JP5391515B2 - 太陽電池用裏面保護シートおよび太陽電池モジュール - Google Patents

太陽電池用裏面保護シートおよび太陽電池モジュール Download PDF

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Description

本発明は、長期間にわたる過酷な自然環境に耐え得る、特に耐候性などの耐環境適性や層間接着強度に優れる耐久性、さらに、その他の特性として防湿性、ガスバリア性などの諸特性に優れ、非常に安価に製造することが可能となる太陽電池用裏面保護シートおよびそれを用いた太陽電池モジュールに関するものである。
近年、地球温暖化問題に対する内外各方面の関心が高まる中、二酸化炭素の排出抑制のために、種々努力が続けられている。化石燃料の消費量の増大は、大気中の二酸化炭素の増加をもたらし、その温室効果により地球の気温が上昇し、地球環境に重大な影響を及ぼす。この化石燃料に代替するエネルギーとしては、いろいろ検討されているが、クリーンなエネルギー源である太陽光発電に対する期待が高まっている。太陽電池は太陽光のエネルギーを直接電気に換える太陽光発電システムの心臓部を構成するものであり、半導体からできている。その構造としては、太陽電池素子単体をそのままの状態で使用することはなく、一般的に数枚〜数十枚の太陽電池素子を直列、並列に配線し、長期間(約20年)に亘って素子を保護するため種々パーケージングが行われ、ユニット化されている。このパッケージに組み込まれたユニットを太陽電池モジュールと呼び、一般的に太陽光が当たる面をガラスで覆い、熱可塑性プラスチックからなる充填材で間隙を埋め、裏面を耐熱、耐候性プラスチック材料などのシートで保護された構成になっている。
これらの太陽電池モジュールは、屋外で使用されるため、その構成、材質構造などにおいて、十分な耐久性、耐候性が要求される。特に、裏面保護シートは耐候性と共に水蒸気透過率の小さいことが要求される。これは透過した水分により充填材が剥離、変色を起こした場合、あるいは、配線の腐蝕を起こした場合、モジュールの出力そのものに影響を及ぼす恐れがあるためである。
従来、この太陽電池用裏面保護シートしては、耐候性、難燃性、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)からなる太陽電池モジュールの充填材との接着性に優れるポリフッ化ビニルフイルム(フッ素フィルム)(デュポン社製、商品名「テドラー」)を用い、具体的には、このフィルムでアルミニウム箔をサンドイッチした積層構造の裏面保護シートが多く用いられていた(例えば、特許文献1、2など参照)。
しかし、このフッ素フィルムは機械的強度も弱く、太陽電池モジュール製造時に加えられる140〜150℃の熱プレスの熱により軟化し、太陽電池素子電極部の突起物が充填材層を貫通し、さらに裏面保護シートを構成する内面のフッ素フィルムを貫通し、裏面保護シート中のアルミニウム箔に接触することにより、太陽電池素子とアルミニウム箔が短絡して電池性能に悪影響を及ぼすという欠点があった。
また、フッ素フィルムは高価であり、太陽電池モジュールの低価格化の点で一つの障害となっている。さらには、このフッ素フィルムは使用後の廃棄物焼却時に、ハロゲン系の有毒ガスが発生する問題も危惧されている。
また、アルミニウム箔を使用した材料を用いると、使用後の廃棄物焼却時に、焼却炉のロストル(火格子)に燃え残りの金属が詰まる問題や、焼却時にアルミナに変化して、焼却残滓の埋め立て処分時に加湿することによって、焼却残滓中のアルミナに吸着されていた有毒なアンモニアガスが発生してくる問題、また、前記問題を解消するため、前記アルミニウム箔を用いた積層材料を焼却せずにアルミニウム箔だけを分離して回収することも
簡単に行い得ない。
上記の問題点を解決するために、基材フィルムの一方の面に、金属または金属酸化物の蒸着膜を設けたバリア性フィルムを基材として用いた積層フィルムからなる裏面保護シートは、初期のバリア性は良好であるが、使用期間が長くなると、層間の接着強度が低下し、また、バリア性が劣化し、起電力が低下する、耐候性の問題があった。
以下に特許文献を記す。
特表平8―500214号公報 特開2002―520820号公報
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、長期間にわたる過酷な自然環境に耐え得る、特に耐候性などの耐環境適性や層間接着強度に優れる耐久性、さらに、その他の諸特性として防湿性、ガスバリア性などに優れた太陽電池用裏面保護シートおよびそれを用いた太陽電池モジュールを提供することを目的とするものである。
請求項1に記載の発明は、少なくとも片面にリアクティブイオンエッチング(RIE)モードのプラズマ処理した処理面に、アクリルポリオール、イソシアネート、及びシランカップリング剤を含むプライマー層を設けた基材フィルムの、前記プライマー層の上に、無機酸化物蒸着層と、
一般式Si(OR1)…(1)で表されるケイ素化合物及びその加水分解物のうち1つ、
一般式(R2Si(OR3)…(2)で表されるケイ素化合物、及びその加水分解物のうち1つ、
(但し、一般式(1)および(2)中、R1,R3はCH,C,またはCOCH、R2は有機官能基を表す)、及び
水酸基を有する水溶性高分子を含有する塗布液を塗布、乾燥して得られた被膜層を含むガスバリア性フィルムを基材として用いた積層フィルムからなり、
前記基材の被膜層の上に、接着層を介して、白色に着色されたポリエチレンテレフタレートフィルムを設け、前記基材の基材フィルムの上に接着層を介して、耐加水分解性ポリエチレンテレフタレートフィルムを設けたことを特徴とする太陽電池用裏面保護シートである。
前記基材が、両面に前記処理面を有する基材フィルムを用い、前記処理面に、無機酸化物蒸着層と前記被膜層が設けられていることを特徴とする請求項1記載の太陽電池用裏面保護シートである。
請求項3に記載の発明は、前記一般式Si(OR1)4…(1)は、その加水分解性基(R1)がC25であることを特徴とする請求項1または2記載の太陽電池用裏面保護シートである。
請求項4に記載の発明は、前記一般式(R2Si(OR3)3n…(2)は、その有機官能基(R2)が、ビニル、エポキシ、メタクリロシキ、ウレイド、イソシネートからなる群から選択される少なくとも1つの基からなることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の太陽電池用裏面保護シートである。
請求項5に記載の発明は、前記処理面は、自己バイアス値が200V以上2000V以下、かつ、プラズマ密度と処理時間の積で表されるEd値が、100V・s・m-2以上1000V・s・m-2以下の条件で低温プラズマ処理を施したことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の太陽電池用裏面保護シートである。
請求項6に記載の発明は、前記無機酸化物蒸着層が、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化マグネシウム、あるいはそれらの混合物の1種であることを特徴とする請求項1ないしのいずれか1項に記載の太陽電池用裏面保護シートである。
請求項7に記載の発明は、請求項1ないしのいずれか1項に記載の太陽電池用裏面保護シートを用いたことを特徴とする太陽電池モジュールである。
本発明の太陽電池用裏面保護シートは、少なくとも片面にリアクティエッチング(RIE)モードのプラズマ処理した処理面を有する基材フィルムの、前記処理面に無機酸化物蒸着層、および無機酸化物蒸着層上に設けた被覆層を有し、この被覆層が、上記3つの成分を含むことにより、十分に不溶化される。一般式(2)のR2Si(OR3)3は加水分解により、一般式(1)のSi(OR1)4及び水溶性高分子と水素結合を形成するため、バリアの孔になり難く、また一方で、有機官能基はネットワークをつくることで、水溶性高分子が、その水素結合に水が付加することにより膨潤することを防ぎ、耐水性を著しく向上させた構成からなるガスバリア性フィルムを基材を用いたので、長期間にわたる過酷な自然環境に耐え得ることが可能となった。
特に、基材上に、上記ガスバリア被覆層を、上記ガスバリア蒸着層と組み合わせて設けることにより、高いガスバリア性が得られる。
また、基材フィルムに無機化合物蒸着層を、リアクティエッチング(RIE)モードのプラズマ処理した処理面を介して積層することにより、耐水性を著しく向上させた構成からなるガスバリア性フィルムを基材として用いたので、より長期間にわたる過酷な自然環境に耐え得ることが可能となった。
さらに、基材は、基材フィルムの両面をリアクティエッチング(RIE)モードのプラズマ処理した処理面を設け、この処理面に無機酸化物蒸着層が積層されている構成とすることにより、基材フィルム自体が過酷な自然環境に耐え得ることが可能となり、長期間耐久性がある太陽電池用裏面保護シートとすることが可能となった。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の太陽電池用裏面保護シートの構成の一例を示す断面図である。
図2は、本発明の太陽電池用裏面保護シートの構成の他の例を示す断面図である。
図3は、本発明の太陽電池用裏面保護シートの構成の別の例を示す断面図である。
図4は、本発明の太陽電池用裏面保護シートを使用した太陽電池モジュールの一例を示
す断面図である。
図1に示すように、本発明の一例としての太陽電池用裏面保護シート10は、リアクティエッチング(RIE)モードのプラズマ処理した処理面1bを有する基材フィルム1aの、前記処理面1bに、プライマー層1b、無機酸化物蒸着層1c、被膜層1dを順次積層した構成のガスバリア性フィルムからなる基材1であって、前記蒸着層1c側の面に、
一般式Si(OR1)4…(1)で表されるケイ素化合物及びその加水分解物のうち1つ、
一般式(R2Si(OR3)3n…(2)で表されるケイ素化合物、及びその加水分解物のうち1つ
(但し、一般式(1)および(2)中、R1,R3はCH3,C25,またはC24OCH3、R2は有機官能基を表す)、及び
水酸基を有する水溶性高分子を含有する被膜層1dを積層した基材を用いた積層フィルム構成の太陽電池用裏面保護シート10である。
そして、この裏面保護シート10は、前記基材1の両面に、接着層40、41を介して他のプラスチックフィルム11、12が積層された積層フィルムから構成されている。
また、本発明の他の例としての太陽電池用裏面保護シート20は、図2に示したようにガスバリア性フィルムからなる基材1の基材フィルム1a面側に、さらに、例えば、白色に着色されたポリエチレンテレフタレート(PET)などの着色プラスチックフィルム13を積層した構成の太陽電池用裏面保護シートである。
そして、前記着色プラスチックフィルム13側を太陽電池素子に配設される。
なお、前記着色プラスチックフィルム13としては、上記の白色に着色されたPETフィルムが好ましいが、これに限定されるものではない。
上記の太陽電池用裏面保護シート20は、太陽電池用裏面保護シート10のガスバリア性フィルムからなる基材1の基材フルム1a側に、他のプラスチックフィルムを積層する接着層40、41を形成する接着剤としては、例えば、ポリウレタン系接着剤が用いられ、ドライラミネーション法により白色に着色されたポリエチレンテレフタレート(PET)などのプラスチックフィルムを積層して製造される。
また、本発明の別の例としての太陽電池用裏面保護シート30は、図3に示すように、ガスバリア性フィルムからなる基材1は、両面にリアクティエッチング(RIE)モードのプラズマ処理した処理面1bを設けた基材フィルム1aの、前記処理面1bに、無機酸化物蒸着層1c、被膜層1dを順次積層した構成の積層フィルムからなり、基材フィルム1a側と被覆層1d側に、さらに、前記ポリウレタン系接着剤からなる接着層40、41を介してドライラミネーション法により、プラスチックフィルム11,12を貼り合わせ、製造する。
なお、図3に示す以外に、基材フィルム1aの両側の処理面1b、1bに無機酸化物蒸着層1c、1cを設け、さらに、被膜層1d、1dを設けた構成としてもよい。このように両側に無機酸化物蒸着層、および被膜層を設けた構成とすることにより、基材フィルム1aの耐候性、耐加水分解性を向上させることができる。
また、両面にリアクティエッチング(RIE)モードのプラズマ処理した処理面1bを設けた基材フィルム1aの、前記処理面1bに、無機酸化物蒸着層1c、被膜層1dを順次積層した構成の積層フィルムを2枚用い、前記基材フィルム1aの無機酸化物蒸着層を
設けた面の反対面同士を接着剤により積層した構成としてもよい。
次に、本発明で使用される無機酸化物蒸着層を有するガスバリア性フィルムからなる基材1としては、図1および図2に示すような、例えば、基材フィルム1aの少なくとも片面に、リアクティエッチング(RIE)モードのプラズマ処理した処理面1bを設け、この処理面1b側に、厚さ5〜300nmの無機酸化物からなる無機酸化物薄膜層1c、被膜層1dを順次積層した構成のガスバリア性フィルムが用いられる。
以下、このガスバリア性フィルムからなる基材1について図を参照して詳細に説明する。
基材フィルム1aとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアクリフィルム、ポリカーボネート、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリクロロトリフロロエチレン等のいずれかからなるフィルムが用いることができ、前記フィルムは、機械的強度や寸法安定性を有する二軸延伸フィルムを用いるが好ましい。特に、二軸方向に任意に延伸されたポリエチレンテレフタレートフィルムが好ましい。
また基材フィルム1aは、種々の添加剤や安定剤、例えば帯電防止剤、紫外線防止剤、可塑剤、滑剤などを目的に応じて添加し、使用しても良い。
前記基材フィルム1aは、厚さはとくに制限を受けるものではないが、裏面保護シートとしての適性や積層するプライマー層1b、無機酸化物薄膜層1c、または被膜層1dを形成する場合の加工性を考慮すると、実用的には3〜200μmの範囲が好ましく、用途によって6〜50μmの範囲とすることが好ましい。
基材フィルム1aは、無機酸化物蒸着層1cを設ける面が、リアクティエッチング(RIE)モードのプラズマ処理した処理面1bを有する。
前記処理面1bは、自己バイアス値が200V以上2000V以下、かつ、プラズマ密度と処理時間の積で表されるEd値が、100V・s・m-2以上1000V・s・m-2以下の条件で低温プラズマ処理を施すことにより形成される。
前記RIEモードによるプラズマ処理は、アルゴン、酸素、窒素、水素またはこれら2種以上の混合ガスを使用する。
さらに、処理面1bにさらにプライマー層を設けてもよい。このプライマー層は、アクリルポリオール、イソシアネート、及びシランカップリング剤を含み、前記材料の具体例は、次に示す通りである。
前記シランカップリング剤の例としては、任意の有機官能基を含むシランカップリング剤を用いることができ、例えば、ビニルトリメトキシシラン、γ―クロロプロピルメチルジメトキシシラン、γ―クロロプロピルトリメトキシシラン、グリシドオキシプロピルトリメトキシシラン、γ―メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ―メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン等のシランカップリング剤或いはその加水分解物の1種ないしは2種以上を用いることができる。
さらに、これらのシランカップリング剤のうち、ポリオールの水酸基またはイソシアネート化合物のイソシアネート基と反応する官能基を持つものが特に好ましい。
例えばγ―イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、γ―イソシアネートプロピルトリメトキシシランのようなイソシアネート基を含むもの、γ―メルカプトプロピルトリエトキシシランのようなメルカプト基を含むものや、γ―アミノプロピルトリエトキシシラン、γ―アミノプロピルトリメトキシシラン、N―β―(アミノエチル)―γ―アミノプロピルトリエトキシシラン、γ―フェニルアミノプロピルトリメトキシシランのようなアミノ基を含むものがある。さらにγ―グリシドオキシプロピルトリメトキシシランやβ―(3、4―エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のようにエポキシ基を含むものや、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリス(β―メトキシエトキシ)シラン等のようなシランカップリング剤にアルコール等を付加し水酸基等を付加したものでもよく、これら1種ないしは2種以上を用いることができる。
これらのシランカップリング剤は、一端に存在する有機官能基がポリオールとイソシアネート化合物からなる複合物中で相互作用を示し、もしくはポリオールの水酸基またはイソシアネート化合物のイソシアネート基と反応する官能基を含むシランカップリング剤を用いることで共有結合をもたせることによりさらに強固なプライマー層を形成し、他端のアルコキシ基またはアルコキシ基の加水分解によって生成したシラノール基が無機酸化物中の金属や、無機酸化物の表面の極性の高い水酸基等と強い相互作用により無機酸化物との高い密着性を発現し、目的の物性を得ることができるものである。
また、上記プライマー層としてシランカップリング剤を金属アルコキシドとともに加水分解反応させたものを用いても構わない。
また、上記シランカップリング剤のアルコキシ基がクロロ基、アセトキシ基等になっていても何ら問題はなく、これらのアルコキシ基、クロロ基、アセトキシ基等が加水分解し、シラノール基を形成するものであればこの複合物に用いることができる。
また、ポリオールとは高分子末端に、2つ以上のヒドロキシル基をもつもので、後に加えるイソシアネート化合物のイソシアネート基と反応させるものである。このポリオールとして、アクリル酸誘導体モノマーを重合させて得られるポリオールもしくは、アクリル酸誘導体モノマーおよびその他のモノマーとを共重合させて得られるポリオールであるアクリルポリオールが好ましい。
中でもエチルメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレートやヒドロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシブチルメタクリレートなどのアクリル酸誘導体モノマーを重合させたアクリルポリオールや、前記アクリル酸誘導体とスチレン等のその他のモノマーを加え共重合させたアクリルポリオールが好ましく用いられる。
またイソシアネート化合物との反応性、シランカップリング剤との相溶性を考慮すると前記アクリルポリオールのヒドロキシル価が5〜200(KOHmg/g)の間であることが好ましい。
アクリルポリオールとシランカップリング剤の配合比は、重量比で1/1から1000/1の範囲であることが好ましく、より好ましくは2/1から100/1の範囲にあることである。溶解および希釈溶媒としては、溶解および希釈可能であれば特に限定されるものではなく、例えば酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、メチルエチルケトンなどのケトン類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類等が単独および任意に配合されたものを用いることができる。
しかし、シランカップリング剤を加水分解するために塩酸等の水溶液を用いる場合には
、共溶媒としてイソプロピルアルコール等のアルコール類と極性溶媒である酢酸エチルを任意に混合した溶媒を用いることが好ましい。
さらに、イソシアネート化合物は、アクリルポリオールなどのポリオールと反応してできるウレタン結合によりプラスチック基材や無機酸化物との密着性を高めるために添加されるもので主に架橋剤もしくは硬化剤として作用する。
前記機能を発揮するイソシアネート化合物の具体例としては、芳香族系のトリレンジイソシアネート(TDI)やジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、脂肪族系のキシレンジイソシアネート(XDI)やヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)などのモノマー類、これらの重合体、もしくは誘導体の1種、またはこれらの2種以上用いることができる。
ここで、アクリルポリオールとイソシアネート化合物の配合比は特に制限されるのもではないが、イソシアネート化合物が少なすぎると硬化不良になる場合があり、またそれが多すぎるとブロッキング等が発生し加工上問題がある。
そこでアクリルポリオールとインソシアネート化合物との配合比としては、イソシアネート化合物由来のNCO基がアクリルポリオール由来のOH基の50倍以下であることが好ましく、特に好ましいのはNCO基とOH基が当量で配合される場合である。混合方法は、周知の方法が使用可能で特に限定しない。
前記プライマー層は、シランカップリング剤、ポリオール、イソシアネート化合物を任意の濃度で混合した複合溶液を製作し、プラスチックフィルム基材1aの処理面1bにコーティング、乾燥硬化して形成する。
前記プライマー層を形成するプライマー剤は、具体的には、シランカップリング剤とポリオールを混合し、溶媒、希釈剤を加え任意の濃度に希釈した後、イソシアネート化合物と混合して作成する。前記方法以外にシランカップリング剤とポリオールを溶媒中混合しておき予めシランカップリング剤とポリオールを反応させたものを溶媒、希釈剤を加え任意の濃度に希釈した後、イソシアネート化合物加えて作製する方法などがある。
前記プライマー層は、さらに各種添加剤、例えば、3級アミン、イミダゾール誘導体、カルボン酸の金属塩化合物、4級アンモニウム塩、4級ホスホニウム塩等の硬化促進剤や、フェノール系、硫黄系、ホスファイト系等の酸化防止剤、レベリング剤、流動調整剤、触媒、架橋反応促進剤、充填剤等を添加することも可能である。
プライマー層は、プライマー剤を、例えばオフセット印刷法、グラビア印刷法、シルクスクリーン印刷法等の周知の印刷方式や、ロールコート、ナイフエッジコート、グラビアコートなどの周知の塗布方式を用いプラスチックフィルム基材1aの上にコーティングし、その後コーティング膜を乾燥し溶媒等を除去し硬化させることによって形成する。
プライマー層の厚さは、均一に塗膜が形成することができれば特に限定しないが、一般的に0.01〜2μmの範囲であることが好ましい。厚さが0.01μmより薄いと均一な塗膜が得られにくく密着性が低下する場合がある。また厚さが2μmを越える場合は厚いために塗膜にフレキシビリティを保持させることができず、外的要因により塗膜に亀裂を生じる恐れがあるため好ましくない。特に好ましいのは0.05〜0.5μmの範囲内にあることである。
次に、無機酸化物からなる無機酸化物薄膜層1cは、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸
化錫、酸化マグネシウム、あるいはそれらの混合物などの無機酸化物の蒸着膜からなり、透明性を有し、かつ酸素、水蒸気等のガスバリア性を有するものであればよい。その中では、酸化アルミニウムまたは酸化珪素が好ましく、特に、酸化珪素が、防湿性が優れ、また、基材フィルムの加水分解を抑制が可能であり好ましい。
前記無機酸化物薄膜層1cの厚さは、用いられる無機化合物の種類、構成により最適条件が異なるが、一般的には5〜300nmの範囲内が望ましく、その値は適宜選択される。ただし膜厚が5nm未満であると均一な膜が得られないことや膜厚が十分ではないことがあり、ガスバリア材としての機能を十分に果たすことができない場合がある。
また膜厚が300nmを越える場合は無機酸化物薄膜層にフレキシビリティを保持させることができず、成膜後に折り曲げ、引っ張りなどの外的要因により、無機酸化物薄膜層に亀裂を生じる危惧がある。好ましくは、40〜150nmの範囲内である。
前記無機酸化物薄膜層1cをプライマー層1b上に形成する手段としては各種手段が可能であるが、真空蒸着法により形成することが一般的である。この真空蒸着法以外の手段としてスパッタリング法、イオンプレーティング法、プラズマ気相成長法(CVD)などを用いることもできる。
ここで、生産性を考慮すれば、現時点では真空蒸着法が最も優れている。この真空蒸着法による真空蒸着装置の加熱手段としては電子線加熱方式、抵抗加熱方式、誘導加熱方式のいずれかを適宜用いればよい。
また、無機酸化物薄膜層と基材フィルムの密着性及び無機酸化物薄膜層の緻密性を向上させるために、プラズマアシスト法やイオンビームアシスト法を用いることも可能である。
また、無機酸化物薄膜層の透明性を上げるために蒸着の際、酸素ガスなど吹き込んだりする反応蒸着を行っても一向に構わない。
さらに、前記無機酸化物薄膜層1c上に設けられたガスバリア性被膜層1dは、無機酸化物薄膜層1cを保護し、さらに高いガスバリア性を付与するための層である。
前記被覆層1dは、この3つの成分を含むことにより、十分に不溶化される。
一般式(2)で表されるR2Si(OR3)3は加水分解により、一般式(1)で表されるSi(OR1)4及び水溶性高分子と水素結合を形成するため、バリアの孔になり難く、また一方で、有機官能基はネットワークをつくることで、水溶性高分子が、その水素結合に水が付加することにより膨潤することを防ぎ、耐水性を著しく向上させる。
なお、バリアの孔とは、膜の中で緻密なネットワークを作らず気体の透過を容易にする部分をいう。
また、基材1は、上記被覆層1dを、上記無機酸化物蒸着層1cと組み合わせて設けることにより、高いガスバリア性が得られる。
一般式(1)中、R1は、CH3,C25,C24OCH3等で表せるものであればいずれも使用することができる。なかでも、テトラエトキシシランが加水分解後、水系の溶媒中において比較的安定であるため好ましい。
金属アルコキシドは加水分解後に縮合し、セラミック膜を形成する。しかし金属酸化物は硬く、さらに縮合時の体積縮小による歪みによりクラックが入りやすいため、フィルム上に薄く透明で均一な縮合体被膜を形成することは非常に困難である。そこで、高分子を添加することによって構造体に柔軟性を付与しクラックを防止して造膜することができる。しかし高分子の添加は目視では均一でも、微視的にはケイ素または金属酸化物と高分子部分とに分離している事が多く、ガスバリア性が低下しやすい。
金属アルコキシドに高分子を添加する事によって構造体に柔軟性を付与しクラックを防止して造膜する事ができる。
しかし高分子の添加は目視では均一でも、微視的には金属酸化物と高分子部分とに分離している事が多く、ガスバリア包材ではバリアの孔になりやすい。そこで、水酸基をもつ高分子を添加する事により、高分子の水酸基と金属アルコキシドの加水分解物の水酸基との強い水素結合を利用して、金属酸化物が縮合に際し高分子との間にうまく分散してセラミックに近い高いガスバリア性を発現する。
また、この被膜を無機化合物からなる蒸着層の上に積層することで、それぞれ単層によって得られる効果よりも、非常に高いガスバリア性、耐水性、耐湿性を示す。
しかし、金属アルコキシドあるいはその加水分解物と水酸基を有する水溶性高分子の混合からなるガスバリア被覆層は、水素結合からなるため、水により膨潤して溶解する。蒸着層との積層構造による相乗効果があっても高温高湿等の過酷な条件下ではガスバリア性が劣化し易い。
これに対し、本発明では、上記一般式(2)で表される化合物を添加することにより、高温高湿等の過酷な条件下においても、この膨潤を防ぐことができる。
一般式(2)は、その有機官能基(R2)が、ビニル、エポキシ、メタクリロキシ、ウレイド、及びイソシアネート等の非水性官能基であることが好ましい。非水官能基は、官能基が疎水性であるため、耐水性はさらに向上する。
一般式(2)で表される化合物が多量体である場合は、三量体が好ましく、より好ましくは、一般式(NCO―R4Si(OR3)33(式中、R4は(CH2n、nは1以上)で表される1,3,5―トリス(3―トリアルコキシシリルアルキル)イソシアヌレートである。これは、3―イソシアネートアルキルアルコキシシランの縮合体である。
この1,3,5―トリス(3―トリアルコキシシリルアルキル)イソシアヌレートは、イソシアヌレート部には化学的反応性はなくなるけれども、ヌレート部の極性により反応と同様の性能を示すことが知られている。
一般的には、3―イソシアネートアルキルアルコキシシランと同様に接着剤などに添加され、接着性向上剤として知られている。よって、1,3,5―トリス(3―トリアルコキシシリルアルキル)イソシアヌレートをSi(OR1)4と、水酸基を有する水溶性高分子に添加することにより、水素結合に基づきガスバリア積層フィルムが水による膨潤することを防ぎ、耐水性を向上させることができる。
また、3―イソシアネートアルキルアルコキシシランは、反応性が高く、液安定性が低いのに対し、ヌレート部はその極性により水溶性ではないが、水系液中に分散しやすく、液粘度を安定に保つことができ、その耐水性性能は3―イソシアネートアルキルアルコキシシランと同等である。
さらに、ヌレート部は耐水性があるのみでなく、その極性によりSi(OR1)4と、水酸基を有する水溶性高分子はバリアの孔になりにくい。
1,3,5―トリス(3―トリアルコキシシリルアルキル)イソシアヌレートは、3―イソシアネートプロピルアルコキシシランの熱縮合により製造されるものもあり、原料の3―イソシアネートプロピルアルコキシシランが含まれる場合もあるが、特に問題はない。さらに好ましくは、1,3,5―トリス(3―トリアルコキシシリルプロピル)イソシアヌレートであり、さらにまた好ましくは、下記構造式(3)に示す1,3,5―トリス(3―トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレートである。
このメトキシ基は、加水分解速度が早く、また、プロピル基を含むものは比較的安価に入手し得ることから、上記構造式(3)で表される化合物は実用上有利である。
また、一般式(2)の有機官能基R2として、3―グリシドキシプロピル基、あるいは2―(3,4エポキシシクロヘキシル)基が好ましく使用できる。これらの有機官能基は、加水分解により、一般式(1)のSi(OR1)4及び水溶性高分子と水素結合を形成するために、バリアの孔になり難く、ガスバリア性を損なうことなく耐水性を向上することができる。
しかしながら、上述のようなエポキシ系シラン化合物の一部は、変異原性を有する場合がある。また、有機官能基(R2)が、ビニル及びメタクリロキシの場合、製造過程で紫外線または電子線等の照射が必要となり設備及び工程の増加によりコスト高を招く傾向がある。有機官能基(R2)が、ウレイドの場合は、特有の臭気があり、また、イソシアネートの場合は、反応性が高く、ポットライフが短い。このようなことなどから、本発明に使用されるii)の成分としては、1,3,5―トリス(3―トリアルコキシシリルアルキル)イソシアヌレートがより好ましいと考えられる。
前記被膜層1dを形成するためのコーティング剤の塗布方法には、通常用いられるディッピング法、ロールコーティング法、スクリーン印刷法、スプレー法などの従来公知の手段を用いることができる。また被膜層の厚さは、被膜層を形成するコーティング剤の種類や加工条件によって異なるが、乾燥後の厚さが0.01μm以上あれば良いが、厚さが50μm以上では膜にクラックが生じ易くなるため、0.01〜50μmの範囲が好ましい。
本発明で使用される前記プラスチックフィルム11,12,13としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム以外に、本発明の主旨を逸脱しない範囲で、エチレン―酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン―アクリル酸、または、酸変性ポリオレフィン系樹脂、シリコーン系樹脂、エポキシ系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリカーボネート樹脂からなるフィルムないしシートなどの他の汎用プラスチックフィルムを使用することもできる。さらに、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアリレート系樹脂などが挙げられる。
前記プラスチックの中で、耐熱性、強度物性、電気絶縁性などを考慮するとポリエステル系樹脂フィルム、特に2軸延伸のポリエステル系フィルムが好ましい。
そして、裏面保護シートの外面に位置する材料は、耐加水分解性ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを用いるのが好ましい。また、素子側に位置する材料は、前記の耐加水分解性ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムでもよいが、通常使用されているポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを使用してもよい。
ここで、ポリエステル系フィルムに用いる樹脂としては、多塩基酸またはそのエステル形成誘導体とポリオールまたはそのエステル形成誘導体を用いて得られるものであり、多塩基酸成分としてテレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、無水フタル酸、2,6―ナフタレンジカルボン酸、1,4―シクロヘキサンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、ダイマー酸、マレイン酸、イタコ酸などの酸成分を2種以上、そして、ポリオール成分としてエチレングリコール、1,4―ブタンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,6―ヘキサンジオール、1,4―シクロヘキサンジメタノール、トリメチロールプロパン、ペンタエリストール、キシレングリコール、ジメチロールプロパン、ポリ(エチレンオキシド)グリコール、ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール、さらにカルボン酸基やスルホン酸基やアミノ基あるいはこれらの塩を含有するポリオール成分を1種あるいは2種以上用いることで得られるポリエステルが挙げられるが、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどの汎用のポリエステルを用いることができる。
上記プラスチックフィルム11,12,13を積層する方法としては、例えば、ドライラミネーション法などの公知の方法で積層することができる。ドライラミネーション法の接着剤としては、接着強度が長期間の屋外使用で劣化によるデラミネーションなどを生じないこと、さらに接着剤が黄変しないことなどが必要であり、例えば、ポリウレタン系接着剤などが使用できる。
上記の接着剤は、例えば、ロールコート法、グラビアロールコート法、キスコート法、その他等のコート法、あるいは、印刷法等によって施すことができ、その塗布量としては、0.1〜10g/m2(乾燥状態)の範囲が望ましい。
上記のプラスチックフィルム13には、着色用添加剤を添加して白色に着色してもよい。その白色化着色剤としては、例えば、塩基性炭酸鉛、塩基性硫酸鉛、塩基性珪酸鉛、亜鉛華、硫化亜鉛、リトポン、三酸化アンチモン、アナタス形酸化チタン、ルチル形酸化チタン、その他等の白色顔料の1種ないし2種以上を使用することができる。その使用量としては、プラスチックフィルムに対して、0.1重量%〜30重量%位、好ましくは、0.5重量%〜10重量%範囲で添加して使用することが望ましい。
また、プラスチックフィルム13に発泡層を形成することもできる。発泡剤として、ポロパンガス、ブタンのような飽和脂肪族炭化水素類、炭酸ガス、窒素のような不活性ガス、塩化メチルのようなハロゲン化炭化水素などを用い、これらをプラスチック樹脂ペレットなどに含浸して押出し発泡によりプラスチックフィルムないしシートに発泡層を形成することができる。このように発泡層を形成することにより、白色(不透明)にすることができる。
前記プラスチックフィルム13を白色に着色することにより、太陽電池モジュールとして設置した場合、照り返す太陽光を光り反射あるいは光拡散させることで発電効率を向上するという効果を奏する。
次に、上記構成の本発明の太陽電池用裏面保護シートを使用して太陽電池モジュールを製造する方法について図4を参照して説明する。
かかる製造法としては、例えば、太陽電池用表面保護シート54、充填剤層52、配線53を配設した光起電力素子としての太陽電池素子51、充填剤層52、および、本発明の裏面保護シート10(20)を順次に積層し、さらに、必要ならば、各層間に、その他の素材を任意に積層し、次いで、これらを、真空吸引等により一体化して加熱圧着するラ
ミネーション法等の通常の成形法を利用し、上記の各層を一体成形体として加熱圧着成形して、枠体(スペーサー)55を装着して太陽電池モジュールを製造することができる。
上記太陽電池モジュールを構成する太陽電池用表面保護シート54としては、太陽光の透過性、絶縁性等を有し、さらに、耐候性、耐熱性、耐光性、耐水性、防湿性、防汚性、その他等の諸特性を有し、物理的あるいは化学的強度性、強靱性等に優れ、極めて耐久性に富み、さらに、光起電力素子としての太陽電池素子の保護ということから、耐スクラッチ性、衝撃吸収性等に優れていることが必要である。
上記の表面保護シートとしては、具体的には、公知のガラス板等、さらに、例えば、ポリアミド系樹脂(各種のナイロン)、ポリエステル系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、アセタール系樹脂、その他等の各種の高分子フィルムないしシートを使用することもできる。
上記太陽電池モジュールを構成する太陽電池用表面保護シート54の下に積層する充填剤層52としては、太陽光が入射し、これを透過して吸収することから透明性を有することが必要であり、また、表面保護シートおよび裏面保護シートとの接着性を有することも必要であり、光起電力素子としての太陽電池素子の表面の平滑性を保持する機能を果たすために熱可塑性を有すること、さらには、光起電力素子としての太陽電池素子の保護ということから、耐スクラッチ性、衝撃吸収性等に優れていることが必要である。
具体的には、上記の充填剤層としては、例えば、エチレン―酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン―アクリル酸、または、酸変性ポリオレフィン系樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、シリコーン系樹脂、エポキシ系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、その他等の樹脂の1種ないし2種以上の混合物を使用することができる。
なお、太陽光の入射側の充填剤としては、耐光性、耐熱性、耐水性等の耐候性を考慮すると、エチレン―酢酸ビニル系樹脂が望ましい素材である。
上記太陽電池モジュールを構成する光起電力素子としての太陽電池素子51としては、従来公知のもの、例えば、単結晶シリコン型太陽電池素子、多結晶シリコン型太陽電池素子等の結晶シリコン太陽電子素子、シングル接合型あるいはタンデム構造型等からなるアモルファスシリコン太陽電池素子、ガリウムヒ素(GaAs)やインジウム燐(InP)等のIII―V族化合物半導体太陽電子素子、カドミウムテルル(CdTe)や銅インジウムセレナイド(CuInSe2)等のII―VI族化合物半導体太陽電子素子、有機太陽電池素子、その他等を使用することができる。
さらに、薄膜多結晶性シリコン太陽電池素子、薄膜微結晶性シリコン太陽電池素子、薄膜結晶シリコン太陽電池素子とアモルファスシリコン太陽電池素子とのハイブリット素子等も使用することができる。
上記太陽電池モジュールを構成する光起電力素子51の下に積層する充填剤層52としては、上記の太陽電池用表面保護シートの下に積層する充填剤層と同材質のものが使用できる、裏面保護シートとの接着性を有することも必要であり、光起電力素子としての太陽電池素子の裏面の平滑性を保持する機能を果たすために熱可塑性を有すること、さらには、光起電力素子としての太陽電池素子の保護ということから、耐スクラッチ性、衝撃吸収性等に優れていることが必要である。
上記太陽電池モジュールの枠体(スペーサー)55としては、一般的にはアルミニウム型材が使用される。
以下に、本発明における具体的な実施例について説明する。
(実施例1)
<ガスバリア性蒸着フィルム>
片面を以下の条件でプラズマ処理した処理面1bを有するプラスチック基材1aとして、厚さ12μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムの、前記処理面に電子線加熱方式による真空蒸着装置により、酸化ケイ素を蒸着して厚さ40nmの酸化ケイ素からなる無機酸化物薄膜層1cを形成した。
さらに、その上に下記組成の被覆剤Aをグラビアコーター法により塗布し、乾燥機で120℃、1分間乾燥させ、厚さ0.3μmの被膜層1dを形成したガスバリア性蒸着フィルムを得た。
<プラズマ処理条件>
電極に周波数13.56MHzの高周波電源から電極に電力を供給して低温プラズマを発生させ、自己バイアス値が800V、Ed値が450V・s/m2の条件下で、処理ガスにアルゴンガスを用い、RIEモードによりプラズマ処理を行い処理面を形成した。
<被膜層>
(A)コーティング剤の組成は、テトラエトキシシラン17.9gと、メタノール10gに塩酸(0.1N)を72.1g加え、30分間撹拌し、加水分解した固形分5wt%(SiO2換算)の加水分解溶液と、
(B)ポリビニルアルコールの5%(重量比)、水/イソプロピルアルコール溶液=95/5(重量比)と、
および、以下に示す(C−1)から(C−3)に示すいずれか1つの溶液からなる。
(C−1)β−(3,4エポキシシクロヘキシル)トリメトキシシランとイソプロピルアルコール(IPA溶液)に塩酸(1N)を徐々に加え、30分間攪拌し、加水分解させた後、水/IPA=1/1溶液で加水分解を行い、固形分5%(重量比R2Si(OH)3換算)に調整した加水分解溶液。
(実施例2)
被覆層として、実施例1の(C−1)に代えて、(C−2)γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランとIPA溶液に塩酸(1N)を徐々に加え、30分間攪拌し、加水分解させた後、水/IPA=1/1溶液で加水分解を行い、固形分5%(重量比R2Si(OH)3換算)に調整した加水分解溶液を用いて形成した以外は、実施例1と同様にして、基材を作成した。
(実施例3)
被覆層として、実施例1の(C−1)に代えて、(C−3)1,3,5−トリス(3−メトキシシリルプロピル)イソシアヌレートを、水/IPA=1/1溶液で、固形分5%(重量比R2Si(OH)3換算)に希釈、調整した溶液を用いて形成した以外は、実施例1と同様にして、基材を作成した。
(実施例4)
被覆層として、実施例1の(C−1)に代えて、(C−4)ビニルトリメトキシシランとIPA溶液に、塩酸(1N)を徐々に加え、30分間攪拌し、加水分解させた後、水/IPA=1/1溶液で加水分解を行い、固形分5%(重量比R2Si(OH)3換算)に調整した加水分解溶液を用いて形成した以外は、実施例1と同様にして、基材を作成した。
<太陽電池用裏面保護シートの作成>
実施例1〜4で得られた基材の被覆層面に、厚さ50μmの白色顔料練り込みポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(商品名MX01 東レ製)を、また基材フィルム面に、厚さ125μmの加水分解性ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(
商品名X10S 東レ製)を、それぞれポリウレタン系接着剤層(塗布量5g/m2)を介してドライラミネーション法により積層し、下記構成の本発明の太陽電池用裏面保護シートを作成した。
耐加水分解性PETフィルム(125μm)/ガスバリア性蒸着フィルム(12μm)/白色顔料練り込みPETフィルム(50μm)
(実施例5〜8)
実施例1〜4の蒸着層を酸化ケイ素に代えて酸化アルミニウム(厚み400nm)を用いた以外は、実施例1〜4と同様にして太陽電池用裏面保護シートを作成した。
(比較例1)
実施例1の処理面を、RIEモードによるプラズマ処理に代えて、一般的なインラインプラズマ処理により形成した以外は、実施例1と同様にして太陽電池用裏面保護シートを製造した。
(比較例2)
実施例5の(C−3)の溶液を含まず、(A)、(B)の溶液を混合した被膜溶液を用いて被膜層を形成した以外は、実施例2と同様にして太陽電池用裏面保護シートを製造した。
<防湿性の評価>
前記JIS K7129に準じて評価した。(40℃ 90%)
評価結果は、表1に示す。
また、太陽電池モジュール充填として、厚さ600μmのスタンダードキュアタイプのエチレン―酢酸ビニル共重合体(EVA)シートを用い、太陽電池セルは多結晶シリコンを用い、A4サイズの強化ガラス上に、EVAシート、電池セル、実施例1、2で得られた裏面保護シートを順次積層し、それらを予備加熱温度40℃×5分、150℃で真空引き(0.5atm)5分×保持5分でラミネートし、そして150℃で30分保持し架橋反応を進めたものをアルミニウムフレームで枠組してテスト用太陽電池モジュールを作成した。その後、85℃−85%RH環境下で1000時間促進試験を行った後、IEC61215に準じた出力試験を行い、初期の出力に対する保持率を測定し、太陽電池出力を評価した。その結果を表1に示す。
表1より、実施例1〜8で得られた本発明の太陽電池用裏面保護シートは、特に耐候性、層間接着強度に優れ、この裏面保護シートを用いた太陽電池モジュールは発電効率が高い高性能のものが得られた。
本発明により、長期間にわたる過酷な自然環境に耐え得る、特に耐候性などの耐環境適性や層間接着強度に優れる耐久性、さらに、その他の諸特性として防湿性、ガスバリア性などにも優れ、かつ、非常に安価に製造することが可能となる太陽電池用裏面保護シートおよび太陽電池モジュールを提供することが可能となった。
本発明の太陽電池用裏面保護シートの構成の一例を示す断面図である。 本発明の太陽電池用裏面保護シートの構成の他の例を示す断面図である。 本発明の太陽電池用裏面保護シートの構成の別の例を示す断面図である。 本発明の太陽電池用裏面保護シートを使用した太陽電池モジュールの一例を示す断面図である。
符号の説明
1・・・基材
1a・・・基材フィルム
1b・・・処理面
1c・・・無機酸化物蒸着層
1d・・・被膜層
10、20、30・・・太陽電池用裏面保護シート
11、12、13・・・プラスチックフィルム
40、41・・・接着剤層
50・・・太陽電池モジュール
51・・・太陽電池素子
52・・・充填剤
53・・・配線
54・・・表面保護シート
55・・・スペーサー

Claims (7)

  1. 少なくとも片面にリアクティブイオンエッチング(RIE)モードのプラズマ処理した処理面に、アクリルポリオール、イソシアネート、及びシランカップリング剤を含むプライマー層を設けた基材フィルムの、前記プライマー層の上に、無機酸化物蒸着層と、
    一般式Si(OR1)…(1)で表されるケイ素化合物及びその加水分解物のうち1つ、
    一般式(R2Si(OR3)…(2)で表されるケイ素化合物、及びその加水分解物のうち1つ、
    (但し、一般式(1)および(2)中、R1,R3はCH,C,またはCOCH、R2は有機官能基を表す)、及び
    水酸基を有する水溶性高分子を含有する塗布液を塗布、乾燥して得られた被膜層を含むガスバリア性フィルムを基材として用いた積層フィルムからなり、
    前記基材の被膜層の上に、接着層を介して、白色に着色されたポリエチレンテレフタレートフィルムを設け、前記基材の基材フィルムの上に接着層を介して、耐加水分解性ポリエチレンテレフタレートフィルムを設けたことを特徴とする太陽電池用裏面保護シート。
  2. 前記基材が、両面に前記処理面を有する基材フィルムを用い、前記処理面に、無機酸化物蒸着層と前記被膜層が設けられていることを特徴とする請求項1記載の太陽電池用裏面保護シート。
  3. 前記一般式Si(OR1)…(1)は、その加水分解性基(R1)がCであることを特徴とする請求項1または2記載の太陽電池用裏面保護シート。
  4. 前記一般式(R2Si(OR3)…(2)は、その有機官能基(R2)が、ビニル、エポキシ、メタクリロシキ、ウレイド、イソシネートからなる群から選択される少なくとも1つの基からなることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の太陽電池用裏面保護シート。
  5. 前記処理面は、自己バイアス値が200V以上2000V以下、かつ、プラズマ密度と処理時間の積で表されるEd値が、100V・s・m−2以上1000V・s・m−2以下の条件で低温プラズマ処理を施したことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の太陽電池用裏面保護シート。
  6. 前記無機酸化物蒸着層が、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化マグネシウム、あるいはそれらの混合物の1種であることを特徴とする請求項1ないしのいずれか1項に記載の太陽電池用裏面保護シート。
  7. 請求項1ないしのいずれか1項に記載の太陽電池用裏面保護シートを用いたことを特徴とする太陽電池モジュール。
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