助トルクを発生可能な電気角に達したときに、前記異常時相電流指令値を増加させるように構成されている。
(第1の実施の形態)
(構成)
図1は、本発明の一実施形態を示す全体構成図である。
図中、符号1は、ステアリングホイールであり、このステアリングホイール1に運転者から作用される操舵力がステアリングシャフト2に伝達される。このステアリングシャフト2は、入力軸2aと出力軸2bとを有する。入力軸2aの一端はステアリングホイール1に連結され、他端は操舵トルクセンサ3を介して出力軸2bの一端に連結されている。
操舵トルクセンサ3は、ステアリングホイール1に付与されて入力軸2aに伝達された操舵トルクを検出するもので、例えば、操舵トルクを入力軸2a及び出力軸2b間に介挿した図示しないトーションバーの捩れ角変位に変換し、この捩れ角変位を抵抗変化や磁気変化に変換して検出するように構成されている。
図3は、制御演算装置23の具体的構成を示すブロック図である。
制御演算装置23は、図3に示すように、操舵補助電流指令値演算部31、角度情報演算部32、正常時モータ指令値算出部33及び異常時モータ指令値算出部34で構成される指令値出力部30と、指令値選択部35と、モータ電流制御部36とを備えている。
角度情報演算部32は、ロータ回転角検出回路13で検出したロータ回転角θmに基づいて、電気角θeを演算する電気角変換部32aと、この電気角変換部32aから出力される電気角θeを例えば微分してモータ回転速度ωmを算出するモータ回転速度演算部32bとを備えている。
異常時モータ指令値算出部34は、後述する異常検出回路27から入力される相異常検出信号AS、操舵補助電流指令値Iref、電気角θe及び電気角速度ωeに基づいて正常なコイルLi(i=a〜c)及びLj(j=b〜a)に対する2相電流指令値(異常時相電流指令値)Iiref及びIjrefを算出する。このとき、基本電流指令値としての2相電流指令値Iiref及びIjrefは、図19に示すように、互いに符号が逆で絶対値が等しく算出する。つまり、2相電流指令値Iiref及びIjrefの和は零であり、これらは共通の電気角θeで符号が反転することになる。
モータ電流制御部36は、指令値選択部35で選択した電流指令値とモータ電流検出回路22で検出したモータ電流検出値Iad、Ibd及びIcdとを用いて、電流フィードバック処理を行う。
操舵補助電流指令値演算部31は、操舵トルクT及び車速Vsをもとに、図4に示す操舵補助電流指令値算出マップを参照して操舵補助電流指令値Irefを算出する。操舵補助電流指令値算出マップは、図4に示すように、横軸に操舵トルクTをとり、縦軸に操舵補助電流指令値Irefをとると共に、車速検出値Vsをパラメータとした放物線状の曲線で表される特性線図で構成される。
角度情報演算部32は、ロータ回転角検出回路13で検出したロータ回転角θmを電気角θeに変換する電気角変換部32aと、この電気角変換部32aから出力される電気角θeを微分してモータ回転速度を表す電気角速度ωeを算出する微分回路32bとを有する。
このようにd軸電流指令値算出部33aを構成することにより、d軸電流指令値Idrefは、
Idref=−|Iref|・sin(acos(ωb/ωm)) …………(1)
となる。
V=E+R・I+L(di/dt) …………(2)
で表される。ここで、Eは逆起電圧、Rは固定抵抗、Lはインダクタンスである。逆起電圧Eはモータが高速回転になるほど大きくなり、バッテリー電圧などの電源電圧は固定であるから、モータの制御に利用できる電圧範囲が狭くなる。この電圧飽和に達する角速度がベース角速度ωbで、電圧飽和が生じるとPWM制御のデューティ比が100%に達し、それ以上は電流指令値に追従できなくなり、その結果トルクリップルが大きくなる。
Iqref={Kt×Iref×ωe−ed(θe)×Idref(θe)}/eq(θe)
………………(3)
ここで、Ktはモータトルク定数である。
異常時モータ指令値算出部34は、3相ブラシレスモータ12の1相のコイルを含む駆動系統に異常が発生した場合に、残りの2相のコイルを使用して3相ブラシレスモータ12の回転駆動を継続するための相電流指令値を算出するものである。
3相ブラシレスモータ12では、例えば図8(a)に示すようにA相コイルLaに対する駆動系統に断線が発生して、A相コイルLaにモータ電流を供給できない状態となると、モータ電流を供給可能なコイルはB相コイルLb及びC相コイルLcの2つのコイルとなる。これらB相コイルLb及びC相コイルLcに供給する電流の方向は、B相コイルLbからモータ電流を入力してC相コイルLcから出力する場合と、逆にC相コイルLcからモータ電流を入力してB相コイルLbから出力する場合の2通りとなる。
これらモータ電流によって発生するステータ合成磁界は、図8(b)及び(c)に示すように、180度異なる方向にのみ形成することができるだけであるので、これらのステータ合成磁界のみでは3相ブラシレスモータ12を2相駆動することはできない。
ここで、本実施形態では、現在の電気角θeが後述する所定の加速領域内にあるとき、3相ブラシレスモータ12を操舵方向へ加速するべく、上記相電流指令値Im(θe)を増加又は減少する補正を行うものとする。
異常時モータ指令値算出部34は、図3に示すように、基本電流指令値生成部60と、基本電流指令ゲイン生成部61と、補正電流指令ゲイン生成部62と、リトライ電流指令ゲイン生成部63と、基本電流指令ゲイン生成部61から出力される基本電流ゲインGifと補正電流指令ゲイン生成部62から出力される補正電流指令ゲインGiaとリトライ電流指令ゲイン生成部63から出力されるリトライ電流指令ゲインGirとに基づいて2相電流指令値Iiref及びIjrefを生成する2相制御用各相電流指令値生成部64とを備えている。ここで、補正電流指令ゲイン生成部62、リトライ電流指令ゲイン生成部63及び2相制御用各相電流指令値生成部64で、電流指令値補正手段が構成されている。
ここで、誘起電圧算出部60aは、B−C2相で駆動する場合の図9の特性曲線L3で表される合成誘起電圧EMFaと電気角θeとの関係を示す合成誘起電圧算出用記憶テーブル、A−B2相で駆動する場合の合成誘起電圧EMFaと電気角θeとの関係を表す合成誘起電圧算出テーブル、及びA−C2相で駆動する場合の合成誘起電圧EMFaと電気角θeとの関係を表す合成誘起電圧算出用記憶テーブルの3つの合成誘起電圧算出用記憶テーブルを有する。そして、相異常検出信号ASに基づいて正常である2相に対応する合成誘起電圧算出用記憶テーブルを選択し、電気角θeをもとに選択した合成誘起電圧算出用記憶テーブルを参照して合成誘起電圧EMFa(θe)を算出する。
すなわち、相電流指令値算出部60bは、下記(4)の演算を行って相電流指令値Im(θe)を算出する。
Im(θe)=(Kt2×Iref×ωe)/EMFa(θe) ………(4)
ここで、Kt2は2相通電時のモータトルク定数である。
補正電流指令ゲイン生成部62は、切増切戻判定部71と、モータ加速領域判定部72と、トルク低下領域判定部73と、補正電流指令ゲイン生成部74とを備えている。
切増切戻判定部71は、図10に示すように、操舵トルクセンサ3で検出された操舵トルクTが入力されて操舵トルクTの符号を判定する操舵トルク符号判定部71aと、この操舵トルク符号判定部71aの判定結果と電気角速度ωeが入力されてブラシレスモータの回転方向を判定する回転方向判定部71bと、この回転方向判定部71bの判定結果と操舵トルク符号判定部71aの判定結果とが入力されて切増/切戻を判定して、切戻状態で“1”となる第1の切戻フラグFr1を出力する切増/切戻判定部71cとを備えている。
回転方向判定部71bは、操舵トルク符号判定部71aから入力される符号判定出力Stが論理値“1”であるときには、回転速度ωmに予め設定された回転速度ヒステリシスωhを加算した値の絶対値が回転速度ヒステリシスωh1を超えているか否かを判定する。この判定結果が、|ωm+ωh1|>ωh1である場合には、回転速度ωmが0を含む正値であるときに論理値“1”の回転方向判定出力Srを出力し、回転速度ωmが負値であるときには論理値“0”の回転方向判定出力Srを出力する。また、|ωm+ωh1|≦ωh1であるときには前回出力を維持する。
上記加速領域は、前述した相電流指令値算出部60bで算出する相電流指令値Im(θe)の符号が反転する電気角θeを跨ぐ所定の角度領域に設定する。具体的には、当該加速領域は、相電流指令値Im(θe)が、各相コイルの駆動系統で通電可能な電流値の上限に相当する相電流上限値(モータ駆動回路24で出力可能な最大電流値Imax)に達している角度領域の前後を含む角度領域とする。
トルク低下領域判定部73は、図12に示すように、電流指令値Iiref及びIjrefが最大電流値Imaxに近い値のトルク低下領域判定電流閾値Itd以上であるか否か判定する電流指令値比較部73aと、モータ回転速度ωmがトルク低下領域判定回転速度閾値ωtm以下であるか否かを判定する回転速度比較部73bと、前述した加速領域判定フラグFa、電流指令値比較部73aの比較出力及び回転速度比較部73bの比較出力が入力されてトルク低下領域内であるか否かを判定する判定部73cとを備えている。
回転速度比較部73bは、回転速度ωmの絶対値がトルク低下領域判定回転速度閾値ωtm以下であるときには論理値“1”の比較出力Ctvを出力し、それ以外のときには論理値“0”の比較出力Ctvを出力する。
ここで、ゲイン算出部74aは、切戻時に図14に示すゲイン算出マップを参照して切戻補正電流ゲインGirvを算出してゲイン算出部74bに設定するとともに、切増時に予め設定された切増補正電流ゲインをゲイン算出部74bに設定し、電流指令値Iiref及びIjrefが安定領域にあるときに予め設定された安定領域補正電流ゲインをゲイン算出部74bに設定する。
すなわち、|Im(θe)|≧Im(θe)TH2である場合には、相電流指令値Im(θe)の絶対値を減少させる補正を行う。一方、|Im(θe)|<Im(θe)TH1である場合には、相電流指令値Im(θe)の符号を反転すると共に減少させる補正を行う。
ここで、上記閾値Im(θe)TH1及びIm(θe)TH2は、モータに回転力を与える程度のモータに係る外部負荷が発生する操舵補助電流指令値を基準に設定される。
トルク比較部81dは、操舵トルクTと操舵トルク閾値とを比較して操舵トルクTが操舵トルク閾値以上であるときに論理値“1”の比較出力Ctcをアンド回路81iに出力し、それ以外のときに論理値“0”の比較出力Ctcをアンド回路81iに出力する。
状態変化判定部81bは、第2の切戻フラグFr2が“1”から“0”にすなわち切戻状態から切増状態に状態変化した場合には切戻→切増変化フラグFriを“1”にセットし、それ以外の場合には切戻→切増変化フラグFriを“0”にリセットする。
切換スイッチ91a、91b及び91cの常閉接点には、正常時モータ指令値算出部33の2相/3相変換部33eで算出された各相電流指令値Iaref、Ibref及びIcrefが入力され、他方の常開接点には異常時モータ指令値算出部34から出力される各相電流指令値Iaref、Ibref及びIcrefが入力される。
モータ駆動回路24は、図2に示すように、各相コイルLa、Lb及びLcに対応して直列に接続されたNチャンネルMOSFETで構成されるスイッチング素子Qaa,Qab、Qba,Qbb及びQca,Qcbを並列に接続されたインバータ構成を有する。スイッチング素子Qaa,Qabの接続点、Qba,Qbbの接続点及びQca,Qcbの接続点は、夫々相コイルLa、Lb及びLcの中性点Pnとは反対側に接続されている。
さらに、遮断用リレー回路26は、3相ブラシレスモータ12の相コイルLa、Lb及びLcの中性点Pnとは反対側の端子と、モータ駆動回路24の電界効果トランジスタQaa,Qab、Qba,Qbb及びQca,Qcbの接続点との間に個別に介挿されたリレー接点RLY1、RLY2及びRLY3で構成されている。各リレー接点RLY1〜RLY3は、選択制御部92から出力されるリレー制御信号によってオン/オフ状態が制御される。このとき、異常検出回路27で全ての相で異常が検出されない正常状態では閉状態(オン状態)に制御され、何れか1つの相で異常が検出されたときに異常となった相のリレー接点RYLi(i=1〜3)が開状態(オフ状態)に制御される。
なお、図1の操舵トルクセンサ3が操舵トルク検出手段に対応し、車速センサ21が車速検出手段に対応し、操舵補助制御装置20がモータ制御手段に対応し、図2の異常検出回路27がコイル相異常検出手段に対応している。
(動作)
次に、上記実施形態の動作を説明する。
今、モータ駆動回路24を構成する各電界効果トランジスタQaa〜Qcbが正常であると共に、3相ブラシレスモータ12の各相コイルLa〜Lcに断線や地絡が生じていない正常状態であるものとする。この場合には、異常検出回路27で異常状態が検出されることがないため、異常検出回路27は“0”を表す相異常検出信号ASを異常時モータ指令値算出部34及び指令値選択部35に出力する。
このとき、車両が停止しており、運転者がステアリングホイール1を操舵していない状態であるとすると、制御演算装置23の正常時モータ指令値算出部33は、相電流指令値Iaref、Ibref及びIcrefをそれぞれ“0”に算出する。このとき、3相ブラシレスモータ12が停止している場合には、各相コイルLa、Lb及びLcに供給されるモータ電流Ia、Ib及びIcも“0”となり、3相ブラシレスモータ12は停止状態を維持する。
このため、選択スイッチ91a〜91cが常閉接点側から常開接点側に切換えられる。したがって、モータ電流制御部36に供給する相電流指令値は、正常時モータ指令値算出部33が出力する相電流指令値Iaref〜Icrefから、異常時モータ指令値算出部34が出力する相電流指令値Iaref〜Icrefに切換えられる。
ここで、モータトルクが一定値から減少している領域がモータトルク低下領域Atdとなり、このモータトルク低下領域Atdとその両側のモータトルクを最大値まで増加可能なモータトルク発生領域Atgとを含めて加速領域Aaが設定される。
このため、補正電流指令ゲイン生成部74では、安定領域補正電流ゲインが補正電流指令ゲインGiaとして2相制御用各相電流指令値生成部64に供給される。
このため、リトライ電流ゲイン生成部82ではリトライ回数Nrが“0”であり、第2の切戻フラグFr2も“0”にリセットされているので、リトライ電流指令ゲイン演算部82bでリトライ電流指令ゲインGirが“0”に設定される。
このとき、電気角θeが0°〜90°であるときには、C相コイルLcからB相コイルLbに向けて電流を流し、電気角θeが90°〜270°であるときにはB相コイルLbからC相コイルLcに向けて電流を流す。さらに、電気角θeが270°〜360°であるときにはC相コイルLcからB相コイルLbに向けて電流を流す。また、A相電流指令値Iarefは“0”に設定される。
こうして、回転するステータ合成磁界を発生させてロータを回転させることにより、3相ブラシレスモータ12を2相駆動する。
ここでは切り増し操舵を行っているため、モータトルク方向とモータ回転方向は共に正方向(図11の左→右)であり、モータに係る外部負荷(操舵反力)の方向は負方向(図11の右→左)となる。
このように、通電異常時に3相ブラシレスモータを駆動制御したとき、相電流指令値Im(θe)の符号が反転し、モータトルクが必ず零になる電気角θe(90°,270°)が存在する。本実施形態では、その電気角θeを跨ぐ領域Atdの前後の領域(領域Atg)を含む角度領域を加速領域Aaとする。
このように、加速領域Aaに達する前の安定出力角度領域でモータ電流を減少補正することで、この領域ではモータトルクが低減する。これにより、操舵トルクを意図的に上昇させる。
このため、補正電流指令ゲイン生成部74の補正電流指令ゲイン演算部74bで切増補正電流ゲインGii(>1)が選択され、この切増補正電流ゲインGiiが補正電流指令ゲインGiaとして2相制御用各相電流指令値生成部64に出力される。
このとき、リトライ電流指令値ゲイン生成部63では、リトライ電流指令ゲインGirが“0”を維持する。
このように、加速領域Aaに達したときにモータ電流を増加補正することで、モータトルクを上昇し3相ブラシレスモータ12を正方向に加速する。この増加補正は電気角θeが加速領域Aa内に存在する間、継続する。
このように、電流上限に到達する前後の安定出力角度領域Atg、すなわちモータトルクを自由に増加減できる角度領域でモータ電流を増加する補正を行う。
このように、3相のうち1相に異常が発生した場合には、残りの2相を使用して3相ブラシレスモータ12を継続駆動することができる。また、このとき、電流制限により一定のモータトルクが得られないモータトルク低下領域Atdを効率良く飛び越えることができる。
このとき、トルク低下領域判定部73では、加速領域判定フラグFaが“1”にセットされており、電流指令値Im(θe)が最大値であることから電流指令値比較部73aから出力される比較出力Ctiが論理値“1”となる。また、モータ回転速度ωmが低下して、略零に近づいて、トルク低下領域判定回転速度閾値以下に低下するので、回転速度比較部73bの比較出力Ctvも論理値“1”となる。
このため、補正電流指令ゲイン生成部74では、加速領域フラグFaが“1”にセットされ、第2の切戻フラグFr2が“1”にセットされるので、切戻補正電流ゲインGirvが補正電流指令ゲインGiaとして2相制御用各相電流指令値生成部64に出力される。このときの切戻補正電流ゲインGirvは、図14に示すように、電流指令値Im(θe)が最大値となっているので、“1”より小さく零に近い正値になる。
このため、ブラシレスモータ12で発生される操舵補助トルクが略零となるので、操舵トルクTと操舵補助トルクとを合算したトルクに対して外力(操舵反力)の方が大きな値となることにより、外力によってブラシレスモータ12が戻されることにより、電気角θesが図19において矢印Y2で示すように低下する。
このリトライ加速制御で、モータトルク低下領域Atdを飛び越せれば、その後は、2相制御が継続されることになる。
この加速領域Aaを増加させても、モータトルク低下領域Atdを飛び越せない場合には、最後に安定出力領域で、リトライ電流指令ゲインGirをリトライ回数Nrに応じて増加させ、これを基準電流指令ゲインGifに加算することにより、安定出力領域での電流指令値Imを増加させて、より大きなモータトルクを発生させて、モータトルク低下領域Atdを飛び越す。
なお、上記実施形態においては、切増切戻判定部71の操舵トルク符号判定部71aで符号判定する場合に、操舵トルクセンサ3のセンサ誤差を考慮してヒステリシスを設定するようにしてもよい。
また、上記実施形態においては、電気角が加速領域内にあるとき、予め設定した補正ゲインを乗算することで、電流指令値を減少補正する場合について説明したが、相電流指令値Im(θe)から補正電流指令ゲインやリトライ補正電流指令ゲインに相当する補正量を減算したり、加算したりすることで増加補正または減少補正することもできる。
Claims (4)
- 操舵系に対して操舵補助力を付与する各相コイルをスター結線した3相電動モータと、前記操舵系に伝達される操舵トルクを検出する操舵トルク検出手段と、前記各相コイルの通電異常を検出するコイル通電異常検出手段と、該コイル通電異常検出手段で、1相のコイルの通電異常を検出したときに、残りの2相のコイルに対する異常時相電流指令値を算出する異常時モータ指令値算出手段と、前記異常時相電流指令値に基づいて前記3相電動モータを駆動制御するモータ制御手段とを備える電動パワーステアリング装置であって、
前記操舵トルク及び前記3相電動モータで発生する操舵補助トルクの和と外力との釣合い時に、前記異常時相電流指令値を低下させる電流指令値補正手段を備えている
ことを特徴とする電動パワーステアリング装置。 - 前記電流指令値補正手段は、前記操舵トルク及び前記3相電動モータで発生する操舵補助トルクの和と外力との釣合い時に、前記3相電動モータの電気角が、前記異常時モータ指令値算出手段で算出した異常時相電流指令値の符号が反転する最小トルク電気角を跨ぐ所定の角度領域であるモータトルク低下領域に達したときに、前記異常時相電流指令値を低下させるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の電動パワーステアリング装置。
- 前記電流指令値補正手段は、前記操舵トルク及び前記3相電動モータで発生する操舵補助トルクの和と外力との釣合い時を、前記操舵トルク、前記3相電動モータの回転角及び回転速度に基づいて検出することを特徴とする請求項1又は2に記載の電動パワーステアリング装置。
- 前記電流指令値補正手段は、前記操舵トルク及び前記3相電動モータで発生する操舵補助トルクの和と外力との釣合い時に、前記異常時相電流指令値を低下させた後、前記外力によって当該3相電動モータの電気角が戻されて操舵補助トルクを発生可能な電気角に達したときに、前記異常時相電流指令値を増加させることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の電動パワーステアリング装置。
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