以下、本発明に関する好ましい実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。尚、以下に説明する実施形態において互いに共通する部材には同一符号を付しており、それらについての重複する説明は省略する。
図1は、本実施形態における情報処理システム1の一構成例を示す図である。この情報処理システム1は、画像形成装置2と、情報処理装置3と、サーバ装置4とを備え、それらがネットワーク5に接続されて相互にデータ通信可能なように構成されている。
本実施形態の情報処理システム1は、図1に示すように複数の画像形成装置2a,2b,2c,…がネットワーク5に接続されている。これら複数の画像形成装置2a,2b,2cは、例えば複合機やMFP(Multi Function Peripheral)と呼ばれるように、プリンタ機能、スキャナ機能、コピー機能、FAX機能などの複数の機能を備えた装置を例示している。ただし、必ずしも複数の機能を備えている必要はなく、プリンタ機能のみを備えた画像形成装置であっても構わない。このような画像形成装置2a,2b,2cは、例えば部門毎に使用するユーザが割り当てられている。例えば、ある部門に所属するユーザは画像形成装置2aを使用し、別の部門に所属するユーザは画像形成装置2bを使用し、さらに別の部門に所属するユーザは画像形成装置2cを使用する、といったように割り当てられている。
また情報処理システム1は、複数の情報処理装置3a,3b,3c,…がネットワーク5に接続されている。これら複数の情報処理装置3a,3b,3cのそれぞれは、例えば卓上設置型或いはノート型などの一般的なコンピュータ(PC)で構成されている。例えば、これら複数の情報処理装置3a,3b,3cはそれぞれ異なるユーザが使用するように割り当てられている。
また情報処理システム1はサーバ装置4として、認証サーバ4aとジョブサーバ4bとの2つのサーバを備えており、これら2つのサーバがネットワーク5に接続されている。このうち、認証サーバ4aは、情報処理装置3を操作してネットワーク5に接続しようとするユーザを認証するためのサーバである。この認証サーバ4aは、後述するようにユーザ毎に予め設定された各種情報を記憶するように構成されている。またジョブサーバ4bは、複数の画像形成装置2a,2b,2cのそれぞれにおけるジョブの実行などを管理するサーバである。このジョブサーバ4bがプリントデータを受信すると、そのプリントデータを管理し、適宜のタイミングで指定された画像形成装置2に送信することで印刷ジョブを実行させる。尚、情報処理装置3a,3b,3cからプリントデータを送信する場合の宛先となる装置は、ジョブサーバ4bに限られるものではなく、画像形成装置2a,2b,2cに対して直接送信しても良い。また、ある情報処理装置から他の情報処理装置に対してプリントデータを送信することも可能である。
図2は、画像形成装置2aの内部構成の一例を示すブロック図である。尚、他の画像形成装置2b,2c,…についても図2と同様の構成となっている。図2に示すように、画像形成装置2aは、操作パネル10と、制御部11と、画像メモリ12と、ネットワークインタフェース13と、画像読取部14と、画像形成部15と、記憶部16とを備え、これらがデータバス17を介して相互にデータの入出力を行えるように接続された構成である。
操作パネル10は、図示しない表示部と操作キーとを備えており、画像形成装置2aを使用するユーザは操作パネル10を操作することにより各種情報の入力や設定操作などを行うことができる。制御部11は、CPU11aとメモリ11bとを備えており、CPU11aが所定のプログラムに基づいた処理を行うことにより、各部の動作制御を行い、ジョブの実行を制御する。例えばプリントデータに基づく印刷ジョブの実行が指示された場合には、そのプリントデータを画像形成部15に出力して印刷ジョブの実行を制御する。画像メモリ12は、ネットワーク5を介して入力するプリントデータなどを一時的に記憶するためのものである。ネットワークインタフェース13は、ネットワーク5に接続された各装置とデータ通信を行うためのインタフェースである。画像読取部14は、図示しないスキャナ部を有し、文書などの原稿から画像を読み取って画像データを生成する。画像形成部15は、プリントデータに基づいて画像形成を行うことにより印刷ジョブを実行する。記憶部16は例えばハードディスク装置などの不揮発性記憶手段によって構成される。
また記憶部16には、複数の記憶領域18が設けられている。複数の記憶領域18のそれぞれは例えば「BOX」などと呼ばれ、BOX番号によって管理されている。図例の場合、「BOX1」として管理される記憶領域18a、「BOX2」として管理される記憶領域18b、「BOX3」として管理される記憶領域18cなどが設けられている。これら記憶領域18a,18b,18cは、複数のユーザが共有して使用可能な記憶領域として設定されていたり、或いは、個人ユーザが占有して使用可能な記憶領域として設定されていたりする。そしてこれら記憶領域18a,18b,18cには、プリントデータなどの各種データを記憶することができる。
このような画像形成装置2aは、例えば機密プリントの設定が施されたプリントデータを受信した場合、そのプリントデータを一時的に保持しておく。そして操作パネル10を介してそのプリントデータに設定されているIDやパスワードと一致する入力が行われた場合に印刷ジョブを実行する。尚、機密プリントの設定が施されていないプリントデータの場合、画像形成装置2aは、データ受信後、その印刷ジョブを実行する。
次に図3は、情報処理装置3aの内部構成の一例を示すブロック図である。尚、他の情報処理装置3b,3c,…についても図3と同様の構成となっている。情報処理装置3aは、液晶ディスプレイなどで構成された各種情報を表示可能な表示部21と、ユーザが操作可能なキーボード22およびマウス23と、ネットワーク5に接続するためのネットワークインタフェース24と、プログラムを実行することによって各種処理を行うCPU25と、CPU25が各種処理を行う際のデータなどを一時的に記憶するメモリ26と、ハードディスク装置などの不揮発性記憶手段で構成された記憶部27とを備え、これらがデータバス29を介して相互にデータの入出力を行えるように接続された構成である。尚、キーボード22およびマウス23は、ユーザが入力操作を行うための操作入力手段である。
図3に示すように記憶部27には、アプリケーションプログラム(以下、単に「アプリケーション」という。)31と、プリンタドライバプログラム(以下、単に「プリンタドライバ」という。)32が記憶されている。また記憶部27には、文書データ35も記憶されている。
アプリケーション31は、情報処理装置3aにおいて文書データ35を作成又は編集する場合に起動するプログラムである。例えばCPU25がアプリケーション31を読み出して実行することにより、表示部21に対して文書の編集画面などが表示され、ユーザはキーボード22やマウス23などを操作することによって文書の作成編集を行うことができる。そしてユーザによる編集操作に基づき、CPU25は文書データ35を作成して記憶部27に記憶する。但し、記憶部27に保存されている文書データ35は、必ずしもCPU25がアプリケーション31を起動することによって作成されたものに限定するものではなく、例えば情報処理装置3aがネットワーク5などを介して外部から入力したものであっても良い。
プリンタドライバ32は、ユーザが文書データ35を指定して印刷指示を行った場合、或いは、他のユーザに配布することを指示した場合に起動するプログラムであり、本実施形態における情報処理装置3aの主たる動作を実現するためのプログラムである。例えば、ユーザが記憶部27に記憶されている文書データ35を指定した状態で、その文書を他のユーザに配布することを指示した場合、CPU25がプリンタドライバ32を読み出して実行することにより、情報処理装置3aは、ユーザによって指定された送信先に対し、その送信先に適合したプリントデータを自動生成して送信する。尚、このような情報処理装置3aの詳細な機能については後述する。
次に図4は、認証サーバ4aの内部構成の一例を示すブロック図である。認証サーバ4aは、プログラムを実行することによって各種処理を行うCPU41と、CPU41が各種処理を行う際のデータなどを一時的に記憶するメモリ42と、ネットワーク5に接続するためのネットワークインタフェース43と、ハードディスク装置などの不揮発性記憶手段で構成された記憶部44とを備え、これらがデータバス45を介して相互にデータの入出力を行えるように接続された構成である。
記憶部44には、認証サーバ4aを機能させるためのサーバプログラム46が記憶されている。例えば認証サーバ4aに対する電源投入に伴って、CPU41が記憶部44からサーバプログラム46を読み出して実行することにより、認証サーバ4aは、情報処理装置3a,3b,3cからの各種要求を待機する状態となり、情報処理装置3a,3b,3cから各種要求を受信すると、その要求に応じた処理を実行する。また記憶部44には、認証情報47と、ユーザ別送信先登録情報48と、送信先条件情報49とが保存されている。これらの情報47,48,49は、例えば情報処理システム1の管理者によって予め設定され、登録された情報である。尚、これら各情報47,48,49の詳細については後述する。
次に、上記のように構成された情報処理システム1において、例えば、あるユーザが情報処理装置3aを操作して文書データ35を他のユーザに配布する場合の動作について説明する。上述したように、ユーザが文書データ35の配布を指示すると、情報処理装置3aにおいてCPU25がプリンタドライバ32を読み出して実行し、ユーザによって指定された送信先に適合したプリントデータを自動生成する。このとき、情報処理装置3aは、ネットワーク5を介して認証サーバ4aとデータ通信を行い、認証サーバ4aから文書データ35を他のユーザに配布するために必要な情報を取得する。またこのとき、認証サーバ4aは、情報処理装置3aからの要求に応じた処理を実行する。
図5は、情報処理装置3aにおいてCPU25がプリンタドライバ32を実行することによって実現される機能の一例を示すブロック図である。また図6は、認証サーバ4aが情報処理装置3aからの要求に応じた処理を行う機能の一例を示すブロック図である。さらに図7は認証サーバ4aに記憶されている認証情報47の一例を示す図であり、図8は認証サーバ4aに記憶されているユーザ別送信先登録情報48の一例を示す図であり、図9は認証サーバ4aに記憶されている送信先条件情報49の一例を示す図である。
図5に示すように情報処理装置3aにおいてプリンタドライバ32が起動すると、CPU25は、認証要求部51、認証判定部52、送信先情報取得部53、送信先指定部54、送信先条件取得部55、プリントデータ生成部56、および、プリントデータ送信処理部57として順次機能する。このとき、他のユーザに配布するデータとして指定された文書データ35は、例えばメモリ26に格納されている。
認証要求部51は、情報処理装置3aを操作するユーザが情報処理システム1を使用する権限を有しているか否かを認証サーバ4aに問い合わせることにより、認証サーバ4aに対して認証処理を行うことを要求する処理部である。したがって、認証要求部51は、文書データ35の配布を指示したユーザに関する情報(例えばユーザ名やユーザIDなど)を付加した認証要求を認証サーバ4aに対して送信する。
認証サーバ4aがこの認証要求を受信すると、図6に示すようにCPU41が認証処理部61として機能し、記憶部44から認証情報47を読み出して認証処理を実行する。認証情報47は、情報処理システム1を使用する権限が与えられたユーザが予め登録された情報であり、例えば図7に示すように権限のあるユーザのユーザ名とユーザIDとが記憶された情報である。そのため、認証処理部61は、情報処理装置3aから受信した認証要求に含まれるユーザに関する情報と一致する情報が認証情報47に登録されていれば認証結果を成功とし、登録されていなければ認証結果を失敗とする。例えば、認証要求に含まれるユーザ名が「ユーザA」であり、そのユーザIDが「000101」であった場合、認証処理部61はそれに一致する情報が図7の認証情報47に登録されているため、認証結果を成功とする。そして認証結果を情報処理装置3aに送信する。
情報処理装置3aが認証サーバ4aから認証結果を受信すると、図5に示すようにCPU25は認証判定部52を機能させ、認証サーバ4aによって行われた認証処理の結果を判定する。そして認証が成功している場合、CPU25は、送信先情報取得部53を機能させる。一方、認証が失敗している場合、送信先情報取得部53は機能せず、プリンタドライバ32に基づく処理は終了する。
送信先情報取得部53は、認証の成功したユーザ(以下、「認証ユーザ」という。)がネットワーク5を介してデータを送信することが許可された送信先に関する情報を認証サーバ4aから取得する処理部である。この送信先情報取得部53は、認証サーバ4aに対し、認証ユーザがデータ送信可能な送信先として予め登録されている送信先登録情報の送信要求を行う。
認証サーバ4aが送信先登録情報の送信要求を受信すると、図6に示すようにCPU41が送信先登録情報送信部62として機能し、記憶部44からユーザ別送信先登録情報48を読み出して認証ユーザの送信可能な送信先登録情報を抽出する。
ここでユーザ別送信先登録情報48は、図8に示すように認証ユーザ毎に送信可能な送信先が登録された情報である。例えば、送信先登録情報48aは認証ユーザが「ユーザA」である場合の情報であり、ユーザAが送信可能な送信先が登録されている。送信可能登録ユーザの欄には、ユーザAが送信可能な他のユーザが登録されており、送信可能登録グループの欄には、ユーザAが送信可能な複数のユーザを含むグループが登録されている。またユーザ別送信先登録情報48には、他にも同様の送信先登録情報48b,48c,…が含まれており、例えば送信先登録情報48bは認証ユーザが「ユーザB」である場合の情報であり、送信先登録情報48cは認証ユーザが「ユーザC」である場合の情報となっている。
例えば認証ユーザが「ユーザA」であった場合、送信先登録情報送信部62は、図8に示すユーザ別送信先登録情報48からユーザAに対応する送信先登録情報48aを抽出し、それを情報処理装置3aに対して送信する。
情報処理装置3aにおいて送信先情報取得部53が認証サーバ4aから認証ユーザの送信先登録情報48aを受信すると、次にCPU25は送信先指定部54を機能させる(図5参照)。送信先指定部54は、認証サーバ4aから受信した送信先登録情報48aに基づいて認証ユーザが送信可能な送信先リストを表示部21に表示する。これにより、認証ユーザは、キーボード22又はマウス23を操作することにより送信先リストの中から文書データ35を送信する送信先を少なくとも1つ選択することができる。送信先指定部54は、認証ユーザの選択操作を受け付け、その選択操作に基づいて送信先登録情報48aに登録されている送信先の中から文書データ35を送信する送信先を指定する。
次に情報処理装置3aのCPU25は、送信先条件取得部55として機能する。送信先条件取得部55は、送信先指定部54によって指定された送信先に対して予め設定されている条件情報を取得する処理部である。この送信先条件取得部55は、認証サーバ4aに対し、送信先指定部54によって指定された送信先を通知すると共に、その指定された送信先に対して登録されている送信先条件情報の送信要求を行う。
認証サーバ4aが送信先条件情報の送信要求を受信すると、図6に示すようにCPU41が送信先条件情報送信部63として機能する。送信先条件情報送信部63は、記憶部44から送信先条件情報49を読み出し、情報処理装置3aから指定された送信先に対して予め設定されている送信先条件情報を抽出する。
ここで送信先条件情報49は、図9に示すように送信先として指定されるユーザ毎に、データを送信する際の諸条件が予め登録された情報である。例えば、送信先条件情報49aは、送信先として「ユーザB」が指定された場合の諸条件を登録した情報である。この送信先条件情報49aには、機密プリント設定を行う場合の機密プリント情報として、ID情報とパスワード情報とが予め登録されている。またユーザBに文書データ35を送信する際の送信先指定情報として、複数の画像形成装置2a,2b,2cのうちでユーザBが使用可能な特定の画像形成装置のアドレスが登録されている。またユーザBの電子メールアドレスも登録されている。さらに、この送信先条件情報49aには、ユーザBに対してプリントデータを送信する場合の印刷条件情報が含まれている。この印刷条件情報には、プリントデータ生成に関わる種々の情報が含まれており、図例の場合は、1枚の出力用紙に印刷するページ数を設定したNin1設定情報、片面印刷および両面印刷のいずれで印刷するかを設定した片面/両面設定情報、カラー印刷およびモノクロ印刷のいずれで印刷するかを設定したカラー/モノクロ設定情報、印刷時にヘッダ又はフッタを印刷するかを設定したヘッダ/フッタ設定情報、ウォーターマークを印刷するか否かを設定したウォーターマーク設定情報、地紋を印刷するか否かを設定した地紋設定情報などが含まれる。このような印刷条件情報は、例えばユーザBの印刷権限などに基づいて予め設定されている。また送信先条件情報49にはこの他にも、別のユーザやグループが送信先として指定された場合の諸条件が登録された送信先条件情報49b,49c,…が含まれている。
例えば送信先として指定されたユーザが「ユーザB」であった場合、送信先条件情報送信部63は、図9に示す送信先条件情報49からユーザBに対応する送信先条件情報49aを抽出し、それを情報処理装置3aに対して送信する。
情報処理装置3aにおいて送信先条件取得部55が認証サーバ4aから送信先条件情報49aを受信すると、次にCPU25はプリントデータ生成部56を機能させる(図5参照)。プリントデータ生成部56は、認証サーバ4aから受信した送信先条件情報49aを解析し、印刷条件情報に含まれる各設定情報の値に基づいて文書データ35からプリントデータを生成する。このとき、送信先として指定されたユーザが「ユーザB」であれば、プリントデータ生成部56は、受信した「ユーザB」に関する送信先条件情報49aに基づいてプリントデータを生成するため、そのプリントデータは「ユーザB」に対して予め設定された条件に適合したデータとなる。したがって、文書データ35の送信を指示するユーザが送信先である「ユーザB」の印刷権限などの条件を考慮しなくても、プリントデータ生成部56において「ユーザB」の印刷権限などの条件に適合したプリントデータが自動生成される。また機密プリントの指示がある場合、プリントデータ生成部56は、送信先条件情報49aに含まれる機密プリント情報に基づいてプリントデータに対するIDとパスワードを自動で設定することにより機密プリントの設定を行う。
そしてプリントデータ生成部56によるプリントデータの生成が終了すると、次にCPU25は、プリントデータ送信処理部57を機能させる。プリントデータ送信処理部57は、プリントデータ生成部56によって生成されたプリントデータを、送信先条件情報49aに含まれる送信先指定情報に基づいて指定されたアドレスに送信する。
例えば送信先として指定されたユーザが「ユーザB」であり、送信先条件情報49aの送信先指定情報にその「ユーザB」に対するデータ送信先として特定の画像形成装置のアドレスが登録されている場合、プリントデータ送信処理部57は、ネットワーク5を介してその特定の画像形成装置に対してプリントデータを送信する。これにより、その特定の画像形成装置は情報処理装置3aからプリントデータを受信する。そして機密プリントの設定が行われていれば、そのプリントデータを保持する。この場合、ユーザBが操作パネル10を操作し、プリントデータに設定されているIDとパスワードに一致する入力を行うことでそのプリントデータに基づく印刷ジョブが開始される。そして画像形成装置から出力される印刷形態は、ユーザBに対して予め設定された条件に適合した形態となっている。
またプリントデータ送信処理部57は、送信先条件情報49aの送信先指定情報で指定されているアドレスにプリントデータを送信した後、送信先条件情報49aに登録されている電子メールアドレスに対してプリントデータを送信したことを示す電子メールを送信する。これにより、送信先として指定されたユーザに対してプリントデータを送信したことを通知することができる。そして上述したような機密プリントの場合、電子メールを受信したユーザは、プリントデータが送信されている画像形成装置に移動し、操作パネル10を操作してIDとパスワードを入力することにより、文書データ35に基づいて印刷された印刷出力を入手することができる。
次に、本実施形態の情報処理装置3aと認証サーバ4aとの双方で行われる具体的な処理手順の一例について説明する。図10および図11は、情報処理装置3aと認証サーバ4aとの具体的な処理手順の一例を示すフローチャートである。尚、この処理は、情報処理装置3aにおいてCPU25が記憶部27のプリンタドライバ32を読み出して実行することによって開始する。
まず図10に示すように、この処理が開始すると、情報処理装置3aは、ユーザの認証要求を認証サーバ4aに対して送信する(ステップS101)。認証サーバ4aは、その認証要求に基づいてそのユーザが認証情報47に登録されたユーザであるか否かの認証処理を行い(ステップS201)、その認証結果を、認証要求の送信元である情報処理装置3aに送信する(ステップS202)。
情報処理装置3aは、認証サーバ4aから認証結果を受信すると、その認証結果の判定を行い(ステップS102)、認証が成功したか否かを判断する(ステップS103)。ここで認証が失敗していれば(ステップS103でNO)、そのユーザは情報処理システム1を利用してデータの送信を行うことができないため、その他の処理を行うことなく処理を終了する。これに対し、認証が成功していれば(ステップS103でYES)、情報処理装置3aを操作しているユーザが認証ユーザであることを確認できる。そしてこの場合、情報処理装置3aは、認証サーバ4aに対し、その認証ユーザに対して予め登録されている送信先登録情報の送信要求を行う(ステップS104)。認証サーバ4aは、その送信要求に基づいてユーザ別送信先登録情報48からその認証ユーザに対して予め登録されている送信先登録情報48aを抽出する処理を行い(ステップS203)、情報処理装置3aに対してその抽出した送信先登録情報48aを送信する(ステップS204)。
情報処理装置3aは、認証サーバ4aから送信先登録情報48aを受信すると、その送信先登録情報48aに基づいて表示部21に対し、認証ユーザがデータ送信可能な送信先として登録されている登録送信先の一覧表示を行う(ステップS105)。そして認証ユーザによる送信先の選択操作を受け付ける(ステップS106)。このとき、認証ユーザは、複数の送信先を選択しても良い。例えば、文書データ35に基づく文書を複数の送信先に配布したい場合には、ここでそれら複数の送信先を同時に選択することができるので、プリンタドライバ32を複数回起動する必要がなくなり、操作性が向上する。
そして情報処理装置3aは、認証サーバ4aに対し、認証ユーザによって選択された送信先に対して設定されている送信先条件情報の送信要求を行う(ステップS107)。認証サーバ4aは、その送信要求に基づいて送信先条件情報49から認証ユーザによって選択された送信先に登録されている送信先条件情報49aを抽出する処理を行い(ステップS205)、情報処理装置3aに対してその抽出した送信先条件情報49aを送信する(ステップS206)。このとき、認証ユーザによって選択された送信先が複数ある場合、認証サーバ4aは、それら複数の送信先のそれぞれに対応する送信先条件情報を全て抽出し、その抽出した全ての送信先条件情報を情報処理装置3aに送信する。そのため、情報処理装置3aは、認証ユーザが複数の送信先を選択した場合でも、認証ユーザが選択した全ての送信先に関する送信先条件情報を1回のデータ通信で取得することができる。
そして図11のフローチャートに進み、情報処理装置3aは、認証サーバ4aから送信先条件情報49aを受信すると、その送信先条件情報49aに登録されている送信先の条件の解析を行う(ステップS108)。このとき、例えば複数の送信先がある場合には、ひとつの送信先を処理対象として選択し、その選択した送信先の送信先条件情報49aに登録されている条件を解析する。そしてメモリ26に格納されている文書データ35を読み出し、送信先条件情報49aに基づいてプリントデータを生成する(ステップS109)。このとき、送信先に対して予め登録された諸条件に適合するプリントデータが生成されるので、認証ユーザが各種印刷条件を設定する操作を行う必要がなく、操作負担が軽減される。また機密プリントの設定を行っている場合でも、認証ユーザ自身がIDやパスワードなどを設定する操作を行う必要はなく、情報処理装置3aが送信先条件情報49aに基づいて自動でそれらの設定処理を行うので、認証ユーザの操作負担がより一層軽減されるようになる。
そして情報処理装置3aは送信先条件情報49aの送信先指定情報に基づいてプリントデータを送信し(ステップS110)、送信先条件情報49aに登録されている電子メールアドレスに電子メールを送信する(ステップS111)。そして複数の送信先がある場合は、他に未送信の送信先がある否かを判断し(ステップS112)、未送信の送信先があれば、ステップS108に戻って上述した処理を繰り返す。一方、未送信の送信先がなく、全ての送信先に対して送信処理を完了した場合には、この処理は終了する。
以上のような処理により、情報処理装置3aに記憶されている文書データ35に基づく文書を他のユーザに配布することができる。具体的には、情報処理装置3aがユーザによって指定された送信先に文書データ35に基づくデータを送信することにより、文書を配布する。そして本実施形態の情報処理装置3aは、ユーザによって指定された送信先にデータを送信する際、その指定された送信先に適合したデータを自動生成するので、ユーザ自身が送信先に応じたIDやパスワードなどの入力操作を行う必要はなく、ユーザの操作負担を軽減することが可能である。また送信先毎に異なる印刷条件を適用すべき場合であっても、ユーザ自身が送信先毎に異なる印刷条件の入力操作を行う必要はないので、この点においてもユーザの操作負担を軽減することが可能である。
また情報処理装置3aは送信先の条件に適合したプリントデータを生成して送信し、画像形成装置2はそのプリントデータに基づいて印刷ジョブを実行し、印刷文書を出力する。これにより、文書データ35に基づく文書を、画像形成装置2から出力される印刷文書として他のユーザに配布することができるようになる。それ故、文書の配布元であるユーザは、文書データ35を手動操作でPDFファイルなどの特定のファイル形式に変換する必要がなくなるので、この点でもユーザの操作負担が軽減する。但し、情報処理装置3aがプリントデータを送信する際、必ずしも画像形成装置2に対して送信するとは限らず、送信先条件情報49aの送信先指定情報に基づいて送信先が決定される。
図12は、図9に示した送信先条件情報49aとは異なる送信先条件情報49bの一例を示す図である。この送信先条件情報49bは、例えば送信先として「ユーザC」が指定された場合の諸条件を登録した情報である。この送信先条件情報49bには、機密プリント情報と、送信先指定情報と、ユーザCの電子メールアドレスと、印刷条件情報とが含まれている。特に、この送信先条件情報49bの送信先指定情報には、ユーザCが使用可能な画像形成装置のアドレス、ユーザCが使用可能な画像形成装置のアドレスとBOX番号、ジョブサーバのアドレス、および、ユーザCが使用可能な情報処理装置のアドレス、のうちからいずれに送信するかを選択した情報が登録されている。このような場合、情報処理装置3aは、この送信先条件情報49bに基づいてプリントデータを生成した後、送信先指定情報に登録されている装置に対してプリントデータの送信を行う。
図13は、情報処理装置3aにおいて送信先条件情報49bの送信先指定情報に基づいて指定された装置にプリントデータを送信する場合の処理手順の一例を示すフローチャートである。尚、この図13のフローチャートは、図11におけるステップS110の処理をより詳しく示したものに相当する。情報処理装置3aは送信先条件情報49bに基づいてプリントデータを生成すると、送信先条件情報49bの送信先指定情報を解析する(ステップS141)。そして、送信先指定情報に画像形成装置のアドレスのみが指定されているか否かを判断する(ステップS142)。画像形成装置のアドレスのみが指定されている場合(ステップS142でYES)、情報処理装置3aは、その送信先指定情報に指定されている画像形成装置に対してプリントデータを送信する(ステップS143)。これにより、プリントデータを受信した画像形成装置は、そのプリントデータに基づいて印刷ジョブを実行する。但し、そのプリントデータに機密プリントが設定されていれば、その印刷ジョブは待機状態となる。
また送信先指定情報において画像形成装置のアドレスのみが指定されているのではない場合(ステップS142でNO)、次に情報処理装置3aは、送信先指定情報に画像形成装置のアドレスとBOX番号が指定されているか否かを判断する(ステップS144)。画像形成装置のアドレスとBOX番号が指定されている場合(ステップS144でYES)、情報処理装置3aは、その送信先指定情報に指定されている画像形成装置の記憶楼域を指定してプリントデータを送信する(ステップS145)。これにより、プリントデータを受信した画像形成装置は、そのプリントデータを指定された記憶領域18に保存し、ジョブの実行は行わない。
また送信先指定情報が画像形成装置のアドレスとBOX番号を指定するものでもない場合(ステップS144でNO)、次に情報処理装置3aは、送信先指定情報にジョブサーバ4bのアドレスが指定されているか否かを判断する(ステップS146)。ジョブサーバ4bのアドレスが指定されている場合(ステップS146でYES)、情報処理装置3aは、その送信先指定情報に指定されているジョブサーバ4bにプリントデータを送信する(ステップS147)。これにより、プリントデータを受信したジョブサーバは、そのプリントデータに基づくジョブの実行を管理し、ユーザCによって指定されたタイミングで、或いは適宜のタイミングで、ユーザCが使用可能な画像形成装置2に送信する。
また送信先指定情報がジョブサーバのアドレスを指定するものでもない場合(ステップS146でNO)、ユーザCが使用可能な情報処理装置のアドレスが指定されていることになるので、情報処理装置3aは、その送信先指定情報に指定されている情報処理装置にプリントデータを送信する(ステップS148)。これにより、プリントデータを受信した情報処理装置はそのプリントデータを保存するので、ユーザCは適宜のタイミングでそのプリントデータを画像形成装置2に送信することができる。そして画像形成装置2に印刷ジョブを実行させることで、印刷文書を入手することができる。
このように本実施形態では、送信先条件情報49の送信先指定情報に対し、情報処理システム1に含まれる任意の装置を指定しておくことができる。そして情報処理装置3aはプリンタドライバ32を起動することによって、送信先条件情報49の送信先指定情報において指定された装置に対して自動でプリントデータを送信するので、文書の配布元であるユーザが情報処理システム1上のどの装置に対してプリントデータを送信するかを手動操作で設定する必要はなく、ユーザの操作性が軽減されている。
次に、プリントデータの送信先として指定されたユーザが、そのプリントデータに基づく印刷ジョブを実行させるときに、プリントデータに設定されている印刷条件を変更できるようにした例を説明する。図14は、図9に示した送信先条件情報49aおよび図12に示した送信先条件情報49bとは異なる送信先条件情報49cの一例を示す図である。この送信先条件情報49cは、例えば送信先として「ユーザD」が指定された場合の諸条件を登録した情報である。この送信先条件情報49cには、機密プリント情報と、送信先指定情報と、ユーザDの電子メールアドレスと、印刷条件変更可否情報と、印刷条件情報とが含まれている。ここで、この送信先条件情報49cに特有の情報は、印刷条件変更可否情報である。この印刷条件変更可否情報には、ユーザDがプリントデータに設定されている印刷条件を変更可能とするための「可」と、変更を不可能とするための「不可」とのいずれか一方が設定されている。そして情報処理装置3aは、このような送信先条件情報49cに基づいてユーザDに対するプリントデータを生成する際、印刷条件変更可否情報に基づいて印刷条件を変更可能な、或いは不可能なプリントデータを生成する。
図15は、情報処理装置3aが送信先条件情報49cに基づいてプリントデータを生成する際の処理手順の一例を示すフローチャートである。尚、この図15のフローチャートは、図11におけるステップS109の処理をより詳しく示したものに相当する。情報処理装置3aはまず、送信先条件情報49cに含まれる印刷条件情報を読み出し(ステップS151)、その印刷条件情報に基づいて印刷条件を設定する(ステップS152)。次に、送信先条件情報49cに含まれる機密プリント情報を読み出し(ステップS153)、その機密プリント情報に基づいてIDとパスワードとを設定する(ステップS154)。そして情報処理装置3aは、送信先条件情報49cに印刷条件変更可否情報が含まれているか否かを判断し(ステップS155)、印刷条件変更可否情報が含まれていれば(ステップS155でYES)、さらにその印刷条件変更可否情報の設定が「可」であるか否かを判断する(ステップS156)。そして印刷条件変更可否情報の設定が「可」であれば(ステップS156でYES)、情報処理装置3aは、ユーザDが印刷ジョブを実行させる際に印刷条件を変更することが可能なプリントデータを生成する(ステップS157)。これに対し、印刷条件変更可否情報が設定されていない場合(ステップS155でNO)、又は、印刷条件変更可否設定の設定が「不可」である場合(ステップS156でNO)、情報処理装置3aは、ユーザDが印刷ジョブを実行させる際に印刷条件を変更することができないプリントデータを生成する(ステップS157)。例えば、プリントデータに設定される印刷条件に対してロックを掛けることなどにより、印刷条件を変更することができないプリントデータを生成することができる。
このように本実施形態では、送信先条件情報49に対して印刷条件変更可否情報を設定し、その設定を「可」としておけば、プリントデータが送信されたユーザDが印刷ジョブを実行させる際に印刷条件を変更することができる。そのため、例えば片面印刷が設定されているプリントデータを両面印刷に変更して印刷することができ、ユーザDが文書を利用する際の利便性が向上する。
以上のように本実施形態では、ネットワーク5を介してデータ通信可能な情報処理装置3aにおいてプリンタドライバ32を起動することにより、情報処理装置3aが、他のユーザなどの送信先にプリントデータを送信する際の送信先条件情報49を認証サーバ4aから取得し、その送信先条件情報49に基づいて、指定された送信先に対して予め設定されている条件に適合したプリントデータを自動生成して送信する。そのため、プリントデータを送信するユーザが、送信先のユーザの適合した印刷条件を設定したり、或いは機密プリントのためのIDやパスワードなどを入力したりするための手動操作を行う必要はなく、データ送信時の操作効率が向上する。特に複数のユーザに対して同時に文書を配布するような場合であっても、送信先のユーザ毎に印刷条件やID、パスワードなどを変更するための操作を行う必要がなくなるので、データ送信時の操作性が著しく改善されるようになる。
尚、本実施形態では、主として情報処理装置3aから他のユーザに対してデータ送信を行う場合を例示したが、情報処理システム1に含まれる他の情報処理装置3b,3c,…などであっても同様である。
以上、本発明に関するいくつかの実施形態について説明したが、本発明は上述した内容に限定されるものではなく、種々の変形例が適用可能である。
例えば、上記実施形態では、情報処理装置3aが文書データ35に基づく文書を他のユーザなどに配布する際、文書データ35からプリントデータを生成して送信する場合を例示したが、情報処理装置3aがデータ送信のために生成するデータは、必ずしもプリントデータに限られるものではない。例えば文書データ35をそのまま送信するようにしても良いし、またPDFファイルなどの特定のファイル形式に変換して送信するようにしても良い。
また上記実施形態では、認証サーバ4aが、ユーザ別送信先登録情報48や送信先条件情報49を記憶している場合を例示したが、これらの情報を他のサーバ装置4が記憶しておくように構成しても良い。また画像形成装置2がこれらの情報を記憶するように構成しても良く、この場合は画像形成装置2がサーバ装置4としての機能を備える。
またさらに、ユーザ別送信先登録情報48や送信先条件情報49を情報処理システム1に設けられた情報処理装置3a,3b,3c,…のそれぞれに記憶しておくようにしても良い。但し、この場合は、ユーザ別送信先登録情報48や送信先条件情報49を更新すると、情報処理装置3a,3b,3c,…の全ての情報を更新する必要があり、情報更新時に煩雑な更新作業が発生する。そのため、上述の実施形態のように、情報処理システム1のサーバ装置4においてユーザ別送信先登録情報48や送信先条件情報49を一元管理することがより好ましい。